JP2008077451A - 座標情報パターンの読み取り方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ディスプレイ画面上の手書文字入力等に好適で、シート面上の座標情報が座標情報パターンとして印刷された座標入力シートから、専用ペン等でパターンを光学的に読み取る際のSN比を改善する。
【解決手段】 座標入力シート3に、基材2上にコレステリック構造を持つ座標情報パターン1を形成したものを用い、円偏光化された赤外線のみをパターン1で選択的に反射させ、且つその照明光と読取光の経路に円偏光フィルタ61、62を配置して読み取る。パターン1からの選択反射光8Rが右円偏光の場合、円偏光フィルタ61、62は各々右円偏光フィルタにすると、パターン1からの選択反射光8Rは右円偏光のままだが、非パターン部からの反射光8Lは鏡面反射で逆転し左円偏光となるので、円偏光フィルタ62で画像センサ5にパターン1からの右円偏光の選択反射光8Rのみが到達し、SN比が改善する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、好適には、ディスプレイの前面に配置して画面に手書きした文字などをコンピュータなどに入力するのに適用できる座標入力シートから、その座標情報パターンを読み取る方法に関する。
用紙やディスプレイ画面に対して、手書き文字などを入力可能な座標入力機器乃至は方法が各種知られている。これらは、感圧式、抵抗膜式、静電式、電磁誘導式、音響式、光センサ式などの各種方式により、専用の入力面に指や専用ペンなどを用いて、文字入力や入力面上に表示される各種情報を指示入力することができる。
また、最近では、特許文献1、特許文献2、特許文献3、等に開示の技術に基づいた座標入力方式も実用化されている。この方式は、専用シートと専用電子ペンを用い、該専用シートには、該シート面上での座標毎にその座標のみに対応したユニーク(一意)な座標情報が、該座標近傍の微小単位領域内に散在させた複数のドットに符号化して割り当てられており、該複数のドットからなる座標情報パターンを専用ペンで光学的に読み取ることで、任意の座標位置の座標情報が提供される方式である。当該方式は、書き込み面の各座標位置ごとにユニークな座標情報が予め与えられている為に、それ以前から存在している前記各種方式で見られたような、書き込み面やその周囲等に、感圧センサ、静電センサ、電磁誘導センサ、光センサなどを配置する必要が無い。従って、この方式は書き込み面やその周囲を簡素化でき、コンパクト化、軽量化、大面積化等の点でも優れた方式である。このため、用紙への文字入力と同時の手書き文字入力の用途以外に、小は携帯電話から大は大画面平面ディスプレイなどの用途に対して、それら画面上での文字入力や各種指示入力の座標入力方式としても期待できるものである。
また、パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)などのディスプレイ画面上で座標入力するには、ディスプレイの画像表示に支障を来たさないように、座標入力シートは透明であり且つ座標情報パターンも透明で不可視であることが好ましい。
例えば、特許文献2では、ホワイトボード面での書き込みを想定し、透明基材に、赤外線を反射し可視光では透明な特殊インキを印刷して座標情報パターンを設けた座標入力シートを提案している。
また、特許文献3では、樹脂シート製の透明基材に、赤外線を照射すると照射したものとは波長の異なる赤外線蛍光を反射する特殊蛍光インキで座標情報パターンを設けた座標入力シートを提案している。
特表平6−506080号公報 特開2001−243006号公報 特開2003−256137号公報
ところで、座標入力シートとして、基材が紙など光を散乱反射する不透明基材の上にカーボンなど光を吸収するパターンが印刷されている場合には問題視されてこなかったが、ディスプレイにも適用させる事を前提に、基材に樹脂シートなど透明基材を用い、光を反射するパターンが印刷された透明な座標入力シートを開発しようとすると、予想外の実用上解決すべき課題があることが判明した。
第一に、ガラスや樹脂フィルムなどの透明基材を用いた座標入力シートでは、透明(透過率が高い)といえども、シートと空気の界面やシート内の層の界面、あるいはシートとディスプレイの界面の屈折率差により、少なからず基材からの光の反射が生じてしまうことである。その読み取り面が平滑でない場合には散乱反射が強くなり、平滑面であれば鏡面反射が強くなる。すなわち、光を反射するパターンからの反射以外に、パターン以外の透明基材部分からの反射が存在し、該パターン部分から来る反射光(信号:Signal)と該パターン以外の部分から来る反射光(雑音:Noise)との強度差(信号/雑音)の比、即ち、信号対雑音比、或いはSN比(Signal to Noise Ratio)で評価することも出来る)を確保する必要がある。
第二に、座標情報パターンの読み取りに、ペン先に設置された光源で該パターンを照明した反射光をペン先のセンサーで受けて読み取る専用ペンを用いるような場合では、必然的に照明光の光源と反射光センサーは位置的に近くなり、座標入力シートに対してセンサーの検知方向が垂直あるいはそれに近い角度関係で相対すると、センサーの読み取り範囲に照明光の光源自体が映り込んでしまい、座標情報パターン自体が非常に認識しづらくなることである。
特許文献3記載の発明に於いては、座標情報パターンの反射光が入射光と異なる波長の蛍光である為、波長選択透過フィルタによって蛍光のみ読取ることによりSN比を確保することも可能である。但し、斯かる蛍光インキは高価である上、耐久性が低いと云う問題が有った。
本発明は上述のような技術的背景の基に成されたものであって、本発明の課題は、コンパクト化、軽量化、大面積化、量産性、低価格化などに優れ、座標入力シートから座標情報パターンを光学的に読み取る方式に対して、パターン部以外からの反射が存在する読み取り条件下でも読み取れる方法を提供することであり、しかも画像表示可能なディスプレイ装置に対しても実用上使用できるような方法にすることである。
そこで、本発明の座標情報パターンの読み取り方法は以下の如き構成の発明とした。
(1)シート上での位置を表す座標情報を各座標毎に提供可能な座標情報パターンが基材上に形成された座標入力シートから、前記座標情報パターンを光学的に読み取る方法であって、
座標入力シートとして、前記座標情報パターンにコレステリック構造を有する液晶材料を用いて、前記座標情報パターンを右円偏光又は左円偏光の光線のうちの一方の偏光成分のみを選択反射光として選択的に反射する選択反射層を有する円偏光選択反射性パターンとした座標入力シートを用い、
且つ、該座標入力シートの座標情報パターンを照明する光源と該座標入力シート間の照明光経路中、または、該光源と同じ面側に位置して該座標入力シートの座標情報パターンを読み取る画像センサと該座標入力シート間の読取光経路中、の少なくとも一方に円偏光フィルタを配置することで、該座標情報パターンの読取時に、該座標情報パターン自体から反射され画像センサに到達する選択反射光強度の、該座標情報パターン以外の部分から反射され画像センサに到達する背景光強度に対する強度差の絶対値を増大させ、該座標情報パターンを読み取る、座標情報パターンの読み取り方法である。
(2)また、前記(1)の方法において、照明光経路中と読取光経路中の両方に円偏光フィルタを配置しても良い。
(3)また、前記(1)又は(2)の方法において、好ましくは、座標情報パターンからの選択反射光が右円偏光又は左円偏光のうちの一方の偏光成分であり、使用する円偏光フィルタが、該選択反射光と同じ偏光向きの右円偏光又は左円偏光を通す円偏光フィルタのみからなる方法としても良い。すなわち、前記読取光経路中、又は照明光経路中、又は照明光経路中と読取光経路中の両方に配置する円偏光フィルタを、該選択反射光と同じ偏光向きの右円偏光又は左円偏光を通す円偏光フィルタとしても良い。
