JP2008056463A - シート搬送装置、画像読取装置および画像形成装置 - Google Patents

シート搬送装置、画像読取装置および画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】用紙搬送経路のターン部の外郭方向に配置され、第2搬送手段の挟持部に向けて用紙を搬送するベルトを備えたベルト搬送手段を具備する新規な用紙搬送装置において、厚紙等の比較的剛性の高い用紙を搬送しようとする場合、搬送中に用紙の先端のめくれや擦れ、ジャム、搬送不良を生じてしまうという問題点を解決する。
【解決手段】用紙Sの先端が第1搬送手段6を通過する前にはベルト線速vは、ターン前線速vよりも速くなるように制御されている。用紙Sがさらに搬送されて第1搬送手段6を通過し、搬送ベルト82の搬送面82aに用紙Sの先端が接触した時間t後において、用紙Sの先端が第2搬送手段7のニップ部に挟持・搬送される時間tより速いタイミングで、ベルト線速vは瞬時に減速されターン前線速vと等しくなるように切り替わる。
【選択図】図14

Description

本発明は、シート搬送装置、そのシート搬送装置を備えた複写機、ファクシミリ、プリンタ、印刷機、インクジェット記録装置、スキャナ等の画像読取装置等またはそれらのうちの少なくとも二つを組み合わせた複合機等の画像形成装置に関する。
従来、PPC(プレイン・ペーパ・コピア:普通紙複写機)等を含む複写機、ファクシミリ、プリンタ、印刷機、インクジェット記録装置等の画像形成装置は、その装置全体の小型化を図るため、その画像が形成される媒体である被画像形成媒体あるいはシート状記録媒体(以下、「シート」という)を、シート収容手段あるいはシートを積載するシート積載手段から画像形成手段本体に搬送して供給するための搬送手段も小型化される傾向がある。以下、シートを収容するシート収容手段を代表して説明する。
また、前記画像形成装置では、多様なシートサイズ(以下、例示的に「用紙サイズ」という)やシート種類(以下、例示的に「紙種」という)に対応した機種が一般的である。このような画像形成装置の機種では、例えば、いくつかの用紙サイズおよび紙種からなるシート(以下、例示的に「用紙」という)を、シート収容手段に予め収容しておき、ユーザが適宜選択したシート収容手段から用紙を、または画像形成装置が自動選択した用紙を給送できるようにしている。従って、このような構成の場合には、シート収容手段が画像形成装置内のスペースをより多く占めて消費するので、搬送手段を小型化する要求がより強まる。
これらのことから、画像形成装置内におけるシート収容手段と画像形成手段本体との間に形成される搬送路は、両者の位置関係にもよるが、その搬送方向を大きく変更して、搬送路自体の占有スペースを削減するようにしている。その結果、搬送路上には、その搬送方向を連続的かつスムーズに変更するために、湾曲した形状からなる曲率部を設けて、この曲率部の曲率半径を、画像形成装置に通常使用されるシートとしての定型記録紙が搬送できる程度の比較的小さな半径に設定している。
このような画像形成装置におけるシート搬送装置としては、例えば特開2004−338923号公報に記載されている従来技術を挙げることができる(特許文献1参照)。すなわち、同公報の図6および図7に示されているように、画像形成手段本体の下側に、各段にそれぞれ所定のサイズや紙種のシートを所定枚数積載して収容したシート収容手段としての給紙トレイを配置し、給紙トレイと画像形成手段本体との間には、選択された段である給紙トレイの略水平方向に1枚のシートを引き出して上方の画像形成手段本体に向けて給送するシート搬送装置を設けた構成としている。
以下、適宜、上記特開2004−338923号公報の各図に示されている符号に括弧を付して説明すると、給紙トレイ(1)内のシート(P)が周知のFRR分離方式で1枚に分離されて送り出され、上側ガイド板(8)および下側ガイド板(7)で形成された曲率部を備えた搬送経路を通過して画像形成手段本体へ搬送される。上記曲率部は、上側ガイド板(8)および下側ガイド板(7)からなる湾曲固定ガイド部材で形成されており、シート(P)は上記曲率部を通過する際に、下側ガイド板(7)に沿って搬送され、搬送が進むにつれて、シート(P)は、上側ガイド板(8)によって押さえ付けられるように経路が矯正され、下側ガイド板(7)の出口に位置する弾性変形可能な案内片(6)に沿って搬送ローラ対(5)に到達する。以下、上側ガイド板(8)および下側ガイド板(7)を、「湾曲固定ガイド部材」という。
けれども、上記のように構成したシート搬送装置では、厚紙等の記録紙や封筒のような剛性が高い特殊紙のシート(P)を搬送させようとすると、搬送経路の曲率部の曲率半径が小さいため、シート(P)がその曲率に従って撓みながら搬送されるときの抵抗が複写用の普通紙のようなシートと比べて格別に大きくなるため、高剛性の記録紙や特殊紙等のシート(P)を進行させることができず、ジャムや搬送不良を生じて安定した給送動作ができないという不具合があった。
上記動作をさらに詳しく述ベルト、次のとおりである。シート(P)は、その搬送方向のシート(P)先端部(先端側)が、上側ガイド板(8)および下側ガイド板(7)からなる湾曲固定ガイド部材に至ると、この湾曲固定ガイド部材によって、シート(P)の先端側となる前半部分はその厚さ方向に湾曲される。このため、剛性の高いシート(P)を搬送するときには、この高剛性のシート(P)が湾曲に抗する力が増大して、その搬送を妨げる抵抗力も増大することとなる。従って、高剛性のシート(P)の先端部が下流側の搬送ローラ対(5)に到達せずに、上流側のローラ対(2a,2b)だけで高剛性のシート(P)を搬送して、高剛性のシート(P)が湾曲固定ガイド部材で湾曲されると、この上流側のローラ対(2a,2b)による搬送力だけでは、湾曲された高剛性のシート(P)から生じる抵抗力に対して、搬送方向に進める力として不足をきたすことになる。このため、高剛性のシート(P)の中心線が搬送経路の中心線に一致しなくなる斜行などの搬送不良や、高剛性のシート(P)が湾曲固定ガイド部材に引っ掛かって停止してしまう用紙ジャムが発生しやすくなる。
そこで、上記特開2004−338923号公報では、第1の搬送手段から送り出されたシートを、その搬送方向下流側であって略垂直上方に位置する第2の搬送手段まで搬送する給紙装置において、第1の搬送手段と第2の搬送手段との間に一対の直線状ガイド部材を設け、この直線状ガイド部材の案内によってシートを搬送する給紙装置が提案されている。この給紙装置によれば、ガイド部材を湾曲形状ではなく直線形状の直線状ガイド部材としたので、搬送負荷を低く抑えること、つまり負荷の急激な上昇を抑制でき、紙詰まり、斜行等の搬送不良を防止できるとしている。
換言すれば、上記給紙装置によれば、搬送されるシート上の変形箇所を、湾曲ガイド部材による1箇所の湾曲に集中させずに、その搬送方向における直線状ガイド部材の前後端付近である2箇所での湾曲に分散でき、しかも、直線状ガイド部材を略中間角度の斜め姿勢に設置して、これらの2箇所における湾曲の程度を略均等な同程度にしているので、その搬送時には搬送負荷の急激な上昇を抑制できるとしている。すなわち、シートがその進行方向を変えるため、湾曲される箇所は、上流側のローラ対から直線状ガイド部材に受け渡す箇所と、直線状ガイド部材から下流側のローラ対に受け渡す箇所との2箇所になり、少なくとも、それぞれの湾曲の程度が小さくなり、これに伴い各箇所で湾曲させたことによって生じる抵抗力を低く保てるので、搬送負荷が急激に上昇することを回避できるというものである。
上記特開2004−338923号公報(特許文献1)と概略同様に構成された第1,2の搬送手段を有して、第1の搬送手段と第2の搬送手段の間に、第2の搬送手段に至る傾斜面を形成した反転ガイド部材を設け、この反転ガイド部材は、第2の搬送手段に向けて可動するように構成された給紙装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
この給紙装置によれば、反転ガイド部材に用紙後端が接触するときには、用紙後端が接する方向と概略同様な方向に反転ガイド部材が変位して、この変位によって、用紙後端が接触した際のショックを吸収できるので、弾き音を低減できるとしている。
また、シートを収容した複数のシート収容手段と、各シート収容手段にそれぞれ個別に設けた搬送路およびシート給送手段とを有し、これらの搬送路の末端を1つの共通搬送路に合流させた構成にするとともに、少なくとも、高剛性のシートを収容したシート収容手段に設けた搬送路は、その末端に設けた前記共通搬送路に合流する際の第1の曲率部の曲率半径を、他の搬送路が合流する際の他の曲率部の曲率半径よりも大きく設定したシート給送装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。
このシート給送装置によれば、高剛性のシートは、その搬送時に、搬送路上を進んで曲率半径が大きい第1の曲率部を通過する際には、普通のシートと同程度に湾曲されることなく、普通シートに比べて、十分に緩やかに湾曲されて進み続けるので、その搬送時の抵抗が少なくでき、シートの停滞や遅延を生じることなく共通搬送路に到達させ搬送できるとしている。
また、反転ローラ対と、この反転ローラ対により送り込まれたシートを搬送・ガイドするための反転搬送路とを有し、反転搬送路は、シートの搬送方向を変更するための方向変更部位を有し、この方向変更部位における内側に回転可能なローラをシート搬送方向に見て直角方向に配設することにより、反転搬送路に送り込まれたシートを前記ローラに当接させながら送り出すようにした画像形成装置に備えたシート反転手段が知られている(例えば、特許文献4参照)。
このシート反転手段によれば、送り込まれたシートは前記の方向変更部位でその内側の接触部位が、ローラに必ず接することになり、しかもこのローラがシートの搬送方向の進行に伴い従動回転するので、従来のガイド板に比べて、搬送抵抗を軽減でき、つまり固定されたガイド部材と移動するシートとの間に生じる摩擦抵抗を解消して、前記の方向変更部位での搬送方向を変更するガイドができるとしている。
特開2004−338923号公報(第1〜3頁、図1〜図7) 特開2005−89008号公報(第2〜3頁、図4,5) 特開平10−129883号公報(第1〜2頁、図1) 特開2005−1771号公報(第1〜2頁、図1)
しかしながら、特許文献1記載のシート搬送装置では、所詮、搬送するシートのガイド用に固定部材を配置した構成であるため、移動体である搬送されるシートと、固定されたガイド部材との間の速度差は解消されず、ガイド部材の形状や設置姿勢に拘わりなく、両者の間には必ずシートの搬送を妨げる方向に作用する抵抗が生じてしまい、搬送負荷となるという問題点がある。
つまり、前記従来の構成では、上記の搬送不良やジャムを回避する効果が不十分であり、直線状のガイド部材では、たとえ搬送負荷の急激な上昇を抑制できても、搬送負荷を生じることには変わりがないといえる。特に、厚紙や封筒等の剛性の高い用紙(シート)を搬送する際には、上記の搬送不良やジャムおよび用紙後端のハネ音が顕著となってしまう。
特許文献2記載の反転ガイド部材を設けた構成では、たとえ用紙後端が接する方向に変位可能であるという意味で可動部材であるとしても、該用紙の向きを変更するガイドとしては固定ガイド部材であり、同様に、その向きを変更してガイドする際には、用紙と反転ガイド部材との間での相対速度差が解消されておらず、搬送負荷が生じている。特に、厚紙や封筒等の剛性の高い用紙(シート)を搬送する際には、上記の搬送不良やジャムおよび用紙後端のハネ音が顕著となってしまう。
また、特許文献3記載の技術のように、曲率半径を所定に大きく設定した専用の搬送路を設けた構成でも、この専用の搬送路上を進むシートが緩やかに湾曲されて、シートが搬送路から受ける搬送抵抗が少なくなるとしても、同様に搬送負荷が生じることには変わりない。特に、厚紙や封筒等の剛性の高い用紙(シート)を搬送する際には、上記の搬送不良やジャムが顕著となってしまう。
また、特許文献4記載の技術のように、ローラなどの可動部材を、搬送路の方向変更部位における内側の搬送路部分の所定箇所に設けた構成では、その搬送過程において、内側のローラによって、シートの前後端の間の中間部分が支持された状態での両者間の摩擦抵抗を特に有効的に低減できても、このような状態になる前後の状態について、つまりその方向変更部位における外側の搬送路部分とシートとが接した場合の、搬送負荷についての配慮が欠けており、またその搬送過程でのシート先端やシート後端の挙動についても、特に言及されていない。特に、厚紙や封筒等の剛性の高い用紙(シート)を搬送する際には、上記の搬送不良やジャムおよび用紙後端のハネ音が顕著となってしまう。
そこで、本願出願人は、前記従来技術の有する問題点を解決できる新規なシート搬送装置およびそのシート搬送装置等を有する画像形成装置を提供することを目的とした発明(以下、「先願発明」という)を提案した。この先願発明を適用した例の詳細は、本願発明の実施形態を説明する前に後述することとする。この発明によれば、コンパクトで省スペースでありながら、簡単かつ低コストである構成で、シート種類(紙種)対応性に優れたシート搬送装置、該シート搬送装置を備えた画像読取装置、シート搬送装置および/または画像読取装置を備えた画像形成装置を提供することができる。
しかしながら、上記先願発明を実用化する上で、次の問題点が残っていることが分かった。すなわち、厚紙等の比較的剛性の高い(腰の強い)用紙(シート)を給送・搬送しようとする場合、搬送中に用紙の先端のめくれや擦れ、ジャム、搬送不良を生じてしまうという問題があった。
そこで、本発明は、省スペース、低コストの利点を残しながら、厚紙等の比較的剛性の高い用紙でも問題なく給送・搬送することが可能な新規なシート搬送装置および該シート搬送装置等を備えた画像形成装置を提供することを主な目的とする。
主な請求項ごとの目的を挙げれば、次のとおりである。
請求項1、2および13記載の発明の目的は、シート搬送経路または第1のシート搬送経路でのシートのベルトへの突入時のシートの先端部の挙動を考えたとき、シート搬送経路または第1のシート搬送経路の比較的小さな曲率半径の曲率部を経由して搬送されてくるシートの先端部は、ベルトの搬送面に対して曲がる角度の分、傾斜した角度にて進入することから、シートの先端は例えばガイド部材の外郭方向にシートの腰の強さにより曲がりながら進む分だけシートの後部よりも見かけ上の速度が速いとみなせる。そのため、シートの先端がめくれ等の問題を起こさないためにはシートの先端を搬送するベルトの第2の線速度にも第1の搬送手段による第1の線速度よりも速い搬送速度が必要となる。一方、ベルトにより搬送され第2の搬送手段の挟持部(ニップ部)によって挟持・搬送され始めた以後はシートの先端と後端の線速度は等しくなるために第2の線速度は第1の線速度と同じでよい。この際、第2の線速度の方を速くした場合、挟持部(ニップ部)等において擦れなど他の問題が発生する虞がある。そこで、第1の搬送手段による第1の線速度およびベルト搬送手段による第2の線速度の何れか一方が、相対的に可変に構成することにより、換言すれば第1の線速度と第2の線速度の相対速度をシートの進行とともに変えることで、シートの先端がベルトに対してめくれや擦れ等の問題を起こすことなく搬送することができるようにすることにある。
請求項3および13記載の発明の目的は、シートがベルトに対し弾性的に座屈しながら進入する際、その先端はベルトの搬送面に突き当たり、その後先端部から順にベルト搬送手段のベルトに沿って搬送されていくが、その際シートの先端は見かけ上第2の線速度(ベルトの搬送速度)よりも速くシート搬送方向の下流側へ進んでいるため、上記構成により、「第2の線速度>第1の線速度」とすることで先端のめくれという問題を起こすことなく搬送することができるようにし、第2の搬送手段へ挟持(ニップ)後は「第2の線速度=第1の線速度」とすることで挟持(ニップ)部での擦れなどの問題を起こすことなく搬送することができるようにすることにある。
請求項4および13記載の発明の目的は、シートがベルトに対し弾性的に座屈しながら進入する際、その先端はベルトの搬送面に突き当たり、その後先端部から順にベルト搬送手段のベルトに沿って搬送されていくが、その際シートの先端は見かけ上第2の線速度(ベルトの搬送速度)よりも速くシート搬送方向の下流側へ進んでいるため、少なくともシートの先端がベルトの搬送面に接触する際に、「第1の線速度をvとし、第2の線速度をvとし、シートの先端部の前記ベルトの搬送面に対する進入角度をθとした場合、v≧v/sinθもしくはv≒v/sinθの関係式を満足する線速度」とすることでシートの先端のめくれという問題を起こすことなくベルトに進入することができるようにし、シートの先端が挟持部により挟持・搬送され始めた時以後は、「第2の線速度=第1の線速度」とすることで、挟持部(ニップ部)での擦れなどの問題を起こすことなく搬送することができるようにすることにある。
請求項5および13記載の発明の目的は、前述のとおり、シートの先端は見かけ上第2の線速度(ベルトの搬送速度)よりも速くシート搬送方向の下流側へ進んでいるため、少なくともシートの先端がベルトの搬送面に接触する際に、「第1の線速度をvとし、第2の線速度をvとし、シートの先端部の前記ベルトの搬送面に対する進入角度をθとした場合、v≧v/sinθもしくはv≒v/sinθの関係式を満足する線速度」とすることでシートの先端のめくれという問題を起こすことなくベルトに進入することができるようにし、その後ベルトによりシートの先端が搬送されている状態ではベルトに対するシートの進入角度は時間とともに変化するため、「シートの先端がベルトの搬送面に接触した後の任意の時間をtとし、時間t以後の変化する進入角度をθとし、第1の搬送手段の挟持部中心からベルトの搬送面に下した垂線とベルトの搬送面との接点までの距離をlとした場合、シートの先端がベルトの搬送面に接触した後、挟持部により挟持・搬送され始める前までは、v≧v/sinθもしくはv≒v/sinθ、但し、θ=cos−1{1/(v×t/l+1/cosθ)}の関係式を満足する線速度」とすることでベルト搬送中もめくれなくシートの先端を搬送できるようにし、さらにシートの先端が挟持部により挟持・搬送され始めた時以後は、「v=vの関係式を満足する線速度」とすることで、挟持部(ニップ部)での擦れなどの問題を起こすことなく搬送することができるようにすることにある。
