JP2008067921A - ステント - Google Patents

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賢一 下平
Akira Shinjo
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Abstract

【課題】薬剤などの放出量、放出速度及び放出部位を、精密に制御し得ると共に、薬剤などの剥離・脱落を防止し、優れた生体適合性を有しつつ、所望の機械的特性を容易に得ることができるステントを提供する。
【解決手段】本発明のステント1は、生体の管状器官の内腔部に挿入・留置して使用され、複数の開口10が形成された網目構造を有すると共に全体として筒状をなすものであり、その軸線方向での中央部における内表面の領域に、カーボンナノチューブ21が形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、医療用のステント、特に、血管などの管状器官に挿入・留置して使用されるステントに関するものである。
従来から、生体の管状器官(例えば、血管、気管、食道、胆管など)の内腔部に挿入・留置し、管状器官を内側から支持するためのステントが知られている。
このようなステントは、通常、全体として円筒形状をなしていると共に、網目構造を有している。そして、このようなステントは、前記網目構造を構成する複数の線状部によって画成された開口部を縮めて縮径状態として管状器官の内腔部に導入され、内腔部を移動させた後、留置部位において、前記開口部を広げて拡径状態とすることにより固定(装着)される。
このようなステントを利用した治療方法の一つとして、ステントに薬剤を担持させ、このステントを管状器官の治療部位に装着し、薬剤を放出させることによって、局所的な薬理学的治療を行うことが考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1では、このような治療を行うステントとして、緻密な金属のみで構成されたステント本体に、薬剤を含浸させるためのポリマーを被覆させたものが提案されている。
この種のステントでは、ステントが管状器官の内腔部に装着されると、ポリマーに含浸させた薬剤が徐々に体液中に放出され、その治療効果が一定期間持続する。
特開2002−345972号公報
しかしながら、特許文献1にかかるステントでは、ポリマーからの薬剤の放出は、ポリマーに含浸させた薬剤が体液に拡散することによって生じるものであり、その放出箇所を微少部分に限定したり、薬剤の放出量や放出速度を精密に制御することが難しい。このため、このポリマーを使用したステントでは、十分な治療効果が得られないといった問題がある。又、このポリマーを、薬剤放出後に長期に亘って管状器官の内腔部に放置するのは、生体適合性の観点からあまり望ましくない。
又、ステント本体が緻密な金属のみで構成され、これに比較的強度の低いポリマーが被覆されているに過ぎないため、その弾性や強度等の機械的特性を調整するためには、ステント本体の寸法や金属の種類を変えなければならず、その結果、所望のステントを得ることが難しかった。又、ステント拡張時又は留置後のポリマーの剥離・脱落等の問題も発生する虞がある。
そこで、本発明は、上記問題点を解決するものであり、その課題は、薬剤などの放出量、放出速度及び放出部位を、精密に制御し得ると共に、薬剤などの剥離・脱落を防止し、優れた生体適合性を有しつつ、所望の機械的特性を容易に得ることができるステントを提供することにある。
上記の問題点を解決するために、本発明のステントは、生体の管状器官の内腔部に挿入・留置して使用され、複数の開口が形成された網目構造を有すると共に全体として筒状をなすステントであって、
その軸線方向での中央部における内表面の領域に、カーボンナノチューブが形成されていることを特徴とする。この発明によれば、カーボンナノチューブの中空部及びカーボンナノチューブ同士の間に薬剤等の充填物を充填すると、ステントの使用状態時に、その充填物をステントの外部へ徐々に放出できる。
特に、本発明では、網目構造を有するステントの内周面にカーボンナノチューブが形成されているため、管状器官の分岐部に対しステントをその網目構造による開口と側枝とを連通させるように留置すると、カーボンナノチューブから徐放された充填物をステントの網目構造による開口を通じて管状器官の側枝の内腔部へ付与することができる。したがって、側枝が細くその内腔部にステントを留置することが困難である場合であっても、側枝の内腔部や内壁に充填物を付与して、管状器官の分岐部の病変部の治療を効果的に行える。その上、本発明では、カーボンナノチューブの形成された領域がステントの軸線方向での中央部に位置するため、ステントの当該領域を側枝の基部に近い位置とするとともに、ステントの軸線方向での端を側枝の基部から離れた位置とすることにより、ステントを管状器官に安定した状態で留置することができる。
又、カーボンナノチューブの外径、長さ及び配向方向などの形態パラメータと、カーボンナノチューブの密度に応じて、薬剤等の充填物の放出量、放出速度及び放出部位や、ステントの弾性や強度などの特性を調整できる。さらに、カーボンナノチューブを構成材料として使用しているので、長期に亘って優れた生体適合性を発揮できる。
又、ステントの内表面にカーボンナノチューブを形成するので、ステントの内周側に凹凸が形成されるので、ステントをその内周側からバルーン付きカテーテルなどの器具により管状器官の内腔部を目的の位置に搬送して留置する操作の際に、器具に対するステントの滑りを防止することができ、この搬送・留置作業を確実に行える。
本発明において、前記カーボンナノチューブは、前記領域内にて1mm2当り、5000個以上200000個以下の範囲で存在していることが望ましい。この発明によれば、ステントの使用時に必要な強度を確保しながら、必要十分な量の薬剤等の充填物を確実に収容・保持できる。
