JP2008064149A - 遊星歯車機構におけるギヤ位置規制部材の検知構造及びそのギヤ位置規制部材の検知構造を備えた遊星歯車機構 - Google Patents

遊星歯車機構におけるギヤ位置規制部材の検知構造及びそのギヤ位置規制部材の検知構造を備えた遊星歯車機構 Download PDF

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陽太 水野
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健二 田辺
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Abstract

【課題】遊星歯車機構においてギヤの軸心方向への移動を規制するギヤ位置規制部材の組み付け忘れを早期に認識することが可能な構成を提供する。
【解決手段】トランスアクスル1に備えられる遊星歯車機構71のサンギヤ72を軸心方向に位置規制するためのスナップリング120の組み付け忘れを検知するための構成であって、ピニオンギヤ74を支持しているキャリア75の側面のうち、サンギヤ72のギヤ部72aに対面する端面75bの周方向に亘る複数箇所に突起130,130,…を形成する。スナップリング120の組み付け忘れが発生している状況では、サンギヤ72が軸心方向に移動して、ギヤ部72aの端面が突起130に衝突し、その衝突音によりスナップリング120の組み付け忘れが認識できる。
【選択図】図4

Description

本発明は、自動車用自動変速機等に備えられる遊星歯車機構において、ギヤの軸心方向への移動を規制するために装着されるギヤ位置規制部材を検知する構造及びその検知構造を備えた遊星歯車機構に係る。このギヤ位置規制部材としては、例えば遊星歯車機構を構成する歯車(サンギヤ等)の軸心方向への移動を規制するスナップリング等が挙げられる。そして、本発明は、遊星歯車機構の組立時においてギヤ位置規制部材の組み付け忘れが生じた場合にそれを検知可能とするための構成に関する。
従来より、例えば下記の特許文献1に開示されているように、自動車用の自動変速機(以下、オートマチックトランスミッションと呼ぶ場合もある)には、エンジン等の駆動源(ハイブリッド車にあってはエンジン及び電動モータ)と車輪との間の動力伝達経路途中に遊星歯車機構が備えられている。そして、この遊星歯車機構により、駆動源の出力軸の回転を減速して車輪に伝達したり、出力軸の回転方向を逆転して車輪に伝達したりできるようになっている。
周知のように、上記遊星歯車機構は、外歯歯車で成るサンギヤと、内歯歯車であるリングギヤとを同心円上に配置すると共に、これらサンギヤとリングギヤとの間に、各々に噛合する複数のピニオンギヤを配置し、且つこれらピニオンギヤをキャリアによってサンギヤ周囲で公転自在に保持した構成となっている。
また、上記サンギヤ、リングギヤ及びピニオンギヤの軸心方向の相対位置にズレが生じた場合には、ギヤ同士の噛み合い幅寸法が減少して効果的な動力伝達が行えなくなる可能性があるため、この相対位置のズレが生じないように、必要に応じてスナップリング等のギヤ位置規制部材が適用されている。例えば、サンギヤを回転自在に支持しているシャフト部材にスナップリングを装着し、このスナップリングにサンギヤの一端面を当接させることで、このサンギヤの位置ズレを阻止する構成となっている(例えば下記の特許文献2を参照)。
特開2001−208148号公報 特開平4−175541号公報
ところで、上述したスナップリング等のギヤ位置規制部材は、遊星歯車機構の組立作業時に上記シャフト部材等に組み付けられることになるが、このギヤ位置規制部材の組み付け作業は作業者による手作業により行われることが一般的であるため、その組み付け忘れが生じることがある。
一般的に、自動車用の自動変速機やトランスアクスル(自動変速機とファイナルギヤ等が一体化されたユニット)では、組み立て作業が完了すると、振動や騒音の発生状態を検査するための試運転(NV検査とも呼ばれる)が行われ、異常が無い場合にはそのまま自動車に搭載されることになる。
そして、上記ギヤ位置規制部材の組み付け忘れが生じていたとしても自動変速機やトランスアクスルの運転(動力伝達動作)としては正常に行われるため、このギヤ位置規制部材の組み付け忘れは認識されることなく自動車に搭載されてしまうといった状況が発生していた。
このようなギヤ位置規制部材の組み付け忘れが生じたまま自動変速機やトランスアクスルが自動車に搭載された場合には、その後の自動変速機やトランスアクスルの作動に伴って、ギヤ位置規制部材によって位置規制されるべきギヤ(例えばサンギヤ)の軸心方向への位置ズレが生じてしまい、このギヤの一端面が他部材に接触して摩耗が生じたり、その摺動抵抗による動力損失を招いたりする可能性があった。特に、遊星歯車機構を構成するギヤがヘリカルギヤである場合には、動力伝達時に軸心方向(スラスト方向)への分力が発生するため、上記位置ズレの発生が顕著になる傾向があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、遊星歯車機構においてギヤの軸心方向への移動を規制するギヤ位置規制部材の組み付け忘れを早期に認識することが可能な構成を提供することにある。
