JP2008057851A - 冷凍装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】インバータ装置に実装される電装品が熱や振動により破損してしまうのを防止する。
【解決手段】インバータ装置(60)の回路基板(61)を、パワーデバイス(62)を含む制御回路(50)が実装された第1の回路基板(61a)と、電装品(63)が実装された第2の回路基板(61b)とに分離し、第1の回路基板(61a)を圧縮機(20)の吐出管(11)に取り付ける一方、第2の回路基板(61b)を該吐出管(11)から離隔して配置する。
【選択図】図1

Description

本発明は、冷凍装置に関するものである。
従来より、冷凍装置等の冷媒回路を用いた空気調和装置では、圧縮機をインバータ制御することで空調性能の向上を図っている。ここで、圧縮機をインバータ制御するインバータ装置の回路基板には、スイッチング素子等を構成するパワーデバイスが実装されており、このパワーデバイスは、例えばシリコン素子等で形成されるため、耐熱温度が比較的低く、熱による破損を招き易い。
そこで、特許文献1に記載の空気調和装置では、発熱したパワーデバイスを冷却する方法として、空気調和装置の冷媒回路上の高温部に密接させて熱交換を行うことが開示されている。
特開2006−42529号公報
しかしながら、従来の冷凍装置に搭載されるインバータ装置の回路基板には、発熱源となるパワーデバイスの他にも、電解コンデンサ、コイル、制御回路用のIC等の電装品が実装されていることから、以下のような問題がある。
すなわち、上述した電装品はパワーデバイスの耐熱温度よりも低い温度で破損してしまうため、冷媒回路で行われる冷凍サイクルの運転条件等によってインバータ装置の周囲の冷媒温度が高温になると、冷媒温度がパワーデバイスの耐熱温度以下であったとしても、上述のような電装品が熱により破損するおそれがある。さらに、冷媒回路で行われる冷凍サイクルの運転条件等によって振動が発生し、この振動がインバータ装置側に伝達されることで、電装品が振動により破損するおそれがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、インバータ装置に実装される電装品が熱や振動により破損してしまうのを防止することにある。
前記の目的を達成するため、本発明では、パワーデバイスのみを高温冷媒と熱交換させ、その他の電装品を高温冷媒から離隔するようにした。
すなわち、第1の発明は、冷媒を圧縮して吐出管(11)から送り出す圧縮機(20)と、パワーデバイス(62)を含む制御回路(50)及び電装品(63)が実装された回路基板(61)を有し該圧縮機(20)を駆動制御するインバータ装置(60)とを備え、冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う冷凍装置であって、
前記インバータ装置(60)の回路基板(61)は、前記制御回路(50)が実装された第1の回路基板(61a)と、前記電装品(63)が実装された第2の回路基板(61b)とに分離され、
前記第1の回路基板(61a)が前記吐出管(11)に取り付けられる一方、前記第2の回路基板(61b)が該吐出管(11)から離隔して配置されていることを特徴とするものである。
第1の発明では、パワーデバイス(62)を含む制御回路(50)が実装された第1の回路基板(61a)と、電装品(63)が実装された第2の回路基板(61b)とに分離されたインバータ装置(60)の回路基板(61)のうち、第1の回路基板(61a)が吐出管(11)に取り付けられる一方、第2の回路基板(61b)が吐出管(11)から離隔して配置される。
このため、発熱部品であるパワーデバイス(62)の冷却を圧縮機(20)の吐出管(11)を流れる冷媒との熱交換により行う一方、パワーデバイス(62)よりも耐熱温度の低い電解コンデンサ、制御回路用のIC等の電装品(63)を吐出管(11)から離隔させることで、冷媒の熱により電装品(63)が破損することを防止することができる。さらに、圧縮機(20)の運転動作によって振動が発生しても、電装品(63)が実装された第2の回路基板(61b)を圧縮機(20)の吐出管(11)から離隔して配置しているため、吐出管(11)を介して電装品(63)側に振動が伝達されることがなく、振動に弱い電装品(63)を保護する上で有利となる。
