JP2008074072A - 積層体の接合方法、流路ユニットの製造方法及び加圧用治具 - Google Patents
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Abstract
【課題】積層体の表面に孔の開口が形成されている場合にも、かかる積層体のプレート同士を拡散接合によって均等に接合する。
【解決手段】積層体105の下面に共通インク室23が開口している。このような積層体105に含まれている金属板同士を拡散接合する際に、加圧用治具51及び52を用いて上下から圧力を印加する。加圧用治具52は基部54と、基部54から突出した突出部53とを有している。加圧用治具52が積層体105の下面に当接する際、突出部53が共通インク室23内に進入し、突出部53の上面が共通インク室23の天井面に当接する。これによって、積層体105内の金属板に均等に圧力が印加されるので、加圧接合によって均等に金属板が接合される。
【選択図】図9
【解決手段】積層体105の下面に共通インク室23が開口している。このような積層体105に含まれている金属板同士を拡散接合する際に、加圧用治具51及び52を用いて上下から圧力を印加する。加圧用治具52は基部54と、基部54から突出した突出部53とを有している。加圧用治具52が積層体105の下面に当接する際、突出部53が共通インク室23内に進入し、突出部53の上面が共通インク室23の天井面に当接する。これによって、積層体105内の金属板に均等に圧力が印加されるので、加圧接合によって均等に金属板が接合される。
【選択図】図9
Description
本発明は、積層体の接合方法、特に、拡散接合を用いた積層体の接合方法、その接合方法を用いた流路ユニットの製造方法及びこれらの方法に用いられる加圧用治具に関する。
プレート同士を積層して積層体を作製する場合においてプレート同士を接合する方法として、拡散接合と呼ばれる接合方法がある。拡散接合とは、プレートを構成する材料の融点未満の温度までプレートを加熱しつつプレートの接合面に垂直な両方向からプレートに圧力を印加することにより、プレート同士を密着させて接合する接合方法である。
一方、インクジェットプリンタなどの液体を吐出する装置において、液体の吐出口とその吐出口に連通する液体流路とが形成された流路ユニットが複数のプレートの積層体からなる場合がある。特許文献1は、このような流路ユニットを有するインクジェットヘッドの製造方法に係るものである。特許文献1に記載の製造方法によると、まず、液体流路や吐出口となる孔が複数のプレートのそれぞれに形成される。次に、孔が形成されたこれらのプレートが積層される。そして、このように積層されたプレートが、治具を用いて加圧されると共に加熱される。これによって、複数のプレートが互いに拡散接合によって接合される。
ところで、液体流路などの孔が形成された積層体を拡散接合する場合には、積層体を構成するプレートの接合面に均等に圧力が印加されないことがある。このような問題は、例えば、図16に示されているような積層体300のプレート同士が、拡散接合によって接合される場合に生じる。積層体300は液体吐出装置の流路ユニットの一部を構成する部材であり、プレート311〜316からなる。積層体300の内部には液体流路320が形成されている。液体流路320は、積層体300において最下層のプレート316の下面に開口している。
このような積層体300に、従来の加圧用治具301及び302を用いて図16の矢印が示す上下からの圧力を印加すると、プレート313及び314の互いの接合面における破線310aで囲まれた領域に圧力が印加されにくくなる。これは、積層体300の下面に液体流路320が大きく開口しているため、プレートの接合面まで圧力がうまく伝達されないからである。
以上のように、液体流路などの孔が表面に開口しているような積層体に従来の加圧用治具を用いて圧力を印加すると、プレートの接合面に圧力が均等に印加されない場合がある。プレートの接合面に印加される圧力が不均等であると、プレート同士の接合が均等になされず部分的に接合が不十分になるおそれがある。
本発明の目的は、積層体の表面に孔の開口が形成されている場合にも、かかる積層体のプレート同士を拡散接合によって均等に接合することが可能な積層体の接合方法、その接合方法を用いた流路ユニットの製造方法及びこれらの方法に用いられる加圧用治具を提供することにある。
本発明の積層体の接合方法は、複数枚のプレートの積層体であって、その積層方向に関して互いに最も離隔しており且つ互いに平行な第1及び第2の表面と、前記第1の表面に開口した開口孔と、前記開口孔内に形成された前記第1の表面と平行な第3の表面とを有する積層体において、前記積層体中のプレート同士を接合する方法であって、前記第1の表面に当接する第1の当接面、及び、前記第1の当接面が前記第1の表面に当接する際に前記第1の表面における前記開口孔の開口から前記開口孔内に進入して前記第3の表面に当接する第2の当接面を有する第1の加圧用治具と、前記第2の表面に当接する第3の当接面を有する第2の加圧用治具とに、前記第1〜第3の当接面を前記第1、第3及び第2の表面へとそれぞれ当接させて、前記第1及び第2の加圧用治具から前記積層体へと前記積層方向に関する両方向からの圧力を印加する加圧工程と、前記加圧工程で圧力が印加されている前記積層体を加熱することによって当該積層体中のプレート同士を拡散接合する接合工程とを備えている。
本発明の積層体の接合方法によると、積層体の表面に開口する孔が形成されている場合でも、かかる孔の内部の表面に加圧用治具が当接して積層体を支持するため、拡散接合において、かかる孔に対応する接合領域に確実に圧力が印加され得る。したがって、孔の内部の表面に当接する上記のような当接面を有していない加圧用治具を用いる場合と比べて、積層体が確実に接合され得る。
また、本発明にあっては、前記加圧工程において、前記第1〜第3の当接面の少なくともいずれかを含む部分が、前記積層体において前記第1〜第3の当接面の前記いずれかと当接する部分を構成する材料と異なる材料からなる前記第1及び第2の加圧用治具を使用することが好ましい。これによると、加圧用治具と積層体との当接部分が互いに同じ材料からなる場合と比べて、加圧用治具の当接面と積層体の表面とが拡散接合によって接合しにくくなる。これによって、拡散接合の後に積層体から加圧用治具を剥離しやすくなると共に、加圧用治具の当接面に積層体を構成する材料が残存することが少なくなる。
また、本発明にあっては、前記加圧工程において、前記積層体において前記第1〜第3の当接面の前記いずれかと当接する部分が金属材料からなる場合に、前記第1〜第3の当接面の前記いずれかを含む部分がセラミック材料からなる前記第1及び第2の加圧用治具を使用することが好ましい。これによると、金属材料とセラミック材料とは一般に拡散接合しにくいので、より確実に、拡散接合の後に積層体から加圧用治具を剥離しやすくなると共に、加圧用治具の当接面に積層体を構成する材料が残存することが少なくなる。
