携帯電話やCCDカメラ等に使用されるコネクタは、狭ピッチで極薄(所謂軽薄短小)であり、主にハウジングとコンタクトとを備え、ハウジングにフレキシブルプリント基板を挿入し、コンタクトの接触部に接触させる構造のものや、主にハウジング、コンタクトおよびスライダーを備え、ハウジングとスライダーとでフレキシブルプリント基板を挟持する構造を有するのが一般的である。ハウジングとスライダーとでフレキシブルプリント基板を保持する方法には、色々考えられるが、中でもハウジングにフレキシブルプリント基板を挿入した後にスライダーを挿入しフレキシブルプリント基板をコンタクトに押しつける構造のものが多い。また、客先の仕様や狭ピッチを図るためには、前記コンタクトの接続部を前記ハウジングの嵌合口側に配置しなければならないこともある。
ハウジングには、コンタクトが挿入される所要数の挿入溝が設けられるとともにフレキシブルプリント基板が挿入される嵌合口が設けられている。
コンタクトは、主にフレキシブルプリント基板と接触する接触部、他の部材(例えば基板等)に電気接続される接続部、およびハウジングに固定される保持部から構成されている。このコンタクトは、圧入や溶着等によってハウジングに固定されている。
例えば、ゼロインサーションフォース(ZIF)構造を有するコネクタとしては、特許文献1に記載されている。この特許文献1の要約によると、その目的は、電子機器や通信機器内の狭いスペースに使用されるスライダー付プリント基板用コネクタに関するものであり、その構成は、コネクタのスライダーの両側端部にそのスライダーが挿入されるハウジングへの挿入ガイドとして手前側が固定されたU字形状のアーム部を形成し、そのU字形状のアーム部の開放端側に凸部を設けるとともに、U字形状のアーム部の開放端が挿入方向から目視できるように切欠部を設け、ハウジングの両側端部にはスライダーの凸部が係合する傾斜面を有する突出部を設け、スライダーをフレキシブル・プリント基板の接続端子部とともにハウジングに挿入されるとき、当該スライダーの凸部がハウジングの傾斜面を有する突出部を乗り越えることにより、そのU字形状のアーム部の開放端が一時的に外側に広げられ、かつ挿入完了時にその開放端が正常位置に復帰するようにしたコネクタが開示されている。
実開平6−60983号公報
所謂、ピアノタッチ構造を有するコネクタとしては、特許文献2に記載されている。特許文献2の要約によると、コネクタのコンタクトとフレキシブルプリント基板叉はFFCのパターンとの位置合わせを確実に行うことを目的とし、フレキシブルプリント基板叉はFFCが挿入される開口側の、コネクタの端子ブロックの各コンタクト間の稜線上に突起を列設して、端子ブロックにフレキシブルプリント基板叉はFFCを挿入した後に、スライダを移動させることによってフレキシブルプリント基板叉はFFCを前記コンタクトに押圧させ、前記スライダでフレキシブルプリント基板叉はFFCをコンタクトに押しつけ電気接続させる際に、この突起がフレキシブルプリント基板叉はFFCのパターン間の凹部に入ることにより、コネクタのコンタクトとフレキシブルプリント基板叉はFFCのパターンとの位置合わせを確実に行うものが開示されている。
特開平13−257020号公報
また、特許文献3には、回路基板用コネクタに関し、端片に沿う信号入出力用端子の隣接間ピッチや該端子自体が特に狭小化した回路基板でも位置ずれ等を発生させることなく確実に接続させて生産性の向上を図ることを目的とし、特許文献3には回路基板端辺に数列して形成されている複数の信号入出力用端子と個々に接続するジャック端子が該各信号入出力用端子と対応する位置に植設されている絶縁体の該ジャック端子コンタクト側開口に回路基板をその信号入出力用端子形成辺側から挿入した後、該回路基板をジャック端子のコンタクト側に押圧移動させて対応するコンタクトと信号入出力用端子とを接続させる回路基板用コネクタであって、絶縁体の回路基板が挿入される領域に、所定位置まで挿入したときの回路基板を少なくともその信号入出力用端子形成領域の幅方向側辺で位置決めし得る手段を具えて構成するものが開示されている。
特開平5−326084号公報
近年、この種のコネクタでは、電気機器(電子機器)の小型化に伴い、より一層の小型化の要求が強くなり、かつ、狭ピッチ化の要求が強くなると同時に信号密度を高めるためにフレキシブルプリント基板の両面に接触部を設けることが必要になってきた。
しかしながら、上述した構造のコネクタでは、両面に接触部があるフレキシブルプリント基板に対応することができなく、狭ピッチ化にも対応することが出来ないといった課題があった。
即ち、特許文献1および3のようなZIFタイプのものでは、前記フレキシブルプリント基板を前記ハウジングに挿入後、前記スライダーにより前記フレキシブルプリント基板を一方に押しつけて、前記コンタクトに接触させる構造であり、接触部が表裏両面にあるフレキシブルプリント基板には対応出来ない(一方側の面にしか押しつけられない。)。また、特許文献2のような前記ハウジングの前記フレキシブルプリント基板挿入側で前記回動部材を回転させる、所謂ピアノタッチタイプでも、ZIFタイプ同様に、前記回動部材により前記フレキシブルプリント基板を一方に押しつけて、前記コンタクトに接触させる構造であり、接触部が表裏両面にあるフレキシブルプリント基板には対応出来ない(一方側の面にしか押しつけられないし、たとえ接触したとしても接触安定性の面で問題がある。)。
