JP5932880B2 - 装置故障評価装置 - Google Patents

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本発明は、例えば無停電電源システムや電力需給システム(例えばマイクログリッド需給管理システム)等の需要家装置から発生する音響信号の周波数成分を計算し、当該需要家装置の状態を評価する装置故障評価装置に関する。
従来、電力の需要家装置から測定される物理量の周波数を分析し、その周波数分析結果から需要家装置の劣化や故障の可能性を評価する方法としては、幾つかの技術が提案されている。
従来の技術としては、予め模擬高圧配電線を用いて故障要因別の波形をサンプル収集し、各々のサンプル波形の所定次数までの高調波成分を解析する。そして、故障要因別に高調波含有率の次数毎の平均値の総和を求めた後、故障要因別の総和データの最大値及び最小値を算出して記憶する。実際の高圧配電線の地絡故障時、その零相に流れる電流波形が故障要因別の最大値と最小値の間に入るか否かに基づき、高圧配電線の地絡故障の原因を推定する(特許文献1)。
他のもう1つの従来技術は、需要家における基本波有効電力及び基本波無効電力の過度状態前後の変動有効分及び変動無効分を検出し、その変動分の大きさに基づいて需要家の負荷、力率改善コンデンサ、変圧器等の投入・停止といった運用状態を特定する。
また、この技術では、需要家設備の投入時の電流を周波数分析し、高調波成分の波形パターンである設備毎に異なり、かつ時間的に高調波成分比率が変化する変化パターンを取り出し、需要家設備の運用状態や障害発生設備を特定する(特許文献2)。
特開平06−217451号公報 特許第3952355号
しかしながら、前者の技術は、高圧配電線の地絡故障の原因を特定するだけであり、後者の技術は、専ら需要家設備の投入・停止の運用状態を特定するものであって、音響発生源となる需要家装置から発生する音響の周波数成分から需要家装置の故障やその前兆となる異常を推定するものでない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、需要家装置から発生する音響信号を測定し、その測定された音響信号を周波数分析し、当該需要家装置の故障や前兆となる異常を推定する装置故障評価装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、実施形態は、複数の需要家装置のうち、電力系統から電力の供給を受ける少なくとも一つの需要家装置(設備、機器、部品を含む。以下、同じ)から発生する音響信号を測定する測定手段と、前記測定手段で測定される音響信号を波形分析し実測周波数成分を算出する周波数成分算出手段と、前記需要家装置毎に当該各需要家装置が並列接続される他の需要家装置に特有の周波数と推定される負荷周波数成分の周波数負荷パターンを記憶するデータ記録手段と、前記周波数成分算出手段で算出された実測周波数成分について、前記データ記録手段に記憶される複数の負荷周波数成分のそれぞれの周波数成分一致度を計算する周波数成分一致度計算手段と、前記周波数成分一致度計算手段で算出される周波数成分一致度のうち、前記周波数成分一致度が高い負荷周波数成分に対応する周波数負荷パターンから、前記複数の需要家装置のうち少なくとも一つの需要家装置に係る周波数の影響の高い前記周波数負荷パターンを推定し、その結果を出力する出力手段とを備え、前記データ記録手段は、前記需要家装置毎に、各需要家装置の故障や前兆となる周波数異常と推定される周波数異常周波数成分を有する周波数異常パターンと前記各要家装置の正常時の周波数と推定される周波数正常周波数成分を有する周波数正常パターンとをさらに記憶し、前記周波数成分一致度計算手段は、前記周波数成分算出手段で算出された実測周波数成分について、前記データ記録手段に記憶される複数の周波数異常周波数成分と複数の周波数正常周波数成分とのそれぞれの周波数成分一致度をさらに計算し、前記出力手段は、前記周波数成分一致度計算手段で算出される周波数成分一致度のうち、当該周波数成分一致度が高い前記周波数異常周波数成分に対応する周波数異常パターンから、周波数異常の可能性が高い当該周波数異常パターンをさらに推定し、また、前記周波数成分一致度が低い前記周波数正常周波数成分に対応する周波数正常パターンから、周波数異常の可能性を示す周波数正常パターンをさらに推定し、その結果を出力することを特徴とする装置故障評価装置である。
本発明によれば、需要家装置から発生する音響信号を測定し、その測定された音響信号を周波数分析し、需要家装置の故障や前兆となる異常を推定できる装置故障評価装置を提供できる。
本発明に係る装置故障評価システムの電力系統への適用例を示す系統図。 本発明に係る装置故障評価システムの実施形態1を示す概略構成図。 周波数成分計算手段の一具体例であるFFT処理部を用いた構成図。 周波数正常パターンと周波数異常パターンの一例を説明する図。 予めデータベースに格納される複数の周波数異常パターン例を説明する図。 周波数成分一致度計算手段の機能ブロック及び処理内容を説明する図。 周波数成分の規格化を説明する図。 規格化された実測周波数成分結果と規格化された周波数異常周波数成分とが完全一致している例を説明する図。 規格化された実測周波数成分結果と規格化された周波数異常周波数成分とが完全に一致していない例を説明する図。 規格化された実測周波数成分結果と規格化された周波数異常周波数成分とが一部一致している例を説明する図。 規格化実測周波数成分計算結果と規格化周波数異常周波数成分との一致度の程度と規格化差合計値との関係を表わす図。 周波数成分一致度と規格化差分合計値との関係を別の観点から表わした図。 図2に示す周波数異常推定手段の一具体例を示す構成図 周波数異常周波数成分と周波数成分一致度との関係を説明する図。 周波数異常抽出閾値を設けずに周波数異常推定結果を表示部に表示した一例を示す図。 図2に示す装置故障評価システムの実施形態1の変形例1を示す構成図。 周波数正常周波数成分と周波数成分一致度との関係を説明する図。 図2に示す装置故障評価システムの実施形態1の変形例2を示す構成図。 図2に示す装置故障評価システムの実施形態1の変形例3を示す構成図。 異なる複数種類の周波数パターンの表示例を説明する図。 本発明に係る装置故障評価システムの実施形態2を示す構成図。 一定時間毎に取得した複数の周波数異常パターン毎の周波数成分一致度の時系列的な変化の表示例を示す図。 本発明に係る装置故障評価システムの実施形態3を示す構成図。 図23のアラーム発生手段から発生するアラームのアラーム伝送系を示す図。 アラームの発生条件を説明する図。 図23に示す構成に新たに制御指令発生手段を設けた装置故障評価システムの実施の形態4を示す構成図。 図23の制御指令発生手段から発生する制御指令の制御指令伝送系を示す図。 制御指令の発生条件を説明する図。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明に係る装置故障評価システム1を電力系統に適用した一例を示す図である。