請求項6、7および13記載の発明の目的は、第1の線速度と第2の線速度の相対速度を変える方法として第1の線速度を変えることにより、第1の搬送手段による第1の線速度とベルト搬送手段による第2の線速度の相対速度を簡単な構成にて変化させることを可能とし、それにより省スペース、コスト安などの効果を奏するようにすることにある。
請求項8、9および13記載の発明の目的は、第1の線速度と第2の線速度の相対速度を変える方法として第2の線速度を変えることにより、第1の搬送手段による第1の線速度とベルト搬送手段による第2の線速度の相対速度を簡単な構成にて変化させることを可能とし、それにより省スペース、コスト安などの効果を奏するようにすることにある。
請求項10および13記載の発明の目的は、シート搬送経路または第1のシート搬送経路でのシートのベルトへの突入時のシートの先端部の挙動を考えたとき、シートの先端部は例えばガイド部材に沿って移動して進入角度を変えていくことから、その搬送とともに変化していくため、第1の線速度または第2の線速度を連続的に変化させることにより、シート先端のめくれを防止するとともにシート先端の擦れの問題も発生することなく搬送することができるようにすることにある。
請求項11および13記載の発明の目的は、第1の搬送手段により搬送されてきたシートの先端がベルトの搬送面に接触した後であって挟持部により挟持・搬送され始める前までは、第1の線速度が第2の線速度よりも一時的に速い線速度することで、シートを後部から押し進めるようにし、その結果シートの腰によりシート先端をベルトの搬送面に向かって押し上げられるようにし、これによりシートの先端をベルトの腹に向かって位置を揃えることによって、シート先端のスキューを補正し(プレ)レジストの効果を実現することができるようにすることにある。
請求項12および13記載の発明の目的は、第1の線速度を検出する第1の線速度検出手段および第2の線速度を検出する第2の線速度検出手段のうちの少なくとも一方を有するように構成することにより、第2の線速度に対する第1の線速度の相対速度関係および第1の線速度に対する第2の線速度の相対速度関係のうちの少なくとも一方を維持しながら搬送することができるようにすることにある。
請求項14記載の発明の目的は、請求項1ないし13の何れか一つに記載のシート搬送装置を有する画像読取装置として、原稿シートを自動給送する自動原稿送り装置(ADF)等を備えた画像読取装置とすることにより、自動原稿送り装置におけるシート原稿の搬送性を向上することにある。
請求項15記載の発明の目的は、請求項1ないし13の何れか一つに記載のシート搬送装置および/または請求項14記載の画像読取装置を有する画像形成装置として、シート搬送装置および/または自動原稿送り装置におけるシートおよび/またはシート原稿搬送性を向上することにある。
請求項16記載の発明の目的は、画像形成装置は、複写機、ファクシミリ、プリンタ、印刷機およびインクジェット記録装置の何れか一つの画像形成装置、またはそれらの少なくとも二つを組み合わせた複合機の画像形成装置において、比較的剛性の高い厚紙等の対応性(厚紙等の腰の強いシートでも問題なく搬送すること)を高め、安定したシート搬送性の装置を提供することにある。
本発明者らは、上述の課題を解決するとともに上述の目的を達成するために、後述の先願発明に係る例や、実施例等に記載の試験等を行い鋭意研究を重ねる中で、シート種類を問わず、特には厚紙や封筒等の比較的剛性の高いシートを、搬送不良やジャムを発生することなく搬送できる簡単な構成として、移動案内手段(ムービングガイド)という簡単な構成を着想するに至り、その具体的手段として最も構成が簡単なベルト搬送手段を種々に工夫し、実用化するに至った。本発明は、このような試験で裏付けられた結果を基本にしてなされたものである。
上述した課題を解決するとともに上述した目的を達成するために、請求項ごとの発明では、以下のような特徴ある手段・発明特定事項(以下、「構成」という)を採っている。
請求項1記載の発明は、シートを第1の線速度で搬送する第1の搬送手段と、第1の搬送手段のシート搬送方向の下流側に配置され、第1の搬送手段により搬送されてきたシートを前記第1の搬送手段のシート搬送方向と異なるシート搬送方向に搬送する第2の搬送手段とを有し、第1の搬送手段および第2の搬送手段のうちの少なくとも第2の搬送手段は、シートを挟持して搬送する挟持部を形成する挟持搬送手段であり、第1の搬送手段と第2の搬送手段との間に形成されるシート搬送経路の外郭方向に配置され、前記挟持部に向けてシートを第2の線速度で搬送するベルトを備えたベルト搬送手段を具備し、第1の線速度および第2の線速度の何れか一方の線速度が、相対的に可変であることを特徴とするシート搬送装置である。
請求項2記載の発明は、シートを第1の線速度で搬送する第1の搬送手段と、第1の搬送手段のシート搬送方向の下流側に配置され、第1の搬送手段により搬送されてきたシートを前記第1の搬送手段のシート搬送方向と異なるシート搬送方向に搬送する第2の搬送手段と、第1の搬送手段と第2の搬送手段との間に形成される第1のシート搬送経路と、第2の搬送手段の上流から第2の搬送手段に至って形成され、第1のシート搬送経路と異なる第2のシート搬送経路と、第1のシート搬送経路と第2のシート搬送経路とが、第2の搬送手段の上流側で合流する合流搬送経路とを有し、第1の搬送手段および第2の搬送手段のうちの少なくとも第2の搬送手段は、シートを挟持して搬送する挟持部を形成する挟持搬送手段であり、前記合流搬送経路の外郭方向に配置され、前記挟持部に向けてシートを第2の線速度で搬送するベルトを備えたベルト搬送手段を具備し、第1の線速度および第2の線速度の何れか一方の線速度が、相対的に可変であることを特徴とするシート搬送装置である。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のシート搬送装置において、第1の搬送手段により搬送されてきたシートの先端が前記ベルトの搬送面に接触する前から接触した後であって前記挟持部により挟持・搬送され始める前までは、第2の線速度が第1の線速度よりも速い線速度でシートを搬送し、シートの先端が前記挟持部により挟持・搬送され始めた時以後は、第2の線速度が第1の線速度と等しい線速度でシートを搬送することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1または2記載のシート搬送装置において、第1の線速度をvとし、第2の線速度をvとし、シートの先端部の前記ベルトの搬送面に対する進入角度をθとした場合、第1の搬送手段により搬送されてきたシートの先端が前記ベルトの搬送面に接触する前から接触した後であって前記挟持部により挟持・搬送され始める前までは、v≧v/sinθもしくはv≒v/sinθの関係式を満足する線速度で、シートの先端が前記挟持部により挟持・搬送され始めた時以後は、v=vの関係式を満足する線速度で、シートを搬送することを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1または2記載のシート搬送装置において、第1の線速度をvとし、第2の線速度をvとし、シートの先端部の前記ベルトの搬送面に対する進入角度をθとした場合、シートの先端が前記ベルトの搬送面に接触する前までは、v≧v/sinθもしくはv≒v/sinθの関係式を満足する線速度で、シートの先端が前記ベルトの搬送面に接触した後の任意の時間をtとし、時間t以後の変化する進入角度をθとし、第1の搬送手段の挟持部中心から前記ベルトの搬送面に下した垂線と前記搬送面との接点までの距離をlとした場合、シートの先端が前記ベルトの搬送面に接触した後、前記挟持部により挟持・搬送され始める前までは、v≧v/sinθもしくはv≒v/sinθ、但し、θ=cos−1{1/(v×t/l+1/cosθ)}の関係式を満足する線速度で、シートの先端が前記挟持部により挟持・搬送され始めた時以後は、v=vの関係式を満足する線速度で、シートを搬送することを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか一つに記載のシート搬送装置において、第1の搬送手段により搬送されてきたシートの先端が前記ベルトの搬送面に接触した時から前記挟持部により挟持・搬送され始める前までは、第2の線速度を一定として、第1の線速度を変えることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項6記載のシート搬送装置において、第1の線速度を、増速するように変えることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項1ないし5の何れか一つに記載のシート搬送装置において、第1の搬送手段により搬送されてきたシートの先端が前記ベルトの搬送面に接触した時から前記挟持部により挟持・搬送され始める前までは、第1の線速度を一定として、第2の線速度を変えることを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項8記載のシート搬送装置において、第2の線速度を、減速するように変えることを特徴とする。
請求項10記載の発明は、請求項3ないし9の何れか一つに記載のシート搬送装置において、第1の線速度または第2の線速度を連続的に変えることを特徴とする。
請求項11記載の発明は、請求項1または2記載のシート搬送装置において、第1の搬送手段により搬送されてきたシートの先端が前記ベルトの搬送面に接触する前までは、第2の線速度が第1の線速度よりも速い線速度で、シートを搬送し、第1の搬送手段により搬送されてきたシートの先端が前記ベルトの搬送面に接触した後であって前記挟持部により挟持・搬送され始める前までは、第1の線速度が第2の線速度よりも一時的に速い線速度でシートを搬送し、シートの先端が前記挟持部により挟持・搬送され始めた時以後は、第2の線速度が第1の線速度と等しい線速度でシートを搬送することを特徴とする。
請求項12記載の発明は、請求項1ないし11の何れか一つに記載のシート搬送装置において、第1の線速度を検出する第1の線速度検出手段および第2の線速度を検出する第2の線速度検出手段のうちの少なくとも一方を有することを特徴とする。
請求項13記載の発明は、請求項1ないし12の何れか一つに記載のシート搬送装置において、シートは、比較的剛性の高いシートであることを特徴とする。
請求項14記載の発明は、請求項1ないし13の何れか一つに記載のシート搬送装置を有することを特徴とする画像読取装置である。
請求項15記載の発明は、請求項1ないし13の何れか一つに記載のシート搬送装置および/または請求項14記載の画像読取装置を有することを特徴とする画像形成装置である。
請求項16記載の発明は、請求項15記載の画像形成装置において、前記画像形成装置は、複写機、ファクシミリ、プリンタ、印刷機およびインクジェット記録装置の何れか一つ、またはそれらの少なくとも二つを組み合わせた複合機であることを特徴とする。
本発明によれば、上記課題を解決して新規なシート搬送装置、該シート搬送装置を備えた画像読取装置、シート搬送装置および/または画像読取装置を備えた画像形成装置を実現し提供することができる。
すなわち、本発明によれば、省スペースかつ低コストでありながら、厚紙等の比較的剛性の高い用紙でも問題なく給送・搬送することが可能な新規なシート搬送装置、該シート搬送装置を備えた画像読取装置、該シート搬送装置および/または該画像読取装置を備えた画像形成装置を実現し提供することができる。
以下、請求項記載の発明ごとに特有の効果を挙げれば、次のとおりである。
請求項1、2および13記載の発明によれば、シート搬送経路または第1のシート搬送経路でのシートのベルトへの突入時のシートの先端部の挙動を考えたとき、シート搬送経路または第1のシート搬送経路での比較的小さな曲率半径の曲率部を経由して搬送されてくるシートの先端部は、ベルトの搬送面に対して曲がる角度の分、傾斜した角度にて進入することから、シートの先端は例えばガイド部材の外郭方向にシートの腰の強さにより曲がりながら進む分だけシートの後部よりも見かけ上の速度が速いとみなせる。そのため、シートの先端がめくれ等の問題を起こさないためにはシートの先端を搬送するベルトの第2の線速度にも第1の搬送手段による第1の線速度よりも速い搬送速度が必要となる。一方、ベルトにより搬送され第2の搬送手段の挟持部(ニップ部)によって挟持・搬送され始めた以後はシートの先端と後端の線速度は等しくなるために第2の線速度は第1の線速度と同じでよい。この際、第2の線速度の方を速くした場合、挟持部(ニップ部)等において擦れなど他の問題が発生する虞がある。そこで、第1の搬送手段による第1の線速度およびベルト搬送手段による第2の線速度の何れか一方の線速度を、相対的に可変に構成することにより、換言すれば第1の線速度と第2の線速度の相対速度をシートの進行とともに変えることで、シートの先端がベルトに対してめくれや擦れ等の問題を起こすことなく搬送することができる。
請求項3および13記載の発明によれば、シートがベルトに対し弾性的に座屈しながら進入する際、その先端はベルトの搬送面に突き当たり、その後先端部から順にベルト搬送手段のベルトに沿って搬送されていくが、その際シートの先端は見かけ上第2の線速度(ベルトの搬送速度)よりも速くシート搬送方向の下流側へ進んでいるため、上記構成により、「第2の線速度>第1の線速度」とすることで先端のめくれという問題を起こすことなく搬送することができるとともに、第2の搬送手段へ挟持(ニップ)後は「第2の線速度=第1の線速度」とすることで挟持(ニップ)部での擦れなどの問題を起こすことなく搬送することができる。
請求項4および13記載の発明によれば、シートがベルトに対し弾性的に座屈しながら進入する際、その先端はベルトの搬送面に突き当たり、その後先端部から順にベルト搬送手段のベルトに沿って搬送されていくが、その際シートの先端は見かけ上第2の線速度(ベルトの搬送速度)よりも速くシート搬送方向の下流側へ進んでいるため、少なくともシートの先端がベルトの搬送面に接触する際に、「第1の線速度をvとし、第2の線速度をvとし、シートの先端部の前記ベルトの搬送面に対する進入角度をθとした場合、v≧v/sinθもしくはv≒v/sinθの関係式を満足する線速度」とすることでシートの先端のめくれという問題を起こすことなくベルトに進入することができるとともに、シートの先端が挟持部により挟持・搬送され始めた時以後は、「第2の線速度=第1の線速度」とすることで、挟持部(ニップ部)での擦れなどの問題を起こすことなく搬送することができる。
請求項5および13記載の発明によれば、前述のとおり、シートの先端は見かけ上第2の線速度(ベルトの搬送速度)よりも速くシート搬送方向の下流側へ進んでいるため、少なくともシートの先端がベルトの搬送面に接触する際に、「第1の線速度をvとし、第2の線速度をvとし、シートの先端部の前記ベルトの搬送面に対する進入角度をθとした場合、v≧v/sinθもしくはv≒v/sinθの関係式を満足する線速度」とすることで、シートの先端のめくれという問題を起こすことなくベルトに進入することができるとともに、その後ベルトによりシートの先端が搬送されている状態ではベルトに対するシートの進入角度は時間とともに変化するため、「シートの先端がベルトの搬送面に接触した後の任意の時間をtとし、時間t以後の変化する進入角度をθとし、第1の搬送手段の挟持部中心からベルトの搬送面に下した垂線とベルトの搬送面との接点までの距離をlとした場合、シートの先端がベルトの搬送面に接触した後、挟持部により挟持・搬送され始める前までは、v≧v/sinθもしくはv≒v/sinθ、但し、θ=cos−1{1/(v×t/l+1/cosθ)}の関係式を満足する線速度」とすることで、ベルト搬送中もめくれなくシートの先端を搬送でき、さらにシートの先端が挟持部により挟持・搬送され始めた時以後は、「v=vの関係式を満足する線速度」とすることで、挟持部(ニップ部)での擦れなどの問題を起こすことなく搬送することができる。
請求項6、7および13記載の発明によれば、第1の線速度と第2の線速度の相対速度を変える方法として第1の線速度を変えることにより、第1の搬送手段による第1の線速度とベルト搬送手段による第2の線速度の相対速度を簡単な構成にて変化させることが可能となり、これにより省スペース、コスト安などの効果を奏する。
請求項8、9および13記載の発明によれば、第1の線速度と第2の線速度の相対速度を変える方法として第2の線速度を変えることにより、第1の搬送手段による第1の線速度とベルト搬送手段による第2の線速度の相対速度を簡単な構成にて変化させることを可能となり、これにより省スペース、コスト安などの効果を奏する。
請求項10および13記載の発明によれば、シート搬送経路または第1のシート搬送経路でのシートのベルトへの突入時のシートの先端部の挙動を考えたとき、シートの先端部は例えばガイド部材に沿って移動して進入角度を変えていくことから、その搬送とともに変化していくため、第1の線速度または第2の線速度を連続的に変化させることにより、シート先端のめくれを防止するとともにシート先端の擦れの問題も発生することなく搬送することができる。
請求項11および13記載の発明によれば、第1の搬送手段により搬送されてきたシートの先端がベルトの搬送面に接触した後であって挟持部により挟持・搬送され始める前までは、第1の線速度が第2の線速度よりも一時的に速い線速度することで、シートを後部から押し進めることができ、その結果シートの腰によりシート先端がベルトの搬送面に向かって押し上げられるため、シートの先端をベルトの腹に向かって位置を揃えることができるようになり、シート先端のスキューが補正されて、(プレ)レジストの効果を実現することができる。
