以下、図面を参照して、本発明に係る配線構造の実施形態について説明する。図面の説明において、同一の要素には同じ符号を付すものとし、重複する説明は省略する。
(第1の実施形態)
先ず、図1を利用して本発明に係る配線構造の一実施形態について説明する。図1は、本発明に係る配線構造の一実施形態を含んだ車両の負荷制御システムの模式図である。
図1に示す負荷制御システム1Aは、自動車(車両)10の左右のドア部11に設けられた動作させるタイミングの異なるデイタイムランプ(第1の電装負荷)21及びターンランプ(第2の電装負荷)22の動作を制御するためのものである。図1では、左側のドア部11に対して示しているが、右側のドア部11に対する構成も同様である。そのため、以下、特に断らない限り、左側のドア部11について説明する。
負荷制御システム1Aは、上記デイタイムランプ21及びターンランプ22と、自動車10の本体部12に設けられたターンランプスイッチ部(以下、「TLスイッチ部」と称す)23、イグニッションスイッチ部(以下、「IGスイッチ部」と称す)24及びバッテリ(定電圧源)25とを有しており、TLスイッチ部23、IGスイッチ部24及びバッテリ25と、デイタイムランプ21及びターンランプ22とは、配線部(配線構造)30Aを介して接続されている。なお、IGスイッチ部24は、定電圧源(例えばバッテリ25等)と電気的に接続されており、ON状態で定電圧を出力する。また、TLスイッチ部23は、ON状態中、所定の電圧値を有するパルス状のターンパルス信号(第2の動作信号)を周期的に出力する。
デイタイムランプ21及びターンランプ22は、図2に示すようにドア部11に備えられたドアミラーのカバー部13に配設されている。図2は、ドア部11の模式図であり、図2においては、デイタイムランプ21及びターンランプ22の外観を示している。ターンランプ22は、自動車10が左右何れかに曲がるときやハザードを点灯させる際に使用されるいわゆる方向指示器である。ターンランプ22は、TLスイッチ部23がON状態になったとき、ターンランプ信号に応じて動作する。また、デイタイムランプ21は、配線部30Aに接続されており、IGスイッチ部24がON状態になっている間点灯する。よって、IGスイッチ部24は、デイタイムランプスイッチとして機能していることになる。そのため、以下では、IGスイッチ部24がON状態になっているときに、IGスイッチ部24から供給される定電圧をデイタイムランプ信号(第1の動作信号)とも称す。
TLスイッチ部23、IGスイッチ部24及びバッテリ25は、配線部30Aへの接続用のコネクタC1に電気配線L1,L2,L3を介して接続されている。これにより、配線部30Aに、ターンランプ信号、デイタイムランプ信号、及びバッテリ25からの定電圧が供給されることになる。また、コネクタC1には、一端が接地された基準電位線L4が接続されているため、配線部30Aに接地電圧(グランド電圧)が供給されることになる。
配線部30Aは、負荷制御システム1Aの一部を構成しており、TLスイッチ部23、IGスイッチ部24からのデイタイムランプ信号及びターンランプ信号に応じてデイタイムランプ21及びターンランプ22の動作を制御するためのものである。配線部30Aは、本体部12とドア部11との間に配設された電気配線(第1の接続線路)L5a及び電気配線(第2の接続線路)L5bと、本体部12側に設けられた入力制御部40Aと、ドア部11側に設けられた負荷選択部50Aとを含んで構成されている。
電気配線L5a,L5bは、本体部12及びドア部11の間のドアヒンジ部分に設けられたゴム製の筒状体であるゴムブーツ内に配置されている。電気配線L5a,L5bの両端はコネクタC2及びコネクタC3に接続されており、コネクタC2及びコネクタC3に接続可能なコネクタC4及びコネクタC5を利用して入力制御部40A及び負荷選択部50Aに接続できるようになっている。なお、コネクタC2はコネクタC1とも接続可能なものである。
入力制御部40Aは、コネクタC1に接続されるコネクタC6を介してTLスイッチ部23、IGスイッチ部24、バッテリ25及び基準電位線L4に電気的に接続されると共に、コネクタC2,C4を介して電気配線L5a,L5bに接続されている。これにより、入力制御部40Aには、デイタイムランプ信号及びターンランプ信号並びに接地電圧が供給され、電気配線L5a,L5bに電圧を供給できることになる。そして、入力制御部40Aは、デイタイムランプ信号が入力されターンランプ信号が入力されていない場合には、電気配線L5bに対して電気配線L5a側により高い電圧を供給し、ターンランプ信号が入力された場合には、電気配線L5aに対して電気配線L5b側により高い電圧を供給する。