また、本発明にあっては、前記加圧工程において、前記積層体において前記第1〜第3の当接面の前記いずれかと当接する部分が金属材料からなる場合に、前記第1〜第3の当接面の前記いずれかを含む部分が金属化合物材料からなる前記第1及び第2の加圧用治具を使用してもよい。これによると、金属材料と金属化合物材料とは一般に拡散接合しにくいので、より確実に、拡散接合の後に積層体から加圧用治具を剥離しやすくなると共に、加圧用治具の当接面に積層体を構成する材料が残存することが少なくなる。
また、本発明にあっては、前記加圧工程において、前記積層体において前記第1〜第3の当接面の前記いずれかと当接する部分が合金材料からなる場合に、前記第1〜第3の当接面の前記いずれかを含む部分が前記合金材料とは異なる系統の合金材料からなる前記第1及び第2の加圧用治具を使用してもよい。これによると、加圧用治具と積層体との当接部分が互いに同じ系統の合金材料からなる場合と比べて、加圧用治具の当接面と積層体の表面とが拡散接合によって接合しにくくなる。
また、本発明にあっては、前記加圧工程において、前記積層体において前記第1〜第3の当接面の前記いずれかと当接する部分を構成する材料と同じ材料からなる同材料層と、前記積層体において前記第1〜第3の当接面の前記いずれかと当接する部分を構成する材料とは異なる材料からなる前記同材料層上に形成されたコーティング層とを有しており、前記コーティング層の表面に前記第1〜第3の当接面の前記いずれかが形成された前記第1及び第2の加圧用治具を使用することが好ましい。これによると、加圧用治具が積層体の当接部分と同じ材料からなる同材料層を有している。このため、加圧用治具が積層体の当接部分と異なる材料からなる場合と比べて、接合工程において加熱された際に、加圧用治具の膨張率と積層体の膨張率との差が小さくなる。したがって、接合工程において、加圧用治具によって積層体が支持された状態が確実に保持される。
また、本発明においては、前記積層体が、前記第2の表面に開口した、前記開口孔とは別の開口孔と、当該別の開口孔内に形成された前記第2の表面に平行な第4の表面とを有しており、前記第2の加圧用治具が、前記第3の当接面が前記第2の表面に当接する際に前記第2の表面における前記別の開口孔の開口から前記開口孔内に進入して前記第4の表面に当接する第4の当接面をさらに有しており、前記加圧工程において、前記第1及び第2の加圧用治具の前記第1〜第4の当接面を前記第1、第3、第2及び第4の表面へとそれぞれ当接させて、前記第1及び第2の加圧用治具から前記積層体へと前記積層方向に関する両方向からの圧力を印加することが好ましい。これによると、積層体の積層方向について両側に孔が形成されている場合に、かかる両側において孔の内部の表面に加圧用治具が当接して積層体を支持する。このため、一方の孔にのみ当接する場合と比べて、拡散接合において、かかる孔に対応する接合領域に確実に圧力が印加され得る。
また、本発明においては、前記第1及び第2の積層体並びに前記第1及び第2の加圧用治具を、前記第1の積層体、前記第1の加圧用治具、前記第2の積層体、及び、前記第2の加圧用治具の順に、前記第1〜第3の当接面を前記第1、第3及び第2の表面へとそれぞれ当接させて前記第1及び第2の加圧用治具に前記第1及び第2の積層体をそれぞれ支持させるように、前記積層方向に関して積層する複合積層工程をさらに備えており、前記加圧工程において、前記複合積層工程で積層された前記第1及び第2の積層体並びに前記第1及び第2の加圧用治具の複合積層体へと、前記積層方向に関して両方向からの圧力を印加し、前記接合工程において、前記加圧工程で圧力が印加されている前記複合積層体を加熱することによって当該積層体中のプレート同士を拡散接合するが好ましい。これによると、2つの積層体を同時に接合することができるので、積層体の製造工程が簡易になる。
また、本発明の流路ユニットの製造方法は、本発明の積層体の接合方法によって拡散接合された積層体を有しており、液体を吐出する吐出口と前記積層体の前記開口孔及び前記吐出口の両方に連通する流路とが形成された流路ユニットを製造する方法であって、前記流路を構成することとなる流路孔及び前記開口孔となる孔を複数のプレートに形成する孔形成工程と、前記吐出口をプレートに形成する吐出口形成工程と、前記流路孔及び前記開口孔となる孔が連通して前記流路及び前記開口孔がそれぞれ形成され、且つ、前記流路及び開口孔が互いに連通するように、前記孔形成工程で前記流路孔が形成された複数枚のプレートを積層する第1のプレート積層工程と、前記吐出口形成工程で前記吐出口が形成されたプレートを、前記プレート積層工程で積層された前記複数枚のプレートからなる前記積層体上に、前記吐出口が前記流路に連通するように積層する第2のプレート積層工程とを備えており、前記加圧工程において、前記第1のプレート積層工程で積層された前記複数のプレートの積層体を、前記第1及び第2の加圧用治具に、前記第1〜第3の当接面を前記第1、第3及び第2の表面へとそれぞれ当接させて、前記第1及び第2の加圧用治具から前記第1のプレート積層工程で積層された前記積層体へと前記積層方向に関する両方向からの圧力を印加し、前記接合工程において、前記加圧工程で圧力が印加されている前記積層体を加熱することによって当該積層体中のプレート同士を拡散接合し、前記第2のプレート積層工程において、前記接合工程で拡散接合された前記積層体上に前記吐出口形成工程で前記吐出口が形成されたプレートをさらに積層するというものである。
本発明の流路ユニットの製造方法によると、本発明の積層体の接合方法によって流路ユニットが形成されるため、流路が形成された積層体が確実に接合される。これによって、プレート同士の間に不要な隙間が生じるなどにより流路形成の精度が低下するのが抑制される。
また、本発明の加圧用治具は、複数枚のプレートの積層体であって、その積層方向に関して互いに最も離隔しており且つ互いに平行な第1及び第2の表面と、前記第1の表面に開口した開口孔と、前記開口孔内に形成された前記第1の表面と平行な第3の表面とを有する積層体において、前記積層体中のプレート同士を拡散接合する際に前記積層体を支持する加圧用治具であって、前記積層体を支持する際に前記第1の表面に当接する第1の当接面と、前記第1の当接面が前記第1の表面に当接する際に、前記第1の表面における前記開口孔の開口から前記開口孔内に進入して前記第3の表面に当接する第2の当接面とを備えている。
本発明の加圧用治具によると、拡散接合の際に、開口孔の内部の表面へと当接しつつ加圧用治具に積層体を支持させることができるので、積層体をより確実に拡散接合することが可能となる。