装置故障評価システム1は、例えば上位電力系統2の送電線3から変圧器4を経て所定の電力を受電する母線5に対して、配電線(送電線とも成り得る)6を介して需要家装置である負荷装置7が接続されている。ここで、負荷装置7とは、無停電電源システムや電力需給システム(例えばマイクログリッド需給管理システム等)等のごとく電力需要家のために設置される装置であって、単なる装置だけでなく、上位電力系統2から電力の供給を受ける設備、機器、部品なども含むものである。また、図1では、1台の負荷装置7を示しているが、故障ないしその前兆となる異常時に何らかの音響を発する全ての負荷装置7を対象とするものである。
故障ないしその前兆となる異常の際に音響発生源となりうる負荷装置7の筐体内部、筐体外壁または装置筐体近傍には、集音マイクやアンプ等からなる音響測定部8a及びアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換部8bを備えた音響測定装置8が配置される。なお、音響測定部8aが音響信号を直接にデジタル信号として出力するものであれば、AD変換部8bは不要となる。音響測定装置8は、負荷装置7から音響信号10を測定し、伝送系9を通して装置故障評価システム1へ送信する。
装置故障評価システム1は、音響測定装置8で測定された負荷装置7(音響発生源)から発生する音響信号10を収集し、音響信号10の周波数成分を分析し、負荷装置7の故障やその前兆となる異常を推定する。
よって、図1では、装置故障評価システム1と音響測定装置8は互いに別の構成体として記載されているが、本発明に係る装置故障評価システムの中には音響信号10を測定する音響測定装置8も必須構成要素として含むものである。
図2は本発明に係る装置故障評価システムの実施形態1を示す構成図である。
装置故障評価システム1は、コンピュータを用いて、一定の処理手順に従ってソフトウエア的に処理するものであって、機能的には,周波数成分計算手段11と、データ記録手段12と、周波数成分一致度計算手段13と、周波数異常推定手段(広義には周波数異常出力手段に相当する)14とで構成される。
周波数成分計算手段11は、音響測定装置8で測定された負荷装置7から発生する音響信号10を波形分析し、その音響信号10を構成する周波数成分からなる実測周波数成分計算結果15を取得し、データ記録手段12に保存すると共に、周波数成分一致度計算手段13に送る。
データ記録手段12は、装置(設備、機器、部品を含む)の故障,その前兆となる異常を推定するために必要な各種のデータを記録するものであって、データベース16により構成される。データベース16には、周波数成分計算手段11で計算された実測周波数成分計算結果15を保存する他、予め各負荷装置7、…に対応する例えば周波数異常と推定される周波数成分(以下、周波数異常周波数成分と呼ぶ)17のパターン(以下、周波数異常パターンと呼ぶ)18が格納されている
周波数成分一致度計算手段13は、データベース16に保存された実測周波数成分計算結果15と周波数異常周波数成分17の周波数成分との一致度(以下、周波数成分一致度と呼ぶ)19を計算する機能を持っている。
周波数異常推定手段14は、周波数成分一致度計算手段13で計算された周波数成分一致度19が高いとき、該当する周波数異常周波数成分17に対応する周波数異常パターン18を周波数異常の可能性が高い当該周波数異常パターン18と推定し、この推定された周波数異常パターン18を周波数異常推定結果20として出力する。
周波数異常推定結果20の出力形式としては、例えば、表示装置に表示するとか、プリンタから印字出力するか、あるいはデータ記録手段12または別個の記憶手段に記憶し、あるいは専用伝送回線等を介して外部の出力装置に出力する形式などがある。
次に、以上のような装置故障評価システム1の作用について説明する。
先ず、周波数成分計算手段11では、音響測定装置8から送られてくる音響信号10に含まれる周波数の次数毎の成分を計算する。
周波数の次数毎の成分を計算する手法としては、最も一般的には高速フーリェ変換(FFT:Fast Fourier Transformation)が用いられる。
周波数としては、一定の周期を有し、周期の違う正弦波の集まりとして表される。今、周波数の基本波を一次とすると、周期が基本波の1/2(周波数は2倍)となる正弦波を2次、周期が基本波の1/3(周波数は3倍)となる正弦波を3次、以下同様に周期が基本波の1/n(周波数はn倍)となる正弦波をn次と呼ぶ。
例えば基本波を1Hzとすると、2次は2Hz、3次は3Hzとなり、次数とHzは一致する。Hzは周波数の単位となる。1秒間に1周期の周波数を1Hzという。同様に、基本波を10Hzとすると、2次は20Hz、3次は30Hzとなり、次数はHzの10倍となる。
一般に人間が知覚できる音響信号10の周波数範囲は20Hz〜20kHzであるが、人間どうしの会話の周波数の範囲は200Hz〜8kHzである。
ところで、観測データ(測定データ)が装置の動作特性から離散的なサンプリングデータである場合があり得る。このようなサンプリングデータから周波数成分を求める場合、離散型フーリェ変換と呼ばれる手法を用いて求める必要がある。
その点、高速フーリェ変換(FFT)は、離散型フーリェ変換を高速に解けるように改良した手法であって、連続的または離散的なサンプリングデータの何れにも対応でき、周波数解析において最も汎用的な手法と言える。
そこで、本実施の形態における周波数成分計算手段11は、図3に示す高速フーリェ変換機能を持つFFT処理部11aを用いて、周波数成分の計算処理を行う。
