JP2008065930A - 光ディスク装置およびそのフォーカス調整方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ピックアップレンズの動的な位置ずれの補正能力を損なうことなく、ピックアップレンズの無制御時の位置ずれを補正すること。
【解決手段】光ディスク装置1の位相補償回路26は、光ディスク2に対するピックアップレンズの位置を調整するためのドライブ信号を、光ディスク2の読取に基づいて生成されるエラー信号に応じて調整して出力する。記憶手段29は、光ディスク2の読取に基づいて生成される所定の信号が得られるときのピックアップレンズの位置に対応する設定値31を記憶する。DAコンバータ17は、記憶手段29が記憶する設定値31に応じたレベルのドライブ信号を出力する。加算回路19は、位相補償回路26のドライブ信号とDAコンバータ17のドライブ信号とを加算する。ドライバ手段20は、光ディスク2に対するピックアップレンズの位置を、加算回路19の出力レベルに応じた位置に制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光ディスク装置およびそのフォーカス調整方法に関する。
特許文献1は、光ディスク再生装置を開示する。この光ディスク再生装置では、サーチ波形生成回路がドライブアンプへランプ電圧を出力し、そのランプ電圧に基づく調整中に、RF信号の最大値に対応するFE信号をレジスタに記憶する。その後、切替回路を位相補償ループフィルタ側に切り替え、自動フォーカスループ制御を実行する。この自動フォーカスループ制御においては、フォーカス位置エラー生成回路の出力から、レジスタが記憶するFE信号が減算される。この減算処理により、センサエリアの感度のアンバランスから発生するオフセットが相殺され、合焦点位置において位置エラー検出信号FEのレベルを本来の“0”とすることができる。
特開2001−23194号公報(要約、発明の詳細な説明、図面、特に、図4など)
特許文献1のように、自動フォーカスループ制御を実行することで、ピックアップレンズの位置を、合焦位置に制御することができる。自動フォーカスループ制御をしていない無制御時に、ピックアップレンズが自重により定常的に合焦位置からずれているとしても、ピックアップレンズを合焦位置に制御することができる。
しかしながら、実際の光ディスク装置において、自動フォーカスループ制御により補正することが可能なピックアップレンズの最大の位置ずれ量は、光ディスク装置毎に設計などにより決まっている。そして、無制御時に生じたピックアップレンズの位置ずれを自動フォーカスループ制御により補正してしまうと、その分、自動フォーカスループ制御により、補正することが可能なピックアップレンズの動的な位置ずれ量が減る。補正可能な動的な位置ずれ量が減ると、その光ディスク装置において設計上では問題視されない程度の光ディスクの傷や振動があったとしても、その傷の読み取りや振動によりピックアップレンズを合焦位置に維持することができなくなる可能性があり、光ディスク装置のプレイアビリティが低下する。
本発明は、ピックアップレンズの動的な位置ずれの補正能力を損なうことなく、ピックアップレンズの無制御時の位置ずれを補正することができる光ディスク装置およびそのフォーカス調整方法を得ることを目的とする。
本発明に係る光ディスク装置は、光ディスクに対するピックアップレンズの位置を調整するためのドライブ信号を、光ディスクの読取に基づいて生成されるエラー信号に応じて調整して出力する位相補償回路と、光ディスクの読取に基づいて生成される所定の信号が得られるときのピックアップレンズの位置に対応する設定値を記憶する記憶手段と、記憶手段が記憶する設定値に応じたレベルのドライブ信号を出力するDAコンバータと、位相補償回路のドライブ信号とDAコンバータのドライブ信号とを加算する加算回路と、光ディスクに対するピックアップレンズの位置を、加算回路の出力レベルに応じた位置に制御するドライバ手段と、を有するものである。
本発明に係る他の光ディスク装置は、光ディスクに対するピックアップレンズの位置を調整するためのドライブ信号を、光ディスクの読取に基づいて生成されるエラー信号に応じて調整して出力する位相補償回路と、設定値に応じたレベルのドライブ信号を出力するDAコンバータと、位相補償回路のドライブ信号とDAコンバータのドライブ信号とを加算する加算回路と、光ディスクに対するピックアップレンズの位置を、加算回路の出力レベルに応じた位置に制御するドライバ手段と、位相補償回路と加算回路との間に接続され、閉状態において位相補償回路が出力するドライブ信号を加算回路へ供給するスイッチと、スイッチを開いた状態で、DAコンバータに所定の範囲の複数の設定値を順番に設定する制御手段と、制御手段による複数の設定値の設定制御中での、光ディスクの読取に基づいて生成される所定の信号が得られるときの制御手段による設定値を記憶し、スイッチが閉じているとき、その記憶している設定値をDAコンバータへ供給する設定する記憶手段と、を有するものである。