−課題の解決原理−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、遊星歯車機構の試運転時等において、ギヤが軸心方向に移動した場合に限って発生する異音が得られる構成とする。つまり、ギヤまたは、このギヤに対して軸心方向で対向する部材の少なくとも一方に、相手側の部材に向けて突出する突起を設け、この突起と相手側の部材(ギヤに突起を設けた場合にはこのギヤに対向する対向部材、この対向部材に突起を設けた場合にはギヤ)とが接触することに起因する異音を認識することで、遊星歯車機構の組立作業時にギヤ位置規制部材(スナップリング等)の組み付け忘れが発生したことを検知できるようにしている。
−解決手段−
具体的に、本発明は、サンギヤと、このサンギヤに対して同心円上に配置されたリングギヤと、これらサンギヤとリングギヤとの間に配設されたピニオンギヤとを備えた遊星歯車機構に対し、上記各ギヤのうち少なくとも一つのギヤに対応して適用されてこのギヤの軸心方向の移動を規制するためのギヤ位置規制部材が装着されているか否かを検知するための検知構造を前提とする。このギヤ位置規制部材検知構造に対し、上記ギヤ位置規制部材が装着されていないと仮定した場合に、遊星歯車機構の作動に伴ってギヤが軸心方向に移動する状況で、このギヤにおいてこの移動方向側に向いている端面と、この端面に対向する対向部材の端面とのうち少なくとも一方の端面に、対向する相手側部材(ギヤに後述する突起が形成される場合には上記対向部材がこの相手側部材に相当し、対向部材に突起が形成される場合には上記ギヤがこの相手側部材に相当する)に向けて突出する突起を形成している。
この特定事項により、遊星歯車機構の組立作業時にギヤ位置規制部材が適切に組み付けられている場合には、遊星歯車機構の試運転時等においてギヤが軸心方向に移動することはなく、上記突起に他の部材が接触するといったことはない。つまり、突起が設けられていることに起因する異音は発生しない。これに対し、遊星歯車機構の組立作業時にギヤ位置規制部材の組み付け忘れが発生している状況では、遊星歯車機構の試運転時等においてギヤが軸心方向に移動し、これが原因で、上記突起に他の部材(上記相手側部材)が衝突することになる。つまり、突起が設けられていることに起因する異音(突起に他の部材が衝突することによる衝突音)が発生する。このため、この異音の発生の有無を確認することで、ギヤ位置規制部材の組み付け忘れが発生しているか否かを判断することができる。一般に、遊星歯車機構を備えた装置(例えば自動車用自動変速機)では、騒音や振動の発生状況を確認するための試運転が行われるのが一般的であり、上記ギヤ位置規制部材の組み付け忘れが発生しているか否かの判断は、この試運転の実行時に確認可能となる。従って、ギヤ位置規制部材の組み付けを忘れたまま装置が出荷されてしまったり、自動車用自動変速機の場合にギヤ位置規制部材の組み付けを忘れたまま自動変速機が自動車に搭載されてしまったりするといった状況を回避できる。
上記突起に対向する相手側部材の構成として具体的には以下の構成が挙げられる。つまり、上記相手側部材の端面を、上記突起の突設位置に対応する箇所とギヤの回転中心線とを結ぶ直線を半径とした仮想円の円周上において、その周方向で不連続な面として形成し、これにより、遊星歯車機構の作動に伴ってギヤが軸心方向に移動した際に、上記突起が相手側部材の端面に間欠的に衝突する構成としている。
これにより、遊星歯車機構の組立作業時にギヤ位置規制部材の組み付け忘れが発生している状況でギヤが軸心方向に移動すると、上記突起が相手側部材の端面に当接する状態と当接しない状態とが交互に現れ、これにより、間欠的な衝突音が発生する状況となる。このような衝突音は、遊星歯車機構の駆動音とは明確に識別できる音であり、このため、この間欠的な衝突音が発生しているか否かを認識することで、ギヤ位置規制部材の組み付け忘れが発生しているか否かを正確に判断できる。
上記突起の配設状態として具体的には以下の構成が挙げられる。つまり、上記突起を、ギヤの回転軸を中心とする周方向の複数箇所に間欠的に形成した構成としている。これにより、突起が相手側部材に衝突することによる衝突音を明確に認識でき、この突起の存在に起因する音と遊星歯車機構の駆動音とを明確に識別することが可能になる。その結果、ギヤ位置規制部材の組み付け忘れが発生しているか否かの判断を正確に行うことができ、検査の信頼性向上を図ることができる。
上記遊星歯車機構の構成及び突起の形成箇所として具体的には以下の2タイプが挙げられる。先ず、第1タイプとして、サンギヤを、シャフト部材に回転自在に支持し、このシャフト部材上におけるサンギヤ配設位置近傍に、このサンギヤが軸心方向に移動することを規制するためのギヤ位置規制部材を装着する装着部を形成する。一方、上記サンギヤとリングギヤとの間に配設されているピニオンギヤをキャリアによってサンギヤの回転軸心回りを公転可能となるように支持すると共に、このキャリアを上記サンギヤに対して上記シャフト部材上の上記装着部の形成位置側に配設する。そして、上記突起を、このキャリアにおける上記装着部に対向する側の端面からサンギヤの端面に向かって突出させている。
また、第2タイプとして、サンギヤを、シャフト部材に回転自在に支持し、このシャフト部材上におけるサンギヤ配設位置近傍に、このサンギヤが軸心方向に移動することを規制するためのギヤ位置規制部材を装着する装着部を形成する。一方、上記サンギヤとリングギヤとの間に配設されているピニオンギヤをキャリアによってサンギヤの回転軸心回りを公転可能となるように支持すると共に、このキャリアを上記サンギヤに対して上記シャフト部材上の上記装着部の形成位置側に配設する。そして、上記突起を、上記サンギヤにおける上記装着部に対向する側の端面からキャリアの端面に向かって突出させている。
