JP2008061422A - 車両およびその制御方法 - Google Patents

車両およびその制御方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2008061422A
JP2008061422A JP2006236638A JP2006236638A JP2008061422A JP 2008061422 A JP2008061422 A JP 2008061422A JP 2006236638 A JP2006236638 A JP 2006236638A JP 2006236638 A JP2006236638 A JP 2006236638A JP 2008061422 A JP2008061422 A JP 2008061422A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
motor
vehicle
output
electric motor
slip
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006236638A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiji Maeda
英治 前田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2006236638A priority Critical patent/JP2008061422A/ja
Publication of JP2008061422A publication Critical patent/JP2008061422A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/60Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
    • Y02T10/62Hybrid vehicles

Landscapes

  • Hybrid Electric Vehicles (AREA)
  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)

Abstract

【課題】予期しない車両の後退を生じることなく電動機のコイルや電動機を駆動する駆動回路の過熱を防止する。
【解決手段】勾配θが閾値θrefより大きくアクセルオンかつブレーキオフの状態で車両の停止中にモータを駆動するインバータの6個のトランジスタの温度Tsw1〜Tsw6のうちいずれかが閾値Tswrefを超えたと判定されたときには(S110,S140)、モータの相電流の位相を変更するために駆動輪にわずかなスリップを生じさせるスリップ処理を実行する(S160)。これにより、予期しない車両の後退を生じることなく同一の相電流を流し続けることによって生じるモータのコイルやインバータの過熱を防止する。
【選択図】図3