本発明において、前記カーボンナノチューブの平均長さは、50nm以上50μm以下の範囲であることが望ましい。この発明によれば、ステントの使用時に必要な強度を確保しながら、必要十分な量の薬剤等の充填物を確実に収容・保持できる。
本発明において、前記カーボンナノチューブの平均外径は、5nm以上20nm以下の範囲であることが望ましい。この発明によれば、ステントの使用時に必要な強度を確保しながら、必要十分な量の薬剤等の充填物を確実に収容・保持できる。
本発明において、前記カーボンナノチューブは、化学気相成長法によって形成されたものであることが望ましい。この発明によれば、適正な形態パラメータを有するとともに、適正な密度でカーボンナノチューブをステント線状部に密着性良く形成することが容易である。
本発明において、前記カーボンナノチューブの中空部及び前記カーボンナノチューブ同士の間には、充填物が充填されていることが望ましい。この発明によれば、ステントの使用状態時に、ステントから充填物を徐放できる。
本発明において、前記充填物は、薬剤を含有していることが望ましい。この発明によれば、ステントの使用状態時に、ステントから薬剤を徐放して、治療を行える。
本発明において、前記薬剤は、抗血栓剤、抗血小板剤、免疫抑制剤、細胞増殖抑制剤、抗炎症剤、内皮治癒促進剤のうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせたものを主たる成分とすることが望ましい。この発明によれば、ステントの使用状態時に、目的に応じた治療効果を得ることができる。
本発明において、前記充填物は、前記薬剤を保持する機能を有するポリマーを含有することが望ましい。この発明によれば、ポリマーの種類や量を調整することにより、ステントの使用状態時に、ステントからの充填剤の放出速度や放出量を所望のものとすることができる。又、ポリマー自体も、カーボンナノチューブの中空部やカーボンナノチューブ同士の間に充填されるので、ステントから脱落し難い。
本発明において、前記ポリマーは、生体吸収性ポリマーを主たる成分とすることが望ましい。この発明によれば、ステントの使用状態時に、ステントからの充填剤の放出速度や放出量を所望のものとしながら、生体に対する安全性に優れたものとすることができる。
本発明において、ステントは、Au、Pt、Ta、Rh、Ru、Pd、Nb、Os、Ir、Agよりなる群から選択された少なくとも1種又はこれらのうち少なくとも1種を含む合金を主材料として構成されていることが望ましい。この発明によれば、バルーン型ステントに好適に適用できると共に、留置後の生体適合性にも優れ、生体内における特性低下・分解を最少化できる。又、ステントの構成材料として貴金属を使用すれば、X線造影性を優れたものとすることができる。
本発明において、ステントは、Ni・Ti合金を主材料として構成されていることが望ましい。この発明によれば、自己拡張型ステントに好適に適用できると共に、留置後の生体組織適合性にも優れ、生体内における特性低下・分解を最少化できる。
本発明によれば、薬剤などの剥離・脱落を防ぎながら、放出量、放出速度及び放出部位を、精密に制御し得ると共に、優れた生体適合性を有しつつ、所望の機械的特性を容易に得ることができるステントを提供できる。
以下、添付図面を参照して本発明に係るステントの実施形態について詳細に説明する。
―――第1の実施形態―――
先ず、本発明のステントの第1の実施形態を説明する。
図1において、ステント1は、生体の管状器官の内腔部に挿入・留置して使用されるものであり、全体形状がほぼ筒状をなしている。
ステント1は、複数の線状部11を有し、これらが連結するようにして網状構造を形成している。そして、複数の線状部(ストラット)11で囲まれる部分に開口10が形成されている。
このようなステント1は、ステント1の外径を収縮(縮径)させた状態(以下、「縮径状態」と称す。)で、管状器官の内腔部の目的部位まで移送(搬送)される。そして、この目的部位において、ステント1自体の復元力により、又は外力を付与することにより、ステント1の外径が、縮径状態の外径より大きくなるように拡大(拡径)し、この状態(以下、「拡径状態」と称す。)で目的部位に固定(装着)される。
線状部11同士は、交点111にて180°未満の角度で互いに連結され、これにより、各開口10は、多角形形状(この実施形態では、4つの線状部11で囲まれることにより菱形形状)をなしている。この構成により、ステント1は、十分な剛性や強度を確保しながら、径方向の柔軟性に優れたものとなる。又、十分な剛性や強度を確保できることから、ステント1は、放射支持力に優れたものとなる。
ここで、本明細書中、「径方向の柔軟性」とは、図2(a)中の矢印方向、すなわち、中心軸から外側に向かう方向における柔軟性のことを言う。又、「放射支持力」とは、拡径状態において管状器官の形状を保持する力のことを言う。又、本明細書中、「軸方向の柔軟性」とは、図1中の矢印方向への柔軟性(撓み易さ、すなわち可撓性)のことを言う。
線状部11の横断面形状は、図2(a)及びその部分拡大図である図2(b)に示すように、ほぼ四角形(直方形)をなしている。
線状部11の平均横断面積は、ステント1の構成材料などによっても若干異なるが、1×10-5mm2以上0.1mm2以下の範囲であることが望ましく、1×10-4mm2以上0.01mm2以下の範囲であることがより望ましい。線状部11の横断面積が小さ過ぎる(線状部11が細すぎる)と、ステント1の剛性が低下する場合があり、線状部11の横断面積が大き過ぎる(線状部11が太過ぎる)と、ステント1の軸方向の柔軟性(可撓性)が低下する場合がある。
又、線状部11の横断面形状は、ステント1の各部において異なっていてもよいが、図1に示すように、ステント1のほぼ全体に亘って、ほぼ一定であることが望ましい。これにより、ステント1の軸方向の柔軟性が各部において不均一となるのを防止できる。