また、本発明の加圧用治具においては、前記第1の当接面から突出しており、前記開口孔内に収容可能な大きさ及び形状を有する突出部をさらに備えており、当該突出部に前記第2の当接面が形成されていることが好ましい。この構成によると、突出部を開口孔内へと進入させることにより第2の当接面を開口孔の内部における第3の表面に当接させることができる。
また、本発明の加圧用治具においては、前記第1及び第2の当接面が互いに平行な2つの平面のそれぞれに沿って形成されており、前記突出部が、前記第1の当接面から前記第2の当接面へと向かって先細りの形状を有していることが好ましい。この構成によると、突出部が先細りとなるように形成されているため、加圧用治具に積層体を支持させる際に、突出部を開口孔へと進入させやすくなる。
以下は、本発明の好適な一実施形態についての説明である。以下の説明は、(1)本実施形態に係る流路ユニットの製造方法を用いて製造される液滴噴射装置の一例であるインクジェットプリンタ100の構成についての説明と、(2)本実施形態の流路ユニットの製造方法に係る第1及び第2の実施形態についての説明とを含んでいる。
[インクジェットプリンタ]
図1は、インクジェットプリンタ100の概略的な構成を示す斜視図である。インクジェットプリンタ100(以下、単に「プリンタ100」と呼称)は、インクジェットヘッド1、キャリッジ2及び搬送ローラ3を有している。インクジェットヘッド1はキャリッジ2に固定されており、記録用紙Pに対してインクを吐出するシリアル型のインクジェットヘッドである。キャリッジ2は、図1の走査方向に沿って往復移動することができるようにプリンタ100に設置されている。搬送ローラ3は記録用紙Pを図1の前方へ搬送する。
図1は、インクジェットプリンタ100の概略的な構成を示す斜視図である。インクジェットプリンタ100(以下、単に「プリンタ100」と呼称)は、インクジェットヘッド1、キャリッジ2及び搬送ローラ3を有している。インクジェットヘッド1はキャリッジ2に固定されており、記録用紙Pに対してインクを吐出するシリアル型のインクジェットヘッドである。キャリッジ2は、図1の走査方向に沿って往復移動することができるようにプリンタ100に設置されている。搬送ローラ3は記録用紙Pを図1の前方へ搬送する。
プリンタ100は、コンピュータ(不図示)などに接続されており、かかるコンピュータから文字や画像等を示す画像データがプリンタ100へと送信される。一方、プリンタ100はメイン制御部(不図示)を有している。このメイン制御部は、コンピュータからの画像データに基づいて、紙送り方向に沿って記録用紙Pを搬送ローラ3に搬送させたり、走査方向に沿ってキャリッジ2に往復移動させたり、インクジェットヘッド1にインクを吐出させたりする。これによって、コンピュータからの画像データが示す文字や画像等が記録用紙P上に記録される。このように文字や画像等が記録された記録用紙Pは、搬送ローラ3によってプリンタ100の前方(紙送り方向)へと排出される。
図2はインクジェットヘッド1の上面図、図3は図2の一部拡大図、図4は図3のA−A線断面図である。図2〜図4に示されているように、インクジェットヘッド1は、流路ユニット5及び圧電アクチュエータ6を有している。
流路ユニット5の上面において紙送り方向に関する一端(図2の下部)の近傍には、インク導入口17が形成されている。インク導入口17には図示されていないインクタンクからのインクが供給される。また、流路ユニット5の下面には、インクを吐出する10個のノズル25(吐出口)が形成されている。ノズル25は、走査方向に関する流路ユニット5の中央の近傍に、紙送り方向に沿って直線的に5個ずつ2列に配列されている。また、ノズル25は、紙送り方向に関して互いに異なる位置に配置されるように、千鳥状に配列されている。
流路ユニット5の内部には共通インク室23が形成されている。共通インク室23は、紙送り方向に沿って延在する流路23aと、走査方向に沿って延在する流路23bとを有している。このうち流路23aは、走査方向(図2の左右方向)に関する流路ユニット5の両端の近傍にそれぞれ1本ずつ配置されている。流路23bは、流路ユニット5の上面において流路ユニット5の厚み方向に関してインク導入口17と対向する位置に配置されており、インク導入口17と連通している。また、流路23bは2本の流路23aの両方と連通している。
また、流路ユニット5の内部には、10個の個別流路20が形成されている。個別流路20は、共通インク室23が有する流路23aとノズル25のそれぞれとを繋ぐインク流路である。これにより、インク導入口17から流路23b、流路23a及び個別流路20を介してノズル25に至るインク流路が流路ユニット5に形成されている。個別流路20は圧力室24を有している。圧力室24は、個別流路20において流路23aからノズル25に至る中途に位置している、個別流路20の一部分である。圧力室24は、走査方向に関して長尺であり且つ角が円い概略的に長方形の形状を有している。
流路ユニット5の上面には圧電アクチュエータ6が貼り合わされている。圧電アクチュエータ6は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とする圧電材料からなる圧電層を有している。かかる圧電層は分極されており、所定の大きさ及び方向の電界が印加されると湾曲する。また、圧電アクチュエータ6は10個の個別電極32を有している。個別電極32は概略的に圧力室24と相似な形状を有しており、圧力室24より小さい。個別電極32のそれぞれは平面視において各圧力室24の中央に配置されている。個別電極32には配線35が接続されている。配線35は圧電アクチュエータ6を駆動する駆動制御部(不図示)に電気的に接続されている。また、駆動制御部はメイン制御部からの指示信号を受信し、かかる指示信号に従って配線35へと電圧パルス信号を供給する。
さらに、圧電アクチュエータ6は、個別電極32と共に上記の圧電層を挟むように水平に延在する共通電極(不図示)を有している。かかる共通電極は図示されていない領域において接地されている。駆動制御部が配線35を介して個別電極32に電圧パルス信号を印加すると、個別電極32と共通電極との間に電位差が生じる。これによって、圧電層に電界が生じ、圧電アクチュエータ6が圧力室24に向かって湾曲する。圧電アクチュエータ6が圧力室24に向かって湾曲すると、圧力室24の容積が変化し、圧力室24内のインクに圧力が印加される。駆動制御部は、ノズル25からインクが吐出されるような圧力を圧電アクチュエータ6が圧力室24内のインクに印加するように、所定の波形を有する電圧パルス信号を個別電極32に供給する。
