JP2008062541A - ラインヘッド及び画像形成装置 - Google Patents

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昌宏 内田
Masatsugu Goto
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Abstract

【課題】長寿命化及び小型化が可能なラインヘッド及びこれを備える画像形成装置を提供すること。
【解決手段】発光領域Aが、有機EL素子12が設けられた内側領域A1と、有機EL素子13が設けられて内側領域A1を囲むように形成された少なくとも1つの外側領域A2とを有し、有機EL素子12、13をそれぞれ独立して駆動する駆動部を備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、ラインヘッド及びこれを備える画像形成装置に関する。
従来、感光ドラムの表面にトナーを電気的に吸着させる電子写真方式を採用した光プリンタは、出力端末として広く使用されている。このような光プリンタとしては、ヘッド用の発光素子としてレーザを用いたレーザプリンタが実用化されている。しかし、レーザを発光素子として用いたプリンタヘッドは、印刷する用紙サイズを大きくするにしたがって光学系を大きくする必要があるため、小型化が困難であると共に、高コストとなってしまう。そこで、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)を発光素子として用い、複雑な光学系を不要とすることによって小型化を図るプリンタヘッドが提供されている。
ところが、LEDを発光素子として用いたプリンタヘッドは、1本のライン状に配列した形状で製造することが困難であり、また各LED間の輝度のバラツキが大きいため輝度補正を行う必要がある。そのため、高コストとなってしまうという問題がある。
そこで、有機EL(Electroluminescence)素子を発光素子として用いることにより、大面積の基板に一括して多数形成することを可能とし、小型化及び低コスト化を図るプリンタヘッドが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、有機EL素子を複数本のライン状に配列し、感光ドラムに対して多重露光を行うことによって1つの有機EL素子への負担を低減し、長寿命化を図るプリンタヘッドが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2002−19177号公報 特開2004−50816号公報
しかしながら、上記従来のラインヘッドにおいても、以下の課題が残されている。すなわち、前者のラインヘッドでは、高速印刷を行うために有機EL素子から出射する光量を増大させると、有機EL素子への電気的な負担が大きくなるので、長寿命化が困難となる。
また、後者のラインヘッドでは、複数本のライン状に有機EL素子を配列しているので、ラインごとで同じ露光位置に対して光を照射させるためにラインごとに高い露光精度が要求されると共に、大型化するという問題がある。
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたもので、長寿命化及び小型化が可能なラインヘッド及びこれを備える画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明にかかるラインヘッドは、複数の発光領域から感光体に光を照射して露光するラインヘッドであって、前記発光領域が、内側発光素子が設けられた内側領域と、外側発光素子が設けられて前記内側領域を囲むように形成された少なくとも1つの外側領域とを有し、前記内側発光素子及び前記外側発光素子をそれぞれ独立して駆動する駆動部を備えることを特徴とする。
この発明では、内側領域及び外側領域の複数の領域によって発光領域が形成されているため、発光素子への電気的な負担を低減して長寿命化が図れる。また、多重露光するために複数のライン状に発光領域を設ける必要がないので、ラインヘッドの小型化が図れる。