なお、線状部11の横断面形状は、図2に示すような四角形(直方形)の他、例えば、円形、楕円形、正方形、菱形、三角形、五角形、六角形などの多角形でもよい。
図示されていないが、ステント1(線状部11)の縁部は、丸みを帯びていることが望ましい。これにより、ステント1の留置操作時や留置後などにおいて、管状器官の内壁を不本意に傷付けてしまうのを防止できる。又、ステント1を血管内留置ステントに適用した場合には、血栓形成を防止するのにも役立つ。
このような線状部11は、図2(b)に示すように、その内表面に、カーボンナノチューブ21で構成される表層2が形成されている。この表層2は、図1に示すように、ステント1の軸線方向での中央部に設けられている。すなわち、第1の実施形態のステント1は、その軸線方向での中央部における内表面(以下、単に「中央部の内周面」とも言う。)に、カーボンナノチューブ21が形成されている。
カーボンナノチューブ21は、いわば蜂の巣構造のメッシュシートを筒状に巻いた如き構造を有するものであり、その筒の中空部及び筒同士の間が、薬剤などの充填物を収容する収容部として機能する。
カーボンナノチューブ21は、単層ナノチューブ、多層ナノチューブのいずれでもあってもよいが、単層ナノチューブであることが望ましい。単層ナノチューブは、その外径、長さ及び配向方向などの形態パラメータを比較的容易に制御できることから望ましい。又、カーボンナノチューブ21を構成する六員環の配列も特に限定されず、ジグザグ型、カイラル型、アームチェア型のいずれであっても構わない。
このようなステント1は、その外表面が管状器官の内壁(内面)に接触し、表層2が内腔部側に位置するように、管状器官の内腔部に挿入・留置される。
ここで、カーボンナノチューブ21は、それ自体が抗血栓性を有するため、カーボンナノチューブ21をステントの内表面に形成することで、ステント1に高い抗血栓性を付与できる。このため、本発明のステント1は、例えば血管等の管状器官に長期に亘って留置できる。
又、ステント1が内腔部に挿入・留置されると、カーボンナノチューブ21の中空部やカーボンナノチューブ21同士の間に充填(収容)された薬剤などの充填物が、ステント1の外部へ放出され、この薬剤などの放出が停止するまで、その治療効果などが持続する。このステント1では、ステント1の使用状態時に、管状器官の内腔部に充填物を優先的(直接的)に付与できる。
従って、充填物として、後述するような抗血栓剤や抗血小板薬を充填することで、抗血栓効果の向上が期待できる。これにより、ステント1は、例えば血管等の管状器官にさらに長期に亘って留置できる。
このようなステント1では、薬剤などの放出量及び放出期間(放出速度)が、カーボンナノチューブ21の外径、長さ及び配向方向などの形態パラメータや、カーボンナノチューブ21の密度(配設密度)を調整することによって精密にコントロールできる。又、特にカーボンナノチューブ21の外径(直径)は、ナノオーダーと微小であることから、これによって充填物の放出量及び放出速度を極めて精密にコントロールできる。
なお、カーボンナノチューブ21を形成する領域を設定することで、薬剤の放出部位を管状器官の特定の部位に限定(限局)できる。従って、この場合、治療目的とする部位においてより高い治療効果などが期待できる。
さらに、カーボンナノチューブ21は、引っ張り強度が大きく、柔軟性に富んでいるため、優れた機械的特性を発揮できる。
又、カーボンナノチューブ21は、反応性(活性)が低いため、カーボンナノチューブ21の中空部やカーボンナノチューブ21同士の間に、薬剤などの充填物を長期に亘って安定した状態で収容できる。
このように、このステント1の充填物の放出量及び放出速度は、カーボンナノチューブ21の外径、長さ及び配向方向などの形態パラメータや、カーボンナノチューブ21の密度とによって制御される。従って、これらパラメータは、薬剤などの所望の放出量及び放出速度に応じて適宜設定されるが、以下に示すような範囲とすることが望ましい。
カーボンナノチューブ21は、これが形成される領域内にて(ステントの内周面)1mm2当り、5000個以上200000個以下の範囲で存在していることが望ましく、70000個以上150000個以下の範囲で存在していることがより望ましい。
又、カーボンナノチューブ21の平均長さは、50nm以上50μm以下の範囲であることが望ましく、500nm以上20μm以下であることがより望ましい。
又、カーボンナノチューブ21の平均外径は、5nm以上20nm以下の範囲であることが望ましい。
各条件(パラメータ)をこのような範囲とすることで、ステント1の使用時に必要な強度を確保しながら、必要十分な量の薬剤等の充填物を確実に収容・保持できる。
これに対し、カーボンナノチューブ21の外径や長さが小さすぎる、あるいはカーボンナノチューブ21の密度が大きすぎると、ステント1の治療目的などによっては、収容される薬剤等の量が不十分となることがある。一方、外径が大きすぎる、あるいは密度が小さすぎると、ステント1を構成する材料の種類や、厚さなどによっては、カーボンナノチューブ21が形成された状態のステント1全体としての強度不足を招くことがある。
なお、カーボンナノチューブ21の外径、長さ及び配向方向などの形態や、カーボンナノチューブ21の密度などは、ステント1のほぼ全体に亘って、ほぼ一定でなく、異なる箇所が存在しても構わない。
カーボンナノチューブ21の中空部やカーボンナノチューブ21同士の間に充填(収容)する充填物としては、薬剤、細胞、及び生物由来物質のうちの少なくとも1つが使用できる。
薬剤としては、ステント1を留置する管状器官の種類などに応じて選択されるが、例えば、抗血栓剤、抗血小板剤、抗炎症剤、内皮治癒促進剤、鎮痛・鎮静剤、抗増殖剤(細胞増殖抑制剤)、抗癌剤、免疫抑制剤などが使用できる。