加えて、フレキシブルプリント基板は、その性質上、折り曲げられた変形状態で使用される場合も想定されるため、剛性が低く、可撓性に優れていることが必要である。
しかしながら、このような従来のフレキシブルプリント基板を上記した両面接触用のコネクタに接続する場合には、フレキシブルプリント基板が低剛性であるため、フレキシブルプリント基板をコネクタを構成するコンタクト対で両面から挟持しても、安定した接触圧が得られないという問題があった。
フレキシブルプリント基板の剛性を高めるための手段としては、例えば特許文献4に記載されているように、2枚以上のフレキシブルプリント基板用シート材料を積層して、両面に端子部をもつフレキシブルプリント基板を形成する方法が有用である。
特開2006−79853号公報
特許文献4に記載のフレキシブルプリント基板では、確かにフレキシブルプリント基板全体の剛性は高まるため、フレキシブルプリント基板を前記コンタクト対で両面から挟持した場合に、十分な接触圧が得られるものの、フレキシブルプリント基板特有の可撓性が悪化する結果として、折り曲げられた変形状態で使用されるような使用態様での使用が難しいという問題があった。
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、優れた可撓性を具備しつつ、コネクタを構成するコンタクト対で両面から挟持した場合に、十分な接触圧が得られる両面接続が可能なフレキシブルプリント基板、およびこの該基板接続用コネクタ装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の要旨構成は以下の通りである。
(1)少なくとも一端部の両面に、所定のピッチで配列された複数個の端子部の群からなる表面側端子部群と裏面側端子部群をそれぞれ形成してなる、両面接続が可能なフレキシブルプリント基板において、前記表面側端子部群に位置する端子部からそれぞれ延びるリード部全体は表面側に位置し、前記裏面側端子部群に位置する端子部からそれぞれ延びるリード部は、大部分が折り返されて表面側に位置し、前記少なくとも一端部を含む端部領域で2層、それ以外の残部領域で1層となるシート形状を有し、前記端部領域の両側面に、コネクタ内への挿入・接続時における挿入方向の位置決めを可能にする突出部を設けることを特徴とするフレキシブルプリント基板。
(2)前記突出部は、前記フレキシブルプリント基板の端部領域の両側面のうち、裏面側端子部群に位置する端子部から延びるリード部が折り返される側の側面である一の側面に、前記端子部群が位置する端部以外の端部領域の部分を、前記端子部群が位置する端部に比べて幅広にして段差をもつ拡張部として形成し、他の側面に、前記拡張部の段差と同一の幅方向ライン上に位置し、幅方向に突出するタグ部として形成する上記(1)記載のフレキシブルプリント基板。
(3)前記フレキシブルプリント基板の端部の両面に形成した、表面側端子部群に位置する端子部と、裏面側端子部群に位置する端子部の双方を合わせてみたときの平均配設ピッチは、0.1〜0.2mmの範囲である上記(1)または(2)記載のフレキシブルプリント基板。
(4)前記各端子部群に位置する端子部は、所定の間隔で離隔した2本の仮想幅方向ライン上に千鳥状に配設してなる上記(1)、(2)または(3)記載のフレキシブルプリント基板。
(5)同一の前記仮想幅方向ライン上に位置する端子部間の配設ピッチは、ともに0.2〜0.4mmの範囲である上記(4)記載のフレキシブルプリント基板。
(6) 前記表面側端子部群と前記裏面側端子部群は、フレキシブルプリント基板の両端部に形成してなる上記(1)〜(5)のいずれか1項記載のフレキシブルプリント基板。
(7)所定のシート材料を、その幅を2等分する仮想中心線で2つの半区域に区分するとき、前記シート材料の少なくとも一端に、所定のピッチで配列された複数個の端子部の群からなる2つの端子部群を、同一表面上であって、それぞれの前記半区域である第1および第2半区域に形成し、第2区域は、第1区域に比べて長手方向に狭い領域であり、一方の端子部群に位置する端子部からそれぞれ延びるリード部全体が、前記一方の端子部群に位置する端子部と同じ第1半区域に位置し、他方の端子部群に位置する端子部からそれぞれ延びるリード部の大部分が第1半区域に位置し、両端子部群間に、段差部をもつ切欠き部を設け、前記シート部材の第2半区域側の側面に、前記段差部と同一の幅方向ライン上に位置し、幅方向に突出するタグ部を設けた前記シート材料を、前記両端子部群が位置する表面が外面になるように前記仮想中心線で折り返すことにより形成してなる上記(2)または(3)記載のフレキシブルプリント基板。
(8)前記仮想中心線で折り返した状態の前記フレキシブルプリント基板の厚さを100〜140μmにすることを特徴とする上記(7)記載のフレキシブルプリント基板。
(9)前記切欠き部の段差部は、仮想中心線位置にて、第2区域側から第1区域側へ段下がりになる上記(7)または(8)記載のフレキシブルプリント基板。
