JP2008080394A - 鋼材とアルミニウム材との異材接合体とその接合方法 - Google Patents

鋼材とアルミニウム材との異材接合体とその接合方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鋼材とアルミニウム材とをスポット溶接にて接合する際の接合強度を高めるとともに接触腐食を抑制できる異材接合体及びそのスポット溶接方法を提供することを目的とする。
【解決手段】特定板厚の鋼材1とアルミニウム材2とをスポット溶接にて接合した異材接合体3であって、これら接合される鋼材1 とアルミニウム材2 との互いの接合面間に、特定のZnまたはAlの金属皮膜と有機樹脂接着剤の皮膜との抑制層4 が予め設けられた状態でスポット溶接されており、スポット溶接後の溶接部における最適な厚さの界面反応層の厚さが特定の範囲に制御されて高い接合強度を得るとともに、スポット接合部以外の界面領域に存在する抑制層4 によって高い耐食性を得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車、鉄道車両などの輸送分野、機械部品、建築構造物等における鉄系材料とアルミニウム系材料との異種金属部材同士の異材接合体と、その接合方法に関するものである。
スポット溶接は、一般には同種の金属部材同士を接合するが、例えば鉄系材料(以下、単に鋼材と言う)とアルミニウム系材料(純アルミニウムおよびアルミニウム合金を総称したもので、以下、単にアルミニウム材と言う)という異種の金属部材の接合( 異材接合体) に適用することができれば、軽量化等に著しく寄与することができる。
しかし、鋼材とアルミニウム材とを接合する場合、接合部に脆い金属間化合物が生成しやすいために信頼性のある高強度を有する接合部( 接合強度) を得ることは非常に困難であった。したがって、従来では、これら異種接合体(異種金属部材)の接合にはボルトやリベット等による接合がなされているが、接合継手の信頼性、気密性、コスト等の問題がある。
そこで、従来より、これら異種接合体のスポット溶接法について多くの検討がなされてきている。例えば、アルミニウム材と鋼材の間に、アルミニウム−鋼クラッド材をインサートする方法が提案されている(特許文献1、2参照)。また、鋼材側に融点の低い金属をめっきしたり、インサートしたりする方法が提案されている(特許文献3、4、5参照)。更に、アルミニウム材と鋼材の間に絶縁体粒子を挟む方法(特許文献6参照)や、部材に予め凹凸を付ける方法(特許文献7参照)なども提案されている。
しかしながら、これらいずれの方法も、単なるスポット溶接ではなく、多層でのスポット溶接やめっきや加工など別の工程が必要であり、現状の溶接ラインに新たな設備を組み入れなければならない問題があり、溶接コストも高くなる。また、これらいずれの方法も、溶接条件が著しく限定されるなど作業上の問題も多い。
それらとは別の手法でめっきなどの皮膜を鋼に施す方法として、特許文献8〜11などが提案されている。これらは、鋼またはアルミニウム材に予めめっきを施しておけば、直接溶接が可能であるため、汎用性が高く、また低融点である膜を鋼−アルミ材料間に形成することにより、界面反応層の低減や界面の凹凸形成をさせることを目的としており、それぞれ鋼とアルミ材料との直接接合よりも高い強度を得たとある。また、めっきの種類によっては、鋼とアルミニウム材との間で生じる異種金属接触腐食を抑制することができる。特許文献8ではMgを、特許文献9ではアルミ材より低融点の膜を、特許文献10では鋼より低融点の膜を、特許文献11ではアルミ材の融点より300℃低い温度以上であってかつアルミ材の融点よりも低い温度が融点となる膜を形成している。
しかしながら、特許文献8では、母材破断とは言え、80kgfと強度が不十分である。また特許文献9では十分なせん断引張強度が得られているが、ナゲットが形成していない。これら微視的な結合によるアンカー効果のみでは、せん断引張強度は確保できても、十字引張強度(剥離強度)が保持できず、用途はせん断引張しか生じない特殊なものに限定される。
特許文献10では、更に抵抗体をインサートする必要があるため、上記した現状の溶接ラインに新たな設備を組み入れなければならない問題があり、コストも高い。特許文献11では、十字引張強度にて母材破断が得られているが、界面反応層が形成しないことが高強度となる作用として記載されている。確かに、鋼とアルミの金属間化合物である界面反応層は脆弱ではあるが、発明者らの知見では、特許文献10のように界面反応層が全く無くては、相互拡散による密着層が無いため、接合強度としては低くなる。このため、特許文献9と同じく、微視的な結合のみでは、十分な十字引張強度が保持できず、更なる高強度接合体の要望には応えられない。
そこで、発明者らは、特許文献12〜15にて、めっき皮膜の厚さや融点、さらにナゲット径、界面反応層厚さを制御することにより、0.9kN/spot以上の剥離強度を得ることができる技術を提案した。
特開平6−63763号公報 特開平7−178563号公報 特開平4−251676号公報 特開平7−24581号公報 特開平4−14383号公報 特開平5−228643号公報 特開平9−174249号公報 特開平4−143083号公報 特開平4−251676号公報 特開平7−24581号公報 特開平7−178565号公報 特開2005−305504号公報 特開2005−152958号公報 特開2005−152959号公報 特開2006−167801号公報
しかしながら、特許文献12〜15にても、更に接合強度を高めるには限界がある。また、鋼とアルミニウム材との異種金属間では、特に、電食と呼ばれる接触腐食が発生しやすく、鋼材とアルミニウム材とをスポット溶接にて接合した異材接合体であっても例外ではない。
このため、鋼材とアルミニウム材とをスポット溶接にて接合した異材接合体を、自動車部材などとしての実用化するためには、接触腐食を抑制する必要がある。異材接合体の接触腐食を抑制するためには、有機樹脂皮膜などにより、鋼材とアルミニウム材とを絶縁することが有効ではある。しかし、鋼材とアルミニウム材とを絶縁した場合には、これら両者間の通電により溶接する、スポット溶接自体が困難となる問題が生じる。
したがって、鋼材とアルミニウム材とをスポット溶接にて接合した異材接合体の接合強度を高めるとともに接触腐食を抑制できるような有効な手段は、これまで提案されてこなかったのが実情である。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、鋼材とアルミニウム材とをスポット溶接にて接合する際の接合強度を高めるとともに接触腐食を抑制できる異材接合体及びそのスポット溶接法を提供するものである。