これら特定事項により、サンギヤの軸心方向への移動を阻止するためのギヤ位置規制部材(例えばスナップリング)の組み付け忘れが発生しているか否かの判断を正確に行うことができ、サンギヤがキャリアに摺接することでサンギヤやキャリアに摩耗が生じたり、その摺動抵抗による動力損失を招いたりする状態のまま遊星歯車機構が出荷されてしまうといった状況を回避することができる。
また、上述した各解決手段のうち何れか一つに記載のギヤ位置規制部材検知構造を備えた遊星歯車機構も本発明の技術的思想の範疇である。
本発明では、遊星歯車機構を構成するギヤまたは、このギヤに対して軸心方向で対向する部材の少なくとも一方に、相手側の部材に向けて突出する突起を設け、この突起と相手側の部材とが接触することに起因する異音を認識することで、遊星歯車機構の組立作業時にギヤ位置規制部材の組み付け忘れが発生したことを検知できるようにしている。このため、ギヤ位置規制部材の組み付けを忘れたまま出荷されてしまったり、自動車用自動変速機の場合にギヤ位置規制部材の組み付けを忘れたまま自動変速機が自動車に搭載されてしまったりするといった状況を回避でき、商品の信頼性の向上を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、ハイブリッド車のトランスアクスルに備えられる遊星歯車機構に本発明を適用した場合について説明する。
(トランスアクスルの全体構成)
図1は、本実施形態に係るFF(フロントエンジンフロントドライブ;エンジン前置き前輪駆動)形式のハイブリッド車のトランスアクスル1を示すスケルトン図である。また、図2は、このトランスアクスル1の内部構造を示す断面図である。
これら図に示すように、本実施形態に係るトランスアクスル1は、3軸(後述するインプットシャフト4、カウンタシャフト92、フロントドライブシャフト106の3軸)構造のギヤトレーンで構成されている。また、このトランスアクスル1の側方(図1における右側)にはエンジンEが配設されており、このトランスアクスル1がエンジンEからの駆動力を受けるよう構成されている。このエンジンEとしては内燃機関、具体的には、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジン、メタノールエンジンまたは水素エンジンなどを用いることができる。本実施形態では、エンジンEとしてガソリンエンジンを用いた場合について説明する。このエンジンEは、燃料と空気との混合気を燃焼室内で燃焼させることに伴うピストンの往復運動をクランクシャフトCの回転運動に変換することにより、このクランクシャフトCから動力を出力するようになっており、吸気装置、排気装置、燃料噴射装置、点火装置、冷却装置等を備えた公知の構成で成っている。上記クランクシャフトCは車両の幅方向に且つ水平に配置され、このクランクシャフトCの端部にはフライホイール2が取り付けられている。
上記エンジンEの外壁には、中空のトランスアクスルケース3が取り付けられている。このトランスアクスルケース3は、エンジン側ハウジング31と、エクステンションハウジング32と、エンドカバー33とを有している。これらエンジン側ハウジング31、エクステンションハウジング32及びエンドカバー33は、アルミニウムなどの金属材料を成形加工したものである。
上記エンジン側ハウジング31の一方の開口端31aは、エンジンEの外壁にボルト止め等の手段によって固定されている。
上記エクステンションハウジング32は、上記エンジン側ハウジング31とエンドカバー33との間に配置されている。つまり、エンジン側ハウジング31に対してエクステンションハウジング32が取り付けられ、且つこのエクステンションハウジング32に対してエンドカバー33が取り付けられることによりトランスアクスルケース3が構成されている。
トランスアクスルケース3の内部S1には、インプットシャフト4、第1のモータ・ジェネレータ5、動力分割機構6、変速機構7、第2のモータ・ジェネレータ8が設けられている。図3は、この動力分割機構6及び変速機構7の構成を示す分解斜視図である。
上記インプットシャフト4は上記クランクシャフトCと同心状に配置されている。このインプットシャフト4におけるクランクシャフトC側の端部には、クラッチハブ41がスプライン嵌合されている。そして、上記フライホイール2とインプットシャフト4との間には、この両者間における動力伝達状態を制御するためのクラッチ42が設けられていると共に、この両者間でのトルク変動を抑制・吸収するダンパ機構43が設けられている。
第1のモータ・ジェネレータ5は、インプットシャフト4の外周側に配置され、第2のモータ・ジェネレータ8は、第1のモータ・ジェネレータ5よりもエンジンEから遠い位置(図1及び図2における左側)に配置されている。即ち、エンジンEと第2のモータ・ジェネレータ8との間に第1のモータ・ジェネレータ5が配置されている。
第1のモータ・ジェネレータ5及び第2のモータ・ジェネレータ8は、電力の供給により駆動する電動機としての機能(力行機能)と、機械エネルギを電気エネルギに変換する発電機としての機能(回生機能)とを兼ね備えている。第1のモータ・ジェネレータ5及び第2のモータ・ジェネレータ8としては、例えば、交流同期型のモータ・ジェネレータを用いることができる。第1のモータ・ジェネレータ5及び第2のモータ・ジェネレータ8に電力を供給する電力供給装置としては、バッテリ、キャパシタなどの蓄電装置、あるいは公知の燃料電池などを用いることができる。