さらに、内側発光素子と外側発光素子とで独立して駆動を制御可能とすることで、印刷品質及び速度の調整や感光体の露光バラツキを緩和することができる。すなわち、外側領域から出射される光量を調整することで、発光領域から出射される光量を調整することが可能となる。ここで、外側領域が内側領域を囲むように設けられているので、内側発光素子のみを駆動させたときにおける照射スポットの中心位置と両発光素子を駆動させたときにおける照射スポットの中心位置との変化が小さくなる。これにより、内側発光素子のみを駆動させたときと両素子を駆動させたときとの間で感光体におけるスポット形状のズレが小さくなる。
例えば、印刷品質を向上させる場合には、内側発光素子のみを駆動させることによって発光領域から出射する光のスポット形状を小さくする。これにより、感光体へスポット形状の小さな露光を行うことができ、印刷品質を向上させることができる。また、印刷速度を向上させて印刷時間を短縮する場合には、両発光素子を駆動させることによって発光領域から照射される光量を増大させる。これにより、感光体への露光時間を短くして印刷時間を短縮することができる。さらに、製造誤差など部材の構造によって感光体において露光ムラが発生している場合には、外側領域による光量を各発光領域間であらかじめ調整する。これにより、感光体における露光ムラを緩和させて印刷品質を向上させることができる。
また、本発明にかかるラインヘッドは、前記内側領域と前記外側領域とが、同心状に配置されていることが好ましい。
この発明では、同心状に配置することによって、内側領域のみを駆動したときと両領域を駆動したときとの間で、照射スポットの中心位置をより確実に一致させることができる。したがって、感光体における照射スポットの中心位置のズレをより低減できる。
また、本発明にかかるラインヘッドは、前記内側領域の外縁と、前記外側領域の内縁とが、相似形状であることが好ましい。
この発明では、内側領域のみを駆動したときと両領域を駆動したときとにおける発光領域の形状のズレをより小さくすることができる。したがって、感光体における照射スポットの中心位置のズレをさらに低減できる。
また、本発明にかかるラインヘッドは、前記内側発光素子が、基板の表面に形成された内側電極と、共通電極と、前記内側電極及び前記共通電極の間に配置された発光機能層とを備え、前記外側発光素子が、前記基板の表面に形成された外側電極と、前記共通電極と前記発光機能層とを備え、前記内側電極と前記外側電極との間に、絶縁層が設けられていることが好ましい。
この発明では、内側電極と外側電極との間における絶縁性を確実に確保することができる。
また、本発明にかかるラインヘッドは、前記絶縁層が、前記内側電極の外縁と前記外側電極の内縁とを覆うことが好ましい。
この発明では、内側電極と外側電極との間における絶縁性をより確実に確保できる。
また、本発明にかかるラインヘッドは、前記発光領域の外周に、隔壁が設けられていることが好ましい。
この発明では、各発光領域を隔壁で区画することで、例えば液滴吐出法を用いて両発光素子を形成することができる。このように、液滴吐出法を用いて選択的に発光素子を形成することで、発光素子を形成するための材料の無駄を抑制して低コスト化が図れる。
また、本発明にかかる画像形成装置は、上述したラインヘッドを備えることを特徴とする。
この発明では、上述したラインヘッドを備えているため、発光素子の長寿命化及びラインヘッドの小型化が図れると共に、印刷品質及び速度の調整や感光体の露光バラツキの緩和を容易に行える。
[第1の実施形態]
以下、本発明によるラインヘッド及びこれを備える画像形成装置の第1の実施形態を、図面に基づいて説明する。ここで、図1はラインヘッドを備える露光ヘッドを示す概略斜視図、図2は露光ヘッドを示す概略断面図、図3はラインヘッドを示す概略平面図、図4はラインヘッドを示す概略断面図である。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
〔露光ヘッド〕
本実施形態におけるラインヘッド1は、図1及び図2に示すような露光ヘッド2に設けられている。この露光ヘッド2は、筐体3と、筐体3に支持固定されて筐体3及び後述する感光ドラム(感光体)52の間に配置された光学部材4と、ラインヘッド1とを備えている。そして、筐体3には、感光ドラム52側に開口部が形成されており、この開口部に向けて光が出射するようにラインヘッド1を固定している。