(10)上記(1)〜(7)のいずれか1項記載のフレキシブルプリント基板と、該フレキシブルプリント基板を着脱自在に嵌合するコネクタとを有するコネクタ装置において、前記コネクタは、前記フレキシブルプリント基板の端子部と接触する接触部および他の部材に電気接続される接続部を有する、2種類の所要数のコンタクトと、該コンタクトを保持・固定する挿入溝および前記フレキシブルプリント基板が挿入される嵌合口を有するハウジングとを備え、2種類の各コンタクトで形成したコンタクト対を、ハウジングの同一の挿入溝内に配置し、コンタクト対を構成する1対のコンタクトは、一方のコンタクトが前記ハウジングの嵌合口側より挿入配置され、他方のコンタクトが前記ハウジングの嵌合口の反対側から挿入配置され、コネクタのハウジング前面に、前記フレキシブルプリント基板のコネクタ挿入時に、前記フレキシブルプリント基板の端部の両側面に設けた突出部を位置決めする位置決め手段を設けることを特徴とするコネクタ装置。
(11)前記フレキシブルプリント基板の前記表面側端子部群及び裏面側端子部群の両側面から各々の最短の端子部までの距離を0.33〜0.47mmにするとともに前記フレキシブルプリント基板を折り返した状態のままで前記ハウジングの嵌合口へ挿入することにより、前記フレキシブルプリント基板を、前記ハウジングの嵌合口の幅方向に位置決めすることを特徴とする上記(10)記載のコネクタ装置。
(12)前記コンタクト対を構成する、一方のコンタクトが、表(上)面と接触し、他方のコンタクトが裏(下)面と接触し、前記フレキシブルプリント基板を前記コンタクト対を構成する1対のコンタクトで挟み込むようにすることを特徴とする上記(10)または(11)記載のコネクタ装置。
(13)前記コンタクト対を構成する1対のコンタクトの接触部が、長手方向位置をずらして配置することを特徴とする上記(10)、(11)または(12)記載のコネクタ装置。
(14)前記フレキシブルプリント基板を、前記コネクタのハウジングの嵌合口に挿入し、必要に応じて、さらに前記嵌合口と反対側に設けた回動部材を回動させることにより前記フレキシブルプリント基板の両面に位置する端子部に前記コンタクト対の接触部を接触させることを特徴とする上記(10)〜(13)のいずれか1項記載のコネクタ装置。
(15)前記コンタクト対を構成する一方のコンタクトには、接触部と接続部との間に、弾性部と支点部とを設けるとともに、前記接触部と前記弾性部と前記支点部と前記接続部とを略クランク形状に配置し、かつ、前記接続部と対向する位置に前記弾性部から延設された押受部を設け、もう一方の前記コンタクトは接触部と接続部とを有し、前記回動部材に長手方向に連設した押圧部を設け、該押圧部が一方の前記コンタクトの接続部と押受部との間で前記押圧部が回動自在に回動するように前記回動部材を前記ハウジングに装着することを特徴とする上記(10)〜(14)のいずれか1項記載のコネクタ装置。
本発明のフレキシブルプリント基板((Flexible Printed Circuit、以下「FPC」と略記する。)は、前記表面側端子部群に位置する端子部からそれぞれ延びるリード部全体は表面側に位置し、前記裏面側端子部群に位置する端子部からそれぞれ延びるリード部は、大部分が折り返されて表面側に位置し、前記少なくとも一端を含む端部で2層、それ以外の部分で1層となるシート形状を有することにより、優れた可撓性を具備しつつ、コネクタへの挿入される部分(端部)では一定の厚みを確保することができるためコネクタを構成するコンタクト対に対し安定した接触圧で両面端子部との接触が得られる。
また、前記FPCの端部の両側面に、コネクタ内への挿入・接続時における挿入方向の位置決めを可能にする突出部を設けることにより、FPCを挿入したときに、FPCの両面端子部を、コネクタを構成するコンタクト対の接触部の対向位置に正確に配置することができる。
前記FPCの端部の両面に形成した、表面側端子部群に位置する端子部と、裏面側端子部群に位置する端子部の双方を合わせてみたときの平均配設ピッチを、0.1〜0.2mmの範囲にしているので、より狭ピッチで、高密度化を図ることができる。
さらに、本発明のコネクタ装置は、前記FPCと、前記FPCの端子部と接触する接触部および他の部材に電気接続される接続部を有する、2種類の所要数のコンタクトと、該コンタクトを保持・固定する挿入溝および前記FPCが挿入される嵌合口を有するハウジングとを備え、2種類の各コンタクトで形成したコンタクト対を、同一の挿入溝内に配置し、コンタクト対を構成する2本のコンタクトは、一方のコンタクトが前記ハウジングの嵌合口側より挿入配置され、他方のコンタクトが前記ハウジングの嵌合口の反対側から挿入配置されるコネクタとを組合わせたコネクタ装置により、次のような優れた顕著な効果が得られる。
(1)前記FPCの表裏両面の少なくとも一方の面に端子部がある時に、2種類のコンタクトを用いるとともに2種類の前記コンタクトを1対とし、1対の前記コンタクトを同一の挿入溝内に配置し、コンタクト対を構成する2本のコンタクトは、一方のコンタクトが前記ハウジングの嵌合口側より挿入配置され、他方のコンタクトが前記ハウジングの嵌合口の反対側から挿入配置されるようにしているので、より狭小化も図ることができ、信号密度を高めることができる。
(2)前記FPCの前記表面側端子部群及び裏面側端子部群の両側面から各々の最短の端子部までの距離を0.33〜0.47mmにするとともに前記フレキシブルプリント基板を折り返した状態のままで前記嵌合口へ挿入しているので、前記FPCの端子部と前記コンタクトの接触部の幅方向の位置決めを容易に行うことができる。
(3)前記FPCを、前記コネクタのハウジングの嵌合口に挿入し、必要に応じて、さらに前記嵌合口と反対側に設けた回動部材を回動させることにより前記FPCの両面に位置する端子部に前記コンタクト対の接触部を接触させているので、前記FPC挿入時には挿入力が掛からないZIF(ゼロ・インサーション・フォース)構造にすることができ、より狭小化も図ることができ、信号密度を高めることができる。