上記第1のモータ・ジェネレータ5の配置位置及びその構成について以下に具体的に説明する。エンジン側ハウジング31の内面には、エンジンE側に向けて延ばされた後にインプットシャフト4側に向けて延ばされた隔壁34が形成されている。更に、この隔壁34に対してケースカバー35が固定されている。このケースカバー35は、エンジンEから離れる方向に延ばされた後、インプットシャフト4側に向けて延ばされた形状を有している。そして、上記隔壁34とケースカバー35とにより取り囲まれた空間S2に、第1のモータ・ジェネレータ5が収容されている。
この第1のモータ・ジェネレータ5は、トランスアクスルケース3に固定されたステータ51と、回転自在なロータ52とを有している。ステータ51は、隔壁34に固定された鉄心53と、この鉄心53に巻かれたコイル54とを備えている。
上記ステータ51及びロータ52は、所定肉厚の電磁鋼板を、その厚さ方向に複数枚積層して構成したものである。尚、複数の電磁鋼板は、インプットシャフト4の軸線方向に積層されている。
一方、インプットシャフト4の外周側には、中空シャフト55が配設されている。そして、インプットシャフト4と中空シャフト55とが相対回転可能に構成されている。上記ロータ52は中空シャフト55の外周側に連結されている。
また、上記動力分割機構6は、第1のモータ・ジェネレータ5と第2のモータ・ジェネレータ8との間に設けられている。この動力分割機構6は、所謂シングルピニオン形式の遊星歯車機構61を有している。即ち、この遊星歯車機構61は、サンギヤ62と、このサンギヤ62と同心状に配置されたリングギヤ63と、サンギヤ62及びリングギヤ63に噛合する複数(本実施形態では4個)のピニオンギヤ64,64,…と、これらピニオンギヤ64,64,…を自転自在で且つサンギヤ62の回転中心回りに公転自在に支持するキャリア65(図3では仮想線で示している)とを有している。そして、サンギヤ62と中空シャフト55とが連結され、キャリア65とインプットシャフト4とが連結されている。尚、リングギヤ63は、インプットシャフト4と同心状に配置された環状部材(円筒部材)9の内周側に形成されており、この環状部材9の外周側にはカウンタドライブギヤ91が形成されている。
一方、上記変速機構7及び第2のモータ・ジェネレータ8の配設位置における回転中心部には中空シャフト(シャフト部材)85が回転可能に設けられており、この中空シャフト85の外周側に上記第2のモータ・ジェネレータ8が配置されている。この第2のモータ・ジェネレータ8の配置位置及びその構成について以下に具体的に説明する。エクステンションハウジング32の内面には、インプットシャフト4側に向けて延ばされた隔壁36が形成されている。そして、エクステンションハウジング32と隔壁36とエンドカバー33とにより取り囲まれた空間S3に、第2のモータ・ジェネレータ8が収容されている。
この第2のモータ・ジェネレータ8は、トランスアクスルケース3に固定されたステータ81と、回転自在なロータ82とを有している。ステータ81は、鉄心83と、この鉄心83に巻かれたコイル84とを備えている。
上記ステータ81及びロータ82は、所定肉厚の電磁鋼板を、その厚さ方向に複数枚積層して構成したものである。尚、複数の電磁鋼板は、インプットシャフト4の軸線方向に積層されている。尚、ロータ82が中空シャフト85の外周側に連結されている。
上記変速機構7は、インプットシャフト4の軸線方向において、動力分割機構6と第2のモータ・ジェネレータ8との間に配置されており、所謂シングルピニオン形式の遊星歯車機構71を有している。即ち、この遊星歯車機構71は、サンギヤ72と、このサンギヤ72と同心状に配置され且つ環状部材9の内周に形成されたリングギヤ73と、サンギヤ72及びリングギヤ73に噛合する複数(本実施形態では5個)のピニオンギヤ74,74,…と、これらピニオンギヤ74,74,…を自転自在で且つサンギヤ72の回転中心回りに公転自在に支持するキャリア75とを有している。このキャリア75はトランスアクスルケース3側に固定されている。
このようにして、第1のモータ・ジェネレータ5、動力分割機構6、変速機構7、第2のモータ・ジェネレータ8が同心状に配置されている。
一方、上記トランスアクスルケース3の内部には、インプットシャフト4と平行なカウンタシャフト92が設けられている。このカウンタシャフト92には、カウンタドリブンギヤ93及びファイナルドライブピニオンギヤ94が形成されている。そして、カウンタドライブギヤ91とカウンタドリブンギヤ93とが噛合されている。
更に、トランスアクスルケース3の内部にはデファレンシャル100が設けられており、このデファレンシャル100は、デフケース101の外周側に形成されたファイナルリングギヤ102と、デフケース101に対してピニオンシャフト103を介して連結された複数のピニオンギヤ104と、複数のピニオンギヤ104,104に噛合されたサイドギヤ105,105と、このサイドギヤ105に連結された2本のフロントドライブシャフト106とを有している。各フロントドライブシャフト106には前輪110が連結されている。
尚、特に図示しないが、車両全体を制御する電子制御装置には、演算処理装置(CPUまたはMPU)及び記憶装置(RAM及びROM)ならびに入出力インターフェースを主体とするマイクロコンピュータが備えられている。この電子制御装置に対して、イグニッションスイッチの信号、エンジン回転数センサの信号、ブレーキスイッチの信号、車速センサの信号、アクセル開度センサの信号、シフトポジションセンサの信号、第1のモータ・ジェネレータ5及び第2のモータ・ジェネレータ8の回転数をそれぞれ検出するレゾルバの信号などが入力される。これに対して、電子制御装置から、エンジンEの吸入空気量及び燃料噴射量ならびに点火時期を制御する信号、第1のモータ・ジェネレータ5及び第2のモータ・ジェネレータ8の出力を制御する信号、クラッチ42を係合・解放するアクチュエータ(図示せず)に対する制御信号などが出力される。