ラインヘッド1は、図3に示すように、基板11上に複数(図3では10)の発光領域Aを一列に設けた構成となっている。この発光領域Aは、平面視でほぼ円形の内側領域A1と、平面視でほぼ内側領域A1の周囲に設けられて平面視でほぼ円環状の外側領域A2とで構成されている。そして、内側領域A1には有機EL素子(内側発光素子)12が設けられており、外側領域A2には有機EL素子(外側発光素子)13が設けられている。
また、ラインヘッド1は、各有機EL素子12を駆動する駆動素子15と、各有機EL素子13を駆動する駆動素子16と、各有機EL素子12に電力を供給する電源線17と、各有機EL素子13に電力を供給する電源線18と、駆動素子15、16の駆動を制御する駆動制御回路19とを備えている。この駆動素子15、16は、例えばTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)素子で構成されている。これら駆動素子15、16及び駆動制御回路19によって、駆動部が構成される。この駆動部により、有機EL素子12、13の駆動がそれぞれ独立して制御される。
基板11は、図4に示すように、基板本体21と、基板本体21の上面に形成された回路素子部22とを備えている。
基板本体21は、例えばガラスなどの透光性材料で構成されており、平面視でほぼ矩形状となっている。
回路素子部22には、上述した駆動素子15、16、電源線17、18及び駆動制御回路19や層間絶縁膜及び平坦化膜(図示略)が形成されている。
有機EL素子12は、基板11の表面に設けられており、基板11上から順に、陽極層(内側電極)31、発光機能層32及び陰極層(共通電極)33を積層した構成となっている。
また、有機EL素子13は、有機EL素子12と同様に基板11の表面に設けられており、基板11上から順に、陽極層(外側電極)34、発光機能層32及び陰極層33を積層した構成となっている。すなわち、有機EL素子12、13は、発光機能層32及び陰極層33を共通して用いる構成となっている。
陽極層31は、平面視でほぼ円形を有しており、例えばITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)などの透光性の導電材料で構成されている。そして、陽極層31は、駆動素子15を介して電源線17に接続されており、この電源線17から駆動電流が供給される。
陽極層34は、平面視でほぼ円環状を有しており、その内縁が陽極層31の外縁と離間するように形成されている。また、陽極層31と同様に例えばITOなどの透光性の導電材料で構成されている。そして、陽極層34は、駆動素子16を介して電源線18に接続されており、この電源線18から駆動電流が供給される。
また、陽極層31、34の間と陽極層34の外側には、絶縁層35が形成されている。
この絶縁層35は、例えばSiOなどの透光性を有する絶縁材料で構成されており、一部が陽極層31の外縁と陽極層34の内縁及び外縁を覆っている。これにより、陽極層31、34間における十分な絶縁性が確保される。
ここで、陽極層31の外縁及び陽極層34の内縁を覆う絶縁層35は、その縁部がほぼ同心円状となるように設けられている。このとき、絶縁層35の縁部によって形成される同心円の中心は、陽極層31の中心とほぼ一致している。さらに、陽極層34の外縁を覆う絶縁層35は、その縁部が陽極層34の内縁を覆う絶縁層35の縁部とほぼ同心円状となるように設けられている。したがって、各絶縁層35の縁部によって形成される同心円の中心は、陽極層31のほぼ中心となっている。
ところで、発光領域Aを構成する内側領域A1の外縁は、陽極層31の外縁を覆う絶縁層35の縁部によって規定される。同様に、外側領域A2の内縁は、陽極層34の内縁を覆う絶縁層35の縁部によって規定され、外側領域A2の外縁は、陽極層34の外縁を覆う絶縁層35の縁部によって規定される。したがって、内側領域A1と外側領域A2とは、互いに同心円状に配置されている。また、内側領域A1の外縁と外側領域A2の内縁とは、相似形状となっている。
発光機能層32は、陽極層31上から順に、正孔注入層37及び発光層38を積層した構成となっている。
