JP2008058701A - 光学機器およびその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】AF補助光を利用して、遠近競合時に主被写体に対して正確に合焦させる。
【解決手段】光学機器は、被写体像を光電変換する撮像素子6を用いて得られた画像信号から評価信号を生成する評価信号生成手段14と、フォーカスレンズ3をスキャン範囲で移動させて取得した評価信号に基づいて合焦位置を検出し、該合焦位置にフォーカスレンズを移動させるAF制御手段15と、被写体に対してAF補助光を照射する発光手段33と、フォーカスレンズのスキャン範囲での移動時に発光手段を制御する補助光制御手段15とを有する。補助光制御手段は、合焦位置検出に関する遠近競合の発生可能性を判定し、該判定結果に応じて発光手段を点灯させる被写体輝度を変更する。
【選択図】図1
【解決手段】光学機器は、被写体像を光電変換する撮像素子6を用いて得られた画像信号から評価信号を生成する評価信号生成手段14と、フォーカスレンズ3をスキャン範囲で移動させて取得した評価信号に基づいて合焦位置を検出し、該合焦位置にフォーカスレンズを移動させるAF制御手段15と、被写体に対してAF補助光を照射する発光手段33と、フォーカスレンズのスキャン範囲での移動時に発光手段を制御する補助光制御手段15とを有する。補助光制御手段は、合焦位置検出に関する遠近競合の発生可能性を判定し、該判定結果に応じて発光手段を点灯させる被写体輝度を変更する。
【選択図】図1
Description
本発明は、自動焦点調節機能を有する光学機器に関し、さらに詳しくは、撮像素子からの出力により生成される画像信号を使用して焦点調節を行う光学機器に関する。
撮像素子からの出力により生成される画像信号を使用して焦点調節を行う、いわゆるスキャンAFでは、フォーカスレンズをスキャン範囲(例えば、無限遠端から至近端)で移動(スキャン)させながら画像信号を取得する。そして、得られた画像信号からAF評価値を取得し、AF評価値がピークとなるフォーカスレンズ位置(ピーク位置)を検出する。そして、検出したピーク位置にフォーカスレンズを移動させることで、合焦を得る。
但し、被写体輝度が低い場合は、被写体のコントラストを反映するAF評価値の変化幅が小さいので、ピーク位置を検出することが難しい。このため、フォーカスレンズをスキャン範囲で移動させる際に被写体に対してAF補助光を照射するのが一般的である。
特許文献1には、AFの高速化を図るためにAF補助光を利用する方法が開示されている。具体的には、AF補助光の点灯時と非点灯時でのAF評価値の差を求め、該差が小さい場合には遠距離被写体に合焦可能な範囲で、該差が大きい場合には近距離被写体に合焦可能な範囲でフォーカスレンズを移動させる。
また、特許文献2には、AF補助光の光源として用いられる発光手段の負荷を軽減するとともに、遠距離でも正確な焦点検出ができるようにするための方法が開示されている。具体的には、複数の発光手段を設け、一部の発光手段を点灯させた状態での焦点検出が不可能であると判定した場合に、点灯させる発光手段を増加させるというものである。
さらに、特許文献3には、AF補助光の光量を最適とするために、AF補助光の不使用時と使用時での被写体輝度の差に基づいてAF補助光の出力光量を決定する方法が開示されている。
特開2001−166200号公報(段落0027〜0036等)
特開平11−95093号公報(段落0060〜0061等)
特開2003‐114374(段落0047〜0068等)
しかしながら、スキャンAFにおいて、いわゆる被写体の遠近競合が発生する場合がある。遠近競合とは、画面又はその一部であるAF枠内に互いに異なる距離の複数の被写体が存在する場合に、本来合焦を得たい主被写体とは別の被写体に対してピーク位置が検出され、そこにフォーカスレンズが移動してしまう現象である。
そして、上記各特許文献にて開示された方法では、フォーカスレンズの移動範囲を制限してAFを高速化したり、AF補助光の光源数や光量を最適化したりすることは可能である。しかし、これらの方法では、上記のようなAFにおける遠近競合を回避することができない。
本発明は、AF補助光を利用して、遠近競合時に主被写体に対して正確に合焦させることができるようにした光学機器および制御方法を提供することを目的の1つとしている。
本発明の一側面としての光学機器は、被写体像を光電変換する撮像素子を用いて得られた画像信号から評価信号を生成する評価信号生成手段と、フォーカスレンズを移動させて取得した評価信号に基づいて合焦位置を検出し、該合焦位置にフォーカスレンズを移動させるAF制御手段と、被写体に対してAF補助光を照射する発光手段と、フォーカスレンズの移動の際に発光手段を制御する補助光制御手段とを有する。そして、補助光制御手段は、合焦位置の検出の際における遠近競合の発生可能性を判定し、該判定結果に応じて発光手段を点灯させる被写体輝度を変更することを特徴とする。
また、本発明の他の側面としての光学機器の制御方法は、被写体像を光電変換する撮像素子を用いて得られた画像信号から評価信号を生成するステップと、フォーカスレンズを移動させて取得した評価信号に基づいて合焦位置を検出し、該合焦位置にフォーカスレンズを移動させるよう制御するステップと、フォーカスレンズの移動の際に、発光手段から被写体に対してAF補助光を照射するステップと、合焦位置の検出の際における遠近競合の発生可能性を判定し、該判定結果に応じてAF補助光を被写体に対して照射する被写体輝度を変更するステップとを有することを特徴とする。
本発明によれば、遠近競合が発生し易い状況であっても主被写体に対する評価信号(AF評価値)のピーク位置を検出できる確率を高めることができる。このため、遠近競合の発生時に正確に主被写体に対する合焦を得ることができる。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の実施例1である光学機器としての撮像装置の構成を示している。1は撮像装置である。2は変倍を行うズームレンズ、3はフォーカシングを行うフォーカスレンズ、4は絞りである。絞り4は、ズームレンズ2およびフォーカスレンズ3を含む撮影光学系を透過する光量を制御する。31は撮影光学系を収容するレンズ鏡筒である。