Description

本発明は、車両およびその制御方法に関する。
従来、この種の車両としては、登り坂で車両が停止して走行用のモータがトルクは出力しているが回転していないロック状態となったときには、モータからのトルクを徐々に減少させて車両を後退させることにより、モータへの相電流の位相を変更するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この車両では、このようにモータへの相電流の位相を変更することにより、モータのコイルやインバータのスイッチング素子が過熱するのを防止している。また、モータからのトルクを徐々に減少させて車両を後退させることにより、運転者の予期しない車両の後退に対する運転者の違和感を低減している。
特開平11−215687号公報
しかしながら、上述の車両では、モータのコイルやインバータのスイッチング素子の過熱を防止するために、運転者の予期しない車両の後退を行なうから、モータからのトルクを徐々に減少させることにより運転者の違和感を低減しているものの、車両の後退は多少であっても運転者や乗員に違和感や不安感を与えるため、予期しない車両の後退は好ましくない。
本発明の車両およびその制御方法は、予期しない車両の後退を生じることなく電動機のコイルや電動機を駆動する駆動回路の過熱を防止することを目的とする。
本発明の車両およびその制御方法は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の車両は、
駆動軸に駆動力を出力する電動機と、
駆動輪と走行路面との最大静止摩擦係数を取得する摩擦係数取得手段と、
前記電動機の回転子が回転停止した状態で該電動機から駆動力を出力する回転停止出力状態に至ってから所定の条件が成立したときには、前記取得した最大静止摩擦係数を用いて前記駆動輪に所定のスリップを生じさせるのに必要な駆動力の出力を設定すると共に該設定した駆動力の出力が前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の車両は、駆動軸に駆動力を出力する電動機の回転子が回転停止した状態で電動機から駆動力を出力する回転停止出力状態に至ってから所定の条件が成立したときには、駆動輪と走行路面との最大静止摩擦係数を用いて前記駆動輪に所定のスリップを生じさせるのに必要な駆動力の出力を設定すると共に設定した駆動力の出力が電動機から出力されるよう電動機を制御する。即ち、駆動輪に所定のスリップが生じるよう電動機を制御して、電動機に流れる相電流の位相を変えるのである。このとき、駆動輪は空転によりスリップするだけであるから、車両は後退しない。したがって、予期しない車両の後退を生じることなく電動機のコイルや電動機を駆動する駆動回路の過熱を防止することができる。
こうした本発明の車両において、前記電動機の温度または前記電動機を駆動する駆動回路の温度を検出する温度検出手段を備え、前記所定の条件は、前記検出した温度が所定温度以上に至った条件であるものとすることもできる。こうすれば、電動機のコイルや電動機を駆動する駆動回路の過熱をより確実に防止することができる。
さらに、本発明の車両において、前記所定の条件は、前記回転停止出力状態に至ってから所定時間経過した条件であるものとすることもできる。こうすれば、所定時間を超えて同一の相電流が流れるのを防止することができ、同一の相電流が流れ続けることによる電動機のコイルや電動機を駆動する駆動回路の過熱を防止することができる。
あるいは、本発明の車両において、前記所定のスリップは、前記電動機の相電流の状態が前記回転停止出力状態における相電流の状態とは異なる状態となる最小回転量以上のスリップであるものとすることもできる。この場合、前記制御手段は、前記所定のスリップの後の前記回転停止出力状態における前記電動機の相電流の状態が前記所定のスリップの前の前記回転停止出力状態における前記電動機の相電流の状態と略同一のときには前記所定の条件の成立に拘わらずに前記駆動輪に前記所定のスリップが生じるよう前記電動機を制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、電動機のコイルや電動機を駆動する駆動回路の過熱をより確実に防止することができる。
また、本発明の車両において、内燃機関と、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸とに接続され電力と動力の入出力を伴って該出力軸と該駆動軸とに動力を入出力可能な電力動力入出力手段と、前記電動機および前記電力動力入出力手段と電力のやりとりが可能な蓄電手段とを備えるものとすることもできる。
本発明の車両の制御方法は、
駆動軸に駆動力を出力する電動機を備える車両の制御方法であって、
前記電動機の回転子が回転停止した状態で該電動機から駆動力を出力する回転停止出力状態に至ってから所定の条件が成立したときには、駆動輪と走行路面との最大静止摩擦係数を用いて該駆動輪に所定のスリップを生じさせるのに必要な駆動力の出力を演算すると共に該演算した駆動力の出力が前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する、
ことを特徴とする。
この本発明の車両の制御方法では、駆動軸に駆動力を出力する電動機の回転子が回転停止した状態で電動機から駆動力を出力する回転停止出力状態に至ってから所定の条件が成立したときには、駆動輪と走行路面との最大静止摩擦係数を用いて駆動輪に所定のスリップを生じさせるのに必要な駆動力の出力を設定すると共に設定した駆動力の出力が電動機から出力されるよう電動機を制御する。即ち、駆動輪に所定のスリップが生じるよう電動機を制御して、電動機に流れる相電流の位相を変えるのである。このとき、駆動輪は空転によりスリップするだけであるから、車両は後退しない。したがって、予期しない車両の後退を生じることなく電動機のコイルや電動機を駆動する駆動回路の過熱を防止することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としての電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例の電気自動車20は、図示するように、駆動輪34a,34bにデファレンシャルギヤ33を介して接続された駆動軸32に動力を入出力可能なモータ22と、バッテリ26からの電力によりモータ22を駆動するための駆動回路としてのインバータ24と、車両全体をコントロールするメイン電子制御ユニット50とを備える。