(4)また、前記(2)又は(3)の方法において、前記円偏光フィルタを前記照明光と読取光の両方で共用することもできる。
(5)また、前記(1)〜(4)のいずれかの方法においては、座標入力シートの座標情報パターンを読み取る側の面が平滑面である場合でも良い。
(6)また、前記(1)〜(5)のいずれかの方法においては、座標入力シートが、基材が可視光領域に於いて透明な透明基材であり、座標情報パターンも可視光領域に於いて実質的に透明な透明パターンであり、画像表示可能なディスプレイ装置の前面に装着可能なシートである場合でも良い。
(7)また、前記(1)〜(6)のいずれかの方法において、座標情報パターンの選択反射光として赤外線のみを選択的に反射する座標入力シートを用いるようにするのも良い。
本発明による座標情報パターンの読み取り方法では、
前記(1)の方法によって、コンパクト化、軽量化、大面積化、量産性、低価格化などに優れる、座標入力シートから座標情報パターンを光学的に読み取る方法に対して、パターン部以外からの反射が存在する読み取り条件下でも選択反射光強度の背景光強度に対する強度差の絶対値を増大させることでパターン識別におけるSN比を改善して、座標情報パターンを読み取れる。
前記(2)の方法では、照射する光を円偏光にし、読取側にも円偏光フィルタを用いることで更にSN比の改善ができる。
前記(3)の方法では、背景光強度に対する選択反射光強度の強度差を正の方向に増大させることができ、背景光強度に対する選択反射光強度の強度差を負の方向に増大させる場合(すなわち選択反射光部分が暗くなり、背景光部分が相対的に明るく見える場合)に比べ、背景光強度がそれほど大きくない場合でも、SN比改善が図れる。
前記(4)の方法では、更に光学系をコンパクト、安価にできる。
前記(5)の方法では、更に読取面が平滑面で鏡面反射する様な場合でも、読み取れる。
前記(6)の方法では、座標入力シートを画像表示可能なディスプレイ装置の前面に装着した場合でも、画像表示に支障なく読み取れる。
前記(7)の方法では、座標入力シート方向を目視した時に、目視される文字、図形、ディスプレイ画像等の観察に支障なく、且つ周囲の環境光(可視光など)によるSN比低下を回避して座標情報パターンを読み取れ、なかでも前記(6)の方法に対しては特に効果的な方法となる。
<図面の説明>
図1〜4は、本発明による代表的な実施形態に於いて、座標情報パターンの読み取り方法を概念的に説明する概念図である。図中の符号は、1は座標情報パターン、2は基材、3は座標入力シート、4は光源、5は画像センサ、61〜63は照射光ないし読取光の経路上に設置した円偏光フィルタである。7は照明光で、7Rは右円偏光の照明光、8は反射光、8Rは右円偏光の選択反射光、8R’は反射光の右円偏光成分、8Lは左円偏光の反射光である。
なお、図1は、光源からの照明光7が無偏光(右偏光成分と左偏光成分の両成分を等量含む)であり、座標情報パターン1からの選択反射光が右円偏光であり、読取光用の円偏光フィルタ62として右円偏光を通す円偏光フィルタを用い、該右円偏光の選択反射光8Rおよび基材2からの反射光の右円偏光成分8R’を画像センサ5に到達させる様にした場合である。
図2は、座標情報パターン1からの選択反射光が右円偏光であり、照明光用の円偏光フィルタ61には照明光の右円偏光成分のみを通過させる円偏光フィルタを用いて照明光を右円偏光の照明光7Rとし、座標情報パターン1からの選択反射光8Rと、基材2からの反射光である左円偏光の反射光8Lがそのまま画像センサ5に到達するようにした場合である。
図3は、座標情報パターン1からの選択反射光が右円偏光であり、照明光用の円偏光フィルタ61には照明光の右円偏光成分のみを通過させる円偏光フィルタを用いて照明光を右円偏光の照明光7Rとし、読取光用の円偏光フィルタ62には右円偏光のみを通過させる円偏光フィルタを用いて、該右偏光の選択反射光8Rを画像センサ5に到達させ、左円偏光の反射光8Lを通過させない様にした場合である。
図4は、座標情報パターン1からの選択反射光が右円偏光であり、照明光用の円偏光フィルタ61には照明光の右円偏光成分のみを通過させる円偏光フィルタを用いて照明光を右円偏光の照明光7Rとし、読取光用の円偏光フィルタ63には左円偏光のみを通過させる円偏光フィルタを用いて、該右偏光の選択反射光8Rを画像センサ5に到達させず、左円偏光の反射光8Lのみを通過させる様にした場合である。此の形態に於いては、座標情報パターンが黒(画像センサで読取られる信号光は無し乃至は低レベル)で背景領域が白(画像センサで読取られる信号光は有り乃至は高レベル)として読取られる場合であり、座標情報パターンが陰画(ネガ)として読取られる場合である。これに対して、図1から図3までの形態は座標情報パターンが陽画(前記陰画とは白黒反転)として読取られる場合である。
また、図1〜図4の場合は、シート面が鏡面反射可能な平滑面である場合に、画像センサ5の撮影領域に光源4が映りこむ角度関係の場合でもある。
更に又、図1〜図4の場合は、何れも座標情報パターンが右円偏光を反射する様に設計されているが、コレステリック液晶の螺旋方向の選択等の選択によって、座標情報パターンが左円偏光を反射する様に設計可能なことは勿論である。
<読み取り方法の原理>
本発明による座標情報パターンの読み取り方法は、座標情報パターンでの反射とそれ以外の部分(背景とも云う)での反射(鏡面(界面)反射)の左右円偏光成分の比が違う様にして、それを円偏光フィルタによって弁別して光学的な読み取りに利用することで、読み取り時の光のSN比(信号対ノイズ比)を改善させた方法である。
すなわち、座標情報パターンをコレステリック構造を有する液晶材料で形成することで、該座標情報パターンからの反射光が、該液晶材料によって決めることが出来る左右いずれか一方の円偏光成分のみを含む反射光になる性質と、該座標情報パターンが非形成の基材の部分では、円偏光を照明すれば鏡面(界面)反射時にその円偏光の回転向きが逆転する性質に注目して、これら円偏光に対する反射特性の違いを巧みに利用することで、完成した読み取り方法である。
また、該コレステリック構造の特性として、その螺旋ピッチによって反射光の波長帯域が決まるため、これを積極的に利用すれば、螺旋ピッチを調整することで、可視光線、赤外線、紫外線など任意の波長帯域の光線を反射光として選択でき、なかでも好適には赤外線を採用することで、座標情報パターンを実質的に透明にすることができ、それによりディスプレイに表示する映像など他への悪影響や、読取環境での室内光などの可視光が座標情報パターンの読み取りへ及ぼす悪影響を容易に防げる読み取り方法である。
本発明を、図3を参照して更に詳述する。同図では、座標情報パターン1を基材2上に設けた座標入力シート3に対して、座標入力シート3上での座標読取りが必要となる部分に向かって、光源4から光線を無偏光の照明光7として照明すると、その照明光の経路中(以下、単に照明光経路とも略称)に配置した円偏光フィルタ61によって右円偏光成分のみが通過し、座標入力シート3には右円偏光の照明光7Rが入射する。すると、座標入力シート3に設けた座標情報パターン1は、同図の場合は、右円偏光又は左円偏光の光線のうちのいずれか一方の偏光成分として右円偏光のみを選択反射光として選択的に反射する選択反射層を有する円偏光選択反射性パターンとしてあるので、その選択反射光は右円偏光の光線のみとなった選択反射光8Rとなる。なお、この際、光源からの光線を赤外線とすれば選択反射光は赤外線となり、紫外線とすれば紫外線となり、可視光線とすれば可視光線となる。また、この際、選択反射光の波長帯域は、座標情報パターンに用いた液晶材料のコレステリック構造が有する螺旋ピッチに対応した波長帯域となるので(螺旋ピッチで波長帯域の波長を任意に選定できる上、螺旋ピッチをパターンに複数内在させれば帯域も任意に広められる)、選択反射光の波長帯域は、例えば赤外線のみ、可視光線のみ、紫外線のみ、等と任意に設定できる。具体例を挙げれば、照明光、選択反射光、及び読取光の全ての光を、例えば赤外線とする組合せで読み取る。なお、もちろんのことだが、照明光は選択反射光の波長帯域を含む光とする。また円偏光フィルタ61は選択反射光の波長帯域に対して円偏光性能を有するものとする。