負荷選択部50Aは、コネクタC3,C5を介して電気配線L5a,L5bに接続されている。負荷選択部50Aは、電気配線L5a,L5bと、デイタイムランプ21及びターンランプ22とを電気的に接続しており、電気配線L5a側により高い電圧がが供給されている場合にはデイタイムランプ21に電流を流して、デイタイムランプ21を点灯させる。逆に、電気配線L5b側により高い電圧が供給されている場合には、デイタイムランプ21及びターンランプ22に電流を流してそれらを点灯させる。
上記入力制御部40A及び負荷選択部50Aの構成の一例について図3を利用してより詳細に説明する。図3は配線部の構成の一例の模式図であり、入力制御部40A及び負荷選択部50Aの回路構成を示している。なお、デイタイムランプ21及びターンランプ22は、複数の発光ダイオードからなるものであるが、図3においては1つのダイオードとして模式的に表している。また、図3には、負荷制御システム1Aの他の構成要素と配線部30Aとの接続関係も示している。
図3に示すように、入力制御部40Aは、スイッチ(第1及び第2のスイッチ)41,42とコイル43とを有していおり、コイル43とスイッチ41及びコイル43とスイッチ42はそれぞれリレースイッチを構成している。
スイッチ41は、共通端子41aに対して第1接点(第1端子)41b及び第2接点(第2端子)41cを有しており、共通端子41aと第1接点41bとの接続状態を基準の第1接続状態として、コイル43に電圧が印加されコイル43に電流が流れたときには、共通端子41aと第2接点41cとの接続状態である第2接続状態に切り替える。共通端子41aは、電気配線L6a及びコネクタC2,C4を介して電気配線L5aに接続されている。また、第1接点41bは、電気配線L7、コネクタC1,C6及び電気配線L2を介してIGスイッチ部24に接続されている。更に、第2接点41cは、電気配線L8、コネクタC1,C6を介して基準電位線L4に接続され、結果として、接地されている。
また、スイッチ42は、共通端子42aに対して第1接点(第1端子)42b及び第2接点(第2端子)42cを有しており、共通端子42aと第1接点42bとの接続状態を基準の第1接続状態として、コイル43に電圧が印加されコイル43に電流が流れたときには、共通端子42aと第2接点42cとの接続状態である第2接続状態に切り替える。共通端子42aは、電気配線L6b及びコネクタC2,C4を介して電気配線L5bに接続されている。また、第1接点42bは、電気配線L9を介して電気配線L8に接続され、結果として、第1接点42bは接地されている。また、第2接点42cは、電気配線L10、コネクタC1,C6及び電気配線L3を介してバッテリ25に接続されている。
また、コイル43の一端43aは、電気配線L11、コネクタC1,C6及び電気配線L1を介してTLスイッチ部23に接続されている。また、コイル43の他端43bは、電気配線L12を介して電気配線L8に接続され、結果として、接地されている。なお、コイル43には逆電流を防止するために並列にダイオード44が設けられていることが好ましい。
上記構成の入力制御部40Aでは、コイル43にターンランプ信号が供給されていないとき、スイッチ41,42は第1接続状態であるため、IGスイッチ部24から供給されるデイタイムランプ信号としての定電圧が電気配線L5aに供給され且つ電気配線L5bに接地電圧が供給される。よって、電気配線L5a側により高い電圧が供給されることになる。そして、コイル43にターンランプ信号が供給されたときには、スイッチ41,42が第2接続状態に切り替わるため、電気配線L5aに接地電圧が供給され且つ電気配線L5bにバッテリ25からの定電圧が供給される。よって、電気配線L5bにより高い電圧が供給されることになる。従って、コイル43とスイッチ41及びコイル43とスイッチ42がそれぞれ構成するリレースイッチは、ターンランプ信号(第2の動作信号)の入力に応じて電気配線(第1の接続線路)L5a側により高い電圧が供給する状態から電気配線(第2の接続線路)L5b側により高い電圧を供給する状態にスイッチするためのスイッチング機構として機能していることになる。
負荷選択部50Aは、4つのダイオード(第1〜第4のダイオード)51a,51b,51c,51dがブリッジ状に接続されてなるダイオードブリッジ(整流素子)51と、抵抗52,53と、電気配線L13〜L18を含んで構成されており、電気配線L13〜L18を利用して、ダイオードブリッジ51と、ターンランプ22、デイタイムランプ21及び電気配線L5a,L5bとが電気的にされている。より具体的に説明する。