すなわち、FFT処理部11aは、入力される音響信号10を波形分析し、音響信号10に含まれる周波数の次数毎の成分を計算する。
ここで、各次数の周波数の大きさを、周波数スペクトルの大きさとすると、周波数含有率は、周波数の次数毎に計算されるもので、式(1)で表される。
周波数含有率(次数)=周波数スペクトルの大きさ(次数毎)÷サンプル周波数における周波数スペクトルの大きさの総和 ……(1)
例えばサンプル周波数が1Hz〜1000Hzであれば、サンプル周波数の総和は1Hzから1000Hzまでの周波数スクトル(次数毎)の総和となる。
一方、データベース16には、前述したように周波数異常パターン18の周波数異常周波数成分17が格納されている。周波数異常パターン18とは、設備,装置,機器,部品の故障やその前兆となる周波数の異常パターンである。
周波数の正常・異常パターンについて、図4により説明する。
図4(a)は周波数正常パターン21の一例を示す図であって、400Hzから500Hzにピークを有する周波数スペクトル分布を示している。ここで、周波数正常パターン21とは、装置の故障やその前兆とならない周波数のパターンであって、通常運用時の周波数パターンである。これは、設備ごと、装置ごと、機器ごと、部品ごとに異なる。
図4(b)は周波数異常パターン18の一例を示す図であって、400Hzから500Hzにピークを有する周波数スペクトル分布とは別に、1500Hz付近に異常を示す周波数スペクトル分布が存在する。
図5(a)〜(c)は、データベース16に格納されている周波数異常パターン18−A、18−B、18−Cの一例であって、縦軸が周波数の大きさ(周波数含有率)、横軸が周波数(Hz)で表している。周波数含有率は前述したように周波数の次数毎に式(1)で計算される。
周波数異常パターン18−A、18−B、18−Cは、正常な周波数分布とは別に、異常な周波数分布(周波数異常周波数成分)を有する。因みに、周波数異常パターン18−Aは、1500Hz付近に異常な周波数分布があり、周波数異常パターン18−Bは、1200〜1300Hz付近に異常な周波数分布があり、周波数異常パターン18−Cは、1300Hz付近,1700Hz〜1800Hz付近に異常な周波数分布がある例である。
なお、周波数異常パターン18は、正常な周波数分布と異常な周波数分布とが完全に周波数的に分離されているものでなく、例えば正常周波数分布に一部重なり合って突き出すような分布を示す異常な周波数分布の場合もある。
ところで、異常周波数を含む音響信号10(異常音)は、電力需給システムを構成する負荷装置(設備,装置、機器,部品)7の故障だけでなく、その故障の前兆となっている場合が多い。そのため、データベース16には、電力需給システム等を構成する各負荷装置7の故障の他、その前兆となる異常となる周波数の次数毎成分の組み合せ及び周波数の次数毎成分の含有率からなる多数の周波数異常パターン18が格納される。
図6は周波数成分一致度計算手段13の機能ブロック及び処理内容を説明する図である。
周波数成分一致度計算手段13は、実測周波数成分計算結果15の合計が1となるように規格化する処理を実行する規格化計算処理部13aと、この規格化計算処理部13aで計算された実測周波数成分計算結果15の規格化結果(規格化した値)とデータベース16に格納される周波数異常周波数成分17毎に周波数成分の合計が1となるように規格化した値との一致度を計算する一致度計算処理部13bとが設けられている。
規格化計算処理部13aは、サンプル周波数の領域において、周波数成分計算手段11から実測周波数成分計算結果15を受け取ると、規格化処理を実行し、実測周波数成分計算結果15に含む各次数の周波数成分の合計が1となるように規格化する。
規格化処理は、次の式(2)を用いて、規格化後のj次(jは2以上の自然数)の成分を算出する。
規格化後のj次の成分=規格化前j次の周波数成分/規格化前の周波数成分の合計値
……(2)
式(1)と式(2)のサンプル周波数が同じであるとすれば、式(2)の規格化後のj次の成分は、実測周波数成分計算結果15における周波数含有率(j次)となる。
但し、図5に示すように正常な周波数分布が異常な周波数分布に比べて大きいとき、周波数正常パターン21と周波数異常パターン18との差が相対的に小さいことから、サンプル周波数としては、異常な周波数領域を相対的に多く含む領域からサンプリングすることが必要である。
例えば周波数異常パターン18−Aにおけるサンプル周波数は1500Hz付近、周波数異常パターン18−Bにおけるサンプル周波数は1200Hz〜1300Hz付近、周波数異常パターン18−Cにおけるサンプル周波数は1300Hz〜1800Hz付近の領域を多く含むようにサンプリングする。
図7は周波数成分の規格化におけるサンプル周波数を説明する図である。
図7(a)は周波数異常パターン18−Aのサンプル周波数の領域が1000Hz〜2000Hzとした場合であって、異常な周波数分布の積分値の合計を1とする。同様に、図7(b)は周波数異常パターン18−Bのサンプル周波数の領域が1000Hz〜1500Hzとした場合、図7(c)は周波数異常パターン18−Cのサンプル周波数の領域が1000Hz〜2000Hzとした場合である。
一致度計算処理部13bは、サンプル周波数領域において、実測周波数成分計算結果15の規格後の値(以下、規格化実測周波数成分計算結果22と呼ぶ。図8(a)参照)と、データベース16にある周波数異常周波数成分17の規格化後の値(以下、規格化周波数異常周波数成分23と呼ぶ。図8(b)参照)との差分の絶対値を次数ごとに取り、式(3)のように合計値(以下、規格化差分合計値24と呼ぶ)を計算する。
規格化差分合計値24=|規格化後の周波数iHzの成分(実測周波数成分計算結果15)−規格化後の周波数iHzの成分(周波数異常周波数成分17)|+|規格化後の周波数jHzの成分(実測周波数成分計算結果15)−規格化後の周波数jHzの成分(周波数異常周波数成分17)|+ …… +|規格化後の周波数nHzの成分(実測周波数成分計算結果15)−規格化後の周波数nHzの成分(周波数異常周波数成分17)|