(4)前記コンタクト対を構成する、一方のコンタクトが、表(上)面と接触し、他方のコンタクトが裏(下)面と接触し、前記FPCを前記コンタクト対を構成する1対のコンタクトで挟み込むようにしているので、表裏両面に端子部を有する前記FPCにも容易に対応でき、安定した保持ができ、狭小化も図ることができ、信号密度を高めることができる。
(5)前記FPC22の接触部52、52が長手方向で千鳥に配置されている場合に、1対の前記コンタクト14、16の接触部30、20が長手方向で千鳥になるように配置しているので、より狭小ピッチ化が可能になり、信号密度を高めることができ、容易にFPC22の接触部52、52の位置に対応できる。
(6)前記コンタクト対を構成する一方のコンタクトには、接触部と接続部との間に、弾性部と支点部とを設けるとともに、前記接触部と前記弾性部と前記支点部と前記接続部とを略クランク形状に配置し、かつ、前記接続部と対向する位置に前記弾性部から延設された押受部を設け、もう一方の前記コンタクトは接触部と接続部とを有し、前記回動部材に長手方向に連設した押圧部を設け、該押圧部が一方の前記コンタクトの接続部と押受部との間で前記押圧部が回動自在に回動するように前記回動部材を前記ハウジングに装着しているので、前記ハウジングの嵌合口側と反対側で前記回動部材を回動することにより、前記FPCに前記コンタクトを押しつけているため、表裏両面に端子部があるFPCに対応することができ、確実に前記FPCの端子部に接触することができる。
(7)前記回動部材をハウジングのコンタクト接続部側で回動させることで、2種類のコンタクトの接触部をFPCに接触させる構造にしているので、ハウジングの嵌合口にスライダーを挿入することがなく、スライダーの厚み分だけコネクタの低背位化が可能になった。
以下、本発明に従う両面接続が可能なFPCおよび該基板接続用コネクタ装置を図面を参照しながら説明する。
図1および図2は、本発明のFPCの代表的な実施形態の一例を示したものであって、図1(a)はFPCの平面(表面)図、図1(b)は同図(a)の左側面図、図2(a)は底面(裏面)図、図2(b)は図2(a)の左側面図であり、図3および図4は、図1および図2のFPCを形成するために用いたシート材料の折り返し前の状態で示したものであって、図3はシート材料の平面(表面)図、そして、図4は底面(裏面)図である。
図1および図2に示すFPC1は、少なくとも一端の(表裏)両面(図では両端部2,3の両面)に、図1に示すような所定の配設ピッチP1、P2、好適には、ともに0.2〜0.4mmの範囲として配列された複数個の端子部の群からなる表面側端子部群4と裏面側端子部群5をそれぞれ形成したものであって、前記フレキシブルプリント基板の端部の両面に形成した、表面側端子部群4に位置する端子部と、裏面側端子部群5に位置する端子部の双方を合わせてみたときの平均配設ピッチが、0.1〜0.2mmの狭ピッチである、両面接続が可能なFPCである。
そして、本発明に従うFPC1の構成上の主な特徴は、前記表面側端子部群4に位置する端子部6a、6bからそれぞれ延びるリード部7aの全体は、FPC1の表面側に位置し、前記裏面側端子部群5に位置する端子部6c、6dからそれぞれ延びるリード部7bは、そのリード部7bの一部7b1だけが裏面側に位置し、リード部7bの大部分7b2は折り返されてFPC1の表面側に位置し、前記少なくとも一端部を含むFPC1の端部領域8で2層、それ以外のFPC1の残部領域(図1では中間領域9)で1層となるシート形状を有し、前記端部領域の両側面に、コネクタ内への挿入・接続時における挿入方向の位置決めを可能にする突出部を設けることにある。
そして、本発明のFPC1は、上記構成を採用することにより、図6に示すような、片面に回路配線が印刷された2枚のシート材料50a、50bを張り合わせることによって作製した、両面接続が可能な従来のFPC51に比べて可撓性に優れるとともに、後述するコネクタ10を構成するコンタクト対に対し十分な接触圧で両面端子部6a〜6dとの接触を得ることが可能になる。
また、FPC1の端部領域8の両側面10、11に、後述するコネクタ110内への挿入・接続時における挿入方向の位置決めを可能にする突出部12、13をそれぞれ設けることが好ましい。これにより、FPC1を挿入したときに、FPC1の両面端子部6a〜6dを、コネクタ110を構成するコンタクト対114,116の接触部130,120の対向位置に正確に配置することができる。
前記突出部12、13は、前記FPC1の端部領域8の両側面10、11のうち、裏面側端子部群5に位置する端子部6c、6dから延びるリード部7bが折り返される側の側面である一の側面11に、前記端子部群5が位置する端部2以外の端部領域8の部分14を、前記端子部群5が位置する端部2に比べて幅広にして段差15をもつ拡張部13として形成し、他の側面10に、前記拡張部13の段差15と同一の幅方向ライン16上に位置し、幅方向に突出するタグ部12として形成することが好ましい。
前記各端子部群4、5に位置する端子部6a〜6dは、所定の間隔Dで離隔した2本の幅方向ライン17、18上に千鳥状に配設することが好ましい。
同一の前記仮想幅方向ライン17または18上に位置する端子部間の配設ピッチP1、P2は、ともに0.2〜0.4mmの範囲であることが好ましい。
