JP2008075727A - ツインクラッチ式変速機の発進制御装置及び発進制御方法 - Google Patents

ツインクラッチ式変速機の発進制御装置及び発進制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ツインクラッチ式変速機において、車両の発進を円滑に行なうことができるようにする。
【解決手段】第1,第2の2本の入力軸と、1本の出力軸と、各入力軸とエンジンとの間にそれぞれ介装された第1,第2の2つの摩擦クラッチ12,13と、第1の入力軸に動力断接可能な同期装置を介して接続された1速段を達成可能な第1の変速ギア機構と、第2の入力軸に動力断接可能な同期装置を介して接続された2速段を達成可能な第2の変速ギア機構とをそなえたツインクラッチ式変速機において、車両の発進時に、予め第1の変速ギア機構を1速段に第2の変速ギア機構を2速段にそれぞれ設定し、第1,第2の摩擦クラッチ12,13で伝達トルクを所要比率R1,R2で分担させながら、発進に必要なトルク容量を各摩擦クラッチで別々に設定しながら、この発進に必要なトルク容量と比率R1,R2とに応じて各摩擦クラッチを制御する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、2本の入力軸と1本の出力軸とを備え、各々の入力軸に摩擦クラッチがそれぞれ付設され、各入力軸と出力軸との間に変速ギアが介装されて、摩擦クラッチを選択的に係合してギア段を設定するツインクラッチ式変速機の発進制御装置及び発進制御方法に関するものである。
車両用自動変速機として、流体継手(トルクコンバータ)を使用したものが普及しているが、この流体継手は変速ショックが少ないという利点の反面、動力伝達ロスを招き燃費の観点からは好ましくない。このため、流体継手を用いない車両用自動変速機や、その自動変速機のシフト(変速段の切替、以下、単に変速ともいう)制御等の技術が開発されている。しかし、流体継手を用いない場合、変速ショックが生じやすく、特に、発進時には、変速機に大きなトルクが入力されるため、変速ショックをより招きやすい。
そこで、流体継手を用いない車両用自動変速機を用いた場合にも、車両の発進を滑らかに行なえるようにする自動変速機の発進時の制御技術が開発されている。例えば、特許文献1に開示された技術がある。
この発進制御技術では、車両のエンジンに連結された車両用クラッチ(例えば、パウダクラッチ)の伝達トルクを、車両の発進時に制御する車両用クラッチ制御装置において、エンジンの回転数Neを検出する回転数検出手段と、車両用クラッチの速度比eを算出する速度比算出手段と、この速度比eに対応付けて、上記車両用クラッチを流体継手と想定した場合の容量係数Cを記憶しておく容量係数記憶手段と、速度比算出手段によって算出された速度比eを基に上記容量係数記憶手段より対応する容量係数Cを求め、求められた容量係数C及び回転数検出手段によって検出されたエンジン回転数Neを2乗した値に基づいて車両用クラッチの伝達トルクを制御する伝達トルク制御手段と、を備えている。
この技術では、速度比eに対応付けて、車両用クラッチを流体継手と想定した場合の容量係数C及びエンジン回転数Neを2乗した値に基づいて車両用クラッチの伝達トルクを制御するため、例えばパウダクラッチ等の電気的に制御されるクラッチのトルク伝達特性を、トルクコンバータのような流体継手のトルク伝達特性に近似させることができ、トルクコンバータのような円滑な発進を実現できる。
一方、流体継手を用いない車両用自動変速機としては、いわゆるツインクラッチ式変速機がある。この変速機は、例えば、特許文献2に開示されているように、エンジンとそれぞれ摩擦クラッチ(以下、単にクラッチという)を介して連結可能とされた2本の変速機入力軸(以下、単に入力軸という)と、各入力軸にそれぞれ接続された各変速ギア機構と、各変速ギア機構に接続された1本の変速機出力軸(以下、単に出力軸という)とを備え、2つのクラッチを選択的に使用して、2つの変速ギア機構のいずれかを使用するように構成されている。
2本の入力軸は、一般には互いに同軸に配置されている。また、通常は、一方の入力軸上には偶数の変速段のためのギア段が設けられ、他方の入力軸上には奇数の変速段のためのギア段が設けられている。各クラッチは、滑り摩擦又は静止摩擦により、エンジンと入力軸とを連結するように構成される。
特開昭63−305039号公報 特開平10−089456号公報
ところで、特許文献1の技術は、1つの発進クラッチを具備する変速機を対象としており、上述のようなツインクラッチ式変速機に適用する場合には、一方のクラッチに適用して発進制御を行うことが考えられるが、過渡的にスリップ制御されるときの発熱がクラッチの劣化を早める虞がある。また、一方のクラッチによる発進制御中に、他方のクラッチに連なるギヤ段への変速条件が成立した場合に、その切替制御への移行が困難であるという課題がある。
そこで、本願発明者らは、上述のようなツインクラッチ式変速機、即ち、第1,第2の2本の入力軸と、1本の出力軸と、前記各入力軸とエンジンとの間にそれぞれ介装された第1,第2の2つの摩擦クラッチと、第1入力軸に動力断接可能な同期装置を介して接続された1速段を達成可能な第1の変速ギア機構と、第2入力軸に動力断接可能な同期装置を介して接続された2速段を達成可能な第2の変速ギア機構とをそなえたツインクラッチ式変速機において、車両の発進時に、予め第1の変速ギア機構を1速段に第2の変速ギア機構を2速段にそれぞれ設定し、第1,第2の摩擦クラッチで所要比率R1,R2で伝達トルクを分担させながら、総伝達トルク容量が発進に必要な大きさになるように制御する技術を創案した。
この場合、発進に必要なトルク容量を以下に設定するかが課題となる。
つまり、この発進に必要なトルク容量Tsを、例えば次式に(1)示すように、第1入力軸の回転数NI1と第2入力軸の回転数NI2とを所定の比率で内分した回転数とエンジン回転数Neとの比(速度比)eidに応じて決定することが考えられる。