上記目的を達成するための、本発明における鋼材とアルミニウム材との異材接合体の要旨は、板厚t1が0.3 〜3.0mm である鋼材と、板厚t2が0.5 〜4.0mm であるアルミニウム材とをスポット溶接にて接合した異材接合体であって、これら接合される鋼材とアルミニウム材との互いの接合面間に、融点が350 〜1000℃、平均厚みが3 〜19μm のZnまたはAlの金属皮膜と、有機樹脂接着剤の皮膜とが予め設けられた状態でスポット溶接されており、スポット溶接後の溶接部における界面反応層の厚さが0.5 〜5μm の範囲である部分の面積が10×t2 0.5 mm2 以上であることとする。
ここで、異材接合体の接合強度を高めるためには、前記界面反応層の厚さが0.5 〜5μm の範囲である部分の面積は50×t2 0.5 mm2 以上であることが好ましい。
また、同様に、異材接合体の接合強度を高めるためには、前記Zn皮膜が、鋼材側の表面に施された88質量% 以上のZnを含むめっき皮膜であることが好ましい。
上記目的を達成するための、本発明における鋼材とアルミニウム材との異材接合体のスポット溶接方法の要旨は、 板厚t1が0.3 〜3.0mm である鋼材と、板厚t2が0.5 〜4.0mm であるアルミニウム材との異材接合体のスポット溶接方法であって、これら接合される鋼材とアルミニウム材との互いの接合面間に、融点が350 〜1000℃、平均厚みが3 〜19μm のZnまたはAlの金属皮膜と、有機樹脂接着剤の皮膜とを予め設けた状態でスポット溶接するとともに、このスポット溶接において、アルミニウム材側の電極チップの先端径を7mm φ以上として、電極チップによる加圧力を、先端曲率半径Rmm と加圧力WkN との関係が(R ×W )1/3 /R >0.05となるように印加し、かつ15×t2 0.5 〜30×t2 0.5kA の電流を100 ×t2 0.5 〜1000×t2 0.5msec 流す工程を有するとともに、この工程より高い電流を流す工程が存在しない電流パターンにてスポット溶接することである。
ここで、異材接合体の接合強度を高めるためには、前記界面反応層の厚さが0.5 〜5μm の範囲である部分の面積は50×t2 0.5 mm2 以上であることが好ましい。
また、同様に、異材接合体の接合強度を高めるためには、前記15×t2 0.5 〜30×t2 0.5kA の電流を100 ×t2 0.5 〜1000×t2 0.5msec 流す工程よりも後の工程で、1 ×t2 0.5 〜10×t2 0.5kA の電流を100 ×t2 0.5 〜1000×t2 0.5msec 流す工程を存在させた電流パターンにてスポット溶接することが好ましい。
鋼材同士やアルミニウム材同士など、同種の材料同士を、高い接合強度にてスポット溶接するには、一般的に、ナゲットの形成を促進すればよく、ナゲット面積が大きいほど剪断強度および十字引張強度ともに高くなることが知られている。
また、ナゲット面積(径)は入熱量と関係があり、電流量が高いほど、時間が長いほど大きくなるため、一般には、スポット溶接の際の入熱量にてナゲット径を制御することによって接合強度の高い接合体を得る。もちろんナゲット面積が大きくなりすぎると、被溶接材料の表面まで溶融が達してチリができるため、適正なナゲット面積を得ることが重要となる。
しかしながら、鋼材とアルミニウム材との異材同士を接合する場合、鋼材はアルミニウム材と比較して、融点、電気抵抗が高く、熱伝導率が小さいため、鋼側の発熱が大きくなり、まず低融点のアルミニウムが溶融する。次に鋼材の表面が溶融し、結果として界面にて、Al-Fe 系の脆い金属間化合物層が形成するため、高い接合強度は得られない。また、アルミニウム材料表面まで溶融が達してチリができると、アルミニウム材の減肉量が増大し、高い接合強度が得られない。
すなわち、鋼材とアルミニウム材との異材をスポット溶接にて接合する場合、高い接合強度を得るためには、ある程度のナゲット径を形成する高い入熱量を加えることは必要である。しかし、本発明の知見によれば、より高い接合強度を得るためには、ナゲット径の制御よりも、むしろ界面反応層の形成面積や厚さ分布を制御することが必要である。
そのためには、鋼とアルミニウム材との間に界面反応層が形成する時間を抑制制御することが重要であること、この界面反応層形成時間を抑制制御のためには、予め材料に抑制層を形成することが重要であることを本発明では見出した。
本発明では、この抑制層として、単なる界面反応層形成時間の抑制制御のためだけではなく、異種金属接触腐食を抑制できる抑制層を選択したことを特徴とする。そして、本発明では、このような抑制層として、これら接合される鋼材とアルミニウム材との互いの接合面間に、特定範囲のZnまたはAlの金属皮膜と、有機樹脂接着剤の皮膜との二つを予め設けることを特徴とする。
界面反応層形成時間の抑制を制御して、高い接合強度を得るためには、溶融したアルミニウムと接触して、鋼材との中間層となるよう、アルミニウム材と融点が近い金属皮膜が必要となる。この点、本発明における、特定範囲のZnまたはAlの金属皮膜は、アルミニウム材と融点が近く、スポット溶接時における界面反応層形成時間を抑制制御して高い接合強度を得る機能を有する。
また、異種金属接触腐食を抑制するためには、抑制層は、スポット溶接後に、鋼材とアルミニウム材との間に、広範にあるいは全面的に介在して、電気的な絶縁層となる必要性がある。しかし一方で、スポット溶接を可能とし、スポット溶接部の高い接合強度を得るためには、この抑制層は、スポット溶接時には、鋼材とアルミニウム材とを電気的に導通させる必要がある。この点、有機樹脂接着剤の皮膜は、電気的な絶縁層として、スポット溶接時には界面反応層形成時間を抑制制御し、更に、スポット溶接後は異種金属接触腐食を抑制する機能を有する。
有機樹脂接着剤の皮膜を、例えば熱硬化性樹脂などとし、スポット溶接時に応力(加圧力)を加えた場合に、鋼材とアルミニウム材との溶接部分から、周囲の部分に、排出あるいは除去されやすくすると、鋼材とアルミニウム材とを電気的に導通させることができる。
そして、スポット溶接後は、この有機樹脂接着剤皮膜は、除去されたスポット溶接部のみを除いて、鋼材とアルミニウム材との間に、広範にあるいは全面的に介在して、電気的な絶縁層となり、異材接合体の異種金属接触腐食を抑制する。
勿論、各抑制層がこのような機能を発揮するためには、後述する通り、金属皮膜と有機樹脂接着剤の皮膜とには、最適の組成や、皮膜厚みの範囲などの条件があり、スポット溶接には、加圧力や電流パターンなどの最適条件がある。
ここで、通常、鋼材同士などの同種金属同士の溶接において、鋼材間に接着剤を介在させた上で、鋼材同士を溶接するウエルドボンド方式は公知である。しかし、鋼材とアルミニウム材とのスポット溶接による異材接合の場合、高い接合強度を得るためには、前記した通り、同種金属同士の溶接に比して、高い入熱量を加える必要がある。この点、鋼材とアルミニウム材とのスポット溶接による異材接合に対して、接着剤を介在させることは、界面反応層形成制御に弊害をもたらすことが当然予測される。また、スポット溶接自体を阻害することも予測される。
実際に、裸の(表面処理されていない)鋼材とアルミニウム材とのスポット溶接による異材接合の場合には、接着剤を介在させた場合には、スポット溶接自体や界面反応層形成制御が困難となって、高い接合強度を得ることができない。