なお、図1及び図2では、前記表面側端子部群4と前記裏面側端子部群5は、FPC1の両端部2,3に形成した場合を示しているが、いずれか一端部2または3にのみ設ける態様でもよい。
また、図1及び図2に示すFPC1の形成方法としては、例えば、図3に示すように、所定の回路配線が印刷されたシート材料19を、その幅を2等分する仮想中心線20で2つの半区域21、22に区分するとき、前記シート材料19の少なくとも一端部23(図3では両端部23、24)に、所定のピッチで配列された複数個の端子部の群からなる2つの端子部群25、26を、同一表面上であって、それぞれの前記半区域である第1および第2半区域21および22に形成し、第2区域22は、第1区域21に比べて長手方向に狭い領域であり、一方の端子部群25に位置する端子部27a、27bからそれぞれ延びるリード部28の全体が、前記一方の端子部群25に位置する端子部27a、27bと同じ第1半区域21に位置し、他方の端子部群26に位置する端子部27c、27dからそれぞれ延びるリード部29の大部分が第1半区域21に位置し、両端子部群間に、段差部をもつ切欠き部を設け、前記シート部材の第2半区域側の側面に、前記段差部と同一の幅方向ライン上に位置し、幅方向に突出するタグ部を設けたシート材料19を、前記両端子部群25、26が位置する表面が外面になるように前記仮想中心線20で折り返すことにより形成してなることが好ましい。
シート材料の厚さを50〜70μmの範囲とし、前記仮想中心線20で折り返した状態のFPC1の厚さを100〜140μmとすることが、中間領域で十分な可撓性を得るとともに、両端子部群に位置する端子部と、コンタクトの安定した両面接触を得る上で好ましい。
また、シート部材を折り返して形成したFPC1は、内面同士は接着しない状態であることが、FPC1のコネクタ110内への挿入における挿入方向と直交する方向であるFPC幅方向の位置決めを精度よくできる点で好ましい。すなわち、シート部材の内面同士は接着しないで折り返して形成したFPC1は、前記表面側端子部群及び前記裏面側端子部群の両側面と各々の最短の端子部との距離の公差をノミナル±0.07mmにしているため、コネクタの嵌合口124の両側面のうちの一方の側面には、表面側のシート部材部分の側面が接触することで、FPC1の表面側端子部群に位置する端子部とコネクタのコンタクトの接触部とが正確に位置決め接触することが可能になり、また、コネクタの嵌合口124の他方の側面には、シート部材を内面接着しないことに起因した折返しに対する反発力の作用により、裏面側のシート部材部分の切欠き部の側面が押圧接触されることで、FPC1の裏面側端子部群に位置する端子部とコネクタのコンタクトの接触部とが正確に位置決め接触することが可能になるからである。
また、図1および図2に示す突出部である拡張部13とタグ部12の形成方法は、両端子部群25、26間に、段差部30をもつ切欠き部31を設け、前記シート部材19の第2半区域側22の側面32に、前記段差部30と同一の幅方向ライン33上に位置し、幅方向に突出するタグ部34を設けた前記シート材料19を、前記両端子部群25、26が位置する表面が外面になるように前記仮想中心線20で折り返すことにより形成することが好ましい。
さらに、拡張部13とタグ部12が同一の幅方向ライン33上に位置するように折り返すのに好適な手段としては、例えば、前記切欠き部31の段差部30を、仮想中心線20の位置にて、第2区域22側から第1区域21側へ段下がりになるように形成する方法が挙げられ、このように構成することにより、図1に示すように、タグ部12の上端位置が、拡張部13の裏面の上端位置と同一の幅方向ライン33上に容易に設定することができる。即ち、耐摩耗性を高める意味で、パターン形成時に両端面に銅箔部分を残したものであり、図5のように端子部と一体でも良いし、端子部とは別に形成してもよい。コネクタの小型化を考えると、一体が望ましい。
また、図5は、本発明に従う他のFPCを示した平面図である。この図では、FPC1のコネクタへの繰返し挿抜時におけるFPC1の両側面の耐摩耗性を高めるため、表面側端子部群4と裏面側端子部群5に位置する端子部のうち、両端側に位置する端子部の面積を、FPC1の側面まで拡大した形状としたものである。
次に、本発明に従うコネクタ装置の実施形態について図7から図11に基づいて説明する。
図7(a)は本発明の一のコネクタ装置を構成する代表的なコネクタ110の斜視図、図7(b)は同図(a)のコネクタにFPCを接続したときのコネクタ装置の斜視図、図8(a)は本発明の別のコネクタ装置を構成するコネクタを特定のコンタクトに沿って切断したときの断面斜視図であり、図8(b)は図8(a)のコネクタにFPCを接続したときのコネクタ装置の断面斜視図、図9(a)は本発明の他のコネクタ装置を構成するコネクタを特定のコンタクトに沿って切断したときの断面斜視図であり、図9(b)は図9(a)のコネクタにFPCを接続したときのコネクタ装置の断面斜視図、図10(a)はコンタクト対を構成する一方のコンタクトの斜視図、図10(b)は他方のコンタクトの斜視図、そして、図11はコネクタを構成する回動部材の斜視図である。