Ts=f(eid)*(NE−offset)2…(1)
id=(NI1*R1+NI2*R2)/NE
Ts :発進に必要なトルク容量
f :容量係数ファンクション
NI1 :第1入力軸の回転数
NI2 :第2入力軸の回転数
R1 :第1摩擦クラッチへのトルク容量の配分比(0≦R1≦1)
R2 :第2摩擦クラッチへのトルク容量の配分比(R2=1−R1)
NE :エンジン回転数
offset :適合定数(オフセット量)
なお、容量係数ファンクションは、速度比eが1の状態で発進に必要なトルク容量Tsを最小とし、速度比eが1から離れる(1よりも大きくか又は小さくなる)に応じて発進に必要なトルク容量Tsを大きくするように設定された関数である。発進時には、エンジントルクを第1入力軸及び/または第2入力軸に入力する状態であるため、速度比eは通常1よりも小さくなり、上記の速度比eidも当然1よりも小さくなる。
ところで、発進制御では、発進時には第1入力軸を主体としたトルク分担とするが、その後の加速過程で、シフトアップを円滑に行なうために、この第1入力軸を主体としたトルク配分状態から第2入力軸を主体としたトルク配分状態へ移行させること、換言すれば、第1入力軸のトルク容量配分比R1を減らすとともに第2入力軸のトルク容量配分比R2を増やすことが必要になる。
2速段にかかる第2入力軸の回転数NI2は、変速比の割合だけ1速段にかかる第1入力軸の回転数NI1よりも常に低いため、上述のように、第1入力軸のトルク容量配分比R1を減らして第2入力軸のトルク容量配分比R2を増やすと、上記の速度比eidは次第に小さくなっていくので、発進に必要なトルク容量Tsは次第に大きくなる。このように、発進に必要なトルク容量Tsがシフトアップのための配分比の変更に対応して大きくなると、エンジン側の回転上昇、いわゆる、エンジン回転の吹け上がりが抑えられてしまい、良好な発進加速フィーリングを得られないという課題が発生する。
この発明は、このような課題に着目することで案出されたもので、ツインクラッチ式変速機において、車両の発進を円滑に且つフィーリング良く行なうことができるようにした、ツインクラッチ式変速機の発進制御装置及び発進制御方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の車両用ツインクラッチ式変速機の発進制御装置(請求項1)は、第1及び第2の2本の変速機入力軸と、1本の変速機出力軸と、前記第1の変速機入力軸とエンジンとの間に介装された第1の摩擦クラッチ及び前記第2の変速機入力軸と前記エンジンとの間に介装された第2の摩擦クラッチと、前記第1の変速機入力軸に動力を断接可能な同期装置を介して接続され、少なくとも1速段を含む複数の変速段のいずれかを達成するための第1の変速ギア機構と、前記第2の変速機入力軸に動力を断接可能な同期装置を介して接続され、少なくとも2速段を含む複数の変速段のいずれかを達成するための第2の変速ギア機構と、をそなえた、車両用ツインクラッチ式変速機の車両発進制御装置であって、前記車両の発進前の停止及び発進を判定する車両状態判定手段と、前記車両状態判定手段により前記車両の発進前の停止が判定されると、前記第1の変速ギア機構を前記1速段に、前記第2の変速ギア機構を前記2速段にそれぞれ設定して、前記車両状態判定手段により前記車両の発進が判定されると、前記両摩擦クラッチを制御する発進制御手段とを備え、前記発進制御手段は、前記発進に必要なトルク容量である発進トルク容量を、前記第1の摩擦クラッチと、前記第2の摩擦クラッチとで、別々に設定する発進トルク容量設定手段と、前記発進トルク容量の前記第1の摩擦クラッチと前記第2の摩擦クラッチとへの配分比R1:R2を設定する配分比設定手段と、前記各発進トルク容量と前記配分比R1:R2とに基づいて前記各摩擦クラッチのクラッチ容量を設定するクラッチ容量設定手段とを備えていることを特徴としている。
前記発進トルク容量設定手段は、前記第1の摩擦クラッチに関する前記発進トルク容量と、前記第2の摩擦クラッチに関する前記発進トルク容量とを、エンジン回転の吹けあがり軌跡が同じになるように設定することが好ましい(請求項2)。これにより、第1の摩擦クラッチと第2の摩擦クラッチとの間での配分比移行を上述のエンジン回転の吹け上がりが抑えられるという問題を起こすことなくスムーズに行なえるようになる。
また、前記発進トルク容量設定手段は、前記第1及び第2の各摩擦クラッチの入出力回転数の比と、前記エンジン回転数とから、前記の各発進トルク容量を算出することが好ましい(請求項3)。これにより、第1の摩擦クラッチ及び第2の摩擦クラッチの各発進トルク容量を確実に設定することができる。
さらに、前記発進制御手段は、前記の各配分比の値R1,R2を何れも0以外として前記第1及び第2の両摩擦クラッチを何れも滑り係合状態とする両掴み制御を、前記エンジンのアクセル操作量と車速とに応じて実施することが好ましい(請求項4)。
この場合、前記発進制御手段は、前記両掴み制御よりも前記車速の低速側で実施し前記配分比R1:R2を1:0として前記第1の摩擦クラッチのみを係合させる第1の摩擦クラッチ単独係合制御と、前記両掴み制御よりも前記車速の高速側で実施し前記配分比R1:R2を0:1として前記第2の摩擦クラッチのみを係合させる第2の摩擦クラッチ単独係合制御とを実施することが好ましい(請求項5)。
このように、第1の摩擦クラッチ単独係合制御,両掴み制御,第2の摩擦クラッチ単独係合制御の各制御を、アクセル操作量と車速とに応じて実施することで、変速線に応じた変速に両掴み制御をマッチングさせることができ、発進時制御を円滑に行なうことができる。
また、前記発進制御手段は、前記両掴み制御時の前記配分比R1:R2を、前記エンジンの回転数と前記第1の変速機入力軸の回転数との差回転数により決定することが好ましい(請求項6)。これにより、例えば、発進後、エンジン回転数と第1の変速機入力軸の回転数とが等しくなったときに第1の摩擦クラッチの配分比R1を0とすることができ、両掴み制御から第2の摩擦クラッチ単独係合制御への移行をスムーズに実施することができる。