これに対して、接合される鋼材とアルミニウム材との互いの接合面間に、抑制層としてもうひとつ、ZnまたはAlの金属皮膜を予め設けた場合には、有機樹脂接着剤の皮膜があっても、スポット溶接自体や界面反応層形成制御が困難とならずに、有機樹脂接着剤の皮膜の上機能を発揮させる。
これは、ZnまたはAlの金属皮膜の存在(介在)によって、スポット溶接時の抵抗発熱量が増し、鋼材とアルミニウム材との界面温度、特に鋼材の温度が、アルミニウムの溶融温度を越えて著しく高くなるためと推考される。また、スポット溶接時の抵抗発熱量が増すと、アルミニウムの鋼との界面での拡散速度が著しく速くなり、鋼側にアルミニウムが拡散して、良好な接合状態がいち早く確保されると推考される。
以上のように、本発明は、スポット溶接による異材接合の際に、接合される鋼材とアルミニウム材との互いの接合面間に、ZnまたはAlの金属皮膜と、有機樹脂接着剤の皮膜との二つを予め設けることを特徴とする。
これによって、従来の常識に反して、鋼とアルミニウム材との間の界面反応層が形成する時間を抑制制御し、異材接合体の接合強度を向上させる。また、スポット溶接条件については、これに見合った電流パターンの溶接として、接合強度の向上を保証する。この結果、鋼材とアルミニウム材との異種接合体において、前記従来技術のような、他の材料を新たに用いることなく、また、新たな別工程を必要とすることなく、接合強度の高い、スポット溶接による異材接合体を得る効果を有する。そして、スポット溶接後には、異種金属接触腐食を抑制した異材接合体を得る効果を有する。
以下に、本発明の各要件の限定理由と、その作用について説明する。
(異種接合体)
図1に本発明で規定する異種接合体を断面図で示す。図1において、3が鋼材( 鋼板) 1とアルミニウム材( アルミニウム合金板) 2とをスポット溶接にて接合した異材接合体である。5はスポット溶接における界面反応層6を有するナゲットで、図中に水平方向に矢印で示すナゲット径を有する。9 はナゲット周囲のコロナボンド部である。t1は鋼材の板厚、t2はアルミニウム材2の板厚、Δt はスポット溶接による接合後のアルミニウム材の最小残存板厚を示す。
ここにおいて、4は抑制層で、これら接合される鋼材1 とアルミニウム材2 との互いの接合面間に予め設けられた、ZnまたはAlの金属皮膜と有機樹脂接着剤の皮膜との積層体である。図1 ではZnまたはAlの金属皮膜と有機樹脂接着剤の皮膜とを各々区分けせずに一体に示しているが、鋼材1 の接合側表面にZnめっきを施し、その上に有機樹脂接着剤を塗布して、抑制層4 としている態様を示す。
そして、図1は、スポット溶接後の異種接合体の接合部では、スポット溶接前に予め設けられていた、ZnまたはAlの金属皮膜と有機樹脂接着剤の皮膜との積層体である抑制層4 が除去され、鋼材1 とアルミニウム材2 とが直接接合している、異種接合体の良好な接合状態を示している。更に、図1では、異種接合体の接合部以外の界面領域には、予め形成した、これら抑制層4 が、そのまま存在していることを示している。
(鋼材の板厚)
本発明では、鋼材の板厚t1が0.3 〜3.0mm である接合体であることが必要である。鋼材の板厚t1が0.3mm 未満の場合、前記した構造部材や構造材料として必要な強度や剛性を確保できず不適正である。また、それに加えて、スポット溶接による加圧によって、鋼材の変形が大きく、酸化皮膜が容易に破壊されるため、アルミニウムとの反応が促進される。その結果、金属間化合物が形成しやすくなる。
一方、3.0mm を越える場合は、前記した構造部材や構造材料としては、他の接合手段が採用されるため、スポット溶接を行って接合する必要性が少ない。このため、鋼材の板厚t1を3.0mm を超えて厚くする必要性はない。
(鋼材)
本発明においては、使用する鋼材の形状や材料を特に限定するものではなく、構造部材に汎用される、あるいは構造部材用途から選択される、鋼板、鋼形材、鋼管などの適宜の形状、材料が使用可能である。ただ、自動車部材などの軽量な高強度構造部材(異材接合体)を得るためには、鋼材の引張強度が400MPa以上である通常の高張力鋼(ハイテン)であることが好ましい。
引張強度が400MPa未満の低強度鋼では一般に低合金鋼が多く、酸化皮膜が鉄酸化物からなるため、FeとAlの拡散が容易となり、脆い金属間化合物が形成しやすい。このためにも引張強度が400MPa以上、望ましくは500MPa以上の高張力鋼(ハイテン)であることが好ましい。
(アルミニウム材)
本発明で用いるアルミニウム材は、その合金の種類や形状を特に限定するものではなく、各構造用部材としての要求特性に応じて、汎用されている板材、形材、鍛造材、鋳造材などが適宜選択される。ただ、アルミニウム材の強度についても、上記鋼材の場合と同様に、スポット溶接時の加圧による変形を抑えるために高い方が望ましい。この点、アルミニウム合金の中でも強度が高く、この種構造用部材として汎用されている、A5000 系、A6000 系などの使用が最適である。
ただ、本発明で使用するこれらアルミニウム材の板厚t2は0.5 〜4.0mm の範囲とする。アルミニウム材の板厚t2が0.5mm 未満の場合、構造材料としての強度が不 足して不適切であるのに加え、ナゲット径が得られず、アルミニウム材料表面まで溶融が達しやすくチリができやすいため、高い接合強度が得られない。一方、アルミニウム材の板厚t2が4.0mm を越える場合は、前記した鋼材の板厚の場合と同様に、構造部材や構造材料としては他の接合手段が採用されるため、スポット溶接を行って接合する必要性が少ない。このため、アルミニウム材の板厚t2を4.0mm を超えて厚くする必要性はない。
(抑制層)
本発明では、より高い接合強度を得るために、スポット溶接における、鋼とアルミニウム材との間の界面反応層の形成面積や厚さ分布を制御する。そのために、本発明では、鋼とアルミニウム材との間に界面反応層が形成する時間を抑制制御する。そして、この界面反応層形成時間を抑制制御のために、鋼とアルミニウム材との間に (材料に) 予め抑制層を形成する。
本発明では、この抑制層として、界面反応層形成時間の抑制制御と異種金属接触腐食の抑制のために、これら接合される鋼材とアルミニウム材との互いの接合面間に、特定範囲のZnまたはAlの金属皮膜と、有機樹脂接着剤の皮膜との二つを予め設ける。このために、後述する通り、鋼材側あるいはアルミニウム材側のいずれかの接合面側に、金属皮膜と有機樹脂接着剤の皮膜とを積層して設ける。設ける (積層する) 順序はいずれでもよいが、金属皮膜を先に設けた方が、有機樹脂接着剤の皮膜を設けやすい。
(ZnまたはAlの金属皮膜)
抑制層のひとつとして、先ず特定範囲のZnまたはAlの金属皮膜について、以下に説明する。本発明では、接合される鋼材とアルミニウム材との互いの接合面間に、ZnまたはAlの金属皮膜を予め設けられた状態でスポット溶接するため、鋼材またはアルミニウム材の少なくとも接合面側の表面に、ZnまたはAlの金属皮膜を予め設ける。このZnまたはAlの金属皮膜は、後述する特定融点範囲の通り、接合するアルミニウム材と融点が近いために、スポット溶接時に、鋼とアルミの金属間化合物である界面反応層が形成する時間を制御し、界面反応層の厚さ範囲と分布を制御することができる。
