JP2008069036A - 導電性窒化ケイ素焼結体とその製造方法 - Google Patents

導電性窒化ケイ素焼結体とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 緻密で導電性が高いカーボンナノチューブ分散窒化ケイ素焼結体を容易に安定して製造する。
【解決手段】 特定の焼結助剤を含有する窒化ケイ素組成物に配合するカーボンナノチューブとして、平均直径が70nm以上、平均アスペクト比が200以下であり、空気雰囲気下に600℃で1時間放置後の減量率が10%以下であるものを用いる。
【選択図】 なし

Description

この発明は、窒化ケイ素を主成分とする特定の組成を有し、さらに特定のカーボンナノチューブ(以下「CNT」と略記する)を含む組成物の焼結体からなり、導電性を有し、転がり寿命特性に優れ、耐摩耗性部材等に好適な窒化ケイ素焼結体及びその製造方法に関する。
窒化ケイ素焼結体は、耐熱性、高強度、耐摩耗性、耐熱衝撃性などの優れた特徴を有するため、エンジニアリングセラミックスとして注目され、これまで軸受部材、圧延用などの各種ロール材、コンプレッサ用ベーン、ターボロータ、切削工具などに実用化されている。
この窒化ケイ素は難焼結性物質であることから、焼結体の作製にあたっては焼結助剤を
中心に、種々の添加剤が用いられている。その主流の組成系としては、窒化ケイ素−希土
類酸化物−酸化アルミニウム系、窒化ケイ素−希土類酸化物−酸化アルミニウム−酸化チ
タン系などが知られている。これらの組成において、希土類酸化物などの焼結助剤は、焼
結中にSi−R−Al−O−N化合物(式中、Rは希土類元素を表す。)などからなる粒界相(ガラス相)を生成し、焼結体を緻密化して高強度化するための成分である。
この窒化ケイ素焼結体においては、焼結助剤の添加によって曲げ強度、破壊靭性値、耐
熱衝撃性、耐摩耗性などの向上が図られたことがこの材料の実用化を達成させた要因であ
ったが、この材料は本質的に電気的に絶縁体であるため、これが逆に使用中に静電気を生
じて微粉体を付着させる結果を招き、相手金属を傷つけたり種々のトラブルのもとになっ
ている。そのため導電性の窒化ケイ素セラミックスの開発が強く求められていた。
このような目的の下に、窒化ケイ素−希土類酸化物−酸化アルミニウム系に二ホウ化チ
タン(TiB)や二ホウ化ジルコニウム(ZrB)を添加した研究例が認められるが
、この場合はかなり多くの導電体の添加が必要であり、本来の窒化ケイ素の性質を失って
しまうため好ましいとは言い難い。
また、導電性炭素物質を添加することも検討されているが、炭素粉末を加える場合にはかなり多くの炭素を加えることが必要であり、その一方で炭素の添加が窒化ケイ素−焼結助剤系の緻密化を大幅に阻害するため、緻密体を得ることが極めて難しい(非特許文献1)。
また,窒化ケイ素−希土類酸化物−酸化アルミニウム系に炭素繊維を添加した例も認められるが、炭素粉体を用いる以上に緻密化は困難な状況である(非特許文献2、特許文献1)。
一方、窒化ケイ素−希土類酸化物−酸化アルミニウム系に、酸化チタン、酸化ハフニウ
ム、酸化ジルコニウム等を添加すると耐摩耗性が向上し、更に必要に応じて窒化アルミニ
ウムを添加すると焼結性が著しく向上することが知られている(特許文献2)。
本発明者の一部らは、先に、窒化ケイ素焼結体にCNTを含有させようとすると焼結性が阻害されることから、窒化ケイ素−希土類酸化物−酸化アルミニウム系のみの場合は緻密化が困難なため、CNTが窒化ケイ素や窒化ケイ素の表面に存在するシリカ(SiO)と反応して炭化ケイ素(SiC)を生成して消滅するのに対して、低温で緻密化を促進する焼結助剤(例えば、Y−Al−TiO−AlN系など)を用いて緻密化を促進させると、この系にCNTを添加しても、緻密化の達成はさらに容易になり、結果としてSiCの生成が抑制されて焼結体中にCNTが残留して導電性と優れた機械的特性(曲げ強度、靱性、耐摩耗性等)を共存させた窒化ケイ素焼結体が得られることを見出している(特許文献3)。