5は撮影光学系を透過した光によって形成された被写体像を光電変換するCCDセンサやCMOSセンサ等からなる固体撮像素子(以下、CMOSという)である。6はCMOS5からの電気信号を受けて各種の画像処理を施すことにより画像信号を生成する撮像回路である。7は撮像回路6により生成されたアナログ画像信号をデジタル画像信号に変化するA/D変換回路である。8はA/D変換回路7からの画像信号を一時的に記憶するバッファメモリ等のメモリ(VRAM)である。9はVRAM8に記憶された画像信号を読み出してアナログ信号に変換するとともに再生出力に適した形態の画像信号に変換するD/A変換回路である。
10はD/A変換回路9からの画像信号を表示するLCD等のディスプレイ(以下、LCDという)である。12は画像データを記憶する記録媒体として記録メモリである。記録メモリとしては、フラッシュメモリ等の固定型の半導体メモリや、カード又はスティック形状を有し、撮像装置1に対して着脱可能な半導体メモリが使用される。また、ハードディスク等の磁気ディスクや光ディスクを使用することもできる。
11は圧縮伸長回路である。該圧縮伸長回路11は、VRAM8に一時記憶された画像信号を読み出して、記録メモリ12に記憶するために画像データの圧縮処理や符号化処理を施す。また、記録メモリ12に記憶された画像データを再生表示するための復号化処理や伸長処理を施す。
13はA/D変換回路7からの出力に基づいて自動露出(AE)処理を行うAE処理回路である。14はA/D変換回路7からの出力に基づいて自動焦点調節(AF)処理を行うためのAF評価値信号を生成するスキャンAF処理回路である。15は撮像装置1の全体の制御を司るコントローラとしてのCPUであり、演算用のメモリを内蔵している。
16は撮像装置1の各種動作のタイミングを決定するためのタイミング信号を発生するタイミングジェネレータ(以下、TGという)である。17はCMOS5を駆動するCMOSドライバである。
21は絞り4を駆動する絞り駆動モータであり、18は絞り駆動モータ21を制御する絞りモータ駆動回路である。22はフォーカスレンズ3を駆動するフォーカス駆動モータであり、19はフォーカス駆動モータ22を制御するフォーカスモータ駆動回路である。23はズームスレンズ2を駆動するズーム駆動モータであり、20はズーム駆動モータ23を制御するズームモータ駆動回路である。
24は各種スイッチを含む操作スイッチである。操作スイッチ24は、本撮像装置1を起動させる主電源スイッチや、撮影準備動作および撮影動作を開始させるレリーズスイッチを含む。また、画像の再生動作を開始させる再生スイッチや、撮影光学系のズーム動作を行わせるズームスイッチも含む。レリーズスイッチは、撮影準備動作としてのAE処理やAF処理を開始させる指示信号を発生する第1ストロークスイッチ(以下、SW1という)を有する。また、レリーズスイッチは、画像の取得および記録を行う撮影動作を開始させる指示信号を発生する第2ストロークスイッチ(以下、SW2という)を含む。
25は各種制御等を行うためのコンピュータプログラムやデータ等が予め記憶されている電気的に書き換え可能な読み出し専用メモリ(例えば、EEPROM)である。
26は撮像装置1の電源となる電池である。28は被写体照明するフラッシュ光を発するフラッシュ発光部である。27はフラッシュ発光部28の発光を制御するスイッチング回路である。29は警告表示などの各種表示を行う表示素子であり、LEDなどにより構成されている。30はガイダンスや警告などの音声を発するスピーカーである。33はLEDなどの光源を有するAF補助光発光部である。32はAF補助光発光部33を駆動するAF補助光駆動回路である。
このように構成される撮像装置1の動作について以下に説明する。まず、被写体から撮影光学系に入射した光は、絞り4によってその光量が調整された後、CMOS5の受光面に結像する。被写体像は、CMOS5による光電変換処理によって電気信号に変換される。該電気信号は、撮像回路6に出力される。すなわち、CMOS5の電荷蓄積の終了後にCMOS5から画素信号が読み出され、その信号が撮像回路6に入力される。
撮像回路6では、入力信号に対して、γ補正やホワイトバランス処理等の各種画像処理を施して画像信号を生成する。この画像信号は、A/D変換回路7に出力されてデジタル画像データに変換された後、VRAM8に一時的に格納される。
VRAM8に格納された画像データは、D/A変換回路9へ出力されてアナログ画像データに変換されて、LCD10に表示される。一方、VRAM8に格納された画像データは圧縮伸長回路11にも出力され、ここで圧縮および符号化された後、記録メモリ12に記憶される。
また、操作スイッチ24のうち不図示の再生スイッチが操作されると、再生動作が開始される。再生動作では、記録メモリ12に圧縮記憶された画像データが圧縮伸長回路11に出力され、ここで復号化処理や伸長処理が施された後、VRAM8に出力されて一時的に記憶される。VRAM8に記憶された画像データは、D/A変換回路9へ出力されてアナログ信号に変換され、LCD10に表示される。
また、A/D変換回路7によってデジタル化された画像データは、AE処理回路13およびスキャンAF処理回路14にも出力される。
AE処理回路13は、1画面分のデジタル画像データの輝度値に対して累積加算等の演算処理を行う。これにより、被写体の明るさに応じたAE評価値が算出される。このAE評価値は、CPU15に出力される。
また、スキャンAF処理回路14は、1画面のうち焦点検出(コントラスト検出)を行う領域であるAF枠内のデジタル画像データから高周波成分をハイパスフィルター(HPF)等を介して抽出し、該高周波成分の累積加算等の演算処理を行う。これにより、高域側の輪郭成分量等に対応したAF評価値信号が算出される。このようにスキャンAF処理回路14は、AF処理を行う過程において、CMOS5を用いて生成された画像信号からAF評価値信号を生成する評価信号生成手段としての役割を有する。AF評価値信号は、CPU15に出力される。