裸の、あるいはZnまたはAlの金属皮膜が無いような、鋼材とアルミニウム材とを用いた、従来のスポット溶接では、スポット溶接時の抵抗発熱量が比較的少ない。このため、鋼材とアルミニウム材との界面温度、特に鋼材の温度が、アルミニウムの溶融温度を越えて著しく高くなることが無いために、高い接合強度を得ることができなかった。これに、ウエルドボンド方式として、接合界面に有機樹脂接着剤層を介在させた場合には、余計、スポット溶接自体や界面反応層形成制御が困難となって、高い接合強度を得ることができない。
これに対して、接合される鋼材とアルミニウム材との互いの接合面間に、抑制層として、ZnまたはAlの金属皮膜を予め設けた場合には、接合面間に有機樹脂接着剤の皮膜が介在していても、スポット溶接自体や界面反応層形成制御が困難とならずに、有機樹脂接着剤の皮膜の上機能を発揮させる。
これは、前記した通り、ZnまたはAlの金属皮膜の存在(介在)によって、スポット溶接時の抵抗発熱量が増し、鋼材とアルミニウム材との界面温度、特に鋼材の温度が、アルミニウムの溶融温度を越えて著しく高くなるためである。この抵抗発熱量の増加によって、有機樹脂接着剤の皮膜が、鋼材とアルミニウム材との溶接部分から、周囲の部分に、排出あるいは除去されやすくなって、鋼材とアルミニウム材とを電気的に導通させることができる。
また、前記した通り、ZnまたはAlの金属皮膜の存在(介在)によって、スポット溶接時の抵抗発熱量が増すと、アルミニウムの鋼との界面での拡散速度が著しく速くなり、鋼側にアルミニウムが拡散して、良好な接合状態がいち早く確保される。また、亜鉛めっき鋼板の場合には、融点の差により亜鉛めっき層が先行して溶融するが、その結果、界面における熱分布を均一化する効果もあると推考される。これらZnまたはAlの金属皮膜の複合効果により、有機樹脂接着剤の皮膜が介在しても、従来の常識に反して、スポット溶接性が向上するものと推考される。
これらの効果を発揮するために、ZnまたはAlの金属皮膜の融点は350 〜1000℃、好ましくは400 〜950 ℃の狭い温度範囲とする。また、更には、アルミニウム材の融点以上900 ℃以下のより狭い温度範囲とすることが好ましい。アルミニウム材の融点は660 ℃程度 (純Alの融点) 、純Znの融点は420 ℃程度であり、前記した、接合するアルミニウム材と融点が近いとは、例えば、純Alの融点660 ℃に対して、上記ある程度の幅を持つことを許容する、という意味である。
また、ZnまたはAlの金属皮膜の厚みは、3 〜19μm の膜厚 (平均膜厚) 、更に好ましくは5 〜15μm の狭い膜厚範囲とする。ZnまたはAlの金属皮膜の厚みは、これら皮膜形成後の鋼材あるいはアルミニウム材の試料を切断し、樹脂に埋め込み、研磨をし、金属皮膜の板厚方向のSEM 観察を行う。このSEM 観察は2000倍の視野にて3点厚さを測定し、金属皮膜の厚みは、これらを平均化して求める。
ZnまたはAlの金属皮膜の厚みが薄すぎる、あるいは、その融点が低すぎる場合は、ZnまたはAlの金属皮膜が、スポット溶接時の接合初期に、接合部から溶融排出してしまい、界面反応層の形成を抑制できない。
一方、異材接合体の接合強度を上げるためには、接合される鋼材とアルミニウム材とが、互いの接合面同士で直接接触する必要があり、スポット溶接時には、接合部に予め介在しているZnまたはAlの金属皮膜が、接合部から溶融排出する必要がある。これに対して、ZnまたはAlの金属皮膜の厚みが厚すぎる、あるいは融点が高すぎる場合は、接合部からのZnまたはAlの金属皮膜の溶融排出のために、大きな入熱量が必要となる。この入熱量が大きくなると、アルミニウム材の溶融量が増加し、チリの発生によりアルミニウム材の減肉量が大きくなるため、異材接合体を構造部材として使用できなくなる。
ZnまたはAlの金属皮膜は、上記融点範囲から、純Znまたは純Al、Zn合金またはAl合金などの、使用合金組成が適宜選択できる。また、鋼材またはアルミニウム材の少なくとも接合面側の表面への金属皮膜の被覆乃至形成方法も、めっき、塗布などの汎用される公知の手段が適宜使用できる。なお、この鋼材またはアルミニウム材表面への被覆乃至形成は、少なくとも接合面側の表面とするが、勿論、防食などのために、接合面でない鋼材またはアルミニウム材表面側に、ZnまたはAlの金属皮膜を被覆乃至形成してもよい。
ただ、実用性や効率を考慮すると、ZnまたはAlの金属皮膜は、ZnまたはAlのめっきが汎用されている鋼材側にめっきとして被覆乃至形成することが好ましい。鋼材は通常、塗装を施して使用されるが、塗装に傷が入ってもZnやAlが優先腐食されるために、鋼材を保護することができる。さらに、鋼とアルミ材との電位差を小さくすることから、異種接合体での課題の一つである異種金属接触腐食をも抑制することができる。ZnまたはAlめっきとした場合には、鋼材の耐食性を確保し、また鋼にもアルミにも容易にめっきが可能である。
めっきを前提として、上記界面反応層形成抑制機能を発揮し、有機樹脂接着剤皮膜が介在しても溶接を可能ならしめる機能を発揮するためには、ZnまたはAlのめっき皮膜は、純Zn、純Alが好ましい。また、Zn合金あるいはAl合金とするにしても、ZnやAlを各々80質量% 以上含む、Al-Zn 、Al-Si 、Zn-Fe などの合金において、各々ZnやAlを主成分とすることが好ましい。ZnまたはAlのめっき皮膜を合金化する場合には、添加合金元素やその含有量によって、上記融点範囲から外れないよう、また耐食性が劣らないようにする。
これらのめっき皮膜の内でも、特に88質量% 以上のZnを含む、純Zn、あるいはZn合金めっき皮膜が推奨される。88質量% 以上のZnを含むZnめっき皮膜が鋼材表面に施されると、特に鋼材の耐食性が高くなり、また、このZnめっき皮膜は、融点を上記350 〜1000℃の範囲に制御しやすい。更に、耐食性も高く、異種金属接触腐食も抑制することができる。この異種金属接触腐食防止の観点から最も良いのは純Znめっき皮膜である。
めっき方法については、本発明では制限するものではないが、既存の湿式、乾式めっきを用いることが可能である。特に亜鉛めっきにおいては、電気めっきや溶融めっき、溶融めっき後合金化処理を行う方法などが推奨される。
(有機樹脂接着剤の皮膜)
次に、もうひとつの抑制層としての、有機樹脂接着剤の皮膜について、以下に説明する。
前記した通り、有機樹脂接着剤の皮膜は、電気的な絶縁層として、スポット溶接時には、界面反応層形成時間を抑制制御し、更に、スポット溶接後は、鋼材とアルミニウム材との間に、広範にあるいは全面的に介在して、異種金属接触腐食を抑制する機能を有する。
