JP2008061448A - 電力品質監視システムと方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電力品質監視端末10では、監視対象の受配電設備からの電気量を入力として、端末側指標算出手段141により第1種別グループの電力品質指標1が算出されるとともに、指標算出用データ作成手段142により第2種別グループの電力品質指標2を算出するための指標算出用データが作成される。電力品質監視サーバ20では、サーバ側指標算出手段211により、電力品質監視端末10から送信される指標算出用データを入力として、第2種別グループの電力品質指標2が算出される。第1種別グループおよび第2種別グループの電力品質指標は、表示・蓄積手段212により、サーバのディスプレイ上に表示されるとともにハードディスクなどの外部記憶装置に蓄積される。
【選択図】図3
Description
(構成)
図1は、本発明を適用した第1の実施形態に係る電力品質監視システムの構成を示す図であり、特に、電力品質監視システムを構成する電力品質監視端末および電力品質監視サーバと、その周辺機器・装置との関係を示す概念図である。この図1に示すように、需要家の受配電設備の近傍に設置された電力品質監視端末10と、遠隔地の監視センターに設置された電力品質監視サーバ20は、インターネットなどの通信ネットワーク30を介して接続され、データの送受信をするようになっている。
以上のような構成を有する第1の実施形態の電力品質監視システムにおいて、システム内で算出すべき複数項目の電力品質指標は、一般的に採用されている電力品質指標であり、例えば、以下のような項目および定義で示される電力品質指標である(例えば、非特許文献1参照)。
「過電圧」:需要家供給ポイントにおける電圧上限許容値の逸脱
「瞬時電圧降下」:数サイクル〜数秒の短期間で電圧が回復するような、電力系統のある一点における突然の電圧低下
「短時間停電」:決まった時間(数百ミリ秒〜数分)範囲内で供給電圧が消失すること
「電圧・電流不平衡」:多相系統において、相電圧・相電流の実効値または隣り合う相間の位相角差のすべてが等しいというわけではない状態
「高調波」:系統電圧あるいは電流の周期的変動量のフーリエ解析における1次を超える基本周波数の整数倍の周波数を持った成分
「総合歪率」:基本波に対する全次数の高調波の発生率
(電力品質指標のグループ構成例)
第1種別グループの電力品質指標1:
「周波数」、「過電圧」、「瞬時電圧低下」、「高調波」、「総合歪率」
第2種別グループの電力品質指標2:
「短時間停電」、「電圧・電流不平衡」、「有効電力・無効電力・力率」
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態の電力品質監視システムによる電力品質監視用の動作の概略について説明する。
以下には、電力品質監視端末10側での第1種別グループの電力品質指標1の算出処理と、電力品質監視サーバ20側での第2種別グループの電力品質指標2の算出処理の詳細について、順次説明する。
(周波数の算出処理)
電圧または電流の瞬時値波形のゼロクロス側の時間を高速に検出し、その逆数から周波数を求める。あるいは、瞬時値を離散フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier Transform)して、フェーザ位相角を求め、それを微分して周波数を求める。求めた周波数を、周期的に電力品質監視サーバ20へ送信する。
電圧実効値を電圧瞬時値より求める。この実効値の求め方はデジタルリレーで採用されているアルゴリズム、例えば、整流加算法、振幅二乗法などで求めることができる。求めた実効値が所定電圧値を超えた場合にのみ過電圧を検出したと判定し、この場合の過電圧継続時間と電圧実効値を過電圧検出データとして、電力品質監視サーバ20へ送信する。
電圧の大きさを電圧瞬時値より求める。電力系統に発生する半サイクル程度の極めて短い継続時間の事故を原因とする瞬時電圧降下も考慮すると、電圧の大きさを求めるためのデータ窓長は極力短くする必要がある。求めた電圧の大きさが所定電圧値以下となった場合に、瞬時電圧降下発生と判定し、この場合の電圧降下の発生時刻と継続時間、および降下電圧の大きさ(実効値)を求め、これらを電圧降下検出データとして、電力品質監視サーバ20へ送信する。
電圧瞬時値と電流瞬時値を離散フーリエ変換(DFT)して、基本波に対する整数次数の大きさを求める。求めた値を高調波検出データとして、周期的に電力品質監視サーバ20へ送信する。
(短時間停電の算出処理)
電力品質監視端末10内の指標算出用データ作成手段142で求めた電圧実効値が、通信ネットワーク30経由で送信され、電力品質監視サーバ20のサーバ側指標算出手段211に入力される。サーバ側指標算出手段211において、電圧実効値から短時間停電の有無を検出し、短時間停電を検出した場合は、その発生時刻と継続時間を求めて停電検出データとして出力する。この場合、短時間停電現象は、数百ミリ秒から10分程度継続する現象であるため、通信ネットワーク30の帯域幅に関係なく、電力品質監視サーバ20側で十分実現できる。