=|周波数iHzの成分(規格化実測周波数成分計算結果22)−周波数iHzの成分(規格化周波数異常周波数成分23)|+|周波数jHzの成分(規格化実測周波数成分計算結果22)−周波数jHzの成分(規格化周波数異常周波数成分23)|+ …… +|周波数nHzの成分(規格化実測周波数成分計算結果22)−周波数nHzの成分(規格化周波数異常周波数成分23)|(但し、サンプル周波数領域はiHz〜nHzである)。
……(3)
すなわち、一致度計算処理部13bは、図8に示すように規格化実測周波数成分計算結果22と規格化周波数異常周波数成分23との周波数成分及び大きさとも完全に一致している場合、前記式(3)から規格化差分合計値24=0となる(但し、サンプル周波数領域が1500Hz〜1510Hzの範囲である)。
一方、図9は規格化実測周波数成分計算結果22と規格化周波数異常周波数成分23とが全く一致していない例を示す図である。
一致度計算処理部13bは、式(3)に基づき、規格化実測周波数成分計算結果22と規格化周波数異常周波数成分23が完全に一致していない場合、規格化実測周波数成分計算結果22の合計値と、規格化周波数異常周波数成分23の合計値がそれぞれ「1」であることから、規格化差分合計値24は「2」となる。但し、サンプル周波数領域は1500Hz〜1510Hzの範囲である。
また、図10は規格化実測周波数成分計算結果22と規格化周波数異常周波数成分23とが一部一致している例を示す図である。一部一致の場合の規格化差分合計値24は、一致していない部分の合計値であって、完全一致している場合の値「0」から全く一致していない場合の値「2」までの中間の値となる。
因みに、図10の例では、一致していない部分の和としては、規格化実測周波数成分計算結果22の周波数領域1503Hzの値0.6と、規格化周波数異常周波数成分23の周波数領域1507Hzの値0.6との和である「1.2」となる。但し、サンプル周波数領域は1500Hz〜1510Hzの範囲である。
図11は規格化実測周波数成分計算結果22と規格化周波数異常周波数成分23との一致度の程度と規格化差合計値24との関係を示す図である。この図から明らかなように、完全一致の規格化差分合計値24は「0」、完全不一致の規格化差分合計値24は「2」となり、部分的に一致しているときはその中間の値となることを表わしている。
ここで、周波数成分一致度19の定義について考える。
今、規格化実測周波数成分計算結果22と規格化周波数異常周波数成分23が完全に一致している場合を100%、全く一致していない場合を−100%、これらの中間を0%となるようにすれば、図12に示すように理解し易く表すことができる。
そこで、図12に示す周波数成分一致度19と規格化差分合計値24との間の変換式は、式(4)で表わせる。その結果、式(4)で計算された結果が周波数成分一致度19と定義することができる。
周波数成分一致度19=(1−規格化差分合計値24)×100(%)…(4)
すなわち、一致度計算処理部13bは、周波数異常周波数成分17ごとに、実測周波数成分計算結果15との周波数成分一致度19を式(4)によって計算し、周波数異常推定手段14に渡す。
周波数異常推定手段14は、周波数成分一致度計算手段13から受け取った周波数異常周波数成分17ごとの周波数成分一致度19をもとに、周波数異常となる周波数異常パターン18を推定する。
図13は、周波数異常推定手段14の機能ブロック及び処理内容を説明する図である。
周波数異常推定手段14は一致度並び替え処理部14aと周波数異常抽出部14bとで構成される。
一致度並び替え処理部14aは、周波数異常周波数成分17の周波数成分一致度19をもとに当該周波数異常周波数成分17を並び替える処理を行うものであって、例えば周波数成分一致度19の高いものから順に並び替える処理を実行する。
周波数異常抽出部14bは、周波数成分一致度19の高いものから順に並び替えた周波数異常周波数成分17をもつ周波数異常パターン18の中から、周波数異常と推定されるパターン18を抽出し、周波数異常推定結果20として出力する。
図14は周波数異常周波数成分17と周波数成分一致度19との関係を説明する図である。
周波数異常推定手段14は、一致度並び替え処理部14aが周波数異常周波数成分17に対応する周波数異常パターン18を、周波数成分一致度19の高いものから順に左側から並べていくと、図14に示すように周波数成分一致度19が100%から−100%の間に収まり、左側にあるほど周波数異常が高く、右側にあるほどほど周波数異常が低いと考えることができる。
従って、周波数異常推定手段14の周波数異常抽出部14bでは、実験の積み重ねや経験等を通して装置の故障やその前兆となる異常に影響を与える可能性を考慮しつつ周波数異常抽出閾値25を設定し、周波数成分一致度19が周波数異常抽出閾値25よりも高い周波数異常周波数成分17をもつ周波数異常パターン18を周波数異常として抽出することが可能である。つまり、周波数異常抽出部14bは、図14に示すように周波数異常抽出閾値25より上側に存在する周波数異常周波数成分17を持つ周波数異常パターン18を周波数異常推定結果20として出力する。
なお、周波数異常推定手段14としては、周波数要因抽出閾値25を設けることなく、周波数成分一致度19の高い順に並べ替えて周波数異常推定結果20として出力してもよい。
図15は周波数異常抽出閾値25を設けずに周波数異常推定結果20を表示装置に表示した一例を示す図である。
同図において、縦軸が周波数成分一致度19、横軸が周波数異常パターン18であって、周波数成分一致度19の高い順番に左側から右側に表示している。
従って、以上のような実施の形態によれば、需要家装置である各負荷装置7自身または当該負荷装置7近傍に音響測定装置8を配置し、この音響測定装置8で負荷装置7,…から発生する異常音を含む音響信号10を測定し、この音響信号10に含まれる周波数の次数毎の成分を計算し、実測周波数成分計算結果15を取り出す。そして、実測周波数成分計算結果15と予めデータベース16に格納される装置等の故障やその前兆となる異常を表す複数の異常周波数成分17との周波数成分一致度を計算し、周波数異常周波数成分17の高い一致度を持つ周波数異常ターン18を抽出するので、需要家装置(設備,機器,部品を含む)の故障やその前兆となる周波数異常パターンを確実、かつ正確に推定できる。