一方、座標情報パターン1が非形成の背景部分の座標入力シート3の部分(概念図である同図の場合は基材2の露出表面である)の面にも同様に右円偏光の照明光7Rが入射するが、この照明光7Rが界面反射した反射光は、円偏光の回転方向が逆転して左円偏光の反射光8Lとなる。
そして、選択反射光8R及び左円偏光の反射光8Lが、座標入力シート3の面に対して前記光源4と同じ面側に位置させた画像センサ5に向かう途中の読取光の経路に、右円偏光のみを通過させる性質を持つ円偏光フィルタ62を配置してある為に、反射光8Lは画像センサ5には到達せず、選択反射光8Rのみが画像センサ5に到達することになる。この結果、画像センサ5に到達する読取光として、座標情報パターン1からの反射光である選択反射光の光強度(Signal成分)の、座標情報パターン1以外の部分から画像センサに到達する背景光の光強度(Noise成分)に対する強度比(SN比:信号対ノイズ比)が増大し、座標情報の読み取り性を改善することが出来るのである。
なお、図1の場合においては、座標情報パターン1によって照明光7の右円偏光成分のみが選択的に反射され、その選択反射光8Rは右円偏光のみを通過させる円偏光フィルタ62をそのまま通過して画像センサ5に到達する。しかし基材2によって反射された反射光8は円偏光フィルタ62をそのまま通過できず右円偏光成分8R’のみ(反射光強度の最大50%)が通過して画像センサ5に到達する。この結果、円偏光フィルタ62が無い場合に比べて背景光の光強度が約半分に低下することになり、SN比が改善される。
また、図2の場合においては、円偏光フィルタ61によって照明光7の右円偏光成分のみが通過するが,この際に右円偏光の照明光7Rの光強度は照明光7に比べ50%以下となる。しかし、座標情報パターン1はもともと照明光7の右円偏光成分のみを選択的に反射するため、その選択反射光8Rの強度は円偏光フィルタ61の有無にほとんど影響を受けない。しかし、基材2により反射される反射光8L(背景光)の強度は、照明光の強度が50%以下になるに伴い低下する。この結果、円偏光フィルタ61が無い場合に比べ、SN比が改善される。
また図4は、画像センサ側の円偏光フィルタとして、座標情報パターン1により反射される円偏光の向きと逆向きの円偏光を通過させる円偏光フィルタを使う場合の一例である。この場合においては、座標情報パターン1によって右円偏光の照明光7Rが選択的に反射されるが、その選択反射光8Rは左円偏光のみを通過させる円偏光フィルタ63を通過できず、画像センサ5に到達する選択反射光の光強度はほぼゼロとなる。しかし基材2によって反射され、円偏光向きが逆転した左円偏光の反射光8Lは円偏光フィルタ63を通過して画像センサ5に到達する。この結果、円偏光フィルタ63が無い場合に比べてSN比が改善される。
このとき座標情報パターン1は基材上の暗いパターンとして画像センサ5に認識されることになるが、明るいパターンと認識される基材露出部の反射による背景光に対し、座標情報パターン1による反射が相対的に弱くなることによって座標情報パターン1が識別されると共にSN比が改善される。其の為、基材による反射(背景光)がもともとそれほど強くない場合にはSN比改善効果は小さくなる。
なお、座標情報パターン1により反射される円偏光の向きと逆向きの円偏光フィルタは、照明光経路、読取光経路のいずれか一方にあれば図4の例とほぼ同様の効果を得ることができるが、照明光経路と読取光経路の両方に存在する場合、画像センサ5に到達する光はほぼゼロになってしまうので使用できない。
ところで、シート上の文字や画像を光学的に認識する場合の従来の一般的な方法としては、照明光はシートに対して斜めから照明し、その読取光は該照明光がシート面で正反射する方向、つまり光源が映り込んでしまう様な方向は避けて、例えば真上から読み取る、つまり拡散光で読み取るような照明光と読取光との読取面に対する角度関係が一般的であった。しかし、本発明による読み取り方法では、正反射する方向の角度関係でも読み取れる点に特徴があり、また、反射パターンに拡散反射性がある場合には従来のような角度関係で読み取っても構わない。従って、照明光と読取光との角度条件に制約が少ない利点がある。この利点は、例えば、読取機器として、光源と画像センサを内蔵したペン型を想定した場合には、ペンをシートに対し垂直気味に立てて使用する場合の様に、光源と画像センサの位置関係が正反射乃至はそれに近い関係に位置し、従来は画像センサの読取領域に光源が映りこんでしまっていたような場合でも、SN比が低下せず使い勝手が良い機器を提供できる利点につながる。
また、本発明者が、ディスプレイに適用することを前提に実験してみたところ、透明な基材として一般的に用いられる透明樹脂フィルムを基材に用いたシートに対しては、光源と画像センサを内蔵したペン型センサをシートに対し立てて読み取るような、光源と画像センサが正反射の角度条件乃至はそれに近い条件に位置する場合だと、照明用の光源がシート面に映り込んでしまい(背景光である)、ドット状に形成した座標情報パターンは前記光源の映り込みに埋もれて判別自体ができなかった。しかし、本発明の読み取り方法によれば、余分な前記背景光は、照明光の経路及び読取光の経路に配置した円偏光フィルタによってカット出来るので、光源映り込みは回避できる。また、完全な正反射でなくても、完全な正反射条件から外れて、画像センサに向かう光線中に背景反射光成分が存在する割合が低下する程度に応じて、相応に本発明によるSN比改善効果が得られる。
本発明では基本的に、上述したような、基材上に円偏光選択反射性の座標情報パターンを有する座標入力シートと、照明光や読取光に円偏光を活用する点などに、特徴を有する読み取り方法であるが、更に、照明光と読取光との座標入力シートに対する角度関係が正反射乃至は正反射に近い角度関係で、且つ読取面が鏡面に近いほど、つまりこれらを総合して、鏡面反射光乃至は鏡面反射光で読取る条件に近いほど、特に効果的な方法である。
なお、一般に物体表面からの反射光は、該表面が鏡面に近いほど拡散反射光よりも鏡面反射光の割合が増し、物体表面が完全な鏡面の場合は鏡面反射光のみとなるが、物体表面が完全な鏡面から外れても、完全な拡散面で無い限り、その表面凹凸度合いに応じて鏡面反射光成分が含まれる。従って、完全な鏡面反射条件でなくても、座標入力シートの(座標読取パターン非形成部分の)基材面からの反射光(背景光)に鏡面反射光成分が含まれている条件で、且つ照明光経路と読取光経路のいずれか、または両方に円偏光フィルタを配置することで、該反射光に対する選択反射光の光強度の比率を増大させることが出来る条件範囲内であれば、本発明の読み取り方法は効果を有する。
つまり、基材が一般的な樹脂シートのように鏡面(界面)反射し易い平滑面の基材以外にも、例えば紙などでも光沢紙等の様に表面で鏡面反射し易い基材の場合には効果が得られる。また、光沢紙以外の一般的な紙でも正反射条件乃至はそれに近い読み取り角度条件では、鏡面反射成分が含まれる割合に応じて相応の効果が得られる。なお、樹脂シートで表面凹凸の防眩層を設けた場合でも正反射条件における光源の映り込みは強く、この様な鏡面でない平滑面でも極めて効果的である。この様な意味で、本発明ではシート面として特に効果が期待できる面は平滑面でありそれも更に好ましくは鏡面であるが、これらを特に区別して表現する必要がある場合以外は、用語「平滑面」は「鏡面」も含む意味で使用してある。