図3には流路ユニット5における個別流路20の周辺の構成が示されている。個別流路20は、鉛直流路21、絞り流路26、鉛直流路22、圧力室24及びディセンダ流路19から構成されている。ディセンダ流路19、及び鉛直流路21、22は、流路ユニット5の厚み方向(図3の紙面に垂直な方向)に沿って延在している。これに対して、絞り流路26及び圧力室24は、流路ユニット5が伸張する方向に延在している。絞り流路26は、走査方向に長尺な概略的に長方形の形状を有している。
図4に示されているように、流路ユニット5は複数のプレート11〜16が積層された積層体から構成されている。プレート11〜15はステンレス鋼等からなる金属製の板であり、いずれも同じ材料からなる。プレート16はポリイミド等の高分子合成樹脂材料からなる板である。なお、プレート16が金属製の板であってもよい。各プレートには、個別流路20を構成することとなる複数の孔が形成されている。プレート11には圧力室24となる孔が形成されている。プレート12にはディセンダ流路19となる孔と鉛直流路22となる孔とが形成されている。プレート13にはディセンダ流路19となる孔と絞り流路26となる凹みと鉛直流路21となる孔とが形成されている。プレート14及び15のそれぞれには、ディセンダ流路19となる孔と流路23aとなる孔とが形成されている。プレート16にはディセンダ流路19の下端部分に連結するノズル25が形成されている。
これらの孔が互いに連通するようにプレート11〜16が積層されることにより、以下のように各流路が連結した個別流路20が構成されている。鉛直流路21の一端は下方の流路23aに連結している。鉛直流路21の他端は上方の絞り流路26の一端に連結している。絞り流路26の他端は上方の鉛直流路22の一端に連結し、鉛直流路22の他端は上方の圧力室24の一端に連結している。圧力室24の他端は下方のディセンダ流路19の一端に連結している。ディセンダ流路19の他端はノズル25に連結されている。
図4に示されているように、流路ユニット5の上面に貼り合わされている圧電アクチュエータ6は、上層6a及び下層6bとを有している。上層6aには圧電層、個別電極32及び共通電極が含まれており、下層6bには振動板が含まれている。下層6bの振動板はステンレス鋼等からなる金属製の板である。
[第1の実施形態]
以下は、流路ユニット5を作製する方法に係る第1の実施形態についての説明である。図5は、流路ユニット5を作製する工程S1〜S5を示す工程図である。まず、流路ユニット5を構成するプレート11〜15となる複数の金属板に孔が形成される(S1)。ここで形成された孔は、金属板が積層された際に個別流路20を構成することとなるものである。次に、工程S1において孔が形成された金属板が互いに積層されると共に、最上層の金属板上に圧電アクチュエータ6の下層6bとなる振動板が積層される(S2)。
以下は、流路ユニット5を作製する方法に係る第1の実施形態についての説明である。図5は、流路ユニット5を作製する工程S1〜S5を示す工程図である。まず、流路ユニット5を構成するプレート11〜15となる複数の金属板に孔が形成される(S1)。ここで形成された孔は、金属板が積層された際に個別流路20を構成することとなるものである。次に、工程S1において孔が形成された金属板が互いに積層されると共に、最上層の金属板上に圧電アクチュエータ6の下層6bとなる振動板が積層される(S2)。
次に、工程S2において積層された金属板及び振動板の積層体に圧力が印加されると共に、かかる積層体が加熱される。これによって、金属板及び振動板同士が拡散接合によって接合される(S3)。一方で、プレート16となる樹脂シートにノズル25となる孔が形成される(S5)。そして、工程S3において拡散接合によって接合された金属板及び振動板に、S5においてノズル25となる孔が形成された樹脂シートが熱硬化性接着剤等を介して接着される(S4)。これによって、流路ユニット5が完成する。
以下は、流路ユニット5の作製工程S1〜S5のさらに詳細な説明である。図6は、個別流路20となる孔が金属板に形成される工程S1に係る図である。これらの孔はエッチングによって各金属板に形成される。まず、金属板111の表面に、ポジ型又はネガ型のレジスト材141が配置される。さらにそのレジスト材141上には、形成されるべき孔の平面形状と同一形状のマスク部分又は非マスク部分を有するマスクが配置される。なお、マスク部分及び非マスク部分のどちらを流路孔と同一形状にするのかは、レジスト材141がポジ型かネガ型かによる。レジスト材141の配置後にマスク上方から光が照射され、レジスト材141が感光する。光が照射された金属板111が現像液に漬けられると、孔が形成される予定の領域のレジスト材141のみが現像液に溶け出す。
次に、レジスト材141に覆われた金属板111の表面にエッチング剤がかけられる。これにより、図6(a)に示されるように、金属板111においてレジスト材141に覆われていない領域111aは、その表面から徐々にエッチング剤に溶解していく。図6(b)に示されているように、一定時間経過後には領域111aに貫通孔が形成される。その後、金属板111の表面からエッチング剤及びレジスト材141が除去される。圧力室24及びディセンダ流路19並びに鉛直流路21及び22となる孔はこのように形成される。
一方で、絞り流路26となる凹みはハーフエッチングによって形成される。すなわち、レジスト材で覆われた金属板上にエッチング剤が散布された後、エッチング剤による溶解で形成された孔が金属板を完全に貫通する前にエッチングが中止され、レジスト材が除去される。これにより、金属板の半ばまで達する絞り流路26となる孔が形成される。
図7は、樹脂シート116にノズル25となる孔を形成する工程S5に係る図である。ノズル25は、エキシマレーザ照射器等のレーザ照射器171から照射されるレーザーによって樹脂シート116に形成される。まず、樹脂シート116の上方に固定されたレーザ照射器171に対して、ノズル25の配列に従って樹脂シート116が位置合わせされる。そして、レーザ照射器171から樹脂シート116にレーザ光が照射されることにより、樹脂シート116の所定の位置にノズル25となる孔が形成される。
図8は、個別流路20となる孔が形成された金属板111〜115が順に積層される工程S2に係る図である。金属板111〜115は、プレート11〜15にそれぞれ相当する。まず、図8(a)に示されているように、積層台161上に金属板115が載置される。そして、金属板115上に金属板114が、金属板114及び115に形成された孔が互いに適切に連通するように位置合わせされつつ載置される。次に、図8(b)に示されているように、金属板114上に金属板113が、金属板113及び114に形成された孔が互いに適切に連通するように位置合わせされつつ載置される。このように金属板111〜115が積層台161上で順に積層される。そして、金属板111上に振動板106が載置されることにより、図8(c)に示されているように、金属板111〜115及び振動板106からなる積層体105が完成する。