この場合、前記発進制御手段は、前記第1の変速機入力軸の回転数が前記エンジンの回転数よりも大きい場合には、前記第1の摩擦クラッチの前記配分比を0とすることが好ましい(請求項7)。第1の変速機入力軸の回転数がエンジン回転数よりも大きい場合に第1の摩擦クラッチを係合させると、第1の摩擦クラッチは出力回転を減速させ、第2の変速機入力軸に対してブレーキとして働いてしまうが、これを防ぐことができる。
また、本発明の車両用ツインクラッチ式変速機の発進制御方法(請求項8)は、第1及び第2の2本の変速機入力軸と、1本の変速機出力軸と、前記第1の変速機入力軸とエンジンとの間に介装された第1の摩擦クラッチ及び前記第2の変速機入力軸と前記エンジンとの間に介装された第2の摩擦クラッチと、前記第1の変速機入力軸に動力を断接可能な同期装置を介して接続され、少なくとも1速段を含む複数の変速段のいずれかを達成するための第1の変速ギア機構と、前記第2の変速機入力軸に動力を断接可能な同期装置を介して接続され、少なくとも2速段を含む複数の変速段のいずれかを達成するための第2の変速ギア機構と、をそなえた、車両用ツインクラッチ式変速機の車両発進制御方法であって、前記車両の発進前の停止が判定されると、前記第1の変速ギア機構を前記1速段に、前記第2の変速ギア機構を前記2速段にそれぞれ設定する第1のステップと、その後、前記車両の発進が判定されると、発進に必要なトルク容量である発進トルク容量を、前記第1の摩擦クラッチと前記第2の摩擦クラッチとで別々に設定するとともに、前記第1の摩擦クラッチと前記第2の摩擦クラッチとの配分比R1:R2を設定して、各摩擦クラッチ毎に設定した前記発進トルク容量と前記の各配分比の値R1,R2とに基づいて前記両摩擦クラッチのクラッチ容量を設定し、前記両摩擦クラッチを該クラッチ容量に基づき制御する第2のステップと、をそなえていることを特徴としている。
本発明の車両用ツインクラッチ式変速機の発進制御装置(請求項1)又は発進制御方法(請求項8)によれば、車両の発進前の停止時には、第1の変速ギア機構を1速段に、第2の変速ギア機構を2速段にそれぞれ設定して、車両の発進時には、発進に必要なトルク容量である発進トルク容量を設定するとともに、両摩擦クラッチの配分比を設定して、これらの設定した発進トルク容量と配分比とに基づいて両摩擦クラッチの係合を制御するので、発進時のクラッチの負荷を第1の摩擦クラッチと第2の摩擦クラッチとの両者に分担させることができ、クラッチ発熱量が抑えられて各摩擦クラッチの負担が軽減されるため、これらの摩擦クラッチの耐久性を向上させることができる。また、ギア比の異なる第1及び第2の2本の変速機入力軸を介して動力が伝達されるので、車両の振動を低減させることができる。
そして、発進トルク容量については、第1の摩擦クラッチの発進トルク容量と、第2の摩擦クラッチの発進トルク容量とで、別々に設定するので、第1の入力軸主体のトルク伝達状態から第2の入力軸主体のトルク伝達状態への移行を、エンジンの吹け上がりを実施しながら円滑に行なえるようになる。
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図7は本発明の一実施形態に係る車両用ツインクラッチ式変速機の発進制御装置及び発進制御方法について示すものであり、これらの図に基づいて説明する。
(自動変速機の構成)
まず、本実施形態で対象とする自動変速機である車両用ツインクラッチ式変速機の構成について説明する。
図2に示すように、この車両用ツインクラッチ式変速機2は、入力軸11と、いずれもこの入力軸11に入力側部材を結合された第1の摩擦クラッチ(以下、単に第1クラッチ又はクラッチ1という)12及び第2の摩擦クラッチ(以下、単に第2クラッチ又はクラッチ2という)13と、出力軸14と、第1クラッチ12と出力軸14との間に介装された第1変速ギア機構20Aと、第2クラッチ13と出力軸24との間に介装された第2変速ギア機構20Bと、を備えて構成される。
第1変速ギア機構20Aは、第1の変速機入力軸(以下、単に第1入力軸又は入力軸1という)15Aと、第1の変速機出力軸(以下、単に第1出力軸又は出力軸1という)16Aと、第1入力軸15Aと第1出力軸16Aとの間に介装された、ギヤ21a,21b,シンクロ機構付き係合機構(同期装置、以下、単にシンクロとも言う)21cからなる1速ギヤ組21,ギヤ23a,23b,シンクロ機構付き係合機構23cからなる3速ギヤ組23,ギヤ25a,25b,シンクロ機構付き係合機構25cからなる5速ギヤ組25とをそなえている。
第2変速ギア機構20Bは、第2の変速機入力軸(以下、単に第2入力軸又は入力軸2という)15Bと、第2の変速機出力軸(以下、単に第2出力軸又は出力軸2という)16Bと、第2入力軸15Bと第2出力軸16Bとの間に介装された、ギヤ22a,22b,シンクロ機構付き係合機構22cからなる2速ギヤ組22,ギヤ24a,24b,シンクロ機構付き係合機構24cからなる3速ギヤ組24,ギヤ26a,26b,シンクロ機構付き係合機構26cからなる5速ギヤ組26とを備えている。
また、出力側軸16Aの出力端部及び出力側軸16Bの出力端部は、それぞれ、ファイナルギヤ17を介して出力軸14と接続されており、出力側軸16Aの回転及び出力側軸16Bの回転は、ファイナルギヤ17のギア比に応じた速度に変更されて出力軸14に伝達されるようになっている。
なお、図2に示すr1,r2,r3,r4,r5,r6,rfは、1速ギヤ組21,2速ギヤ組22,3速ギヤ組23,4速ギヤ組24,5速ギヤ組25,6速ギヤ組26,ファイナルギヤ17の各ギヤ比である。