第2の発明は、前記第1の回路基板(61a)に実装された前記パワーデバイス(62)は、伝熱部材(64)を介して前記吐出管(11)に取り付けられていることを特徴とするものである。
第2の発明では、第1の回路基板(61a)に実装されたパワーデバイス(62)と吐出管(11)とが伝熱部材(64)を介して取り付けられる。このため、パワーデバイス(62)で生じた熱が吐出管(11)を流れる冷媒側に放熱される際の熱交換効率を向上させることができる。
具体的に、例えば、吐出管(11)が円筒状の配管である場合に、パワーデバイス(62)を吐出管(11)に直接接触させた場合には、チップ面積の一部に吐出管(11)と接触していない箇所が生じてしまうが、伝熱部材(64)の形状を吐出管(11)の外形形状に対応した円弧形状とし、パワーデバイス(62)側を平面とすることで、チップ表面全体が吐出管(11)と密着した状態となることから、熱交換効率を向上させる上で有利となる。なお、パワーデバイス(62)で生じた熱が確実に吐出管(11)側に放熱されるように、伝熱部材(64)として例えばアルミニウム等の熱伝導率の高い材料を用いることが好ましい。
第3の発明は、前記第1の回路基板(61a)と前記吐出管(11)とは、樹脂部材(69)により一体的に成形されていることを特徴とするものである。
第3の発明では、第1の回路基板(61a)と吐出管(11)とが樹脂部材(69)により一体的に成形されて取り付けられる。このため、第1の回路基板(61a)を吐出管(11)に取り付けるための取付部材が不要となりコスト削減に有利である。
また、振動等の影響により取付部材が外れてしまって第1の回路基板(61a)が吐出管(11)から脱落する等のおそれもなく、より確実にパワーデバイス(62)を吐出管(11)に密着させてパワーデバイス(62)の冷却を行うことができる。
さらに、樹脂による放熱効果や防振効果も得られるため、パワーデバイス(62)を熱や振動から保護する上で有利な効果が得られる。また、発熱したパワーデバイス(62)に作業者が誤って触れてしまうことを確実に防止でき、安全性を確保する上で有利となる。
第4の発明は、冷媒を圧縮して吐出管(11)から送り出す圧縮機(20)と、パワーデバイス(62)を含む制御回路(50)及び電装品(63)が実装された回路基板(61)を有し該圧縮機(20)を駆動制御するインバータ装置(60)とを備え、冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う冷凍装置であって、
前記圧縮機(20)は、内部に冷媒が満たされるケーシング(30)を有し、
前記インバータ装置(60)の回路基板(61)は、前記制御回路(50)が実装された第1の回路基板(61a)と、前記電装品(63)が実装された第2の回路基板(61b)とに分離され、
前記第1の回路基板(61a)が前記圧縮機(20)のケーシング(30)に取り付けられる一方、前記第2の回路基板(61b)が該圧縮機(20)のケーシング(30)から離隔して配置されていることを特徴とするものである。
第4の発明では、パワーデバイス(62)を含む制御回路(50)が実装された第1の回路基板(61a)と、電装品(63)が実装された第2の回路基板(61b)とに分離されたインバータ装置(60)の回路基板(61)のうち、第1の回路基板(61a)が圧縮機(20)のケーシング(30)に取り付けられる一方、第2の回路基板(61b)が圧縮機(20)のケーシング(30)から離隔して配置される。
このため、発熱部品であるパワーデバイス(62)の冷却を圧縮機(20)のケーシング(30)内を流れる冷媒との熱交換により行う一方、パワーデバイス(62)よりも耐熱温度の低い電解コンデンサ、制御回路用のIC等の電装品(63)を圧縮機(20)のケーシング(30)から離隔させることで、冷媒の熱により電装品(63)が破損することを防止することができる。さらに、圧縮機(20)の運転動作によって振動が発生しても、電装品(63)が実装された第2の回路基板(61b)を圧縮機(20)のケーシング(30)から離隔して配置しているため、ケーシング(30)を介して電装品(63)側に振動が伝達されることがなく、振動に弱い電装品(63)を保護する上で有利となる。