請求項12および13記載の発明によれば、第1の線速度を検出する第1の線速度検出手段および第2の線速度を検出する第2の線速度検出手段のうちの少なくとも一方を有することにより、第2の線速度に対する第1の線速度の相対速度関係および第1の線速度に対する第2の線速度の相対速度関係のうちの少なくとも一方を維持しながら搬送することができる。
請求項14記載の発明によれば、請求項1ないし13の何れか一つに記載のシート搬送装置を有する画像読取装置として、原稿シートを自動給送する自動原稿送り装置(ADF)等を備えた画像読取装置とすることにより、自動原稿送り装置におけるシート原稿の搬送性を向上することができる。
請求項15記載の発明によれば、請求項1ないし13の何れか一つに記載のシート搬送装置および/または請求項14記載の画像読取装置を有する画像形成装置として、シート搬送装置および/または自動原稿送り装置におけるシートおよび/またはシート原稿搬送性を向上することができる。
請求項16記載の発明によれば、画像形成装置は、複写機、ファクシミリ、プリンタ、印刷機およびインクジェット記録装置の何れか一つの画像形成装置、またはそれらの少なくとも二つを組み合わせた複合機の画像形成装置において、比較的剛性の高い厚紙等でも安定したシート搬送性(厚紙等の腰の強いシートでもめくれや擦れ等の問題を起こすことなく搬送すること)が得られる装置を提供することができる。
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態を含む本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を説明する。上記先願発明を適用した用紙搬送装置およびそれを搭載した画像形成装置の例、実施形態や変形例、実施例等に亘り、同一の機能および形状等を有する部材や構成部品等の構成要素については、同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がないものは適宜断わりなく省略することがある。公開特許公報等の構成要素をそのまま引用して説明する場合は、その符号に括弧を付して示し、各実施形態等のそれと区別するものとする。
図1〜図5等を始めとして後述の図8〜図10には、上記先願発明を適用した用紙搬送装置およびそれを搭載した画像形成装置の例が含まれているので、その部分については詳しく説明する。まず、図1を参照して、画像形成装置の一例としての複写機1の全体構成を説明する。
複写機1は、原稿の表面から画像を読み取って各種のシート状記録媒体(以下、「シート」という)としての記録紙、転写紙、用紙、OHPフィルムなどに複写画像を形成するモノクロ複写機である。この複写機1は、読み取った原稿画像に基づいて所定の画像形成処理を行う画像形成部を有する画像形成装置本体2と、この画像形成装置本体2を載置して該装置本体2にシートの一例としての用紙Sを1枚ずつ供給する給紙装置3と、画像形成装置本体2上に取り付けられ原稿画像を読み取ってこの原稿画像情報を画像形成装置本体2に送出する原稿読取装置4とを有する。
画像形成装置本体2の上部であって、原稿読取装置4の下方に空間を形成するようにして、上記画像形成装置本体2を通過した用紙を排出・積載する排紙トレイ9が設置され、給紙装置3から排紙トレイ9に至るまで用紙Sを移動させる用紙搬送経路(シート搬送経路)としての用紙搬送路R1(以下、「搬送路R1」ともいう)が形成されている。この搬送路R1の大部分は、給紙装置3から画像形成装置本体2の上部に渡り、略水平線に対して略垂直上方向、すなわち略鉛直上方向に延在されていて、該搬送路R1上には、最小サイズの用紙Sに応じた所定間隔を確保して搬送ローラ対やコロ対などによって構成された幾つかのシート搬送手段としての用紙搬送手段が設けられている。これらの用紙搬送手段のうちの何れかの用紙搬送手段は、搬送路R1上の用紙Sを、挟持などによって必ず搬送し続けるように構成されている。さらに給紙装置3には、該給紙装置3の各段に収容された用紙Sを搬送路R1に給送・搬送するシート搬送装置としての用紙搬送装置5が設置されている。
画像形成装置本体2内には、その搬送路R1の上流側から下流側に向けて、画像を形成する画像形成部としての感光体ユニット10と定着装置11とが順に配置されている。この搬送路R1上を上流側から下流側に向けて搬送されてくる用紙Sに対して、感光体ユニット10がその生成したトナー像を転写した後、定着装置11がその転写されたトナー像を用紙Sに定着して、そのトナー像を定着された用紙Sが、搬送路R1の末端に配置された排紙トレイ9に排出されるようになっている。
感光体ユニット10は、像担持体としての単一のドラム状の感光体10Aを有し、略水平に配置された回転軸を中心にして、画像形成装置本体2内の図示しない側板に回転可能に支持されている。感光体10Aは、所定の径で円筒形状に形成された周知の構成をなす。感光体10Aは、感光体ユニット10側か画像形成装置本体2側かの何れか一方に設けられたモータなどの駆動源から回転駆動力が伝達されて、図中矢印で示す回転方向に安定した一定速度で回転駆動されるようになっている。
感光体10Aの周囲には、図中矢印で示す回転方向に順に、現像装置12と、転写装置13と、感光体クリーニング装置18と、除電装置と、帯電装置14とが配置され、感光体10Aの反時計回りの回転方向におけるその1回転の範囲内に、これらの各装置12〜14それぞれによって、その上流から下流に渡って順次、現像位置、転写位置、クリーニング位置、除電位置、帯電位置が設定されている。
さらに、帯電位置と現像位置との間には、潜像形成位置が設定され、この潜像形成位置に所定のレーザ光を照射して、画像情報に応じた不可視の潜像を書き込むための露光装置47が、感光体ユニット10からやや離れた斜め下方に配置されている。そして、感光体10Aが所定の反時計回りに回転駆動されるとともに、この感光体10Aの回転に同期して各装置12〜14、および露光装置47が、それぞれ所定に連係した協働動作を行うことにより、一連の画像形成処理が実行される。
すなわち、現像装置12は、その表面からトナー粒子を放射状に起立させたトナーブラシを生成する現像ローラなどの適宜の周知の構成を有し、感光体10A表面上の所定箇所に生成され該感光体10Aの回転に伴い周上を移動して現像位置を通過する潜像に対して、トナーブラシ先端のトナー粒子を付着させ、該不可視の潜像をモノクロトナー像で可視像化する。
転写装置13は、略上下方向に所定に離間させて対向配置された2つの支持ローラ15,16と、これらの支持ローラ15,16間に張架された無端ベルトからなる転写ベルト17とで構成され、感光体10A外周表面上のトナー像を用紙Sに転写し、未定着のトナー像が転写された用紙Sを搬送路R1の下流側に搬送する。すなわち、下方の支持ローラ16は、その転写ベルト17を巻回した部分が、感光体10Aの略右斜め下方箇所に圧接されて、感光体10A表面と転写ベルト17とが接した箇所に、転写位置が設定されている。また、上方の支持ローラ15は、定着装置11の導入口の手前に配置されている。
感光体クリーニング装置18は、感光体10A上のクリーニング位置に、その先端のブレードエッジが所定圧を確保して当接するように構成された図示しないブレード材か、または同クリーニング位置に接して感光体10Aの回転に従動回転する回転ブラシかの何れか、あるいは両方の構成を有し、転写後の感光体10A表面に残留したトナーや異物などを除去する。
除電装置は、所定強度の発光が可能なランプを主体に構成されており、このランプから除電位置に除電用の光を照射して、該除電位置を通過する感光体10A表面上の帯電状態を解除し、転写位置を通過した後の感光体10Aの表面電位を、初期状態に復帰させるようにしている。
定着装置11は、熱源としての電熱ヒータなどを内蔵した加熱ローラ31と、この加熱ローラ31に略水平方向に対向配置され該加熱ローラ31側に押圧付勢された加圧ローラ32とを有する。図示しないモータなどの駆動源により加熱ローラ31が回転駆動されると、これに接した加圧ローラ32が従動回転されるとともに、両ローラ31,32が接した箇所には、所定の加熱温度と加圧力とが確保されて、トナー像を用紙上に定着させるためのニップ部が形成される。
なお、同図中の20は、新品・新規トナーを収容したトナーボトルなどからなるトナー収納容器であり、このトナー収納容器20から現像装置12まで、図示しないトナー搬送経路が形成されている。現像装置12が自身内のトナーを現像用に消費して不足した場合には、新規トナーがトナー収納容器20から現像装置12に補充されるようになっている。
画像形成装置本体2の下方には、読み取る原稿のサイズに応じて、自動的にまたはユーザの手動設定によって用紙サイズ(シートサイズ)を択一的に選択可能にした給紙装置3が設けられている。すなわち、給紙装置3は、シート収容手段としての複数の給紙トレイ51,51を給紙装置3内に多段に収納・配置されているとともに、各給紙トレイ51,51を個別に給紙装置3外に引き出し可能に構成されていて、それぞれの給紙トレイ51にそのトレイ用の用紙をセットおよび適宜の枚数、補充可能にされている。各給紙トレイ51,51には、互いに異なる紙種(シート種類)としてそれぞれ各種用紙サイズおよび用紙搬送方向(シート搬送方向)に対して縦横の向きにした用紙Sが、多数枚積載・収納されている。
原稿読取装置4は、その骨組みをなす読取装置本体4Aを有し、この読取装置本体4Aの上面には、所定範囲に亘りコンタクトガラス57が配置されている。読取装置本体4A内には、コンタクトガラス57面上の所定範囲を走査対象にして光学的に原稿画像を読み取る読取手段が収納されており、この読取手段は、少なくとも、第1走行体53、第2走行体54、結像レンズ55および例えばCCDなどからなる読取センサ56から主に構成されている。
また、原稿読取装置4には、コンタクトガラス57を覆う閉止位置と開放した開放位置とに開閉可能に構成された原稿押さえ板58が、読取装置本体4Aの上面に設置されている。すなわち、原稿押さえ板58は、コンタクトガラス57よりも大きな縦横寸法で形成され、その一端が図示しないヒンジで読取装置本体4Aの上面に開閉自在に支持されている。
上述の構成に基づき、複写機1の動作を説明する。まず、複写機1で原稿をコピーするとき、原稿読取装置4の原稿押さえ板58を閉止位置から開放位置に、ユーザが手動で開いて、コンタクトガラス57上に原稿を載置・セットし、次いで原稿押さえ板58を閉じる方向に手動操作し、この原稿押さえ板58によって、コンタクトガラス57上にセットした原稿を上方から押える。この操作により、原稿面が正確に読み取り可能となるように、原稿がコンタクトガラス57に密着されて平面状に広げられ、かつ同ガラス57上に原稿が固定される。
そして、複写機1に予め備えられている図示しない操作画面部に設置されたスタートスイッチを、ユーザが押下・オン操作すると、直ちに原稿読取装置4の読取動作が開始され、図示しない駆動機構によって第1走行体53および第2走行体54が走行される。そして、第1走行体53の光源からの光が原稿に向けて照射され、この原稿面からの反射光が第2走行体54に向かい、この反射光が第2走行体54のミラーで反射されて結像レンズ55を介して読取センサ56に入力され、この結果、読取センサ56によって、原稿の画像などが光電変換されて読み取られる。
また、上記したようにスタートスイッチがオン操作されると、感光体ユニット10の感光体10Aが回転を開始して、その感光体10A上に、読み取った原稿画像に基づき、トナー像を形成する動作が開始される。すなわち、感光体10Aの回転に伴って該感光体10A外周表面の所定箇所が、順次、帯電装置14、露光装置47、現像装置12、転写装置13、感光体クリーニング装置18、除電装置との間でそれぞれ設定された各位置を通過して、順次、所定の帯電状態に帯電され、潜像が生成され、トナー像に可視像化され、用紙Sに転写されてから、残留トナーが除去され、帯電状態が解除されて1サイクルが完了し、形成する画像サイズに応じて、感光体10Aの回転方向における外周表面の所定長さの範囲にトナー像を生成するように、そのサイクルが所定に持続される。
上記したスタートスイッチの押下により、給紙装置3内の自動または手動選択された用紙Sが収納された給紙段の給紙トレイ51から、該給紙段に付設された用紙搬送装置5の動作によって、1枚の用紙Sが所定の用紙搬送経路(シート搬送経路)を介して搬送路R1に搬送される。この用紙Sは、搬送コロなどによって画像形成装置本体2内の搬送路R1上を略鉛直上方に向けて搬送され、用紙Sの先端がレジストローラ対21に突き当たって一旦停止する。
他方、手差し給紙の場合には、手差しトレイ67上にセットされた用紙Sが、まず手差しトレイ用の給紙ローラ67Aの回転により繰り出され、用紙Sが複数枚積載・セットされた際には、同手差しトレイ用の分離ローラ67B,67Cによって1枚に分離されて、手差し給紙路R2に搬送され、さらに手差し給紙路R2から搬送路R1に搬送され、用紙Sの先端がレジストローラ対21に突き当たって一旦停止する。
そして、レジストローラ対21は、回転駆動された感光体10A上のトナー像の相対移動に合わせた正確なタイミングで回転を開始し、一旦停止した用紙Sを転写位置に送り込む。この結果として、この用紙S上に転写装置13によりトナー像が転写される。
こうして未定着なモノクロトナー画像が転写された用紙Sは、搬送路R1の一部を形成した転写装置13の転写ベルト17によって定着装置11へ搬送され、この定着装置11が形成したニップ部を通過されて、該ニップ部によって所定の熱と加圧力とが加えられることにより、画像が用紙S上に定着される。画像が定着された用紙Sは、切換爪34により排紙トレイ9に至る搬送路R1に向けてガイドされ、各排出ローラ35〜38により排紙トレイ9上に排出されて、排紙トレイ9上にスタックされる。そして、ユーザは、排紙トレイ9上にスタックされた用紙を、排紙トレイ9と原稿読取装置4との間であって装置正面側の開放部から取り出すことができる。
また、ユーザの設定入力によって、両面コピーモードが選択されているときには、片面に画像を定着された用紙Sは、切換爪34により用紙反転装置42側に搬送され、この用紙反転装置42内に配置された複数のローラ66対や、図示しないガイド部材によって、反転搬送路R3上を往復移動させて、用紙面の上下向きを反転させてから、感光体ユニット10よりも手前に位置した箇所からレジストローラ対21を介して搬送路R1に復帰させ、この搬送路R1上を搬送されて再び転写位置へ導かれ、今度は用紙Sの裏面に画像を転写し定着した後に、排出ローラ35〜38によって排紙トレイ9上に最終的に排出される。
(第1の例)
次に、先願発明に係るシート搬送装置を適用した用紙搬送装置5(以下、「第1の例」ともいう)の特徴的な構成を説明する。
用紙搬送装置5は、図2および図3に示すように、図1に示した給紙装置3における所定段(この例では下段)の給紙トレイ51に積載・収容された多数枚の用紙Sから1枚の用紙Sを引き出し、引き出された用紙Sの用紙搬送方向(シート搬送方向)を変更し、略鉛直上方の画像形成装置本体2へ給送するものである。
用紙搬送装置5は、用紙Sを搬送する第1の搬送手段(以下、「第1搬送手段」という)6と、第1搬送手段6の用紙搬送方向(シート搬送方向)の下流側に配置され、第1搬送手段6により搬送されてきた用紙Sを第1搬送手段6の用紙搬送方向と異なる用紙搬送方向に搬送する第2の搬送手段(以下、「第2搬送手段」という)7と、これら第1搬送手段6および第2搬送手段7の何れもが用紙Sを1対の搬送回転部材で挟持して搬送する挟持搬送手段としてそれぞれ構成され、すなわち、第1搬送手段6はフィードローラ61とリバースローラ62との2つの対向配置された搬送回転部材からなる第1搬送回転部材対の構成とされ、第2搬送手段7はグリップローラ81とローラ状のプーリ83およびローラ状のプーリ84の間に張設された搬送ベルト82との2つの対向配置された搬送回転部材からなる第2搬送回転部材対の構成とされ、この第2搬送回転部材対の一方は、用紙Sの先端と接触した状態を保持しつつ第2搬送手段7の後述する挟持部に向けて用紙Sを移動・案内する搬送ベルト82を備えたベルト搬送手段8(移動案内手段)であり、かつ、ベルト搬送手段8における搬送ベルト82上に形成されたベルト走行面である搬送面82aは、第1搬送手段6と第2搬送手段7との間に形成される用紙搬送経路(シート搬送経路)としての第1搬送路Aの外郭方向に外れた位置に配置されていることを特徴としている。
上述したように、フィードローラ61とリバースローラ62とからなる第1搬送回転部材対の用紙搬送方向と、グリップローラ81と搬送ベルト82とからなる第2搬送回転部材対の用紙搬送方向とは、互いに異なり、つまり第1搬送回転部材対の用紙搬送方向は、図2および図3における右斜め上方向である略水平方向に設定されているのに対して、第2搬送回転部材対の用紙搬送方向は、略鉛直上方向に設定されている。これにより、第1搬送手段6と第2搬送手段7との間に形成される第1搬送路Aは、この第1搬送路Aで用紙搬送方向を急激に変化させる曲率半径の小さな湾曲した曲率部を形成している。
ここで、第1および第2搬送手段6,7の各用紙搬送方向を厳密に表現すると、次のようである。すなわち、図6を借りて説明すると、第1搬送手段6の用紙搬送方向は、フィードローラ61の回転中心と、リバースローラ62の回転中心と、フィードローラ61およびリバースローラ62の挟持部(ニップ部)の中心との3点を結ぶ線分におけるニップ部の中心に対して、直交する略水平方向に設定されている。
同様に、第2搬送手段7の用紙搬送方向は、グリップローラ81の回転中心と、プーリ83の回転中心と、グリップローラ81および搬送ベルト82の挟持部(ニップ部)の中心との3点を結ぶ線分におけるニップ部の中心に対して、直交する略鉛直上方向に設定されている。