また、周波数成分一致度計算手段13は、周波数成分計算手段11で得られる実測周波数成分計算結果15の合計が1となるように規格化する規格化計算処理部13aと、一致度計算処理部13bとを設け、この一致度計算処理部13bが規格化計算処理部13aで規格化された規格化実測周波数成分計算結果22とデータベース16に格納された周波数異常周波数成分23毎の周波数成分の合計が1となるように規格化された各規格化周波数異常周波数成分23との差分から周波数成分一致度を計算し、一致度の高い順番に並べて表示するので、周波数異常パターン18を見やすく並べて表示でき、何れの周波数異常パターン18が最も故障やその前兆ト成る異常に影響を与えているか容易に把握することができる。
(実施の形態1の変形例)
(変形例1)
図16は本発明に係る装置故障評価システムの実施の形態1における変形例1を示す構成図である。
変形例1における装置故障評価システム1は、実施の形態1と同様に、周波数成分計算手段11と、データ記録手段12と、周波数成分一致度計算手段13と、周波数異常推定手段14とで構成される。
上記実施の形態1では、データベース16に各負荷装置7の故障やその前兆となる異常を有する周波数異常周波数成分17、…を持った周波数異常パターン18,…を格納した後、周波数成分一致度計算手段13が周波数成分計算手段11で得られた実測周波数成分計算結果15とデータベース16に格納される周波数異常周波数成分17の周波数成分との一致度19を計算したが、この変形例1では、図16に示すように周波数異常周波数成分17を持った複数の周波数異常パターン18に代えて、データベース16に各負荷装置7に関する周波数正常と推定される周波数正常周波数成分17b,…を持った周波数正常パターン18b,…を格納し、周波数成分一致度計算手段13にて実測周波数成分計算結果15との一致度を計算する構成である。
従って、変形例1では、負荷装置7の筐体内部、筐体外部、当該筐体近傍に音響測定装置8を設置し、負荷装置7から発生する音響信号10を測定し、周波数成分計算手段11に音響信号10の波形分析を実施し、周波数成分を計算する点については、実施の形態1と全く同じである。
周波数成分一致度計算手段13は、図6に示す構成に基づき、実測周波数成分計算結果15の規格化処理を行った後、この規格化された実測周波数成分計算結果15と、データベース16に保存されている規格化された周波数正常周波数成分17bの周波数成分との周波数成分一致度19bを計算する。なお、周波数成分一致度計算手段13の規格化処理、規格化差分処理及び周波数成分一致度19bの処理は前述する式(2)〜式(4)に従って計算処理を行う。
周波数異常推定手段14は、図13に示すように一致度並び替え処理部14aと周波数異常抽出部14bで構成される。一致度並び替え処理部14aは、周波数正常周波数成分17bの周波数成分一致度19bのもとに、周波数正常周波数成分17bを並び替える処理を行う。例えば、周波数成分一致度19bの高いものから順に並び替える。
周波数異常抽出部14bは、一致度並び替え処理部14aにて周波数成分一致度19bの高いものから順に並び替えられた周波数正常周波数成分17bをもつ周波数正常パターン18bのうち、当該周波数正常周波数成分17bをもつ周波数正常パターン18bの周波数成分一致度19bが低いとき、周波数異常の可能性をもった周波数正常パターン18bと推定し、周波数異常推定結果20として出力する。
因みに、実測周波数成分計算結果15と周波数正常周波数成分17bとの周波数成分一致度19bが高い場合、例えば両周波数成分が完全に一致した場合には周波数正常パターン18bそのものとなり、正常な周波数であることを意味する。
図17は周波数成分一致度19bと周波数正常周波数成分17bとの関係を示す図である。すなわち、図17は、周波数正常周波数成分17bに対応する周波数正常パターン18bを、周波数成分一致度19bの高いものから順に左側から右側に並べたものであって、周波数成分一致度19bが100%から−100%の間に収まり、左側にあるほど周波数正常として高いと考えられる。
よって、予め周波数異常閾値26を設定しておけば、周波数成分一致度19bが周波数異常閾値26よりも低いとき、周波数異常と推定することができる。
(変形例2)
図18は本発明に係る装置故障評価システムの実施の形態1における変形例2を示す構成図である。
変形例2における装置故障評価システム1は、実施の形態1と同様に、周波数成分計算手段11と、データ記録手段12と、周波数成分一致度計算手段13と、周波数異常推定手段14とで構成される。
データ記録手段12を構成するデータベース16に各負荷装置7に関する故障やその前兆となる周波数異常周波数成分17,…を持った周波数異常パターン18,…及び各負荷装置7に関する周波数正常と推定される周波数正常周波数成分17b,…を持った周波数正常パターン18b,…が格納され、周波数成分一致度計算手段13にて実測周波数成分計算結果15との一致度を計算する構成である。
周波数成分一致度計算手段13は、図6に示す構成及び式(2)、式(3)に基づき、周波数成分計算手段11で計算された実測周波数成分計算結果15とデータベース16に保存されている周波数異常周波数成分17の周波数成分と、同じく実測周波数成分計算結果15と周波数正常周波数成分17bの周波数成分とのそれぞれの周波数成分一致度19,19bを計算する。
周波数異常推定手段14は、周波数成分一致度計算手段13で計算された周波数成分一致度19,19bに基づき、周波数成分一致度19が高い周波数異常パターン18を周波数異常の可能性が高い周波数異常パターン18と推定し、また、周波数成分一致度19bが低い周波数正常パターン18bを周波数異常の可能性を示す周波数正常パターン18bと推定する。そして、周波数異常推定手段14は、周波数異常パターン18の周波数成分一致度19と、周波数正常パターン18bの周波数成分一致度19bとの両方から周波数異常を判定し、その判定結果を周波数異常推定結果20として出力する。
従って、この変形例によれば、周波数異常の可能性が高い周波数異常パターン18の周波数異常周波数成分の高調波一致度19だけでなく、周波数異常の可能性を示す周波数正常パターン18bの周波数正常周波数成分の高調波一致度19bも考慮しつつ、負荷装置7の故障や前兆となる異常を推定することができる。
(変形例3)
図19は本発明に係る装置故障評価システムの実施の形態1における変形例3を示す構成図である。