TG16からは所定のタイミング信号がCPU15、撮像回路6およびCMOSドライバ17に出力される。CPU15はこのタイミング信号に同期して各種制御を行う。また、撮像回路6は、タイミング信号に同期して色信号の分離等の各種画像処理を行う。さらに、CMOSドライバ17は、タイミング信号に同期してCMOS5を駆動する。
また、CPU15は、モータ駆動回路18〜20を通じて絞り駆動モータ21、フォーカス駆動モータ22およびズーム駆動モータ23を制御する。これにより、絞り4、フォーカスレンズ3およびズームスレンズ2の駆動が制御される。
具体的には、CPU15は、AE処理回路13において算出されたAE評価値等に基づいて絞りモータ駆動回路18を通じて絞り駆動モータ21を制御し、CMOS5の適正な露光量が得られるように絞り4の開口径を変化させる。これが、AE制御である。また、CPU15は、スキャンAF処理回路14において算出されたAF評価値信号の値、すなわちAF評価値に基づいてフォーカスモータ駆動回路19を通じてフォーカス駆動モータ22を制御し、フォーカスレンズ3を合焦位置に移動させる。これが、AF制御であり、CPU15は、AF制御手段として機能する。
また、CPU15は、操作スイッチ24のうち不図示のズームスイッチが操作された場合は、ズームモータ駆動回路20を通じてズーム駆動モータ23を制御し、ズームレンズ2を移動させる。これにより、撮影光学系の変倍動作(ズーム動作)が行われる。
次に、本実施例の撮像装置1における撮影動作(撮影処理シーケンス)を、図2に示すフローチャートを用いて説明する。撮影処理シーケンスは、CPU15が、メモリ25又はCPU内蔵メモリに格納されたコンピュータプログラムに従って実行する。
撮像装置1の主電源スイッチがオンであり、かつ撮像装置1の動作モードが撮影(録画)モードにあるときに、撮影処理シーケンスが実行される。
まず、ステップS1において、CPU15は、撮影光学系を透過した光により形成された被写体像をCMOS5により光電変換し、LCD10にその画像(EVF画像)を表示する。具体的には、CMOS5上に形成された被写体像は、CMOS5により光電変換され、被写体像に対応した電気信号が撮像回路6に出力される。撮像回路6は、入力信号に対して各種信号処理を施し、画像信号を生成する。画像信号は、A/D変換回路7でデジタル画像データに変換され、VRAM8に一時的に格納される。VRAM8に格納された画像データは、D/A変換回路9でアナログ信号に変換され、LCD10に画像(EVF画像)として表示される。
次にステップS2において、CPU15は、レリーズスイッチの状態を確認する。撮影者によってレリーズスイッチが操作され、SW1がオンになったことを確認すると、次のステップS3に進み、通常のAE処理を実行する。続いて、ステップS4において、CPU15は、合焦位置を検出するためのスキャンAF処理を行う。スキャンAF処理では、CMOS5を用いて生成された画像信号から生成されるAF評価値信号がピークとなるフォーカスレンズ3の位置(合焦位置)を求める。
スキャンAF処理の結果、その信頼性が十分であれば、ステップS5において、AF処理が正常に完了した旨(AFOK)を示す表示を行う。これは、例えば、表示素子29を点灯したり、LCD10上の画像内に緑色の枠を表示したりして行う。一方、その信頼性が低い場合には、ステップS5においてAF処理が正常に完了していない旨(AFNG)を示す表示を行う。これは、例えば、表示素子29を点滅させたり、LCD10上の画像内に黄色の枠を表示したりして行う。
ステップS6において、CPU15は、SW2がオンか否かを確認する。SW2がオンである場合は、ステップS7に進み、撮影記録処理(露光処理)を実行する。
ここで、ステップS4で行われるスキャンAF処理の詳細について、図3を用いて説明する。本実施例の説明においては、フォーカスレンズ3を駆動しながらAF評価値を取得する動作をスキャン動作といい、AF評価値を取得するフォーカスレンズ3の位置間隔をスキャン間隔という。
まず、ステップS301では、CPU15は、SW1がオンされる前に、AF補助光を点灯するときの輝度設定を行う。その手順を図4に示す。
ここでは、まず撮影モードの設定状況を調べる。ステップS401では、撮影モードがパーティーモードに設定されているか否かを調べる。パーティーモードに設定されていたらステップS411へ進む。パーティーモードでない場合はステップS402へ進み、スナップモードに設定されているか否かを調べる。スナップモードに設定されていたらステップS411へ進む。
スナップモードでない場合はステップS403へ進み、遠景撮影モードに設定されているか否かを調べる。遠景撮影モードに設定されていたらステップS410へ進む。遠景撮影モードでない場合はステップS404へ進み、マクロ撮影モードに設定されているか否かを調べる。マクロ撮影モードに設定されていたらステップS410へ進む。遠景撮影モードでない場合、すなわち上記のどのモードでもない場合はステップS405へ進む。
ステップS405では、CPU15は、被写体の輝度を調べる。被写体の輝度はAE処理回路13において、それまでLCD10に表示されていたEVF画像の画像信号をAE処理回路13に入力し、1画面分の画像データの輝度値に対して累積加算等の演算処理を行うことにより求める。求まった輝度が明るい場合(例えば、Bv13以上の場合)は、ステップS410へ進む。輝度が中程度(例えば、Bv8以上Bv13未満)もしくは暗い場合(例えは、Bv8未満)の場合はステップS406へ進み、ホワイトバランス係数を調べる。
ホワイトバランス係数とは、どのような光源下においても白を白として撮影するための画像処理の1つとして行われるホワイトバランス処理で用いられる係数である。言い換えれば、光源の種類によって画像全体の色味が変わるので、それを補正するための係数である。例えば、白熱電球で照明されると画像全体の色に赤味がかかり、蛍光灯で照明されると青味がかかる。太陽光でも、朝日や夕日を浴びると赤味がかかり、日陰では青味がかかり、日中の太陽光ではほぼバランスのとれた色味となる。したがって、このホワイトバランス係数を調べることで光源の種類を特定することができる。