換言すれば、第1搬送手段6と第2搬送手段7との間に形成されて用紙搬送方向を変更するように構成した用紙搬送経路において、用紙搬送経路を構成し搬送する用紙Sの厚さ方向の向きを規定した1対の対向面のうち、第1搬送手段6から送り出された用紙Sの先端が当接する側の面を、少なくとも、該用紙Sの先端が当接する部位を開始端にして、その用紙搬送方向の長手方向に渡って、第2搬送手段7に至るまでの所定範囲を、連続的かつ常時、第2搬送手段7の挟持部に近づく方向に移動する搬送ガイド面に構成しており、この搬送ガイド面は、ベルト搬送手段8における搬送ベルト82上に形成されたベルト走行面(搬送面82a)によって形成している。また、第1搬送手段6の用紙搬送方向に沿った延長線と、第2搬送手段7の用紙搬送方向に沿った延長線とで囲まれた範囲を内郭とし、これ以外を外郭としており、上記の平坦なベルト走行面によって形成された用紙搬送に供される搬送ベルト82の搬送面82aは、内郭から外郭方向に外れた位置に配置され、かつ、概略、用紙進行方向と交差するように延在されている。
ベルト搬送手段8は、図3および図4に示すように、搬送ベルト82と、該搬送ベルト82を走行可能に保持するとともに該搬送ベルト82を掛け渡すための、グリップローラ81と搬送ベルト82との挟持部(ニップ部)に対向して配置された第1のベルト保持回転部材としての上記したローラ状のプーリ83と、このプーリ83に対向し、かつ、第2搬送手段7の用紙搬送方向の上流側に配置された第2のベルト保持回転部材としての上記したローラ状のプーリ84とから主に構成される。第2のベルト保持回転部材は、本例では単一の例を示すが、これに限らず少なくとも一つ以上配設されていてもよい。
ベルト搬送手段8は、第1搬送手段6により搬送されてきた用紙Sの先端が、プーリ83およびプーリ84に保持されている該搬送ベルト82部分を除く該搬送ベルト82の搬送面82aに当接(接触)するように配置することが肝要である。このように、プーリ84の軸中心(プーリ軸84aの中心)が、リバースローラ62の下端位置よりも上方であって搬送ガイド部材71の下流端の高さよりも下方に位置するようにしてベルト搬送手段8を配置することにより、用紙Sの先端が搬送ベルト82の腹の部分(いわば「有効搬送面」とも呼ぶべき部分である)に衝突することによって、搬送ベルト82の安定した適度な弾性変位・変形状態が得られ、用紙Sの先端の反発を招くことなく、用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに確実に当接した状態が保持されて、後述の作用効果を得ることができる。
これに対し、用紙Sの先端が、搬送ベルト82のプーリ83およびプーリ84に保持されている該搬送ベルト82部分に当接(接触)してもよいように配置すると、搬送ベルト82がプーリ83およびプーリ84に保持されている該搬送ベルト82部分は、一般的に搬送ベルト82の腹の部分よりも硬く弾性変位・変形状態も小さくなることから、用紙Sの先端が上記部分に当接した際には反発したり安定した適度な弾性変位・変形状態が得られなくなったりする点から好ましくない。これは、後述する先願発明を適用した各例等や、本願発明を適用した実施形態や変形例、実施例等でも同様である(以下、単に「以下、同様」ともいう)。
また、ベルト搬送手段8は、図6に示すように、第1搬送手段6により搬送されてきた用紙Sの先端が、搬送ベルト82の搬送面82aに対して鋭角の突入角度θaをもって進入するように配置することも肝要である。このようにベルト搬送手段8を配置することにより、用紙Sの先端が上述した搬送ベルト82の腹の部分に安定して当接することによって、用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに確実に当接した状態が保持されて、後述の作用効果を得ることができる。
用紙Sの先端が、搬送ベルト82の搬送面82aに対して略垂直ないし直角の突入角度θaをもって進入するように配置した場合には、用紙Sの先端部の搬送ベルト82の搬送面82aへの当接状態が不安定になる、例えば搬送ベルト82の走行方向と反対の方向に折れ曲がったり、反発を招いたりする点から、好ましくない(以下、同様)。
給紙装置3における各段の給紙トレイ51は、複写機1に使用可能として取り扱われる最大サイズの用紙Sを格納可能な平面形状を確保して、上方開口の略平箱状に形成され、その底面にはシート積載手段としての底板50が設けられている。底板50は、図2の左側の基端部が、給紙トレイ51に所定の角度範囲で回動自在、すなわち揺動可能に支持された水平な軸50Aに取り付け固定され、図2の右側の自由端部が、軸50Aを中心にして給紙トレイ51内において揺動可能に構成されている。
また、給紙トレイ51の底部には、所定形状の凹部が形成され、この凹部に、上昇アーム52が格納されている。上昇アーム52は、その基端部が前記凹部内に所定の角度範囲で回動自在、すなわち揺動可能に支持された水平軸52Aに固着されるとともに、この水平軸52Aには、図示しない回転駆動源から任意の回転方向の回転駆動力が伝達されて回動されることにより、上昇アーム52が水平軸52Aを中心として所定に傾斜した位置を占めるように揺動駆動される。これにより、上昇アーム52の自由端部が底板50を押し上げて、底板50上に載置された用紙Sの最上面の片側周縁を、所定の高さ位置に保つようになっている。
上述したとおり、給紙トレイ51は、底板50上に用紙Sを積載して格納するとともに、底板50における図において右端側の自由端部を上昇・傾斜させて積載した用紙Sをせり上げ、1枚ずつ用紙Sが給送されてその積載枚数が減少しても、その最上面を所定の高さに維持するように構成されている。
給紙トレイ51は、上述したように、給紙装置3の本体に対して着脱・挿脱自在に構成されている。すなわち、給紙トレイ51は、図1に示すように給紙装置3の本体内に挿入・装着されることで給紙可能となる装着位置と、給紙装置3の本体から図1において紙面の手前側に引き出され・離脱されることで、用紙Sの補充や用紙Sのサイズ交換等が可能となる離脱位置とを選択的に占めることが可能に構成されている。
また、少なくとも第1搬送手段6、第2搬送手段7、第1搬送手段6と第2搬送手段7との間に配置される用紙搬送経路(搬送路)は、給紙トレイ51を引き出したときに本体に残される。よって、本例では胴内排紙型の画像形成装置であるが、移動案内手段を設けることにより、上記搬送路を従来と同様の曲率またはそれ以下の曲率で搬送できるので、装置の幅方向を大きくすることなく、胴内排紙型の利点を減殺することを防ぐことができる。
このように所定高さに上昇された用紙Sの最上面に接するように、ピックアップローラ60が、給紙装置3の本体側の機体外形をなすハウジング80に回転可能に軸支されている。ピックアップローラ60による用紙Sの引き出し方向に沿った延長線上に、用紙Sを1枚に分離して給送する給紙分離機構が位置しており、この給紙分離機構は、フィードローラ61とリバースローラ62とが所定圧を確保して接したニップ部を形成するように構成されている。
ピックアップローラ60は、図3に詳しく示すように、図示しない芯金と一体的に形成された軸60aの周りに一体的に固着されていて、軸60aとともに回転自在になされた周知のもの、あるいは軸60aと前記芯金との間にワンウェイクラッチ(図示せず)を設けて、非駆動時には軸60aに対してフリーに回転するように支持されているものである。ピックアップローラ60の外周表面を含む外周部には、用紙Sと接触したときに容易にピックできるように用紙Sに対して摩擦係数の高いゴム等の軟質の高摩擦材料が用いられている。また、ピックアップローラ60の外周表面部は、適宜、摩擦抵抗を増大するために略鋸刃状の突起が全周に形成される場合もある。
本例では、例えば積載された用紙Sを重送することなく1枚に分離して送り出す給紙方式(シート給送方式)として、戻し分離方式であるFRR(Feed Reverse Roller)給紙方式を採用している。すなわち、2枚以上の用紙Sをピックアップローラ60が引き出した場合には、フィードローラ61に接した1枚の用紙Sと、リバースローラ62に接したこれ以外の他の用紙Sとに分離させ、フィードローラ61は、1枚の用紙Sをそのまま用紙搬送方向に進めて送り出す一方、リバースローラ62は、他の用紙を用紙搬送方向とは逆の方向に進めて積層された元の位置に戻し、かつ、リバースローラ62は、フィードローラ61による用紙搬送を妨げないように構成されている。
より具体的には、シート分離機構としてのFRR給紙方式による給紙分離機構は、用紙搬送方向に進む順方向に回転駆動されるフィードローラ61と、このフィードローラ61の下側に当接して、トルクリミッタを介して逆回転方向の回転駆動力が伝達されて逆転駆動されるリバースローラ62とを設けた構成とされ、フィードローラ61は、底板50上の最上面の用紙Sに接する一方、リバースローラ62は、2枚以上かに拘わりなくフィードローラ61に接している用紙Sの下面に接触している。
フィードローラ61は、図示しない芯金と一体的に形成された軸61aの周りに一体的に固着されていて、軸61aとともに回転自在になされているか、あるいはピックアップローラ60と同様の支持方法を取られる場合もある。フィードローラ61の外周表面を含む外周部には、ピックアップローラ60と同様に用紙Sと接触したときにこれを容易に用紙搬送方向に送り出すことができるように用紙Sに対して摩擦係数の高いゴム等の軟質の高摩擦材料が用いられている。また、フィードローラ61の外周表面部は、適宜、摩擦抵抗を増大するために略鋸刃状の突起が全周に形成される場合もある。
リバースローラ62は、図示しない芯金と一体的に形成されていて、前記トルクリミッタを介して、リバースローラ駆動軸62aとともにハウジング80に回動自在に支持されている。
FRR給紙方式では、リバースローラ62には、フィードローラ61とは逆回転方向へ向かう弱いトルクがトルクリミッタ(図示せず)を介して付与されている。従って、リバースローラ62は、フィードローラ61と接触している状態、あるいは1枚の用紙Sが両ローラ61,62間に進入した状態では、リバースローラ62がフィードローラ61に連れ回りする。すなわち、前記トルクリミッタの作用によって、例えば該リバースローラ駆動軸に対してリバースローラ62がスリップして、フィードローラ61と同様に、給紙方向に進む順方向にリバースローラ62が回転する。他方、フィードローラ61と離間した状態、あるいは2枚以上の用紙Sが両ローラ61,62間に進入した状態では、リバースローラ62が逆回転する。このため、重送した用紙Sの進入時には、最上面の用紙Sであるフィードローラ61に接した1枚の用紙S以外の、リバースローラ62に接した他の用紙Sが用紙搬送方向の上流側へ戻され、これによって用紙Sの重送が防止される。
従って、リバースローラ62から該リバースローラ62に接した用紙Sに対して供給される搬送力は、用紙Sを元の積載位置に戻せる程度には十分な逆方向の搬送力を確保しながら、用紙Sを順方向に進めるためのフィードローラ61から用紙Sに供給される搬送力よりも、所定に小さく設定され、フィードローラ61による順方向の用紙搬送を妨げないようにしている。このため、謂わば、フィードローラ61から用紙Sに供給される搬送力は、リバースローラ62からの逆搬送力によって、減殺されている。
同図中の65は、給紙装置3の本体側に設けた駆動源からの回転駆動力が出力される駆動軸に結合されたアイドラギヤであり、ギヤ同士の噛合またはベルト伝動によって、給紙装置3から供給される回転駆動力をピックアップローラ60およびフィードローラ61に分配して伝達し、ピックアップローラ60およびフィードローラ61を、それぞれ所定速度で回転駆動するようにしている。
フィードローラ61の斜め上方には、第2搬送手段7における第2搬送回転部材対の他方の搬送回転部材であるグリップローラ81が、グリップローラ81と一体的に形成された回転駆動軸81aを介して、ハウジング80に回転自在に支持されて配置されている。グリップローラ81の外周表面を含む外周部にも、フィードローラ61と同様に用紙Sと接触したときにこれを容易に用紙搬送方向に送り出すことができるように、用紙Sに対して摩擦係数の高いゴム等の軟質の高摩擦材料が用いられている。
グリップローラ81の近傍には、このローラ81の外周面に搬送ベルト82を介して接するようにハウジング80に回転自在に軸支され、かつ、グリップローラ81の水平方向に対向して前記したプーリ83が配置されている。
プーリ83は、プーリ軸83aと一体的に形成されていて、プーリ軸83aとともにハウジング80に回転自在に支持されている。プーリ83の左斜め下方には、ハウジング80に回転自在に軸支された前記したプーリ84が配置されている。プーリ84は、プーリ軸84aと一体的に形成されていて、プーリ軸84aとともにハウジング80に回転自在に支持されている。プーリ83,84は、搬送ベルト82を走行・回転自在に支持するベルト保持回転部材としての機能を有する。
なお、ベルト搬送手段8の配置は、前記した配置状態に限らず、次のようであってもよい。すなわち、図3において、括弧を付して示す79は、用紙搬送装置5本体の一部としての、ハウジング80に対して開閉自在に構成された開閉ガイドを示す。この開閉ガイド79は、後述する搬送ガイド部材72およびベルト搬送手段8と一体化(ユニット化)されて構成されており、第1搬送路Aや略鉛直上方に延びた縦搬送路等での用紙の詰まり、ジャム等をユーザが処理し易いように、ハウジング80下方のヒンジ支点軸(図示せず)を中心に、グリップローラ81に対して搬送ベルト82が接離自在となるように開閉自在に構成されたものである。
このような開閉ガイド79を有する場合、プーリ83およびプーリ84は、各プーリ軸83a,84aとともに開閉ガイド79側に回転自在に支持される。
搬送ベルト82は、一部上述したが、無端ベルトであり、各プーリ83,84間に張設されている。各プーリ83,84の軸間距離は、予め所定に設定されている。プーリ83,84間に形成された搬送ベルト82の直線状のベルト走行面(搬送面82a)は、第1搬送手段6によって送出される用紙Sの先端が、必ず接する位置に配置されている。このように、グリップローラ81の外周面には、プーリ83の外周面に巻き掛けられた搬送ベルト82の外周面が所定圧をもって直接接しており、この接触部位に挟持部(ニップ部)が形成されている。
搬送ベルト82は、弾性部材である例えばゴム部材で形成されていて、その表面には、該ベルト自体の材質によって、または適宜の表面処理が施されて、使用される用紙S(シート)に対して所定の摩擦係数が設定されている。すなわち、搬送ベルト82は、用紙Sに対面して該用紙面に接する、その搬送面としてのベルト表面が、用紙面とベルト表面との間のすべり接触を回避して、ベルト表面から用紙面に搬送推進力を確実に伝達できる摩擦係数が設定されている。
また、搬送ベルト82は、用紙搬送方向と直交する用紙幅方向のベルト幅が、少なくとも、搬送する最大サイズの用紙幅と略同じ幅が確保されている。すなわち、搬送ベルト82のベルト幅としては、少なくとも、搬送する最大サイズの用紙幅以上のベルト幅が設定され確保されている。同様に、搬送ベルト82を張架したプーリ83,84およびベルトに対向接触したグリップローラ81は、それぞれの用紙幅方向(軸長手方向)のプーリ、ローラ長さが、前記ベルト幅以上の長さに形成されている。従って、第1搬送手段6から送出された用紙Sは、必ずその用紙幅全域に渡って搬送ベルト82に接することになり、両者間の接触面積を可能な限り最大限に確保できる。これに伴い、常時、用紙搬送方向に移動される搬送ベルト82から用紙Sに供給される推進力、つまり用紙Sをその搬送方向に進める搬送推進力も、可能な最大限の力を搬送ベルト82から用紙Sに伝達することができる。
グリップローラ81の回転駆動軸81aには、図4および図5を参照して後述するように、該グリップローラ81の回転駆動用に専用に設けられた電動モータなどの回転駆動源がギヤやベルト等の駆動力伝達手段を介して連結されている。グリップローラ81は、前記駆動力伝達手段を介して、前記回転駆動源から所定の回転速度の回転駆動力が伝達されて回転駆動される。これにより、グリップローラ81は、駆動ローラとされる一方、該グリップローラ81に接した搬送ベルト82、および該搬送ベルト82の接触部位をそのベルト内側から支持したプーリ83は、駆動ローラとしてのグリップローラ81の回転に従動して、ベルト送り駆動される従動ベルト、および前記従動ベルトを介して回転駆動される従動ローラとされている。もちろん、プーリ84も、前記従動ベルトを介して回転駆動される従動ローラである。
グリップローラ81等を駆動する駆動機構22は、図4および図5に示すように、単一の駆動源・駆動手段としてのステッピングモータからなる給紙モータ23と、給紙モータ23の出力軸に固設されたモータギヤ24と、このモータギヤ24と噛み合うアイドラギヤ25と、このアイドラギヤ25と噛み合い、フィードローラ61の軸61aの一端部に固定されたフィードローラ駆動ギヤ61Bと、このフィードローラ駆動ギヤ61Bと噛み合うアイドラギヤ26と、このアイドラギヤ26と噛み合い、グリップローラ81の回転駆動軸81aの一端部に固設されたグリップローラ駆動ギヤ81Aと、フィードローラ61寄りの軸61aの他端部に固定されたフィードローラギヤ61Aと、このフィードローラギヤ61Aと噛み合う上記したアイドラギヤ65と、このアイドラギヤ65と噛み合い、ピックアップローラ60寄りの軸60aの他端部に固定されたピックアップローラギヤ60Aとから主に構成されている。
給紙モータ23は、ハウジング80に固定されている。アイドラギヤ25,26,65は、それぞれハウジング80に回転自在に支持されている。
上述したとおり、本例においては、コンパクトで省スペースである用紙搬送装置5として構成、すなわち後述する図6および図7等に示す実施例1に例示するように第1搬送路Aが曲率半径の比較的小さな曲率部で構成されている関係上、給紙モータ23は、単一であり、第1搬送手段6および第2搬送手段7の駆動手段を兼用していて、装置のコンパクト化に寄与している。