正孔注入層37は、例えば3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)などのポリチオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸(PSS)などの混合物(PEDOT/PSS)などの正孔注入材料によって構成されており、陽極層31、34から注入した正孔を発光層38に輸送する。
なお、正孔注入材料としては、PEDOT/PSSのほか、ポリテトラヒドロチオフェニルフェニレンであるポリフェニレンビニレン、1,1−ビス−(4−N,N−ジトリルアミノフェニル)シクロヘキサン、トリス(8−ヒドロキシキノリノール)アルミニウム、ポリスチレンスルホン酸を用いてもよい。
発光層38は、例えば下記の[化1]など発光材料によって構成されており、その層厚が例えば100nmとなっている。ここで、[化1]の溶媒(テトラヒドロフラン)に対する溶液状態における蛍光スペクトルのピーク波長は、656nmとなっている。
Figure 2008062541
なお、発光材料としては後述する感光ドラム52の露光波長帯に応じて適宜変更してもよく、ポリフルオレン(PF)誘導体やポリパラフェニレンビニレン(PPV)誘導体、ポリパラフェニレン(PPP)誘導体、ポリビニルカルバゾール(PVK)誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)誘導体などのポリシラン系などの他の高分子有機材料が挙げられる。
また、上述した発光材料に、ペニレン系色素やクマリン系色素、ローダミン系色素などの高分子有機材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドンなどの低分子有機材料を発光ドーパントとしてドープしてもよい。
陰極層33は、発光機能層32の表面から順に、LiF層、Ca層及びAl層を積層した構成となっており、反射電極層として機能している。すなわち、陰極層33は、発光機能層32で発生して陰極層33に向けて進行する光を陽極層31、34に向けてそれぞれ反射させるように構成されている。
したがって、有機EL素子12、13は、それぞれボトムエミッション構造となっている。
また、ラインヘッド1は、有機EL素子12、13を被覆する封止部41を備えている。
封止部41は、陰極層33を覆うように設けられており、陰極層33や発光層38に対する水や酸素の侵入を防止し、陰極層33及び発光層38の酸化を防止するものである。また、封止部41は、有機EL素子12、13上に配置された封止樹脂(図示略)と、この封止樹脂上に接合された封止基板(図示略)とで構成されている。
この封止樹脂は、例えば陰極層33上に塗布された熱硬化樹脂または紫外線硬化樹脂で構成される。ここで、封止樹脂としては、硬化時にガスや溶媒などが発生しないものが好ましい。また、上記封止基板は、上記封止樹脂を保護するものであって、例えばガラス板や金属板、樹脂板などで構成されている。
光学部材4は、図2に示すように、ラインヘッド1と後述する感光ドラム52との間に配置されており、ラインヘッド1を構成する各発光領域Aと対応して設けられた複数のレンズ45を備えている。このレンズ45は、発光領域Aからの出射光を感光ドラム52の表面に集光する構成となっている。
〔ラインヘッドの製造方法〕
次に、上述した構成のラインヘッド1の製造方法について説明する。
本実施形態におけるラインヘッド1の製造方法では、まず基板本体21上に駆動素子15、16、電源線17、18及び駆動制御回路19や上述した層間絶縁膜及び平坦化膜を形成することにより、回路素子部22を形成する。これにより、基板11が形成される。
そして、基板11上に真空蒸着法などによりITO膜を成膜した後、これをパターニングすることによって陽極層31、34を形成する。
なお、陽極層31、34は、真空蒸着法のほか、スパッタリング法や化学的気相成長(CVD)法、イオンプレーティング法などを用いてもよい。