このように構成されたハイブリッド車においては、車速及びアクセル開度等の条件に基づいて、前輪110に伝達するべき要求トルクが算出され、その算出結果に基づいて、エンジンE、クラッチ42、第1のモータ・ジェネレータ5、第2のモータ・ジェネレータ8が制御される。
エンジンEから出力されるトルクを前輪110に伝達する場合は、クラッチ42が係合される。すると、クランクシャフトCの動力(トルク)がインプットシャフト4を介してキャリア65に伝達される。
このキャリア65に伝達されたトルクは、リングギヤ63、環状部材9、カウンタドライブギヤ91、カウンタドリブンギヤ93、カウンタシャフト92、ファイナルドライブピニオンギヤ94、デファレンシャル100を介して前輪110に伝達され、駆動力が発生する。また、エンジンEのトルクをキャリア65に伝達する際に、第1のモータ・ジェネレータ5を発電機として機能させ、発生した電力を蓄電装置(図示せず)に充電することもできる。
更に、第2のモータ・ジェネレータ8を電動機として駆動させ、その動力を動力分割機構6に伝達することができる。第2のモータ・ジェネレータ8の動力が中空シャフト85を介して変速機構7のサンギヤ72に伝達されると、キャリア75が反力要素として作用するとともに、サンギヤ72の回転速度が減速され、且つサンギヤ72の回転方向とは逆方向にリングギヤ73を回転させる方向に動力が伝達される。このようにして、エンジンEの動力及び第2のモータ・ジェネレータ8の動力が動力分割機構6に入力されて合成され、合成された動力が前輪110に伝達される。
本実施形態の構成では、第2のモータ・ジェネレータ8の回転速度を減速することにより、そのトルクを増幅して動力分割機構6に伝達することができる。このため、第2のモータ・ジェネレータ8の出力を高める必要が生じる場合に備えて、第2のモータ・ジェネレータ8自体の体格もしくは定格(具体的には、中空シャフト85の半径方向における第2のモータ・ジェネレータ8の大きさ、中空シャフト85の軸線方向における第2のモータ・ジェネレータ8の長さなど)を予め大きく設計する必要がなく、第2のモータ・ジェネレータ8の小型化・軽量化を図ることができるようになっている。
(サンギヤ72の位置規制構造)
次に、上記変速機構7に備えられているサンギヤ72の軸心方向への移動を規制する構成について説明する。図4は、この変速機構7に備えられているサンギヤ72及びその周辺部分を示す断面図である。
この図4に示すように、上記中空シャフト85における動力分割機構6側の端部(図中右側の端部)には、その周方向に亘ってリング溝85aが形成されており、このリング溝85aにスナップリング(ギヤ位置規制部材)120が装着されている。つまり、このスナップリング120によってサンギヤ72の軸心方向への移動(動力分割機構6側に向かう方向への移動)が阻止されるようになっている。
具体的に、本実施形態の場合、サンギヤ72がヘリカルギヤで形成されており、上記ピニオンギヤ74,74,…と噛み合いながら動力伝達を行う場合にサンギヤ72に対する軸心方向(スラスト方向)への分力が発生する。この分力は、トランスアクスル1が車両前進側に駆動する際には、サンギヤ72を動力分割機構6側に向かう方向へ移動させる力として作用する。上記スナップリング120は、この移動を阻止する部材として装着されている。
また、上記移動方向とは逆方向へのサンギヤ72の移動は、このサンギヤ72の端面が、中空シャフト85を回転自在に支持しているベアリング85bに当接されていることで阻止されている。つまり、このサンギヤ72は、一端側がスナップリング120により、他端側がベアリング85bによりそれぞれ軸心方向への移動が規制された状態で装着されており、中空シャフト85からの離脱が防止されていると共に、上記各ピニオンギヤ74,74,…との噛み合い幅寸法が良好に確保されるようになっている。
(スナップリング120の組み付け忘れ検知構造)
本実施形態の特徴とするところは、上記サンギヤ72の軸心方向への移動を規制する部材として装着すべき上記スナップリング120が外れている(組み付け忘れが生じている)場合に、そのことを、トランスアクスル1の試運転時に確認できる構成(スナップリング120(ギヤ位置規制部材)の検知構造)が設けられている点にある。以下、このスナップリング検知構造について説明する。
図4に示すように、サンギヤ72に噛み合っている複数のピニオンギヤ74,74,…を支持しているキャリア75は、ベアリング75aによって回転自在に支持されている。そして、このキャリア75の側面のうち、上記サンギヤ72のギヤ部72aに対面する端面75bの周方向に亘る複数箇所(本実施形態では4箇所)には、このギヤ部72aの端面72bに向けて突出する突起130,130,…が設けられている。以下に詳しく説明する。
図5は、このキャリア75の内側面(サンギヤ72に対向する側の面)を示す図である。この図5に示すように、本実施形態に係る変速機構7の遊星歯車機構71は5個のピニオンギヤ74,74,…が備えられているため、このキャリア75には、その周方向に亘って5箇所にピニオンギヤ支持用の開口75c,75c,…が形成されている。また、このキャリア75の中央部には、上記インプットシャフト4を挿通するための開口75dが形成されている。