ダイオード51aのカソード端子とダイオード51bのアノード端子との接続部51eは、電気配線L18を介して電気配線(第3の接続線路)L13に接続されている。この電気配線L13の一端には、ターンランプ22の一端(図中、カソード端子側)22aが接続され、電気配線L13の他端は、コネクタC3,C5を介して電気配線L5aに接続されている。これにより、接続部51eがターンランプ22の一端22a及び電気配線L5aに電気的に接続されることになる。なお、抵抗52は、電気配線L13,L18の接続部とターンランプ22の一端22aとの間に配置されている。
また、ダイオード51cのアノード端子とダイオード51dのカソード端子との接続部51fは、電気配線L14、コネクタC3,C5を介して電気配線L5bに接続されている。そして、ターンランプ22の他端(図中、アノード端子側)22bと電気配線L14とが電気配線L15を介して接続されている。これにより、接続部51fがターンランプ22の他端22bと電気配線L5bとに電気的に接続されることになる。
なお、電気配線L14上であって電気配線L15との接続部から電気配線L5bとの接続部までの第1部分L14aと電気配線L15とによって、ターンランプ22の他端22bと電気配線L5bとが電気的に接続されているため、上記電気配線L15と電気配線L14における第1部分L14aとは、上記他端22bと電気配線L5bとを電気的に接続する接続線路(第4の接続線路)として機能していることになる。
また、ダイオードブリッジ51におけるダイオード51bのカソード端子とダイオード51cのカソード端子との接続部51gは、電気配線(第5の接続線路)L16を介して、デイタイムランプ21の一端(図中、アノード端子側)21aに接続されている。更に、ダイオード51aのアノード端子とダイオード51dのアノード端子との接続部51hは、電気配線(第6の接続線路)L17を介してデイタイムランプ21の他端(図中、カソード端子側)21bに電気的に接続されている。そして、電気配線L17上に抵抗53が設けられている。
負荷選択部50Aの構成では、電気配線L5bに対して電気配線L5a側により高い電圧が供給されている場合、ダイオード51b,51dに順バイアスがかかり、ダイオード51a,51cには逆バイアスがかかる。その結果として、デイタイムランプ21に電流が流れるため、デイタイムランプ21が点灯する。一方、ターンランプ22には、逆バイアスがかかるため、ターンランプ22には電流が流れない。従って、デイタイムランプ21のみが点灯することになる。
逆に、電気配線L5b側に電気配線L5aより高い電圧が供給されている場合には、ダイオード51a,51cに順バイアスがかかり、ダイオード51b,51dには逆バイアスがかかる。よって、デイタイムランプ21に電流が流れる。また、ターンランプ22にも順バイアスがかかるため、ターンランプ22にも電流が流れる。従って、デイタイムランプ21及びターンランプ22のどちらも点灯することになる。
次に、負荷制御システム1Aの動作について説明すると共に、配線部30Aの作用・効果について説明する。
IGスイッチ部24がON状態でありTLスイッチ部23がOFF状態の場合には、IGスイッチ部24から定電圧としてのデイタイムランプ信号が出力されるがターンランプ信号は出力されない。これにより、入力制御部40Aにデイタイムランプ信号が入力される一方、ターンランプ信号は入力されないことから、入力制御部40Aにより、電気配線L5aの方が電気配線L5bより高い電圧が供給されることになる。この場合、負荷選択部50Aにより、前述したように、デイタイムランプ21のみに電流が流れてデイタイムランプ21が点灯する一方、ターンランプ22には電流が流れないためターンランプ22は点灯しない。
一方、TLスイッチ部24がON状態になると、ターンランプ信号が周期的に出力され、入力制御部40Aに入力されることになる。このターンランプ信号の入力により、スイッチ41,42が第2接続状態に切り替わる。そして、スイッチ41,42が第2接続状態の場合には、電気配線L5bの方に電気配線L5aより高い電圧が供給される。この場合、負荷選択部50Aにより、前述したようにデイタイムランプ21及びターンランプ22の両方に電流が流れる結果、それらが一緒に点灯することになる。そして、ターンランプ信号の入力が周期的であることから、スイッチ41,42における第1接続状態と第2接続状態とがターンランプ信号の周期に応じて切り替わり、ターンランプ22が点滅する。なお、スイッチ41,42の接続状態にかかわらず、デイタイムランプ信号が入力制御部40Aに入力されていれば、デイタイムランプ21には電流が流れるため、デイタイムランプ21は常時点灯していることになる。また、デイタイムランプ信号が入力制御部40Aに入力されていなくても、ターンランプ信号が入力された場合には、ターンランプ信号に応じてデイタイムランプ21もターンランプ22と同様に動作することになる。