ホワイトバランス係数を調べた結果、Day Light(日中の太陽光)以外と判定した場合は、ステップS411へ進む。ホワイトバランス係数がDay Lightの場合はステップS407に進み、現在の時刻を調べる。調べた時刻から、現在が夜であると判定した場合は、ステップS401へ進む。昼と判定した場合はステップS411へ進む。
時刻から現在が朝又は夕方(夜および昼以外)と判定した場合は、再び被写体の輝度を調べる。このときの輝度が暗い場合(例えば、Bv8未満)の場合はステップS411へ進む。輝度が中程度(例えば、Bv8以上Bv13未満)の場合はステップS410へ進む。
ステップS410およびステップS411では、CPU15は、AF補助光を点灯させるか否かを決定するためのしきい値としての被写体輝度である点灯輝度を設定する。すなわち、CPU15は、補助光制御手段としても機能する。
ステップS410での処理は、いわゆる遠近競合が起こりにくい、すなわち遠近競合の可能性がない又は低い(第2の可能性)と判定した場合の処理である。この場合は、点灯輝度を比較的暗い第2の輝度(低輝度:例えば、Bv13程度)に設定する。これにより、AE処理回路13での演算の結果、被写体輝度が第2の輝度以下である場合にAF補助光が点灯されることとなり、AF補助光が点灯される確率は低くなる。
ステップS410へ進む場合は、撮影モードが遠景撮影モードやマクロ撮影モードに設定されている場合、被写体輝度が明るい場合、および被写体輝度が中程度もしくは暗く、かつ時刻が夜と判定された場合である。
遠景撮影モードは、風景など遠方の被写体を撮影するモードである。この場合は、被写体が遠方のものに限定されるので、遠近競合は起こりにくい。
マクロ撮影モードは、花や模型などの近距離被写体を撮影するモードである。この場合は、被写体が画面内に大きく捉えられるので、AF枠内に背景の被写体が入ることが少なく、遠近競合は起こりにくい。
また、被写体輝度が明るい場合としては、日中での屋外撮影とか、写真スタジオやスポーツ競技場などでの撮影が考えられる。ホワイトバランス係数がDay Lightで被写体輝度が明るい場合は、屋外で被写体に太陽光が当たっている状態での撮影であり、主被写体の近くに他の被写体が存在する確率は低く、遠近競合は起こりにくい。ホワイトバランス係数がDay Light以外で被写体輝度が明るい場合は、写真スタジオやスポーツ競技場など非常に明るい人工光源を有する場所での撮影と考えられる。写真スタジオは写真撮影のための環境が整備されているので、遠近競合は考えられない。また、スポーツ競技場では被写体となる人物(選手)が特定され、かつ撮影距離が長いので、遠近競合は起こりにくい。
また、被写体輝度の明るいシーンではAF補助光を点灯しても、AF補助光が到達する割合が低く、点灯する効果が少ない。したがって、点灯輝度を低くすることは、無駄な消費電力を低減するためにも合理的である。
被写体輝度が中程度もしくは暗く、かつ夜であると判定された場合や、被写体輝度が中程度で朝または夕方と判定された場合は、どのような撮影状況かを判定するのが困難な場合である。この場合は、AF補助光の点灯輝度を比較的暗い輝度(低輝度)に設定することにより、AF補助光が点灯される確率を低くして無駄な電力消費を抑える。
ステップS411での処理は、遠近競合が起こりやすい、すなわち遠近競合の可能性がある又は高い(第1の可能性)と判定した場合の処理である。この場合は、AF補助光の点灯輝度を比較的明るい第1の輝度(中輝度:例えばBv8程度)に設定する。これにより、AE処理回路13での演算の結果、被写体輝度が第1の輝度以下である場合にAF補助光が点灯されることとなり、AF補助光が点灯される確率はステップS410で低輝度の点灯輝度が設定される場合に比べて高くなる。
ステップS411へ進む場合は、撮影モードがパーティーモードやスナップモードに設定されている場合、被写体輝度が中程度もしくは暗く、かつホワイトバランス係数がDay Light以外と判定された場合である。また、被写体輝度が中程度もしくは暗く、かつ時刻が昼と判定された場合や、被写体輝度が暗く、かつ時刻が朝又は夕方と判定された場合である。
パーティーモードは、パーティー等で多くの被写体が存在する場所での撮影を行うモードであり、通常の被写体は室内の人物である。このため、主被写体と他の参加者やテーブル、装飾品などとの遠近競合が起こりやすい。
スナップモードは、屋内外で多少の動きのある人物をすばやく撮影する、いわゆるスナップショット画像を撮影するモードである。このため、主被写体と他の動いている人物や街路樹などの静止物との遠近競合が起こりやすい。
被写体輝度が中程度もしくは暗く、かつホワイトバランスがDay Light(日中の太陽光)以外と判定された場合は、白熱電球や蛍光灯などの人工光源で照明された被写体を撮影する場合である。これは、一般家庭やホテル、宴会場、公共施設の室内での撮影と判断できる。この場合は、主被写体と他の人物、家具、テーブル上の物などとの遠近競合が起こりやすい。
被写体輝度が中程度もしくは暗く、かつ時刻が昼と判定された場合や、被写体輝度が暗く、かつ時刻が朝又は夕方と判定された場合は、屋外の被写体に太陽光が当たっていると予想されるにもかかわらず、被写体輝度が想定する輝度になっていない場合である。この場合は、何らかの遮蔽物で太陽光が遮られていることが予想される。遮蔽物が多数存在すると遠近競合が起こりやすくなる。
なお、時刻は、海外旅行時の時差や時計機能の設定のし忘れなどによって不正確な場合がある。したがって、時刻の情報を使用しない場合もあり得る。この場合は、ステップS406でDay Lightと判定した場合は全てS410へ進み、遠近競合が起こりにくいと判定できる場合の処理を行う。これは、太陽光が被写体に当たっている状態での撮影は、屋外撮影がほとんどであるため、遠近競合は起きにくいからである。
このように、本実施例では、撮影モード、被写体輝度、ホワイトバランス係数および撮影時刻のうち少なくとも1つに基づいて、遠近競合の発生可能性を判定する。そして、判定結果に応じて、AF補助光を点灯させる被写体輝度を変更することにより、遠近競合が発生し易い状況で主被写体に対する評価信号(AF評価値)のピーク位置を検出できる確率を高める。このため、遠近競合の発生時に正確に主被写体に対する合焦を得ることができる。ホワイトバランス係数に代えて又はこれとともに、画像信号から得られる被写体の色情報を用いてもよい。