図2は、モータ22を中心とした電気駆動系の構成の概略を示す構成図である。モータ22は、図示するように、永久磁石が貼り付けられたロータと三相コイルが巻回されたステータとから構成され、発電機として駆動できると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されている。インバータ24は、6個のトランジスタT1〜T6とトランジスタT1〜T6の各々に逆方向に並列接続された6個のダイオードD1〜D6とにより構成されている。トランジスタT1〜T6は、バッテリ26の正極が接続された正極母線とバッテリ26の負極が接続された負極母線に対してソース側とシンク側になるよう2個ずつペアで配置されており、対となるトランジスタ同士の接続点の各々に三相コイル(U相,V相,W相)の各々が接続されている。したがって、対となるトランジスタのオン時間の割合を調節することにより、三相コイルに回転磁界を形成でき、モータ22を回転駆動することができる。モータ22には、温度を検出する温度センサ23が取り付けられており、インバータ24のトランジスタT1〜T6の各々には温度を検出する温度センサ25a〜25f(以下、まとめて温度センサ25という)の各々が取り付けられている。
メイン電子制御ユニット50は、CPU52を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU52の他に処理プログラムを記憶するROM54と、データを一時的に記憶するRAM56と、図示しない入出力ポートとを備える。メイン電子制御ユニット50には、モータ22のロータの回転位置を検出する回転位置検出センサ27からの回転位置θm,温度センサ23からのコイル温度Tcoil,インバータ24からモータ22への電力ラインに取り付けられた図示しない電流センサからの相電流,温度センサ25からの素子温度Tsw1〜Tsw6,シフトレバー61の操作位置を検出するシフトポジションセンサ62からのシフトポジションSP,アクセルペダル63の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ64からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル65の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ66からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ67からの車速V,加速度センサ68からの加速度α,勾配センサ69からの勾配θなどが入力ポートを介して入力されている。メイン電子制御ユニット50からは、インバータ24のトランジスタT1〜T6へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。
次に、こうして構成された実施例の電気自動車20の動作、特に登り坂路でアクセルが踏み込まれた状態で保持されブレーキオフされているにも拘わらず車両が停止している際の動作について説明する。図3は、メイン電子制御ユニット50により実行されるモータ22を駆動する駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。
駆動制御ルーチンが実行されると、メイン電子制御ユニット50のCPU52は、まず、アクセルポジションセンサ64からのアクセル開度Accやブレーキペダルポジションセンサ66からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ67からの車速V,勾配センサ69からの勾配θ,温度センサ25からの素子温度Tsw1〜Tsw6など制御に必要なデータを入力し(ステップS100)、入力した勾配θが閾値θrefより大きくアクセル開度Accがオン状態でブレーキペダルポジションBPがオフ状態であり且つ車速Vが値0であるか否かを判定する処理を実行する(ステップS110)。ここで、閾値θrefは、車両が登り坂路を走行中か否かを判定するための閾値であり、例えば5度などの値を用いることができる。
勾配θが閾値θref未満であるかアクセル開度Accがオフ状態であるかブレーキペダルポジションBPがオン状態であるか又は車速Vが値0でないときには、アクセル開度Accと車速Vとに基づいてモータ22のトルク指令Tm*を設定し(ステップS120)、設定したトルク指令Tm*でモータ22を制御する。(ステップS130)。ここで、トルク指令Tm*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vとトルク指令Tm*との関係を予め定めてトルク指令設定用マップとしてROM54に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応するトルク指令Tm*を導出して設定するものとした。図4にトルク指令設定用マップの一例を示す。また、モータ22の制御は、トルク指令Tm*に相当するトルクがモータ22から出力されるようインバータ24のトランジスタT1〜T6をスイッチング制御することにより行なわれる。