図9及び図10は、積層体105に圧力を印加しつつ積層体105を加熱して積層体105中の金属板及び振動板同士を拡散接合によって接合する工程S3に係る図である。図9は、工程S3において用いられる加圧用治具51及び52と、加圧用治具51及び52によって支持される積層体105との斜視図である。
加圧用治具51及び52は積層体105の上面及び下面にそれぞれ当接する治具である。加圧用治具51は平坦な下面を有している。積層体105における最上層の振動板106の上面は平坦であり、加圧用治具51の下面は積層体105の平坦な上面に密着する。一方で、加圧用治具52は基部54と、基部54の上面から上方に突出した突出部53とを有している。突出部53は、平面視において共通インク室23と同様の形状を有していると共に、共通インク室23内に収容されるように共通インク室23より一回り小さく形成されている。積層体105の下面には、共通インク室23が開口している。加圧用治具52が積層体105に当接する際に、突出部53が共通インク室23内に収容される。
図10は、加圧用治具51及び52、並びに、積層体105の断面図である。図10(a)〜図10(c)は、加圧用治具51及び52を用いて積層体105に圧力が印加される一連の工程を示している。図10に示されているように、加圧用治具51は下層51a及び上層51bの2層を有している。下層51a(コーティング層)はセラミック材料からなり、上層51b(同材料層)は積層体105の最上層の振動板106と同じ材料からなる。また、加圧用治具52は上層52a及び下層52bの2層を有している。上層52a(コーティング層)はセラミック材料からなり、下層52b(同材料層)は積層体105の最下層の金属板115と同じ材料からなる。加圧用治具52の突出部53は、基部54の上面から突出部53の上面に(図10の上方に)向かって細くなっている。つまり、突出部53はテーパーの形状を有している。
加圧用治具51及び52の両方の内部にはヒータ55が設置されている。ヒータ55が作動すると、加圧用治具51及び52の表面を介して積層体105が加熱される。なお、図10(b)及び図10(c)において、図を見やすくするためヒータ55の図示が適宜省略されている。
加圧用治具51及び52を用いて積層体105に圧力が印加される工程は以下のとおりである。まず、図10(a)及び図10(b)に示されているように、積層体105に加圧用治具52が当接させられる。このとき、突出部53が共通インク室23内に進入して、突出部53の上面(第2の当接面)が共通インク室23の天井面(第3の表面)に当接すると共に、基部54の上面(第1の当接面)が金属板115の下面(第1の表面)に当接する。次に、図10(b)及び図10(c)に示されているように、加圧用治具51が積層体105に当接させられる。このとき、加圧用治具51の下面(第3の当接面)が振動板106の上面(第2の表面)に当接する。そして、加圧用治具51を介して上方からの圧力P1が積層体105に印加されると共に、加圧用治具52を介して下方からの圧力P2が積層体105に印加される。
さらに、加圧用治具51及び52を介して積層体105に圧力が印加されると同時に、加圧用治具51及び52の内部のヒータ55が駆動される。これによって、積層体105が加熱される。このとき、積層体105は、金属板111〜115の融点未満の温度に至るまで加熱される。このように圧力が印加されつつ加熱されることにより、積層体105内の金属板111〜115及び振動板106の各当接面が拡散接合によって互いに接合される。
なお、図10に示されている工程とは異なり、図11に示される工程によって拡散接合がなされてもよい。まず、1個の加圧用治具51、複数個の積層体105及び複数個の加圧用治具52が、上から加圧用治具51、積層体105、加圧用治具52、積層体105、加圧用治具52、…、積層体105及び加圧用治具52の順に積層される。その後、加圧用治具51を介して上方からの圧力が印加されると共に、最下層の加圧用治具52を介して下方からの圧力が印加される。これと同時に、加圧用治具51及び各加圧用治具52の内部のヒータが駆動されて各積層体105が加熱される。
これによると、複数の積層体105に同時に拡散接合が施されるので、複数の積層体105を拡散接合する工程が簡易になる。
図12は工程S4に係る図である。工程S3において拡散接合が施された積層体105に、工程S5においてノズル25が形成された樹脂シート116が、熱硬化性接着剤等を用いて貼り合わされる。これによって、流路ユニット5が完成する。
以下は、加圧用治具52の作製工程についての説明である。加圧用治具52はAD(Aero-zol Deposition)法を用いて作製される。図13は、AD法を施す装置の構成を示す概略図である。AD法は、エアロゾル生成装置173、ゾル流路174及びノズル172を用いて実施される。エアロゾル生成装置173は、セラミックの微粒子と気体とを混合してエアロゾルを生成する。エアロゾル生成装置173が生成したエアロゾルはゾル流路174を介してノズル172に送られる。ノズル172はエアロゾル生成装置173からのエアロゾルを下方へと噴射する。
加圧用治具52は以下の工程を経て作製される。まず、加圧用治具52の下層52bが金属材料を用いて作製される。次に、加圧用治具52の下層52bがノズル172の下方に設置される。このとき、下層52bは、セラミック層を形成すべき表面が上方に面するように設置される。そして、ノズル172からエアロゾルが噴射されると共に、下層52bが左右方向に何度も往復移動される。これによって、下層52bの上面にセラミック材料からなるセラミック層152aが堆積してゆき、加圧用治具52の上層52aとなる。このようにして加圧用治具52の上層52aが形成される。なお、スパッタ法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて加圧用治具52の上層52aが形成されてもよい。
[第1の実施形態の概括]
以上の工程を有する第1の実施形態によると、図10に示されているように、拡散接合の際に加圧用治具52の突出部53が共通インク室23内に進入し、突出部53の上面が共通インク室23の天井面に当接する。したがって、積層体105の内部において金属板及び振動板の当接面の領域105aにも均等に圧力が印加されやすくなる。これによって、図16に示されているような加圧用治具を用いる場合と比べて、積層体105の金属板及び振動板同士が拡散接合によって均等に接合されやすくなる。ここで突出部53は、基部54の上面から突出部53の上面に向かって先細りの形状を有している。このため、加圧用治具52は、例えば突出部53の縦断面が長方形の形状である場合と比べて、突出部53を共通インク室23内に進入させやすいものとなっている。