また、座標入力シートから画像センサに進行する光線には、座標情報パターンからの選択反射光と、該パターン非形成の部分からの背景光とがあるが、背景光には(意図的に座標情報パターンを照明する)照明光の反射光と、読み取り環境の太陽光や室内照明光などの光源からの非偏光の環境光が座標入力シートを照らした、その拡散光(シート面の表面粗面状態に応じる)や鏡面反射光も混入することがある。しかし、非偏光の環境光は、右円偏光光と左円偏光光の合成光として捉えることができるので、読取光の経路に配置する円偏光フィルタによって左右どちらかの円偏光の半分は排除される結果、この様な場合でも、読取光側の円偏光フィルタによってSN比改善効果が得られることになる。なお、照明光側の円偏光フィルタによって、シートに当たる光の強度は半分になるが、座標情報パターンは元々当てる光の一方の円偏光成分しか反射していないため、使用する円偏光の回転向きを選択反射光の回転向きに対応させておけば、円偏光に対する選択反射性によって選択反射光の反射強度が小さくなるということはない。
また、選択反射光として波長選択性の利用によって選択された波長帯域以外の光線は、SN比改善を低下させるので、なるべく画像センサに到達しない様にするのが好ましい。例えば光線の波長帯域として赤外線を読取光に使用するのであれば、照明光にも赤外線を使用するのが、一般的な光学的読み取り方法に於いて慣用的方法であるように、本発明に於いても、波長選択性の利用に対してはその特定の波長帯域を利用可能とする光源、画像センサを用いるのが好ましい。この意味で、図1〜図4は本発明の本質を説明する概念的な説明図であるので、例えば、赤外線利用の場合には、照明光や読取光の経路、特に読取光の経路中に配置するであろう、赤外線フィルタなどは図示を省略してある。もちろん、光源や画像センサ自体がこの様な機能を持つ光学素子である場合でも良く、この場合も経路中に配置するの表現に含める。
なお、座標情報パターン自体の鏡面反射性については、コレステリック構造の層構造の向きと選択反射光との関係の原理(Bragg反射)によって、座標情報パターン内の液晶配向面がすべて平行に揃っていれば鏡面反射となる。液晶配向面はシート面と平行になる事が多い為、座標情報パターンが鏡面反射を起こす場合には、パターンとシートは通常同じような角度で鏡面反射を起こす。ただし、座標情報パターンとなる選択反射層の内部での各配向面の向きは、実際にはシート面に完全に平行な状態だけでなく、面間隔を保ちつつ面の向きがバラついた状態などが存在する場合があり、シート面に対し完全に平行に揃っていなくても良い。この様なバラツキは、座標情報パターンの散乱反射性を高め、読み取り条件角度を広める効果もある。
また、選択反射光は、コレステリック構造由来の円偏光選択性以外に、該構造由来の波長選択反射性も本質的に有する。波長選択性に関しては、コレステリック構造を形成する材料の種類や組成を変化させることでコレステリック構造の螺旋ピッチを変化させ、選択反射波長をほぼ任意に設定することができるので、赤外線のみを反射させるといったように、波長選択性を意識的に利用するのも効果的である。どの波長を選択的に反射させるかについては、用途、コスト、構成装置部品などを勘案して決めればよい。なお、原理上、照射光の入射角が変化すると選択反射光の反射波長は角度に依存して変化する為、選択反射光はある程度の波長帯域を持つ。
以下、更に本発明について、それに用いる座標入力シートなどを順に説明する。
<座標入力シート>
本発明で用いる座標入力シート3は、該シート上での位置を表す座標情報を各座標毎に提供することができる座標情報パターン1を、基材2上に設けたシートである。しかも、本発明ではこの座標情報パターン1を、コレステリック構造を有する液晶材料を用いて形成したパターンとして、座標情報パターン1からの反射光として右又は左円偏光のうちのいずれか一方の偏光成分のみが選択的に反射される様にした、円偏光選択反射性パターンとしておく。なお、図3では右円偏光で説明したが、もちろん右でも左でもどちらでも良い。このような円偏光選択反射性パターンである座標情報パターン1は、基材上の層として、環境光の悪影響を避ける必要や透明性を付与するという必要がある場合に、可視光線以外の光線、さらに好ましくは赤外線を選択的に反射する選択反射層として形成することができる。
つまり、座標情報パターンとする、コレステリック構造を有する液晶材料を用いて形成した選択反射層においては、右又は左の円偏光を選択的に反射する円偏光選択性以外に、コレステリック構造(の螺旋ピッチ)に由来する波長帯域の光線を選択的に反射する波長選択性を更に利用することができる。
[座標情報パターン]
座標情報パターン1は、座標入力シート3上の任意の位置の座標情報を、その位置毎に提供することができるパターンであり、このようなパターンであれば特に制限はない。また、座標情報パターン1は光学的に読み取ることによって認識可能な光学読取可能なパターンであり、本発明での座標情報パターンは、特に円偏光光線の利用によって光学的読取が可能なパターンである(これは、円偏光光線以外の光線による読み取りが不可能である限定を付けるものではないが、本発明による読み取り方法では円偏光光線の利用は必須である)。
具体例を挙げれば、光源及び画像センサなどを内蔵したペン型の読取機器を手に持って、座標入力シートの或る位置にペン先を接触乃至は接近させれば、その位置乃至はその近辺の座標情報パターンを画像センサが読み取り、読取機器或いはこれと連携した別のコンピュータなどの機器が、読取データから座標情報を導出するというものである。そして、ペンを移動させれば、リアルタイムでぺンの軌跡を取得する事もできる。
読取光として本発明のように円偏光光線は利用せずに、一般的な光線、例えば、無偏光の、赤外線(或いは可視光線でも良い)などを用いる座標情報パターンは、従来技術(例えば特許文献2、特許文献3など)でも一部述べたように既に知られており、本発明の座標情報パターンのパターン形状自体は、従来の座標情報パターンの各種を採用できる。また、座標情報パターンは、シート上の座標情報を表示すべき任意の各位置毎に(隣接する位置とパターンの一部たりとも共用しない)専用のパターンとして、その位置に配置されたものでも良いし、別の位置例えば隣接する位置と一部共通に使用(読み取り)する部分があるパターンとしてその位置に配置されたものでもよい。なお、後者の方が前者に比べて、高分解能で細かく座標を表示できる点で、格段に優れている。但し、後者では、一部共通化しつつ各座標毎にユニークな座標情報パターンを与える為には、パターン配置のアルゴリズムなどの相応の工夫は必要である。
以上のような座標情報パターンは、例えば、縦横に配置する罫線の太さに変化を持たせて、単位領域内の罫線の交差部分の大きさの組み合わせをパターン化して座標と関連付けたもの、ドットの縦横の大きさを座標と関連付けたもの、ドット形状を複数設定して、単位領域内の複数ドットの組合せによるパターンを座標と関連付けたもの、などが挙げられる。また、高分解能、高品質なパターン形成の容易性などの点で、特に優れたパターンの一例としては、縦横に等間隔に並ぶ仮想的な格子点を基準点として、この基準点に対して上下左右の4方向のうちいずれかにドットを変位させて配置し、単位領域内の複数ドットの各変位の組合せを座標と関連付けた座標情報パターンがある。ここで、前記単位領域とは、任意の位置の座標情報を読み取る際において、通常は該位置を含む所定の大きさの隣接領域であり、領域内の各ドットから提供される座標情報パターンにその座標に関する情報を持たせる事が可能なアルゴリズムを用いれば、任意の位置における単位領域内の該座標情報パターンを読み取ることによって、その位置の座標情報を取得することが可能となる。なお、ドットの平面視形状は円が一般的だが、楕円、多角形などでもよい。
また、座標情報パターンは実施的に透明であるのが好ましい。ここで「実質的に透明」とは、次の(1)、(2)、或いは(3)を意味する。
(1)目視にて、完全に無色透明。