本発明のコネクタ装置は、上記した両面接続が可能なFPC1と、このFPC1を着脱自在に嵌合するコネクタ110とを有し、コネクタ110が、FPC1の端子部6a〜6dと接触する同数の接触部130、130、120、120および他の部材に電気接続される接続部134を有する、2種類の所要数のコンタクト114、116と、該コンタクト114、116を保持・固定する挿入溝128およびFPC1が挿入される嵌合口124を有するハウジング112とを備え、2種類の各コンタクト114、116で形成したコンタクト対を、同一の挿入溝128内に配置し、コンタクト対を構成する2本のコンタクト114、116は、一方のコンタクト116が前記ハウジング112の嵌合口124側より挿入配置され、他方のコンタクト114が前記ハウジング112の嵌合口124の反対側から挿入配置されており、加えて、FPC1に突出部12、13を設ける場合には、コネクタ110のハウジング112の前面に、FPC1のコネクタ110への挿入時に、前記FPC1の端部の両側面に設けた突出部12、13を位置決めする位置決め手段115がさらに設けられている。
コネクタ装置を構成するコネクタ10は、主にハウジング112と回動部材118とコンタクト114、116とを備えている。該コネクタ100は、2種類のコンタクト114、116をハウジング112への挿入方向を変えて配列しており、挿入方向を変えて配列することによってFPC1の表裏両面にある端子部6a〜6dに対応するようにしたものである。また、図1に示すように、前記FPC1の表裏両面にある端子部6aまたは6cと6bおよび6dが千鳥に配列されている際には、2種類のコンタクト114、116の接触部130、120の位置を変えたものを使用し、接触部130、120が相違する各コンタクト114、116を千鳥に配置している。
ハウジング112は、電気絶縁性のプラスチックであり、公知技術の射出成形によって製作され、この材質としては寸法安定性や加工性やコスト等を考慮して適宜選択するが、一般的にはポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリアミド(66PA、46PA)や液晶ポリマー(LCP)やポリカーボネート(PC)やこれらの合成材料を挙げることができる。
前記ハウジング112には、所要数のコンタクト114、116が装着される挿入溝128が設けられており、圧入や引っ掛け(ランス)や溶着等によって固定されている。また、前記ハウジング112には前記FPC1が挿入される嵌合口124が設けられ、前記嵌合口124側に前記FPC1を誘う凹部126が設けられている。該凹部126の大きさは、前記ハウジング112の強度や前記コンタクト116の接続性(半田付け性)や前記FPC1の誘い易さを考慮し、前記コンタクト116の接続部134が前記ハウジング112の凹部126内から突出しないように適宜設計されている。前記嵌合口124の大きさは前記FPC1が挿入でき、前記FPC1が挿入された際に前記回動部材118で前記コンタクト114、116に押圧できるように適宜設計されている。前記ハウジング112の幅方向両側には、前記回動部材118の軸146が回動可能に装着される軸受部が設けられている。この軸受部の形状や大きさは、前記回動部材118の軸146が回動できるように装着されていれば如何なるものでもよく、この役割や、前記FPC1の端子部6a、6b、6c、6dと前記コンタクト114、116の接触部130、120との位置関係や、ハウジング112の強度や大きさ等を考慮して適宜設計する。さらにまた、幅方向両側には、前記回動部材118のロック部に対応した位置に係止部が設けられている。
また、コネクタ110のハウジング112の前面に設ける位置決め手段115としては、FPC1のコネクタ110への挿入時に、前記FPC1の端部の両側面に設けた突出部12、13を位置決めできる構成であればよく、図1(a)および(b)では、FPC1の突出部12、13が衝合するためのフラットな衝合面として形成した場合をして示しているが、この構成には限定されず、位置決め手段として、FPC1の突出部12、13が係合するような凹部を形成してもよい。
また、コネクタ110を構成する2種類のコンタクト114、116は、金属製であり、公知技術のプレス加工によって製作されている。前記コンタクト114、116の材質としては、バネ性や導電性などが要求されるので、黄銅やベリリウム銅やリン青銅等を挙げることができる。2種類の前記コンタクト114、116をコンタクト対とし、このコンタクト対を構成する1対の前記コンタクト114、116を図7及び図8のように前記ハウジング112の同一の挿入溝128内に挿入している。
他方のコンタクト114は、図10(a)のように倒略h形状をしており、主にFPC1と接触する接触部130と基板等の他の部材に接続する接続部134とハウジング112に固定する固定部136と前記接触部130と前記接続部134との間に設けられた弾性部140及び支点部138と前記接続部134と対向する位置に前記弾性部140から延設された押受部132とを備えている。前記接触部130と前記弾性部140と前記支点部138と前記接続部134とは、略クランク形状に配置されている。前記接触部130は、FPC1と接触し易いように凸部形状にしており、前記接続部134は本実施例では図1のように表面実装タイプ(SMT)にしているが、ディップタイプでも良い。即ち、他方の前記コンタクト114の接触部130は、前記FPC1の表面側の端子部6aまたは6bに接触することになる。