この後、陽極層31、34の表面を洗浄し、大気圧において酸素プラズマ処理を施すことにより、陽極層31、34の表面を親水性に改質する。これにより、陽極層31、34の仕事関数を上げることができる。そして、陽極層31、34が形成された基板11の表面に、SiO膜を成膜した後、これをパターニングすることによって絶縁層35を形成し、内側領域A1と外側領域A2との形成領域を区画する。ここで、絶縁層35の層厚は、後述するようにスピンコーティング法を用いて正孔注入層37を形成したときに陽極層31、34上に正孔注入層37が均一に形成することが可能な程度となっている。
次に、陽極層31、34及び絶縁層35が形成された基板11の表面に、PEDOT/PSSの分散液をスピンコーティング法により塗布する。そして、塗布した膜に焼成、乾燥処理を施すことにより、層厚が例えば80nmである正孔注入層37を形成する。
続いて、正孔注入層37上に、上述した[化1]である発光材料を溶媒に溶解させた溶液をスピンコーティング法により塗布する。そして、塗布した膜に加熱処理を施すことにより、層厚が例えば100nmである発光層38を形成する。これにより、正孔注入層37及び発光層38からなる発光機能層32が形成される。なお、正孔注入材料の分散液や発光材料の溶液の塗布は、スピンコーティング法に限られない。
そして、発光機能層32上に、真空蒸着法などによりLiF層、Ca層及びAl層を積層することで、陰極層33を形成する。さらに、陰極層33上に封止部41を形成する。ここで、封止部41による封止は、NやArなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
以上のようにして、ラインヘッド1を製造する。その後、ラインヘッド1を筐体3に設け、光学部材4を筐体3で支持固定することで、露光ヘッド2を製造する。
〔光プリンタ〕
このようにして製造された露光ヘッド2は、図5に示すような光プリンタ(画像形成装置)50に設けられる。ここで、図5は、光プリンタ50の概略構成図である。
この光プリンタ50は、フルカラー表示が可能なタンデム方式の光プリンタであって、光書き込みヘッド及び発光部ユニットとしてのブラック用露光ヘッド2Aと、シアン用露光ヘッド2Bと、マゼンタ用露光ヘッド2Cと、イエロー用露光ヘッド2Dとを備えている
また、光プリンタ50は、各露光ヘッド2A〜2Dの下方に設けられたブラック用感光ドラム52A、シアン用感光ドラム52B、マゼンタ用感光ドラム52C及びイエロー用感光ドラム52Dを備えている。
そして、光プリンタ50は、駆動ローラ53と、従動ローラ54と、テンションローラ55と、テンションローラ55によってテンションが加えられて張架されながら図5に示す反時計方向へ循環駆動される中間転写ベルト56とを備えている。そして、各感光ドラム52A〜52Dは、中間転写ベルト56に対して所定間隔に配置されている。
各感光ドラム52A〜52Dは、中間転写ベルト56の駆動と同期して図5に示す時計回り方向へ回転駆動されるように構成されている。そして、各露光ヘッド2A〜2Dは、各感光ドラム52A〜52Dの外周面を各感光ドラム52A〜52Dの回転に同期して順次ライン走査することで、描画データに応じた静電潜像を対応する各感光ドラム52A〜52D上に形成する。
また、各感光ドラム52A〜52Dの周囲には、各感光ドラム52A〜52Dの外周面を一様に帯電させるコロナ帯電器57A〜57Dが設けられている。
また、光プリンタ50は、ブラック用感光ドラム52Aの周囲に設けられたブラック用現像装置58A、シアン用感光ドラム52Bの周囲に設けられたシアン用現像装置58B、マゼンタ用感光ドラム52Cの周囲に設けられたマゼンタ用現像装置58C及びイエロー用感光ドラム52Dの周囲に設けられたイエロー用現像装置58Dを備えている。各現像装置58A〜58Dは、対応する各露光ヘッド2A〜2Dによって各感光ドラム52A〜52D上に形成された静電潜像に対応する色の現像剤であるトナーを付与して可視像(トナー像)を形成する構成となっている。例えば、ブラック用現像装置58Aは、ブラック用露光ヘッド2Aによってブラック用感光ドラム52A上に形成された静電潜像に黒色のトナーを付与して可視像を形成する。
すなわち、各現像装置58A〜58Dは、例えばトナーとして非磁性一成分トナーを用いるもので、その一成分現像剤を例えば供給ローラで現像ローラへ搬送し、この現像ローラ表面に付着したトナーの膜厚を規制ブレードで規制する。この規制により、現像ローラを各感光ドラム52A〜52Dに接触あるいは押圧させることにより、各感光ドラム52A〜52D上に形成された静電潜像の電位レベルに応じて現像剤を付着させて可視像として現像する。