米国公開特許第2004-0029706号 特開2004-2067 特開2006-103994 Cs. Balazsi et al., "Manufacture and examination of C/Si3N4 nanocomposites", Journal of the European Ceramic Society 2004,vol. 24, p3287-3294 Material Science and Engineering C23 (2003) 1133-1137
上記CNT分散導電性窒化ケイ素セラミックスは、通常、汎用性・量産性を考慮して、「組成バッチの混合・分散」、「バインダー添加」、「造粒」、「脱脂」、「焼成」、「加工」の各工程を基本とし、焼成としては、常圧焼結、雰囲気加圧焼結、これらにHIP処理を施したものを原則とするプロセスで製造されるが、使用成分物質の酸化防止の観点から、分散剤・バインダー等の有機成分の脱脂工程を非酸化性雰囲気下に実施することが多かった。そのためこの工程に長時間を要するばかりか、有機成分の除去が不十分となり、焼成工程での製品の緻密度が低下したりする等の問題があった。このことを回避するために、最近では空気中での脱脂が広く行われている。しかし、CNT添加の場合はCNT自体の酸化が問題となる。
本発明は、かかる問題点を解消し、CNT分散窒化ケイ素焼結体をさらに容易に安定して製造することを目的とするものであり、また、このような窒化ケイ素焼結体の特性値とその信頼性のさらなる向上を目的とするものである。
本発明の窒化ケイ素焼結体は、希土類化合物を酸化物換算で0.5〜10重量%、平均粒子径が1.0μm以下のチタン属元素の酸化物又は焼成によりチタン属元素の窒化物となるチタン属元素化合物を等モルの窒化チタン換算で0.1〜5重量%、酸化アルミニウム又はその前駆体を酸化物換算で0.1〜5重量%、窒化アルミニウムを0〜5重量%それぞれ含有し、残部が酸素含有量が1.7重量%以下で平均粒子径が1.0μm以下の窒化ケイ素粉末からなる混合物に、さらに平均直径が70nm以上、平均アスペクト比が200以下であり、空気雰囲気下に600℃で1時間放置後の減量率が10%以下であるであるカーボンナノチューブ(CNT)を外掛けで0.3〜12重量%含有させてなる混合物を成形し、脱脂後、焼結してなることを特徴としている。
また、本発明の窒化ケイ素焼結体は、窒化ケイ素からなる結晶粒を母相とし、Si−R−Al−O−N化合物(式中、Rは希土類元素を表す。)を主とする粒界相を含むことを特徴としている。
また、本発明の窒化ケイ素焼結体は、さらにマグネシウム及びタングステンから選ばれる少なくとも1種の化合物を酸化物換算で0.1〜5重量%含有することを特徴としている。
また、本発明の窒化ケイ素焼結体は、前記窒化ケイ素粉末がα相型窒化ケイ素を90重量%以上含有することを特徴としている。
本発明の窒化ケイ素焼結体の製造方法は、希土類化合物を酸化物換算で0.5〜10重量%、平均粒子径が1.0μm以下のチタン属元素の酸化物又は焼成によりチタン属元素の窒化物となるチタン属元素化合物を等モルの窒化チタン換算で0.1〜5重量%、酸化アルミニウム又はその前駆体を酸化物換算で0.1〜5重量%、窒化アルミニウムを0〜5重量%それぞれ含有し、残部が酸素含有量が1.7重量%以下で平均粒子径が1.0μm以下の窒化ケイ素粉末からなる混合物に、さらに平均直径が70nm以上、平均アスペクト比が200以下であり、空気雰囲気下に600℃で1時間放置後の減量率が10%以下であるカーボンナノチューブ(CNT)を外掛けで0.3〜12重量%含有させてなる混合物を所望の形状に成形し脱脂する工程、及び該成形体を窒素含有非酸化性雰囲気下にて1600〜1900℃で焼結する工程を有することを特徴としている。