本発明に係る他の光ディスク装置は、上述した発明の構成に加えて、以下の特徴を有するものである。すなわち、記憶手段は、光ディスクの読取に基づいて生成される変調信号が最大となるときの制御手段による設定値を記憶する。
本発明に係る他の光ディスク装置は、上述した発明の各構成に加えて、以下の特徴を有するものである。すなわち、制御手段は、少なくとも当該光ディスク装置に装着される光ディスクが交換される度に、複数の設定値の設定を実行し、記憶手段が記憶する設定値が更新される。
本発明に係る他の光ディスク装置は、上述した発明の各構成に加えて、以下の特徴を有するものである。すなわち、DAコンバータと加算回路との間にローパスフィルタが設けられる。また、制御手段は、DAコンバータに対して、DAコンバータに設定可能な複数の設定値の間で所定の1桁の値ずつ変化する複数の設定値を順番に設定する。
本発明に係る他の光ディスク装置は、上述した発明の各構成に加えて、以下の特徴を有するものである。すなわち、制御手段は、DAコンバータの設定値が所定の範囲の境界値となるまで、DAコンバータに対して複数の設定値を順番に設定する。また、制御手段は、その後、光ディスクの読取に基づいて生成される所定の信号が得られるまで、複数の設定値を逆順に設定する。
本発明に係る光ディスク装置におけるフォーカス調整方法は、光ディスクに対するピックアップレンズの位置調整に利用されるドライブ信号を出力するDAコンバータに、所定の範囲の複数の設定値を順番に設定し、その間の光ディスクの読取に基づいて生成される所定の信号が得られるときの設定値を記憶手段に記憶させるステップと、記憶手段に記憶される設定値によりDAコンバータが出力するドライブ信号を、光ディスクの読取に基づいて生成されるエラー信号に応じて位相補償回路が調整して出力するドライブ信号に加算し、その加算されたドライブ信号に基づいて、光ディスクに対するピックアップレンズの位置を制御するステップと、を有するものである。
本発明では、ピックアップレンズの動的な位置ずれの補正能力を損なうことなく、ピックアップレンズの無制御時の位置ずれを補正することができる。
以下、本発明の実施の形態に係る光ディスク装置およびそれにおけるフォーカス調整方法を、図面に基づいて説明する。フォーカス調整方法は、光ディスク装置の動作の一部として説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る光ディスク装置1を示すブロック図である。光ディスク装置1は、光ディスク2にデータを記録したり、光ディスク2に記録されているデータを読み込んだりする。
光ディスク2には、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、ブルーレイディスク(BD)などがある。光ディスク2は、直径が12センチメートルあるいは8センチメートルの円板形状のプラスチック基材の表面に、記録層や保護層などを積層した構造を有する。また、光ディスク2には、複数の記録層を有するものもある。光ディスク2の中心には、チャック孔が形成される。光ディスク2は、このチャック孔に、図1中のモータ11により回転駆動される図示外のチャック部材が嵌合される状態で、光ディスク装置に装着される。光ディスク2は、チャック部材とともに、モータ11により回転駆動される。
光ディスク装置1は、モータ11の他にも、モータドライバ回路12、ピックアップモジュール13、信号生成回路14、信号処理部15、制御手段としてのコントローラ16、DA(Digital to Analog)コンバータ17、LPF(ローパスフィルタ)18、加算回路19、ピックアップドライバ回路20、位置調整機構21などを有する。
ピックアップモジュール13は、図示外のレーザ光源、ハーフミラー、ピックアップレンズ、受光デバイスなどを有する。レーザ光源は、レーザ光を出力する。レーザ光源から出力されたレーザ光は、ハーフミラーを透過して光ディスク2へ照射される。光ディスク2により反射されたレーザ光は、ハーフミラーにより反射され、受光デバイスへ照射される。
また、ピックアップモジュール13は、レンズホルダ22を有する。レンズホルダ22には、ピックアップレンズ、ハーフミラーなどが配設される。ピックアップモジュール13は、レンズホルダ22を、チャック部材に装着されている光ディスク2のたとえば半径方向に沿って駆動する。これにより、ピックアップモジュール13は、回転する光ディスク2の任意の部位へレーザ光を照射し、その反射光を受光デバイスにより受光することができる。レンズホルダ22は、位置調整機構21により、光ディスク2の表面に対する軸方向および径方向の位置調整が行われる。