図3のステップS301で、AF補助光の点灯輝度を設定すると、ステップS302へ進む。ステップS302においては、CPU15は、AF補助光の設定を消灯とする。実質的にはそれ以前にAF補助光は消灯されていることがほとんどであるので、この処理は確認のための処理となる。
次に、ステップS303では、CPU15は、SW1の状態を確認する。SW1がオフならば上記の動作を繰り返し、SW1がオンになるのを待つ。SW1がオンしていればステップS304へ進み、スキャン動作を開始する。
まず、ステップS304において、フォーカスレンズ3をスキャン動作の開始位置(例えば、無限遠相当位置)へ駆動する。
次に、ステップS305では、AF評価値を取得するためのフォーカスレンズ3の駆動を開始する。このとき、フォーカスレンズ3の駆動速度を画像データの読出し時間や焦点深度などに基づいて求め、その結果に従ってフォーカスレンズ3をスキャン終了位置方向へ駆動する。また、フォーカスレンズ3はスキャン開始位置から終了位置まで連続して駆動し、途中で停止させることはしない。
ステップS306では、CPU15は、スキャン動作中のフォーカスレンズ3の位置(以下、スキャン位置という)がAF補助光を点灯する位置(以下、補助光点灯位置という)に到達したか否かを調べる。また、ステップS307では、被写体輝度がステップS301で設定されたAF補助光の点灯輝度以下か否かを調べる。スキャン位置が補助光点灯位置に到達し、かつ被写体輝度が点灯輝度以下の場合は、ステップS308に進み、CPU15はAF補助光駆動回路32を通じてAF補助光発光部33を駆動し、AF補助光を点灯する。それ以外の場合は、ステップS309に進む。
ここで、補助光点灯位置の決定方法について説明する。補助光点灯位置は、AF補助光が到達する撮像装置1からの距離(以下、補助光到達距離という)と各ズームポジションにおける撮影距離の頻度とに基づいて決定する。
AFにて合焦可能なCMOS5の受光面上での光量(以下、AF可能受光量という)は、CMOS5のSN比やAFのアルゴリズムによって決まっており、AFによる合焦に必要な被写体の照度は、このAF可能受光量と開放F値との積に相当する。AF補助光によって照明された被写体の照度は、AF補助光の発光光量に比例し、被写体距離の2乗に反比例する。したがって、補助光到達距離は、
補助光到達距離
=√(AF補助光の発光光量÷AF可能受光量÷開放F値)
で求めることができる。
補助光到達距離
=√(AF補助光の発光光量÷AF可能受光量÷開放F値)
で求めることができる。
各ズームポジションにおける撮影距離の頻度に関する情報は、フォトスペースと呼ばれるデータベースに蓄積されている。これによれば、撮影頻度の高い距離は無限遠と数メートルの距離である。これは、一般的な撮影には、風景撮影と人物撮影が多いことを表している。人物撮影では、人物の上半身から全身を画面内に収める場合がほとんどであるため、そのときの撮影距離は、35mmカメラに換算した焦点距離から見当をつけることができる。例えば、35mmカメラで焦点距離が35mmであれば、本実施例の撮像装置1では撮影距離は1〜2.5m、焦点距離が35mm70mmであれば撮影距離は2〜5m程度となる。
これらの補助光到達距離の情報と各ズームポジションで撮影頻度の高い距離の情報とを用いて、次のように補助光点灯位置を決定する。
補助光到達距離が各ズームポジションにおける撮影頻度の高い距離と等しいか又はそれよりも遠い場合は、補助光到達距離に対応するフォーカスレンズ位置を、補助光点灯位置とする。
また、補助光到達距離が各ズームポジションにおける撮影頻度の高い距離より近い場合は、補助光到達距離と撮影頻度の高い距離との平均値に対応するフォーカスレンズ位置を、補助光点灯位置とする。
ステップS309では、CPU15は、AF評価値を取得し、該AF評価値をスキャン位置情報とともに記憶する。
そして、ステップS310では、スキャン位置が終了位置(例えば、最至近相当位置)に到達したか否かの判定処理を行う。この結果、ステップS311でスキャン動作が終了していないと判定した場合は、ステップS306〜ステップS310を繰り返す。これにより、所定のスキャン間隔を隔てた複数のスキャン位置でのAF評価値が取得(記憶)される。
一方、ステップS311でスキャン動作が終了したと判定した場合は、ステップS320へ進み、AF補助光を消灯する。その後、ステップS321でフォーカスレンズ3の駆動を停止させ、スキャン動作を終了する。
続いて、ステップS322では、CPU15は、スキャン動作によって得られた複数のAF評価値を比較してそのピークが得られるフォーカスレンズ位置を求め、その位置にフォーカスレンズ3を駆動する。これにより、合焦が得られる。
図5には、スキャン動作とAF補助光との関係を示している。図5において、横軸はフォーカスレンズ3の位置、縦軸はAF評価値を示している。図5においてAF評価値がピークとなるフォーカスレンズ位置(ピーク位置)が合焦位置であり、スキャンAF処理ではそのようなピーク位置を見つけ、そのピーク位置にフォーカスレンズ3を駆動する。図5においては、互いに距離が異なる2つの被写体(主被写体と競合被写体)に対応する2つのピーク位置が存在し、遠近競合が起きている状態を示す。
図5において、白丸(○)は、AF補助光を点灯した状態での各スキャン位置でのAF評価値を示す。また、黒丸(●)はAF補助光を消灯した状態での各スキャン位置でのAF評価値を示す。さらに、上が白で下が黒の丸は、距離が遠くてAF補助光が到達しないためにAF補助光を点灯した状態と消灯した状態とで同じAF評価値が得られるスキャン位置とそこでのAF評価値を示す。
図5では、理解を容易とするためにAF評価値を連続したグラフ線として示しているが、実際には所定のスキャン間隔を隔てた複数のスキャン位置でのみAF評価値を取得するため、丸で示した位置でのAF評価値しか得られない。これは、スキャンAF処理をできるだけ高速で行うためである。
このように遠近競合が起こり、かつ主被写体よりも遠方の競合被写体のコントラストが主被写体のそれよりも高い場合は、AF補助光を点灯した場合も消灯した場合も遠方の競合被写体の方がAF評価値は高くなる。例えば、一般的な人の顔のコントラストは低いため、人物撮影では壁等の背景のコントラストの方が高くなる。