このような構成により、1速,3速,5速の変速段を達成するには、達成すべき変速ギア組のシンクロ21c又は23c又は25cのみを係合させ、第1クラッチ12を係合させ、第2クラッチ13を開放する。2速,4速,6速の変速段を達成するには、達成すべき変速ギア組のシンクロ22c又は24c又は26cのみを係合させ、第2クラッチ13を係合させ、第1クラッチ12を開放する。
(変速制御装置の構成)
次に、本実施形態にかかる車両用ツインクラッチ式変速機の発進制御装置の要部構成について説明する。この発進制御装置1は、発進時に限らない変速(変速段の切替)全てを制御する変速制御装置の機能の一部として構成される。
図1に示すように、この発進制御装置1には、上記の自動変速機(ツインクラッチ式変速機2と、変速機2の作動を制御する電子制御手段(ECU)3とをそなえ、ECU3内には、第1クラッチ12及び第2クラッチ13の係合(締結)及び開放を制御するクラッチ制御部3Aと、各変速ギア機構20A,20Bのシンクロ21c,22c,23c,24c,25c,26cの係合(締結)及び開放を制御するシンクロ制御部3Bとがそなえられている。
なお、クラッチ制御部3Aには、発進に必要なトルク容量(以下、発進トルク容量という)Tsを算出(設定)する発進トルク容量演算部(発進トルク容量設定手段)31と、この発進トルク容量Tsの第1クラッチ12と第2クラッチ13とへの配分比R1:R2を設定する配分比演算部(配分比設定手段)32と、演算された発進トルク容量Tsと配分比R1,R2とから各クラッチ12,13のトルク伝達容量(クラッチ容量)Tc1,Tc2を演算する個別クラッチ容量演算部(クラッチ容量設定手段)33とをそなえている。
なお、発進トルク容量演算部31は、発進後の通常走行時における変速制御等の際に、第1クラッチ12と第2クラッチ13との両クラッチにより伝達するトルクの合計(総トルク容量)を算出する機能(総トルク容量演算部)の中の発進制御に特化した機能要素である。
変速制御装置1による発進時の制御には、その準備段階として発進前の停止時(即ち、シフトレンジをDレンジにセットした停止時)から行なう予備制御と、その後の発進時点から開始する本制御とがある。
予備制御について説明すると、Dレンジ状態での車両の停止時には、ツインクラッチ式変速機の一般的な制御として行われるように、第1クラッチ12及び第2クラッチ13を開放状態として、第1変速ギア機構20Aは1速ギヤ組21のシンクロ21cを係合させて1速段に設定し、第2変速ギア機構20Bは2速ギヤ組22のシンクロ22cを係合させて2速段に設定する。
なお、Dレンジ状態での車両の停止は発進前の停止に相当し、Dレンジ状態あるか否かはシフトポジションセンサにより検出することができ、車両の停止は車速センサにより検出することができる。ECU3には、これらのシフトポジションセンサ及び車速センサからの検出情報に基づいて、Dレンジ状態での車両の停止(発進前の停止)であるか否かを判定する判定部(車両状態判定手段)34をそなえており、判定部34でDレンジ状態での車両の停止が検出されたら、シンクロ制御部3Bが、第1変速ギア機構20Aを1速段に、第2変速ギア機構20Bを2速段に設定し、クラッチ制御部3Aが両クラッチ12,13を開放状態とする。
また、判定部34には、スロットル開度センサからスロットル開度(スロットルバルブ開度)TVOが入力され、車両停止時に、スロットル開度TVOが微小な基準値以上になったら、車両の発進状態であるものと判定するようになっている。なお、このスロットル開度に替えて、アクセル開度(アクセル操作量)θを用いてもよい。つまり、アクセルポジションセンサからアクセル開度θを入力され、車両停止時に、アクセルス開度θが微小な基準値以上になったら、車両の発進状態であるものと判定するようにしてもよい。
そして、Dレンジ状態での車両停止から車両が発進すると、判定部34によって、この発進が判定されて本制御が行われる。本制御では、第1クラッチ12及び第2クラッチ13の少なくともいずれかを係合(締結)させていく。
つまり、Dレンジの発進時には、1速および2速のシンクロが係合されており、入力軸1の第1クラッチ12及び/又は入力軸2の第2クラッチ13が滑りながら動力を伝達する。
この発進時における第1クラッチ12及び第2クラッチ13の係合は、図3のマップに示すように車速VSP及びスロットル開度TVOに基づいて設定される。つまり、図3は本変速機の変速マップであり、低車速域は1速段のみを用いる領域(図中に1stで示す1速段領域)となっており、この1速段領域では、第1クラッチ12のみを係合させる制御(第1の摩擦クラッチ単独係合制御)を行なう。この1速段領域よりも高車速域は第1クラッチ12と第2クラッチ13との両方を滑り係合(両掴み)して1速段と2速段とを共に用いる領域(両掴み領域)となっており、この両掴み領域は、第1クラッチ12と第2クラッチ13とを所要の配分比で伝達トルク容量を分担させる制御(両掴み制御)を行なう。この両掴み領域よりもさらに高車速域は2速段のみを用いる領域(図中に2ndで示す2速段領域)となっており、この2速段領域では、第2クラッチ13のみを係合させる制御(第1の摩擦クラッチ単独係合制御)を行なう。
このような発進制御では、発進トルク容量演算部31では、発進トルク容量TSを第1クラッチ12と第2クラッチ13とで別々に設定する。つまり、図4に示すように、第1クラッチ12に用いる発進トルク容量TS1は1速段側クラッチ指令トルク演算部31Aにより、次式(A1)に示すように算出し、第2クラッチ13に用いる発進トルク容量TS3は3速段側クラッチ指令トルク演算部31Bにより、次式(A2)に示すように算出する。
TS1=f1(NI1/NE)*(NE−offset)2…(A1)
TS2=f2(NI2/NE)*(NE−offset)2…(A2)
NI1 :第1入力軸の回転数
NI2 :第2入力軸の回転数
NE :エンジン回転数
Offset :適合定数(オフセット量)