ピックアップモジュール13の受光デバイスは、光を受光すると、受光光量に応じてレベルが変化する受光光量信号を生成する。受光光量信号は、信号生成回路14へ供給される。なお、ピックアップレンズから光ディスク2の記録層までの距離がピックアップレンズの焦点距離から大きくずれると、受光デバイスの受光光量は無くなる。光ディスク2の記録層がピックアップレンズの焦点距離にあるとき、すなわち合焦位置にあるとき、受光デバイスの受光光量は最大となる。
信号生成回路14は、受光光量信号から、RF信号(変調信号)、FE(フォーカスエラー)信号、TE(トラッキングエラー)信号などの信号を生成する。RF信号は、光ディスク2の読取に基づいて生成される変調信号であり、受光デバイスの総受光光量に応じてレベルが変化する信号である。FE信号やTE信号は、光ディスク2の読取に基づいて生成されるエラー信号であり、受光デバイスをたとえば4つのエリアに分け、そのエリア間の受光光量の差に応じてレベルが変化する信号である。光ディスク2の記録層とピックアップレンズとの距離が合焦位置からずれると、FE信号やTE信号の絶対値が大きくなる。FE信号やTE信号の絶対値は、合焦位置からのずれ量に応じて増減する。信号生成回路14は、RF信号、FE信号およびTE信号を、信号処理部15へ出力する。
信号処理部15は、復調回路23、PLL(フェーズロックドループ)回路24、レベル検出回路25、位相補償回路26、スイッチ27などを有する。
復調回路23は、RF信号から復調信号を生成する。光ディスク2には、所定のデータ列による信号波形を変調した変調信号が記録されている。PLL回路24は、復調信号と同期する同期信号を生成する。同期信号は、モータドライバ回路12へ供給される。モータドライバ回路12は、同期信号を基準として、モータ11による光ディスク2の回転速度を制御する。
レベル検出回路25は、RF信号が所定のレベル以上であるとき、検出信号を生成する。レベル検出回路25は、RF信号が所定のレベルより小さいとき、検出信号を生成しない。
位相補償回路26は、FE信号に基づいて、フォーカスエラーを減らすためのドライブ信号を生成する。また、位相補償回路26は、TE信号に基づいて、トラッキングエラーを減らすためのドライブ信号を生成する。
スイッチ27は、位相補償回路26と加算回路19との間に接続される。スイッチ27が閉じているとき、位相補償回路26が生成するドライブ信号が加算回路19へ供給される。このとき、自動フォーカス制御が実行される。スイッチ27が開いているとき、位相補償回路26が生成するドライブ信号は加算回路19へ供給されない。スイッチ27は、コントローラ16により開閉制御される。
コントローラ16は、光ディスク装置1を制御する。コントローラ16は、ROM(リードオンリィメモリ)28と、記憶手段としてのRAM(ランダムアクセスメモリ)29と、を有する。ROM28は、設定値範囲テーブル30などを記憶する。RAM29は、DAコンバータ17の設定値31などを記憶する。
設定値範囲テーブル30は、ピックアップレンズと光ディスク2(の記録層)との距離のオフセットによる調整範囲のデータを有する。設定値範囲テーブル30は、両者間の距離の最大値から最小値までの範囲内の一定間隔の複数の距離(つまり、ピックアップレンズの位置)に対応するDAコンバータ17の複数の設定値のデータを有する。このオフセットによる距離の調整範囲は、ピックアップモジュール13の構成など応じて異なるものとなる。たとえばピックアップレンズの大きさや重さ、レンズホルダ22の種類や構造、レンズホルダ22の製造ばらつき、レンズホルダ22を保持する保持ワイヤの長さや太さなどに応じて異なる。これらの要因により、アクチュエータとしてのピックアップモジュール13の共振周波数が決まる。ピックアップモジュール13の共振周波数は、ピックアップモジュール13毎に、異なる。設定値範囲テーブル30は、基本的にこれらのばらつきを相殺することができると予想される範囲の複数の設定値を有する。
DAコンバータ17は、デジタルデータである設定値に応じたアナログのレベルを有するドライブ信号を生成する。DAコンバータ17が生成するドライブ信号のレベルは、設定値に応じて変わる。DAコンバータ17が生成したドライブ信号は、LPF18へ供給される。LPF18は、DAコンバータ17が生成したドライブ信号の中の低周波成分を抽出する。これにより、LPF18から加算回路19へ供給されるドライブ信号は、DAコンバータ17の出力レベルが変化すると、その低周波成分によりゆっくりと変化する。
加算回路19には、LPF18により抽出されたドライブ信号と、スイッチ27が閉じているときに位相補償回路26により生成されたドライブ信号と、が供給される。加算回路19は、これらのドライブ信号を加算する。加算回路19が加算により生成したドライブ信号は、ピックアップドライバ回路20へ供給される。