しかし、AF補助光を点灯した場合は、スキャン動作によって得られる主被写体に対するAF評価値および競合被写体に対するAF評価値のいずれもが山状に変化するため、それぞれのピーク位置を見つけることができる。この場合は、近い方のピーク位置を合焦位置とすることで、主被写体に合焦させることが可能になる。
これに対し、AF補助光を消灯した場合は、主被写体のAF評価値は山状に変化せず、ピーク位置を見つけることができない。この場合は、主被写体に合焦させることが不可能となる。
このことから、AF補助光を点灯してスキャン動作を行う方が、遠近競合対策として有効であることが分かる。逆に言えば、至近側の被写体が存在する距離に対応する区間をスキャンする場合のみAF補助光を点灯すれば、至近側のピーク位置を見つけることができることが分かる。
図5中の太い一点鎖線は、遠方の競合被写体が存在する距離に対応する区間をスキャンする場合はAF補助光を点灯せず、近い方の主被写体が存在する距離に対応する区間をスキャンする場合にAF補助光を点灯した場合のAF評価値の変化を示している。この場合、遠方の競合被写体に対するAF評価値より、近い方の主被写体に対するAF評価値が大きくなり、より確実に主被写体に合焦させることが可能になる。
但し、このように近い方の被写体をスキャンする時のみにAF補助光を点灯した場合の弊害もある。それについて図6Aおよび図6Bを用いて説明する。
図6Aおよび図6Bの横軸はフォーカスレンズ位置、縦軸はAF評価値を示している。白丸(○)、黒丸(●)および上が白で下が黒の丸の意味は、図5と同じである。
図6Aおよび図6Bには、主被写体に対応するフォーカスレンズ位置が補助光点灯位置より遠方にあり、かつこれらの位置が互いに近い場合を示している。この場合、AF補助光の点灯直後のAF評価値(AFE2)が点灯直前のAF評価値(AFE1)より大きくなるために、本来のAF評価値の大小関係が逆転してしまう。したがって、AFE2が得られるスキャン位置に基づいて偽合焦位置が合焦位置と決定されてしまい、AFE1が得られるスキャン位置に基づいた正しい合焦位置にフォーカスレンズ3を駆動することができず、撮影画像はぼけてしまう。
このような弊害を回避するために、本実施例では以下の処理を行う。まず、このような偽合焦位置が生じたことを、簡易合焦度、補助光点灯位置とピーク位置との位置関係およびピーク位置の前後でのAF評価値に基づいて判定する。ここで、簡易合焦度とは、スキャンAF処理による合焦位置の算出に用いるAF評価値とは別のAF評価値(以下、第2のAF評価値という)と被写体のコントラストを表す評価値との比である。
そして、CPU15は、合焦位置と判定したフォーカスレンズ位置が偽合焦位置であると判断した場合は、再度スキャン動作を行い、正しい合焦位置を求める。
図7を用いて、その処理について説明する。ステップS701では、CPU15は簡易合焦度を求める。この簡易合焦度は、前述したように、第2のAF評価値を被写体のコントラストを表す評価値で除した値である。
なお、第2のAF評価値と被写体のコントラストを表す評価値も、スキャンAF処理回路14で求められる。合焦位置算出のためのAF評価値は、スキャンAF処理回路14に入力された1画面分のデジタル画像データの高周波成分をハイパスフィルター(HPF)等を介して抽出し、更に累積加算等を行って求める。これに対し、第2のAF評価値は、累積加算を行わずに、1画面分の画像データの高周波成分をハイパスフィルター(HPF)等を介して抽出し、その信号の最大値を求めることで得られる。
簡易合焦度は、合焦時にある一定の値以上になり、非合焦時にはある一定の値未満の値になる。被写体によりその値は異なるため判断が困難な状況も生じるが、偽合焦位置か否かの判定には十分に使用できる。例えば、正しい合焦位置とみなせる場合は、この簡易合焦度は0.6〜2程度の値になる。一方、偽合焦位置の場合は、その位置での簡易合焦度の値から徐々に値が減少していき、完全にぼけた状態では0〜0.3程度の値になる。
このことから、簡易合焦度が低い場合(例えば、0.5未満の場合)には偽合焦位置とみなしてステップS702からステップS710へ進み、再スキャン動作を行う決定をして処理を終了する。また、簡易合焦度が高い場合(例えば1.5以上の場合)は、ステップS707へ進み、正しい合焦位置、すなわち合焦が得られたとみなして処理を終了する。
また、簡易合焦度が中程度(例えば、0.5以上1.5未満の場合)はステップS703に進み、AF評価値が最大となるピークスキャン位置pmaxを求める。
そして、ステップS704では、ピークスキャン位置pmaxと補助光点灯位置とを比較し、ピークスキャン位置pmaxが補助光点灯位置の1つ近側のスキャン位置でなければ、ステップS707へ進み、正しい合焦位置とみなして処理を終了する。
一方、ステップ704で、ピークスキャン位置pmaxが補助光点灯位置の1つ近側のスキャン位置である場合は、ステップS705に進む。ステップS705では、ピークスキャン位置pmaxの前後のスキャン位置pmax−1とpmax+1におけるAF評価値Vpmax−1とVpmax+1を求める。
そして、ステップS706で、AF評価値Vpmax−1とVpmax+1の比を所定値C1,C2と比較する。例えば、C1は0.8、C2は1.25程度の値に設定される。
ここで、C1≦Vpmax−1/Vpmax+1≦C2であれば、ステップS707に進み、合焦が得られたとみなして処理を終了する。それ以外の場合は、偽合焦位置とみなしてステップS702からステップS710へ進み、再スキャン動作を行う決定をして処理を終了する。
再スキャン動作は、AF補助光を全スキャン区間で点灯して行うか、又はAF補助光を消灯して行う。また、再スキャン動作を行わずに、AFNGとして、所定のフォーカスレンズ位置にフォーカスレンズ3を駆動してもよい。
