JP2008082118A - 雨水等の貯水施設用の樹脂袋とその製造方法及びこの雨水等の貯水施設用の樹脂袋を用いた雨水等の貯水施設の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の雨水等の貯水施設用の樹脂袋20は、透水性または遮水性のシート30からなり、その上面が開口している直方体形状または立方体形状の樹脂袋20であって、この樹脂袋20は、一対の対向する側面23において、側面23の上辺両端隅部sからの長さがこの側面23の高さhに等しい上辺上の位置qと、上辺両端隅部sに対応する下辺両端隅部pとを各々結ぶ直線状の溶着部26をそれぞれ2箇所ずつ有していることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
特に昨今では、夏季の水不足に備えて、新しく団地を建設するような場合には、しばしばこの種の雨水等の貯水施設が設けられるようになってきている。
図11に示すように、予め地面1を掘り下げて、例えば、平面形状が長方形の堀穴2を形成し、しかる後この堀穴2の内表面(側面及び底面を含む)に、掘穴2の表面から泥等が貯水空間3側に侵入するのを防止するため、遮水性シートもしくは透水性シートで側面や底面を覆って内張層4を構成する。
尚、天板を敷き詰める前にシートで貯水空間3上を覆い、この上に天板等を被せる場合もある。
この溶着作業は、予め堀穴2の底面を含む内表面を覆ったシート上に空間保持骨格ブロック5を組み上げ、空間保持骨格ブロック5の設置が完了した時点で行われるもので、前記空間保持骨格ブロック5全体を覆うようにシートの必要個所を溶着して袋状にしていた。
そのためシートの溶着作業を必ず雨水等の貯水施設の建設現場、より具体的には堀穴2の中で行わなければならず、実際に、堀穴2の中に溶着機を持ち込んでこの作業を行っている。それ故に以下のような問題がある。
第2には、溶着作業後、溶着が完全に行われたかどうか、例えば、シートが遮水性シートであれば、その防水性が完全であるかどうかを確認する必要がある。しかしながら、試験設備が整っていない建設現場で、この確認を行うことは極めて難しい。それ故、溶着作業には溶着の失敗がないように、熟練した作業者が必要である。
第3には、この溶着機を建設現場で使用するためには電源が必要で、具体的には移動用の発電機を一緒に持ち歩く必要もある。
このように従来の方法は多くの問題を有している。とりわけ小規模の貯水施設については、前述のように極めて効率が悪く、結局のところ工事費用が割高になってしまう。また手配がやり難く、工期の設定ができないような場合も起こり得る。
そこでこれら問題を解決すべく、特許文献1や特許文献2に開示された方法が提案されている。
また、特許文献2に開示されているものは、特許文献1同様に、予め工場内で、シートの必要個所を溶着すると共に、少なくとも1箇所には防水性ファスナーを取付けておくものである。
そのため、樹脂袋14が大きくて、運搬の際畳み込んで運ぶ必要がある場合には、4つある隅部が厚く、すなわち、図12に示すようにシートが3重に重なっていて厚く、しかもこの部分には溶着部が2箇所隣接して存在するため、極めて畳み難い。また畳んだ後もこの上に更に畳んだ樹脂袋を重ねたり、他のものを載せたりすると、四つの隅部に他の部分より力が負荷し易い、という問題がある。その結果、最悪の場合、溶着部分が破損する、という問題が起こる可能性もある。
また、溶着部17の一端では底面15と側面16、16とが互いに直角になっていて平面状にして溶着作業を行うことができない。そのため、立体状態で溶着作業を行わなければならないが、平面状態での溶着と異なり溶着作業を行い難く、それ故に作業に時間が掛かる、という問題もある。
さらには、溶着箇所が溶着部17、18と四隅各々2箇所ずつ存在するため、溶着作業に時間が掛かる、という問題もある。
また、防水性ファスナーを用いずにシート同士を直接溶着することも可能であるが、この場合でも、シートを立体形状にした状態で溶着作業を行わねばならない。その結果、溶着の開始点または終点のいずれかに相当する樹脂袋の底面端部の溶着が難しく、水漏れ等の原因になる可能性が高い。