上位の商用電力系統2に接続される需要家の電力系統母線5には、企業の工場内を例に挙げれば、各建屋ごとに多数の設備、装置、機器が設置され、また同一の建物であっても各階ごとに異なる設備、装置、機器が設置されている。その結果、周波数異常の可能性が高い周波数異常パターン18の周波数正常周波数成分の高調波一致度だけから、負荷装置7の故障やその前兆となる異常を推定することが難しい。例えば、周波数異常の可能性が高い周波数異常パターン18だけでなく、設備、装置、機器が正常であっても、他の設備、装置、機器の影響を受けて、周波数異常の可能性を示す周波数正常周波数成分の周波数正常パターン18bを発生したり、あるいは電力系統母線5に複数の設備、装置、機器が並列的に接続されている場合、負荷特有の周波数の影響の高い負荷周波数成分の周波数負荷パターンを発生する場合もある。このことは、総合的に周波数成分の一致度19を把握し、周波数成分の異常を推定することが望ましい。
そこで、変形例3における装置故障評価システム1は、実施の形態1と同様に、周波数成分計算手段11と、データ記録手段12と、周波数成分一致度計算手段13と、周波数異常推定手段14とで構成される。
データ記録手段12を構成するデータベース16には予め各負荷装置7に関する故障やその前兆となる周波数異常周波数成分17,…を持った周波数異常パターン18,…と、各負荷装置7に関する周波数正常と推定される周波数正常周波数成分17b,…の周波数正常パターン18b,…と、並列する負荷装置7,…が存在する場合にその負荷特有の周波数と推定される負荷周波数成分17c,…の周波数負荷パターン18c,…が格納されている。
この状態において、周波数成分一致度計算手段13は、前述した図6の構成及び式(2)〜式(4)に基づき、周波数成分計算手段11によって保存された実測周波数成分結果15と周波数異常周波数成分17の周波数成分との周波数成分一致度19と、前記実測周波数成分結果15と周波数正常周波数成分17bの周波数成分との周波数成分一致度19bと、前記実測周波数成分結果15と負荷周波数成分17cの周波数成分との周波数成分一致度19cをそれぞれ計算する。
周波数異常推定手段14は、周波数成分一致度計算手段13で計算された周波数成分一致度19,19b,19cの中から、周波数成分一致度19が高い周波数異常パターン18を周波数異常の可能性が高い周波数異常パターン18と推定し、周波数成分一致度19bが低い周波数正常パターン18bを周波数異常の可能性を示す周波数正常パターン18bと推定し、さらに、周波数成分一致度19cが高い周波数負荷パターン18cを負荷による周波数の影響の高い周波数負荷パターン18cと推定する。
そして、周波数異常推定手段14は、周波数異常パターン18の周波数成分一致度19と周波数正常パターン18bの周波数成分一致度19bと周波数負荷パターン18cの周波数成分一致度19cとから周波数異常を判定し、その判定結果を周波数異常推定結果20として出力する。
図20は周波数成分一致度と周波数パターンとの表示例を示す図である。同図において縦軸が高調波成分一致度19,19b,19c、横軸が高調波成分一致度18と各パターン21a〜21cとの関係を表す。
周波数異常推定手段14は、周波数異常推定結果20を出力する機能を有する。出力する機能とは、印字出力する機能、他の監視センター装置に伝送する機能、システムのデータベース16に蓄積する機能の他、表示部に表示する機能等を含むものである。
従って、周波数異常推定手段14としては、図20に示すように、周波数異常推定結果20を表示部に表示することができる。
図20(a)では、高調波正常パターン18bが周波数異常抽出閾値25の上側に存在し、また高調波負荷パターン18cが周波数正常パターン18bの下側にあり、周波数異常パターン18が周波数異常抽出閾値25の下側にあるが、当該周波数異常パターン18の周波数は負荷周波数の影響を受けているので、正常であり故障はないと判断できる。つまり、母線5に接続される負荷装置7が近くの他の負荷装置である例えばパソコンや回転機などの影響を受けて異常となる成分の周波数が発生していると考えられる。
一方、図20(b)では、周波数異常パターン18が周波数異常抽出閾値25の上側に存在し、高調波正常パターン18bが周波数異常抽出閾値25の下側にあるが、周波数異常パターン18が周波数正常パターン18bや周波数負荷パターン18cの上側にあることから、その周波数異常パターン18の周波数は、異常であり故障の可能性があると判断できる。
従って、以上のような変形例3によれば、高調波成分一致度計算手段13は、一致度を計算し、一致度の高い順番に並べて表示可能とするので、各周波数パターン18、18b,18cを見やすく並べて表示でき、これら複数のパターン18、18b,18cから総合的に周波数成分の一致度19,19b,19cを把握し、周波数成分の異常を推定することができる。
(実施の形態2)
図21は本発明に係る装置故障評価システムの実施の形態2を示す構成図である。
この装置故障評価システム1は、図2に示す周波数成分計算手段11、データ記録手段12及び周波数成分一致度計算手段13の他に、周波数成分一致度計算手段13の出力側に周波数異常推定手段14に代えて、結果表示制御手段31を設けた構成である。なお、周波数異常推定手段14や結果表示制御手段31は、広義には何れも周波数異常出力手段に相当する役割を有する。
周波数成分一致度計算手段13は、データベース16に保存された実測周波数成分計算結果15と周波数異常周波数成分17の周波数成分との周波数成分一致度19を計算し、例えばデータ記録手段12の所定の記憶領域に記憶し、出力する。
結果表示制御手段31は、周波数成分一致度計算手段13から出力される周波数異常周波数成分17毎の周波数成分一致度19を表示装置32に表示するとともに、一定時間毎に周波数成分計算手段11に戻り、各構成手段11,13,31による処理を繰り返し実行する。その結果、データ記録手段12の所定の記録領域には、所要とする期間(例えば24時間)にわたって所定時間ごとの周波数異常パターン18(18−A〜18−D)毎の周波数成分一致度19が時系列的に記録される。
図22は、結果表示制御手段31によって周波数異常パターン18−A〜18−D毎の周波数成分一致度19の表示例を示す図である。縦軸は周波数成分一致度19、横軸は時間である。