抗血栓剤としては、例えば、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウム、低分子量ヘパリン、ヘパリン様物質(低分子デキストラン)、ヒルジン、組み換えヒルジン、アルガトロバン、フォルスコリン、バピプロスト、プロスタグランジンE1、プロスタサイクリン、プロスタサイクリン同族体、アスピリン、スルピリン、ジピリダモール、アンチトロンビンIII、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベータ、プロウロキナーゼなどが使用できる。
抗血小板剤としては、例えば、アスピリン、チクロピジン、ワーファリン、ジピリダモールなどが使用できる。
抗炎症剤としては、例えば、トラニスト、デキサメタゾン、ミクロスポリンなどが使用できる。
内皮治癒促進剤としては、例えば、エストラジオール、トラフェルミンなどが使用できる。
鎮痛・鎮静剤としては、例えば、ペンタゾシン、塩酸ブプレノルフィン、酒石酸ブトルファノール、塩酸トラマドール、塩酸アヘンアルカロイド、塩酸モルヒネ、塩酸ペチジン、ペチジン・レバロルファン、クエン酸フェンタニール、フェンタニール・ドロペリドールなどが使用できる。
又、抗増殖剤(細胞増殖抑制剤)としては、例えば、ソマトスタチン又はその同族体、ニトロプルシド、コルヒチン、魚油(ω3系脂肪酸)、ステロイド剤、セロトニン拮抗剤、カルシウム溝阻止抗体、ヘスタミン拮抗剤、酵素阻害剤(例えば、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、プロスタグランジン合成酵素阻害剤、HMG-CoA還元酵素阻害剤、ホスホジエステラーゼ阻害剤、チオールプロテアーゼ阻害剤、メトトレキサート)、増殖因子拮抗剤(例えば、繊維芽細胞増殖因子拮抗剤、血小板由来増殖因子拮抗剤)、酸化窒素などが使用できる。
又、抗癌剤としては、例えば、メクロルエタミン、ナイトロジェンマスタード N-オキシド(ナイトロミン)、シクロホスファミド、メルファラン、クロラムブシルなどのナイトロジェンマスタード類、トリエチレンチオホスホラミド、カルボコン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミドなどのエチレンイミン類、ブスルファンなどのアルキルスルフォン酸類、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ニムスチンなどのニトロソ尿素類、ダカルバジンなどのトリアゼン類、8-アザグアニン、6-チオグアニン、6-メルカプトプリン、6-メルカプトプリン リボシッド、6-クロロプリン、アザチオプリンなどのプリン代謝拮抗物質、5-フルオロウラシル、5-フルオロデオキシウラシル、テガフール、シタラビン、アンシタビン、アザウリジンなどのピリミジン代謝拮抗物質、メトトレキサート、アミノプテリンなどの葉酸代謝拮抗物質、アザセリン、DON(6-アジド-5-オキソ-L-ノルレウシン)などのグルタミン代謝拮抗物質、ビンブラスチン、ビンクリスチンなどのビンカアルカロイド、VM26、VP16-213などのエピポドフィロトキシン誘導体、コルヒチン、デメコルチンなどのコルヒチン誘導体、アクチノマイシンD、マイトマイシンC、クロモマイシンA3、ブレオマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシンなどの抗生物質などが使用できる。
又、免疫抑制剤としては、例えば、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾンなどの副腎皮質ステロイド類、シクロホスファミド、ブスルファン、クロランブシルなどのアルキル化剤、6-メルカプトプリル、アザチオプリンなどのプリン代謝拮抗物質、ペントスタチンなどのアデノシン脱アミノ酵素抑制薬、6-アザウラシルなどのピリミジン代謝拮抗物質、メトトレキサートなどの葉酸代謝拮抗物質、アゾトマイシンなどのグルタミン酸代謝拮抗薬、ダウノマイシン、アドリアマイシン、ミタラマイシンなどの抗生物質、サイトカラシンBなどの細胞分裂阻止物質などが使用できる。
前述したような薬剤を使用する場合には、充填物は、薬剤を保持する機能を有するポリマーを含有することが望ましい。このようなポリマーが薬剤と共に充填物に含有されていると、ポリマーの種類や量を調整することにより、ステント1の使用状態時に、ステント1からの薬剤の放出速度や放出量を所望のものとすることができる。又、ポリマー自体も、カーボンナノチューブ21の中空部やカーボンナノチューブ21同士の間に充填されるので、ステント1から脱落し難い。
前述のポリマーは、生体吸収性ポリマーを主たる成分とするものであることが望ましい。生体吸収ポリマーを用いることにより、ステント1の使用状態時に、生体に対する安全性に優れたものとすることができる。
又、細胞としては、例えば、適用する管状器官の内壁を構成する細胞、又は、この細胞に分化する前の幹細胞、組み換えプラスミド(組み換えベクター)が導入された宿主細胞などが使用できる。
又、生物由来物質としては、例えば、ヌクレオチド、cDNA、RNAなどの核酸、アミノ酸、ペプチド、タンパク質などが使用できる。
又、本発明では、ステント1の内表面にカーボンナノチューブ21が形成されていることでステント1の内表面側に凹凸が形成されるので、ステント1をその内周側からバルーン付きカテーテルなどの器具により管状器官の内腔部を目的の位置に搬送して留置する操作の際に、器具に対するステント1の滑りを防止することができ、この搬送・留置作業を確実に行える。
このようなステント1は、後述するような方法により、各線状部11が一体的に形成されている。これにより、ステント1全体としての強度がより向上する。
ステント1の構成材料には、その種類に応じて、次のようなものを使用することが望ましい。