また、本発明の方法は、前記脱脂を酸素含有雰囲気下にて行うことを特徴としている。
また、本発明の方法は、さらに、前記焼結工程により得られた窒化ケイ素焼結体に、30MPa以上の非酸化性雰囲気下にて1600〜1850℃で熱間静水圧加圧(HIP)処理を施す工程を含むことを特徴としている。
また、本発明の方法は、前記窒化ケイ素粉末がα相型窒化ケイ素を90重量%以上含有することを特徴としている。
本発明の耐摩耗性部材は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の窒化ケイ素焼結体又は請求項5〜8のいずれか一項に記載の製造方法により製造された窒化ケイ素焼結体からなる。
本発明の窒化ケイ素焼結体は、CNTを含むため導電性であり、かつ、CNTを含むにもかかわらず特定の焼結助剤の使用により緻密性が得やすい。
さらに、直径が大きく、アスペクト比が比較的小さく、耐酸化性が高いCNTを添加することにより、CNTの良好な分散性とパーコレーションによる導通を両立させ、また、CNTの反応による消滅を防止することができるため、緻密で高い導電性を示す焼結体を容易に安定して得ることができる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明の窒化ケイ素焼結体は、希土類化合物を酸化物換算で0.5〜10重量%、平均粒子径が1.0μm以下のチタン属元素の酸化物又は焼成によりチタン属元素の窒化物となるチタン属元素化合物を等モルの窒化チタン換算で0.1〜5重量%、酸化アルミニウム又はその前駆体を酸化物換算で0.1〜5重量%、窒化アルミニウムを0〜5重量%それぞれ含有し、残部が酸素含有量が1.7重量%以下で平均粒子径が1.0μm以下の窒化ケイ素粉末からなる混合物であって、さらに特定のCNTを外掛けで0.3〜12重量%含む混合物を成形し、脱脂後、焼結させることにより形成される。
原料である窒化ケイ素は、α相型とβ相型とがあり、いずれを用いてもよいが、α相型がより適している。特にα相型窒化ケイ素を90重量%以上含む窒化ケイ素粉末を用いることが望ましい。窒化ケイ素原料粉末は平均粒子径が1.0μm以下で、かつ酸素含有量が1.7重量%以下であるものが採用される。このような微細でかつ不純物の少ない窒化ケイ素粉末を用いることによって、気孔率及び最大気孔径が小さい高強度の窒化ケイ素焼結体が得易くなる。窒化ケイ素原料粉末の平均粒子径は0.4〜0.8μmの範囲であることがより好ましい。また、酸素含有量については0.5〜1.5重量%の範囲であることがより好ましい。
このような原料を用いて得られる焼結体中の窒化ケイ素の含有量は通常75〜97重量%、好ましくは80〜95重量%である。窒化ケイ素の含有量が少ないと、窒化ケイ素に対して焼結助剤の量が多くなり、焼結体の曲げ強度、破壊靭性、摩耗特性などの特性が低下する傾向にある。逆に、窒化ケイ素の含有量が多いと、焼結助剤の量が相対的に少なくなることから緻密化が不十分となる。
この窒化ケイ素及び窒化ケイ素の表面に存在するシリカは、焼結過程で条件によりCNTと反応してSiCを形成(例えば、Si+C=SiC+N)することが知られている。この反応が連続的に進行すればCNTは消滅するため本目的の達成は不可能である。しかし、この反応が顕著になる前にかなりの緻密化が達成されれば、ガスの放出が不可能となり反応をストップさせることが可能になる。チタン化合物と窒化アルミニウムの添加は窒化ケイ素の緻密化促進をより顕著にすることから、本目的に極めて有効な添加物である。