(2)可視光領域の特定波長(域)を反射して、有彩色ではあるが、表示画像と重ねて目視した際に、特に違和感無く、画像の視認の支障にはなら無い程度であり、且つ画像センサでは十分検知可能な程度の反射率(一概に何%とは言い難いが)である場合。更に、此の場合、透過率(可視光線透過率)によって、2形態が有る。尚、ここで言う「目視で認知可能な程度」の可視光線透過率の値は、一概に何%とは言い難いが、個々の場合に於いて実験的に確認、判断すれば良い。又、「検知可能な程度の反射率」についても同様である。
(2−1)透過率は、該パターンを透過する画像光が目視で認知可能な程度である場合。此の場合、該パターンの形状、大きさ、被覆面積率には制約は無い。
(2−2)透過率は、該パターンを透過する画像光が目視で認知不能な程度である場合。此の場合、該パターンの大きさ及び被覆面積率を低めに設定し(実験的に最適値を決めれば良い、一概には定量化し難い)、場合によっては、更に形状も工夫し、画像の目視に支障無い(我慢出来る)程度にする。
(3)可視光領域の全波長域を反射して、無彩色ではあるが、表示画像と重ねて目視した際に、特に違和感無く、画像の視認の支障にはなら無い程度であり、且つ画像センサでは十分見検知可能な程度の反射率である場合。
更に、此の場合、透過率によって、2形態が有る;
(3−1)上記(2−1)に同じ。
(3−2)上記(2−2)に同じ。
また、座標情報パターンは、ディスプレイ画像の観察や用紙の記載文字の目視による認識などの、座標情報パターンの読み取り以外の目的に於いて、支障をきたさなければ、可視光線を反射或いは吸収してもよく、例えば可視光領域以外に選択反射光の波長帯域がある場合には可視光領域で黒色といった目視可能なパターンでも構わない。
従って、座標情報パターンの選択反射光の波長帯域は、可視光線でも良い。しかし、特に、画像表示可能なディスプレイ装置の前面に装着する用途などでは、可能な限り不可視であるのが好ましく、この点で、可視光線に対しては反射や吸収をしない透明であるパターンとするのが好ましい。すなわち、座標情報パターンは円偏光赤外線のみ、或いは円偏光紫外線のみ、或いは赤外線と紫外線の両者のみを反射し、可視光線は選択的に反射しないパターンが好ましい。また、赤外線と紫外線とでは、光源や画像センサの一般性、コストなどの点から、赤外線の方が好ましい。なお、赤外線としては波長800〜2500nmの近赤外線が使い易くより好ましい。
座標情報パターン1は円偏光選択反射性パターンとして、基材2上に、円偏光の光線(より好ましくは赤外線)を選択的に反射する選択反射層として形成することができる。該選択反射層は、パターン読み取りのSN比改善において、選択的に反射する光線の選択反射ピーク波長に於ける光線反射率が大きいものがより好ましい。具体的には、該選択反射ピーク波長の無偏光光の照射に対して、該光線反射率が5〜50%、より好ましくは下限は20%以上が好ましい。なお、上限は、本発明ではコレステリック構造を有する液晶材料を用いて座標情報パターン(選択反射層)を形成する関係から理論上50%止まりである。尚、光源自体が特定の円偏光のみ輻射する場合には、該選択反射ピーク波長に於ける反射率は50%超過が可能であり、極力100%に近い材料や形成条件を選択する。
なお、円偏光選択反射性パターンである座標情報パターンの前記選択反射層の厚さは特に制限はないが、通常1〜20μm、好ましくは3〜10μmである。その理由は、厚さが厚い程、選択反射光強度を強くできるが、厚くなり過ぎると液晶の配向性の乱れ、乾燥負荷増大、可視光での透明性が必要な場合にその透明性の低下、などを来たし、逆に薄すぎるとSN比改善に結びつく十分な選択反射光強度が得られないからである。
なお、波長選択性を利用して選択反射光として可視光以外、つまり赤外線や紫外線を選択反射層で選択反射させる場合は、これら非可視光線領域のうちの選択的に反射される波長帯域に於いて高反射率(通常5%以上、好ましくは20%以上、最高は論理的に50%まで)であれば良い。例えば、選択波長帯域を赤外線とすると、その選択波長帯域内に於いて(例えばその中のピーク波長でみれば良い)、前記のような高反射率であればよいく、赤外線の全帯域において高反射率を示す必要はない。
その際、選択反射層は、基本的には、可視光線に対しては高反射率、高透過率、高吸収率、いずれでも構わない。なぜならば、座標情報パターンは非常に微細なドットの複数の組合せとして、殆どその大きさが肉眼で感じられない位の大きさで基材上に形成することができる上、ドットに比べてドット間の空間を広くとることもでき、使用用途次第で、その他の表示や観察に、殆ど支障を来たすことなく形成できるからである。
もちろん、座標情報パターンの視認が邪魔になる用途の場合には、基材が透明な場合は可視光線に対して透明で(可視光線透過率が高い)、基材が白などの色を呈する場合はそれと同色である(白ならば可視光線反射率が高い)のが、目視判別し難い点で好ましい。
ちなみに、選択反射光を赤外線とした場合、可視光線に対しては、選択反射層が数μm程度の厚さのときに、可視光線透過率70%以上の層とすることができる。
(液晶材料)
座標情報パターン1に用いるコレステリック構造を有する液晶材料としては、基材上に座標情報パターンとなる選択反射層を形成したときに、右又は左の円偏光を選択的に反射し、また該コレステリック構造の螺旋ピッチに準じた波長帯域の反射光を選択的に反射できる、選択反射層を形成可能な材料であれば、特に限定はなく、コレステリック構造を有する液晶材料として従来公知の材料を使用することができる。つまり、選択反射層は、波長選択性と円偏光選択性の両方の選択機能を有するが、最低限本発明では円偏光選択性を使用する。さらに、波長選択性による波長帯域として赤外線を利用すれば、特に透明な座標情報パターン及び透明な基材からなる透明な座標入力シートに対して好適な方法となる。
このようなコレステリック構造を有する液晶材料としては、座標情報パターンとする選択反射層を形成したときに、該層中で固定化されたコレステリック構造を形成できる液晶材料が好ましい。固定化により、座標入力シートの使用環境や保存状態で晒される高温によってコレステリック構造が変化すると選択反射特性が変化し初期性能を維持できないからである。
固定化されたコレステリック構造を形成可能な該液晶材料としては、例えば、常温よりも高い高ガラス転移点を有し加熱後冷却することで構造を固定化できる高ガラス転移点の高分子液晶材料(高分子コレステリック液晶材料)、或いは、重合により固定化できる重合性液晶材料である。重合性液晶材料としては、例えば、重合性ネマチック液晶に重合性カイラル剤を混合した重合性のカイラルネマチック液晶材料(重合性モノマー或いは重合性オリゴマー)が挙げられる。また、重合性液晶材料としては、重合性官能基としてアクリレート構造を有する化合物(例えば、重合性ネマチック液晶や重合性カイラル剤、以下同様)を用いた液晶材料が好ましく、また、重合性液晶材料としては、3次元架橋可能な化合物を用いた液晶材料が好ましく、また、アクリレート構造を有し3次元架橋可能な化合物を用いた液晶材料が好ましい。
なお、重合性液晶材料がコレステリック構造(相)を発現する温度範囲は、特に制限はない。ただ、コレステリック相の状態を、3次元架橋によって網目構造を形成して固定化するのであれば、コレステリック相が30〜140℃の温度範囲に存在する液晶材料ならば、座標情報パターンを印刷形成時に、その乾燥工程と液晶の相転移とを同時に行える点で、生産性などの点で好ましい。
なお、3次元架橋可能な液晶材料に用いる重合性モノマーの例としては、例えば、特開平7−258638号公報、特表平11−513019号公報、特表平9−506088号公報、特表平10−508882号公報などで開示の、液晶性モノマーとカイラル化合物の混合物からなる液晶材料が挙げられる。例えば、ネマチック液晶相を呈する液晶性モノマーにカイラル剤を配合したカイラルネマチック液晶(コレステリック液晶)である。