上記の式(A1),(A2)は、クラッチの伝達トルクの大きさがクラッチのトルク容量係数とエンジン回転数の二乗との積として演算される一般的なクラッチモデルに基づいており、上記の式(1)における(NI1/NE)は、第1入力軸15Aの回転数NI1とエンジン回転数NEとの速度比eであり、(NI2/NE)は、第2入力軸15Bの回転数NI2とエンジン回転数NEとの速度比eである。f1,f2はいずれも速度比eを変数とする関数(容量係数ファンクション)であって、一般にはf(e)として表せ、このf(e)の値が容量係数Cである。また、(NE−offset)はエンジン回転数に相当する。
本実施形態の場合、第1クラッチ12の容量係数C1は、速度比(NI1/NE)を変数とする容量係数ファンクションf1(NI1/NE)により、速度比(NI1/NE)に応じて決定され、第2クラッチ13の容量係数C2は、速度比(NI2/NE)を変数とする容量係数ファンクションf2(NI2/NE)により、速度比(NI2/NE)に応じて決定される。なお、速度比,容量係数ファンクション,容量係数を一般的に説明する場合には、それぞれe,f,Cで示す。
また、一般に、容量係数ファンクションfは、速度比eが1.0の時に容量係数Cを最小とし、速度比eが1.0から離れるのにしたがって容量係数Cを大きくする関数であり、最もシンプルには図4に破線で示すような線形関数とすることができるが、図5に実線で示すように速度比eが1.0から離れるに連れて、トルク係数Cの増加割合が次第に小さくなるような曲線関数とする方が、トルコンライクなクラッチ動作を実現することができるため、好ましい。また、発進初期には、速度比eは小さくなる(e≪1.0)が、このときの容量係数ファンクションfは、発進に必要な容量となるように、十分に大きな値に設定されている。
つまり、容量係数ファンクションfを図5に実線で示すように設定すれば、車両発進時には、クラッチの速度比eが1.0の直近に接近するまでは、クラッチの容量係数Cが大きく設定されるため、クラッチの速度比eが1.0に近づくようにクラッチの締結圧が滑らかに自動制御されることになる。そして、速度比eが1.0に近づくに連れてクラッチの容量係数Cが小さく設定され、特に、速度比eが1.0の近傍では、トルク係数Cが大幅に低下されるため、アクセルペダルの踏み込み操作や戻し操作に対してクラッチをスリップさせやすくすることができ、比較的ラフなアクセル操作に対してトルクショックが抑制されることになる。
本実施形態では、第1クラッチ12の容量係数ファンクションf1と第2クラッチ13の容量係数ファンクションf2とを、発進時に第1クラッチ12のみを用いた1速段によるエンジン回転の吹けあがり軌跡と、発進時に第2クラッチ13のみを用いた2速段によるエンジン回転の吹けあがり軌跡とが、同じになるように設定している。この設定は、試験結果を用いてもよく、エンジンデータに基づく理論計算を用いても良い。
また、エンジン回転数として、実際のエンジン回転数をオフセットした値(NE−offset)を用いているが、これは、演算上のエンジン回転数を実際のエンジン回転数NEよりも小さく見積もる(減少方向へオフセットさせる)ことによって、エンジン回転数の吹き上がり感を変化させているものである。
なお、オフセット補正量(以下、オフセット量という)offsetは、図6に示すように、スロットル開度TVOが所定開度TVO1以下であるときには、そのスロットル開度TVOの大きさに関わらず、オフセット量offsetが所定値offset1に設定されるようになっている。また、スロットル開度TVOが所定開度TVO1を超えているときには、そのスロットル開度TVOが大きいほど、スロットル開度TVOの増加量に比例して、オフセット量offsetが大きく設定されるようになっている。
つまり、スロットル開度TVOが小さい場合にはオフセット量offsetが小さな値に設定され、スロットル開度TVOが大きい場合にはオフセット量offsetが大きな値に設定される。そして、スロットル開度TVOが所定開度TVO1以上の範囲では、スロットル開度TVOの増大に従ってオフセット量offsetが漸増するように設定されている。
なお、この場合も、スロットル開度に替えて、アクセル開度θを用いてもよい。つまり、アクセル開度θが所定開度θ1以下であるときには、そのアクセル開度θの大きさに関わらず、オフセット量offsetが所定値offset1に設定されるようになっている。また、アクセル開度θが所定開度θ1を超えているときには、そのアクセル開度θが大きいほど、アクセル開度θの増加量に比例して、オフセット量offsetが大きく設定される。
このようなオフセット量offsetは、伝達トルクの演算上において、実際のエンジン回転数NEを小さく見積もる(減少方向へオフセットさせる)ことによって、エンジン回転数の吹け上がり感を変化させるパラメータである。例えば、アクセルペダル6の踏み込み操作によりアクセル開度θが増加し、これに応じたスロットル開度TVOの増加に伴いオフセット量offsetが増加した場合、制御のためのエンジン回転数が実際のエンジン回転数NEよりも小さく見積もられるため、それに応じて伝達トルク(すなわち、トルク容量)が若干小さめに制御されることになる。そのため、エンジンに働く負荷が軽減されることになり、実際のエンジン回転数NEを用いてクラッチの伝達トルクを演算した場合と比較して、エンジンはより吹け上がる(回転数が上昇する)ことになる。つまり、アクセルペダルの踏み込み操作時における加速性が向上することになるのである。
配分比演算部32は、図7に示すように、基本配分比演算部32Aと、配分比補正ゲイン演算部32Bと、第1クラッチ配分比決定部32Cと、第2クラッチ配分比決定部32Dとの各機能をそなえている。
基本配分比演算部32Aでは、アクセル操作量の検出値TVOsと車速の検出値VSPsとが入力され、これらに基づいて基本配分比R1bを演算して出力する。ここでは、第1クラッチ12の配分比に着目して説明する。図3のマップに示すように、1速段領域と両掴み領域との境界線が基本配分比R1b=1の線であり、両掴み領域と2速段領域との境界線が基本配分比R1b=0の線である。