図22の例は、一日24時間分の表示例である。すなわち、周波数成分一致度計算手段13は、周波数異常パターン18−A、18−B、18−C、18−Dの周波数成分一致度19を一日24時間分にわたって時系列的に蓄積し、結果表示制御手段31にて表示した例である。
この実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏する他、所要とする期間にわたって各時間毎の各周波数異常パターン18−A、18−B、18−C、18−D毎の周波数成分一致度19の変化を表示できるので、各周波数異常パターン18の時間的な変化の推移を把握でき、特定の周波数異常パターン18が何れの時間帯に大きく異常となることを容易に判断できる。
(実施の形態2の変形例)
実施の形態2は、所定時間毎に複数の周波数異常パターン18の周波数成分一致度19を計算し、データベース16に時系列的に蓄積し、表示装置32に例えば一日24時間分にわたって時系列的に変化する周波数成分一致度19を表示するようにしたが、この実施の形態2に前述した実施の形態1の変形例1〜3の組合せ周波数パターンを適用することもできる。
すなわち、周波数成分一致度計算手段13は、所定時間ごとに実施の形態1の変形例1〜3の組合せ周波数パターン,つまり周波数正常パターン18bの周波数成分一致度19b、周波数異常パターン18及び周波数正常パターン18bの周波数成分一致度19,19b、周波数異常パターン18、周波数正常パターン18b及び周波数負荷パターン18cの周波数成分一致度19,19b,19cを計算し、データベース16に時系列的に蓄積し、かつ、結果表示制御手段31にて例えば一日24時間分にわたって時系列的に変化する周波数成分一致度19を表示装置32に表示させる構成であってもよい。
(実施の形態3)
図23は本発明に係る装置故障評価システム1の実施の形態3を示す構成図である。
この実施の形態3における装置故障評価システム1は、周波数成分計算手段11、データ記録手段12、周波数成分一致度計算手段13及び周波数異常推定手段14の他、新たにアラーム発生手段40を設けた構成である。
アラーム発生手段40は、周波数異常推定手段14によって周波数異常推定結果20ないし周波数異常発生源41が特定されるが、そのとき周波数異常の程度が大きいとき、周波数異常(異常音響)発生源をもつ負荷装置7や電力エネルギー系を集中管理する中央監視制御センター42に対して、アラーム43を送出する。
図24はアラーム発生手段40によるアラーム43のアラーム伝送系を説明する図である。
装置故障評価システム1は、各負荷装置7,…(図24では1台の負荷装置)との間にアラーム43を伝送するアラーム伝送系44A,…が接続され、また中央監視制御センター42との間にも同様にアラーム伝送系44Bが接続され、周波数異常の程度が大きいとき、アラーム伝送系44A,44Bを介して周波数異常(異常音響)発生源となる負荷装置7や中央監視制御センター42に対して、アラーム43を送出する。なお、周波数異常の程度は、周波数異常パターン18の周波数成分一致度19とする。
なお、アラーム43の発生タイミングとしては、図25に示すように、予め定める周波数の警戒レベルを示す周波数警戒レベル閾値45を一定時間(アラーム発生時限値とも呼ぶ)46を超えたとき、アラーム43を発生する。なお、周波数警戒レベル閾値45は、別途に設定してもよく、あるいは図7に示す周波数異常抽出閾値26を用いても良い。
従って、以上のような実施の形態によれば、周波数異常パターン18の周波数成分一致度19から周波数異常の程度が大きく、周波数警戒レベル閾値45をアラーム発生時限値46を超えたとき、異常周波数(異常音響)発生源となる負荷装置7や中央監視制御センター42に対して、アラーム43を送出するので、負荷装置(設備,機器、部品を含む)7の故障やその前兆となる異常を推定でき、速やかに必要な対策を講じることができる。
(実施の形態3の変形例)
実施の形態3については、周波数異常パターン18の周波数成分一致度19が周波数警戒レベル閾値45を超えてアラーム発生時限値46に至ったとき、アラーム43を送出するようにしたが、当該実施の形態3に前述した実施の形態1の変形例1〜3の組合せ周波数パターンを適用することができる。すなわち、図16、図18、図19に示す装置故障評価システム1の周波数異常推定手段14の出力側にアラーム発生手段40を設け、図25に示す条件のもとに、異常周波数(異常音響)発生源をもつ負荷装置7や電力エネルギー系を集中管理する中央監視制御センター42に対して、アラーム43を通知するようにしても良い。
(実施の形態4)
図26は本発明に係る装置故障評価システム1の実施の形態4を示す構成図である。
この実施の形態4は、図23に示す構成に新たに制御指令発生手段47を設けたものである。
すなわち、この装置故障評価システム1は、周波数異常推定手段14の出力側にアラーム発生手段40と制御指令発生手段47とを備え、アラーム発生手段40は前述した要領でアラーム42を発生する。
一方、制御指令発生手段47は、ある負荷装置7が周波数異常発生源であると特定されたとき、その負荷装置7に対して停止等の制御指令48を送出する。
図27は制御指令発生手段47による制御指令48の伝送系を説明する図である。
この例は、操作故障評価システム1と各負荷装置7,…との間に新たに制御指令伝送系49A,…を接続し、例えば、周波数異常推定手段14によって周波数異常発生源が負荷装置7であると特定されたとき、アラーム発生手段40は、アラーム伝送系44Aを介して負荷装置7に対し当該負装置7が周波数異常状態であることのアラーム42を発生する。
一方、制御指令発生手段47は、周波数異常推定手段14によってある負荷装置7が周波数異常発生源として特定され、その周波数異常の程度が大きいとき、その特定された負荷装置7に対し、制御指令伝送系49Aを介して停止を含む負荷低減に関する制御指令48を送出することにより、負荷装置7が前兆となる異常の場合には故障に至らないような処置を講じ、あるいは負荷装置7の故障の場合には速やかに回復処置を講じる。
さらに、アラーム発生手段40は、アラーム伝送系44Bを介して中央監視制御センター42に対し、該当負荷装置7が周波数異常状態であることと、該当負荷装置7へ停止等の制御指令を送出したことのアラーム43を発生する。