希土類化合物は、特に限定されるものではないが、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、サマリウム(Sm)、ネオジウム(Nd)、ジスプロシウム(Dy)、エルビウム(Er)などの酸化物、窒化物、硼化物、炭化物、珪化物の少なくとも1種が好ましい。特に、Si−R−Al−O−N化合物(式中、Rは希土類化合物を表す。)から主としてなる粒界相を形成し易い観点から、Y、Ce、Sm、Nd、Erなどの酸化物を用いることが好ましい。
酸化アルミニウムは、その前駆体である遷移アルミナや炭酸塩などを用いても差し支えない。これらのアルミニウム化合物は、焼結時にSi−R−Al−O−N化合物(式中、Rは希土類化合物を表す。)を容易に形成する。
本発明においては、酸化アルミニウムと窒化アルミニウムの両方を添加するので、Si−R−Al−O−N化合物(式中、Rは希土類化合物を表す。)から主としてなる粒界相が容易に形成される。
なお、Alと酸素の一部はSiと置換固溶してサイアロンを形成するので、窒化ケイ素焼結体中の窒化ケイ素粒子の一部はサイアロンとして存在する。
希土類化合物及びアルミニウム化合物(酸化アルミニウムと窒化アルミニウムを含む)の添加量は、最終的に窒化ケイ素焼結体中のSi−R−Al−O−N化合物(式中、Rは希土類化合物を表す。)から主としてなる粒界相の量が2〜20重量%の範囲となるように選定され、希土類化合物は酸化物に換算して0.5〜10重量%の範囲、アルミニウム化合物は0.1〜10重量%の範囲が採用される。窒化アルミニウムの添加量は0〜5重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。一方、酸化アルミニウム又はその前駆体の添加量は酸化物換算で0.1〜5重量%の範囲とされる。
希土類化合物やアルミニウム化合物として平均粒子径が1.0μm以下の微細な粉末を用いることが好ましい。
焼結助剤として希土類化合物やアルミニウム化合物を用いると、Si−R−Al−O−N化合物(式中、Rは希土類元素を表す。)からなる粒界相が容易に形成される。
本発明の窒化ケイ素焼結体は、Si−R−Al−O−N化合物(式中、Rは希土類元素を表す。)を主として含む粒界相を2〜20重量%、好ましくは5〜15重量%含有する。粒界相の含有量が2重量%未満であると、窒化ケイ素焼結体が十分に緻密化しないことから、気孔率が増大して曲げ強度や破壊靭性などが低下してしまう。一方、粒界相の含有量が20重量%を超えると、過剰な粒界相により窒化ケイ素焼結体の曲げ強度、破壊靭性、摺動部材に利用した場合の転がり寿命などが低下する。
粒界相は、X線マイクロアナライザー(EPMA)によりその成分を測定することができる。その量は断面積から換算する。
チタン属元素としてチタン、ハフニウム、ジルコニウムが挙げられる。これらは酸化物として用いてもよく、焼成過程で酸化物を経て窒化物に変化する炭酸塩や硝酸塩として用いてもよい。これらは、焼結性を高め、しかも窒化ケイ素焼結体の特性を低下させない。これらは焼成によりチタン属元素の窒化物となる。チタン属元素化合物の添加量が多すぎると焼結体の緻密化が阻害されるので、等モルの窒化チタン換算で0.1〜5.0重量%の範囲が採用される。これらは均質混合性の観点から、平均粒子径が1μm以下の微細な粉末の形態で用いられる。
種々のチタン属元素化合物の中で、特に酸化チタンは、焼結過程で緻密化を促進するとともに、最終的には窒化チタンに変化して粒界に球状粒子として析出し摺動特性を向上させるので好ましい。その結晶形としてはルチル型とアナターゼ型のいずれでもよいが、強いていえばアナターゼ型の方が効果は大きいので好ましい。