なお、リバースローラ62の駆動は、例えばフィードローラ61に対する圧解除等を行うソレノイド等を備えていて別系統である。図4において、62bは、図1〜図5に示した例において、図示しないトルクリミッタと説明したものを表している。
図1〜図5に示した例では、ピックアップローラ60およびフィードローラ61の回転駆動関係を簡略的に説明したが、実際には、図5に拡大して示すように、両ローラ60,61はピックアップアーム部材64によって各軸60a,61aが連結されており、ピックアップローラ60がフィードローラ61側の軸61aを中心としてピックアップアーム部材64を介してピックアップ揺動・変位するように、図示しないソレノイドおよびバネの組み合わせによって駆動されるようになっている。
実際の駆動機構22では、給紙モータ23ないしフィードローラ61間にはより多くのギヤおよびタイミングベルト等の駆動力伝達部材が適宜配設されているが、ここではグリップローラ81が回転搬送駆動部材であることを明示するためその一例を両図に簡略的に示した。
ここで、ベルト搬送手段8の搬送ベルト82は、駆動機構22により回転駆動されるグリップローラ81(回転搬送駆動手段・回転搬送駆動部材)と直接接触して連れ回る構成であるので、搬送ベルト82側を駆動する場合よりもグリップローラ81側を駆動した方が、搬送ベルト82の線速度のばらつきを小さくできる。これにより、第1搬送路A(用紙搬送経路)のターンの外側(外郭方向)に第2搬送手段7の挟持部に向けて回転する搬送ベルト82を配置することで、第1搬送路Aのターン部での厚紙等の比較的剛性の高い用紙搬送性の向上を可能とし、搬送ベルト82と対向し直接接触するグリップローラ81を駆動し、搬送ベルト82を連れ回りさせることで、安定した線速度で用紙を第2搬送手段7以降に搬送させることが可能となる。
この利点・効果は、次のような技術内容を考察すれば容易に理解できる。すなわち、グリップローラ81を駆動する場合、グリップローラ81の線速度はグリップローラ81自身の外径と回転数とによってのみ決まる。これに対して、搬送ベルト82側を駆動する場合を考えると、搬送ベルト82を駆動する場合、搬送ベルト82の内側に設けたローラ状のプーリ83(ベルト駆動ローラ、主プーリ)によって搬送ベルト82を駆動するのが一般的である。
この場合、搬送ベルト82の線速度は、搬送ベルト82の内側に設けたプーリ83の外径および回転数以外に、構成部品バラツキによる搬送ベルト82の厚さのばらつき、搬送ベルト82の磨耗による厚さの影響、あるいは搬送ベルト82とプーリ83との間のスリップの影響を受ける。このため、搬送ベルト82側を駆動するよりグリップローラ81側を駆動した方が、搬送ベルト82の線速度のばらつきを小さくできる。
なお、上述したほどの効果をそれ程望まなくても良いのであれば、例えば駆動機構22からグリップローラ81を駆動する駆動系を除去してグリップローラ81を従動側とし、かつ、搬送ベルト82側を図示しない駆動機構で駆動するようにしてもよい。
図2および図3において、70は、用紙搬送装置5における内郭側の位置に設けられ、略下方に凸状に膨出して用紙Sに接する湾曲し固定したガイド面70aを有した搬送ガイド部材であり、71は、用紙搬送装置5の外郭側の位置に設けられた搬送ガイド部材である。この搬送ガイド部材71は、搬送ガイド部材70に対応して凹状に湾曲し固定したガイド面71aを有し、かつ、搬送ガイド部材70のガイド面70aに対して所定の間隙をもって対面配置されている。このように搬送ガイド部材70と、該搬送ガイド部材70に対面した搬送ガイド部材71および搬送ベルト82によって、第1搬送手段6および第2搬送手段7との間に、第1搬送路Aが形成されている。
図2および図3において、72は、第2搬送手段7を起点として略鉛直上方への縦搬送路における外郭側の位置に設けられた搬送ガイド部材であり、73は、給紙トレイ51からフィードローラ61とリバースローラ62との挟持部(ニップ部)へ到る用紙搬送経路を形成するとともに、同ニップ部に用紙Sを案内・進入させる導入口を形成した搬送ガイド部材である。また、搬送ガイド部材70は、第1搬送手段6および第2搬送手段7のニップ部同士を結ぶ線上を横切って略下方(外郭に設けられている搬送ガイド部材71側)に膨出した湾曲面(ガイド面70a)を備えており、その膨出の程度は、用紙Sの先端を必ずベルト搬送面に到達させるように、用紙Sを緩やかに湾曲させる程度に設定されている。
なお、図1において、給紙装置3における上段の装置構成は、従来手段で構成された装置であり、上述した下段の装置構成と比較して、用紙搬送装置5に代えた用紙搬送装置5’を用いる点のみ相違する。用紙搬送装置5’は、用紙搬送装置5と比較して、第2搬送手段7に代えて第2搬送手段7’を用いる点のみ相違する。第2搬送手段7’は、第2搬送手段7と比較して、第2搬送回転部材対としてのグリップローラ81とこれに従動回転するローラ(実質的にプーリ83と同様の大きさ・形状である)とから構成される点のみ相違する。上段の給紙トレイ51および用紙搬送装置5’では、厚紙や封筒等の比較的剛性の高い用紙S(シート)を除き、比較的剛性の低い用紙Sである普通紙等が用いられる。
次に、給紙装置3における所定段からの給紙動作および該給紙動作に連係して起動される用紙搬送装置5の搬送動作を説明する。
底板50上に積載された用紙Sは、図2に示すように、上昇アーム52の揺動・上昇動作によりその最上面が所定の高さになるよう持ち上げられ、先ず、ピックアップローラ60の回転によって最上面の用紙Sが引き出され、フィードローラ61とリバースローラ62とからなる給紙分離機構に搬送される。そして、前記給紙分離機構において、フィードローラ61とリバースローラ62とによる協働作用により最上面の1枚のみが分離され、この分離された1枚の用紙Sが用紙搬送経路の下流側へとさらに搬送されて、図2に示すように用紙Sの先端が搬送ベルト82のベルト搬送面に接触しつつ、搬送ベルト82の矢印方向の走行によって案内移動され、グリップローラ81と搬送ベルト82とのニップ部に到ると、グリップローラ81と搬送ベルト82とによって用紙Sが挟持搬送されつつさらに鉛直上方に搬送され、最終的に用紙Sは垂直姿勢にして送り出される。
より詳細には、フィードローラ61とリバースローラ62とのニップ部に挟持され、該ニップ部から送り出された用紙Sの先端は、まず図2に示すように、搬送ベルト82のベルト搬送面に到達して接する。そして、図3に示すように、搬送ベルト82の矢印a方向の走行による搬送面82aの用紙搬送方向への移動に伴い、その用紙Sの先端側から徐々に湾曲され、かつこの湾曲の進展に伴い、ベルト搬送面と用紙面との接触面積が拡大される。従って、たとえ用紙Sが高剛性の用紙であったとしても、ベルト搬送面から用紙面に対して該用紙Sを搬送方向に進めるための十分な搬送推進力が付与できる。このようにして、第1搬送手段6から付与される搬送推進力だけでは、高剛性の用紙Sをより深く湾曲させて搬送する際に生じる搬送抵抗により不足する分を、ベルト搬送手段8から該用紙Sに与えて十分に補える。従って、少なくとも、第1、第2搬送手段6,7間での用紙Sの搬送不良が生じることを回避して、未然に防止でき、その用紙Sの先端を第2搬送手段7の挟持部(ニップ部)に到達させることができる。
他方、搬送ベルト81の搬送面82aはそのまま第2搬送手段7の挟持部(ニップ部)に連続して延びているので、ベルト搬送面に接した用紙Sの先端部は、確実かつスムーズに安定して挟持部に到達することになる。換言すれば、まず高剛性の用紙Sでもその先端部が必ずベルト搬送面に接する程度に緩やかに湾曲させながら用紙Sを第1搬送手段6によって搬送し、その用紙Sの先端部がベルト搬送面に接して該ベルト搬送面による能動的な搬送ガイド作用によって、該ベルト搬送面から用紙Sにその用紙搬送方向に進めるいわば第2の搬送推進力を得てから、該用紙Sの先端を第2搬送手段7の挟持部に到達させるように、より深く用紙Sを湾曲させるようにしている。
このようにして用紙Sの先端が第2搬送手段7に到達して、第1搬送手段6および第2搬送手段7によって、用紙Sが挟持搬送された以降は、両搬送手段6,7から十分な搬送力が用紙Sに作用するので、高剛性の用紙Sのスムーズな搬送を継続できる。さらに、用紙Sの後端が第1搬送手段6から離脱して第1搬送手段6からの搬送力が得られなくなっても、用紙S上における第2搬送手段7の挟持部から後端側へかけてのベルト搬送面の接触状態によっては、再びベルト搬送面から用紙面に搬送推進力が補充され、しかも徐々に用紙Sの湾曲の程度が緩和されることから、用紙搬送を持続することができる。これらの結果、用紙搬送装置5として、第1搬送手段6が受け取った用紙Sを、その用紙Sの剛性に拘わりなく、第2搬送手段7から下流側の用紙搬送経路に、確実かつ安定して送り出すことができる。
上述したとおり、ベルト搬送手段8は、第1搬送手段6と第2搬送手段7との間に形成される第1搬送路Aの外郭方向に配置され、用紙Sの先端と接触した状態を保持しつつ第2搬送手段7に向けて用紙Sを移動・案内する移動案内手段としての機能を有する。
そして、本例では、移動案内手段としてのベルト搬送手段8は、搬送ベルト82により、第2搬送手段7の挟持部(ニップ部)に向かう方向に用紙Sの搬送方向を変えて移動・案内する機能も有する。
次に、先願発明に係る参考実施例1(以下、単に「実施例1」という)を説明する。図1〜図5に示した用紙搬送装置5を備えた給紙装置3と基本的な構成・仕様が同じで、株式会社リコー製「imagio Neo453」の給紙装置のみを試験用に改造した複写機(表1に「ベルト方式」として示す)と、従来の用紙搬送装置(図1〜図5において、グリップローラ81に対向接触する搬送回転部材がローラ状のプーリ83であり、搬送ベルト82およびローラ状のプーリ84を除去した装置で、図1の給紙装置3に示されている従来の用紙搬送装置5’に相当するもの)を備えた給紙装置を搭載した株式会社リコー製「imagio Neo453」の複写機(表1に「従来方式」として示す)とを使用して、用紙の給送搬送状態(通紙状態)に関する比較試験を実施した。
上記ベルト方式において、上記比較試験に用いたベルト搬送手段8およびその周りの主な部材(従来方式を含む)の詳細は、次のとおりである。
搬送ベルト82の材質:エチレン・プロピレンゴム(EPDM)
搬送ベルト82の硬度:JIS A 40度
搬送ベルト82の摩擦係数:2.6(用紙に対する)
搬送ベルト82の肉厚:1.5mm
プーリ83の直径:13mm
プーリ84の直径:7mm
プーリ83,84の間隔:13mm(プーリ軸83a,84aの軸間距離)
搬送ベルト82の伸張率:7%
各ローラ60,61,62,81の直径:全て20mm
基本的な試験条件として、用紙の腰(剛性:コシ)の強さの代用値として用紙の重さ(メートル秤量)を用い、これを6つの紙種に変えて、常温環境(23℃、相対湿度50%)においてそれぞれ上記複写機における同じ段の給紙トレイから通紙した。そして、図6を参照して以下に説明する試験条件を加味し、紙種別の搬送時間のばらつき(バラツキ)具合を調べる試験を実施した。その搬送時間のばらつき具合の試験結果を図7に、図7の試験結果に基づき通紙状態をまとめたものを表1に示す。
図6において、88は、ピックアップローラ60によりピックアップされた用紙Sの先端を検知する給紙センサを、89は、第2搬送手段7(ベルト方式)またはグリップローラ81とローラ状のプーリ83との対(従来方式)により搬送されてきた用紙の先端を検知する縦搬送センサを、それぞれ示す。給紙センサ88および縦搬送センサ89は、それぞれ反射型のフォトセンサからなる。
また、給紙センサ88と縦搬送センサ89との取り付け・配置間における搬送パス長:用紙搬送距離(シート搬送距離)は、ベルト方式および従来方式ともに次のとおり57mm一定に設定した。すなわち、給紙センサ88の配置部からフィードローラ61とリバースローラ62とのニップ部までの搬送パス長が10mm、フィードローラ61とリバースローラ62とのニップ部から第2搬送手段7のニップ部(ベルト方式)まで、またはフィードローラ61とリバースローラ62とのニップ部からグリップローラ81とローラ状のプーリ83とのニップ部(従来方式)までの搬送パス長が同じ38mm、第2搬送手段7のニップ部(ベルト方式)から縦搬送センサ89の配置部まで、またはグリップローラ81とローラ状のプーリ83とのニップ部(従来方式)から縦搬送センサ89の配置部までの搬送パス長が9mmで、トータルの搬送パス長は57mmである。
用紙搬送装置5の第1搬送手段6と第2搬送手段7との間の湾曲した用紙搬送経路(第1搬送路A)中心での曲率半径は、従来方式およびベルト方式ともに約20mm一定にして実施した。
また、従来方式およびベルト方式ともに、ピックアップローラ60によるピックアップ圧(給紙圧)をパラメータとして、1.1Nと2.2Nとの2種類に変えるとともに、駆動側のフィードローラ61および駆動側のグリップローラ81の線速度がともに同じ154mm/s一定で、給紙センサ88から縦搬送センサ89までの搬送パス長57mmを搬送される用紙の先端の到達時間を、5つの紙種に変えて、それぞれオシロスコープで計測した紙種別搬送時間のばらつき結果を図7のグラフに示す。
図7の試験結果より、紙種としてメートル秤量が256g/m以上になると、従来方式では搬送時間が長く、用紙のスリップが大きいのに対し、本発明のベルト方式では、搬送時間がそれほど長くならず、用紙のスリップが小さいことが分かった。また、ピックアップ圧を小さくすると搬送力が低下するが、本発明のベルト方式の場合、ピックアップ圧を小さくしても、さほど搬送時間に影響を及ぼさないことも分かった。よって、本発明のベルト方式を採用した場合、ピックアップ圧を小さくできるので、駆動モータの電力を小さくすることができる。その結果、装置が小型化できる。
次に、図7の試験結果に基づき、通紙状態をまとめた表1について説明する。
ここで、「メートル秤量」とは、紙、板紙(用紙)の重量を表示するとき、1平方メートル当たりの用紙1枚の重さをグラムで表したものに相当する。一般的に、秤量の少ない用紙は「軽い紙」あるいは「薄い紙」であり、秤量の多い用紙は「重い紙」あるいは「厚い紙」であるといえる。
表1の試験結果において、○印で示した「通紙良好」とは、給紙センサ88がオンして用紙(シート)の先端が検出されてから所定時間内に縦搬送センサ89に到達したこと、すなわち搬送良好であることを、×印で示した「通紙不可」とは、給紙センサ88がオンして用紙の先端が検出されてから所定時間内に縦搬送センサ89に到達しなかったこと、すなわち搬送不良であることを、それぞれ表している。
Figure 2008056463
表1の試験結果より、紙種としてメートル秤量が256g/m以上になると、従来方式では通紙不可であったのに対し、図1〜図6に示した本発明に係るベルト方式では全て通紙良好となった。これにより、本発明に係るベルト方式の顕著な効果が認められた。
通紙・搬送状況の対比観察により、従来方式ではメートル秤量が256g/m以上になると、用紙の腰が強くなって、前記湾曲した用紙搬送経路に沿って湾曲するのが難しくなり、図1〜図6を借りて説明すると、その用紙の先端がグリップローラ81に対向接触するローラ状のプーリ83に付き当たってしまうことが分かった。
また、紙種として、メートル秤量が256g/m以上の用紙において、その表面部をコート処理したものと、コート未処理のものとを用いて、通紙・搬送状況の対比観察も行ったが、表1の試験結果以外の特筆する有意差は認められなかった。
上述の実施例1における用紙搬送過程の観察結果から、以下のことが分かった。すなわち、メートル秤量が256g/m以上の剛性の高い用紙Sを第1搬送手段6から第1搬送路Aを経由してベルト搬送手段8における搬送ベルト82の搬送面82aに搬送する際には、剛性の高い用紙Sの直進搬送性が高いことから、第1搬送路Aを構成している各種ガイド部材を、その搬送負荷抵抗が小さくなるような単純な形状に変更ないしは各種ガイド部材を全く不要とすることも可能であることが分かった。
それ故に、比較的剛性の高い用紙Sだけを用いて搬送する用紙搬送装置の場合、その必須の構成となるのは、上記した第1搬送手段6と、第2搬送手段7と、第1および第2搬送手段6,7の間に形成される第1搬送路A(この場合はガイド部材が不要)の外郭方向に配置され、用紙Sの先端と接触した状態を保持しつつ第2搬送手段7に向けて用紙Sを移動・案内するベルト搬送手段8(移動案内手段)とである。
上述のことから、第1搬送路Aを形成する上記各種ガイド部材は、比較的剛性の低い、例えば普通紙やPPC等の用紙Sを搬送する場合、その剛性の低い用紙Sの直進性の弱さ(厚紙等の比較的剛性の高い用紙Sと比べた場合の直進性である)を補い、搬送ベルト82の搬送面82aに導き・案内するために必要であると言える。別言すれば、用紙Sの剛性が低くなるほどその直進性の低下を補って、用紙Sの先端を搬送ベルト82の搬送面82aの腹の部分に確実に当接させるために、第1搬送路Aを形成する上記各種ガイド部材のガイド面の形状を設定する必要性があると言える。
換言すれば、その剛性が高くなる用紙S(メートル秤量が大きくなる用紙S)を用いる場合ほど、上述した比較的曲率半径の小さい曲率部の用紙搬送経路を構成する際に使用する種々のガイド部材の形状・配置等の設計に、自由度を持たせることが可能となる。
なお、搬送ベルト82の材質は、上記比較試験に用いたものに限らず、例えばクロロプレンゴムや、ウレタンゴム、あるいはシリコンゴムでもよい。また、搬送ベルト82の各ゴム硬度は、JIS A 40〜60度でもよい。
以上述べたように、図1〜図6に示した用紙搬送装置5およびこれを有する複写機1によれば、コンパクトで省スペースでありながら、簡単かつ低コストな装置構成で、紙種対応性に優れた用紙搬送装置および画像形成装置を提供することができる。すなわち、基本的には、第2搬送手段を構成した既存のローラに搬送ベルトを巻き掛けて、ベルト搬送手段8を新たに設けて追加した構成であり、またベルト搬送手段8の専用の駆動源も不要にしているので、きわめて簡単な構成であり、このため低コストで済む用紙搬送装置および画像形成装置を実現できる。