さらに請求項3記載の前記雨水等の貯水施設用の樹脂袋のように、請求項1または請求項2いずれかに記載の雨水等の貯水施設用の樹脂袋において、少なくとも前記上辺四隅及び下辺四隅にこの樹脂袋を直方体形状または立方体形状に保持するための支持体を固定する支持体固定部を有していることも特徴にしている。
図1で、符号22は底面を、符号23、23は対向する1組の側面を、そして符号24、24は他方の対向する側面をそれぞれ示している。そして後述する樹脂袋20の製造方法で説明するように、この樹脂袋20の特徴は、一対の対向する側面、例えば、側面23、23において、この側面23の上辺両端隅部sからの長さがこの側面23の高さhに等しい上辺上の位置qと、この上辺両端隅部sに対応する下辺両端隅部pとを各々結ぶ直線状の溶着部26をそれぞれ2箇所ずつ有している点にある。
このような形状の樹脂袋20を、本発明の方法で製造する手順を以下に説明する。
次に、このシート30の両端を、側面23の高さ(樹脂袋20の深さ)hに相当する長さ分、互いに同一面上で向かい合うように、かつシート30の幅方向を揃えて折る。具体的には、図1の点線で示す位置で、各々矢印が示す方向にシート30を折る。
続いて、各p点から折ったシート30のそれぞれの先端隅部qに向かって、折り重なっている下方のシートと上方のシートとを溶着機を用いて直線状に溶着して溶着部26を形成する。図3では、この溶着部26形成前の直線状の溶着個所25を一点鎖線で示している。溶着を行う際には、必要なら、p点とq点をそれぞれ筆記用具等で結び、溶着個所25を見易くした後、これも必要なら金属製のガイドを溶着個所25に並行に添わせた状態で溶着を行えば、より確実に、かつより直線状にきれいに溶着を行うことができる。
ところで、p点、q点を結ぶ線は、図3に示すように隣接する辺に対して45°の角度を有している。因みに、45°でないと、シート30の必要箇所をすべて溶着後、袋状にしたとき、隣接する側面23と側面24の高さが一致しないから、45°に形成する必要がある。
4個所すべての溶着作業が完了したら、図4に示すように、溶着部26の外側の不要部分27を溶着部26に略並行に、挟み等の切断具で切断する。もちろん、不要部分27の切断除去は、雨水等の貯水施設の工事現場で切断してもよいし、邪魔でなければ切断しないで樹脂袋20に残したままにしておいてもよい。尚、図4の辺20a、20aを掴んでで広げれば容易に袋状にすることができる。
このように、シート全体を平面状に保持したまま、溶着作業を進めることができるため、溶着姿勢が楽で、かつ安定するため、溶着作業が極めてやり易く、それ故、短時間に水漏れ等異常個所のない溶着部26を、極めて高い品質レベルで作り出すことができる。また、溶着作業がやり易いことから、従来ほど熟練した作業者を必要としない利点もある。
また、例えば、図4に示すように樹脂袋20を溶着した状態のまま、すなわち、平面状にしたままで運ぶ場合も、あるいは適当な大きさに畳んだり、ロール状に巻いたりして運搬する場合にも、溶着部26が少ないため、より嵩張り難く、運搬作業が容易になる。
ところで、図2に示すシート30に、図6で点線にて示すように、最終的に袋状にする際の折り目を最初に入れておくと、図4のように不要部分27を切り落とした後、図1に示すように袋状にする際、作業が容易になる。
このようにしておけば、この樹脂袋20内に空間保持骨格ブロック5を上下縦横に積むブロック組立作業時、各吊具固定部28にロープを結び、樹脂袋20の側面23、23、24及び24を上方に引っ張って吊るしておくことができる。その結果、作業中樹脂袋20を袋形状に維持し易くなるため、樹脂袋20内での作業がやり易くなり好ましい。
尚、図7では、図を簡単にするため、吊具固定部28を各上辺中央部に1箇所ずつしか取付けていないが、樹脂袋20が大型で、辺の長さが長い場合には、その長さに応じて吊具固定部27を必要数装着すればよい。
具体的には、金属棒やプラスチック棒等の支持体29を装着、固定できるリングとか、結んで固定できる紐等で支持体固定部31を形成しておけばよい。また一点鎖線で示すような形状をした支持体29を用いることもできる。また、垂直方向だけでなく水平方向にも支持体29を差し渡すための支持体固定部31を各隅に設けておいてもよい。
このようにすれば、樹脂袋20内で空間保持骨格ブロック5を組み立てる際、樹脂袋20が袋の形状を保持できるため作業が容易になり、好ましい。