ステント1をバルーン拡張型ステントに適用する場合、ステント1は、拡径状態において、管状器官から受ける圧縮応力に対して変形しない必要がある。このため、ステント1の構成材料には、拡張による塑性変形により加工硬化し、拡張後、比較的剛性が高くなる材料を使用することが望ましい。又、生体組織適合性や化学的安定性の高い材料を使用することが望ましい。
このような材料としては、Au、Pt、Ta、Rh、Ru、Pd、Nb、Os、Ir、Agなどのうちの1種又はこれらのうち少なくとも1種を含む合金を主材料とするものが使用できる。
これらの中でも、特に、Au、Pt、Rh、Ru、Pd、Os、Irのうちの1種又はこれらのうち少なくとも1種を含む合金を主材料とするものが望ましく、Au、Pt、Rh、Ru、Irのうちの1種又はこれらのうち少なくとも1種を含む合金を主材料とするものがより望ましい。これらは、拡張による塑性変形により加工硬化する特性(加工硬化性)が付与できると共に、生体組織適合性やX線造影性にも優れる。又、このような合金は、その組成比により、加工硬化性を容易に制御できるという利点がある。
このため、これらの材料でステント1を構成することにより、例えば、ステント1を血管内留置ステントに適用した場合には、血栓形成を効果的に防止できる。又、ステント1を管状器官の内腔部内に留置する操作をX線透視下にて行えるので、その留置操作をより円滑且つ正確に行える。
一方、ステント1を自己拡張型ステントに適用する場合、ステント1は、その形状を自発的に復元し得る必要がある。このため、ステント1の構成材料には、超弾性合金、形状記憶合金や比較的弾性の高い材料を使用することが望ましい。
このような材料としては、例えば、Ni・Ti合金、Au・Cd合金、Cu・Zn合金、Cu・Al合金、Fe・Pt合金、Mn・Cu合金、Ni・Al合金、Cu・Cd合金、Cu・Al・Ni合金、Au・Cd・Ag合金、Ti・Al・V合金などを主材料とするものが使用できる。
これらの中でも、特に、Ni・Ti合金(以下、NT合金ともいう)を主材料とするものが望ましい。これは、特に高い弾性を示し、さらに形状記憶特性にも優れる材料だからである。
又、これらの材料は、その表面を貴金属等でメッキ処理することにより生体組織適合性に優れると共に、X線造影性にも優れたものとなる。このため、これらの材料でステント1を構成することにより、例えば、ステント1を血管内留置ステントに適用した場合には、血栓形成を効果的に防止できる。又、ステント1を管状器官の内腔部内に留置する操作をX線透視下にて行えるので、その留置操作をより円滑且つ正確に行える。
なお、ステント1の形状は、上述のものに限られない。例えば、この実施形態では、開口10の形状は、菱形形状をなしているが、これに限定されず、例えば、三角形、長方形、正方形、五角形、六角形、その他の多角形などでもよい。
又、この実施形態では、線状部11同士の連結部(交点111付近)が屈曲する形状をなしていたが、例えば円弧状(U字状)など湾曲する形状をなしていてもよい。
次に、図3を参照しながら、このステント1の使用方法について、バルーン拡張型ステントを、血管の狭窄部に適用する場合を一例に説明する。
(I) 先ず、血管(管状器官の内腔部)内に、周知のセルディンガー法により、案内カテーテルを経皮的に挿入し、その先端部を狭窄部(目的部位)の近傍に到達させる。一方、図3(a)に示すように縮径状態のステント1を用意する。
(II) そして、図3(b)に示すように、バルーン付カテーテル800の先端部のバルーン810の外周に、薬剤を含浸させたステント1を縮径状態で装着し、このバルーン付カテーテル800を上記案内カテーテルを通して血管内に導く。
(III) 次に、バルーン付カテーテル800内に挿入したガイドワイヤをガイドにして、バルーン付カテーテル800をさらに押し進め、その先端部に装着したステント1を狭窄部にまで移送し、配置する。その際、バルーン810の外表面に対するステント1の滑りがカーボンナノチューブ21により防止されているので、安定的にステント1を搬送できる。
(IV) この状態で、バルーン付カテーテル800を通して生理食塩水などの液体をバルーン810内に注入し、バルーン810を膨らませる。これにより、図3(c)に示すように、ステント1の外径が徐々に拡径していく。
(V) さらに、バルーン810を膨らませ拡張させると、図3(d)に示すように、ステント1は、その外径がさらに拡径し(拡径状態に至り)、血管の内壁に当接し、内壁を押圧する。
(VI) ステント1を十分に拡径させた後、バルーン810内の液体を抜き出してバルーン810を萎ませ、バルーン付カテーテル800をステント1の内周から引き抜く。これにより、ステント1を血管内に留置できる。
以上のようにして、ステント1により血管の狭窄部を拡張させて、心筋梗塞や脳梗塞などの予防や、治療を行える。又、このようにして血管内にステント1が挿入・留置されると、カーボンナノチューブ21の中空部やカーボンナノチューブ21同士の間に収容された薬剤がステント1の外部へ放出され、薬剤の放出が停止するまで、その治療効果などが持続する。
特に、ステント1が前述したような網目構造を有し、かつ、ステント1の内周面にカーボンナノチューブ21が形成されているため、図4に示すように、管状器官(例えば、血管など)900の分岐部に対しステント1をその網目構造による開口10と側枝920とを連通させるように留置すると、カーボンナノチューブ21から徐放された充填物をステント1の網目構造による開口10を通じて管状器官900の側枝920の内腔部へ付与することができる。したがって、側枝920が細くその内腔部にステント1を留置することが困難である場合であっても、側枝920の内腔部や内壁に充填物を付与して、管状器官900の分岐部の病変部(例えば、狭窄部)910の治療を効果的に行える。その上、カーボンナノチューブ21の形成された領域がステント1の軸線方向での中央部に位置するため、ステント1の当該領域を側枝920の基部に近い位置とするとともに、ステント1の軸線方向での端を側枝920の基部から離れた位置とすることにより、ステント1を管状器官900に安定した状態で留置することができる。