電力品質監視端末10内の指標算出用データ作成手段142で求めた3相の電圧実効値あるいは電流実効値が、通信ネットワーク30経由で送信され、電力品質監視サーバ20のサーバ側指標算出手段211に入力される。サーバ側指標算出手段211においては、以下の式(2)に示す演算を行い、電圧・電流不平衡率を求める。一般的に、不平衡率の算出周期は、10分程度の周期で十分であるため、通信ネットワーク30の帯域幅に関係なく、電力品質監視サーバ20側で十分実現できる。
電圧・電流不平衡率= 基本波逆相実効値÷基本波正相実効値 … 式(2)
有効電力、無効電力、力率は、電力品質指標そのものではないが、電力品質の評価を行う際に有用なデータであり、前述したような一般的な電力品質指標に順ずる重要な評価値であるため、電力品質指標と同様に算出する。本実施形態においては、電力品質監視端末10内の指標算出用データ作成手段142により、電圧実効値、電流実効値、および各電気量の位相差が算出されるので、電力品質監視サーバ20側において、サーバ側指標算出手段211により、それらのデータを用いて、有効電力、無効電力、力率を求めることができる。
以上のような第1の実施形態によれば、システム内で算出すべき複数項目の電力品質指標を、電力品質監視端末側での処理に適した第1種別グループと、電力品質監視サーバ側での処理に適した第2種別のグループに予め分類しておき、電力品質監視端末側と電力品質監視サーバ側でそれぞれのグループの電力品質指標を算出することができる。その結果、電力品質の低下の検出および電力品質指標の演算を、電力品質監視端末と電力品質監視サーバの双方で合理的に分担して、一方に過度の負担を与えることなく効率よく実現可能である。
なお、第1の実施形態における前述した電力品質指標のグループ構成例は、一例にすぎず、第1種別グループおよび第2種別グループの電力品質指標の具体的なグループ構成は、電力品質監視端末や電力品質監視サーバの具体的な構成、およびこれらの間の通信に使用する通信ネットワークの帯域幅等の、電力品質監視システムが実際に利用できる環境に応じて異なってくる。
総合歪率= Σ(2次以上の実効値)/(基本波実効値) … 式(3)
(構成)
図4は、本発明を適用した第2の実施形態に係る電力品質監視システムの構成を示すブロック図であり、N台(Nは2以上の整数)の電力品質監視端末10(101〜10N)と1台の電力品質監視サーバ20から構成されている。この図4に示すように、本実施形態において、第1の実施形態と異なる点は、電力品質監視サーバ20に総合品質指標算出手段213を追加した点である。
次に、以上のような構成を有する第2の実施形態の電力品質監視システムによる電力品質監視用の動作の概略について説明する。
まず、第1種別グループの電力品質指標1として瞬時電圧降下を算出し、その統合品質指標を算出・利用する場合について説明する。
次に、第2種別グループの電力品質指標2として次数間高調波を算出し、その統合品質指標を算出・利用する場合について説明する。
以上のような第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果に加えて、さらに次のような効果が得られる。
(構成)
図7は、本発明を適用した第3の実施形態に係る電力品質監視システムの構成を示すブロック図である。この図7に示すように、本実施形態において、第1の実施形態と異なる点は、電力品質監視サーバ20に統合品質指標算出手段214を追加した点である。
次に、以上のような構成を有する第3の実施形態の電力品質監視システムによる電力品質監視用の動作の概略について説明する。
f1(t)=A時点〜t時点間で発生した瞬時電圧降下の回数 … 式(5)
瞬時電圧降下: f1(t)=3、 α1=2
周波数: f2(t)=0.2(基本周波数からの偏差周波数)、 α2=1
総合歪率: f3(t)=3.5(基本波に対する比率)、 α3=1
不平衡率: g1(t)=1.5(平衡状態からの偏差)、 β1=1
以上のような第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果に加えて、さらに次のような効果が得られる。
なお、図7に示した第3の実施形態においては、統合品質指標算出手段を電力品質監視サーバ内に設けたが、変形例として、統合品質指標算出手段を電力品質監視端末内に設ける構成も考えられる。この場合には、第1種別グループの複数項目の電力品質指標を統合することになるが、その効果は第3の実施形態と同様である。
なお、本発明は、前述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で他にも多種多様な変形例が実施可能である。すなわち、図面に示した電力品質監視端末および電力品質監視サーバの構成や本文中に記載した電力品質指標のグループ構成や算出方法は一例にすぎず、具体的な構成や算出方法は適宜選択可能である。また、本発明が対象とする需要家の受配電設備の具体的な構成も何等制限されない。
11…入力変換器
12…アナログフィルタ
13…A/D変換器
14…演算処理部
15…伝送制御部