そして、図4にも示すように、このキャリア75におけるサンギヤ72に対向する側の面の中央部分(上記開口75dの外縁部近傍位置)には、段部75gが形成されており、これによって、このサンギヤ72に対向する側の面(上記端面75b)がサンギヤ72から僅かに後退した位置に設定されている。この段部75gの形成位置は、上記サンギヤ72の外縁よりも外側の位置に形成されている。つまり、後述するようにサンギヤ72が軸心方向に移動する場合には、このサンギヤ72が段部75gの内側空間に向けて入り込むように構成されている。そして、上記突起130,130,…は、この後退面75bからサンギヤ72のギヤ部72aの端面72bに向けて突出されている。
このようにして形成された突起130,130,…は、上記スナップリング120によってサンギヤ72の軸心方向への移動が規制されている状態(図4に示す状態)では、サンギヤ72のギヤ部72aの端面72bとの間に僅かな隙間(例えば5mm程度)が形成されている。従って、スナップリング120によってサンギヤ72の軸心方向への移動が規制されている状態では、このサンギヤ72のギヤ部72aの端面72bと突起130,130,…とが接触することはない。
(NV検査)
次に、上述の如く構成されるトランスアクスル1の試運転(運転時のノイズ(noise)や振動(vibration)の発生状況を確認するための検査)について説明する。
このNV検査では、上記第2のモータ・ジェネレータ8に検査用電流を流すことで、この第2のモータ・ジェネレータ8を電動機として機能させ、これにより、動力分割機構6及び変速機構7に備えられた遊星歯車機構61,71、その他のギヤを回転駆動させることにより行われる。
そして、このトランスアクスル1の組立作業時、詳しくは変速機構7を構成する遊星歯車機構71の組立作業時に上記スナップリング120が適切に組み付けられている場合には、このスナップリング120によってサンギヤ72の軸心方向への移動が阻止されている。このため、上記キャリア75に形成されている突起130,130,…にサンギヤ72が接触するといったことはない。つまり、突起130,130,…が設けられていることに起因する異音は発生しない。
一方、上記変速機構7を構成する遊星歯車機構71の組立作業時に上記スナップリング120の組み付け忘れが発生している状況では、このNV検査においてサンギヤ72が軸心方向に(キャリア75の端面75bに向かう方向に)移動する。この際、サンギヤ72は、上述した如くヘリカルギヤで構成されているため、上記ピニオンギヤ74,74,…と噛み合いながら動力伝達を行う場合に軸心方向(スラスト方向)への分力が発生し、これにより、上記軸心方向への移動が発生する。このようにして、サンギヤ72が軸心方向に移動すると、サンギヤ72とキャリア75との回転差(周方向の速度差)から、ギヤ部72aの端面72bが突起130,130,…に衝突することになる。つまり、突起130,130,…が設けられていることに起因する異音(突起130とギヤ部72aとが衝突することによる衝突音)が発生する。
また、上記サンギヤ72のギヤ部72aは周方向に間欠的に形成されているため、この場合、突起130がギヤ部72aに当接する状態と当接しない状態とが交互に現れることになる。このため、間欠的な衝突音が発生する状況となる。このような衝突音は、トランスアクスル1の駆動音とは明確に識別できる音であり、この間欠的な衝突音が発生しているか否かを認識することで、スナップリング120の組み付け忘れが発生しているか否かを正確に判断できる。
従って、このNV検査において、この異音の発生の有無を確認することで、スナップリング120の組み付け忘れが発生しているか否かを判断することができ、その結果、スナップリング120の組み付けを忘れたままトランスアクスル1が自動車に搭載されてしまうといった状況を回避できる。
−変形例−
次に、本発明の複数の変形例について説明する。
(第1の変形例)
先ず、第1の変形例について説明する。上述した実施形態では、ピニオンギヤ74,74,…を支持しているキャリア75の端面75bに、サンギヤ72のギヤ部72aの端面72bに向けて突出する突起130,130,…を設けた構成としていた。本変形例は、それに代えて、サンギヤ72の端面(サンギヤ72の回転軸心に対して直交する方向に延びる面)に、キャリア75の端面75bに向けて突出する突起140,140,…を設けた構成としている。
具体的には、図6(本変形例における図4に相当する図;サンギヤ72及びその周辺部分を示す断面図)に示すように、サンギヤ72においてキャリア75の端面75bに対向する側面72cに、キャリア75の端面75bに向けて突出する突起140,140,…が周方向の複数箇所(例えば4箇所)に設けられている。尚、この突起140,140,…は、サンギヤ72の側面72c(ギヤ部72aよりも内周側の領域)に形成するものに限らず、ギヤ部72aの端面72bに形成するようにしてもよい。
一方、この突起140,140,…に対向するキャリア75の端面75bにあっては、その周方向に亘る複数箇所に間欠的に溝75hが形成されている。この溝75hはキャリア75の内周側に開放する形状で形成されており、これにより、上記突起140,140,…に対面するキャリア75の端面75bを周方向で不連続な面として形成している。
従って、本変形例にあっては、スナップリング120の組み付け忘れが発生していて、NV検査時にサンギヤ72がキャリア75の端面75bに向かって軸心方向に移動すると、サンギヤ72に形成されている突起140,140,…がキャリア75の端面75bに間欠的に衝突する(上記溝75hが形成されていない箇所では両者が衝突し、溝75hが形成されている箇所では両者が衝突しない)ことになる。つまり、突起140,140,…が設けられていることに起因する異音(突起140とキャリア75とが衝突することによる衝突音)が間欠的な衝突音として発生する。従って、この場合にも、NV検査において、この異音の発生の有無を確認することで、スナップリング120の組み付け忘れが発生しているか否かを判断することができる。その結果、スナップリング120の組み付けを忘れたままトランスアクスル1が自動車に搭載されてしまうといった状況を回避できる。