なお、制御指令48の発生タイミングとしては、図28に示すように新たに周波数危険レベル閾値50及び一定の時間(制御指令発生時限値)51を設定する。そして、周波数異常の程度が周波数警戒レベル閾値45及びアラーム発生時限値46を超え、さらに、周波数の危険レベルを示す周波数危険レベル閾値50を一定時間(制御指令発生時限値51)を超えると、停止等の制御指令48を負荷装置7に送出する。
従って、以上のような実施の形態によれば、負荷装置7から発生する音響信号10の分析周波数成分結果と周波数異常周波数成分との周波数成分一致度,周波数異常が警戒レベルにあることのアラームを発生するので、現場の監視要員は負荷装置7が悪化していることを把握でき、周波数異常の影響が危険な状態にあるとき、周波数異常の発生源に対して周波数異常の抑制を図るべき制御指令を送出するので、周波数異常による災害を未然に回避することができる。
(実施の形態4の変形例)
実施の形態4については、周波数異常パターン18の周波数成分一致度19が警戒レベルにあることのアラームを発生し、かつ、負荷装置7の動作制御を停止するようにしたが、前述した実施の形態1の変形例1〜3の組合せ周波数パターンにも同様に適用することができる。すなわち、図16、図18、図19に示す装置故障評価システム1の周波数異常推定手段14の出力側にアラーム発生手段40及び制御指令発生手段47を設け、図28に示す条件のもとに、危険状態にある負荷装置7に対して、制御指令伝送系49Aを介して停止を含む負荷低減に関する制御指令48を送出することができる。
その他、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
1…装置故障評価システム、2…上位電力系統、5…母線、7…負荷装置、8…音響測定装置、9…伝送系、10…音響信号、11…周波数成分計算手段、11a…FFT処理部、12…データ記録手段、13…周波数成分一致度計算手段、13a…規格化計算処理部、13b…一致度計算処理部、14…周波数異常推定手段、14a…一致度並び替え処理部、14b…周波数異常抽出部、15…実測周波数成分計算結果、16…データベース、17…周波数異常周波数成分、17b…周波数正常周波数成分、17c…負荷周波数成分、18…周波数異常パターン、18b…周波数正常パターン、18c…周波数負荷パターン、31…結果表示制御手段、32…表示装置、40…アラーム発生手段、42…中央監視制御センター、47…制御指令発生手段。

Claims (6)

  1. 複数の需要家装置のうち、電力系統から電力の供給を受ける少なくとも一つの需要家装置(設備、機器、部品を含む。以下、同じ)から発生する音響信号を測定する測定手段と、
    前記測定手段で測定される音響信号を波形分析し実測周波数成分を算出する周波数成分算出手段と、
    前記需要家装置毎に当該各需要家装置が並列接続される他の需要家装置に特有の周波数と推定される負荷周波数成分の周波数負荷パターンを記憶するデータ記録手段と、
    前記周波数成分算出手段で算出された実測周波数成分について、前記データ記録手段に記憶される複数の負荷周波数成分のそれぞれの周波数成分一致度を計算する周波数成分一致度計算手段と、
    前記周波数成分一致度計算手段で算出される周波数成分一致度のうち、前記周波数成分一致度が高い負荷周波数成分に対応する周波数負荷パターンから、前記複数の需要家装置のうち少なくとも一つの需要家装置に係る周波数の影響の高い前記周波数負荷パターンを推定し、その結果を出力する出力手段とを備え、
    前記データ記録手段は、前記需要家装置毎に、各需要家装置の故障や前兆となる周波数異常と推定される周波数異常周波数成分を有する周波数異常パターンと前記各要家装置の正常時の周波数と推定される周波数正常周波数成分を有する周波数正常パターンとをさらに記憶し、
    前記周波数成分一致度計算手段は、前記周波数成分算出手段で算出された実測周波数成分について、前記データ記録手段に記憶される複数の周波数異常周波数成分と複数の周波数正常周波数成分とのそれぞれの周波数成分一致度をさらに計算し、
    前記出力手段は、前記周波数成分一致度計算手段で算出される周波数成分一致度のうち、当該周波数成分一致度が高い前記周波数異常周波数成分に対応する周波数異常パターンから、周波数異常の可能性が高い当該周波数異常パターンをさらに推定し、また、前記周波数成分一致度が低い前記周波数正常周波数成分に対応する周波数正常パターンから、周波数異常の可能性を示す周波数正常パターンをさらに推定し、その結果を出力することを特徴とする装置故障評価装置。
  2. 請求項1に記載の装置故障評価装置において、
    前記出力手段は、前記周波数成分一致度の高い順に、前記周波数異常周波数成分をもつ前記周波数異常パターン及び前記周波数正常周波数成分をもつ前記周波数正常パターンを表示することを特徴とする装置故障評価装置。
  3. 請求項1に記載の装置故障評価装置において、
    前記出力手段は、前記周波数成分一致度の高い順に、前記周波数異常周波数成分をもつ前記周波数異常パターン、前記周波数正常周波数成分をもつ前記周波数正常パターン及び前記負荷周波数成分をもつ前記周波数負荷パターンを表示することを特徴とする装置故障評価装置。
  4. 請求項1に記載の装置故障評価装置において、
    前記出力手段は、所要期間にわたって予め定めた時間毎に前記周波数成分算出手段及び前記周波数成分一致度計算手段を繰り返し実行させることにより、前記各パターンにおける前記周波数成分一致度の時系列的な変化を表示することを特徴とする装置故障評価装置。
  5. 請求項1に記載の装置故障評価装置において、
    前記出力手段の出力側に、周波数異常の程度が予め決められた周波数警戒レベル閾値を超えたとき、周波数異常発生源となる前記需要家装置に注意を喚起するアラーム情報を通知するアラーム発生手段を設けたことを特徴とする装置故障評価装置。
  6. 請求項1に記載の装置故障評価装置において、
    前記出力手段の出力側に、周波数異常の程度が予め決められた周波数危険レベル閾値を超えたとき、周波数異常発生源となる前記需要家装置に動作抑制ないし停止の制御指令を送出する制御指令発生手段を設けたことを特徴とする装置故障評価装置。
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