本発明では、鋼材とアルミニウム材の互いの接合面間(いずれかの接合面表面)に、有機樹脂接着剤の皮膜を塗布ないし形成後に、スポット接合を実施する。したがって、有機樹脂接着剤の皮膜は、スポット溶接時には、いわゆるウエルドボンドとして機能する。即ち、鋼−アルミニウム材の界面の接触抵抗を大きくし、界面の発熱量を広範囲に均一に高めることによって、広範囲に界面反応層を形成することができ、界面反応層の厚さを制御しやくする。
有機樹脂接着剤の種類や塗布厚さは、特に制限されず、通常、自動車の車体製作に汎用される、マスチック接着剤、ウエルボンド用接着剤、ヘミング用接着剤、スポットウエルド用シーリング剤などが、その種類や塗布厚さとともに適用できる。
有機樹脂接着剤の種類を例示する。接着剤が水溶液系であれば、ユリア系、フェノール系、PVAなどが適用できる。接着剤が溶液系であれば、CR系、ニトリルゴム系、酢酸ビニル、ニトリセルロースなどが適用できる。接着剤がエマルジョン系であれば、酢酸ビニル、アクリル、EVA系、CR系、SBR系、ニトリルゴム系、などが適用できる。接着剤が無溶剤系であれば、エポキシ、アクリレート、ポリエステル、などが適用できる。また、場合によっては、固型やテープなどの形状の有機樹脂接着剤を用いてもよい。
ウエルドボンドにおいては、鋼材とアルミニウム材とを電気的に導通させて、スポット接合を可能とし、接合強度を高めるために、スポット接合時に接着剤を外部に押し出して、接合部における接着剤の残存量を少なくする方が好ましい。ただし、接合部における接着剤の残存を完全に無くさずとも、接合部においてスポット接合を阻害しない程度に、例えば、接着剤が層をなさない程度に、接着剤が残留してもよい。
この点、エポキシ、アクリルなどの熱硬化性樹脂接着剤皮膜であれば、スポット溶接時に、鋼材とアルミニウム材とを挟持する両電極チップから応力(加圧力)を加えた場合に、軟質ゆえに、鋼材とアルミニウム材との溶接部分から、周囲の部分に、排出あるいは除去されやすい特性がある。熱硬化性樹脂接着剤を用いれば、この特性によって、スポット接合時に、鋼材とアルミニウム材とを電気的に導通させることができる。
また、熱可塑性樹脂接着剤皮膜であっても、スポット溶接時に加熱されれば、軟質ゆえに、鋼材とアルミニウム材との溶接部分から、その周囲の部分に、排出あるいは除去されやすい特性となる。更に、このように、加熱や加圧によっても、鋼材とアルミニウム材との溶接部分から、周囲の部分に、排出あるいは除去されないとしても、スポット溶接時の発熱によって飛散あるいは焼失すれば、鋼材とアルミニウム材とを電気的に導通させることができる。
スポット溶接後は、有機樹脂接着剤皮膜は、除去されたスポット溶接部のみを除いて、鋼材とアルミニウム材との間に、広範にあるいは全面的に介在して、電気的な絶縁層となり、異材接合体の異種金属接触腐食を抑制する。
なお、塗布する有機樹脂接着剤厚みは、スポット溶接性には実質的に影響しない。それは、溶接部の有機樹脂接着剤厚みは、有機樹脂接着剤の組成や種類にもより若干の違いはあるが、スポット溶接時の接触面圧に実質的に支配されるためである。したがって、後述のように、接触面圧の制御が重要である。塗布する有機樹脂接着剤厚みは、耐食性の面からピンホールが存在しにくい、0.1 μm 以上であればよく、接合時の圧力によって接着剤がはみ出ない程度に薄く塗布することが必要である。また、スポット接合後の最終的な接着剤厚みは、腐食抑制のために、接着剤の硬化後あるいは熱硬化後の目安で0.1 〜10μm 程度の厚みがあればよい。
これに対して、接合される鋼材とアルミニウム材との互いの接合面間に、抑制層としてもうひとつ、ZnまたはAlの金属皮膜を予め設けた場合には、有機樹脂接着剤の皮膜があっても、スポット溶接自体や界面反応層形成制御が困難とならずに、有機樹脂接着剤の皮膜の上機能を発揮させる。
これは、ZnまたはAlの金属皮膜の存在(介在)によって、スポット溶接時の抵抗発熱量が増し、鋼材とアルミニウム材との界面温度、特に鋼材の温度が、アルミニウムの溶融温度を越えて著しく高くなるためと推考される。この抵抗発熱量の増加によって、有機樹脂接着剤の皮膜が、鋼材とアルミニウム材との溶接部分から、周囲の部分に、排出あるいは除去されやすくなって、鋼材とアルミニウム材とを電気的に導通させることができる。
また、ZnまたはAlの金属皮膜の存在(介在)によって、スポット溶接時の抵抗発熱量が増すと、アルミニウムの鋼との界面での拡散速度が著しく速くなり、鋼側にアルミニウムが拡散して、良好な接合状態がいち早く確保されると推考される。また、亜鉛めっき鋼板の場合には、融点の差により亜鉛めっき層が先行して溶融するが、その結果、界面における熱分布を均一化する効果もあると推考される。これらZnまたはAlの金属皮膜の複合効果により、有機樹脂接着剤の皮膜が介在しても、従来の常識に反して、スポット溶接性が向上するものと推考される。
(界面反応層)
本発明では、異材接合体界面反応層の厚さが0.5 〜5 μm である部分の面積が、アルミニウム材の板厚t2との関係で、10×t2 0.5 mm2 以上であることとする。この最適厚さの界面反応層の面積規定は、界面反応層が薄い (無い) 程良いという従来の常識とは異なり、最適範囲に制御するものであり、指向する方向としてはむしろ積極的に存在させる方向でもある。そして、接合強度向上のために、最適厚さ範囲の界面反応層を大面積形成する、言い換えると広範囲に存在させるという技術思想に基づく。
したがって、この界面反応層の厚さが0.5 〜5 μm である部分の面積が、アルミニウム材の板厚t2との関係で、10×t2 0.5 mm2 未満、より厳しくは、50×t2 0.5 mm2 未満では、最適厚さ範囲の界面反応層が広範囲とならず、却って接合強度が低下する。界面反応層の厚さが0.5 μm 未満の部分では、鋼−アルミの拡散が不十分となり、接合強度が低くなる。逆に界面反応層の厚さが厚いほど脆弱となり、特に界面反応層の厚さが5 μm を超える部分では脆弱となり、接合強度が低くなる。このため、このような界面反応層の面積が大きくなるほど、接合部全体としての接合強度が低くなる。
よって、接合部全体としての接合強度を高めるためには、界面反応層の厚さが0.5 〜5 μm である部分の面積が、アルミニウム材の板厚t2との関係で、10×t2 0.5 mm2 以上、好ましくは50×t2 0.5 mm2 以上必要である。
なお、電極チップに一般的に用いられるドーム型のチップを用いた場合、中心部が最も厚い界面反応層となり、中心から離れるほど界面反応層の厚さが低減する。したがって、この中心部の界面反応層の厚さは5 μm を超えても構わない。この界面反応層の厚さは、鋼材−アルミニウム材が接合している界面の面積の、アルミニウム材側の、2000倍の画像解析やSEM 観察によって測定できる。
(スポット溶接)
異種接合体を得るためのスポット溶接方法の各要件を以下に説明する。図2に異種接合体を得るための、前提となるスポット溶接の一態様を例示する。本発明スポット溶接方法の基本的な態様は、通常のスポット溶接の態様と同じである。図2 において、1は鋼板、2はアルミニウム合金板、3は異種接合体、5はナゲット、7と8は電極である。