また、液晶性モノマー(ネマチック液晶分子)の例としては、例えば、下記式(1)〜(11)で示す化合物が挙げられる。ここで例示の液晶性モノマーは重合性官能基としてアクリレート構造を有し、紫外線照射等により重合する化合物である。
Figure 2008077451
Figure 2008077451
なお、式(11)中、nは2〜5の整数である。
また、前記3次元架橋可能な重合性の液晶性オリゴマーの例としては、例えば、特開昭57−165480号公報に開示されているような、コレステリック相を有する環式オルガノポリシロキサン化合物等がある。
また、カイラル剤としては特に制限はないが、好ましくは重合性を有するものが良く、例えば式(12)に例示のような、重合性官能基としてアクリレート構造を有する化合物が、紫外線照射などで重合できる点で好ましい。
Figure 2008077451
なお、式(12)中、mは2〜5の整数である。
なお、重合性ネマチック液晶に重合性カイラル剤を配合した重合性のカイラルネマチック液晶材料などの重合性の液晶材料を、紫外線照射で重合させるには、公知の光重合開始剤等を更に配合する。
なお、コレステリック構造を持った液晶材料の波長選択反射性(原理はX線回折に於けるBragg反射と同様)における、選択反射光の選択反射ピーク波長(Bragg反射条件となる波長)は、座標情報パターンとして用いる選択反射層に含まれるコレステリック構造の螺旋ピッチで決定される。そして、例えば、該液晶材料として、ネマチック液晶とカイラル剤による液晶材料を用いた場合では、カイラル剤の配合量の調整、配合するカイラル剤の種類(カイラルパワー)や液晶の選択などにより、螺旋ピッチを調整できる。例えば、選択反射ピーク波長を赤外線に設定する場合、カイラル剤の配合量は、使用する液晶の種類やカイラル剤の種類で異なるが、式(11)の液晶性モノマーと式(12)のカイラル剤とを用いた場合、液晶100質量部に対してカイラル剤を3質量部程度を配合すれば、赤外領域(近赤外線領域)に選択反射ピーク波長を有するコレステリック構造を形成できる。なお、液晶材料が高分子コレステリック液晶のときは、目的とする螺旋ピッチの高分子液晶を選定すれば良い。
(座標情報パターンの形成)
ところで、座標情報パターンを基材上に形成するには、上述したような液晶材料に印刷適性の付与が必要な場合は溶媒などの添加剤を添加し溶液化するなどしてインキとし、該インキを公知の印刷方式によってパターン状に印刷すれば良い。
なお、前記溶媒としては、液晶材料への溶解性があれば特に限定はなく公知のものを適宜使用すれば良い。このような溶媒としては、例えば、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、酢酸メチル、酢酸エチル、n−酢酸ブチル、酢酸3−メトキシブチル等であり、これらは単独使用又は混合使用する。
また、印刷方式としては、例えば、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、インキジェット印刷法等、公知の方法を用いることができる。
なお、コレステリック液晶の製膜法は、特開2001−56484号公報にも記載されている。
[基材]
基材2は、可視光に対して透明な透明基材でも、可視光に対して不透明な不透明基材でも、基本的にはいずれでも良く、樹脂などの有機質基材、ガラスや金属などの無機質基材いずれでも良い。透明基材の例としては、透明樹脂シート、透明ガラスなどである。不透明基材の例としては、紙、不透明な樹脂シート、金属シート、或いはこれらの異種又は同種の積層シート、更にこれらと前記透明基材との積層シートなどである。
透明基材の場合は、座標入力シートをディスプレイの前面に配置してディスプレイを透かして見ながら座標読み取りするのに適し、また、紙などの上に重ねる等して配置して、該紙などが表示する文字等を透かして見ながら座標読み取りするのに適する。
なお、座標情報パターンの選択反射光の波長帯域が可視光領域でない場合、該選択反射光の波長帯域に於ける基材の透明性は透明、不透明、基本的にはいずれでも良いが、該選択反射光の波長帯域における基材の反射率はもちろんなるべく小さい方がSN比を上げる意味から好ましい。
また、基材の厚さは特に制限は無く、使用形態、コスト、要求性能などを勘案して選択され、例えば20μm〜5mmである。また、このような厚さ範囲からも分かるように、本発明に於ける座標入力シートの「シート」とは、いわゆる「板」、「フィルム」も含めた、厚み的に包括的な意味で用いた用語であり、例えばガラス板、樹脂板等の板と一般的に表現するような基材、プラスチックフィルム等と「フィルム」として一般的に表現するような基材も含む。
なお、透明基材に於ける「透明」とは、次の(a)、(b)、或いは(c)を意味する。
(a)目視にて、完全に無色透明。
(b)可視光領域の特定波長(域)を反射或いは吸收して、有彩色ではあるが、表示画像と重ねて目視した際に、特に違和感無く、画像の視認の支障にはなら無い程度の透過率である場合。
(c)可視光領域の全波長域を反射或いは吸收して、無彩色ではあるが、表示画像と重ねて目視した際に、特に違和感無く、画像の視認の支障にはなら無い程度の透過率である場合。
また、透明樹脂シートや不透明樹脂シートの樹脂材料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル等が好ましい。
また、基材が座標入力パターンを形成する為の前記インキによって溶解或いは膨潤してこれが都合悪い場合は、表面にバリア層を設けた基材とし、インキの密着が悪い場合には接着向上層を設けた基材とし、表面の配向能を調整する必要がある場合には配向膜を設けた基材とするのが好ましい。また、これら機能の複数を兼用した層として設けた基材としてもよい。例えば、バリア層や接着向上層は、基材表面の配向能を調整する為の配向膜を兼用させても良い。この様な層乃至は膜は、公知の材料を適宜使用すれば良い。例えば、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)やヒドロキシエチルセルロース(HEC)等の水溶性物質をバリア層に用いることができる。
また、配向膜は、望みのコレステリック構造の配向を、基材面上に安定的に形成できれば必要は無いが、例えば基材面の配向能が強すぎたり弱すぎたり、不安定でそれが支障を来たすような場合には設けるのが好ましい。なお、配向膜の材料としては特に限定はないが、例えば、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリビニルシンナメート、ポリビニルカルバゾール、シンナモイルを含むポリシラン、クマリン、カルコン等の公知の配向膜材料を用いることができる。これら材料で形成した配向膜はラビング処理等を施しても良い。 また、配向膜としては、延伸した樹脂シートでも良く、これを積層した基材としても良い。
[座標入力シートに於けるその他の構成要素]
本発明で用いる座標入力シートとしては、それが備える基本的な要素は上述したとおりであるが、更に、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で、その他の構成要素を備えたものでもよい。例えば、ハードコート層、反射防止膜などである。また、貼り付け用に粘着剤層や更に該粘着剤層の一時的保護用に剥離シートが積層されていてもよい。なお通常は、座標情報パターン、ハードコート層、反射防止膜などは基材に対して読取側、粘着剤層や剥離シートはその反対側に設ける。
ハードコート層では、座標入力シートの表面の傷付きを改善し、ペン型等の読取機器の先端の接触や他の物の接触に対して表面強度を向上できる。例えば、読取側の面に設けた座標情報パターン上を含む座標入力シートの全面に設ければ、座標情報パターンに対する表面強度も向上できる。ハードコート層としては特に限定はなく、ディスプレイ、各種方式の座標入力シート、光学用途などで公知のものを適宜採用すればよく、例えば、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などを塗布して紫外線、電子線、熱等で架橋硬化させた硬化物からなる塗膜である。