第5の発明は、前記パワーデバイス(62)は、ワイドバンドギャップ半導体素子を備えていることを特徴とするものである。
なお、上述した「ワイドバンドギャップ半導体素子」とは、炭化シリコン(SiC)素子、窒化ガリウム(GaN)、ダイヤモンド素子等に代表される、比較的大きなバンドギャップを有する半導体素子であり、具体的には、2.0eV以上のバンドギャップを有するものを意味する。
第5の発明では、パワーデバイス(62)がワイドバンドギャップ半導体素子を備えている。ワイドバンドギャップ半導体素子は、一般的な素子(例えばSi素子)と比較して耐熱性に優れている。このため、ワイドバンドギャップ半導体素子の周囲の冷媒温度が比較的高温となっても、このワイドバンドギャップ半導体素子が熱により破損してしまうのを確実に回避できる。
また、ワイドバンドギャップ半導体素子は、耐熱温度が高いことから、その動作温度も比較的高くなる。このため、ワイドバンドギャップ半導体素子の表面温度は、冷媒の温度よりも高くなる。従って、ワイドバンドギャップ半導体素子から発する熱は、冷媒に放出される。その結果、本発明では、冷媒によってワイドバンドギャップ半導体素子の冷却が行われる。
本発明によれば、発熱部品であるパワーデバイス(62)の冷却を圧縮機(20)の吐出管(11)を流れる冷媒との熱交換により行う一方、パワーデバイス(62)よりも耐熱温度の低い電解コンデンサ、制御回路用のIC等の電装品(63)を吐出管(11)から離隔させることで、冷媒の熱により電装品(63)が破損することを防止することができる。さらに、圧縮機(20)の運転動作によって振動が発生しても、電装品(63)が実装された第2の回路基板(61b)を圧縮機(20)の吐出管(11)から離隔して配置しているため、吐出管(11)を介して電装品(63)側に振動が伝達されることがなく、振動に弱い電装品(63)を保護する上で有利となる。
また、第2の発明によれば、パワーデバイス(62)で生じた熱が吐出管(11)を流れる冷媒側に放熱される際の熱交換効率を向上させることができる。
具体的に、例えば、吐出管(11)が円筒状の配管である場合に、パワーデバイス(62)を吐出管(11)に直接接触させた場合には、チップ面積の一部に吐出管(11)と接触していない箇所が生じてしまうが、伝熱部材(64)の形状を吐出管(11)の外形形状に対応した円弧形状とし、パワーデバイス(62)側を平面とすることで、チップ表面全体が吐出管(11)と密着した状態となることから、熱交換効率を向上させる上で有利となる。なお、パワーデバイス(62)で生じた熱が確実に吐出管(11)側に放熱されるように、伝熱部材(64)としてアルミニウム等の熱伝導率の高い材料を用いることが好ましい。
また、第3の発明によれば、第1の回路基板(61a)を吐出管(11)に取り付けるための取付部材が不要となりコスト削減に有利である。
また、振動等の影響により取付部材が外れてしまって第1の回路基板(61a)が吐出管(11)から脱落する等のおそれもなく、より確実にパワーデバイス(62)を吐出管(11)に密着させてパワーデバイス(62)の冷却を行うことができる。
さらに、樹脂による放熱効果や防振効果も得られるため、パワーデバイス(62)を熱や振動から保護する上で有利な効果が得られる。また、発熱したパワーデバイス(62)に作業者が誤って触れてしまうことを確実に防止でき、安全性を確保する上で有利となる。
また、第4の発明によれば、発熱部品であるパワーデバイス(62)の冷却を圧縮機(20)のケーシング(30)内を流れる冷媒との熱交換により行う一方、パワーデバイス(62)よりも耐熱温度の低い電解コンデンサ、制御回路用のIC等の電装品(63)を圧縮機(20)のケーシング(30)から離隔させることで、冷媒の熱により電装品(63)が破損することを防止することができる。さらに、圧縮機(20)の運転動作によって振動が発生しても、電装品(63)が実装された第2の回路基板(61b)を圧縮機(20)のケーシング(30)から離隔して配置しているため、ケーシング(30)を介して電装品(63)側に振動が伝達されることがなく、振動に弱い電装品(63)を保護する上で有利となる。