本発明スポット溶接方法では、前記した板厚t1の鋼材と板厚t2のアルミニウム材との異材接合体をスポット溶接により得るに際して、これら接合される鋼材とアルミニウム材との互いの接合面間に、ZnまたはAlの金属皮膜と有機樹脂接着剤の皮膜とを予め設けた状態でスポット溶接する。
この際、前記したように、鋼材−アルミニウム材の接合面側に、有機樹脂接着剤を塗布して、スポット接合を行い、その後、塗布した有機樹脂接着剤を硬化させることが、界面反応層の厚さ制御と異種金属接触腐食の抑制の両観点からは望ましい。
(加圧力)
このようなスポット溶接において、アルミニウム材2側の電極チップ8の先端径を7mm φ以上として、電極チップ7、8による加圧力を、先端曲率半径Rmm と加圧力WkN との関係が(R ×W )1/3 /R >0.05となるように印加する。この加圧力も大きい方がより接着剤を押し出せるため望ましいが、スポット溶接の能力限界からすると、現実的には10kNまでである。
点接触での接触面圧は(R ×W )1/3 /R にほぼ比例するが、接合部にかかる接触面圧が過小では接着剤の残存が大きく、界面反応層の成長を妨げるため、接着剤を外部に押し出すだけの接触面圧が必要となる。(R ×W )1/3 /R が0.05以下では、接着剤が層として残存し、界面反応層が成長しない。
また、このような比較的大きな加圧力を印加することで、電極チップなどの形状によらず、異種材料間、電極と材料間の電気的接触を安定化し、ナゲット内の溶融金属をナゲット周辺の未溶融部で支え、上記比較的大きなナゲット必要面積と、上記最適界面反応層の必要面積を得ることができる。また、チリの発生を抑制することができる。加圧力が小さすぎると、このような効果を得られない。
(電極チップ)
前記した最適範囲厚さの界面反応層を広範囲に形成するためには、特にアルミニウム材側については先端径は7mmφ以上で先端曲率半径R の大きいドーム型などのR型形状のチップとする。また、鋼材側も同様に曲率半径R の大きい方が望ましいが、スポット溶接の能力限界からすると、現実的にはR は250mm までである。
また、電極形状については規定するものではないが、電極が、通電初期の電流効率を上げるために望ましい。また、極性についても規定するものではないが、直流スポットを用いる場合は、アルミニウムを陽極とし、鋼を陰極とする方が望ましい。
(電流)
スポット溶接時の電流については、比較的大きなナゲット面積と、上記最適界面反応層の必要面積を得るためには、前記アルミニウム材の板厚t2との関係で、15×t2 0.5 〜30×t2 0.5 kAの電流を100 ×t2 0.5 〜1000×t2 0.5msec 流す工程を有し、この工程より高い電流の工程が存在しない電流パターンであることが必要である。
このような電流パターンとすることで、予め本発明の抑制層を形成した際に、大きな入熱量が得られ、前記した通り、鋼とアルミニウム材との接合面における界面反応層を制御して、高い接合強度を得ることが可能となる。また、異種材料間と、電極と材料間との電気的接触を安定化し、ナゲット内の溶融金属をナゲット周辺の未溶融部で支え、上記比較的大きなナゲット必要面積と、上記最適界面反応層の必要面積を得ることができる。また、チリの発生を抑制することができる。
電流パターンの上記工程において、15×t2 0.5 kA未満、または100 ×t2 0.5msec 未満では、表面処理層及びアルミニウム材の溶融が広範囲に行われず、最適範囲厚さの界面反応層の面積が小さい。一方、30×t20.5 kAを超える、あるいは1000×t20.5msec を超えては、界面反応層が厚く成長するため、最適範囲厚さの界面反応層の面積が小さくなる。
この電流範囲の工程は複数あっても良いが、それらの合計時間が上記100 ×t2 0.5 〜1000×t2 0.5msec の範囲であることが重要である。なお、同種金属接合では、入熱量が同一であれば近い接合構造が得られるが、鋼とアルミニウム材との接合では、例えば30×t2 0.5kA 超えで100×t2 0.5msec 未満の電流パターンや、15×t2 0.5 kA未満で1000×t2 0.5msec 超えの電流パターンでは、最適範囲厚さの界面反応層の面積が広範囲に得られない。この電流条件の前後の工程に、別の電流パターンを加えて、複数段階の電流パターンとしても良いが、界面反応層が厚く成長してしまうため、この工程より高い電流の工程が存在しないことが必要である。
更に、望ましい電流パターンとして、1 ×t2 0.5 〜10×t2 0.5kA の電流を100×t2 0.5 〜1000×t2 0.5msec 流す工程を加えて、ナゲットの割れを抑制することが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより、下記実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
鋼材として市販の590MPa級の高張力鋼板と、アルミニウム材として市販のA6061 (6000 系) アルミニウム合金板とを重ね合わせた上で、スポット溶接を行い、異材接合体を製作し、接合強度、耐食性を評価した。
(スポット溶接条件を変えたウエルドボンド材)
接合面側に溶融純Znめっきを平均厚み10μm で施した上記鋼板と上記アルミニウム板とを、接合面間にエポキシ系熱硬化型接着剤を塗布した上で重ね合わせたウエルドボンド材として、スポット溶接し、異材接合体を製作した結果を表1 、2 に示す。
表1 はアルミニウム板の板厚が1mm 、表 2はアルミニウム板の板厚が2mm の場合を示す。表1 、2 では、鋼板の接合面側のめっき条件や熱硬化型接着剤条件は一定とし、スポット溶接における、電極条件や電流条件を種々変えて異材接合体を製作している。また、表1 、2 の例は、各例とも共通して、エポキシ系熱硬化型接着剤を、厚みが0.5〜1 μm 程度(スポット接合時の圧力によって接着剤がはみ出ない程度)になるよう、刷毛にて均一に薄く塗布した。
(めっき条件や熱硬化型接着剤条件を変えたウエルドボンド材)
また、スポット溶接における電極条件や電流条件は一定とし、鋼板やアルミニウム合金板の接合面側のめっき条件や熱硬化型接着剤条件を種々変えた、鋼板とアルミニウム板とのウエルドボンド材で異材接合体を製作した結果も表3 に示す。表3で接着剤を塗布した場合の各例は、共通して、エポキシ系あるいはポリウレタン系の接着剤を、接合面間に、厚みが0.5〜1 μm 程度になるよう、刷毛にて均一に薄く塗布した。
(使用素材)
素材として、鋼板は板厚1mm で0.07質量%C-1.8質量%Mn を含む組成のもの、A6061 アルミニウム合金板は板厚1mm と2mm のものを各々準備し、これら鋼板、アルミニウム合金板とも、JIS A 3137記載の十字引張試験片形状に加工し、スポット溶接を行った。
(接着剤)
エポキシ系は、市販のエポキシ系熱硬化型構造用接着剤 (サンスター技研製ペンギン#1086) を使用した。ポリウレタン系は、市販のポリウレタン系熱硬化型構造用接着剤 (サンスター技研製ペンギンシール980)を使用した。