ステップS110で勾配θが閾値θrefより大きくアクセル開度Accがオン状態でブレーキペダルポジションBPがオフ状態であり且つ車速Vが値0のときには、入力した素子温度Tsw1〜Tsw6のいずれかが閾値Tswrefより大きいか否かを判定する(ステップS140)。素子温度Tsw1〜Tsw6の全てが閾値Tswref以下であるときには、ステップS120以降の処理を実行して、本ルーチンを終了する。ここで、閾値Tswrefは、インバータ24のトランジスタT1〜T6の許容温度より若干小さな値として設定される。
一方、素子温度Tsw1〜Tsw6のいずれかが閾値Tswrefより高いときには、閾値Tswrefより高いと判定されたトランジスタがそのときより所定時間前までに同様に判定されたトランジスタと同一であるか否かを判定し(ステップS150)、所定時間前までに閾値Tswrefより高いと判定されたトランジスタがないときや閾値Tswrefより高いと判定されたトランジスタが所定時間前までに同様に判定されたトランジスタと異なるときにはモータ22の相電流の位相を変更するためのスリップ処理を実行して(ステップS160)、本ルーチンを終了し、閾値Tswrefより高いと判定されたトランジスタが所定時間前までに同様に判定されたトランジスタと同一のときにはステップS120以降の処理を実行して本ルーチンを終了する。ここで、閾値Tswrefより高いと判定されたトランジスタがそのときより所定時間前までに同様に判定されたトランジスタと同一であるか否かを判定するのは、トランジスタの温度が閾値Tswrefより高くなった以降にこれより低くなるまでの時間を考慮するためである。即ち、同一のトランジスタの素子温度が連続して閾値Tswrefより高くなることにより、連続してスリップ処理が実行されるのを回避するためである。従って、所定時間については、モータ22の相電流の位相を変更することにより閾値Tswrefより高くなったトランジスタの温度が閾値Tswref以下となるのに必要な時間として実験などによって定めることができる。ステップS160のスリップ処理は、実施例では図5に例示するスリップ処理ルーチンを実行することにより行なわれる。以下、スリップ処理について説明する。
スリップ処理ルーチンが実行されると、メイン電子制御ユニット50のCPU52は、まず、回転位置検出センサ27からのモータ22のロータの回転位置θm,加速度センサ68からの加速度α,勾配センサ69からの勾配θなど制御に必要なデータを入力し(ステップS200)、入力した回転位置θmに基づいて前輪としての駆動輪34a,34bの回転速度である駆動輪速Vwを計算し(ステップS210)、入力した加速度αと車両の質量Mと重力加速度gと前後輪の車軸間の長さであるホイールベース長Lと後輪としての従動輪36a,36bの車軸から車両の重心位置までの水平方向の長さである長さLrと前後輪の車軸の高さから車両の重心位置の高さまでの垂直方向の長さである重心高Hとに基づいて次式(1)により駆動輪34a,34bに作用する駆動輪荷重Mwを計算する処理を実行する(ステップS220)。ここで、車両の質量Mや重力加速度g,ホイールベース長L,長さLr,重心高Hについては予めROM54に記憶したものを用いるものとしたが、車両の質量Mについては乗員や積載物の重量も含めた総重量としての車重Mgを検出可能なセンサにより検出された値により求めるものとしてもよい。
Mw=M・g・Lr/L-α・M・H/L (1)
続いて、駆動輪34a,34bと走行路面との最大静止摩擦係数μmaxを取得する(ステップS230)。最大静止摩擦係数μmaxの取得は、実施例では、スリップ率λ(=(Vw−V)/V)と静止摩擦係数μとの複数の関係パターンを予め定めて最大静止摩擦係数取得用マップとしてROM54に記憶しておき、本ルーチン実行直前の駆動輪34a,34bのスリップ率λと計算により求めた静止摩擦係数μとの関係から最適な関係パターンを選択して最大静止摩擦係数μmaxを取得するものとした。図6に最大静止摩擦係数取得用マップの一例を示す。ここで、静止摩擦係数μの計算は、上述した駆動制御の処理と並行して、モータ22から出力されているモータトルクTmと駆動輪34a,34bの慣性モーメントIwと駆動輪34a,34bの車輪半径rと駆動輪速Vwと駆動輪加重Mwと勾配θとを用いて次式(2)により行なうことができる。
μ=[(Tm-(Iw/r)・(dVw/dt))/r-Mw・sinθ]/(Mw・cosθ) (2)
続いて、取得した最大静止摩擦係数μmaxと駆動輪加重Mwと勾配θとを用いて次式(3)によりスリップが生じることなく駆動輪34a,34bに付与可能な最大釣合力Fdmaxを計算し(ステップS240)、計算した最大釣合力Fdmaxと増力ΔFと車輪半径rと慣性モーメントIwと駆動輪速Vwとを用いて次式(4)により駆動輪34a,34bにスリップを生じさせるのに要求されるスリップ要求トルクTsを計算し(ステップS250)、計算したスリップ要求トルクTsにデファレンシャルギヤ33のギヤ比Gdを乗ずることによりモータ22のスリップ用トルク指令Tms*を設定する(ステップS260)。ここで、増力ΔFは、駆動輪34a,34bにスリップを生じさせるために最大釣合力Fdmaxに加算する力であり、実施例では、予め実験等により定めてROM54に記憶された値を用いるものとした。
Fdmax=μmax・Mw・cosθ+Mw・sinθ (3)
Ts=r・(Fdmax+ΔF)+(Iw/r)・(dVw/dt) (4)
次に、スリップ用トルク指令Tms*をモータ22から出力してわずかなスリップを生じさせるのに必要な制御時間tを設定する(ステップS270)。制御時間tは、モータ22のロータが電気角2π/3に相当する回転角θrだけ回転するよう慣性モーメントIwと計算したスリップ要求トルクTsと車輪半径rと最大釣合力Fdmaxと増力ΔFとを用いて次式(5)により求めることにより設定することができる。ここで、電気角2π/3は、モータ22の相電流の一位相分に相当する電気角である。