次に、ステント1の製造方法について説明する。なお、ここではステント1の主材料として、金属を使用する場合を例にする。
なお、図6及び図7は、カーボンナノチューブ21が形成された部分におけるステント1の横断面(図1に示すA-A線での断面図)を示している。
(1A) 先ず、図5に示すように、ほぼ円柱状の芯材3を用意する。なお、芯材3はほぼパイプ状をなすものでもよい。
芯材3は、比較的硬質であり、且つ、後述の工程(1E)にて比較的容易に除去できるものが望ましい。
この芯材3の構成材料としては、ステント1の構成材料などに応じて選択されるが、例えば、金属材料などが使用できる。この場合には、芯材3の構成材料として、Ni及びNi合金、Cu及びCu合金、Fe及びFe合金などのステント1を構成する金属材料と比較して、自然電極電位的に卑な金属材料などを使用することが望ましい。
この芯材3の横断面(一部横断面)は、図6(a)に示すような状態となる。
(1B) 次に、図6(b)に示すように、芯材3の周面に、金属を主材料として構成された金属層4を形成する。
金属層4の形成方法としては、その構成材料などに応じて適宜選択されるが、例えば、イオンプレーティング法、真空蒸着法、スパッタリング法などのPVD法(物理気相成膜法)、又、熱CVD法、プラズマCVD法などのCVD法(化学気相成膜法)、更に、電解メッキ、無電解メッキなどのメッキ法、又、金属材料を含む液状材料(溶液又は分散液)の付与(塗布)による方法のような液体成膜法などのうちの1種又は2種以上が使用できる。これらの中でも、特に、イオンプレーティング法、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、メッキ法のうち1種又は2種以上を組み合わせて用いることが望ましい。これにより、均一な金属層4を比較的容易に得ることができる。
又、次の工程(1F)で、カーボンナノチューブ21として主に単層ナノチューブを成長させる場合には、金属層4は、触媒金属を含有することが望ましい。これにより、金属層4上に、単層ナノチューブが効率よく成長する。なお、触媒金属としては、Ni、Fe、Coなどのうち1種又は2種以上が使用できる。
これら触媒金属を金属層4に混入する方法としては、金属層4を形成するための原料に、予め触媒金属を添加しておき、この原料を用いて金属層4を形成する方法、金属層4を形成した後、この金属層4の外表面に、触媒金属よりなる触媒層を形成し、触媒層の触媒金属を金属層4に拡散させる拡散処理を行う方法などが使用できる。
(1C) 次に、図6(c)に示すように、金属層4の周面に、マスク層7を形成する。これにより、芯材3上に、金属層4及びマスク層7からなる積層体6が形成される。
マスク層7の構成材料には、金属層4と相互拡散し難く、金属層4に対して選択的に除去可能な材料が使用できる。この材料としては、金属層4の主材料とは異なる金属の他、窒化物、酸化物等が挙げられる。
マスク層7の形成方法としては、例えば、イオンプレーティング法、真空蒸着法、スパッタリング法などのPVD法(物理気相成膜法)、又、熱CVD法、プラズマCVD法などのCVD法(化学気相成膜法)、更に、電解メッキ、無電解メッキなどのメッキ法、又、金属材料を含む液状材料(溶液又は分散液)の付与(塗布)による方法のような液体成膜法などのうちの1種又は2種以上が使用できる。
(1D) 次に、図6(d)に示すように、積層体6の所定の部分を除去して開口10を形成する。これにより、積層体6が網目構造を有するようにパターン形成される。
この開口10の形成方法(積層体6を部分的に除去する方法)としては、例えば、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、レーザー加工、マシニングセンターなどによる機械加工、彫刻機などによる彫刻加工などのうちの1種又は2種以上が使用できる。
(1E) 次に、図7(e)に示すように、芯材3を除去する。
この芯材3の除去方法としては、芯材3の構成材料などによって適宜選択されるが、例えば、積層体6を溶解又は膨潤させず、芯材3を選択的に溶解可能な溶剤に溶解させる方法、ケミカルエッチング又は、電気化学的手法により芯材3を選択的に溶出させる方法などが使用できる。
(1F) 次に、図7(f)に示すように、積層体6の表面にカーボンナノチューブ21を成長させてナノチューブ層5を形成する。なお、金属層4の中央部の内表面(カーボンナノチューブ21を形成すべき領域)を除く部分に、例えば金属層を形成するなどによりマスキングを行っておく。又、この金属層と金属層4とが本工程で相互拡散するのを防ぐため、これらの間に、拡散防止被膜処理を施しておく。
ナノチューブ層5の形成方法(カーボンナノチューブ21を成長させる方法)としては、アーク放電法、レーザー蒸発法、化学気相成長法などのうち1種又は2種以上が使用できる。これら方法では、例えば次のようにしてナノチューブ層5を形成する。
アーク放電法では、放電管内にグラファイト電極を陽極とし、金属層4を陰極として、これら電極間に直流電圧を印加してアーク放電を生じさせ、これによって陽極側から蒸発した炭素を、積層体6上に凝縮、堆積させる。
金属層4が触媒金属を含有しない場合、この積層体6(主に金属層4)上には、主に多層ナノチューブが成長する。又、陽極として、グラファイト電極の代わりに、触媒金属を含有するグラファイト電極を使用するか、あるいは金属層4に触媒金属を含有せしめると、金属層4上には、主に単層ナノチューブが成長する。なお、触媒金属を含有するグラファイト電極を使用する場合、触媒金属としては、Ni、Fe、Coなどのうち1種又は2種以上が使用できる。
このアーク放電法において、放電管内の雰囲気は、ヘリウム、ネオンなどの不活性ガス雰囲気であることが望ましい。