このように、配線部30Aを利用することで、ドア部11に設けられており、動作させるべきタイミングの異なるデイタイムランプ21とターンランプ22とを、第1及び第2の電気配線L5a,L5bを介して制御することが可能である。
上記配線部30Aは、例えば、ドア部11にデイタイムランプ21及びターンランプ22の何れか一方が予め設けられている状態で、他方を後付けする場合等に特に有効である。ターンランプ22が予め設けられている場合を例として説明する。
この場合、TLスイッチ部23から出力されるターンランプ信号をターンランプ22に供給するために、通常、図1及び図2の場合と同様に、ドア部11及び本体部12間のゴムブーツ内に電気配線L5a,L5bが配設されている。そして、本体部12側においてコネクタC2に直接コネクタC1を接続して電気配線L5a,L5bとTLスイッチ部23及び基準電位線L4とをそれぞれ接続し、ドア部11側においてターンランプ22の両端と電気配線L5a,L5bとをコネクタC3,C5及び所定の電気配線を介して電気的に接続する。これにより、TLスイッチ部23からのターンランプ信号が電気配線L5a,L5b等を介してターンランプ22に印加され、その結果として、ターンランプ22が点滅するようになっている。このような状態で、デイタイムランプ21をドア部11のドアミラーに後付けする場合、例えば、電気配線L5a,L5bとは別にデイタイムランプ21への電圧供給用の2本の電気配線をドアヒンジ部分のゴムブーツ内に配設することが考えられる。しかしながら、デイタイムランプ21用の2本の電気配線をゴムブーツ内に通さなければならないため、作業が繁雑になり、また、配線するためのコストをより多く要することになる。
これに対して、配線部30Aでは、2本の電気配線L5a,L5bを利用してドア部11に設けられた2つの電装負荷としてのデイタイムランプ21及びターンランプ22の動作を制御しているため、仮に上述したようにデイタイムランプ21を後付けする場合でも、既設の電気配線L5a,L5bを利用することができる。すなわち、本体部12側に入力制御部40Aを配設し、ドア部11側に負荷選択部50Aを配設し、それらと既にターンランプ22用に配設されていた電気配線L5a,L5bとを接続することによって、配線部30Aを構成する。そして、負荷選択部50Aに対してデイタイムランプ21及びターンランプ22を所定の位置に接続することで、デイタイムランプ21及びターンランプ22の動作のタイミングを制御することが可能である。この場合、デイタイムランプ21用の2本の電気配線をドア部11と本体部12間に新たに追加する必要がないため、デイタイムランプ21の後付けが容易になり、また、配線コストも低減できる。
(第2の実施形態)
次に、図4を利用して本発明に係る配線構造の第2の実施形態について説明する。図4は、本発明に係る配線構造の第2の実施形態を含んだ自動車(車両)における負荷制御システムの模式図である。
図4に示すように、負荷制御システム1Bの構成は、図1に示した負荷制御システム1Aの構成における第1の電装負荷としてのデイタイムランプ21の代わりにターンランプ22が配置されており、負荷制御システム1Aの構成における第2の電装負荷としてのターンランプ22の代わりに足下灯26が設けられている点で、図1に示した負荷制御システム1Aの構成と相違する。この点を中心にして負荷制御システム1Bについて説明する。
足下灯26は、ドア部11の下側に取り付けられており、例えば、自動車10への運転手などの乗り降りの際に、足下を照らすためのものである。負荷制御システム1Bは、乗降時に主に利用される上記足下灯26と、自動車10の走行中に主に利用されるターンランプ22のように、動作のタイミングの異なるものを制御するためのものである。
負荷制御システム1Bは、足下灯26の動作のON・OFFを例えば運転手等が操作するための足下灯スイッチ部27を有する。足下灯スイッチ部27は、定電圧源(例えば、バッテリ25)に接続されており、ON状態のときに定電圧を出力する。以下では、足下灯26の動作を切り替えるために足下灯スイッチ部27から出力される定電圧を足下灯信号(第1の動作信号)とも称す。なお、足下灯26は上記のように自動車10への乗り降りの際に使用されるため、一定時間たつと消灯させる必要がある。これは、例えば、足下灯スイッチ部27を利用して手動によって切り替えてもよいし、足下灯スイッチ部27にタイマー機能を備えておき、自動的にOFF状態にしてもよい。また、足下灯スイッチ部27とコネクタC1とは、電気配線を介して接続されるが、ここでは、図3に示すように電気配線L2を利用して接続されているものとして説明する。