こうしてモータ22のスリップ用トルク指令Tms*と制御時間tとを設定すると、設定したスリップ用トルク指令Tms*に相当するトルクが制御時間tだけ出力されるようモータ22を制御し(ステップS280)、トランジスタT1〜T6のスイッチング状態がモータ22を制御する前と異なるスイッチング状態であるか否かを判定する(ステップS290)。異なるスイッチング状態でないときには、モータ22に略同一の相電流が流れているものと判断して、異なるスイッチング状態となるまでステップS280,S290の処理を繰り返し、異なるスイッチング状態となったときには、モータ22に異なる相電流が流れているものと判断して、本ルーチンを終了する。
以上説明した実施例の電気自動車20によれば、登り坂路でアクセルオンかつブレーキオフの状態で車両の停止中にインバータ24のトランジスタT1〜T6のいずれかの温度が閾値Tswrefを超えたときには、駆動輪34a,34bにわずかなスリップを生じさせてモータ22の相電流の位相を変えるから、予期しない車両の後退を生じることなく同一の相電流を流し続けることによって生じるモータ22のコイルやインバータ24の過熱を防止することができる。しかも、トランジスタT1〜T6のスイッチング状態がスリップ処理の前後で異なる状態となるまで駆動輪34a,34bにスリップが生じるようモータ22を制御するから、モータ22のコイルやインバータ24の過熱をより確実に防止することができる。
実施例の電気自動車20では、勾配θが閾値θrefより大きくアクセルオンかつブレーキオフの状態で車両の停止中にトランジスタT1〜T6のいずれかの温度が閾値Tswrefを超えたときにスリップ処理を実行するものとしたが、例えば平坦路で障害物を乗り越えようとしている場合など勾配θやブレーキオフの状態に拘わらず、アクセルオンかつ停車中にトランジスタT1〜T6のいずれかの温度が閾値Tswrefを超えたときにスリップ処理を実行するものとしてもよい。
実施例の電気自動車20では、インバータ24のトランジスタT1〜T6のいずれかの温度が閾値Tswrefを超えたときにスリップ処理を実行するものとしたが、トランジスタT1〜T6の温度に拘わらず、モータ22のコイル温度Tcoilが閾値を超えたときにスリップ処理を実行するものとしてもよいし、アクセルオンかつ停車状態となってから所定時間経過したときにスリップ処理を実行するものとしてもよい。
実施例の電気自動車20では、最大静止摩擦係数μmaxを予めROM54に記憶された最大静止摩擦係数取得用マップから取得するものとしたが、如何なる方法により最大静止摩擦係数μmaxを取得するものとしてもよい。例えば、GPS衛生から走行位置を受信可能であると共に無線通信により外部から走行路の摩擦係数を受信可能なナビゲーションシステムを搭載する車両では、走行路の最大静止摩擦係数μmaxを無線通信により受信して取得するものとしてもよい。
実施例の電気自動車20では、最大静止摩擦係数μmaxを用いてスリップ用トルク指令Tms*と制御時間tとを計算により設定するものとしたが、最大静止摩擦係数μmaxに応じて予め定めたマップからスリップ用トルク指令Tms*を導出して設定すると共に制御時間tとして所定時間を設定するものとしてもよいし、スリップ用トルク指令Tms*として如何なる摩擦係数の路面でもスリップを生じさせるのに十分大きな所定のトルクを設定すると共に最大静止摩擦係数μmaxに応じて制御時間tを設定するものとしてもよい。
実施例の電気自動車20では、モータ22のロータが電気角2π/3に相当する回転角θrだけ回転するよう制御時間tを設定するものとしたが、電気角2π/3を超える電気角に相当する回転角θrだけ回転するよう制御時間tを設定するものとしてもよい。
実施例では、駆動軸32に動力を入出力可能なモータ22を備える電気自動車20に適用して説明したが、図7の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、遊星歯車機構126を介して駆動軸32に動力を出力するエンジン122とモータ124と駆動軸32に動力を入出力可能なモータ22とを備える車両に適用するものとしてもよいし、図8の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン222とエンジン222のクランクシャフトに接続されたインナーロータ232と駆動軸32に接続されたアウターロータ234とを有しエンジン222の動力の一部を駆動軸32に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230と駆動軸32に動力を入出力可能なモータ22とを備える車両に適用するものとしてもよい。
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、駆動輪34a,34bにデファレンシャルギヤ33を介して接続された駆動軸32に動力を入出力可能なモータ22が「電動機」に相当し、予めROM54に記憶された最大静止摩擦係数取得用マップを用いて最大静止摩擦係数μmaxを取得するS230の処理を実行するメイン電子制御ユニット50が「摩擦係数取得手段」に相当し、勾配θが閾値θrefより大きくアクセルオンかつブレーキオフの状態で車両の停止中にトランジスタT1〜T6のいずれかの温度が閾値Tswrefを超えたときに最大静止摩擦係数μmaxを用いて計算した最大釣合力Fdmaxに増力ΔFを加えて計算したスリップ要求トルクTsによりスリップ用トルク指令Tms*を計算するS240〜S260の処理と制御時間tを設定するS270の処理とを実行すると共にスリップ用トルク指令Tms*に相当するトルクが制御時間tだけ出力されるようモータ22を制御するS280の処理を実行するメイン電子制御ユニット50が「制御手段」に相当する。また、モータ22に取り付けられた温度センサ23やモータ22を駆動するインバータ24に取り付けられた温度センサ25が「温度検出手段」に相当する。なお、実施例の要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、実施例の要素をもって課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明のついての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
実施例では、電気自動車20に適用して説明したが、列車などの自動車以外の車両に適用するものとのしてもよいし、自動車や列車を含む車両の制御方法の形態としても構わない。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、車両の製造産業などに利用可能である。
本発明の一実施例である電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。 モータ22を中心とした電気駆動系の構成の概略を示す構成図である。 実施例のメイン電子制御ユニット50により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 トルク指令設定用マップの一例を示す説明図である。 実施例のメイン電子制御ユニット50により実行されるスリップ処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。 最大静止摩擦係数取得用マップの一例を示す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。 変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
符号の説明
20,120,220 電気自動車、22 モータ、23 温度センサ、24 インバータ、25 温度センサ、26 バッテリ、27 回転位置検出センサ、32 駆動軸、33 デファレンシャルギヤ、34a,34b 駆動輪、36a,36b 従動輪、50 メイン電子制御ユニット、52 CPU、54 ROM、56 RAM、61 シフトレバー、62 シフトポジションセンサ、63 アクセルペダル、64 アクセルペダルポジションセンサ、65 ブレーキペダル、66 ブレーキペダルポジションセンサ、67 車速センサ、68 加速度センサ、69 勾配センサ、122 エンジン、124 モータ、126 遊星歯車機構、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ 234 アウターロータ。