又、グラファイト電極と金属層4との距離は、0.1mm以上10mm以下の範囲であることが望ましく、0.7mm以上5mm以下の範囲であることがより望ましい。
又、電極に供給する電流は、20A以上150A以下の範囲であることが望ましく、50A以上100A以下の範囲であることがより望ましい。
以上のような条件を使用することにより、カーボンナノチューブ21が適正な形態パラメータを有すると共に、適正な密度を有するナノチューブ層5が得られる。
レーザー蒸発法では、電気炉内に挿入された石英管内に、グラファイトターゲット、レーザー光源及び積層体6を設置し、グラファイトターゲットに、レーザー光を照射することによって炭素を蒸発させ、積層体6(主に金属層4)上に堆積させる。金属層4が触媒金属を含有しない場合、この金属層4上には、主に多層ナノチューブが成長する。又、グラファイトターゲットの代わりに触媒金属を含有するグラファイトターゲットを使用するか、あるいは金属層4に触媒金属を含有せしめると、金属層4上には、主に単層ナノチューブが成長する。なお、触媒金属を含有するグラファイトターゲットを使用する場合、触媒金属としては、Ni、Fe、Coなどのうち1種又は2種以上が使用できる。
レーザー光源としては、例えば、YAGレーザー、CO2レーザー、銅蒸気レーザーなどが使用できる。
このレーザー蒸発法では、電気炉の温度、石英管内に導入するガス圧力、レーザー光強度などのパラメータを容易に制御でき、これらパラメータを制御することによって得られるカーボンナノチューブ21のパラメータを容易に調整できる。
このレーザー蒸発法において、電気炉の温度は、500℃以上3000℃以下の範囲であることが望ましく、1000℃以上1800℃以下の範囲であることがより望ましい。
石英管内の雰囲気は、例えば、ヘリウム、ネオンなどの不活性ガス雰囲気であることが望ましい。
又、石英管内に導入するガス圧力は、1×103Pa以上1×106Pa以下の範囲であることが望ましく、1×104Pa以上1×105Pa以下の範囲であることがより望ましい。
レーザー光強度は、200W以上2000W以下の範囲であることが望ましく、750W以上1500W以下の範囲であることがより望ましい。
以上のような条件を使用することにより、適正なカーボンナノチューブ21が適正な形態パラメータを有するとともに、適正な密度を有するナノチューブ層5が得られる。
化学気相成長法では、チャンバー内に、積層体6を設置し、炭素供給源となるガスを導入して、このガスの熱分解によって放出された炭素原子を、積層体6(主に金属層4)上に堆積させる。金属層4が触媒金属を含有しない場合、金属層4上には、主に多層ナノチューブが成長する。又、金属層4に触媒金属を含有せしめると、金属層4上には、主に単層ナノチューブが成長する。
炭素供給源となるガスとしては、熱分解して炭素を放出するものであればよく、例えば、メタンガス、エタンガス、プロパンガス、ブタンガスなどのうち1種又は2種以上が使用できる。
又、熱分解温度は、350℃以上1800℃以下の範囲であることが望ましく、500℃以上1100℃以下の範囲であることがより望ましい。
以上のような条件を使用することにより、カーボンナノチューブ21が適正な形態パラメータを有するとともに適正な密度を有するナノチューブ層5が得られる。
これら方法のうち、ナノチューブ層5の形成方法には、化学気相成長法を使用することが望ましい。化学気相成長法は、適正な形態パラメータを有するとともに、適正な密度でカーボンナノチューブ21を形成することが容易である。
(1G) 次に、図7(g)に示すように、マスク層7と、ナノチューブ層5のうちマスク層7上に形成された部分とを除去する。又、このとき、前述した工程(1F)にて形成したマスキング(金属層)も除去する。
マスク層7と、ナノチューブ層5のうちマスク層7上に形成された部分とを除去する方法としては、例えば、金属層4及びナノチューブ層5を溶解又は膨潤させず、マスク層7を選択的に溶解可能な溶剤に溶解させる方法、ケミカルエッチング又は、電気化学的手法によりマスク層7を選択的に溶出させる方法などが使用できる。
(1H) 次に、必要に応じて、金属層4及びナノチューブ層5からなる積層体に対し、熱処理を施す。熱処理を施すと、例えば、ステント1が合金化及び固溶体化させたり、カーボンナノチューブ21と金属層4との密着性を向上させたりできる。
この熱処理を行う場合には、加熱雰囲気は、非酸化性雰囲気、すなわち、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などの不活性雰囲気であることが望ましい。
又、加熱温度は、700℃以上1300℃以下の範囲であることが望ましく、900℃以上1100℃以下の範囲であることがより望ましい。
又、加熱時間は、0.5時間以上3時間以下の範囲であることが望ましく、1時間以上2時間以下の範囲であることがより望ましい。
又、カーボンナノチューブ21(ナノチューブ層5)の形成工程の加熱温度が十分な場合には、前述したような加熱処理工程(1G)を、工程(1F)に統合し、加熱処理を、工程(1F)で一括して行える。すなわち、工程(1F)、(1G)を別々の工程としなくとも、工程(1F)が工程(1G)を兼ねるようにして、カーボンナノチューブ21(ナノチューブ層5)の形成、加熱処理を1工程で行える。これにより、ステント1の製造工程の短縮を図り得る。
その後、必要に応じて、ステント1(表層2を含む)の縁部に丸みを付ける加工を施してもよい。
この加工方法としては、例えば、バフ研磨加工、バレル研磨、電解研磨、化学研磨、ホーニング加工、電磁バレル研磨などが使用できる。
以上のようにして、図1、2に示すカーボンナノチューブ21(表層2)が形成されたステント1が得られる。
なお、この実施形態では、芯材3の周面に金属層4を形成したが、金属層4には、芯材3を用いずに、予め金属層4と同様の形状に成形された筒状体を用いてもよい。