以上の工程を有する第1の実施形態によると、図10に示されているように、拡散接合の際に加圧用治具52の突出部53が共通インク室23内に進入し、突出部53の上面が共通インク室23の天井面に当接する。したがって、積層体105の内部において金属板及び振動板の当接面の領域105aにも均等に圧力が印加されやすくなる。これによって、図16に示されているような加圧用治具を用いる場合と比べて、積層体105の金属板及び振動板同士が拡散接合によって均等に接合されやすくなる。ここで突出部53は、基部54の上面から突出部53の上面に向かって先細りの形状を有している。このため、加圧用治具52は、例えば突出部53の縦断面が長方形の形状である場合と比べて、突出部53を共通インク室23内に進入させやすいものとなっている。
ところで、加圧用治具51及び52の表面を含む部分が拡散接合によって積層体105と接合されやすい材料からなるものであると、加圧用治具51及び52を積層体105から剥離しにくくなったり、剥離した際に加圧用治具51及び52の積層体105との当接面に積層体105の金属材料が付着したりするおそれがある。これに対して本実施形態によると、加圧用治具51及び52において積層体105と当接する表面にセラミック材料からなる層51a及び52aが形成されている。つまり、加圧用治具51及び52の表面には、金属材料からなる積層体105と拡散接合によって非常に接合されにくい材料からなる層が形成されている。したがって、加圧用治具51及び52を介して積層体105に圧力が印加されつつ積層体105が加熱されても、加圧用治具51及び52と積層体105とが拡散接合によって接合されるのを抑制することが可能である。ここで、積層体105の金属板と加圧用治具51及び52の表面を含む部分とは、できるだけ互いに拡散接合しにくい材料からなるものであることが好ましい。
なお、加圧用治具51及び52と積層体105とが接合されるのを抑制するためには少なくとも、加圧用治具51及び52の表面を含む部分が積層体105と異種の材料からなるものであればよい。例えば、積層体105がステンレス鋼からなるものである場合には、加圧用治具51及び52の表面を含む部分が積層体105とは異なる系統のステンレス鋼からなるものであればよい。加圧用治具51及び52の表面を含む部分が、ステンレス鋼とは異なる鉄系でない合金材料、チタン又はタングステン等からなるものであることがより好ましい。このような場合には、積層体105と加圧用治具51及び52の表面とが同じ系統のステンレス鋼からなる場合と比べて、一般に、加圧用治具51及び52と積層体105とが接合されにくい。
あるいは、積層体105が金属材料からなるものであるのに対して、加圧用治具51及び52の表面に、アルミナ、ジルコニア及び窒化ケイ素等のセラミック材料以外の金属化合物からなる材料層が形成されていてもよい。この場合にも、加圧用治具51及び52と積層体105とが接合されにくい材料をセラミック材料以外の材料から選択することが可能である。
また、本実施形態において、加圧用治具51及び52は、積層体105と同じ材料の層である上層51b及び下層52bをそれぞれ有している。一方、加圧用治具51及び52内のヒータ55が作動された際に、積層体105と加圧用治具51及び52とは熱膨張する。ここで、加圧用治具51及び52の全体が積層体105と異なる材料からなる場合には、加圧用治具51及び52と積層体105とが互いに異なる膨張率で膨張するため、これらの治具と積層体105との当接が確保されなくなったり、共通インク室23が破損したりするおそれが生じる。これに対して、加圧用治具51及び52は積層体105と同じ材料の層である上層51b及び下層52bをそれぞれ有しているので、これらの治具と積層体105との膨張率が近くなり、上記のような問題が生じにくくなる。
[第2の実施形態]
以下は、流路ユニット5を作製する方法に係る第2の実施形態についての説明である。第2の実施形態において流路ユニット5を作製する工程の多くは第1の実施形態におけるものと同じである。このため、以下においては主に、第1の実施形態とは異なる工程についての説明がなされ、第1の実施形態と同じ工程についての説明は適宜省略される。
以下は、流路ユニット5を作製する方法に係る第2の実施形態についての説明である。第2の実施形態において流路ユニット5を作製する工程の多くは第1の実施形態におけるものと同じである。このため、以下においては主に、第1の実施形態とは異なる工程についての説明がなされ、第1の実施形態と同じ工程についての説明は適宜省略される。
第2の実施形態において第1の実施形態と異なるのは、積層体を作製する工程及び積層体を拡散接合によって接合する工程である。第2の実施形態においては、流路ユニット5を構成する金属板111〜115が積層された後に、振動板106が積層されることなく拡散接合の工程が行われる。そして、拡散接合の工程において、第1の実施形態の加圧用治具51の代わりに図14に示されている加圧用治具151が用いられる。第2の実施形態においては振動板106が積層されないので、図14に示されているような積層体205に拡散接合が施される。積層体205の上面には、積層体205の最上層の金属板111に形成された圧力室24が開口している。これに対して、加圧用治具151は平板状の基部154と共に、基部154から突出した突出部153を有している。突出部153は圧力室24とほぼ同じ形状を有しており、圧力室24の内部に収容されるように圧力室24より小さく形成されている。
図15(a)〜図15(c)は、加圧用治具52及び151を用いて積層体205に圧力が印加される一連の工程を示している。なお、図15に示されているように、加圧用治具151も下層151a及び上層151bの2層を有している。そして、下層151a(コーティング層)はセラミック材料からなり、上層151b(同材料層)は積層体205の最上層の金属板111と同じ材料からなる。加圧用治具151の突出部153は、先端が下方に向かって細くなっており、テーパーの形状を有している。なお、加圧用治具151の内部にもヒータが設置されている(不図示)。
加圧用治具52及び151を用いて積層体205に圧力が印加される工程は以下のとおりである。まず、図15(a)及び図15(b)に示されているように、加圧用治具52が積層体105に当接させられる。このとき、突出部53が共通インク室23内に進入して、突出部53の上面(第2の当接面)が共通インク室23の天井面(第3の表面)に当接すると共に、基部54の上面(第1の当接面)が金属板115の下面(第1の表面)に当接する。