(めっき)
鋼材にめっきを施す場合は、共通して、10% 硫酸にて5 分の酸洗・活性化する前処理を行った後、各種めっきを行った。Zn電気めっきでは、硫酸亜鉛400g/l、硫酸アルミニウム30g/l、塩化ナトリウム15g/l、ホウ酸30g/lに硫酸を加えてpHを3とした浴にて20A/dm2 の電流を流すことにより、純Znめっきを10μm施した。これをZn-10%Ni合金めっきとする場合には、純Znめっきの亜鉛めっき浴に、硫酸ニッケル、塩化ニッケルを添加した浴にて10A/dm2 の電流を流すことにより、Zn-10%Niめっきを10μm施した。
溶融めっきは鋼材のみに行い、各種溶融金属を用いてAlめっき、Al-9質量%Si めっき、Znめっき、Zn-Feめっき(Fe量5、10、12、16% )をそれぞれ10μm施した。溶融Znめっきでは、温度、引き上げ温度を変化させることにより、膜厚を1、3、10、15、19、20μmに調整した。
また、比較例 (表3 の比較例3)としてのNiめっきは、ワット浴を用いて10A/dm2 の電流を流すことにより、10μm施した。
アルミニウム材にめっきを施す場合は、10% 硝酸にて30秒酸洗し、水酸化ナトリウム500g/l、酸化亜鉛100g/l、塩化第二鉄1g/l、ロッセル塩10g/l の処理液中にて30秒亜鉛置換処理を行った後、Zn、あるいはZn- 電気めっきを行った。また、その亜鉛めっき浴に硫酸ニッケル、塩化ニッケルを添加した浴にて10A/dm2 の電流を流すことにより、Zn-10%Niめっきを10μm施した。
(膜厚測定)
めっき皮膜の膜厚は、めっき後のサンプルを切断し、樹脂に埋め込み、研磨をし、スポット溶接前の状態の接合界面のSEM観察を行った。2000倍の視野にて3点厚さを測定し、平均して求めた。
(スポット溶接)
スポット溶接は、直流抵抗溶接試験機を用い、Cu-Cr 合金からなるドーム型の電極を用い、陽極をアルミニウム、陰極を鋼として接合した。表1、2 では、表1、2 に示す電極チップ条件[ 先端径、先端曲率半径R 、加圧力W と(R ×W )1/3 /R]、電流パターン [溶接工程1 と2 の溶接電流、溶接時間] にて溶接を行い、異材接合体の十字引張試験体を作製した。
この際、表1、2 の各発明例は、アルミニウム材側の電極チップの先端径を7mm φ以上として、電極チップによる加圧力を、先端曲率半径Rmm と加圧力WkN との関係が(R ×W )1/3 /R >0.05となるように印加し、かつ15×t2 0.5 〜30×t2 0.5kA の電流を100 ×t2 0.5 〜1000×t2 0.5msec 流す工程を有する電流パターンにてスポット溶接した。
また、表3 では、各例とも共通して、表1のN で示す発明例のスポット溶接条件を一定にして、溶接を行い、十字引張試験体を作製した。
これら各条件について、接合強度評価用に5体、接合界面評価用に3体、腐食試験用に3体作製した。本試験では、電極チップは鋼側、アルミニウム材側で同一形状のものを用いた。このうち、界面評価用のサンプルについては、スポット溶接後、180℃で30分の熱処理を行い、接着剤を完全に硬化した。
(界面反応層の厚さ測定)
界面反応層の厚さ測定は、スポット溶接後のサンプルを、溶接部の中央にて切断し、樹脂に埋め込み、研磨をし、SEM観察を行った。層の厚さが1μm以上の場合は2000倍の視野にて、1 μm 未満の場合は10000 倍の視野にて計測した。また、ここでの界面反応層とは、FeとAlを両方含む化合物層を指し、EDXにより、FeとAlがともに1wt%以上検出される層をいう。すなわち、FeとAlがともに1wt%以上検出されない層はめっき層や残留接着剤として界面反応層としなかった。
なお、本試験では、中心部が最も界面反応層が厚く、端部 (周縁部) ほど界面反応層が薄くなっていたため、10μm を超える厚さの界面反応層の径、0.5 μm 以上の厚さの界面反応層の径を求め、面積に換算した。測定は、3体の接合体について行い、直交した2方向のナゲット径を測定し、平均化した。
(接合強度評価)
強度の評価には、スポット接合の強度を測定するために、接着剤硬化前の状態で、各条件について5体の十字引張試験を実施し、平均化した。接合強度が1.5kN 以上または破断形態がアルミ母材破断であれば◎、接合強度が1.0 〜1.5kN であれば○、接合強度が0.5 〜1.0kN であれば△、接合強度が0.5kN 未満であれば×とした。ここで、接合強度が1.0 〜1.5kN(○) 以上なければ、自動車などの構造材用として使用できない。
(異種金属接触腐食製評価)
また、各種条件で接合した接合体について、アルカリ脱脂を行い、水洗後、日本ペイント社製のサーフファイン5N-10の0.1%水溶液を用いて30秒表面調整処理を行った。その後、亜鉛イオン1.0g/l、ニッケルイオン1.0g/l、マンガンイオン0.8g/l、リン酸イオン15.0g/l、硝酸イオン6.0g/l、亜硝酸イオン0.12g/l、トーナー値2.5pt、全酸度22pt、遊離酸度0.3〜0.5pt、50℃の浴にて、2分リン酸亜鉛処理を行った。その後、カチオン電着塗料(日本ペイント社製パワートップV50グレー)により塗装し、170℃25分焼き付けし、30μmの皮膜を形成した。
その後、複合腐食試験を行い異種金属接触腐食防止性の評価を行った。腐食試験は、A:塩水噴霧(35℃、5%NaCl)2hr 、B:乾燥(60℃、20-30%RH)4hr 、C:湿潤(50℃、95%RH 以上)2hr を1サイクルとする試験を90サイクル行なった。この試験後に、接合部を剥離させて観察し、耐食性(Al の最大腐食深さ) を評価した。
耐食性は3体の異材接合体のアルミニウム材の最大腐食深さを測定し、平均で0.01mm未満であれば◎、0.01〜0.02mmであれば○、0.02〜0.1mmであれば△、0.1mm以上であれば×とした。最大腐食深さが0.01〜0.02mm( ○) 未満でなければ、自動車などの構造材用として使用できない。
(表1、2の結果)
表1 、2 から分かる通り、好適な範囲でスポット接合された発明例I 〜P の異材接合体は、非常に高い耐食性が得られていることが分かる。これは接合面間に設けられた溶融亜鉛めっきと熱硬化型接着剤の効果である。但し、好適な範囲を外れてスポット接合された比較例A 〜H でも、発明例と同じく、接合面間に亜鉛めっきと熱硬化型接着剤が設けられており、同様に耐食性は高い。
一方、接合強度に関しては、好適なスポット接合条件範囲を外れ、電極チップの先端径が小さい、先端曲率半径との関係で加圧力が低い、などの比較例A 〜C では、高い接合強度が得られていない。また、電流条件も本発明の範囲を満たさない比較例D 〜H でも接合強度が低い。
比較例A 〜G は、溶接工程2 をしている比較例H を除き、溶接工程1 のみで、溶接工程2 をせずにスポット接合している。このうち、比較例A は電極チップの先端径が小さすぎる。比較例B 、比較例C は、先端曲率半径との関係で加圧力が低すぎる。