また、第5の発明によれば、ワイドバンドギャップ半導体素子は、一般的な素子(例えばSi素子)と比較して耐熱性に優れているため、ワイドバンドギャップ半導体素子の周囲の冷媒温度が比較的高温となっても、このワイドバンドギャップ半導体素子が熱により破損してしまうのを確実に回避できる。
また、ワイドバンドギャップ半導体素子は耐熱温度が高いことから、その動作温度も比較的高く、その表面温度は冷媒の温度よりも高くなり、ワイドバンドギャップ半導体素子から発する熱は冷媒に放出されて、ワイドバンドギャップ半導体素子の冷却を行うことができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
本発明の実施形態に係る冷凍装置は、室内の冷房と暖房とを切り換えて行う空気調和装置(1)を構成している。図1に示すように、空気調和装置(1)は、冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる冷媒回路(10)を備えている。冷媒回路(10)には、冷媒としてのフルオロカーボンが充填されている。この冷媒回路(10)では、冷媒が循環することで蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。
−冷媒回路の構成−
冷媒回路(10)には、圧縮機(20)と室内熱交換器(21)と膨張弁(22)と室外熱交換器(23)と四路切換弁(24)とが接続されている。
前記圧縮機(20)は、容積型の圧縮機で構成されており、中空で密閉型のケーシング(30)を備えている。ケーシング(30)の下側寄りに吸入管(14)が接続され、ケーシング(30)の天板に吐出管(11)が接続されている。吐出管(11)は、ケーシング(30)の天板を上下に貫通しており、その下端部がケーシング(30)の内部空間に開口している。なお、ケーシング(30)は、例えば鉄等の金属材料で構成されている。
前記圧縮機(20)のケーシング(30)内には、ロータリー型の圧縮機構(図示せず)と、圧縮機構を作動させる駆動モータ(図示せず)とが収容されている。この圧縮機(20)の圧縮機構では、ガス冷媒が凝縮圧力まで圧縮される。本実施形態の圧縮機(20)は、ケーシング(30)の内部空間が高圧冷媒で満たされる、いわゆる高圧ドーム型の圧縮機を構成している。圧縮された冷媒は、圧縮機(20)の吐出側に設けられた吐出管(11)を介して四路切換弁(24)に送り出される。
前記四路切換弁(24)は、第1から第4までの4つのポートを備えている。四路切換弁(24)は、第1ポートが圧縮機(20)の吐出側と、第2ポートが室内熱交換器(21)と、第3ポートが圧縮機(20)の吸入側と、第4ポートが室外熱交換器(23)とそれぞれ繋がっている。四路切換弁(24)は、第1ポートと第2ポートとが繋がると同時に第3ポートと第4ポートとが繋がる状態(図1の実線で示す状態)と、第1ポートと第4ポートとが繋がると同時に第2ポートと第3ポートとが繋がる状態(図1の破線で示す状態)とに設定が切り換わるように構成されている。
前記室内熱交換器(21)は、室内に設置されており、フィンアンドチューブ式の熱交換器で構成されている。室内熱交換器(21)では、冷媒と室内空気との間で熱交換が行われる。室外熱交換器(23)は、室外に設置されており、フィンアンドチューブ式の熱交換器で構成されている。室外熱交換器(23)では、冷媒と室外空気との間で熱交換が行われる。膨張弁(22)は、冷媒を減圧する減圧手段であり、例えば電子膨張弁で構成されている。
−インバータ装置の構成−
圧縮機(20)は、駆動モータを駆動制御するためのインバータ装置(60)を備えている。インバータ装置(60)は、各種の電子部品を実装した回路基板(61)を有している。この回路基板(61)は、スイッチング素子等を構成する炭化シリコン(SiC)素子、シリコン(Si)素子等で構成されたパワーデバイス(62)及びこのパワーデバイス(62)のドライバ回路等の周辺回路(68)とを含む制御回路(50)が実装された第1の回路基板(61a)と、電解コンデンサ、制御回路用のIC等の電装品(63)が実装された第2の回路基板(61b)とに分離されている。
第1の回路基板(61a)と第2の回路基板(61b)とは、信号及び電源ライン(65)を介して接続され、互いに信号の送受信及び電力搬送を行うことができるようになっている。また、第1の回路基板(61a)と圧縮機(20)とは出力ライン(66)を介して接続され、パワーデバイス(62)から出力される制御信号に基づいて駆動モータの駆動制御が行われるようになっている。