20…電力品質監視サーバ
30…通信ネットワーク
40…電圧変成器
50…電流変成器
141…端末側指標算出手段
142…指標算出用データ作成手段
211…サーバ側指標算出手段
212…表示・蓄積手段
213…総合品質指標算出手段
214…統合品質指標算出手段
Claims (7)
- 電力需要家の受配電設備を監視するためにその近傍に設置された電力品質監視端末と、少なくとも1つ以上の電力品質監視端末と通信ネットワークを介して接続される電力品質監視サーバからなる電力品質監視システムにおいて、
システム内で算出すべき複数項目の電力品質指標が、第1種別グループおよび第2種別グループのいずれかに予め分類されており、
前記電力品質監視端末は、
監視対象である前記受配電設備からの電気量を入力として、第1種別グループの電力品質指標を算出し、前記通信ネットワークを介して前記電力品質監視サーバに送信する端末側指標算出手段と、
監視対象である前記受配電設備からの電気量を入力として、第2種別グループの電力品質指標を算出するための指標算出用データを作成し、前記通信ネットワークを介して前記電力品質監視サーバに送信する指標算出用データ作成手段を有し、
前記電力品質監視サーバは、
前記電力品質監視端末から送信される指標算出用データを入力として、第2種別グループの電力品質指標を算出するサーバ側指標算出手段を有する
ことを特徴とする電力品質監視システム。 - 前記電力品質監視端末は、複数の電力品質監視端末であり、
前記サーバ側指標算出手段は、前記複数の電力品質監視端末から送信される複数端末分の指標算出用データを入力として、複数端末分の第2種別グループの電力品質指標を算出するように構成され、
前記電力品質監視サーバは、
前記複数の電力品質監視端末から送信される複数端末分の第1種別グループの電力品質指標と、前記サーバ側指標算出手段により算出される複数端末分の第2種別グループの電力品質指標のいずれか一方または両方を用いて、前記複数の電力品質監視端末が設置された地域における総合的な電力品質を表す総合品質指標を算出する総合品質指標算出手段を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力品質監視システム。 - 前記電力品質監視サーバおよび前記電力品質監視端末のいずれか一方は、
第1種別グループと第2種別グループのいずれか一方または両方から選択された少なくとも2項目以上の電力品質指標を用いて、統合的な電力品質を表す統合品質指標を算出する統合品質指標算出手段を有する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力品質監視システム。 - 第1種別グループの電力品質指標は、電気量の瞬時値を入力として算出される指標を含み、
指標算出用データは、電気量の瞬時値を入力として算出される電気量の実効値および各電気量の位相差を含み、
第2種別グループの電力品質指標は、電気量の実効値および各電気量の位相差を入力として算出される指標を含む
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の電力品質監視システム。 - システム内で算出すべき複数項目の電力品質指標は、入力値の検出周期、指標の算出周期、指標算出のために記録するデータ量、および指標算出のために要求される演算能力、の中から選択された1つ以上の分類基準に基づいて、第1種別グループおよび第2種別グループのいずれかに分類されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の電力品質監視システム。 - 第1種別グループの電力品質指標は、周波数、過電圧、瞬時電圧降下、高調波、総合歪率、を含み、
第2種別グループの電力品質指標は、短時間停電、電圧・電流不平衡、を含む
ことを特徴とする請求項5に記載の電力品質監視システム。 - 電力需要家の受配電設備を監視するためにその近傍に設置された電力品質監視端末と、少なくとも1つ以上の電力品質監視端末と通信ネットワークを介して接続される電力品質監視サーバからなる電力品質監視システムを用いた電力品質監視方法において、
システム内で算出すべき複数項目の電力品質指標を、第1種別グループおよび第2種別グループのいずれかに予め分類しておき、
前記電力品質監視端末により、
監視対象である前記受配電設備からの電気量を入力として、第1種別グループの電力品質指標を算出し、前記通信ネットワークを介して前記電力品質監視サーバに送信する端末側指標算出ステップと、
監視対象である前記受配電設備からの電気量を入力として、第2種別グループの電力品質指標を算出するための指標算出用データを作成し、前記通信ネットワークを介して前記電力品質監視サーバに送信する指標算出用データ作成ステップを行い、
前記電力品質監視サーバにより、
前記電力品質監視端末から送信される指標算出用データを入力として、第2種別グループの電力品質指標を算出するサーバ側指標算出ステップを行う
ことを特徴とする電力品質監視方法。
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