さらに、光プリンタ50は、各感光ドラム52A〜52Dの周囲に設けられた、各現像装置58A〜58Dで現像された可視像を一次転写対象である中間転写ベルト56に順次転写する一次転写ローラ59A〜59Dを備えている。
また、光プリンタ50は、各感光ドラム52A〜52Dの周囲に設けられたクリーニング装置61A〜61Dを備えている。このクリーニング装置61A〜61Dは、一次転写の後に、各感光ドラム52A〜52Dの表面に残留しているトナーを除去する構成となっている。
さらに、光プリンタ50は、中間転写ベルト56上の可視像を二次転写対象である用紙などの記録媒体62に転写する二次転写ローラ63と、二次転写された可視像を記録媒体62に定着させる一対の定着ローラ64とを備えている。
このような各感光ドラム52A〜52D上に形成されたブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各可視像は、一次転写ローラ59A〜59Dによって中間転写ベルト56上に順次一次転写される。この一次転写により中間転写ベルト56上で順次重ね合わされてフルカラーとなった可視像は、二次転写ローラ63によって用紙などの記録媒体62上に二次転写され、一対の定着ローラ64を通ることで記録媒体62に定着される。そして、可視像が定着された記録媒体62は、排紙ローラ65によって案内されて光プリンタ50の上部に形成された排紙トレイ66上へ排出される。
また、光プリンタ50は、多数枚の記録媒体62を保持する給紙カセット67と、この給紙カセット67から記録媒体62を一枚ずつ給送するピックアップローラ68とを備えている。そして、光プリンタ50は、二次転写ローラ63の二次転写部への記録媒体62の給紙タイミングを規定するゲートローラ69と、二次転写後に中間転写ベルト56の表面に残留しているトナーを除去するクリーニングブレード70とを備えている。
ここで、印刷品質を向上させる場合には、駆動制御回路19が有機EL素子12のみを駆動させ、内側領域A1のみから光を感光ドラム52A〜52Dに向けて出射する。これにより、発光領域Aから出射される光のスポット径が小さくなり、感光ドラムへのスポット径の小さな露光が行われ、印刷品質が向上する。
また、印刷速度を向上させる場合には、駆動制御回路19が有機EL素子12、13を駆動させ、内側領域A1及び外側領域A2から光を感光ドラム52A〜52Dに向けて出射する。これにより、発光領域Aから照射される光量が増大し、感光ドラム52A〜52Dの露光時間を短縮し、印刷時間を短くして印刷速度を向上させる。
さらに、各発光領域Aからの光量にムラが発生している場合やレンズ45による集光位置がずれていることなど、各素子の製造誤差に起因して感光ドラム52において露光ムラが生じることがある。このような場合には、駆動制御回路19において各発光領域Aを構成する有機EL素子13から出射する光の輝度をあらかじめ調整する。これにより、感光ドラム52における露光ムラが緩和し、印刷ムラを低減して印刷品質が向上する。
以上のように、本実施形態におけるラインヘッド1及びこれを備える光プリンタ50によれば、内側領域A1及び外側領域A2の2つの領域によって発光領域Aが形成されているため、有機EL素子12、13への電気的な負担を低減して長寿命化が図れる。また、複数のライン状に発光領域を設けて多重露光する必要がないので、ラインヘッド1の小型化が図れる。
さらに、有機EL素子12、13がそれぞれ独立して駆動可能となっており、発光領域Aから出射する光量を調節することで、印刷品質及び速度の調整や、感光ドラム52の露光バラツキを緩和させることができる。
また、外側領域A2が内側領域A1を囲むように設けられているので、内側領域A1のみから光を照射したときと内側領域A1及び外側領域A2から光を照射したときとで照射スポットの中心位置が一致し、各駆動状態において感光ドラム52でのスポット形状のズレが小さくなる。ここで、外側領域A2が内側領域A1と同心円状であると共に外側領域A2の内縁を内側領域A1の外縁と相似形状であるため、感光ドラム52でのスポット形状のズレをより低減できる。