(第2の変形例)
次に、第2の変形例について説明する。本変形例は、上述した実施形態の構成と第1の変形例の構成とを兼ね備えたものである。つまり、図7(本変形例における図4に相当する図;サンギヤ72及びその周辺部分を示す断面図)に示すように、ピニオンギヤ74,74,…を支持しているキャリア75の端面75bの周方向の複数箇所に、サンギヤ72の側面72cに向けて突出する突起130,130,…を設けると共に、サンギヤ72の側面72cにも、その周方向の複数箇所に、キャリア75の端面75bに向けて突出する突起140,140,…を設けた構成としている。そして、これら両突起130,140の形成位置を互いに対向させている。
この構成によれば、スナップリング120の組み付け忘れが発生していて、NV検査時にサンギヤ72が軸心方向に移動すると、キャリア75の端面75bに形成されている突起130と、サンギヤ72の側面72cに形成されている突起140とが間欠的に衝突することになり、上述した実施形態及び第1の変形例の場合と同様に、突起130、140が設けられていることに起因する異音が間欠的な衝突音として発生する。従って、この場合にも、NV検査において、この異音の発生の有無を確認することで、スナップリング120の組み付け忘れが発生しているか否かを判断することができる。その結果、スナップリング120の組み付けを忘れたままトランスアクスル1が自動車に搭載されてしまうといった状況を回避できる。
(第3の変形例)
次に、第3の変形例について説明する。上述した実施形態及び各変形例では、スナップリング120によって、サンギヤ72の一方側(図中右側)への移動のみを規制する構成に対して本発明を適用したものについて説明した。本変形例は、それに代えて、サンギヤ72の軸心方向の両側にスナップリング120A,120B(図8参照)を配設し、これらスナップリング120A,120Bによってサンギヤ72を軸心方向の何れの方向に対しても移動を規制するようにした構成に対して本発明を適用したものである。
具体的には、図8(本変形例における図4に相当する図;サンギヤ72及びその周辺部分を示す断面図)に示すように、上述した実施形態の構成に加えて、上記中空シャフト85の外周面であって、サンギヤ72の装着位置の第2のモータ・ジェネレータ8側(図中左側)には、その周方向に亘ってリング溝85cが形成されており、このリング溝85cにスナップリング120Bが装着されている。つまり、サンギヤ72の装着位置の両側に装着されたスナップリング120A,120Bによってサンギヤ72を軸心方向の何れの方向に対しても移動を阻止する構成となっている。
そして、サンギヤ72に噛み合っている複数のピニオンギヤ74,74,…を支持しているキャリア75A,75Bのうち動力分割機構6側(図中右側)のキャリア75Aには、上記実施形態のものと同様の突起130,130,…が設けられている。
一方、上記キャリア75A,75Bのうち第2のモータ・ジェネレータ8側(図中左側)のキャリア75Bにも、上記サンギヤ72のギヤ部72aに対面する端面75bの周方向に亘る複数箇所に、このギヤ部72aの端面72bに向けて突出する突起150,150,…が設けられている。
このような構成により、本変形例では、左右一対のスナップリング120A,120Bのうち何れの組み付け忘れが発生しても、NV検査時にサンギヤ72が軸心方向に移動するのに伴って、ギヤ部72aの端面72bが突起(130または150)に衝突することになる。つまり、突起130,150が設けられていることに起因する異音が発生する。
従って、このNV検査において、この異音の発生の有無を確認することで、何れかのスナップリング120A,120Bの組み付け忘れが発生しているか否かを判断することができる。その結果、スナップリング120の組み付けを忘れたままトランスアクスル1が自動車に搭載されてしまうといった状況を回避できる。
尚、本変形例の場合、NV検査時にトランスアクスル1を一方側(例えば前進側)に駆動させるだけでは一方のスナップリング120Aの組み付け忘れしか判断できない可能性がある。このため、トランスアクスル1を前進側及び後退側の両方に駆動させて、両スナップリング120A,120Bの組み付け忘れが判断できるようにすることが好ましい。
また、本変形例では、サンギヤ72の軸心方向の両側にスナップリング120A,120Bを配設する構成に対して、キャリア75A,75Bの各端面75b,75bに突起130,130,…、150,150,…を設けた構成としていた。これに代えて、サンギヤ72の両端面(サンギヤ72の回転軸心に対して直交する方向に延びる両側の端面)に、キャリア75A,75Bの各端面75b,75bに向けて突出する突起を設ける構成としたり、キャリア75A,75Bの各端面75b,75b及びサンギヤ72の両端面にそれぞれ突起を形成する構成としてもよい。
−その他の実施形態−
以上説明した実施形態及び各変形例は、変速機構7を構成する遊星歯車機構71のサンギヤ72の移動を規制するためのスナップリング120(120A,120B)の組み付け忘れを検知可能とする構成として本発明を適用したものであった。本発明はこれに限らず、変速機構7を構成する遊星歯車機構71のリングギヤ73やピニオンギヤ74をスナップリングによって位置規制する構成となっている場合に、このスナップリングの組み付け忘れを検知可能とする構成として適用してもよい。