次に、本発明の実施例2である撮像装置におけるスキャンAF処理について説明する。実施例1では補助光点灯位置においてAF補助光を点灯し、それより遠方に対応する区間をスキャンする際はAF補助光を消灯した。これに対し、本実施例では、無限遠相当位置でAF補助光を消灯し、それよりも近い距離に対応する区間をスキャンする場合は対応する距離が近くなるほどAF補助光を明るくしていく。そして、実施例1における補助光点灯位置より近い距離に対応する区間(以下、近距離合焦可能区間という)をスキャンする際はAF補助光を最大輝度(最大発光強度)で発光する。
なお、本実施例におけるAF補助光の明るさ又は輝度とは、AF補助光発光部33の輝度を意味する。
また、本実施例のスキャンAF処理が実行される撮像装置の構成および撮影処理シーケンスは実施例1と同じである。以下の説明において実施例1と共通する構成要素には実施例1と同符号を付す。
図8には、本実施例でのスキャンAF処理のシーケンスを示している。まず、SW1がオンされる前に、CPU15は、ステップS801でAF補助光を点灯させる被写体輝度(点灯輝度)を設定する。この点灯輝度の設定方法は、実施例1(図4)と同じである。
次に、ステップS802において、CPU15は、AF補助光を消灯する。実質的にはそれ以前に消灯されていることがほとんどであるので、この処理は確認のための処理となる。
ステップS803では、CPU15は、SW1の状態を確認する。SW1がオフならば上記の動作を繰り返し、SW1がオンになるのを待つ。SW1がオンしていればステップS804へ進み、スキャン動作を開始する。
ステップS804では、フォーカスレンズ3をスキャン動作の開始位置(無限遠相当位置)へ駆動する。
次に、ステップS805では、AF評価値を取得するためのフォーカスレンズ3の駆動を開始する。このとき、フォーカスレンズ3の駆動速度を画像データの読出し時間や焦点深度などに基づいて求め、その結果に従ってフォーカスレンズ3をスキャン終了位置方向へ駆動する。また、フォーカスレンズ3はスキャン開始位置から終了位置まで連続して駆動し、途中で停止させることはしない。
ステップS806では、CPU15は、被写体輝度がステップS801で設定されたAF補助光の点灯輝度以下か否かを調べる。被写体輝度が点灯輝度以下の場合は、ステップS807に進み、スキャン位置が無限遠相当位置か否かをチェックする。被写体輝度が点灯輝度以下で、かつ無限遠相当位置でない場合はステップS808でAF補助光を点灯する。そして、この後にこのステップを行うごとにAF補助光の明るさ(輝度)を徐々に、すなわち段階的に増加させる。
但し、AF補助光の輝度が最大輝度に達した場合は、これ以上の輝度アップは行わない。これにより、AF補助光の輝度は、近距離合焦可能区間よりも遠距離の被写体に合焦可能なスキャン区間(以下、遠距離合焦可能区間という)で徐々に増加する。そして、その後は、近距離合焦可能区間において、AF補助光発光部33により発光可能な最大輝度(言い換えれば、遠距離合焦可能区間での最大輝度以上の輝度)でのAF補助光の点灯が継続される。
このように、無限遠相当位置以外でのスキャン動作中は一旦点灯したAF補助光を消灯せず、輝度を徐々に上げていき、最終的に最大輝度で点灯させる。
そして、ステップS809では、CPU15は、AF評価値を取得し、該AF評価値をスキャン位置情報とともに記憶する。
次に、ステップS810では、スキャン位置が終了位置(最至近相当位置)に到達したか否かの判定処理を行う。この結果、ステップS811でスキャン動作が終了していないと判定した場合は、ステップS806〜ステップS810を繰り返す。これにより、所定のスキャン間隔を隔てた複数のスキャン位置でのAF評価値が取得(記憶)される。
一方、ステップS811でスキャン動作が終了したと判定した場合は、ステップS820へ進み、AF補助光を消灯する。その後、ステップS821でフォーカスレンズ3の駆動を停止させ、スキャン動作を終了する。
続いて、ステップS822では、CPU15は、スキャン動作によって得られた複数のAF評価値を比較してそのピークが得られるフォーカスレンズ位置を求め、その位置にフォーカスレンズ3を駆動する。これにより、合焦が得られる。
図9には、本実施例でのスキャン動作とAF補助光との関係を示している。横軸はフォーカスレンズ3の位置を、縦軸はAF評価値を示している。
図9においてAF評価値がピークとなるフォーカスレンズ位置(ピーク位置)が合焦位置であり、スキャンAF処理ではそのようなピーク位置を見つけ、そのピーク位置にフォーカスレンズ3を駆動する。図9においては、互いに距離が異なる2つの被写体(主被写体と競合被写体)に対応する2つのピーク位置が存在し、遠近競合が起きている状態を示す。
図9における白丸(○)、黒丸(●)および上が白で下が黒の丸の意味は実施例1と同じである。また、図9では、AF評価値を連続したグラフ線として示しているが、実施例1と同様に、実際には所定のスキャン間隔を隔てた複数のスキャン位置でのみAF評価値を取得するため、丸で示した位置でのAF評価値しか得られない。
このような遠近競合が起こる状況において、主被写体に正しく合焦させるために、AF補助光を点灯してスキャン動作を行うことが有効であることは実施例1で説明した通りである。
図9中の太い一点鎖線で描いたグラフは、前述したように無限遠相当位置でAF補助光を消灯し、それよりも近い距離に対応する区間をスキャンする際に対応距離が近くなるにつれてAF補助光の輝度を上げた場合のAF評価値の変化を示す。
この場合は、遠方の競合被写体に対するAF評価値より、近い方の主被写体に対するAF評価値が大きくなり、より確実に近い方の主被写体に合焦させることが可能になる。
なお、実施例1では、主被写体の位置が補助光点灯位置より遠方にあり、かつこれらの位置が互いに近い場合に、偽合焦位置が合焦位置と決定されてしまうという弊害が発生する可能性があったが、本実施例ではこのような弊害は生じない。本実施例では、図10に示すように、無限遠相当位置から徐々にAF補助光の輝度を上げているため、主被写体に対応するフォーカスレンズ位置の前後で被写体の輝度が大きく変化せず、AF評価値(AFE1,AFE2)の変化も少ないからである。
なお、本実施例では、遠距離合焦可能区間において無限遠側から至近側に向かってAF補助光の明るさを徐々に明るくしていく場合について説明した。しかし、遠距離合焦可能区間においてAF補助光の明るさを一定(例えば、最大明るさの半分)とし、近距離合焦可能区間において最大明るさとするように切り換えてもよい。