負荷制御システム1Bにおいて、TLスイッチ部23、足下灯スイッチ部27、バッテリ25と、足下灯26及びターンランプ22とは、配線部30Bを介して接続されている。そして、配線部30Bは、入力制御部40Bと、電気配線L5a,L5bと、負荷選択部50Bとを有している。
入力制御部40Bは、足下灯信号(第1の動作信号)が入力されターンランプ信号(第2の動作信号)が入力されていない場合、電気配線L5bより電気配線L5aにより高い電圧を供給し、足下灯信号が入力された場合には、電気配線L5aより電気配線L5bにより高い電圧を供給する。また、負荷選択部50Bは、電気配線L5bよりも電気配線L5aの方の電圧が高い場合にはターンランプ22に電流を流してターンランプ22を点灯させる。逆に、電気配線L5aより電気配線L5bの方により高い電圧が供給されている場合には、ターンランプ22及び足下灯26に電流を流してそれらを点灯させる。
上記入力制御部40B及び負荷選択部50Bの構成の一例を図5を利用して詳細に説明する。図5は配線部30Bの構成の一例の模式図であり、入力制御部40B及び負荷選択部50Bの回路構成を示している。図5においては、ターンランプ22及び足下灯26は、ダイオードとして模式的に表している。また、図5には、配線部30Bと、負荷制御システム1Bの他の構成要素との接続関係も示している。
図5に示すように、入力制御部40Bは、スイッチ(第3、第4及び第5のスイッチ)41,42,45とコイル(第1及び第2のコイル)43,46とを有しており、スイッチ41とコイル46、スイッチ42とコイル46及びスイッチ45とコイル43はリレースイッチを構成している。スイッチ41,42は、コイル46に電圧が印加され電流が流れた場合に、第1の実施形態の場合と同様に、第1接続状態から第2接続状態に切り替わる。
また、スイッチ45は、電気配線L7上に設けられている。電気配線L7におけるスイッチ45側と反対側の端は電気配線L10に接続されている。また、コイル46の一端46aは、電気配線L19、コネクタC1,C6及び電気配線L2を介して足下灯スイッチ部27に接続されている。コイル46の他端46bは、電気配線L20を介して電気配線L12に接続されており、結果として、接地されている。なお、コイル46には逆電流を防止するために並列にダイオード47が設けられていることが好ましい。
この構成では、ターンランプ信号が入力されていない状態で足下灯信号が入力されると、スイッチ41,42が第2接続状態になるため、電気配線L5aに接地電圧が供給され、電気配線L5bにバッテリ25からの定電圧が供給される。よって、電気配線L5b側により高い電圧が供給されることになる。また、ターンランプ信号が入力されたときには足下灯信号の入力にかかわらず、スイッチ45により、スイッチ41の第1接点41bとバッテリ25とが電気的に接続される。その結果、電気配線L5aには、バッテリ25からの定電圧が供給される。また、第1接続状態では、スイッチ42の第1接点42bが接地されているので、電気配線L5bには、接地電圧が供給される。よって、ターンランプ信号の入力により、電気配線L5a側により高い電圧が供給されることになる。
従って、コイル46とスイッチ41及びコイル46とスイッチ42がそれぞれ構成するリレースイッチは、足下灯信号(第2の動作信号)の入力に応じて電気配線(第1の接続線路)L5a側により高い電圧が供給する状態又は電気配線L5a,L5bに電圧が供給されていない状態から電気配線(第2の接続線路)L5b側により高い電圧を供給する状態に切り替えるためのスイッチング機構として機能していることになる。
負荷選択部50Bの構成は、第1の実施形態の場合と同様であるが、本実施形態では、電気配線L17にターンランプ22の一端22aが接続され、電気配線L16にターンランプ22の他端22bが接続されている。また、電気配線L15に足下灯26の一端(図5、アノード端子側)26aが接続され、電気配線L13に足下灯26の他端(図中、カソード端子側)26bが接続されている。