また、基本配分比R1b=1の線よりも低車速側の1速段領域では基本配分比R1b=1に固定され、基本配分比R1b=0の線よりも高車速側の2速段領域では基本配分比R1b=0に固定される。
そして、現在の車速VSPs及び現在のスロットル開度TVOsが基本配分比R1b=1の線と基本配分比R1b=0の線との間にある場合は、現在の車速VSPsと配分比R1=1の車速Vr1との差βと、基本配分比R1b=0の線上の車速と基本配分比R1b=1の線上の車速との差αとに応じた内分により基本配分比R1s(=1−β/α)を決定することができる。なお、第2クラッチ13の配分比R2はR2=1−R1であるので、第2クラッチ13の基本配分比R2sはR2s=β/αとなる。
配分比補正ゲイン演算部32Bでは、エンジン回転数NEから第1入力軸15Aの回転数NI1を減算した差回転数(NE−NI1)に応じて補正ゲインGRを演算して出力する。補正ゲインGRは、図7に示すように、差回転数(NE−NI1)が所定回転数ΔN1以上なら1とされ、所定回転数ΔN1以下なら差回転数(NE−NI1)が小さいほど小さい値(ここでは線形に比例する関係)とされる。また、差回転数(NE−NI1)が負の場合には補正ゲインGRは0とされる。これにより、第1入力軸15Aの回転数NI1がエンジン回転数NEを上回ると第1クラッチ12の配分比は0となり、第1クラッチ12は開放状態(クラッチ容量が0)に制御され、また、第1入力軸15Aの回転数NI1がエンジン回転数NEよりも小さい場合でも、第1入力軸15Aの回転数NI1がエンジン回転数NEに近いほど第1クラッチ12の配分比は小さくなり、第1クラッチ12のクラッチ容量は小さくされるようになっている。
第1クラッチ配分比決定部32Cでは、基本配分比演算部32Aにより演算された基本配分比R1bに配分比補正ゲイン演算部32Bにより演算された補正ゲインGRを乗算して、第1クラッチ配分比R1(=R1b*GR)を演算して出力する。
第2クラッチ配分比決定部32Dでは、1から第1クラッチ配分比R1を減算して、第2クラッチ配分比R2(=1−R1)を演算して出力する。
また、図3には示さないが、図3のマップに、スロットル開度TVO(又は、アクセル操作量θ)と車速Vとに対する2速→3速,3速→4速,4速→5速,5速→6速のアップシフト線と6速→5速,5速→4速,4速→3速,3速→2速のダウンシフト線とを併せて書き込み、シフトマップに配分比R1,R2の設定にかかる基準線を併記することにより、第1クラッチ12の配分比R1及び第2クラッチ13の配分比R2と、アップシフト線及びダウンシフト線とを、スロットル開度(又は、アクセル操作量)と車速とに関連付けて一括して管理することができる。
個別クラッチ容量演算部33では、第1クラッチ12に用いる発進トルク容量TS1と、第2クラッチ13に用いる発進トルク容量TS2と、第1クラッチ12への配分比R1と、第1クラッチ13への配分比R2とが入力され、発進トルク容量TS1と配分比R1との積により第1クラッチ12の容量(1速段側クラッチ指令トルク)TC1が演算され、発進トルク容量TS2と配分比R2との積により第2クラッチ13の容量(2速段側クラッチ指令トルク)TC2が演算され、それぞれ出力される。
本発明の一実施形態にかかる車両用ツインクラッチ式変速機の発進制御装置は、上述のように構成されているので、例えば図8に示すように、発進制御(発進制御方法)が行われる。なお、図8に示すフローは所定の周期で繰り返すものとする。
まず、ステップS10で、Dレンジ状態での車両停止であるか否かを判定部34により判定し、Dレンジ状態での車両停止ならステップS20に進み、そうでなければ、ステップS30に進む。
ステップS20では、第1変速ギア機構20Aの1速ギヤ組21のシンクロ21cを係合させて1速段に設定し、第2変速ギア機構20Bの2速ギヤ組22のシンクロ22cを係合させて2速段に設定し、ステップS30に進む。
ステップS30では、車両の発進状態であるか否かを判定部34により判定し、車両の発進状態であればステップS40に進み、そうでなければ、車両の発進制御(本制御)は開始しない。
ステップS40では、配分比演算部32により、検出されてアクセル操作量TVOs,車速VSPsと、算出された差回転数(NE−NI1)とが入力され、これらクセル操作量TVOs,車速VSPs,差回転数(NE−NI1)から第1クラッチ12への配分比R1及び第2クラッチ13への配分比R2を演算し、ステップS50に進む。
ステップS50では、発進トルク容量演算部31により、エンジン回転数NEと第1入力軸15Aの回転数NI1と第2入力軸15Bの回転数NI2とから、第1クラッチ12に用いる発進トルク容量TS1と、第2クラッチ13に用いる発進トルク容量TS2とを演算し、ステップS60に進む。
ステップS60では、個別クラッチ容量演算部33により、発進トルク容量TS1と配分比R1との積により第1クラッチ12の容量(1速段側クラッチ指令トルク)TC1を演算し、発進トルク容量TS2と配分比R2との積により第2クラッチ13の容量(2速段側クラッチ指令トルク)TC2を演算し、ステップS70に進む。
ステップS70では、各クラッチ12,13を、ステップS60で設定した容量TC1,容量TC2となるように係合状態を制御する。
このような制御によって、車両の発進時には、図9に示すように、発進初期には、第1クラッチ12の配分比R1が1(第2クラッチ13の配分比R2は0)とされ、第1クラッチ12が滑り係合しつつ、第1変速ギア機構20Aの1速ギヤ組21が使用されながら、車両の発進が行われる(第1の摩擦クラッチ単独係合制御)。車両に速度が発生するとエンジントルクTEの増加に追従するように、第1クラッチ12の容量(1速段側クラッチ指令トルク)TC1が次第に増加するため、エンジン出力の駆動輪への伝達量が増大し、車両の加速が促進される。