尚、言うまでもないが、一般的には、雨水等の貯水施設が貯水を目的とする場合には遮水性のシートを、また豪雨のとき水害を防ぐべく雨水等を一時的に貯水するような場合には透水性のシートが使われる。それ故、貯水施設の用途、目的に応じて樹脂袋20のシートを透水性のものにするか遮水性のものするか適宜選択する。
このようにして樹脂袋20を雨水等の貯水施設の工事現場に運んだら、樹脂袋20の大きさや工事現場の条件に応じて、例えば、図7、図8に示すような方法で、掘穴2内に樹脂袋20を設置し、その内部に空間保持骨格ブロック5を組み上げて貯水空間3を形成する。
加えて、工場内での製造のため、防水性のチェックを行うための試験装置の設置も容易で、必要なら、各樹脂袋の防水試験も簡単に行うことができる。また、従来と異なり溶着作業が容易になった分、あえて溶着作業に熟練した作業者を用意する必要もない。さらにまた、雨水等の貯水施設の建設に際しても、樹脂袋の運搬も容易になり、加えて、従来ほど天候や、熟練溶着作業者の手配に縛られることも少なくなり、建設工事がやり易くなる利点もある。
2 掘穴
3 貯水空間
4 内張層
5 空間保持骨格ブロック
20 樹脂袋
21 開口部
22 底面
23、24 側面
25 溶着個所
26 溶着部
28 吊具固定部
29 支持体
30 シート
31 支持体固定部
Claims (8)
- 透水性または遮水性のシートからなり、その上面が開口している直方体形状または立方体形状の雨水等の貯水施設用の樹脂袋であって、該雨水等の貯水施設用の樹脂袋は、一対の対向する側面において、側面の上辺両端隅部からの長さがこの側面の高さに等しい上辺上の位置と、この上辺両端隅部に対応する下辺両端隅部とを各々結ぶ直線状の溶着部をそれぞれ2箇所ずつ有していることを特徴とする雨水等の貯水施設用の樹脂袋。
- 前記雨水等の貯水施設用の樹脂袋は、各側面の上辺に少なくとも1箇所ずつ吊具固定部を有していることを特徴とする請求項1記載の雨水等の貯水施設用の樹脂袋。
- 前記雨水等の貯水施設用の樹脂袋は、少なくとも前記上辺四隅及び下辺四隅にこの樹脂袋を直方体形状または立方体形状に保持するための支持体を固定する支持体固定部を有していることを特徴とする請求項1または請求項2いずれかに記載の雨水等の貯水施設用の樹脂袋。
- 長さが前記雨水等の貯水施設用の樹脂袋の任意の側面の長さにその側面の高さの2倍を加えたものであり、幅が前記任意の側面に隣接する側面の長さにその側面の高さの2倍を加えたものである長方形または正方形の透水性または遮水性のシートの両端を前記側面の高さに相当する長さ分互いに同一面上で向かい合うように、かつシートの幅方向を揃えて折り返し、しかる後、折り返した前記シートの折り返し辺上の両端から各々側面の高さに相当する長さに等しい位置から折り返したシートの先端隅部に向かって、重なっている下方のシートと上方のシートとを直線状に溶着して溶着部を形成することを特徴とする雨水等の貯水施設用の樹脂袋の製造方法。
- 前記溶着部の外側を溶着部に略並行に切断することを特徴とする請求項4記載の雨水等の貯水施設用の樹脂袋の製造方法。
- 前記請求項4または請求項5いずれかに記載の方法で製造した雨水等の貯水施設用の樹脂袋を平面状のままで、または折り畳んだ状態で、あるいはまたロール巻きにした状態のいずれかの状態で雨水等の貯水施設の工事現場に運搬し、該雨水等の貯水施設用に地面を掘って形成した掘穴内に前記雨水等の貯水施設用の樹脂袋の開口部を上にしてかつ開口した状態で設置し、しかる後この樹脂袋内に空間保持骨格ブロックで貯水空間を形成することを特徴とする雨水等の貯水施設の形成方法。
- 前記掘穴内に設置した請求項2記載の樹脂袋が有している前記吊具固定部に吊具を固定し、前記吊具で樹脂袋の上辺四辺を上方に吊った状態で、この樹脂袋内に空間保持骨格ブロックで貯水空間を形成することを特徴とする請求項6記載の雨水等の貯水施設の形成方法。
- 前記掘穴内に設置した請求項3記載の樹脂袋が有している前記支持体固定部に支持体を固定し、前記支持体で支持して樹脂袋を立てた状態で、この樹脂袋内に空間保持骨格ブロックで貯水空間を形成することを特徴とする請求項6または請求項7いずれかに記載の雨水等の貯水施設の形成方法。
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