上記負荷選択部50Bでは、電気配線L5aに対して電気配線L5b側より高い電圧が供給されている場合、ダイオード51b,51dに順バイアスがかかり、ダイオード51a,51cに逆バイアスがかかるため、ターンランプ22に電流が流れ、ターンランプ22が点灯する。一方、足下灯26には、逆バイアスがかかるため、足下灯26には電流が流れない。よって、ターンランプ22のみが点灯する。一方、電気配線L5b側が電気配線L5aより高い電圧になった場合には、足下灯26に順バイアスがかかるため足下灯26も点灯する。なお、この場合には、ダイオード51a,51cに順バイアスがかかり、ダイオード51b,51dに逆バイアスがかかることから、ターンランプ22にも電流が流れる。その結果、ターンランプ22及び足下灯26のどちらも点灯することになる。
次に、負荷制御システム1Bの動作について説明すると共に、配線部30Bの作用・効果について説明する。
足下灯スイッチ部27がON状態の場合には、入力制御部40Bに足下灯信号が入力される。この場合、ターンランプ信号の入力に関わらず、入力制御部40Bにより、電気配線L5b側に電気配線L5aより高い電圧が供給される。そのため、負荷選択部50Bにより、前述したように、ターンランプ22及び足下灯26に電流が流れ、それらが点灯する。
一方、足下灯スイッチ部27がOFF状態であり、TLスイッチ部23がON状態の場合には、TLスイッチ部23からターンランプ信号が周期的に出力され、入力制御部40Bに入力される。この場合には、ターンランプ信号の入力に応じて、スイッチ45のON・OFFが切り替わることになる。そして、スイッチ45がON状態の場合には、電気配線L5a側により高い電圧が供給される。そのため、負荷選択部50Bにより、ターンランプ22に順バイアスがかけられる一方、足下灯26には逆バイアスがかかることになる。その結果、ターンランプ22のみが点灯することになる。そして、スイッチ45のON・OFFによりターンランプ22への順バイアスがON・OFFされることになるので、ターンランプ22が点滅することになる。
このように、配線部30Bを利用することで、ドア部11に設けられており、動作させるべきタイミングの異なるターンランプ22と足下灯26とを、ドア部11と本体部12との間に設けられた2本の電気配線L5a,L5bを利用して制御することが可能である。なお、本実施形態の配線部30Bが、例えば、足下灯26及びターンランプ22の何れか一方が予め搭載されている自動車において、他方を後付けする場合に特に有効であることは第1の実施形態の場合と同様である。
(第3の実施形態)
次に、図6を利用して本発明に係る配線構造の第3の実施形態について説明する。図6は、本発明に係る配線構造の第3の実施形態を含んだ自動車の負荷制御システムの模式図である。
図6に示すように、負荷制御システム1Cの構成は、ドア部11に第1の電装負荷としてのデイタイムランプ21の代わりにヒータ28が設けられており、本体部12側の電気配線L2上にヒータスイッチ29が配設されている点で、図1に示した負荷制御システム1Aの構成と相違する。この点を中心にして負荷制御システム1Cについて説明する。負荷制御システム1Cは、自動車10のドア部11に設けられた動作をさせるタイミングの異なるターンランプ22及びヒータ28をそれぞれ制御するためのものである。
ヒータ28は、ドア部11のドアミラーを加熱するためのものであり、IGスイッチ部24及びヒータスイッチ29がON状態になったときに発熱してドアミラーを加熱する。なお、ヒータスイッチ29がON状態になることで、後述する入力制御部40Cには、IGスイッチ部24から出力される定電圧が供給されることになる。よって、以下では、ヒータスイッチ29がON状態のときに、入力制御部40Cに供給される定電圧をヒータ信号(第1の動作信号)と称す。
負荷制御システム1Cが有する配線部30Cは、入力制御部40Cと、電気配線L5a,L5bと、負荷選択部50Cとを有する。入力制御部40Cは、ヒータ信号が入力された場合には電気配線L5a側に高い電圧を供給し、ターンランプ信号が入力された場合には、電気配線L5b側により高い電圧を供給する。また、負荷選択部50Cは、電気配線L5a側により高い電圧が供給された場合には、ヒータ28に選択的に電流を流してヒータ28を動作させると共に、電気配線L5b側により高い電圧が供給された場合に、ターンランプ22に選択的に電流を流してターンランプ22を点灯させる。
図7を利用して入力制御部40C及び負荷選択部50Cの構成について詳細に説明する。図7は、配線部30Cの構成の一例の模式図であり、入力制御部40C及び負荷選択部50Cの回路構成を示している。なお、ヒータ28は、抵抗素子として模式的に表している。
図7に示すように、入力制御部40Cの構成は、電気配線L10が電気配線L11に接続されている点で、図3に示した入力制御部40Aの構成と相違する。