図1に示すように、インバータ装置(60)をなす回路基板(61)のうち第1の回路基板(61a)は、圧縮機(20)の吐出側の吐出管(11)に取り付けられている。具体的に、図2及び図3に示すように、第1の回路基板(61a)は、パワーデバイス(62)の実装面を吐出管(11)側に対向させた状態で、伝熱部材(64)を介して吐出管(11)に取り付けられている。
ここで、例えば、吐出管(11)が円筒状の配管である場合に、パワーデバイス(62)を吐出管(11)に直接接触させた場合には、チップ面積の一部に吐出管(11)と接触していない箇所が生じてしまい、熱交換効率が低下するおそれがあるが、本発明のように、伝熱部材(64)の形状を吐出管(11)の外形形状に対応した円弧形状とし、パワーデバイス(62)側を平面とすることで、チップ表面全体が吐出管(11)と密着した状態となることから、熱交換効率を向上させる上で有利となる。また、伝熱部材(64)としてアルミニウム等の熱伝導率の高い材料を用いるようにすれば、パワーデバイス(62)で生じた熱が確実に吐出管(11)側に放熱されるため好ましい。
ここで、第1の回路基板(61a)と伝熱部材(64)とは、第1の回路基板(61a)にあけられた挿通孔に締結ネジ等の取付部材(67)を挿通させ、さらに伝熱部材(64)に設けられたネジ孔に取付部材(67)を締結することで取り付けられる。
また、第1の回路基板(61a)には、パワーデバイス(62)の他にも、パワーデバイス(62)のドライバ回路等の周辺回路(68)が、パワーデバイス(62)の実装面の反対面に実装されている。このように、パワーデバイス(62)よりも耐熱温度の低い周辺回路(68)を、パワーデバイス(62)の実装面の反対面に実装することで、第1の回路基板(61a)が断熱材や防振材の役割を果たし、パワーデバイス(62)の周辺回路(68)を熱や振動から保護する上で有利となる。
一方、インバータ装置(60)をなす回路基板(61)のうち第2の回路基板(61b)は、吐出管(11)から離隔して配置されている。具体的に、第2の回路基板(61b)は、図4に示すように、空気調和装置(1)の室外ユニット(70)の上部に配置されている。
そして、第2の回路基板(61b)には、室外ユニット(70)のファン(71)側に配向されたフィンを有する放熱フィン(72)が取り付けられている。この放熱フィン(72)は、室外ユニット(70)動作時のファン(71)の送風を受けて、第2の回路基板(61b)に実装された電装品(63)の放熱を促進するものである。
なお、本実施形態では、第1の回路基板(61a)を吐出管(11)に取り付けるために締結ネジ等の取付部材(67)を用いた構造について説明したが、この形態に限定するものではなく、例えば、図5に示すように、第1の回路基板(61a)と吐出管(11)とを、樹脂部材(69)により一体的に成形するようにした構造であっても構わない。
このような構成にすれば、第1の回路基板(61a)を吐出管(11)に取り付けるための取付部材(67)が不要となりコスト削減に有利である。
また、振動等の影響により取付部材(67)が外れて第1の回路基板(61a)が吐出管(11)から脱落する等のおそれもなく、より確実にパワーデバイス(62)を吐出管(11)に密着させてパワーデバイス(62)の冷却を行うことができる。
さらに、樹脂部材(69)による放熱効果や防振効果も得られるため、パワーデバイス(62)を熱や振動から保護する上で有利な効果が得られる。また、発熱したパワーデバイス(62)に作業者が誤って触れてしまうことを確実に防止でき、安全性を確保する上で有利となる。
−運転動作−
次に、この空気調和装置(1)の運転動作について説明する。この空気調和装置(1)は、冷房運転と暖房運転とが可能となっている。これらの運転では、インバータ装置(60)により、圧縮機(20)の駆動モータが駆動されることで圧縮室の容積が拡縮され、圧縮機構で冷媒の圧縮動作が行われる。
−暖房運転−
暖房運転では、四路切換弁(24)が図1の実線で示す状態となる。また、膨張弁(22)の開度が適宜調節される。