前記支点部138と前記弾性部140と前記押受部132とは、前記FPC1が挿入された際に、次のような作用を果たすための部分である。前記FPC1が前記ハウジング112の嵌合口124内に挿入された後に、前記回動部材118の押圧部150が前記コンタクト114の接続部134と押受部132との間で回動すると、前記押受部132が押圧部150によって押し上げられることで前記コンタクト114の支点部138を支点にし、前記コンタクト114の弾性部140が前記接触部130側に傾くことによって、前記接触部130が前記FPC1側に押圧される。前記支点部138と前記弾性部140と前記押受部132の大きさや形状は、このような作用を果たすために、適宜設計されている。また、前記コンタクト114の押受部132の先端に突出部144を設け、前記回動部材118の押圧部150をコンタクト114の押受部132と接続部134との間で回動させるとき、前記回動部材118の係止孔148に係合させることで、前記回動部材118の回動に対する強い反発力に対抗し、前記回動部材118の中央部が図7(a)の矢印「ロ」方向に膨れてしまうことを防ぐようにすることが望ましい。前記突出部144の大きさは、このような役割を果たすことが出来れば如何なる大きさでもよく、前記回動部材118の係止孔148が引っ掛かる程度に適宜設計する。
また、一方の前記コンタクト116は図10(b)のように倒略I字形状をしており、主にFPC1と接触する接触部120と基板等の他の部材に接続する接続部134とハウジング112に固定する固定部136とを備え、前記接触部120と、他方の前記コンタクト114の接触部130とで、前記FPC1を挟持するようにしている。即ち、一方の前記コンタクト116の接触部120は、前記FPC1の裏面の端子部6cまたは6dに接触することになる。このように他方のコンタクト114と一方のコンタクト116を配置することにより、前記FPC1の挿入方向に対して、前記FPC1の表裏両面に接触部130、120が配置されることで、前記FPC1を2つの接触部130、120で挟持することになり、確実に前記FPC1の表裏両面の接触部6a〜6dと接触できるようになる。前記接続部134は、他方のコンタクト114と同様に表面実装タイプ(SMT)にしているが、ディップタイプでも良い。
上述のように、他方のコンタクト114の接触部130は前記FPC1の表面側の接触部6aまたは6bと接触し、一方のコンタクト116の接触部120は前記FPC1の裏面側の接触部6cまたは6dと接触することになり、2種類のコンタクト114、116をコンタクト対とし、このコンタクト対を構成する1対のコンタクト114、116の接触部130、120を対向するように配置し、前記FPC1を1対のコンタクト114、116で挟み込むようしたものであり、2種類の前記コンタクト114、116の接触部130、120は前記FPC1の接触部6a〜6dに対応するように適宜設計される。図1のようにFPC1の表裏両面に設けられた端子部6a〜6dが長手方向で千鳥に配置されている場合には、図10に示した2種類の前記コンタクト114、116とは別に接触部130、120の位置を変えたものを用意し、図9のように接触させている。すなわち、接触部130、120の位置を変えるとは、他方のコンタクト114においては弾性部140から接触部130までの長さを変えることであり、一方のコンタクト116においては固定部136から接触部120までの長さを変えることである。
FPC1の前記表面側端子部群4及び裏面側端子部群5の両側面から各々の最短の端子部までの距離S1、S2を、いずれも0.33〜0.47mmにするとともに前記フレキシブルプリント基板を折り返した状態のままで前記ハウジングの嵌合口へ挿入することにより、前記FPC1を、前記ハウジングの嵌合口の幅方向に位置決めすることが好ましい。
回動部材118は、電気絶縁性のプラスチックであり、公知技術の射出成形によって製作され、この材質としては寸法安定性や加工性やコスト等を考慮して適宜選択するが、一般的にはポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリアミド(66PA、46PA)や液晶ポリマー(LCP)やポリカーボネート(PC)やこれらの合成材料を挙げることができる。前記回動部材118は主にハウジング112に回動可能に装着される軸146部分と前記コンタクト114、116の押受部132を押圧する押圧部150と前記コンタクト114、116の突出部144が係合する係止孔148とを備えている。前記軸146は、前記回動部材118を回動するための支点であり、ハウジング112の幅方向両側に前記回動部材118が回動可能に適宜装着されている。また、幅方向両側には、前記コンタクト114、116の押受部132を押圧した際に前記回動部材118が高さ(図面の上)方向に持ち上がらないようにするためにハウジング112と係合するロック部が設けられている。ロック部の形状や大きさ等は、ハウジング112に係合できれば如何なるものでもよく、上述の役割やコネクタ110の大きさや強度等を考慮して適宜設計する。