―――第2の実施形態―――
次に、本発明のステントの第2の実施形態を説明する。なお、前述した第1の実施形態と同様の構成に関しては、その説明を省略する。
第2の実施形態のステント101は、図8に示すように、その軸線方向での中央部にて内表面のみ(ステント101の外周面と、開口10に臨む面とを除く面)に、カーボンナノチューブ21が形成されている。
このようなステント101も、表層2に薬剤等の充填物を充填(収容)すると、ステント101の使用状態時に、管状器官の内壁及び内腔部に充填物を付与できる。特に、ステント101は、前述したステント1に比し、管状器官の内壁に対する充填物の付与量を少なくしつつ、管状器官の内腔部に充填物することができる。
このようなステント101は、例えば、前述した第1の実施形態における製造工程において、工程(1C)(マスク層7の形成)と工程(1D)(開口部10の形成)との順序を入れ替えることにより、製造することができる。この場合、芯材3としては、その除去を容易なものとするため、円筒状をなすものを用いるのが望ましい。
なお、本発明のステントは、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは無論である。
上述の実施形態では、カーボンナノチューブをステントの内表面の周方向での全域(全周)に亘って形成するものとして説明したが、カーボンナノチューブは、ステントの内表面の周方向での少なくとも一部に形成すれば、本発明の効果を得ることができる。例えば、ステントの内周面の周方向での一部にカーボンナノチューブを形成した場合、カーボンナノチューブを形成した領域を側枝の基部側とすることで、充填剤の使用量を抑えながら、側枝の内腔部や内壁に充填剤を効果的に付与することができる。
又、本発明のステントは、板状の金属を用い、これに対し網目構造やカーボンナノチューブを形成すると共に、筒状とすることによっても製造できる。
又、前述したような実施形態にかかるステントは、内周面にカーボンナノチューブが形成された筒状体の両端に、それぞれ、内周面にカーボンナノチューブが形成されていない筒状体を接合するとともに、網目構造を形成することによっても製造することができる。
本発明に係るステントの第1の実施形態を示す側面図。 図1中に示すA-A線での断面図。 図1に示すステントの使用方法を説明する図。 図1に示すステントの作用を説明する図。 図1に示すステントの製造方法を説明する図。 図1に示すステントの製造方法を説明する図。 図1に示すステントの製造方法を説明する図。 本発明に係るステントの第2の実施形態を示す断面図。
符号の説明
1,101……ステント
10……開口
11……線状部(線材)
111……交点
2……表層
21……カーボンナノチューブ
3……芯材
4……金属層
5……ナノチューブ層
6……積層体
7……マスク層
800……バルーン付カテーテル
810……バルーン
900……管状器官
910……病変部
920……側枝

Claims (12)

  1. 生体の管状器官の内腔部に挿入・留置して使用され、複数の開口が形成された網目構造を有すると共に全体として筒状をなすステントであって、
    その軸線方向での中央部における内表面の領域に、カーボンナノチューブが形成されていることを特徴とするステント。
  2. 前記カーボンナノチューブは、前記領域内にて1mm2当り、5000個以上200000個以下の範囲で存在していることを特徴とする請求項1に記載のステント。
  3. 前記カーボンナノチューブの平均長さは、50nm以上50μm以下の範囲であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のステント。
  4. 前記カーボンナノチューブの平均外径は、5nm以上20nm以下の範囲であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のステント。
  5. 前記カーボンナノチューブは、化学気相成長法によって形成されたものであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のステント。
  6. 前記カーボンナノチューブの中空部及び前記カーボンナノチューブ同士の間には、充填物が充填されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のステント。
  7. 前記充填物は、薬剤を含有していることを特徴とする請求項6に記載のステント。
  8. 前記薬剤は、抗血栓剤、抗血小板剤、免疫抑制剤、細胞増殖抑制剤、抗炎症剤、内皮治癒促進剤のうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせたものを主たる成分とすることを特徴とする請求項7に記載のステント。
  9. 前記充填物は、前記薬剤を保持する機能を有するポリマーを含有することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のステント。
  10. 前記ポリマーは、生体吸収性ポリマーを主たる成分とすることを特徴とする請求項9に記載のステント。
  11. ステントは、Au、Pt、Ta、Rh、Ru、Pd、Nb、Os、Ir、Agよりなる群から選択された少なくとも1種又はこれらのうち少なくとも1種を含む合金を主材料として構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のステント。
  12. ステントは、Ni・Ti合金を主材料として構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のステント。
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