圧縮機(20)で圧縮された冷媒が高圧冷媒となって吐出管(11)を流通する。吐出管(11)には、第1の回路基板(61a)に実装されたパワーデバイス(62)が伝熱部材(64)を介して取り付けられている。パワーデバイス(62)は、スイッチング動作に伴い発熱している。このため、パワーデバイス(62)から発生する熱は、伝熱部材(64)を介して吐出管(11)を流れる高圧冷媒へ付与される。その結果、パワーデバイス(62)が冷却される一方、高圧冷媒が昇温する。
ここで、本発明では、パワーデバイス(62)よりも耐熱温度の低い電解コンデンサやIC等の電装品(63)が実装された第2の回路基板(61b)を吐出管(11)から離隔させているから、冷凍サイクルの運転条件等によって圧縮機(20)に一時的に負荷がかかり、吐出管(11)を流れる冷媒の温度が上昇したり振動が発生したとしても、電装品(63)が熱や振動で破損するおそれがない。
パワーデバイス(62)の熱を奪った高圧冷媒は、吐出管(11)から室内熱交換器(21)を流れる。室内熱交換器(21)では、冷媒が室内空気へ放熱する。その結果、室内の暖房が行われる。この際、室内熱交換器(21)では、上述のようにしてパワーデバイス(62)から奪った熱も室内へ放出される。つまり、この暖房運転では、パワーデバイス(62)から回収した熱が室内の暖房に利用される。
室内熱交換器(21)で放熱した後の冷媒は、膨張弁(22)を通過する際に減圧されて、室外熱交換器(23)を流れる。室外熱交換器(23)では、冷媒が室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(23)で蒸発した冷媒は、吸入管(14)を介して圧縮機(20)の圧縮機構内へ吸入される。
−冷房運転−
冷房運転では、四路切換弁(24)が図1の破線で示す状態となる。また、膨張弁(22)の開度が適宜調節される。
圧縮機(20)で圧縮された冷媒が高圧冷媒となって吐出管(11)を流通する。パワーデバイス(62)から発生した熱は、上述の暖房運転と同様、伝熱部材(64)を介して吐出管(11)を流れる高圧冷媒へ付与される。その結果、パワーデバイス(62)が冷却される。
パワーデバイス(62)の冷却に利用された高圧冷媒は、吐出管(11)から室外熱交換器(23)を流れる。室外熱交換器(23)では、冷媒が室外空気へ放熱する。この際、室外熱交換器(23)では、上述のようにしてパワーデバイス(62)から奪った熱も室外へ放出される。
室外熱交換器(23)で放熱した後の冷媒は、膨張弁(22)を通過する際に減圧されて、室内熱交換器(21)を流れる。室内熱交換器(21)では、冷媒が室内空気から吸熱して蒸発する。その結果、室内の冷房が行われる。室内熱交換器(21)で蒸発した冷媒は、吸入管(14)を介して圧縮機(20)の圧縮機構内へ吸入される。
−実施形態の変形例−
図6に示すように、前記実施形態のインバータ装置(60)の第1の回路基板(61a)を、圧縮機(20)のケーシング(30)に取り付けるようにしてもよい。具体的には、この変形例のインバータ装置(60)では、第1の回路基板(61a)が伝熱部材(64)を介してケーシング(30)の側面に取り付けられている。なお、第1の回路基板(61a)と伝熱部材(64)との取り付けは、前記実施形態と同様、締結ネジ等の取付部材(67)により行うようにすればよい。
この変形例においても、パワーデバイス(62)とケーシング(30)内部に満たされた冷媒とを熱交換させることで、発熱したパワーデバイス(62)を冷却することができる。また、熱や振動に弱い電解コンデンサやIC等の電装品(63)が実装された第2の回路基板(61b)をケーシング(30)から離隔させることで、熱や振動の影響を受けないようにすることができ、電装品(63)の破損を防止する上で有利となる。
−その他の実施形態−
前記各実施形態については、以下のような構成としてもよい。
前記各実施形態では、ロータリー型の圧縮機について、本発明を適用している。しかしながら、例えばスクロール型の圧縮機や、揺動スイング型の圧縮機、さらに他の型式の圧縮機に本発明を適用しても良い。