また、反射防止層では、それを適用した座標入力シートの表面や裏面の表面反射が防止され、座標入力シートの背後にあるディスプレイや印刷シート等の視認性を向上できる。反射防止層としては特に限定はなく、ディスプレイ、各種方式の座標入力シート、光学用途などで公知のものを適宜採用すればよく、例えば、低屈折率膜、或いは低屈折率膜が最表面膜となるように高屈折率膜と積層した多層膜などであり、低屈折率膜には弗化マグネシウム、フッ素樹脂等の低屈折率物質を用い、高屈折率膜には酸化ジルコニウム、酸化チタン等の高屈折率物質を用いる。また、反射防止層としては、表面のギラツキを防止する防眩層もある。防眩層は賦形や微粒子添加により表面凹凸とした層であり、前記ハードコート層の材料などが用いられる、同様に塗膜として形成できる。
<光源>
光源4としては、座標情報パターンに、座標情報パターンの選択反射光の波長帯域を含む光線を照明できるものではあれば特に制限はない。例えば、LED(発光ダイオード)でよく、更に選択反射光が赤外線であれば赤外線LEDでよく、紫外線であれば紫外線LEDを用いればよく、可視光であれば可視光LEDでよい。また、LEDは、座標情報パターンの読み取り方法を実現する読取機器をペン型等と小型で実現するの好適である。なお、環境光が利用できるならばそれでもよい。なお、光源4は画像センサ5と一体となったものとしても良い。
<円偏光フィルタ>
円偏光フィルタ61、62、63としては特に制限はなく、選択反射光の波長の光に対して、円偏光を選択利用可能な円偏光選択光学素子であれば良い。例えば、直線偏光板と1/4波長位相板を組み合わせたような市販の円偏光フィルタを用いることができる。この場合、自然光から円偏光を取り出す場合は直線偏光板、1/4波長位相差板の順に通過させ,円偏光を選択的に通過またはカットする場合は1/4波長位相差板、直線偏光板の順に通過させる。要は、照明光に於いてはそれを円偏光を用いて座標情報パターンを照明することであり、該座標情報パターンの読取光に於いては、特定の円偏光を選択して読み取ることが、本発明では重要である。
また、照明光、選択反射光、読取光などに赤外線を利用するのであれば、円偏光フィルタは利用する赤外線に対して対応できるフィルタを用い、紫外線を利用するのであれば同様に利用する紫外線に対して対応できるフィルタを用いる。
なお、照明側の円偏光フィルタ61は光源4と一体となったものとしてもよく、画像センサ側の円偏光フィルタ62、63は画像センサ5と一体となったものとしてもよい。これらは、読取機器の小型化に利点がある。また、照明側の円偏光フィルタ61と画像センサ側の円偏光フィルタ62、63とは兼用しても良く、この場合、更にこれに光源4と画像センサ5も一体となったものとしてもよい。
また、円偏光フィルタを照明光と読取光とで共用する場合は、光源4と画像センサ5の位置関係によっては照明光がフィルタ面で反射しこれが読取光に混入する場合がある(いわゆる円偏光フィルタ表面への光源4の映りこみ)。この様な場合には、フィルタ面に反射防止処理がされたものを用いるのが好ましい。反射防止処理としては、公知のもの、例えば多層膜などで良い。
また、フィルタ全体を光の経路に傾斜して配置したり,フィルタを折り曲げて照射光経路上におけるフィルタ面と読取光経路上におけるフィルタ面の角度を変えたりすることで、フィルタの鏡面反射光が画像センサ5に到達しない様にしても良い。さらには、光源4による座標入力シートへの照明や画像センサ5による座標入力シートの撮像を妨げない範囲で、フィルタの中央部から光源4と画像センサ5の間に向かって仕切り板(邪魔板)を設け、照明光がフィルタ面により反射して画像センサ5に到達する経路を遮るようにしても良い。
<画像センサ>
画像センサ5としては特に制限はなく、座標情報パターンを光学画像として認識できるものであれば、特に制限はない。例えば、CCDカメラ(CCD撮像素子)、CMOSカメラ(CMOS撮像素子)などである。通常は二次元画像として読み取る画像センサを用いる。なお、画像センサ5は光源4と一体となったもの(例えばLED付き小型カメラ)でもよい。
<本発明の読み取り方法の、好ましい一例>
ここで、本発明の座標情報パターンの読み取り方法の好ましい一例として、好適な適用例とその場合の方法を更に例示しておく。
座標入力シートの適用対象は、テレビジョン(以下テレビと略称)やモニターディスプレイ等として利用されるフラットパネルディスプレイなどの画像表示可能なディスプレイである。該座標入力シートは基材が透明基材であり座標情報パターンも可視光線に対しては透明な透明シートとなっている。また、座標情報パターンは右(又は左)円偏光の近赤外線のみを選択反射光として反射する選択反射層からなる円偏光選択反射性パターンとして、基材上に形成されている。この座標情報パターンを観察者側に向けて、ディスプレイ画面の前面に座標入力シートは装着される。また、座標情報パターンは複数のドットから構成され、任意位置の座標情報は該位置近傍の所定領域内の複数のドットから構成される座標情報パターンによって定義可能となる様に、該位置と関連付けられている。
そして、座標情報パターンの読み取りは、ペン型とした読取機器のペン先から右(又は左)円偏光の近赤外線の照明光を座標入力シートに当てて、シートからの反射光をペン先で受けて内部の右円偏光フィルタ(照明光と共用)で右円偏光のみを小型カメラに到達させて、座標情報パターンを読み取るという方法である。
<本発明の読み取り方法による、読取機器の一例>
本発明による座標情報パターンの読み取り方法を採用し、それを実現する読取機器としては特に制限はない。なかでも、最近に於いて代表的なのは、ペン型の読取機器である。
そこで、次に、本発明の座標情報パターンの読み取り方法の一形態を、ペン型の読取機器(以下、読取ペンとも呼称する)に適用した場合に読取ペンがどの様になるかを、本方法の一例として説明する。また、この様な読取ペンは、従来技術欄で取り上げた、特許文献1の特開2003−256137号公報、特許文献2の特開2001−243006号公報、などに記載されたペンでもある。
ここで一例として説明する読取ペンでは、内部に、赤外線LEDの光源4とCMOSカメラの画像センサ5を備え、更にこれらとペン先との間にはこれらに共通の円偏光フィルタを備える。更に、読取ペンは、プロセッサ、メモリ、BLUETOOTH(登録商標)による無線通信部、電池、筆圧検知部なども備える。なお、読取ペンのペン先は、ディスプレイ画面に対する座標読取を想定した場合は必要性が少ないので、可視の文字が書ける筆記部は省略した構造としてある。
そして、ペン先を座標入力シートの表面に接触させると、筆圧検知部で検知された筆圧により、光源と画素センサの電源が入り、ペン先近傍を円偏光フィルタによって円偏光の赤外線で照明し、該近傍からの反射光を円偏光フィルタで特定円偏光のみ抽出しその赤外線によって、座標情報パターンが画像センサで読み取られる。画像センサの読み取りは、例えば100回/秒の間隔で動的に行われ、ペン先を該シート面上で動かすに連れて、リアルタイムでペン先近傍の座標情報パターンが画像として次々と読み取られる。そして、プロセッサは撮影した座標情報パターンを解析して、ペン先移動に伴うシート面の座標とその時間変化が入力軌跡データとして生成され、その入力軌跡データが無線通信部によって外部のコンピュータなどの情報処理装置へ送信される、というものである。
なお上述した読取ペンへの適用例は、読取機器への適用例の一例に過ぎず、本発明の読み取り方法はこれに限定されるものではない。また、読取機器の構成も各種変形があることはもちろんである。
<用途>