従来の構成では、搬送ガイド部材70に用紙が接触することによる搬送抵抗が大きいこと、または、第1搬送手段6から第2搬送手段7までの第1搬送路Aにおける搬送負荷等により高剛性の紙種に対応できず搬送不良が生じてしまうのに対して、この用紙搬送装置5では、高剛性の紙種にも対応できて、紙種性に優れた用紙搬送装置となる。すなわち、従来の構成では、所詮、用紙のガイド用に固定部材を配置しただけの構成であるため、移動体である搬送される用紙と固定されたガイド部材との間の速度差は根本的に解消されず、必ず搬送抵抗を生じてしまうのに対して、前記用紙搬送装置5および複写機1によれば、搬送抵抗を略皆無にできるだけではなく、用紙を下流に進ませるように積極的に搬送推進力を与えながらガイドすることができる(もしくは、第1搬送手段6による搬送力に、第2搬送手段7による搬送力が加わることにより、第1搬送手段6から第2搬送手段7までの第1搬送路Aにおける搬送負荷に対抗できるので用紙を下流に進ませることができる)。つまり、用紙搬送装置5では、用紙Sと搬送ベルト82との両者間に生じる摩擦抵抗は、用紙Sの搬送を妨げる抵抗ではなく、用紙Sに搬送推進力を付与するためのいわば負の抵抗となる。別言すれば、用紙Sの搬送を妨げるように作用する抵抗としてではなく、用紙Sに搬送推進力を付与するように作用する好ましい負の抵抗に転化される。
しかも、用紙Sが搬送されて進む搬送方向において、その用紙Sの先端が搬送ベルト82の走行面(搬送面)に当接してから、該搬送の進展に伴い、紙種による剛性の程度によって差はあるものの、用紙Sの先端部面が搬送ベルト82の走行面に徐々に重なり合うように搬送されることから、ベルト走行面に接する用紙面の面積が漸次増加することになる。このため、このような接触面積の増大に応じて両者間の抵抗力の増加が図れ、用紙Sを搬送方向に進めるより大きな搬送推進力を搬送ベルト82から用紙Sに供給できるとともに、搬送ベルト82によって、グリップローラ81と搬送ベルト82とのニップ部に向かって用紙Sの進行方向が変えられることとなる。つまり、搬送ベルト82の走行面(搬送面)から用紙面に伝達される搬送推進力として作用する力は、着実に増強されることになる。
従って、たとえ用紙Sの剛性が高くても、この剛性に打ち勝って、用紙Sを適宜、その厚さ方向に変形つまり湾曲させながら、用紙Sを下流の第2搬送手段の挟持部に向けて確実かつ安定して搬送できる。このように用紙Sが高剛性であることに起因した主要な搬送不良の要因に対処できるので、用紙Sの先端が第2搬送手段の挟持部に到達した以降の用紙搬送も確実かつ安定して持続できる。この結果、用紙搬送装置として、多種多様な紙種に対応することが可能となり、その搬送対応能力を拡充でき、高い用紙搬送性能が得られる。
(第2の例)
図8〜図10を参照して、先願発明を適用した第2の例を説明する。なお、図1〜図6に示した用紙搬送装置5と同一の構成要素・部材には、同一の符号を付して、その説明を省略または簡略化することにする。特に記載しないが、本例で説明しない構成、つまり用紙搬送装置や他の構成およびその動作などは、図1〜図6に示した第1の例および実施例1の用紙搬送装置5と同様である。
図8〜図10に示す用紙搬送装置5は、図1〜図6に示した用紙搬送装置5と比較して、第1搬送手段6と第2搬送手段7との間に形成される第1のシート搬送経路としての第1搬送路Aの他に、第2搬送手段7の上流から第2搬送手段7に至って形成され、第1搬送路Aと異なる別の独立した第2のシート搬送経路としての第2搬送路Bを有する点、第1搬送路Aと第2搬送路Bとが、第2搬送手段7の上流で合流する合流搬送経路(以下、「合流搬送路」または「合流部」ともいう)を有する点、および第2搬送回転部材対の一方のベルト搬送手段8が、第1、第2搬送路A,Bの合流搬送路の外郭方向に外れて配置されている点が主に相違する。図8〜図10に示す用紙搬送装置5は、前記相違点以外は図1〜図6に示した用紙搬送装置5と同様である。
すなわち、ベルト搬送手段8は、その搬送ベルト82を張架した1対のローラ状のプーリ83,84のうちの片方のプーリ84が、プーリ83の直下に所定に離間させてハウジング80に回転自在に軸支され、これによって、そのベルト搬送面が、第2搬送路Bの外郭方向の面として形成されている。従って、搬送ベルト82の搬送面82aには、第1搬送手段6によって第1搬送路A上を搬送されてくる用紙Sの先端が必ず接するとともに、図示しない搬送手段によって第2搬送路B上を搬送されてくる用紙Sが、第2搬送手段7に到達することを妨げないようにしている。
次に、図8〜図10に示した用紙搬送装置5の搬送動作を説明する。用紙Sは給紙トレイ51内に水平に積載された状態から繰り出され搬送されるため、第1搬送手段6の給紙分離機構における用紙搬送方向は略水平方向となるが、その後は上方に位置した画像形成装置本体2の作像部へと搬送するために略水平方向に直交する略鉛直上方向に用紙Sを搬送する必要がある。
そこで、図9に示すように、給紙分離機構による用紙Sの1枚ずつの分離後、1枚の用紙Sは、搬送抵抗が少なくて済むよう緩やかな屈曲で搬送され、その先端が搬送ベルト82に当接する。
搬送ベルト82は、図9中の矢印a方向で示される略鉛直上(略真上)方向に向けて進むように走行しているため、搬送ベルト82に当接した用紙Sの先端は、図10に示すように、グリップローラ81と搬送ベルト82との挟持部(ニップ部)へと搬送され、グリップローラ81と搬送ベルト82との対により略鉛直上方向の下流側へと挟持搬送される。この際、上記したように用紙Sに対しては、搬送ベルト82からその搬送方向に進める搬送推進力が伝達され作用するとともに、搬送ベルト82によりグリップローラ81と搬送ベルト82とのニップ部に向かって方向が変えられるので、高剛性の用紙Sでも搬送不良を生じることなく、安定して搬送できる。
以上説明したように、図8〜図10に示した用紙搬送装置5によれば、合流搬送路を有する用紙搬送装置においても、図1〜図6を参照して説明した用紙搬送装置5と同様な作用効果、すなわち厚紙などの高剛性の用紙を安定して搬送でき、紙種対応性に優れるとともに、少なくとも第1、第2搬送路A,Bなどの2つ以上の複数の搬送路を有した用紙搬送装置に対応して適用でき、その応用範囲を広げること、つまり機種対応性にも優れた用紙搬送装置とすることができる。
(第1の実施形態)
図11〜図14を参照して、第1の実施形態の用紙搬送装置5Aを説明する。図11〜図14に示す第1の実施形態の用紙搬送装置5Aは、図8〜図10に示した第2の例の用紙搬送装置5と比較して、図4および図5に示した単一の給紙モータ23を備えた駆動機構22に代えて、ピックアップローラ60および第1搬送手段6のフィードローラ61をして第1の線速度(以下、「ターン前線速」ともいう)で回転駆動させる第1の搬送駆動手段としての第1搬送モータ29と、第1搬送手段7のグリップローラ81の回転駆動を介して搬送ベルト82を第2の線速度(以下、「ベルト線速」ともいう)で従動回転させる第2の搬送駆動手段としての第2搬送モータ30とを用いた駆動機構である点、第1の線速度(ターン前線速)を検出する第1の線速度検出手段としての用紙線速検知センサ39を付設した点、第2の線速度(ベルト線速)を検出する第2の線速度検出手段としてのベルト線速検知センサ40を付設した点、用紙線速検知センサ39およびベルト線速検知センサ40等からの出力信号に基づいて、第1搬送モータ29および第2搬送モータ30を後述のように制御する制御手段としての制御装置43を用いる点が主に相違する。
本実施形態の用紙搬送装置5Aの最大の特徴は、制御装置43によって、ターン前線速およびベルト線速の何れか一方を、相対的に可変とする点、換言すれば制御装置43によって、ターン前線速とベルト線速の相対速度を変える点にある。
そこで、図13を参照して、第1の線速度(ターン前線速)および第2の線速度(ベルト線速)の相対速度を変える必要性について説明する。
まず、図13(a)〜(c)に示すように、図9や図10等に示した曲率半径の小さい第1搬送路A(以下、「ターン部」ともいう)を搬送・進行中の用紙(シート)Sが搬送ベルト82の搬送面82aに対して突入角度θaをもって突入した時の用紙先端部の挙動を考えたとき、厚紙等の比較的剛性の高い用紙S(例えば上述した実施例1のメートル秤量256g/mや300g/mのような紙種)の先端Sfは、搬送ベルト82の搬送面82aに対してターン部において曲がる角度の分、傾斜した角度にて進入することから、用紙Sの先端Sfは搬送ガイド部材71(図13には図示せず、図9等参照)をターン後の方向に紙の腰により曲がりながら進む分だけ用紙Sの後部よりも見かけ上の速度が速くなっている(図3(c)、(d)参照)。
図13(a)に示すように厚紙等の比較的剛性の高い用紙Sがターン前線速vでターン部での搬送を経て、図13(b)に示すように用紙Sの先端Sfが搬送ベルト82の搬送面82aに対して突入角度θaをもって突き当り・当接した際には、図13(c)に破線で示すように比較的剛性の低い普通紙等の用紙Sの先端Sfの当接の場合、弾性的に座屈する状態で搬送面82aの下流側に沿って折れ曲がって搬送されるのと比較して、その腰の強さによりターン部において曲がる角度の分、傾斜した角度にて進入することから、搬送ベルト82に突き当り接触する用紙Sの先端Sfの位置が異なり、単位時間当たりに搬送ベルト82によって搬送され進行する移動距離に差異が生じる。
すなわち、図13(d)に示すように、ターン前線速vで搬送されていた厚紙等の比較的剛性の高い用紙Sの先端Sfが搬送ベルト82に突き当り・当接した後の用紙Sの先端Sfの線速v’とすると、厚紙等の比較的剛性の高い用紙Sの先端Sfはその先端Sfの線速v’とターン前線速v(図13(d)に破線で示す比較的剛性の低い普通紙等の用紙Sの先端Sfのターン前線速vでもある)とのベクトルの大きさの差分だけ搬送ベルト82の走行方向aの下流側に先に進んでいることとなり、見かけ上の線速度(搬送速度)が速い。この現象は、搬送ベルト82がゴムで形成されていて用紙Sに対する摩擦係数が大きく設定されているため、特に厚紙等の比較的剛性の高い用紙Sの先端Sfの保持力が大きく突っ張りに対して有効に働くことから、スリップ等を起こさないで搬送されるためと考えられる。
そのため、厚紙等の比較的剛性の高い用紙Sの先端Sfにおけるめくれ等の問題を起こさないためには、用紙Sの先端Sfを搬送するベルト搬送手段8(上述した構成からは第2搬送手段7ともみなせる)にも第1搬送手段6のターン前線速v(第1の線速度)よりも速い速度が必要となる。一方、搬送ベルト82により導かれ第2搬送手段7におけるグリップローラ81と搬送ベルト82とで形成されるニップ部(図13には図示せず、図9等参照)に用紙Sの先端Sfが挟持された後は、用紙Sの先端Sfと後端の線速度は等しくなるためにベルト線速(第2の線速度)はターン前線速(第1の線速度)と同じでよい。この場合、ベルト線速の方を速くした場合、擦れなど他の問題が発生する虞れがあるからである。そこで、厚紙等の比較的剛性の高い用紙Sの搬送の場合、搬送ベルト82のベルト線速(第2の線速度)と第1搬送手段6のターン前線速(第1の線速度)の相対速度を用紙Sの進行とともに変えることで、用紙Sの先端Sfが搬送ベルト82に対してめくれ等の問題を起こすことなく搬送することができる。本実施形態は、このような基本的な原理に基づいてなされている(以下、同様)。
図12を参照して、本実施形態の用紙搬送装置5A周りの制御構成を詳述する。図12に示す制御構成は、後述の実施形態や変形例等でも基本的に同じであり、制御装置43内のCPU44の制御機能やROM45等に記憶されている動作プログラムおよび関係データ等が一部異なるだけである。
上述したように、本実施形態では、搬送ベルト82のベルト線速(第2の線速度)と第1搬送手段6のターン前線速(第1の線速度)の相対速度を用紙Sの進行とともに変える制御が必要であるため、これらの制御を現在の技術水準では図4に示した単一の給紙モータ23だけで行うことは容易ではない。そこで、本実施形態では相対速度の可変制御を容易にするとともに理解しやすくするために、2つの第1および第2搬送モータ29,30を設けて、それぞれ独立した第1および第2の線速度(周速度もしくは搬送速度でもある)の制御を行うこととした。
第1搬送モータ29は、ギヤ列等の駆動力伝達手段を介して、フィードローラ61の軸61aおよびピックアップローラ60の軸60aに連結されていて、フィードローラ61およびピックアップローラ60を回転駆動する。第2搬送モータ30も、ギヤ列等の駆動力伝達手段を介して、グリップローラ81の回転駆動軸81aに連結されていて、グリップローラ81を回転駆動するとともに搬送ベルト82を従動回転させる。第1および第2搬送モータ29,30は、回転速度の変更が容易で制御しやすく小型で比較的安価なステッピングモータからなる。
用紙線速検知センサ39は、搬送ガイド部材71の図示しない溝部内に用紙Sの搬送に支障とならないように設けられている。
ベルト線速検知センサ40は、下側のプーリ84に対向する搬送ベルト82の外周近傍に設けられていて、搬送ベルト82の第2の線速度(ベルト線速)を検出するためのセンサである。用紙線速検知センサ39およびベルト線速検知センサ40は、レーザドップラやレーザスペックルなどのセンサからなる。
なお、用紙線速検知センサ39は、上記センサに限らず、用紙Sの先端を検知する反射型のフォトセンサ等でもよい。この場合、ピックアップローラ60の回転開始により底板50上の最上位の用紙Sが繰り出され第1搬送手段6の回転駆動を経由して用紙線速検知センサ39に至るまでの時間と、ピックアップローラ60の外周面の用紙Sの当接位置から用紙線速検知センサ39までの一定の用紙Sの搬送距離とから、制御装置43内のCPU44の計算によって第1の線速度(ターン前線速)を知ることができる。
ベルト線速検知センサ40は、上記センサに限らず、上側のプーリ83にフォトロータリエンコーダ等を用いることで第2の線速度(ベルト線速)を検出するものであってもよい。この場合、上側のプーリ83とともに回転するフォトロータリエンコーダの単位時間当たりの光パルス数をフォトロータリエンコーダ・センサが検出することで出力信号を生成するため、その出力信号に基づいて制御装置43内のCPU44の計算によって第2の線速度(ベルト線速)を知ることができる。
図12において、制御装置43は、後述する実施形態や変形例等を含め、用紙搬送装置5Aの主としてターン前線速(第1の線速度)とベルト線速(第2の線速度)の相対速度の変更制御等を行うためのものである。以下、説明の簡明化を図るため、図1に示した給紙装置3の用紙搬送装置5A等の制御を除く複写機1の全体動作を制御するものとして図示しないメイン制御手段としてのメイン制御装置があり、このメイン制御装置と制御装置43とは互いに指令信号やオン/オフ信号あるいはデータ信号等を送受信しているものとして説明する。上記メイン制御装置および制御装置43は、例えば図1に示した画像形成装置本体2側の図示しない制御基板に設けられている。なお、給紙装置3が商品形態としての移動単位となる場合には、制御装置43を給紙装置3の本体側に設けるようにしてもよい。
制御装置43は、CPU(中央演算処理装置)44、図示しないI/O(入出力)ポート、ROM(読み出し専用記憶装置)45、RAM(読み書き可能な記憶装置)46および図示しないタイマ等を備え、それらが信号バスによって接続された構成を有するマイクロコンピュータを具備している。
CPU44は、上記入力ポートおよび各センサ入力回路等を介して、操作部としての操作パネル95の上記スタートスイッチや各種キー(図示せず)、用紙線速検知センサ39およびベルト線速検知センサ40と電気的に接続されている。
操作パネル95には、各種キーとして、用紙Sの給送枚数等を設定・置数するためのテンキー(図示せず)や、厚紙等の比較的剛性の高い用紙が収納されている給紙段(給紙トレイ51および用紙搬送装置5A)を選択・設定して該用紙Sを給送・搬送駆動させる信号を生成する図示しない高剛性用紙(高剛性シート)選択キー、および厚紙等以外の普通紙や薄紙等の比較的剛性の低い用紙が収納されている給紙段(給紙トレイ51および用紙搬送装置)を選択・設定して該用紙Sを給送・搬送駆動させる信号を生成する普通紙選択キーや薄紙選択キー(共に図示せず)等が配設されている。
CPU44は、操作パネル95に配設されている前記高剛性用紙選択キーからの出力信号に基づいて、例えば上述の実施例1で述べたようなメートル秤量が256〜300g/mの厚紙等の比較的剛性の高い用紙Sが収納されている給紙段の給紙トレイ51から該用紙Sを給送・搬送させるように用紙搬送装置5Aの各駆動手段を起動制御する機能を有する。本実施形態を含め、以下の各実施形態や変形例等では何れも比較的剛性の高い用紙Sを給送・搬送するときの制御に関するものであるため、「CPU44は、操作パネル95に配設されている前記高剛性用紙選択キーからの出力信号に基づいて、例えば上述の実施例1で述べたようなメートル秤量が256〜300g/mの厚紙等の比較的剛性の高い用紙Sが収納されている給紙段の給紙トレイ51から該用紙Sを給送・搬送させるように用紙搬送装置5Aを起動制御する」という説明は省略する。
CPU44は、用紙線速検知センサ39からのターン前線速に係る出力信号(データ信号)に基づいて、最終的にターン前線速を計算によって求める演算機能を有する。これと同様に、CPU44は、ベルト線速検知センサ40からのベルト線速に係る出力信号(データ信号)に基づいて、最終的にベルト線速を計算によって求める演算機能も有する。また、CPU44は、用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触する到達時間を、用紙線速検知センサ39から搬送ベルト82の搬送面82aに至る予め設定されている用紙Sの一定の搬送距離と、求めたターン前線速とから計算する演算機能も有する。また、CPU44は、用紙Sの先端が第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始める時間を、用紙の先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触した位置から第2搬送手段7のニップ部に至る予め設定されている用紙Sの一定の搬送距離と、求めたベルト線速とから計算する演算機能も有する。