この構成では、コイル43にターンランプ信号が供給されていないとき、スイッチ(第6及び第7のスイッチ)41,42は第1接続状態であるため、ヒータ信号が第1接点41bに供給されていると、その定電圧は電気配線L5aに供給される。また、スイッチ42の第1接点42bは接地されているので、電気配線L5bに接地電圧が供給される。その結果、電気配線L5a側により高い電圧が供給されることになる。そして、コイル43にターンランプ信号が供給されたときには、スイッチ41,42の第2接続状態に切り替わるため、電気配線L5aに接地電圧が供給され且つ電気配線L5bにターンランプ信号が供給されることになる。その結果、電気配線L5b側により高い電圧が供給されることになる。
負荷選択部50Cは、ダイオード(整流素子)54と抵抗52と電気配線L13,L14,L16とを有しており、図7に示すように接続されている。より具体的に説明する。電気配線L16の一端はヒータ28の一端28aに接続され、電気配線L16の他端は、電気配線L13に接続されている。この場合、電気配線L13のうち電気配線L16と電気配線L13との接続部から電気配線L5a,L13の接続部までの第1部分L13aと、電気配線L16とは、ヒータ28の一端28aと電気配線L5aとを電気的に接続するための接続線路(第7の接続線路)として機能することになる。また、電気配線L14のコネクタC5側と反対側の端は、ヒータ28の他端28bに接続されている。これにより、本実施形態では、電気配線L14は、ヒータ28の他端28bと電気配線L5bとを電気的に接続する接続線路(第8の接続線路)として機能していることになる。
また、図7に示すように、負荷選択部50Cでは、ダイオード54は、アノード端子側がヒータ28の他端28b側に電気的に接続されるように、電気配線L14上に配設されている。
上記負荷選択部50Cの構成では、電気配線L5aの方により高い電圧が供給されている場合、ダイオード54に順バイアスがかかる一方、ターンランプ22には逆バイアスがかかるため、ヒータ28に選択的に電流が流れる。その結果、ヒータ28のみが動作することになる。一方、電気配線L5b側に電気配線L5aより高い電圧が供給されている場合には、ダイオード54に逆バイアスがかかり、ターンランプ22に順バイアスがかかるため、ターンランプ22に選択的に電流が流れる。従って、ターンランプ22が点灯することになる。
次に、負荷制御システム1Cの動作について説明すると共に、配線部30Cの作用・効果について説明する。なお、以下の説明では、特に断らない限り、IGスイッチ部24はON状態であるものとする。
ヒータスイッチ29がON状態になりTLスイッチ部23がOFF状態の場合には、入力制御部40Cにはヒータ信号のみが入力されるので、入力制御部40Cにより、電気配線L5aの方に電気配線L5bより高い電圧が供給される。この場合、負荷選択部50Cにより、前述したように、ヒータ28のみに選択的に電流が流れるため、ヒータ28が発熱する一方、ターンランプ22は点灯しない。
一方、TLスイッチ部23がON状態になると、ターンランプ信号が周期的に出力され、入力制御部40Cに入力される。これにより、ターンランプ信号の入力に応じて、スイッチ41,42の接続状態が第1接続状態と第2接続状態の間で切り替わる。そして、スイッチ41,42が第2接続状態である場合には、電気配線L5bの方により高い電圧が供給される。この場合、負荷選択部50Cにより、前述したように、ターンランプ22のみに選択的に電流が流れるため、ターンランプ22が点灯する一方、ヒータ28は発熱しない。そして、ターンランプ信号の入力制御部40Cへの入力が周期的であることから、スイッチ41,42が第1接続状態と第2接続状態との間で切り替わり、それに応じて、ターンランプ22は点灯・消灯を繰り返すため、ターンランプ22が点滅することになる。
このように、負荷制御システム1Cに配線部30Cを利用することで、ドア部11に設けられており、動作させるべきタイミングの異なるターンランプ22とヒータ28とを、ドア部11と本体部12との間に配設された電気配線L5a,L5bを利用して容易に制御することが可能である。
以上、本発明に係る配線構造の実施形態について説明したが、本発明に係る配線構造は上記実施形態に限定されない。入力制御部40A〜40Cの構成は、第1及び第2の電装負荷を動作させるための第1の動作信号及び第2の動作信号の入力に応じて、電気配線L5a,L5bに供給する電圧の大小関係を反転できれば特に限定されない。また、説明の便宜のため、複数の電気配線を利用して、スイッチ41,42,45,コイル43,46と、負荷制御システム1A〜1Cにおける本体部12側の他の構成要素との接続関係を説明したが、実施形態で説明したスイッチ41,42,45,コイル43,46の機能を実現できれば接続方法は変更可能である。