本発明の窒化ケイ素焼結体は、上記以外の他の成分を含有していてもよい。例えば、窒化ケイ素焼結体のさらなる緻密化のために、マグネシウム(Mg)、タングステン(W)などの酸化物、窒化物、硼化物、珪化物やシリカなどを含有していてもよい。特に、酸化マグネシウムは窒化ケイ素焼結体の緻密化に対してさらに効果的である。これらの化合物の含有量は総量で0.1〜5重量%の範囲とすることが好ましい。
本発明においては、平均直径が70nm以上、平均アスペクト比が200以下であり、空気雰囲気下に600℃で1時間放置後の減量率が10%以下であるCNTを外掛け(すなわち、CNTを含まない窒化ケイ素焼結体の重量を基準として)で0.3〜12重量%、好ましくは1.2〜4.2重量%添加することが重要である。CNTが少なすぎると焼結性は良好となるが、導電率が10−1Ω−1−1以下と低くなるために帯電防止性が低下し、一方、CNTが多すぎると焼結性が低下するためともに好ましくない。
CNTのサイズに関して、まず平均長としては短すぎると導電性賦与が困難になるので、2μm以上、特に5μm以上とすることが好ましく、一方、長すぎると分散性が低下するので、15μm以下とすることが好ましい。また、平均直径としては細すぎると脱脂工程での反応による消失の危惧が生じるので、70nm以上のものが採用され、一方、太すぎると単位添加量あたりのCNT数が減少し導電性賦与効果が低下するので、180nm以下とすることが好ましい。さらに、アスペクト比については、1に近いほど分散性は向上するが同時に導電性賦与効果が低下してしまうので、10以上、特に20以上とすることが好ましい。
本発明においては、使用するCNTが上記のサイズに加えて、特定の耐酸化性を有するものであることが重要である。空気流中での脱脂における試料の熱履歴を想定し、TG/DTAを用いて、1.0〜2.0mgのCNT試料を室温から600℃まで5℃/分の割合で昇温し600℃に1時間保持した後の減量率を耐酸化性の目安とし、この値が10%、好ましくは5%以下のCNTが使用される。
上記耐酸化性はCNTの結晶化度と相関があり、X線回折により測定されるc面の面間隔(結晶化度が高くなると狭くなる)が0.682nm以下の場合には前記減量率が0%であるのに対して、0.686nmの試料では数10%の減量を生じることが確認されている。
次に、本発明の製造方法について説明する。その製造法は特に限定されないが、次のようなプロセスを基本とする。まず、組成は、Si(85〜97重量%)−Y(0.5〜10重量%)−Al(0.1〜5重量%)−TiO(あるいは、HfO、ZrO等)(0.1〜5重量%)−AlN−CNT(0.3〜12重量%)系(低温での緻密化促進を可能にする系)を基本系とする。
典型的な製造プロセスを以下のとおりである。各添加物粉末を窒化ケイ素原料粉末に対して所定量添加し、さらに有機バインダーや分散媒などを加えてよく混合した後、一軸プレスやラバープレスなどの公知の成形法を適用して原料混合体を所望の形状に成形する。各原料粉末の混合にあたっては、特にチタン属元素化合物が均一分散されるように混合する。これによって、チタン属元素化合物同士の凝集が防止され、酸化チタン等の粒子を単独に分散させた状態、すなわち単一粒子から成る酸化チタン等が均一に分散した状態が得られやすくなる。
次に、上記のように作製した成形体から混合・分散及び成形時に添加した有機系の分散剤やバインダーを除去するための脱脂処理を施す。この工程ではこれら有機物を完全に除去する必要があり、コストの面と高信頼性の点から空気流中(あるいは空気を含む気流中)での脱脂が有利である。ここで、CNT自体の空気酸化についての配慮が必要となるが、本発明で規定される特定サイズ・耐酸化性を有するCNTを用いれば、酸化雰囲気下で脱脂を行っても問題を生じない。