また、上記各実施例では、スキャンAF処理においてフォーカスレンズを無限遠側から至近側にスキャン動作させる場合について説明したが、これとは逆方向にフォーカスレンズをスキャン動作させてもよい。
また、上記各実施例では、レンズ鏡筒が一体的に設けられた撮像装置について説明したが、本発明は、レンズ交換式の撮像装置(一眼レフデジタルカメラ)にも適用することができる。さらに、撮像装置から画像信号を取得してスキャンAF処理を行う光学機器としての交換レンズにも適用することができる。
また、本発明における遠近競合の発生可能性の判定方法は上記実施例で説明した方法に限られず、種々の方法を採用することができる。
1 撮像装置
2 ズームレンズ
3 フォーカスレンズ
4 絞り
5 固体撮像素子
14 スキャンAF処理回路
15 CPU
33 AF補助光発光部
2 ズームレンズ
3 フォーカスレンズ
4 絞り
5 固体撮像素子
14 スキャンAF処理回路
15 CPU
33 AF補助光発光部
Claims (10)
- 被写体像を光電変換する撮像素子を用いて得られた画像信号から評価信号を生成する評価信号生成手段と、
フォーカスレンズを移動させて取得した前記評価信号に基づいて合焦位置を検出し、該合焦位置に前記フォーカスレンズを移動させるAF制御手段と、
被写体に対してAF補助光を発光する発光手段と、
前記フォーカスレンズの移動の際に前記発光手段を制御する補助光制御手段とを有し、
前記補助光制御手段は、合焦位置の検出の際における遠近競合の発生可能性を判定し、該判定結果に応じて前記発光手段を点灯させる被写体輝度を変更することを特徴とする光学機器。 - 前記補助光制御手段は、遠近競合の発生可能性が第1の可能性であると判定した場合は、前記発光手段を点灯させる被写体輝度を、前記第1の可能性より低い第2の可能性であると判定した場合に比べて、高い輝度に設定することを特徴とする請求項1に記載の光学機器。
- 前記補助光制御手段は、撮影モード、被写体輝度、被写体の色情報、ホワイトバランス係数および撮影時刻のうち少なくとも1つに基づいて、遠近競合の発生可能性を判定することを特徴とする1又は2に記載の光学機器。
- 前記補助光制御手段は、前記フォーカスレンズが移動する区間のうち第1の距離よりも遠距離の被写体に合焦可能な第1の区間で移動するときと前記第1の距離よりも近距離の被写体に合焦可能な第2の区間で移動するときとで、前記発光手段の状態を変更することを特徴とする請求項1に記載の光学機器。
- 前記補助光制御手段は、前記フォーカスレンズが前記第1の区間で移動するときは前記発光手段を消灯させ、前記第2の区間で移動するときは前記発光手段を点灯させることを特徴とする請求項4に記載の光学機器。
- 前記補助光制御手段は、前記フォーカスレンズが前記第2の区間で移動するときは、前記第1の区間で移動するときに比べてAF補助光が明るくなるように前記発光手段を制御することを特徴とする請求項4に記載の光学機器。
- 前記補助光制御手段は、前記フォーカスレンズが前記第1の区間で移動するときは前記第1の距離の被写体に合焦可能な位置に近いほどAF補助光の明るさが増加し、前記第2の区間で移動するときはAF補助光の明るさが前記第1の区間での最大の明るさ以上の明るさになるように前記発光手段を制御することを特徴とする請求項4に記載の光学機器。
- 前記補助光制御手段は、前記フォーカスレンズが無限遠側の被写体に合焦可能な位置にあるときは、前記発光手段を消灯することを特徴とする請求項7に記載の光学機器。
- 前記第1の距離は、前記AF補助光が到達可能な距離と撮影距離の頻度に関する情報とに基づいて決定されることを特徴とする請求項4から8のいずれか1つに記載の光学機器。
- 被写体像を光電変換する撮像素子を用いて得られた画像信号から評価信号を生成するステップと、
フォーカスレンズを移動させて取得した前記評価信号に基づいて合焦位置を検出し、該合焦位置に前記フォーカスレンズを移動させるよう制御するステップと、
前記フォーカスレンズの移動の際に、発光手段から被写体に対してAF補助光を発光するステップと、
合焦位置の検出の際に遠近競合の発生可能性を判定し、該判定結果に応じて前記AF補助光を被写体に対して発光する被写体輝度を変更するステップとを有することを特徴とする光学機器の制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006236436A JP2008058701A (ja) | 2006-08-31 | 2006-08-31 | 光学機器およびその制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006236436A JP2008058701A (ja) | 2006-08-31 | 2006-08-31 | 光学機器およびその制御方法 |
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JP2008058701A true JP2008058701A (ja) | 2008-03-13 |
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JP2006236436A Pending JP2008058701A (ja) | 2006-08-31 | 2006-08-31 | 光学機器およびその制御方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2008058701A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013020196A (ja) * | 2011-07-14 | 2013-01-31 | Olympus Imaging Corp | カメラ |
-
2006
- 2006-08-31 JP JP2006236436A patent/JP2008058701A/ja active Pending
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