また、CPU44は、前記出力ポートおよび図示しないモータ駆動回路を介して、第1搬送モータ29および第2搬送モータ30に電気的に接続されていて、これらのモータ29,30を駆動制御する指令信号を前記各モータ駆動回路に送信する。
RAM46は、CPU44での計算結果を一時記憶したり、操作パネル95の前記高剛性用紙選択キーや、用紙線速検知センサ39、ベルト線速検知センサ40からの出力信号を随時記憶したりしてこれら信号の入出力を行う。
ROM45には、CPU44が後述する制御機能を発揮するための、「図示しない各モータ駆動回路を介して第1搬送モータ29および第2搬送モータ30に供給するパルス数の関係データ」、「図示しない各モータ駆動回路を介して第1または第2の線速度(ターン前線速またはベルト線速)を変えるための第1搬送モータ29または第2搬送モータ30に供給するパルスの周波数との関係データ」や「各図に示されている第1または第2の線速度(ターン前線速またはベルト線速)を変えるためのプログラム」、あるいは「後述する関係式や条件式等に関する関係データ」等が予め記憶されている。前記タイマは、時間を計時する計時手段としての機能を有する。
図14には、本実施形態のベルト線速の変更内容が示されている。その詳細は後述する。図14を始めとして後述する各図に示す線速度線図において、横軸には時間t(s)を取り、縦軸には線速v(mm/s)を取っている。そして、細い実線で示すvはターン前線速(第1の線速度)を、太い実線で示すvはベルト線速(第2の線速度)を、tは用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触した時間を、tは用紙Sの先端が第2搬送手段7のニップ部に挟持・搬送され始めた時間を、それぞれ表している(以下、同様)。
本実施形態では、制御装置43のCPU44は以下の制御機能を有する。CPU44は、用紙線速検知センサ39からのターン前線速に係る出力信号およびベルト線速検知センサ40からのベルト線速に係る出力信号に基づき、図14に示すターン前線速v、ベルト線速v、時間t、tを適宜計算して求め、これらを適宜参照しながら、第1搬送手段6により搬送されてきた用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触する前から接触した後であって第2搬送手段7のニップ部(挟持部)により挟持・搬送され始める前までは、ベルト線速vがターン前線速vよりも速い線速度(ベルト線速v>ターン前線速v)で用紙Sを搬送し、用紙Sの先端が第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始めた時以後は、ベルト線速vがターン前線速vと等しい線速度(ベルト線速v=ターン前線速v)で用紙Sを搬送するように、第1搬送モータ29および第2搬送モータ30を制御する基本的な第1の制御機能を有する。
また、CPU44は、第1の制御機能に加えて、第1搬送手段6により搬送されてきた用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触した時から第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始める前までは、ターン前線速vが一定となるように第1搬送モータ29を制御し、かつ、少なくとも第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始める直前までにはベルト線速vが瞬時に減速し切り替えられてターン前線速vと等しくなるように第2搬送モータ30を制御する第2の制御機能を有する。
ターン前線速(第1の線速度)またはベルト線速(第2の線速度)の変更は、制御装置43により第1搬送モータ29または第2搬送モータ30に供給するパルスの周波数(pps:pulse per second)を変えること、すなわちパルス間隔を変える(パルス間隔を狭くしていけば加速・増速、一定間隔では等速、パルス間隔を広くしていけば減速)ことで容易に行える。また、この線速度変更方式では、瞬時的に線速度を加速・増速したり減速したり、あるいは漸次的もしくは徐々に(次第に)加速・増速したり減速したりすることも可能である。なお、図14を始め後述の図15等では、減速したり増速したりする線速度の減速や切り替え変更を分かりやすく幾分誇張・簡略化、すなわち一定のターン前線速vやベルト線速vに対して垂直線状に立ち下がりあるいは立ち上げるように表しているが、実際には傾斜角をもった略台形状の減速や増速の切り替えとなる。
図14に示すように、本実施形態では、用紙Sの先端が第1搬送手段6を通過する前にはベルト線速vは、ターン前線速vよりも速くなるように制御されている。用紙Sがさらに搬送されて第1搬送手段6を通過し、搬送ベルト82の搬送面82aに用紙Sの先端が接触した時間t後において、用紙Sの先端が第2搬送手段7のニップ部に挟持・搬送される時間tより速いタイミングで、ベルト線速vは瞬時に減速されターン前線速vと等しくなるように切り替わる。
なお、用紙Sの先端が第1搬送手段6を通過する前のターン前線速v1の具体的な設定速度に関しては、2枚目以降の用紙Sの先端が先に搬送されている1枚目の用紙Sの後端と接触しない適正な紙間距離(シート間距離)を保持するような速度に適宜設定されることは無論である(以下、同様)。
以上説明したように、本実施形態によれば、第1に、第1搬送手段6によるターン前線速およびベルト搬送手段8によるベルト線速のうちのベルト線速が、ターン前線速に対して可変に構成したことにより、用紙Sの先端のめくれ等の問題を起こさないためには、ベルト線速がターン前線速よりも速いことが必要となる。一方、搬送ベルト82により搬送され第2搬送手段7のニップ部によって挟持・搬送され始めた以後は用紙Sの先端と後端の線速度は等しくなるためにベルト線速はターン前線速と同じでよい。この際、ベルト線速の方を速くした場合、擦れなど他の問題が発生する虞がある。そこで、ターン前線速とベルト線速の相対速度を用紙の進行とともに変えることで、用紙Sの先端が搬送ベルト82に対してめくれ等の問題を起こすことなく搬送することができる。
第2に、ベルト線速>ターン前線速の関係が成り立ち、少なくとも用紙Sの先端が第2搬送手段7のニップ部によって挟持され始める時にはベルト線速=ターン前線速と相対速度が変化する構成を有するので、次の作用効果を奏する。すなわち、用紙が搬送ベルト82の搬送面82aに対し座屈しながら進入する際、その先端は搬送ベルト82の搬送面82aに突き当たり、その後先端部から順に第2搬送手段7のニップ部に向かって搬送されていく。その際前述の通り、ベルト線速はターン前線速よりも速いため、「ベルト線速>ターン前線速」とすることで用紙Sの先端のめくれという問題を起こすことなく搬送することができる。第2搬送手段7のニップ部に挟持・搬送され始めた以後は「ベルト線速=ターン前線速」とすることで、ニップ部での擦れなどの問題を起こすことなく搬送することができる。
第3に、ターン前線速とベルト線速の相対速度を変える方法として、ベルト線速を瞬時に減速するように切り替える構成を有することにより、相対速度を簡単な構成にて変化させることが可能となり、それにより省スペース、コスト安などの利点・効果を奏する。
(第2の実施形態)
図15を参照して、第2の実施形態を説明する。図15に示す第2の実施形態は、図11〜図14に示した第1の実施形態の用紙搬送装置5Aと比較して、図12に示した制御装置43のCPU44の一部制御機能およびROM45の記憶内容を変更して図15に示した線速度線図を得られるように構成した点が主に相違する。第2の実施形態は、前記相違点以外は、第1の実施形態の用紙搬送装置5Aの制御構成と同様である。
第2の実施形態における制御装置43のCPU44は、第1の実施形態のそれと比較して、第2の制御機能に代えて、用紙線速検知センサ39からのターン前線速に係る出力信号およびベルト線速検知センサ40からのベルト線速に係る出力信号に基づき、図15に示すターン前線速v、ベルト線速v、時間t、tを適宜計算して求め、これらを適宜参照しながら、第1搬送手段6により搬送されてきた用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触した時から第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始める前までは、ベルト線速v(第2の線速度)が一定となるように第2搬送モータ30を制御し、かつ、少なくとも第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始める直前までにはターン前線速v(第1の線速度)を瞬時に増速し切り替えてベルト線速と等しくなるように第1搬送モータ29を制御する制御機能を有する。
図15に、本実施形態のベルト線速の変更内容を示す。同図に示すように、用紙Sの先端が第1搬送手段6を通過する前にはベルト線速vは、ターン前線速vよりも速くなるように制御されている。用紙Sがさらに搬送されて第1搬送手段6を通過し、搬送ベルト82の搬送面82aに用紙Sの先端が接触した時間t後において、用紙Sの先端が第2搬送手段7のニップ部に挟持・搬送される時間tより速いタイミングで、ターン前線速vは瞬時に増速しベルト線速vと等しくなるように切り替わる。
以上説明したように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態による効果と比較して、第3の効果に代えて、ターン前線速とベルト線速の相対速度を変える方法として、ターン前線速を瞬時に増速するように切り替える構成を有することにより、相対速度を簡単な構成にて変化させることが可能となり、それにより省スペース、コスト安などの利点・効果を奏することのみ相違し、その他第1の実施形態による第1および第2の効果と同様の効果を奏する。
(第1の実施形態の変形例1)
図16を参照して、第1の実施形態の変形例1を説明する。図16に示す第1の実施形態の変形例1(以下、「変形例1」ともいう)は、図11〜図14に示した第1の実施形態の用紙搬送装置5Aと比較して、図12に示した制御装置43のCPU44の一部制御機能およびROM45の記憶内容を変更して図16(a)、(b)に示した線速度線図を得られるように構成した点が主に相違する。変形例1は、前記相違点以外は、第1の実施形態の用紙搬送装置5Aの制御構成と同様である。
変形例1における制御装置43のCPU44は、第1の実施形態のそれと比較して、第2の制御機能に代えて、用紙線速検知センサ39からのターン前線速に係る出力信号およびベルト線速検知センサ40からのベルト線速に係る出力信号に基づき、図16(a)、(b)に示すターン前線速v、ベルト線速v、時間t、tを適宜計算して求め、これらを適宜参照しながら、第1搬送手段6により搬送されてきた用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触した時から第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始める前までは、ターン前線速vが一定となるように第1搬送モータ29を制御し、かつ、少なくとも第2搬送手段7のニップ部により用紙Sの先端が挟持・搬送され始める直前までにはベルト線速vが徐々に(漸次)減速してターン前線速vと等しくなるように、ベルト線速vを連続的に変化させるように第2搬送モータ30を制御する第2の制御機能を有する。
ここで、「ベルト線速vを連続的に変化させる」とは、図16(a)に示すようにベルト線速vを用紙Sの搬送に伴う時間とともに連続した値をとることに加え、図16(b)に示すようにベルト線速vをある時間間隔ごとに段階的に切り替えていくことも含むことを意味する。
図16(a)、(b)に、本変形例のベルト線速の変更内容を示す。同図に示すように、用紙Sの先端が第1搬送手段6を通過する前にはベルト線速vは、ターン前線速vよりも速くなるように制御されている。用紙Sがさらに搬送されて第1搬送手段6を通過し、搬送ベルト82の搬送面82aに用紙Sの先端が接触した時間t後において、ベルト線速vは徐々に減速され、用紙Sの先端が第2搬送手段7のニップ部に挟持・搬送される時間tより速いタイミングで、ベルト線速vはターン前線速vと等しくなるように、連続的に変化し切り替わる。
以上説明したように、変形例1によれば、第1の実施形態による第3の効果に代えて、ターン前線速とベルト線速の相対速度を変える方法として、ベルト線速を徐々に減速するように連続的に変化させる構成を有することにより、ターン部において搬送ベルト82に突入時の用紙Sの挙動を考えたとき、用紙Sの先端の線速度は搬送ガイド部材71のガイド面71aに沿って移動し搬送ベルト82の搬送面82aに対する進入角度を変えていくことから搬送とともに変化していくため、ベルト線速もそれに伴い連続的に変化させ切り替えることにより用紙Sの先端のめくれを防止するとともに、用紙Sの先端の擦れの問題も発生することなく搬送することができるという効果を奏する。
(第2の実施形態の変形例2)
図17を参照して、第2の実施形態の変形例2を説明する。図17に示す第2の実施形態の変形例2(以下、「変形例2」ともいう)は、図15に示した第2の実施形態と比較して、図12に示した制御装置43のCPU44の一部制御機能およびROM45の記憶内容を変更して図17(a)、(b)に示した線速度線図を得られるように構成した点が主に相違する。変形例2は、前記相違点以外は、第2の実施形態の用紙搬送装置5Aの制御構成と同様である。
変形例2における制御装置43のCPU44は、第2の実施形態のそれと比較して、第2の制御機能に代えて、用紙線速検知センサ39からのターン前線速に係る出力信号およびベルト線速検知センサ40からのベルト線速に係る出力信号に基づき、図17(a)、(b)示すターン前線速v、ベルト線速v、時間t、tを適宜計算して求め、これらを適宜参照しながら、第1搬送手段6により搬送されてきた用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触した時から第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始める前までは、ベルト線速vが一定となるように第2搬送モータ30を制御し、かつ、少なくとも第2搬送手段7のニップ部により用紙Sの先端が挟持・搬送され始める直前までにはターン前線速vが徐々に(漸次)増速してベルト線速と等しくなるように、ターン前線速vを連続的に変化させるように第1搬送モータ29を制御する第2の制御機能を有する。
ここで、「ターン前線速を連続的に変化させる」とは、図17(a)に示すようにターン前線速vを用紙Sの搬送に伴う時間とともに連続した値をとることに加え、図17(b)に示すようにターン前線速vをある時間間隔ごとに段階的に切り替えていくことも含むことを意味する。
図17(a)、(b)に、本変形例のターン前線速の変更内容を示す。同図に示すように、用紙Sの先端が第1搬送手段6を通過する前にはベルト線速vは、ターン前線速vよりも速くなるように制御されている。用紙Sがさらに搬送されて第1搬送手段6を通過し、搬送ベルト82の搬送面82aに用紙Sの先端が接触した時間t後において、ターン前線速vは徐々に増速され、用紙Sの先端が用紙Sの先端が第2搬送手段7のニップ部に挟持・搬送される時間tより速いタイミングで、ターン前線速v1はベルト線速vと等しくなるように、連続的に変化し切り替わる。
以上説明したように、変形例2によれば、第2の実施形態による第3の効果に代えて、ターン前線速(第1の線速度)とベルト線速(第2の線速度)の相対速度を変える方法として、ターン前線速を徐々に増速するように連続的に変化させる構成を有することにより、ターン部において搬送ベルト82に突入時の用紙Sの挙動を考えたとき、用紙Sの先端の線速度は搬送ガイド部材71のガイド面71aに沿って移動し搬送ベルト82の搬送面82aに対する進入角度を変えていくことから搬送とともに変化していくため、ターン前線速もそれに伴い連続的に変化させ切り替えることにより用紙Sの先端のめくれを防止するとともに、用紙Sの先端の擦れの問題も発生することなく搬送することができるという効果を奏する。
(第3の実施形態)
図18および図19を参照して、第3の実施形態を説明する。両図に示す第3の実施形態は、図11〜図14に示した第1の実施形態の用紙搬送装置5Aと比較して、図12に示した制御装置43のCPU44の一部制御機能およびROM45の記憶内容を変更して図19に示した線速度線図を得られるように構成した点が主に相違する。第3の実施形態は、前記相違点以外は、第1の実施形態の用紙搬送装置5Aの制御構成と同様である。
図19に示されているベルト線速の変更内容の説明に入る前に、図18を参照して、用紙Sの先端がめくれを起こさないための一般条件式(A1)から、進入角度θを考慮した場合の条件式(A2)を求める。
ここで、進入角度θとは、図8〜図10に示した用紙搬送装置5や図11に示した用紙搬送装置5Aのように、厚紙等の比較的剛性の高い用紙の他に普通紙や薄紙等も用いて搬送する装置にあっては、図18および図21(a)に示すように、第1搬送手段6のニップ部中心と、第1搬送手段6と第2搬送手段7との用紙搬送経路(第1搬送路A)の外郭方向であって、かつ、ベルト搬送手段8の最も近傍に配置されている搬送ガイド部材71の下流端(図において上端)とを通る直線状の用紙Sの先端部が、搬送ベルト82の搬送面82aに接触し始める時(t=0=tのとき、θ=θ)に、第1搬送手段6のニップ部中心を通り搬送ベルト82の搬送面82aに下した垂線kと平行な垂線k’とのなす角を意味する。以下、θを、用紙Sの先端部の搬送ベルト82の搬送面82aに対する進入角度という。