前記回動部材118の前記押圧部150は、コンタクト114、116の押受部132に押し付ける部分であり、その形状としては細長形状にすることが望ましく、本実施例では楕円形状をしている。このように楕円形状にすることによって、図7(a)のように前記回動部材118を矢印「イ」方向に回動させ、コンタクト114の押受部132と接続部134との間で回転させることで、押圧部150の大きさの変化によりコンタクト114の押受部132が持ち上げられ、FPC1をコンタクト114の接触部130側に押し付けている。押圧部150の形状としては、コンタクト114の押受部132と接続部134との間で回転でき、長軸と短軸といった大きさの違いによりコンタクト114の押受部132を押し上げられれば、如何なるものでもよい。
また、前記回動部材118を回動した際に、前記回動部材118の回動に対する反発力が強く、回動部材の中央部が図1(A)の矢印「ロ」方向に膨れてしまうことを防ぐようにする為に、前記コンタクト114の突出部144が係合する係止孔148が別個独立に設けられている。前記係止孔148を別個独立に設けることで、前記回動部材118の強度アップや回動時の変形を防止している。
前記回動部材118は前記ハウジング112の嵌合口124と反対側(一方の前記コンタクト114の接続部134側)に回動自在に装着されている。
なお、上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
本発明のFPCは、前記表面側端子部群に位置する端子部からそれぞれ延びるリード部全体は表面側に位置し、前記裏面側端子部群に位置する端子部からそれぞれ延びるリード部は、大部分が折り返されて表面側に位置し、前記少なくとも一端を含む端部で2層、それ以外の部分で1層となるシート形状を有することにより、優れた可撓性を具備しつつ、コネクタを構成するコンタクト対に対し十分な接触圧で両面端子部との接触が得られる。
また、前記FPCの端部の両側面に、コネクタ内への挿入・接続時における挿入方向の位置決めを可能にする突出部を設けることにより、FPCを挿入したときに、FPCの両面端子部を、コネクタを構成するコンタクト対の接触部の対向位置に正確に配置することができる。
さらに、本発明のコネクタ装置は、前記FPCと、前記FPCの端子部と接触する接触部および他の部材に電気接続される接続部を有する、2種類の所要数のコンタクトと、該コンタクトを保持・固定する挿入溝および前記FPCが挿入される嵌合口を有するハウジングとを備え、2種類の各コンタクトで形成したコンタクト対を、同一の挿入溝内に配置し、コンタクト対を構成する2本のコンタクトは、一方のコンタクトが前記ハウジングの嵌合口側より挿入配置され、他方のコンタクトが前記ハウジングの嵌合口の反対側から挿入配置されるコネクタとを組合わせたコネクタ装置により、次のような優れた顕著な効果が得られる。
(1)前記FPCの表裏両面の少なくとも一方の面に端子部がある時に、2種類のコンタクトを用いるとともに2種類の前記コンタクトを1対とし、1対の前記コンタクトを同一の挿入溝内に配置し、コンタクト対を構成する2本のコンタクトは、一方のコンタクトが前記ハウジングの嵌合口側より挿入配置され、他方のコンタクトが前記ハウジングの嵌合口の反対側から挿入配置されるようにしているので、より狭小化も図ることができ、信号密度を高めることができる。
(2)前記FPCの前記表面側端子部群及び裏面側端子部群の両側面から各々の最短の端子部までの距離を0.33〜0.47mmにするとともに前記フレキシブルプリント基板を折り返した状態のままで前記嵌合口へ挿入しているので、前記FPCの端子部と前記コンタクトの接触部の幅方向の位置決めを容易に行うことができる。
(3)前記FPCを、前記コネクタのハウジングの嵌合口に挿入し、必要に応じて、さらに前記嵌合口と反対側に設けた回動部材を回動させることにより前記FPCの両面に位置する端子部に前記コンタクト対の接触部を接触させているので、より狭小化も図ることができ、信号密度を高めることができる。
(4)前記コンタクト対を構成する、一方のコンタクトが、表(上)面と接触し、他方のコンタクトが裏(下)面と接触し、前記FPCを前記コンタクト対を構成する1対のコンタクトで挟み込むようにしているので、表裏両面に端子部を有する前記FPCにも容易に対応でき、狭小化も図ることができ、信号密度を高めることができる。
(5)前記FPC22の接触部52、52が長手方向で千鳥に配置されている場合に、1対の前記コンタクト14、16の接触部30、20が長手方向で千鳥になるように配置しているので、より狭小ピッチ化が可能になり、信号密度を高めることができ、容易にFPC22の接触部52、52の位置に対応できる。
(6) 前記コンタクト対を構成する一方のコンタクトには、接触部と接続部との間に、弾性部と支点部とを設けるとともに、前記接触部と前記弾性部と前記支点部と前記接続部とを略クランク形状に配置し、かつ、前記接続部と対向する位置に前記弾性部から延設された押受部を設け、もう一方の前記コンタクトは接触部と接続部とを有し、前記回動部材に長手方向に連設した押圧部を設け、該押圧部が一方の前記コンタクトの接続部と押受部との間で前記押圧部が回動自在に回動するように前記回動部材を前記ハウジングに装着しているので、前記ハウジングの嵌合口側と反対側で前記回動部材を回動することにより、前記FPCに前記コンタクトを押しつけているため、表裏両面に端子部があるFPCに対応することができ、確実に前記FPCの端子部に接触することができる。
(7)前記回動部材をハウジングのコンタクト接続部側で回動させることで、2種類のコンタクトの接触部をFPCに接触させる構造にしているので、ハウジングの嵌合口にスライダーを挿入することがなく、スライダーの厚み分だけコネクタの低背位化が可能になった。