次に、図15(b)及び図15(c)に示されているように、加圧用治具151が積層体105に当接させられる。このとき、突出部153が圧力室24内に進入して、突出部153の下面(第4の当接面)が圧力室24の底面(第4の表面)に当接すると共に、基部154の下面(第3の当接面)が金属板115の上面(第2の表面)に当接する。
そして、加圧用治具151を介して上方からの圧力P1が積層体205に印加されると共に、加圧用治具52を介して下方からの圧力P2が積層体205に印加される。さらに、圧力の印加と共に、加圧用治具52及び151内のヒータが駆動される。このように積層体205に圧力が印加されつつ積層体205が加熱されることにより、積層体205内の金属板111〜115の各当接面が拡散接合によって互いに接合される。
なお、第1の実施形態の図11に示される工程のように、第2の実施形態においても複数の積層体205に同時に拡散接合が施されてもよい。このとき、上から加圧用治具151、積層体205、加圧用治具52、加圧用治具151、積層体205、加圧用治具52、…、加圧用治具151、積層体205及び加圧用治具52の順にこれらの部材が積層される。その後、最上層の加圧用治具151を介して上方からの圧力が印加されると共に、最下層の加圧用治具52を介して下方からの圧力が印加される。これと同時に、各加圧用治具151及び各加圧用治具52内のヒータが駆動されて各積層体205が加熱される。これによると、複数の積層体205において同時に拡散接合がなされるので、複数の積層体205を拡散接合する工程が簡易になる。
[第2の実施形態の概括]
本実施形態によると、共通インク室23が下面に開口しているのみならず、圧力室24が上面に開口している積層体205に拡散接合を施す場合であっても、加圧用治具151の突出部153が圧力室24内に進入して圧力室24の底面に当接する。したがって、積層体205内において金属板及び振動板の当接面の領域205aにも均等に圧力が印加されやすくなる(図15参照)。これによって、図16に示されているような加圧用治具を用いる場合と比べて、積層体205内の金属板同士が拡散接合によって均等に接合されやすくなる。
本実施形態によると、共通インク室23が下面に開口しているのみならず、圧力室24が上面に開口している積層体205に拡散接合を施す場合であっても、加圧用治具151の突出部153が圧力室24内に進入して圧力室24の底面に当接する。したがって、積層体205内において金属板及び振動板の当接面の領域205aにも均等に圧力が印加されやすくなる(図15参照)。これによって、図16に示されているような加圧用治具を用いる場合と比べて、積層体205内の金属板同士が拡散接合によって均等に接合されやすくなる。
<変形例>
以上は、本発明の好適な実施の形態についての説明であるが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、課題を解決するための手段に記載された内容の限りにおいて様々な変更が可能なものである。
以上は、本発明の好適な実施の形態についての説明であるが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、課題を解決するための手段に記載された内容の限りにおいて様々な変更が可能なものである。
例えば、上述の実施形態において、加圧用治具51、52及び151は、それぞれ上層及び下層の2層を有している。この2層のうちのセラミック材料からなる層は、どのような厚みを有していてもよい。例えば、加圧用治具の全体における厚みの半ば程度までセラミック材料の層が形成されていてもよい。あるいは、加圧用治具の全体がセラミック材料からなるものであってもよい。
また、上述の実施形態において、金属板111〜115及び振動板106からなる積層体105、及び、金属板111〜115からなる積層体205に拡散接合が施されている。しかし、金属板111及び112からなる積層体や金属板113〜115からなる積層体に拡散接合が施される場合に本発明が適用されてもよい。このような場合には、拡散接合が施される積層体の上面や下面に開口した孔の形状に応じた形状を有する突出部が加圧用治具に形成されていればよい。
また、上述の実施形態において、加圧用治具51等の内部に設置されたヒータによって積層体105等が加熱されている。しかし、加圧用治具51等とは別のヒータ部材によって積層体105等が加熱されてもよい。
1 インクジェットヘッド
5 流路ユニット
6 圧電アクチュエータ
11-16,311-316 プレート
19 ディセンダ流路
21、22 鉛直流路
20 個別流路
23 共通インク室
24 圧力室
25 ノズル
26 絞り流路
51、52、151、301 加圧用治具
53,153 突出部
100 インクジェットプリンタ
105、205、300 積層体
111-115 金属板
5 流路ユニット
6 圧電アクチュエータ
11-16,311-316 プレート
19 ディセンダ流路
21、22 鉛直流路
20 個別流路
23 共通インク室
24 圧力室
25 ノズル
26 絞り流路
51、52、151、301 加圧用治具
53,153 突出部
100 インクジェットプリンタ
105、205、300 積層体
111-115 金属板
Claims (12)
- 複数枚のプレートの積層体であって、その積層方向に関して互いに最も離隔しており且つ互いに平行な第1及び第2の表面と、前記第1の表面に開口した開口孔と、前記開口孔内に形成された前記第1の表面と平行な第3の表面とを有する積層体において、前記積層体中のプレート同士を接合する方法であって、
前記第1の表面に当接する第1の当接面、及び、前記第1の当接面が前記第1の表面に当接する際に前記第1の表面における前記開口孔の開口から前記開口孔内に進入して前記第3の表面に当接する第2の当接面を有する第1の加圧用治具と、前記第2の表面に当接する第3の当接面を有する第2の加圧用治具とに、前記第1〜第3の当接面を前記第1、第3及び第2の表面へとそれぞれ当接させて、前記第1及び第2の加圧用治具から前記積層体へと前記積層方向に関する両方向からの圧力を印加する加圧工程と、
前記加圧工程で圧力が印加されている前記積層体を加熱することによって当該積層体中のプレート同士を拡散接合する接合工程とを備えている積層体の接合方法。 - 前記加圧工程において、
前記第1〜第3の当接面の少なくともいずれかを含む部分が、前記積層体において前記第1〜第3の当接面の前記いずれかと当接する部分を構成する材料と異なる材料からなる前記第1及び第2の加圧用治具を使用することを特徴とする請求項1に記載の積層体の接合方法。 - 前記加圧工程において、
前記積層体において前記第1〜第3の当接面の前記いずれかと当接する部分が金属材料からなる場合に、前記第1〜第3の当接面の前記いずれかを含む部分がセラミック材料からなる前記第1及び第2の加圧用治具を使用することを特徴とする請求項2に記載の積層体の接合方法。 - 前記加圧工程において、