なお、ピックアップドライバ回路20は、ミュート機能を有する。ミュート機能が有効であるとき、ピックアップドライバ回路20は、位置調整機構21へ位置指令を出力しない。このとき、レンズホルダ22は、位置調整機構21により制御されない。レンズホルダ22は、位置調整機構21により制御されていないホームポジションに位置する。ピックアップレンズが自重により定常的に合焦位置からずれていることもある。
ピックアップドライバ回路20は、加算回路19から供給されるドライブ信号に基づいて、位置指令を出力する。位置調整機構21は、ピックレンズホルダ22の位置がピックアップドライバ回路20により指定された位置となるように、光ディスク2に対するレンズホルダ22の位置や姿勢を調整する。
次に、以上の構成を有する光ディスク装置1の動作を説明する。
光ディスク装置1の電源が投入されたり、光ディスク装置1に光ディスク2が装着されたり、光ディスク装置1に装着されている光ディスク2が交換されたりすると、コントローラ16は、所定の初期化処理を開始する。
図2は、初期化処理においてコントローラ16が実行するフォーカス制御シーケンスの流れを示すフローチャートである。図3は、フォーカス制御シーケンスにおける各種信号を示すタイミングチャートである。なお、この初期化処理以前においては、ピックアップドライバ回路20はミュート状態にあり、信号処理部15のスイッチ27は開いているものとする。また、光ディスク2は、モータドライバ回路12の制御により回転駆動されていても、停止していてもよい。図3では、光ディスク2は停止している。
図3の時刻T1においてフォーカス制御シーケンスを開始すると、コントローラ16は、まず、ROM28から設定値範囲テーブル30を読込み、設定値範囲テーブル30の2つの境界値としての上限値と下限値との中間のいずれかの値(たとえば真中の値)をDAコンバータ17に設定する(図2のステップST1)。
DAコンバータ17は、設定された値に応じたレベルの信号を出力する。LPF18は、DAコンバータ17と同じレベルの信号を、加算回路19へ出力する。信号処理部15のスイッチ27は開いている。そのため、加算回路19は、DAコンバータ17と同じレベルの信号を、ピックアップドライバ回路20へ出力する。
DAコンバータ17に中間値を設定した後、コントローラ16は、ドライバミュートを解除する(ステップST2)。コントローラ16は、ピックアップドライバ回路20へミュート解除信号を出力する。ピックアップドライバ回路20は、加算回路19から供給されるDAコンバータ17と同じレベルの信号に基づいて、そのレベルに応じた位置指令を、位置調整機構21へ出力する。位置調整機構21は、レンズホルダ22の位置を制御する。レンズホルダ22は、DAコンバータ17の設定値に応じた位置に制御される。
その後、コントローラ16は、DAコンバータ17への設定値を1つずつ減らす処理(ステップST3)を、その設定値が設定値範囲テーブル30の最小値となるまで繰り返す(ステップST4)。図3では、時刻T2において、設定値が設定値範囲テーブル30の最小値となる。
この時刻T1から時刻T2の期間において、DAコンバータ17から加算回路19へ供給されるドライブ信号のレベルは、ゆっくりと低下する。レンズホルダ22は、光ディスク2から離れる方向へ移動する。また、ドライブ信号のレベルが急激に変化した場合のように、レンズホルダ22の位置がぶれてしまうことはなく、レンズホルダ22は設定値に応じた位置に精度良く安定して制御されつつ、移動する。
設定値が設定値範囲テーブル30の最小値になると、コントローラ16は、DAコンバータ17への設定値を1つ増やし(ステップST5)、設定値が設定値範囲テーブル30の最大値となったか否かを判断する(ステップST6)。設定値が設定値範囲テーブル30の最大値でないと判断した場合、コントローラ16は、さらに、RF信号の振幅により、RF信号が(ステップST5以降のフォーカス制御シーケンスを開始してからの)最大値であるか否かを判断する(ステップST7)。RF信号が最大であると判断した場合、コントローラ16は、そのときにDAコンバータ17に設定している設定値を、RAM29に保存し(ステップST8)、以上のステップST5〜ST8を繰り返す。また、ステップST7においてRF信号が最大であると判断しなかった場合、コントローラ16は、RAM29に記憶する設定値31を更新することなく、以上のステップST5〜ST8を繰り返す。
コントローラ16は、ステップST6において設定値が設定値範囲テーブル30の最大値であると判断するまで、DAコンバータ17への設定値を1つずつ増やし(ステップST5)、その度に、RF信号が最大値であるか否かを判断する(ステップST7)。そして、RF信号が最大値であると判断すると、コントローラ16は、RAM29に保存されている設定値31を、そのときにDAコンバータ17に設定している設定値により更新する(ステップST8)。