前記各実施形態では、いわゆる高圧ドーム型の圧縮機において、高圧冷媒雰囲気となる吐出管(11)やケーシング(30)にパワーデバイス(62)が実装された第1の回路基板(61a)を取り付けるようにしている。しかしながら、ケーシング(30)内が圧縮機構の吸入冷媒で満たされる、いわゆる低圧ドーム型の圧縮機において、吐出管(11)や低圧冷媒雰囲気となるケーシング(30)に第1の回路基板(61a)を配置するようにしても良い。このようにケーシング(30)内を低圧冷媒雰囲気とすると、高圧冷媒と比較してパワーデバイス(62)の周囲温度が低くなるので、パワーデバイス(62)を一層効果的に冷却することができる。
前記各実施形態では、室内の冷房と暖房とを切り換えて行う空気調和装置(1)において、本発明を適用するようにしている。しかしながら、冷媒回路(10)で冷凍サイクルを行いながら、水を加熱する給湯器や、他の冷凍装置に本発明を適用するようにしても良い。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、インバータ装置に実装される電装品が熱や振動により破損してしまうのを防止できるという実用性の高い効果が得られることから、きわめて有用で産業上の利用可能性は高い。
本発明の実施形態に係る冷凍装置の冷媒回路の配管系統図である。 冷凍装置におけるインバータ装置の取付構造を示す図である。 第1の回路基板の取付構造を示す詳細図である。 室外ユニットにおけるインバータ装置の取付構造を示す図である。 第1の回路基板の別の取付構造を示す詳細図である。 インバータ装置の取付構造の変形例を示す図である。
符号の説明
1 空気調和装置(冷凍装置)
10 冷媒回路
11 吐出管
20 圧縮機
30 ケーシング
50 制御回路
60 インバータ装置
61 回路基板
61a 第1の回路基板
61b 第2の回路基板
62 パワーデバイス
63 電装品
64 伝熱部材
69 樹脂部材

Claims (5)

  1. 冷媒を圧縮して吐出管(11)から送り出す圧縮機(20)と、パワーデバイス(62)を含む制御回路(50)及び電装品(63)が実装された回路基板(61)を有し該圧縮機(20)を駆動制御するインバータ装置(60)とを備え、冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う冷凍装置であって、
    前記インバータ装置(60)の回路基板(61)は、前記制御回路(50)が実装された第1の回路基板(61a)と、前記電装品(63)が実装された第2の回路基板(61b)とに分離され、
    前記第1の回路基板(61a)が前記吐出管(11)に取り付けられる一方、前記第2の回路基板(61b)が該吐出管(11)から離隔して配置されていることを特徴とする冷凍装置。
  2. 請求項1において、
    前記第1の回路基板(61a)に実装された前記パワーデバイス(62)は、伝熱部材(64)を介して前記吐出管(11)に取り付けられていることを特徴とする冷凍装置。
  3. 請求項1において、
    前記第1の回路基板(61a)と前記吐出管(11)とは、樹脂部材(69)により一体的に成形されていることを特徴とする冷凍装置。
  4. 冷媒を圧縮して吐出管(11)から送り出す圧縮機(20)と、パワーデバイス(62)を含む制御回路(50)及び電装品(63)が実装された回路基板(61)を有し該圧縮機(20)を駆動制御するインバータ装置(60)とを備え、冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う冷凍装置であって、
    前記圧縮機(20)は、内部に冷媒が満たされるケーシング(30)を有し、
    前記インバータ装置(60)の回路基板(61)は、前記制御回路(50)が実装された第1の回路基板(61a)と、前記電装品(63)が実装された第2の回路基板(61b)とに分離され、
    前記第1の回路基板(61a)が前記圧縮機(20)のケーシング(30)に取り付けられる一方、前記第2の回路基板(61b)が該圧縮機(20)のケーシング(30)から離隔して配置されていることを特徴とする冷凍装置。
  5. 請求項1乃至4のうち何れか1項において、
    前記パワーデバイス(62)は、ワイドバンドギャップ半導体素子を備えていることを特徴とする冷凍装置。
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