そして、車速が図3の配分比R1=1の車速Vr1を超えると(時点t1)、第1クラッチ12と第2クラッチ13とで伝達トルク容量を分担し始める(両掴み制御)。つまり、第1クラッチ12の配分比R1が1よりも小さくなり、第2クラッチ13の配分比R2が発生する。この後、配分比R1は車速の増加(時間の経過)とともに減少し、配分比R2は車速の増加(時間の経過)とともに増加する。そして、車速が図3の配分比R2=1の車速Vr2を超えると(時点t2、この時、第1入力軸15Aの回転数NI1は略エンジン回転数NEまで到達する)、第1クラッチ12の配分比R1は0とされ、第2クラッチ13の配分比R2は1とされて発進制御が終了し、第2クラッチ13のみを係合させた駆動が行なわれる(第2の摩擦クラッチ単独係合制御)。その後は、通常走行時の変速制御が実施される。
このようにして、本実施形態にかかる車両用ツインクラッチ式変速機の発進制御装置又は発進制御方法によれば、車両の発進時(図9における時点t1,t2間)に、第1及び第2の摩擦クラッチ12,13の双方に、発進時のクラッチの負荷を分担させるため、各摩擦クラッチ12,13の負担を軽減してこれらの摩擦クラッチ12,13の耐久性を向上させることができる。また、ギア比の異なる第1及び第2の2本の入力軸15A,15Bを介して動力が伝達されるので、動力伝達に起因した車両の振動を低減させることができる。
また、車両の発進時の初期には、ハイギヤ(2速段)側の第2の摩擦クラッチ13は係合させないでローギヤ(1速段)側の第1の摩擦クラッチ12のみを係合させ、車両が発進し微小な速度が発生してから、ハイギヤ(2速段)側の第2の摩擦クラッチ13も係合させるようにしているので、第2の摩擦クラッチ13の過剰な滑りを抑えるとともに、エンジン回転数の上昇を促進することになり、発進フィーリングも向上する。
また、第1及び第2の摩擦クラッチ12,13の配分比の基本値(基本配分比)をスロットル開度(或いは、アクセル操作量)と車速とに応じて決定することにより、発進とオートアップ変速とをスムーズに繋ぐことが可能になり、運転性を向上させることできる。
また、エンジンの回転数NEと第1の入力軸15Aの回転数NI1との差回転に基づいて差回転が少ないほど第1の摩擦クラッチ12の配分比が小さくなるように設定するので、第1の摩擦クラッチ12のトルク容量を漸減させながら第2の摩擦クラッチ13のトルク容量を漸増させるオートアップシフトのためのクラッチ掛け替えをスムーズに実施できる。
また、第1の入力軸15Aの回転数NI1がエンジンの回転数NEよりも高い場合は、第1クラッチ12への容量配分比率を0とするので、第1の入力軸15Aの回転数NI1がエンジン回転数NEよりも高い場合の動力の損失を確実に防止することができる。
さらに、発進に必要なクラッチ容量(発進トルク容量)については、第1のクラッチ12の発進トルク容量TS1と、第2のクラッチ12の発進トルク容量TS2とを、別々に設定するので、第1の入力軸15A主体のトルク伝達状態(1速段側のトルク伝達状態)から第2の入力軸15B主体のトルク伝達状態(2速段側のトルク伝達状態)への移行を、エンジンの吹け上がりを実現しながら円滑に行なえるようになる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上記の実施形態では、基本配分比を補正ゲインで補正しているが、基本配分比をそのまま配分比とすることもできる。
また、上記の実施形態では、第1入力軸15Aの回転数NI1がエンジン回転数NEよりも高い場合は第1クラッチ12への容量配分比率R1を0とすることを前提条件に、発進時の第1入力軸15Aの基本配分比R1を、スロットル開度(アクセル操作量)と車速とに応じて決定しているが、単に、第1入力軸15Aの回転数NI1とエンジン回転数NEとに基づいて基本配分比R1を設定することも考えられる。
本発明の一実施形態にかかる車両用ツインクラッチ式変速機の発進制御装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態にかかる車両用ツインクラッチ式変速機の概略構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態にかかる発進制御に用いる制御態様及びトルク容量の配分比を説明する図である。 本発明の一実施形態にかかる発進トルク容量設定手段及びクラッチ容量設定手段を示すブロック図である。 本発明の一実施形態にかかる発進制御に用いるトルク係数を説明する図である。 本発明の一実施形態にかかる発進制御に用いるエンジン回転数のオフセット量を説明する図である。 本発明の一実施形態にかかる配分比設定手段を示すブロック図である。 本発明の一実施形態にかかる発進制御を説明するフローチャートである。 本発明の一実施形態にかかる発進制御を説明するタイムチャートであり、エンジン回転数,第1入力軸回転数,第2入力軸回転数の変化、トルクの変化、及び、配分比の変化を示す。
符号の説明
1 変速制御装置(発進制御装置)
2 自動変速機(車両用ツインクラッチ式変速機)
3 電子制御手段(ECU)
3A パワーオフアップシフト手段を含むクラッチ制御部
11 入力軸
12 第1の摩擦係合要素としての第1クラッチ(クラッチ1)
13 第2の摩擦係合要素としての第2クラッチ(クラッチ2)
14 出力軸
14a,17a,17b ギア
15A 第1入力軸(入力軸1)
15B 第2入力軸(入力軸2)
16A 第1出力軸(出力軸1)
16B 第2出力軸(出力軸2)
20A 第1変速ギア機構
20B 第2変速ギア機構
21 1速ギヤ組
22 2速ギヤ組
23 3速ギヤ組
24 4速ギヤ組
25 5速ギヤ組
26 6速ギヤ組
21a,21b,23a,23b,25a,25b ギア
22a,22b,24a,24b,26a,26b ギア
21c,23c,25c 同期装置としてのシンクロ機構付き係合機構(シンクロ)
22c,24c,26c 同期装置としてのシンクロ機構付き係合機構(シンクロ)