Claims (7)

  1. 駆動軸に駆動力を出力する電動機と、
    駆動輪と走行路面との最大静止摩擦係数を取得する摩擦係数取得手段と、
    前記電動機の回転子が回転停止した状態で該電動機から駆動力を出力する回転停止出力状態に至ってから所定の条件が成立したときには、前記取得した最大静止摩擦係数を用いて前記駆動輪に所定のスリップを生じさせるのに必要な駆動力の出力を設定すると共に該設定した駆動力の出力が前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する制御手段と、
    を備える車両。
  2. 請求項1記載の車両であって、
    前記電動機の温度または前記電動機を駆動する駆動回路の温度を検出する温度検出手段を備え、
    前記所定の条件は、前記検出した温度が所定温度以上に至った条件である
    車両。
  3. 前記所定の条件は、前記回転停止出力状態に至ってから所定時間経過した条件である請求項1記載の車両。
  4. 前記所定のスリップは、前記電動機の相電流の状態が前記回転停止出力状態における相電流の状態とは異なる状態となる最小回転量以上のスリップである請求項1ないし3いずれか記載の車両。
  5. 前記制御手段は、前記所定のスリップの後の前記回転停止出力状態における前記電動機の相電流の状態が前記所定のスリップの前の前記回転停止出力状態における前記電動機の相電流の状態と略同一のときには前記所定の条件の成立に拘わらずに前記駆動輪に前記所定のスリップが生じるよう前記電動機を制御する手段である請求項4記載の車両。
  6. 請求項1ないし5いずれか記載の車両であって、
    内燃機関と、
    前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸とに接続され電力と動力の入出力を伴って該出力軸と該駆動軸とに動力を入出力可能な電力動力入出力手段と、
    前記電動機および前記電力動力入出力手段と電力のやりとりが可能な蓄電手段とを備える
    車両。
  7. 駆動軸に駆動力を出力する電動機を備える車両の制御方法であって、
    前記電動機の回転子が回転停止した状態で該電動機から駆動力を出力する回転停止出力状態に至ってから所定の条件が成立したときには、駆動輪と走行路面との最大静止摩擦係数を用いて該駆動輪に所定のスリップを生じさせるのに必要な駆動力の出力を設定すると共に該設定した駆動力の出力が前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する、
    ことを特徴とする車両の制御方法。
JP2006236638A 2006-08-31 2006-08-31 車両およびその制御方法 Pending JP2008061422A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006236638A JP2008061422A (ja) 2006-08-31 2006-08-31 車両およびその制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006236638A JP2008061422A (ja) 2006-08-31 2006-08-31 車両およびその制御方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008061422A true JP2008061422A (ja) 2008-03-13