そして、陽極層31、34の間に、陽極層31の外縁及び陽極層34の内縁を覆うように絶縁層35を設けることで、陽極層31、34の間における絶縁性を確実に確保し、有機EL素子12、13間のクロストークの発生を抑制する。
[第2の実施形態]
次に、本発明によるラインヘッドの第2の実施形態を、図面に基づいて説明する。ここで、ここで、図6はラインヘッドを示す概略平面図、図7はラインヘッドを示す概略断面図である。なお、本実施形態では、第1の実施形態と発光領域の配置及びラインヘッドの積層構造が異なるため、この点を中心に説明すると共に、上記実施形態で説明した構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態におけるラインヘッド100は、図6に示すように、基板11上に複数(図6では7)の発光領域Aを千鳥状に2列設けた構成となっている。そして、ラインヘッド100は、図7に示すように、各発光領域Aを区画する隔壁101を備えている。
この隔壁101は、例えばアクリルやポリイミドなどで構成されており、正孔注入層37の正孔注入材料の分散液や発光層38の発光材料の溶液に対して撥液性を有している。
このような構成のラインヘッド100は、上述した実施形態と同様に、基板本体21上に回路素子部22を形成して基板11を形成し、基板11上に陽極層31、34及び絶縁層35を形成する。
この後、陽極層31、34及び絶縁層35が形成された基板11上に、スピンコーティング法などを用いて例えばアクリルやポリイミドなどからなる膜を成膜した後、これをパターニングすることで、発光領域Aを区画する隔壁101を形成する。ここで、隔壁101の層厚は、後述するようにインクジェット法を用いて正孔注入層37及び発光層38を形成するときに、吐出した液滴を隔壁101で区画された領域内に収めることが可能な程度となっている。
次に、隔壁101が形成された基板11の表面のうち、隔壁101で区画された領域内にPEDOT/PSSの分散液の液滴を液滴吐出法であるインクジェット法を用いて滴下する。そして、滴下した液滴に焼成、乾燥処理を施すことにより、正孔注入層37を形成する。
続いて、正孔注入層37上に、上述した[化1]である発光材料の溶液の液滴をインクジェット法を用いて滴下する。そして、滴下した液滴に加熱処理を施すことにより、発光層38を形成する。
その後、上述した実施形態と同様に、陰極層33及び封止部41を形成する。以上のようにして、ラインヘッド100を製造する。
以上のように、本実施形態におけるラインヘッド100においても、上述と同様の作用、効果を奏するが、隔壁101で各発光領域Aを区画することにより、正孔注入層37及び発光層38をインクジェット法などの液滴吐出法を用いて形成できる。これにより、正孔注入材料及び発光材料の無駄を抑制して低コスト化が図れる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、発光領域は、基板上に一列や千鳥状となるように配置されているが、他の配置状態であってもよい。
また、内側領域の形状は、平面視で円形に限らず、矩形など、他の形状であってもよい。そして、外側領域の形状は、内側領域を囲むように平面視で円環状となっているが、内側領域を囲むような形状であれば平面視でC字状など、他の形状であってもよい。
さらに、内側領域と外側領域とが同心状となるように設けられているが、内側領域のみから光を照射した場合と両領域から光を照射した場合とで感光ドラムにおける照射スポットの中心位置のズレが小さければ、同心状となるように設けられていなくてもよい。同様に、内側領域の外縁と外側領域の内縁とが相似形状となっているが、内側領域のみから光を照射した場合と両領域から光を照射した場合とで感光ドラムにおける照射スポットの中心位置のズレが小さければ、相似形状でなくてもよい。
また、内側領域には内側発光素子が1つのみ設けられているが、複数の内側発光素子が設けられてもよい。同様に、外側領域には外側発光素子が1つのみ設けられているが、複数の外側発光素子が設けられてもよい。
そして、内側領域を囲むように外側領域が設けられているが、内側領域を囲む外側領域を囲むように他の外側領域をさらに設けてもよい。すなわち、内側領域を囲むように、外側領域を二重など複数設けてもよい。