また、負荷選択部50A〜50Cの構成も、電気配線L5a,L5bに供給される電圧の大小関係に応じて、第1及び第2の電装負荷への電流の流れを制御できれば特に限定されない。例えば、第1の実施形態のようにダイオードブリッジ51を利用する場合には、第2の電装負荷としてのターンランプ22の一端22aと第1の接続線路としての第1の電気配線L5aとを電気的に接続するための第3の接続線路と、ターンランプ22の他端22bと第2の接続線路としての第2の電気配線L5bとを電気的に接続するための第4の接続線路と、ダイオードブリッジ51における接続部51gと、第1の電装負荷としてのデイタイムランプ22の一端22aとを電気的に接続するための第5の接続線路と、ダイオードブリッジ51における接続部51hと、デイタイムランプ21の他端21bとを電気的に接続するための第6の接続線路と、を有し、ダイオードブリッジ51の接続部51eと、第3の接続線路とが電気的に接続されており、ダイオードブリッジ51における接続部51fとが、第4の接続線路に電気的に接続されていればよい。第2の実施形態についても同様である。なお、第2の電装負荷がターンランプ22や足下灯26のように発光ダイオードを利用したものでなく、ダイオード特性を有しない場合には、例えば、上記第4の接続線路(例えば、電気配線L15)上に整流素子としてのダイオードを更に設けておけばよい。
また、第3の実施形態のようにダイオード47を利用する場合には、上記第3及び第4の接続線路と、第1の電装負荷としてのデイタイムランプ21の一端21aと第1の接続線路としての第1の電気配線L5aとを電気的に接続するための第7の接続線路と、デイタイムランプ21の他端21bと第2の接続線路としての第2の電気配線L5bとを電気的に接続するための第8の接続線路と、を更に有し、ダイオード47が、第1の電気配線L5a側より高い電圧が供給された場合に、順バイアスが印加されるように第7及び第8の接続線路の何れかに設けられていればよい。この場合も、第2の電装負荷がターンランプ22等のように発光ダイオードを利用したものでなく、ダイオード特性を有しない場合には、例えば、上記第4の接続線路(例えば、電気配線L15)上に整流素子としてのダイオードを更に設けておけばよい。
そして、第1及び第2の電装負荷の特性に応じて、第1〜第3の実施形態で示した入力制御部40A〜40Cの何れか一つと、第1〜第3の実施形態で示した負荷選択部50A〜50Cとを任意に組み合わせることも可能である。
また、電気配線L5a,L5bのうちの一方は接地電圧が供給されることによって、他方の供給される電圧がより高くなるようにしているが、電気配線L5a,L5bに供給される電圧のうち一方が他方より高ければよい。また、第1及び第2の電装負荷は、動作させるタイミングの異なるものであれば特に限定されず、例えば、ターンランプ、デイタイムランプ、足下灯、ヒータ等から任意に組み合わせることが可能である。
10…自動車(車両)、11…ドア部、12…本体部、21…デイタイムランプ(第1の電装負荷)、21a…一端(第1の電装負荷の一端)、21b…他端(第1の電装負荷の他端)、22…ターンランプ(第1の電装負荷、第2の電装負荷)、22b…他端(第2の電装負荷の他端)、26…足下灯(第2の電装負荷)、28…ヒータ(第1の電装負荷)、28a…一端(第1の電装負荷の一端)、28b…他端(第2の電装負荷の他端)、30A,30B,30C…配線部、40A,40B,40C…入力制御部、41,42,45…スイッチ(スイッチング機構)、43,46…コイル(スイッチング機構)、50A,50B,50C…負荷選択部、51…ダイオードブリッジ(整流素子)、51a…ダイオード(第1のダイオード)、51b…ダイオード(第2のダイオード)、51c…ダイオード(第3のダイオード)、51d…ダイオード(第4のダイオード)、51e…接続部(第1及び第2のダイオードの接続部)、51f…接続部(第3及び第4のダイオードの接続部)、51g…接続部(第2及び第3のダイオードの接続部)、51h…接続部(第1及び第4のダイオードの接続部)、L5a…電気配線(第1の接続線路)、L5b…電気配線(第2の接続線路)、L13…電気配線(第3の接続線路)、L13a…第1部分(第7の接続線路)、L14…電気配線(第8の接続線路)、L14a…第1部分(第4の接続線路)、L15…電気配線(第4の接続線路)、L16…電気配線(第5の接続線路、第7の接続線路)、