Family

ID=39243542

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006236638A Pending JP2008061422A (ja) 2006-08-31 2006-08-31 車両およびその制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008061422A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013193566A (ja) * 2012-03-19 2013-09-30 Honda Motor Co Ltd 車両の制御装置
CN109415041A (zh) * 2016-06-15 2019-03-01 沃尔沃卡车集团 用于车辆的车轮控制器

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013193566A (ja) * 2012-03-19 2013-09-30 Honda Motor Co Ltd 車両の制御装置
CN109415041A (zh) * 2016-06-15 2019-03-01 沃尔沃卡车集团 用于车辆的车轮控制器
US10974705B2 (en) 2016-06-15 2021-04-13 Volvo Truck Corporation Wheel controller for a vehicle
CN109415041B (zh) * 2016-06-15 2022-02-18 沃尔沃卡车集团 用于车辆的车轮控制器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4710723B2 (ja) 電動車両の駆動力制御装置
US7189177B2 (en) Electrically operated vehicle drive controller, electrically operated vehicle drive control method, and electrically operated vehicle with a vehicle drive controller
JP5840464B2 (ja) 電気自動車
JP2008199716A (ja) 車両駆動装置及びそれに用いられる電子回路装置
JP6984329B2 (ja) 自動車
JP2008125318A (ja) 車両および駆動装置並びにこれらの制御方法
JP4259216B2 (ja) 自動車およびその制御方法
JP4419996B2 (ja) スリップ判定装置およびスリップ判定方法
JP4924257B2 (ja) 車両および昇温方法
JP2008154307A (ja) 車両およびその制御方法
JP2010130890A (ja) 車両およびその制御方法
JP6396188B2 (ja) 車両の車体速度推定装置
JP3931852B2 (ja) 電気自動車およびその制御方法
JP2008265616A (ja) 車両およびその制御方法
JP2008061422A (ja) 車両およびその制御方法
JP2006353033A (ja) 駆動装置およびこれを搭載する自動車並びに動力出力装置、駆動装置の制御方法
JP2006050811A (ja) 電気自動車
JP2009011057A (ja) 車両の制御装置
JP2009023378A (ja) 車両の制御装置
JP5454448B2 (ja) 電気自動車のトルク制御装置
JP2009190483A (ja) 車両の制動制御装置
JP2008167633A (ja) 車両およびその制御方法
JP4305409B2 (ja) 車両用駆動制御装置
JP2006136175A (ja) 車両のモータトラクション制御装置
JP4135700B2 (ja) 車両のモータトラクション制御装置