本発明の座標情報パターンの読み取り方法の用途は特に限定されるものではなく、例えば、手書き文字入力や、入力面上に表示される各種情報を選択指示する指示入力、等の用途である。更に具体的には、座標入力シートが透明な場合では、テレビ、パーソナルコンピュータ、インターネット端末、モニタディスプレイなどのディスプレイ画面、或いはホワイトボード、或いは、携帯電話、PHS(登録商標、Personal Handyphone System)、PDA等の各種携帯端末のディスプレイ画面、などへの入力用途である。また、座標入力シートが不透明な場合では、各種用紙に手書き記入する文字や用紙上の各種情報を選択指示する指示などの入力用途である。なかでも、座標入力シートは大面積が容易である点で、テレビ、パーソナルコンピュータ、インターネット端末、モニタディスプレイなどのディスプレイ画面は好適な用途である。
次に、実施例及び比較例により更に本発明を詳述する。但し、本発明は以下の例に限定されるものではない。
[実施例1]
(1)座標情報パターン用インキの調製
赤外線反射性を有し、可視光領域で透明な座標情報パターンを印刷する為のインキを次の様にして調製した。
両末端に重合可能なアクリレート構造、中央部にメソゲン構造、前記アクリレート構造との間にスペーサーを有し、ネマチック−アイソトロピック転移温度が110℃付近であるモノマー(前記した式(11)で示される分子構造を有するもの)100質量部と、両末端に重合可能なアクリレートを有するカイラル剤(前記した式(12)で示される分子構造を有するもの)3.3質量部とをシクロヘキサノンに溶解させたシクロヘキサノン溶液を調製して目的とするインキとした。なお、このシクロヘキサノン溶液には、4質量部の光重合開始剤(BASFジャパン株式会社製、ルシリン(登録商標)TPO)を添加した。
(2)透明基材の作製
濃度が2重量%となるように純水に溶かしたヒドロキシエチルセルロース(HEC)溶液を、バーコートによって、透明基板としての透明なトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(厚み80μm、鹸化処理済)上に塗布し乾燥後、100℃で成膜することで、(膜厚0.2μm)、配向膜付きの透明な基材を作製した。
(3)座標情報パターンの印刷
ドットパターンとして座標情報パターンを印刷により次の様にして形成した。
前記基材上に、前記の座標情報パターン用インキを用いて、グラビア印刷法により、選択反射層を有する円偏光選択反射性パターンとして、座標情報パターンの印刷を行なった。次に、加熱乾燥させると同時に液晶のコレステリック相転移を進行させた。
そして、上記座標情報パターンに紫外線を照射し、該パターン中の光重合開始剤から発生するラジカルによってモノマー分子とカイラル剤のアクリレートを3次元架橋してポリマー化させて、コレステリック構造を固定化し、目的とする座標入力シートを作製した。
なお、座標情報パターンを構成する各ドットの形状は円盤状(ただし若干真中が厚い)である。また、ドット(選択反射層)の平均膜厚は4μm、ドットのサイズは円盤の直径が約100μmである。また、ドットの間隔は平均で約300μmである。また、このコレステリック構造の螺旋は右螺旋を形成しており、選択反射光は右円偏光であった。
(4)座標情報パターンの読み取り
上記の様にして得られた座標入力シートに対し、該シートの座標情報パターン側の面に対して、照明光として、右円偏光のみを通過する円偏光フィルタを通して、光源から右円偏光とした赤外線を照射した。そして、読取光として該シートから反射された光を、該シートに対して前記光源と同じ側に位置する(二次元)画像センサーで、右円偏光のみを通過する円偏光フィルタを通して読み取ったところ、座標情報パターン非形成部分の基材部分からの反射は暗く、座標情報パターン部分のドットは明るく検知して読み取ることができた。また、画像センサーと光源との位置関係が近くて鏡面反射に近い位置関係だが、鏡面反射に近い場合に起きる、画像センサーの撮影範囲(検知範囲)への、光源の光の映りこみも軽減された。
[比較例1]
実施例1において、照明光及び読取光に対する円偏光フィルタを省略し、円偏光フィルタ無しとした他は、実施例1と同一条件で読み取りを試みた。円偏光フィルタを用いた場合に比べ、座標情報パターン部分であるドットからの反射光と基材部分からの反射光とのコントラストが低下した。また、画像センサーと光源とが鏡面反射に近い場合に起きる、画像センサーの撮影範囲(検知範囲)への光源光の映り込みは非常に強く、基材部分からの反射光とドット部分からの反射光とを区別することができなかった。
本発明による座標情報パターンの読み取り方法を概念的に説明する概念図 (読取光経路に円偏光フィルタを1枚配置した場合)。 本発明による座標情報パターンの読み取り方法を概念的に説明する概念図 (照明光経路に円偏光フィルタを1枚配置した場合)。 本発明による座標情報パターンの読み取り方法を概念的に説明する概念図 (照明光経路と読取光経路の両方に円偏光フィルタを1枚ずつ配置した場合)。 選択反射光の円偏光向きと逆向きの円偏光フィルタを使用する場合の1例を概念的に説明する概念図。
符号の説明
1 座標情報パターン
2 基材
3 座標入力シート
4 光源
5 画像センサ
61 円偏光フィルタ(照明光用、右円偏光フィルタ)
62 円偏光フィルタ(読取光用、右円偏光フィルタ)
63 円偏光フィルタ(読取光用、左円偏光フィルタ)
7 照明光
7R 右円偏光の照明光
8 反射光
8R 右円偏光の選択反射光
8R’反射光の右円偏光成分
8L 左円偏光の反射光

Claims (7)

  1. シート上での位置を表す座標情報を各座標毎に提供可能な座標情報パターンが基材上に形成された座標入力シートから、前記座標情報パターンを光学的に読み取る方法であって、
    座標入力シートとして、前記座標情報パターンにコレステリック構造を有する液晶材料を用いて、前記座標情報パターンを右円偏光又は左円偏光の光線のうちの一方の偏光成分のみを選択反射光として選択的に反射する選択反射層を有する円偏光選択反射性パターンとした座標入力シートを用い、
    且つ、該座標入力シートの座標情報パターンを照明する光源と該座標入力シート間の照明光経路中、または、該光源と同じ面側に位置して該座標入力シートの座標情報パターンを読み取る画像センサと該座標入力シート間の読取光経路中、の少なくとも一方に円偏光フィルタを配置することで、該座標情報パターンの読取時に、該座標情報パターン自体から反射され画像センサに到達する選択反射光強度の、該座標情報パターン以外の部分から反射され画像センサに到達する背景光強度に対する強度差の絶対値を増大させ、該座標情報パターンを読み取る、座標情報パターンの読み取り方法。
  2. 前記照明光経路中および前記読取光経路中の両方に円偏光フィルタを配置する請求項1に記載の座標情報パターンの読み取り方法。
  3. 座標情報パターンからの選択反射光が右円偏光又は左円偏光のうちの一方の偏光成分であり、使用する円偏光フィルタが、該選択反射光と同じ偏光向きの右円偏光又は左円偏光を通す円偏光フィルタのみからなる、請求項1又は2に記載の座標情報パターンの読み取り方法。
  4. 前記円偏光フィルタを前記照明光経路と読取光経路の両方で共用する、請求項2又は3に記載の座標情報パターンの読み取り方法。
  5. 座標入力シートの座標情報パターンを読み取る側の面が平滑面である、請求項1〜4のいずれか1項記載の座標情報パターンの読み取り方法。
  6. 座標入力シートが、基材が可視光領域に於いて透明な透明基材であり、座標情報パターンも可視光領域に於いて透明な透明パターンであり、画像表示可能なディスプレイ装置の前面に装着可能なシートである、請求項1〜5のいずれか1項記載の座標情報パターンの読み取り方法。
  7. 座標情報パターンの選択反射光として赤外線のみを選択的に反射する座標入力シートを用いる、請求項1〜6のいずれか1項記載の座標情報パターンの読み取り方法。
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