前記積層体において前記第1〜第3の当接面の前記いずれかと当接する部分が金属材料からなる場合に、前記第1〜第3の当接面の前記いずれかを含む部分が金属化合物材料からなる前記第1及び第2の加圧用治具を使用することを特徴とする請求項2に記載の積層体の接合方法。 - 前記加圧工程において、
前記積層体において前記第1〜第3の当接面の前記いずれかと当接する部分が合金材料からなる場合に、前記第1〜第3の当接面の前記いずれかを含む部分が前記合金材料とは異なる系統の合金材料からなる前記第1及び第2の加圧用治具を使用することを特徴とする請求項2に記載の積層体の接合方法。 - 前記加圧工程において、
前記積層体において前記第1〜第3の当接面の前記いずれかと当接する部分を構成する材料と同じ材料からなる同材料層と、前記積層体において前記第1〜第3の当接面の前記いずれかと当接する部分を構成する材料とは異なる材料からなる前記同材料層上に形成されたコーティング層とを有しており、前記コーティング層の表面に前記第1〜第3の当接面の前記いずれかが形成された前記第1及び第2の加圧用治具を使用することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の積層体の接合方法。 - 前記積層体が、
前記第2の表面に開口した、前記開口孔とは別の開口孔と、当該別の開口孔内に形成された前記第2の表面に平行な第4の表面とを有しており、
前記第2の加圧用治具が、
前記第3の当接面が前記第2の表面に当接する際に前記第2の表面における前記別の開口孔の開口から前記開口孔内に進入して前記第4の表面に当接する第4の当接面をさらに有しており、
前記加圧工程において、
前記第1及び第2の加圧用治具の前記第1〜第4の当接面を前記第1、第3、第2及び第4の表面へとそれぞれ当接させて、前記第1及び第2の加圧用治具から前記積層体へと前記積層方向に関する両方向からの圧力を印加することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層体の接合方法。 - 前記第1及び第2の積層体並びに前記第1及び第2の加圧用治具を、前記第1の積層体、前記第1の加圧用治具、前記第2の積層体、及び、前記第2の加圧用治具の順に、前記第1〜第3の当接面を前記第1、第3及び第2の表面へとそれぞれ当接させて前記第1及び第2の加圧用治具に前記第1及び第2の積層体をそれぞれ支持させるように、前記積層方向に関して積層する複合積層工程をさらに備えており、
前記加圧工程において、前記複合積層工程で積層された前記第1及び第2の積層体並びに前記第1及び第2の加圧用治具の複合積層体へと、前記積層方向に関して両方向からの圧力を印加し、
前記接合工程において、前記加圧工程で圧力が印加されている前記複合積層体を加熱することによって当該積層体中のプレート同士を拡散接合することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体の接合方法。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体の接合方法によって拡散接合された積層体を有しており、液体を吐出する吐出口と前記積層体の前記開口孔及び前記吐出口の両方に連通する流路とが形成された流路ユニットを製造する方法であって、
前記流路を構成することとなる流路孔及び前記開口孔となる孔を複数のプレートに形成する孔形成工程と、
前記吐出口をプレートに形成する吐出口形成工程と、
前記流路孔及び前記開口孔となる孔が連通して前記流路及び前記開口孔がそれぞれ形成され、且つ、前記流路及び開口孔が互いに連通するように、前記孔形成工程で前記流路孔が形成された複数枚のプレートを積層する第1のプレート積層工程と、
前記吐出口形成工程で前記吐出口が形成されたプレートを、前記プレート積層工程で積層された前記複数枚のプレートからなる前記積層体上に、前記吐出口が前記流路に連通するように積層する第2のプレート積層工程とを備えており、
前記加圧工程において、
前記第1のプレート積層工程で積層された前記複数のプレートの積層体を、前記第1及び第2の加圧用治具に、前記第1〜第3の当接面を前記第1、第3及び第2の表面へとそれぞれ当接させて、前記第1及び第2の加圧用治具から前記第1のプレート積層工程で積層された前記積層体へと前記積層方向に関する両方向からの圧力を印加し、
前記接合工程において、
前記加圧工程で圧力が印加されている前記積層体を加熱することによって当該積層体中のプレート同士を拡散接合し、
前記第2のプレート積層工程において、
前記接合工程で拡散接合された前記積層体上に前記吐出口形成工程で前記吐出口が形成されたプレートをさらに積層することを特徴とする流路ユニットの製造方法。 - 複数枚のプレートの積層体であって、その積層方向に関して互いに最も離隔しており且つ互いに平行な第1及び第2の表面と、前記第1の表面に開口した開口孔と、前記開口孔内に形成された前記第1の表面と平行な第3の表面とを有する積層体において、前記積層体中のプレート同士を拡散接合する際に前記積層体を支持する加圧用治具であって、
前記積層体を支持する際に前記第1の表面に当接する第1の当接面と、
前記第1の当接面が前記第1の表面に当接する際に、前記第1の表面における前記開口孔の開口から前記開口孔内に進入して前記第3の表面に当接する第2の当接面とを備えていることを特徴とする加圧用治具。 - 前記第1の当接面から突出しており、前記開口孔内に収容可能な大きさ及び形状を有する突出部をさらに備えており、
当該突出部に前記第2の当接面が形成されていることを特徴とする請求項10に記載の加圧用治具。 - 前記第1及び第2の当接面が互いに平行な2つの平面のそれぞれに沿って形成されており、
前記突出部が、前記第1の当接面から前記第2の当接面へと向かって先細りの形状を有していることを特徴とする請求項11に記載の加圧用治具。
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JP2006259393A JP2008074072A (ja) | 2006-09-25 | 2006-09-25 | 積層体の接合方法、流路ユニットの製造方法及び加圧用治具 |
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JP2010105260A (ja) * | 2008-10-30 | 2010-05-13 | Brother Ind Ltd | 液体移送装置の製造方法 |
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