光ディスク装置1に光ディスク2が装着されている場合、DAコンバータ17への設定値を設定値範囲テーブル30の最小値から最大値まで増加させる間に、ピックアップレンズから光ディスク2の記録層までの距離がピックアップレンズの焦点距離となる。このとき、ピックアップモジュール13の受光デバイスには、光ディスク2の記録層により反射されたレーザ光が照射される。
図3では、時刻T3において、合焦位置となる。また、この時刻T3の前後において、受光光量信号が得られ、信号生成回路14によりRF信号、FE信号およびTE信号が生成される。また、コントローラ16は、図3の期間P1において、RF信号が最大値であると判断し、RAM29に保存されている設定値31を、そのときにDAコンバータ17に設定している設定値により更新する。
図3の時刻T4において設定値が設定値範囲テーブル30の最大値になると、コントローラ16は、DAコンバータ17への設定値を1つずつ減らす処理(ステップST9)を、フォーカスが得られたと判断する(ステップST10)まで繰り返す。レベル検出回路25は、受光光量信号が得られ、さらにRF信号が所定のレベル以上になると、検出信号を生成する。コントローラ16は、たとえばこのレベル検出回路25による検出信号が得られた場合、フォーカスが得られたと判断する。
図3の時刻T5においてフォーカスが得られたと判断すると、コントローラ16は、フォーカスのサーボ制御を開始する。具体的には、コントローラ16は、信号処理部15のスイッチ27を閉じ(ステップST11)、DAコンバータ17に、RAM29に保存した設定値31を設定する(ステップST12)。
信号処理部15のスイッチ27が閉じられると、位相補償回路26がFE信号に基づいて生成するフォーカスエラーを減らすためのドライブ信号が、加算回路19へ供給される。RAM29に保存した設定値31が設定されると、DAコンバータ17は、合焦位置に制御するレベルのドライブ信号を、加算回路19へ供給する。加算回路19は、これらのドライブ信号のレベル同士を加算し、ピックアップドライバ回路20へ出力する。位置調整機構21は、レンズホルダ22を、この加算されたドライブ信号のレベルに応じた位置へ制御する。
レンズホルダ22の位置が調整されると、信号生成回路14は、その調整された位置に応じたFE信号やTE信号を生成する。位相補償回路26は、FE信号の変化に応じて、そのエラーを減らすように出力するドライブ信号のレベルを変化させる。
なお、コントローラ16が信号処理部15のスイッチ27を閉じるときのDAコンバータ17の設定値が、RAM29に保存されている設定値31と一致しない可能性がある。その場合、RAM29に保存されている設定値31をDAコンバータ17に設定した直後は、過度現象が発生することがある。しかしながら、コントローラ16が信号処理部15のスイッチ27を閉じるとき、レベル検出回路25により検出信号が得られている。また、信号生成回路14は、その過度現象の期間においてFE信号などを生成し、位相補償回路26は、そのFE信号に基づいて、フォーカスエラーを減らすためのドライブ信号を生成している。そのため、図3の時刻T5以降に示すように、過度現象が生じたとしても、位相補償回路26は、最終的には合焦位置となるドライブ信号を生成し、出力することができる。FE信号はすぐに収束し、加算回路19の出力レベルはすぐに安定するようになる。この安定状態では、ピックアップレンズから光ディスク2の記録層までの距離は、ピックアップレンズの焦点距離となる。
以上の一連の処理により、図2のフォーカス制御シーケンスが完了する。初期化処理が完了すると、コントローラ16は、光ディスク装置1に装着された光ディスク2の所定の再生処理や記録処理を開始する。たとえば、モータドライバ回路12は、RF信号に基づく同期信号に合わせて光ディスク2の回転速度を調整し、復調回路23は、光ディスク2の読取に基づいて生成されるRF信号から、復調信号を生成する。これにより、光ディスク2に記録されているデータが光ディスク装置1により読み出される。
図4は、光ディスク2が回転駆動され、光ディスク2の傷をレーザ光で走査したときの各種信号の状態を示すタイミングチャートである。図4の時刻T11から時刻T12において、光ディスク2の傷が走査される。
光ディスク2の傷を読み込む前(時刻T11以前)では、光ディスク2の回転に基づいて、信号成分を含んだRF信号が得られている。光ディスク2の面振れ成分や、光ディスク2の偏心成分に起因して、動作している。位相補償回路26が出力するドライブ信号は、このFE信号およびTE信号の動的な変化に応じて、エラーを減らすようにレベルが変化する。
DAコンバータ17は、図4に示すように、光ディスク2の傷を走査している期間(T11からT12の期間)においても、RAM29に記憶されている設定値31に基づくレベルのドライブ信号を出力し続ける。加算回路19も、そのレベルのドライブ信号をピックアップドライバ回路20へ出力する。そのため、光ディスク2の傷の走査が終えた時点で、レンズホルダ22は、略合焦位置に位置する。