また、変速機構7を構成する遊星歯車機構71に限らず、動力分割機構6を構成する遊星歯車機構61に対しても本発明は適用可能である。また、ハイブリッド車のトランスアクスル1に備えられる遊星歯車機構に限らず、一般的な自動車の自動変速機(オートマチックトランスミッション)に備えられる遊星歯車機構や、自動車以外の装置に備えられる遊星歯車機構に対しても本発明は適用可能である。
また、上記実施形態及び各変形例において設けた突起130〜150の配設箇所としては周方向の4箇所に限らず5箇所以上または3箇所以下であってもよい。
また、本発明が検知対象としている「ギヤ位置規制部材」としては、上記スナップリング120に限るものではなく、スペーサやシムなどであってもよい。
実施形態に係るハイブリッド車のトランスアクスルを示すスケルトン図である。 実施形態に係るハイブリッド車のトランスアクスルの内部構造を示す断面図である。 動力分割機構及び変速機構の構成を示す分解斜視図である。 変速機構に備えられているサンギヤ及びその周辺部分を示す断面図である。 キャリアの内側面を示す図である。 第1の変形例において変速機構に備えられているサンギヤ及びその周辺部分を示す断面図である。 第2の変形例において変速機構に備えられているサンギヤ及びその周辺部分を示す断面図である。 第3の変形例において変速機構に備えられているサンギヤ及びその周辺部分を示す断面図である。
符号の説明
71 遊星歯車機構
72 サンギヤ
72b 端面
73 リングギヤ
74 ピニオンギヤ
75 キャリア(相手側部材)
75b 端面
85 中空シャフト(シャフト部材)
85a リング溝(装着部)
120 スナップリング(ギヤ位置規制部材)
130〜150 突起

Claims (6)

  1. サンギヤと、このサンギヤに対して同心円上に配置されたリングギヤと、これらサンギヤとリングギヤとの間に配設されたピニオンギヤとを備えた遊星歯車機構に対し、上記各ギヤのうち少なくとも一つのギヤに対応して適用されてこのギヤの軸心方向の移動を規制するためのギヤ位置規制部材が装着されているか否かを検知するための検知構造であって、
    上記ギヤ位置規制部材が装着されていないと仮定した場合に、遊星歯車機構の作動に伴ってギヤが軸心方向に移動する状況で、このギヤにおいてこの移動方向側に向いている端面と、この端面に対向する対向部材の端面とのうち少なくとも一方の端面には、対向する相手側部材に向けて突出する突起が形成されていることを特徴とする遊星歯車機構のギヤ位置規制部材検知構造。
  2. 上記請求項1記載の遊星歯車機構のギヤ位置規制部材検知構造において、
    上記相手側部材の端面は、上記突起の突設位置に対応する箇所とギヤの回転中心線とを結ぶ直線を半径とした仮想円の円周上において、その周方向で不連続な面として形成されており、これにより、遊星歯車機構の作動に伴ってギヤが軸心方向に移動した際には、上記突起が相手側部材の端面に間欠的に衝突するよう構成されていることを特徴とする遊星歯車機構のギヤ位置規制部材検知構造。
  3. 上記請求項1または2記載の遊星歯車機構のギヤ位置規制部材検知構造において、
    上記突起は、ギヤの回転軸を中心とする周方向の複数箇所に間欠的に形成されていることを特徴とする遊星歯車機構のギヤ位置規制部材検知構造。
  4. 上記請求項1、2または3記載の遊星歯車機構のギヤ位置規制部材検知構造において、
    サンギヤは、シャフト部材に回転自在に支持されており、このシャフト部材上におけるサンギヤ配設位置近傍には、このサンギヤが軸心方向に移動することを規制するためのギヤ位置規制部材を装着する装着部が形成されている一方、
    上記サンギヤとリングギヤとの間に配設されているピニオンギヤはキャリアによってサンギヤの回転軸心回りを公転可能となるように支持されていると共に、このキャリアは上記サンギヤに対して上記シャフト部材上の上記装着部の形成位置側に配設されており、上記突起は、このキャリアにおける上記装着部に対向する側の端面からサンギヤの端面に向かって突出していることを特徴とする遊星歯車機構のギヤ位置規制部材検知構造。
  5. 上記請求項1、2または3記載の遊星歯車機構のギヤ位置規制部材検知構造において、
    サンギヤは、シャフト部材に回転自在に支持されており、このシャフト部材上におけるサンギヤ配設位置近傍には、このサンギヤが軸心方向に移動することを規制するためのギヤ位置規制部材を装着する装着部が形成されている一方、
    上記サンギヤとリングギヤとの間に配設されているピニオンギヤはキャリアによってサンギヤの回転軸心回りを公転可能となるように支持されていると共に、このキャリアは上記サンギヤに対して上記シャフト部材上の上記装着部の形成位置側に配設されており、上記突起は、上記サンギヤにおける上記装着部に対向する側の端面からキャリアの端面に向かって突出していることを特徴とする遊星歯車機構のギヤ位置規制部材検知構造。
  6. 上記請求項1〜5のうち何れか一つに記載のギヤ位置規制部材検知構造を備えた遊星歯車機構であって、
    上記ギヤ位置規制部材が装着されていないことに起因してギヤが軸心方向に移動する状況で、このギヤにおいてこの移動方向側に向いている端面と、この端面に対向する対向部材の端面とのうち少なくとも一方の端面に、対向する相手側部材に向けて突出する突起を備えていることを特徴とするギヤ位置規制部材検知構造を備えた遊星歯車機構。
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