また、内側発光素子と外側発光素子とで発光機能層及び陰極層を共通して用いているが、それぞれ別個に設けてもよい。
そして、内側電極を構成する陽極層と外側電極を構成する陽極層との間に絶縁層が設けられているが、両陽極層間の絶縁性が十分に確保されて内側及び外側の両発光素子間におけるクロストークの発生が抑制できれば、絶縁層を設けなくてもよい。同様に、内側電極を構成する陽極層の外縁及び外側電極を構成する陽極層の内縁を覆うように絶縁層を設けているが、外縁及び内縁を覆わないように両陽極層の間に絶縁層を設けてもよい。
さらに、両駆動素子の駆動が1つの駆動制御回路によって制御されているが、それぞれ異なる駆動制御回路によって制御されてもよい。
また、発光機能層は、正孔注入層及び発光層を積層した構成となっているが、発光層のみで構成されてもよく、発光層と陰極層との間に電子注入層や電子輸送層、正孔阻止層を積層した構成としてもよい。ここで、この電子注入層や電子輸送層は、陰極層から電子を陽極層の方向へ進めて電子を通す機能を有している。また、正孔阻止層は、正孔が陰極層の方向へ進行することを防止する機能を有している。同様に、発光層と陽極層との間に電子阻止層を積層した構成としてもよい。ここで、この電子阻止層は、電子が陽極層の方向へ進行することを防止する機能を有している。
さらに、発光機能層が正孔注入層を有しているが、正孔注入層に代えて正孔注入輸送層または正孔輸送層が設けられた構成としてもよい。
また、画像形成装置は、フルカラー表示が可能なタンデム方式の光プリンタに限らず、単色の光プリンタなど本発明におけるラインヘッドを有するものであればよい。
第1の実施形態における露光ヘッドを示す概略斜視図である。 図1の概略断面図である。 図1のラインヘッドを示す概略平面図である。 図3の概略断面図である。 第1の実施形態における光プリンタを示す概略構成図である。 第2の実施形態におけるラインヘッドを示す概略平面図である。 図6の概略断面図である。
符号の説明
1,100 ラインヘッド、11 基板、12 有機EL素子(内側発光素子)、13 有機EL素子(外側発光素子)、31 陽極層(内側電極)、32 発光機能層、33 陰極層(共通電極)、34 陽極層(外側電極)、35 絶縁層、50 光プリンタ(画像形成装置)、52,52A〜52D 感光ドラム(感光体)、A 発光領域、A1 内側領域、A2 外側領域

Claims (7)

  1. 複数の発光領域から感光体に光を照射して露光するラインヘッドであって、
    前記発光領域が、内側発光素子が設けられた内側領域と、外側発光素子が設けられて前記内側領域を囲むように形成された少なくとも1つの外側領域とを有し、
    前記内側発光素子及び前記外側発光素子をそれぞれ独立して駆動する駆動部を備えることを特徴とするラインヘッド。
  2. 前記内側領域と前記外側領域とが、同心状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のラインヘッド。
  3. 前記内側領域の外縁と、前記外側領域の内縁とが、相似形状であることを特徴とする請求項1または2に記載のラインヘッド。
  4. 前記内側発光素子が、基板の表面に形成された内側電極と、共通電極と、前記内側電極及び前記共通電極の間に配置された発光機能層とを備え、
    前記外側発光素子が、前記基板の表面に形成された外側電極と、前記共通電極と前記発光機能層とを備え、
    前記内側電極と前記外側電極との間に、絶縁層が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のラインヘッド。
  5. 前記絶縁層が、前記内側電極の外縁と前記外側電極の内縁とを覆うことを特徴とする請求項4に記載のラインヘッド。
  6. 前記発光領域の外周に、隔壁が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のラインヘッド。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載のラインヘッドを備えることを特徴とする画像形成装置。
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