そのため、図4の時刻T12から時刻T13に示すように、光ディスク2の傷の走査が終えるとすぐに、ピックアップモジュール13の受光デバイスは、受光光量信号を出力し始める。信号生成回路14は、RF信号、FE信号、TE信号を出力し始める。FE信号が得られる場合、位相補償回路26は、FE信号のエラーを減らすためのドライブ信号を生成することができる。位置調整機構21は、レンズホルダ22の位置を、加算回路19から供給されるドライブ信号のレベルに応じた位置へ制御する。
その結果、短時間経過後の時刻T13においては、正常なRF信号が得られるようになる。光ディスク2の面振れ成分に起因して動的に変化する正常なFE信号が得られるようになる。光ディスク2の傷を走査したとしても、時刻T11から時刻T13までの非常に短い時間で、正常なRF信号などの検出が再開される。
これに対して、図4に点線の波形で示すように、DAコンバータ17が無く、位相補償回路26のみで調整をする場合、DAコンバータ17により設定するオフセット成分を位相補償回路26側から合わせて供給しなければならず、信号処理部15のダイナミックレンジを越えてしまったりする可能性が高くなる。また、時刻T11から時刻T12までの期間において、加算回路の19の出力レベルが0となる過度現象が発生してしまったり、その後の出力レベルの振動が収束するまでの期間が長くなってしまったりする。
以上のように、この実施の形態では、コントローラ16は、信号処理部15のスイッチ27を開いた状態で、DAコンバータ17に設定値範囲テーブル30に基づいて複数の設定値を設定し、その設定制御中においてRF信号が最大値となるときの設定値をRAM29に保存し、さらに、スイッチ27を閉じている状態で、そのRAM29に保存した設定値31をDAコンバータ17に設定する。
このRAM29に保存した設定値31によるDAコンバータ17のドライブ信号のレベルにより、ピックアップレンズから光ディスク2の記録層までの距離は、略ピックアップレンズの焦点距離に設定される。無制御時のピックアップレンズの位置ずれを、このDAコンバータ17のドライブ信号のレベルにより補正することができる。
仮にたとえばRAM29に記憶させる設定値31を、設計時などに決められた複数の光ディスク装置1に共通する固定的な値とする場合に比べて、光ディスク2再生装置のピックアップモジュール13の位置ずれを好適に相殺することができる。
無制御時のピックアップモジュール13のオフセット的なずれ量は、ピックアップモジュール13の共振周波数などに応じて異なる値となるものであるが、そのずれ量をRAM29に記憶させる設定値31により、光ディスク2再生装置毎に好適に相殺することができる。
したがって、位相補償回路26(信号処理部15)のダイナミックレンジは、図3および図4の位相補償回路26の出力レベルの波形に示すように、FE信号の動的な変化のために利用することができる。自動フォーカスループ制御により補正することが可能なピックアップレンズの動的な位置ずれ量は減らない。ピックアップレンズの動的な位置ずれの補正能力を損なうことなく、ピックアップレンズの無制御時の位置ずれを補正することができる。
その結果、位相補償回路26(信号処理部15)は、傷ついた光ディスク2や振動などに対して設計どおりの十分なダイナミックレンジにより、フォーカス位置を調整することができる。光ディスク装置1の再生あるいは記録におけるプレイアビリティが改善される。
また、光ディスク2に対するピックアップレンズの位置は、位相補償回路26による制御がなされていない無信号状態にあるときであっても、光ディスク2からFE信号などが得られる略合焦位置に維持される。ピックアップレンズの位置は、その自重に対する重力の影響などにより無信号状態において機械的なセンター位置(合焦位置)からずれることがある。この実施の形態の光ディスク装置1は、そのような無信号状態でのずれが生じたとしても、また、その無信号状態での位置ずれ量が経時的に変化したとしても、そのずれをDAコンバータ17のドライブ信号のレベルにより補正し、光ディスク2からFE信号などが得られる略合焦位置に維持することができる。
また、ピックアップレンズの位置のずれ量は、ピックアップレンズを駆動するアクチュエータの共振周波数などにより決まるものであるが、この共振周波数はアクチュエータ毎に異なるものであり、設計などにおいて一律に精度良く取り除くことは難しい。この実施の形態の光ディスク装置1は、そのような装置毎の個々のずれをDAコンバータ17のドライブ信号のレベルにより補正し、光ディスク2からFE信号などが得られる略合焦位置に維持することができる。
その結果、この実施の形態の位相補償回路26は、ピックアップレンズの位置が光ディスク2からFE信号が得られる略合焦位置にある状態から、フォーカスを調整する。光ディスク2の読み込み中にその傷などを読み込んだ結果としてフォーカスが合わない状態になってしまったとしても、位相補償回路26は、その光ディスク2からFE信号が得られる略合焦位置を基準として、その状態からフォーカスを合わせることができる。位相補償回路26は、必要最小限の時間で速やかにフォーカスを合わせることができる。