また、比較例D は溶接工程1 の溶接電流がアルミニウム材の板厚との関係で低すぎる。比較例E は溶接工程1 の溶接時間がアルミニウム材の板厚との関係で短かすぎる。比較例F は溶接工程1 の溶接電流がアルミニウム材の板厚との関係で高すぎる。比較例G は溶接工程1 の溶接時間がアルミニウム材の板厚との関係で長すぎる。比較例H は、15×t2 0.5 〜30×t2 0.5kA の電流を100 ×t2 0.5 〜1000×t2 0.5msec 流す溶接工程1 よりも、著しく高い電流を流す溶接工程2 が存在する。
即ち、発明例I 〜P は、スポット溶接において、アルミニウム材側の電極チップの先端径を7mm φ以上として、電極チップによる加圧力を、先端曲率半径Rmm と加圧力WkN との関係が(R ×W )1/3 /R >0.05となるように印加し、かつ15×t2 0.5 〜30×t2 0.5kA の電流を100 ×t2 0.5 〜1000×t2 0.5msec 流す、好ましい溶接条件を、溶接工程1 または2 として、スポット溶接している。また、これとともに、発明例I 〜P は、この溶接工程よりも高い電流を流す溶接工程が存在しない。このため、各発明例は最適厚さの界面反応層を制御できており、接合強度が高い。
これら発明例のうち、15×t2 0.5 〜30×t2 0.5kA の電流を100 ×t2 0.5 〜1000×t2 0.5msec 流す溶接工程よりも後の、溶接工程2 が、1 ×t2 0.5 〜10×t2 0.5kA の電流を100 ×t2 0.5 〜1000×t2 0.5msec 流す好ましい条件である発明例N 、O 、P は、最も接合強度が高い。これに対して、15×t2 0.5 〜30×t2 0.5kA の電流を100 ×t2 0.5 〜1000×t2 0.5msec 流す溶接工程の後に、溶接工程が無い電流パターンの発明例I 、K 、L 、M や、15×t2 0.5 〜30×t2 0.5kA の電流を100 ×t2 0.5 〜1000×t2 0.5msec 流す溶接工程よりも後の、溶接工程2 が、10×t2 0.5kA よりも大きな電流パターンである発明例J は、上記発明例N 、O 、P よりも接合強度が低い。
(表3の結果)
表3より分かる通り、樹脂接着剤が無い比較例1 、10、14は、耐食性が劣る。また、めっきが無い比較例2 、めっき条件 (融点) が範囲から外れる比較例3 、4 、5 は、十字引張試験結果に劣り、接合強度が低い。なお、この条件では、めっきが無く、接着剤がある比較例2 も、却って十字引張試験結果も劣る結果であった。めっき厚みが厚すぎる比較例21も、純亜鉛めっきでありながら、却って十字引張試験結果が劣る結果であった。
これに対して、樹脂接着剤を有し、めっき条件 (融点) が範囲内である発明例6 〜9 、11〜13、15、18、19、20、22は、最適厚さの界面反応層を制御できており、耐食性が優れ、接合強度が高い。この内、純亜鉛めっきを施した発明例6 〜7 、11、18、19、20、22は、最も接合強度が高い。この結果から、めっきを本発明の成分、融点、膜厚に制御することによって、最適厚さの界面反応層を制御でき、高い接合強度と耐食性が得られることが分かる。また、特に、純Znめっきの膜厚を好ましい5 〜15μm の範囲内として、ウエルドボンドとした場合には、非常に高い接合強度と耐食性が両立して得られることが分かる。
以上の実施例の結果から、異材接合体の接合強度を高めるとともに接触腐食を抑制できる本発明で規定する各要件の臨界的な意義が分かる。
Figure 2008080394
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本発明によれば、鋼材とアルミニウム材とをスポット溶接にて接合する際の接合強度を高めるとともに接触腐食を抑制できる異材接合体及びそのスポット溶接法を提供できる。このような異材接合体は、接合強度とともに耐食性を高めたために、自動車、鉄道車両などの輸送分野、機械部品、建築構造物等における各種構造部材として大変有用に適用できる。したがって、本発明は鋼材とアルミニウムとの異種接合体の用途を大きく拡大するものである。
本発明の異種接合体を示す断面図である。 異種接合体を得るためのスポット溶接の態様を示す説明図である。
符号の説明
1:鋼板、2:アルミニウム合金板、3:異種接合体、4:酸化皮膜、
5:ナゲット、6:界面反応層、7、8:電極

Claims (5)

  1. 板厚t1が0.3 〜3.0mm である鋼材と、板厚t2が0.5 〜4.0mm であるアルミニウム材とをスポット溶接にて接合した異材接合体であって、これら接合される鋼材とアルミニウム材との互いの接合面間に、融点が350 〜1000℃、平均厚みが3 〜19μm のZnまたはAlの金属皮膜と、有機樹脂接着剤の皮膜とが予め設けられた状態でスポット溶接されており、スポット溶接後の溶接部における界面反応層の厚さが0.5 〜5μm の範囲である部分の面積が10×t2 0.5 mm2 以上であることを特徴とする鋼材とアルミニウム材との異材接合体。
  2. 前記界面反応層の厚さが0.5 〜5μm の範囲である部分の面積が50×t2 0.5 mm2 以上である請求項1に記載の鋼材とアルミニウム材との異材接合体。
  3. 前記Zn皮膜が、鋼材側の表面に施された88質量% 以上のZnを含むめっき皮膜である請求項1または2に記載の鋼材とアルミニウム材との異材接合体。
  4. 板厚t1が0.3 〜3.0mm である鋼材と、板厚t2が0.5 〜4.0mm であるアルミニウム材との異材接合体のスポット溶接方法であって、これら接合される鋼材とアルミニウム材との互いの接合面間に、融点が350 〜1000℃、平均厚みが3 〜19μm のZnまたはAlの金属皮膜と、有機樹脂接着剤の皮膜とを予め設けた状態でスポット溶接するとともに、このスポット溶接において、アルミニウム材側の電極チップの先端径を7mm φ以上として、電極チップによる加圧力を、先端曲率半径Rmm と加圧力WkN との関係が(R ×W )1/3 /R >0.05となるように印加し、かつ15×t2 0.5 〜30×t2 0.5kA の電流を100 ×t2 0.5 〜1000×t2 0.5msec 流す工程を有するとともに、この工程より高い電流を流す工程が存在しない電流パターンにてスポット溶接することを特徴とする異材接合体のスポット溶接方法。
  5. 前記15×t2 0.5 〜30×t2 0.5kA の電流を100 ×t2 0.5 〜1000×t2 0.5msec 流す工程よりも後の工程で、1 ×t2 0.5 〜10×t2 0.5kA の電流を100 ×t2 0.5 〜1000×t2 0.5msec 流す工程を存在させた電流パターンにてスポット溶接する請求項4に記載の異材接合体のスポット溶接方法。
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