上記脱脂工程を経た脱脂成形体を窒素雰囲気中で焼成すると、まず、1000℃以上の比較的低温でTiOはAlN等と反応してTiNに変換する。さらに昇温して行くと1600〜1900℃、好ましくは1750〜1850℃の領域で緻密な窒化ケイ素焼結体が得られる。この温度が低すぎると緻密化が進みにくく、高すぎると窒化ケイ素の分解が生じてしまう傾向にある。焼結操作については、常圧焼結、加圧焼結(ホットプレス)、雰囲気加圧焼結、HIP(熱間静水圧プレス:ホットアイソスタティックプレス)焼結などの様々な焼結方法が適用可能である。
さらに、より高密度の焼結体の作成と焼結体の強度を支配する欠陥を除去するために、常圧焼結後にHIP処理を行うなど、複数の方法を組合せてもよい。目的に応じて使い分ければよいが、コストの面からは常圧焼結あるいは雰囲気加圧焼結が好ましい。特に、前記焼結後に、得られた窒化ケイ素焼結体に30MPa以上の非酸化性雰囲気下にて1600〜1850℃で熱間静水圧加圧(HIP)処理を施すことが好ましい。
このようにして得られた窒化ケイ素焼結体は好ましくは以下の性質を持つ。CNTは主として粒界近傍に存在し、そのアスペクト比は10〜200であり、その含有量は0.3〜12質量%の範囲にある。導電率は10−1〜10Ω−1−1の範囲にある。この窒化ケイ素焼結体の気孔率は1.5質量%以下であり、かつ最大気孔径は2μm以下である。 この窒化ケイ素焼結体の3点曲げ強度は800MPa以上であり、かつ破壊靭性値は5.5MPa・m1/2以上である。
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
実施例1
酸素含有量が1.3重量%、α相型窒化ケイ素を97重量%含む、平均粒子径が0.6μmのSi(窒化ケイ素)原料粉末(宇部興産製E−10)92重量%に、焼結助剤として平均粒子径が1.1μmのY(酸化イットリウム)粉末(信越化学工業製)を5重量%、平均粒子径が0.4μmのAl(アルミナ)粉末(住友化学工業製AKP−30)を3重量%を秤量し、これに、平均粒子径が0.2μmのTiO(酸化チタン)粉末(堺化学工業製)を5重量%と、平均粒子径が0.6μmのAlN(窒化アルミニウム)粉末を5重量%外掛けで秤量した。さらに、これらの外掛けで平均直径が100nm、平均長が10μm、平均アスペクト比が100、空気雰囲気下に600℃で1時間放置後の減量率が0%であり、c面の面間隔が0.682nmであるCNTを1.8重量%秤量した。これらをエチルアルコール中で窒化ケイ素ボールを用いて96時間湿式混合した後に乾燥して原料混合物を調製した。
上で得られた原料混合物に有機バインダーを所定量添加して調合造粒粉とした後、50MPaの成形圧力でプレス成形し、曲げ強度測定用サンプルとして直径15mm×厚み5mm及び直径25mm×厚み5mmの円板状成形体を多数作製した。各成形体を500℃の空気気流中にて4時間脱脂した後、0.1MPaの窒素ガス雰囲気中にて1350℃×1時間の条件で保持した後、0.9MPaの窒素ガス雰囲気中にて1800℃×2時間の条件で焼結し、さらに、100MPaの窒素ガス雰囲気中にて1700℃×1時間の条件でHIP処理して、窒化ケイ素焼結体を作製した。
かくして得られた窒化ケイ素焼結体の相対密度は94.6%、また4点法で測定した導電率は110Ω−1−1であり、曲げ強度・破壊靱性ともにCNT無添加系と同等の特性示した。
実施例2
CNTとして、平均直径が150nm、平均長が7μm、平均アスペクト比が47、空気雰囲気下に600℃で1時間放置後の減量率が0%であり、c面の面間隔が0.682nmであるものを用いる以外は実施例1と同様にして窒化ケイ素焼結体を作製した。かくして得られた窒化ケイ素焼結体は、93.1%の相対密度を有し、実施例1と同様に曲げ強度・破壊靱性ともにCNT無添加系と同等の特性示した。