また、この実施の形態の光ディスク装置では、光ディスク2の傷を読み込んだ後のサーボの収束が良くなる。収束時間が光ディスク2の先読み時間より長くなってしまうことなどに起因する、音とび、音途切れなどの発生を防止できる。光ディスク装置1のプレイアビリティは、光ディスク装置1毎に且つ光ディスク2が装着される度に更新される設定値31により個々に且つ適宜に最適化される。光ディスク装置1のプレイアビリティは、ピックアップレンズモジュールのばらつきなどに左右されることなく、すべての光ディスク装置1において改善されるようになる。
また、この実施の形態では、コントローラ16は、光ディスク装置1の電源が投入されたり、光ディスク装置1に光ディスク2が装着されたり、光ディスク装置1に装着されている光ディスク2が交換されたりすると、図2のフォーカス制御シーケンスを実行する。コントローラ16は、光ディスク2が交換されると、図2のフォーカス制御シーケンスを実行する。
光ディスク2には、板厚などの製造ばらつきがある。そのため、光ディスク2からRF信号などが得られる合焦位置も、光ディスク2毎に微妙に異なる。この実施の形態では、光ディスク装置1に装着される光ディスク2が交換されると、RAM29に記憶される設定値31が更新される。ピックアップレンズの位置は、光ディスク2の製造ばらつきなどに影響されることなく、光ディスク2からRF信号などが得られる合焦位置に維持される。
また、この実施の形態では、図2のフォーカス制御シーケンスにおいて、コントローラ16は、DAコンバータ17の値を1つずつ変化させている。また、DAコンバータ17と加算回路19との間には、LPF18が設けられている。したがって、DAコンバータ17から加算回路19へ入力されるドライブ信号のレベルは、急激に変化せず、ゆっくりと滑らかに変化する。ピックアップレンズの動きが安定している状態で、ピックアップレンズと光ディスク2とを略合焦位置とすることができる。RAM29に記憶させる設定値31を、それを設定することでRF信号などが確実に得られる精度にすることができる。
また、コントローラ16は、DAコンバータ17に設定する設定値が設定値範囲テーブル30の上限値になった後、RF信号の検出信号が得られるまで、DAコンバータ17に対する設定値を1ずつ順番に戻している。これにより、RF信号の検出信号が得られるとき、ピックアップレンズの動きは安定している。したがって、その後に、DAコンバータ17にRAM29に保存した設定値31を設定したとき、これらの設定値が微妙に一致していない場合であっても、大きな振幅のFE信号が生成され難くなる。FE信号はすぐに収束し、DAコンバータ17の設定値をRAM29に保存されている設定値31へ切り替えた後での、位相補償回路26によるフォーカスの自動制御は、短時間で完了するようになる。
以上の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形や変更が可能である。
例えば、DAコンバータ17とRAM29を信号処理部15に設けてもよい。その場合、LPF18でゲインを持たせることで、信号処理部15のダイナミックレンジも確保できる。
上記実施の形態では、コントローラ16は、RF信号(変調信号)が最大値となるときに、RAM29に保存する設定値31を更新している。この他にもたとえば、コントローラ16は、FE信号が所定のレベル以上となるときに、RAM29に保存する設定値31を更新するようにしてもよい。
上記実施の形態では、コントローラ16は、光ディスク装置1に装着される光ディスク2が交換される度に、RAM29が記憶する設定値31を更新している。この他にもたとえば、コントローラ16は、光ディスク2を駆動する度に、RAM29が記憶する設定値31を更新するようにしてもよい。
上記実施の形態では、コントローラ16は、フォーカス制御シーケンスにおいて、DAコンバータ17に設定する設定値を1つずつ変化させている。この他にもたとえば、コントローラ16は、DAコンバータ17に設定する設定値を2つずつ変化させても、3つ以上の所定の値ずつ変化させてもよい。なお、この設定値の変化量が1桁の範囲内であれば、DAコンバータ17の後段のLPF18から出力されるドライブ信号のレベルが急激に変化せず、滑らかに変化する。ピックアップレンズと光ディスク2とが略合焦位置となり、RF信号などが得られるときに、ピックアップレンズの動きを安定させることができる。
上記実施の形態では、光ディスク2の記録層が1層の場合を例として説明している。この他にもたとえば、光ディスク2の記録層は、2層以上であってもよい。この場合、再生あるいは記録しようとする記録層が合焦位置となる設定値をRAM29に記憶させ、再生あるいは記録時には、その設定値31をDAコンバータ17に設定するようにすればよい。