31 発進トルク容量演算部(発進トルク容量設定手段)
32 配分比演算部(配分比設定手段)
32A 基本配分比演算部
32B 配分比補正ゲイン演算部
32C 第1クラッチ配分比決定部
32D 第2クラッチ配分比決定部
33 個別クラッチ容量演算部(クラッチ容量設定手段)
34 判定部(車両状態判定手段)

Claims (8)

  1. 第1及び第2の2本の変速機入力軸と、
    1本の変速機出力軸と、
    前記第1の変速機入力軸とエンジンとの間に介装された第1の摩擦クラッチ及び前記第2の変速機入力軸と前記エンジンとの間に介装された第2の摩擦クラッチと、
    前記第1の変速機入力軸に動力を断接可能な同期装置を介して接続され、少なくとも1速段を含む複数の変速段のいずれかを達成するための第1の変速ギア機構と、
    前記第2の変速機入力軸に動力を断接可能な同期装置を介して接続され、少なくとも2速段を含む複数の変速段のいずれかを達成するための第2の変速ギア機構と、
    をそなえた、車両用ツインクラッチ式変速機の車両発進制御装置であって、
    前記車両の発進前の停止及び発進を判定する車両状態判定手段と、
    前記車両状態判定手段により前記車両の発進前の停止が判定されると、前記第1の変速ギア機構を前記1速段に、前記第2の変速ギア機構を前記2速段にそれぞれ設定して、前記車両状態判定手段により前記車両の発進が判定されると、前記両摩擦クラッチを制御する発進制御手段とを備え、
    前記発進制御手段は、
    前記発進に必要なトルク容量である発進トルク容量を、前記第1の摩擦クラッチと、前記第2の摩擦クラッチとで、別々に設定する発進トルク容量設定手段と、
    前記発進トルク容量の前記第1の摩擦クラッチと前記第2の摩擦クラッチとへの配分比R1:R2を設定する配分比設定手段と、
    前記各発進トルク容量と前記配分比R1:R2とに基づいて前記各摩擦クラッチのクラッチ容量を設定するクラッチ容量設定手段とを備えている
    ことを特徴とする、車両用ツインクラッチ式変速機の発進制御装置。
  2. 前記発進トルク容量設定手段は、前記第1の摩擦クラッチに関する前記発進トルク容量と、前記第2の摩擦クラッチに関する前記発進トルク容量とを、エンジン回転の吹けあがり軌跡が同じになるように設定する
    ことを特徴とする、請求項1記載の車両用ツインクラッチ式変速機の発進制御装置。
  3. 前記発進トルク容量設定手段は、前記第1及び第2の各摩擦クラッチの入出力回転数の比と、前記エンジン回転数とから、前記の各発進トルク容量を算出する
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載の車両用ツインクラッチ式変速機の発進制御装置。
  4. 前記発進制御手段は、前記の各配分比の値R1,R2を何れも0以外として前記第1及び第2の両摩擦クラッチを何れも滑り係合状態とする両掴み制御を、前記エンジンのアクセル操作量と車速とに応じて実施する
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用ツインクラッチ式変速機の発進制御装置。
  5. 前記発進制御手段は、前記両掴み制御よりも前記車速の低速側で実施し前記配分比R1:R2を1:0として前記第1の摩擦クラッチのみを係合させる第1の摩擦クラッチ単独係合制御と、前記両掴み制御よりも前記車速の高速側で実施し前記配分比R1:R2を0:1として前記第2の摩擦クラッチのみを係合させる第2の摩擦クラッチ単独係合制御とを実施する
    ことを特徴とする、請求項4記載の車両用ツインクラッチ式変速機の発進制御装置。
  6. 前記発進制御手段は、前記両掴み制御時の前記配分比R1:R2を、前記エンジンの回転数と前記第1の変速機入力軸の回転数との差回転数により決定する
    ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の車両用ツインクラッチ式変速機の発進制御装置。
  7. 前記発進制御手段は、前記第1の変速機入力軸の回転数が前記エンジンの回転数よりも大きい場合には、前記第1の摩擦クラッチの前記配分比を0とする
    ことを特徴とする、請求項6記載の車両用ツインクラッチ式変速機の発進制御装置。
  8. 第1及び第2の2本の変速機入力軸と、
    1本の変速機出力軸と、
    前記第1の変速機入力軸とエンジンとの間に介装された第1の摩擦クラッチ及び前記第2の変速機入力軸と前記エンジンとの間に介装された第2の摩擦クラッチと、
    前記第1の変速機入力軸に動力を断接可能な同期装置を介して接続され、少なくとも1速段を含む複数の変速段のいずれかを達成するための第1の変速ギア機構と、
    前記第2の変速機入力軸に動力を断接可能な同期装置を介して接続され、少なくとも2速段を含む複数の変速段のいずれかを達成するための第2の変速ギア機構と、
    をそなえた、車両用ツインクラッチ式変速機の車両発進制御方法であって、
    前記車両の発進前の停止が判定されると、前記第1の変速ギア機構を前記1速段に、前記第2の変速ギア機構を前記2速段にそれぞれ設定する第1のステップと、
    その後、前記車両の発進が判定されると、発進に必要なトルク容量である発進トルク容量を、前記第1の摩擦クラッチと前記第2の摩擦クラッチとで別々に設定するとともに、前記第1の摩擦クラッチと前記第2の摩擦クラッチとの配分比R1:R2を設定して、各摩擦クラッチ毎に設定した前記発進トルク容量と前記の各配分比の値R1,R2とに基づいて前記両摩擦クラッチのクラッチ容量を設定し、前記両摩擦クラッチを該クラッチ容量に基づき制御する第2のステップと、をそなえている
    ことを特徴とする、車両用ツインクラッチ式変速機の発進制御方法。
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