CNTとして、平均直径が20nm、平均長が5μm、平均アスペクト比が250、空気雰囲気下に600℃で1時間放置後の減量率が94%であり、c面の面間隔が0.686nmであるものを用いる以外は実施例1と同様にして窒化ケイ素焼結体を作製した。かくして得られた窒化ケイ素焼結体は、絶縁性となり導電率は測定不能であった。
本発明の窒化ケイ素焼結体は、耐熱性、高強度、耐摩耗性、耐熱衝撃性などの優れた特徴に加えて導電性を有するため、帯電による微紛体の付着に起因する相手金属の損傷等のトラブルが回避できるとともに、転がり寿命特性にも優れ、耐摩耗性部材等に特に好適である。そして本発明の製造方法は、そのような窒化ケイ素焼結体を容易に安定して製造することを可能にしたものである。

Claims (9)

  1. 希土類化合物を酸化物換算で0.5〜10重量%、平均粒子径が1.0μm以下のチタン属元素の酸化物又は焼成によりチタン属元素の窒化物となるチタン属元素化合物を等モルの窒化チタン換算で0.1〜5重量%、酸化アルミニウム又はその前駆体を酸化物換算で0.1〜5重量%、窒化アルミニウムを0〜5重量%それぞれ含有し、残部が酸素含有量が1.7重量%以下で平均粒子径が1.0μm以下の窒化ケイ素粉末からなる混合物に、さらに平均直径が70nm以上、平均アスペクト比が200以下であり、空気雰囲気下に600℃で1時間放置後の減量率が10%以下であるカーボンナノチューブ(CNT)を外掛けで0.3〜12重量%含有させてなる混合物を成形し、脱脂後、焼結してなることを特徴とする窒化ケイ素焼結体。
  2. 窒化ケイ素からなる結晶粒を母相とし、Si−R−Al−O−N化合物(式中、Rは希土類元素を表す。)を主とする粒界相を含む請求項1に記載の窒化ケイ素焼結体。
  3. さらにマグネシウム及びタングステンから選ばれる少なくとも1種の化合物を酸化物換算で0.1〜5重量%含有する請求項1又は2に記載の窒化ケイ素焼結体。
  4. 前記窒化ケイ素粉末がα相型窒化ケイ素を90重量%以上含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の窒化ケイ素焼結体。
  5. 希土類化合物を酸化物換算で0.5〜10重量%、平均粒子径が1.0μm以下のチタン属元素の酸化物又は焼成によりチタン属元素の窒化物となるチタン属元素化合物を等モルの窒化チタン換算で0.1〜5重量%、酸化アルミニウム又はその前駆体を酸化物換算で0.1〜5重量%、窒化アルミニウムを0〜5重量%それぞれ含有し、残部が酸素含有量が1.7重量%以下で平均粒子径が1.0μm以下の窒化ケイ素粉末からなる混合物に、さらに平均直径が70nm以上、平均アスペクト比が200以下であり、空気雰囲気下に600℃で1時間放置後の減量率が10%以下であるカーボンナノチューブ(CNT)を外掛けで0.3〜12重量%含有させてなる混合物を所望の形状に成形し脱脂する工程、及び該成形体を窒素含有非酸化性雰囲気下にて1600〜1900℃で焼結する工程を有することを特徴とする窒化ケイ素焼結体の製造方法。
  6. 前記脱脂を酸素含有雰囲気下にて行う請求項5に記載の窒化ケイ素焼結体の製造方法。
  7. さらに、前記焼結工程により得られた窒化ケイ素焼結体に、30MPa以上の非酸化性雰囲気下にて1600〜1850℃で熱間静水圧加圧(HIP)処理を施す工程を含む請求項5又は6に記載の窒化ケイ素焼結体の製造方法。
  8. 前記窒化ケイ素粉末がα相型窒化ケイ素を90重量%以上含有する請求項5〜7のいずれか一項に記載の窒化ケイ素焼結体の製造方法。
  9. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の窒化ケイ素焼結体又は請求項5〜8のいずれか一項に記載の製造方法により製造された窒化ケイ素焼結体からなる耐摩耗性部材。
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