本発明は、光ディスクを再生したり、光ディスクに記録をしたりする光ディスク装置において利用することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る光ディスク装置を示すブロック図である。 図2は、図1中のコントローラが実行するフォーカス制御シーケンスの流れを示すフローチャートである。 図3は、図2のフォーカス制御シーケンスにおける各種信号を示すタイミングチャートである。 図4は、光ディスクの傷をレーザ光で走査したときの各種信号の状態を示すタイミングチャートである。
符号の説明
1 光ディスク装置
2 光ディスク
16 コントローラ(制御手段)
17 DAコンバータ
18 LPF(ローパスフィルタ)
19 加算回路
20 ピックアップドライバ回路(ドライバ手段)
26 位相補償回路
27 スイッチ
29 RAM(記憶手段)

Claims (7)

  1. 光ディスクに対するピックアップレンズの位置を調整するためのドライブ信号を、光ディスクの読取に基づいて生成されるエラー信号に応じて調整して出力する位相補償回路と、
    上記光ディスクの読取に基づいて生成される所定の信号が得られるときのピックアップレンズの位置に対応する設定値を記憶する記憶手段と、
    上記記憶手段が記憶する設定値に応じたレベルのドライブ信号を出力するDAコンバータと、
    上記位相補償回路の上記ドライブ信号と上記DAコンバータの上記ドライブ信号とを加算する加算回路と、
    上記光ディスクに対する上記ピックアップレンズの位置を、上記加算回路の出力レベルに応じた位置に制御するドライバ手段と、
    を有することを特徴とする光ディスク装置。
  2. 光ディスクに対するピックアップレンズの位置を調整するためのドライブ信号を、光ディスクの読取に基づいて生成されるエラー信号に応じて調整して出力する位相補償回路と、
    設定値に応じたレベルのドライブ信号を出力するDAコンバータと、
    上記位相補償回路の上記ドライブ信号と上記DAコンバータの上記ドライブ信号とを加算する加算回路と、
    上記光ディスクに対する上記ピックアップレンズの位置を、上記加算回路の出力レベルに応じた位置に制御するドライバ手段と、
    上記位相補償回路と上記加算回路との間に接続され、閉状態において上記位相補償回路が出力する上記ドライブ信号を上記加算回路へ供給するスイッチと、
    上記スイッチを開いた状態で、上記DAコンバータに所定の範囲の複数の設定値を順番に設定する制御手段と、
    上記制御手段による複数の設定値の設定制御中での、上記光ディスクの読取に基づいて生成される所定の信号が得られるときの上記制御手段による設定値を記憶し、上記スイッチが閉じているとき、その記憶している設定値を上記DAコンバータへ供給する設定する記憶手段と、
    を有することを特徴とする光ディスク装置。
  3. 前記記憶手段は、前記光ディスクの読取に基づいて生成される変調信号が最大となるときの前記制御手段による設定値を記憶することを特徴とする請求項2記載の光ディスク装置。
  4. 前記制御手段は、少なくとも当該光ディスク装置に装着される光ディスクが交換される度に、前記複数の設定値の設定を実行し、前記記憶手段が記憶する設定値が更新されることを特徴とする請求項2または3記載の光ディスク装置。
  5. 前記DAコンバータと前記加算回路との間にローパスフィルタが設けられ、
    前記制御手段は、前記DAコンバータに対して、前記DAコンバータに設定可能な複数の設定値の間で所定の1桁の値ずつ変化する複数の設定値を順番に設定することを特徴とする請求項2から4の中のいずれか1項記載の光ディスク装置。
  6. 前記制御手段は、前記DAコンバータの設定値が所定の範囲の境界値となるまで、前記DAコンバータに対して複数の設定値を順番に設定し、その後、前記光ディスクの読取に基づいて生成される所定の信号が得られるまで、上記複数の設定値を逆順に設定することを特徴とする請求項5記載の光ディスク装置。
  7. 光ディスクに対するピックアップレンズの位置調整に利用されるドライブ信号を出力するDAコンバータに、所定の範囲の複数の設定値を順番に設定し、その間の光ディスクの読取に基づいて生成される所定の信号が得られるときの設定値を記憶手段に記憶させるステップと、
    上記記憶手段に記憶される上記設定値によりDAコンバータが出力するドライブ信号を、光ディスクの読取に基づいて生成されるエラー信号に応じて位相補償回路が調整して出力するドライブ信号に加算し、その加算されたドライブ信号に基づいて、上記光ディスクに対する上記ピックアップレンズの位置を制御するステップと、
    を有することを特徴とする光ディスク装置におけるフォーカス調整方法。
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