進入角度θとは、用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触した以後に時間tとともに変化する場合の角度である。
図18において、用紙Sの先端がめくれを起こさないための一般条件は、v≦v…(A1)で与えられる。l(エル)を、第1搬送手段6のニップ部中心から垂線kが搬送ベルト82の搬送面82aと接する接点までの距離とした場合の、第1搬送手段6により搬送される用紙Sの先端の速度vを求める。
dt+l×1/cosθ=l×1/cos(θ+dθ)…(1)
dx+ltanθ=ltan(θ+dθ)…(2)
(1)と(2)とから、
(dx+ltanθ)=v dt+2vldt/cosθ+ltanθこれより、
dx+2dxltanθ+ltanθ=v dt+2vldt/cosθ+ltanθ
2dxltanθ=2vldt/cosθ
∴v=dx/dt=v/sinθ
これより、条件式(A2)は次のように求まる。
/sinθ≦v…(A2)が求まる。これよりt=0(t1)のとき、θ=θであるから、v≧v/sinθとなる。
第3の実施形態における制御装置43のCPU44は、図18を参照して求めた条件式(A2)を踏まえて、第1の実施形態のそれと比較して、第1の制御機能に代えて、用紙線速検知センサ39からのターン前線速に係る出力信号およびベルト線速検知センサ40からのベルト線速に係る出力信号に基づき、図19に示すターン前線速v、ベルト線速v、時間t、tを適宜計算して求め、これらを適宜参照しながら、第1搬送手段6により搬送されてきた用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触する前から接触した後であって第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始める前までは、v≧v/sinθもしくはv≒v/sinθの関係式を満足する線速となるように、用紙Sの先端が第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始めた時以後は、v=vの関係式を満足する線速となるように、第1搬送モータ29および第2搬送モータ30を制御する第1の制御機能を有することのみ相違する。
また、CPU44は、第1の実施形態の第2の制御機能と同様の制御機能、すなわち第1搬送手段6により搬送されてきた用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触した時から第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始める前までは、ターン前線速vが一定となるように第1搬送モータ29を制御し、かつ、少なくとも第2搬送手段7のニップ部により用紙Sの先端が挟持・搬送され始める直前までにはベルト線速vが瞬時に減速し切り替えられてターン前線速vと等しくなるように第2搬送モータ30を制御する第2の制御機能を有する。
図19に示すように、用紙Sの先端が第1搬送手段6を通過する前から用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触した後であって第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始める前までは、v≧v/sinθもしくはv≒v/sinθの関係式を満足する線速となるように、ベルト線速vは、ターン前線速vよりも速くなるように制御されている。搬送ベルト82の搬送面82aに用紙Sの先端が接触した時間t後において、ベルト線速vは瞬時に減速され、用紙Sの先端が第2搬送手段7のニップ部に挟持・搬送される時間tより速いタイミングで、ベルト線速vはターン前線速vと等しくなるように切り替わる。
以上説明したように、第3の実施形態によれば、第1に、第1搬送手段6により搬送されてきた用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触する前から接触した後であって第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始める前までは、v≧v/sinθもしくはv≒v/sinθの関係式を満足する線速となるように、用紙Sの先端が第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始めた時以後は、v=vの関係式を満足する線速となるように相対速度が変化する構成を有するので、用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに対し座屈しながら進入する際、その先端は搬送ベルト82の搬送面82aに突き当たり、その後先端部から順に第2搬送手段7のニップ部に向かって搬送されていく。その際前述のとおり、ベルト線速vはターン前線速vよりも速いため、少なくとも用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触する際に、「v≧v/sinθもしくはv≒v/sinθ」の関係式を満足することで用紙Sの先端のめくれという問題を起こすことなく搬送ベルト82の搬送面82aに進入することができる(条件式(A2)参照)。用紙Sの先端が第2搬送手段7のニップ部に挟持・搬送され始めた以後は「ベルト線速v=ターン前線速v」とすることで、ニップ部での擦れなどの問題を起こすことなく搬送することができる。
第2に、ターン前線速とベルト線速の相対速度を変える方法として、ベルト線速を瞬時に減速するように切り替える構成を有することにより、相対速度を簡単な構成にて変化させることが可能となり、それにより省スペース、コスト安などの利点・効果を奏する。
(第4の実施形態)
図18および図20を参照して、第4の実施形態を説明する。両図に示す第4の実施形態は、図18および図19に示した第3の実施形態の用紙搬送装置5Aと比較して、図12に示した制御装置43のCPU44の一部制御機能およびROM45の記憶内容を変更して図20に示した線速度線図を得られるように構成した点が主に相違する。第4の実施形態は、前記相違点以外は、第3の実施形態の用紙搬送装置5Aの制御構成と同様である。
第4の実施形態における制御装置43のCPU44は、第の実施形態のそれと比較して、第1の制御機能に代えて、用紙線速検知センサ39からのターン前線速に係る出力信号およびベルト線速検知センサ40からのベルト線速に係る出力信号に基づき、図19に示すターン前線速v、ベルト線速v、時間t、tを適宜計算して求め、これらを適宜参照しながら、第1搬送手段6により搬送されてきた用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触する前から接触した後であって第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始める前までは、v≧v/sinθもしくはv≒v/sinθの関係式を満足する線速となるように、用紙Sの先端が第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始めた時以後は、v=vの関係式を満足する線速となるように、第1搬送モータ29および第2搬送モータ30を制御する第1の制御機能を有することが相違する。
また、CPU44は、第2の実施形態の第2の制御機能と同様の制御機能、すなわち第1搬送手段6により搬送されてきた用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触した時から第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始める前までは、ベルト線速vが一定となるように第2搬送モータ30を制御し、かつ、少なくとも第2搬送手段7のニップ部により用紙Sの先端が挟持・搬送され始める時間tの直前までにはターン前線速vが瞬時に増速し切り替えられてベルト線速vと等しくなるように第1搬送モータ29を制御する第2の制御機能を有する。
図20に示すように、用紙Sの先端が第1搬送手段6を通過する前から用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触した後であって第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始める前までは、v≧v/sinθもしくはv≒v/sinθの関係式を満足する線速となるように、ベルト線速vは、ターン前線速vよりも速くなるように制御されている。搬送ベルト82の搬送面82aに用紙Sの先端が接触した時間t後において、ターン前線速vは瞬時に増速され、用紙Sの先端が第2搬送手段7のニップ部に挟持・搬送される時間tより速いタイミングで、ターン前線速vはベルト線速vと等しくなるように切り替わる。
以上説明したように、第4の実施形態によれば、第3の実施形態による第1の効果と同様の効果を奏する。
第2に、ターン前線速とベルト線速の相対速度を変える方法として、ターン前線速を瞬時に増速するように切り替える構成を有することにより、相対速度を簡単な構成にて変化させることが可能となり、それにより省スペース、コスト安などの利点・効果を奏する。
(第3の実施形態の変形例3)
図21および図22を参照して、第3の実施形態の変形例3を説明する(以下、「変形例3」ともいう)。両図に示す変形例3は、図18および図19に示した第3の実施形態における用紙搬送装置5Aの制御構成と比較して、図12に示した制御装置43のCPU44の一部制御機能およびROM45の記憶内容を変更して図22(a)、(b)に示した線速度線図を得られるように構成した点が主に相違する。変形例3は、前記相違点以外は、図18および図19を用いて説明した第3の実施形態における用紙搬送装置5Aの制御構成と同様である。
図22(a)、(b)に示されているベルト線速の変更内容の説明に入る前に、図18および図21(a)、(b)、(c)を参照して、時間tとともに変化する進入角度θを考慮した場合における用紙Sの先端がめくれを起こさないための条件式(B1〜B3)を求める。
図18および図21(a)において、用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触する前までは、v>v/sinθ…(B1)で与えられる。
図18および図21(b)において、用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触後から第2搬送手段7のニップ部に挟持・搬送される前までは、
>v/sinθ…(B2)
この際、θ=cos−1{1/(v×t/l+1/cosθ)}となることを求める。図18において、l/cos(θ+dθ)=l/cosθ+vdt
これより、dθ/dt=v×cosθ/l×sinθ
1/cosθ=v×t/l+C t=0のとき、θ=θ
∴θ=cos−1{1/(v×t/l+1/cosθ)}
図21(c)において、用紙Sの先端が第2搬送手段7のニップ部に挟持された以後は、v=v…(B3)
変形例3における制御装置43のCPU44は、図18および図19を用いて説明した第3の実施形態のそれと比較して、第1の制御機能に代えて、用紙線速検知センサ39からのターン前線速に係る出力信号およびベルト線速検知センサ40からのベルト線速に係る出力信号に基づき、図22(a)または図22(b)に示すターン前線速v、ベルト線速v、時間t、tを適宜計算して求め、これらを適宜参照しながら、用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触する前までは、
≧v/sinθもしくはv≒v/sinθの関係式(但し、θ:用紙Sの先端部の搬送ベルト82の搬送面82aに対する進入角度)を満足する線速となるように、用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触した後、第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始める前までは、
≧v/sinθもしくはv≒v/sinθ、
但し、θ=cos−1{1/(v×t/l+1/cosθ)}の関係式を満足する線速となるように、用紙Sの先端が第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始めた時以後は、v=vの関係式を満足する線速となるように、第1搬送モータ29および第2搬送モータ30を制御する第1の制御機能を有することが主に相違する。
加えて、CPU44は、用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触した後、第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始める前までは、ターン前線速vが一定となるように第1搬送モータ29を制御し、かつ、少なくとも第2搬送手段7のニップ部により用紙Sの先端が挟持・搬送され始める直前までにはベルト線速vが徐々に(漸次)減速してターン前線速vと等しくなるように、ベルト線速vを連続的に変化させるように第2搬送モータ30を制御する第2の制御機能を有する。
ここで、「ベルト線速vを連続的に変化させる」とは、図22(a)に示すようにベルト線速vを用紙Sの搬送に伴う時間とともに連続した値をとることに加え、図22(b)に示すようにベルト線速vをある時間間隔ごとに段階的に切り替えていくことも含むことを意味する。
図22(a)、(b)に、本変形例のベルト線速の変更内容を示す。同図に示すように、用紙Sの先端が第1搬送手段6を通過する前には、v≧v/sinθもしくはv≒v/sinθの関係式を満足する線速となるように、ベルト線速vは、ターン前線速vよりも速くなるように制御されている。用紙Sがさらに搬送されて第1搬送手段6を通過し、用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触した後、第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始める前までは、
≧v/sinθもしくはv≒v/sinθ、
但し、θ=cos−1{1/(v×t/l+1/cosθ)}の関係式を満足する線速となるように、ベルト線速vは徐々に減速され、用紙Sの先端が第2搬送手段7のニップ部に挟持・搬送される時間tより速いタイミングで、ベルト線速vはターン前線速vと等しくなるように、連続的に変化し切り替わる。
なお、図22(a)、(b)に破線で示す減速曲線は、v=v/sinθ、
θ=cos−1{1/(v×t/l+1/cosθ)}の場合を示している。
以上説明したように、変形例4によれば、図18、図21、図23(a)、(b)を参照して上述したとおり、用紙Sの先端が第1搬送手段6を通過し、搬送ベルト82の搬送面82aに接触する前までは、ベルト線速はターン前線速よりも速いため、少なくとも用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触する際に、「v≧v/sinθもしくはv≒v/sinθ」とすることで、用紙Sの先端のめくれという問題を起こすことなく搬送ベルト82の搬送面82aに進入することができる。その後、搬送ベルト82により用紙Sの先端が搬送されている状態では、用紙Sの先端部の進入角度θと搬送ベルト81とは時間tとともに変化するため、「v≧v/sinθもしくはv≒v/sinθ、但し、θ=cos−1{1/(v×t/l+1/cosθ)}」の関係式を満足することで、搬送ベルト82による用紙Sの搬送中もめくれなく用紙Sの先端を搬送することができる。
そして、用紙Sの先端が第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始めた時以後は、「ベルト線速v=ターン前線速v」とすることで、用紙Sの先端のニップ部での擦れなどの問題も起こすことなく搬送することができるという効果を奏する。
(第4の実施形態の変形例4)
図21および図23を参照して、第4の実施形態の変形例4を説明する(以下、「変形例4」ともいう)。両図に示す変形例4は、図18および図20に示した第4の実施形態における用紙搬送装置5Aの制御構成と比較して、図12に示した制御装置43のCPU44の一部制御機能およびROM45の記憶内容を変更して図23(a)、(b)に示した線速度線図を得られるように構成した点が主に相違する。変形例4は、前記相違点以外は、図18および図20を用いて説明した第4の実施形態における用紙搬送装置5Aの制御構成と同様である。
変形例4における制御装置43のCPU44は、図18および図20を用いて説明した第4の実施形態のそれと比較して、第1の制御機能に代えて、用紙線速検知センサ39からのターン前線速に係る出力信号およびベルト線速検知センサ40からのベルト線速に係る出力信号に基づき、図23(a)または図23(b)に示すターン前線速v、ベルト線速v、時間t、tを適宜計算して求め、これらを適宜参照しながら、用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触する前までは、
≧v/sinθもしくはv≒v/sinθの関係式(但し、θ:用紙Sの先端部の搬送ベルト82の搬送面82aに対する進入角度)を満足する線速となるように、用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触した後、第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始める前までは、
≧v/sinθもしくはv≒v/sinθ、
但し、θ=cos−1{1/(v×t/l+1/cosθ)}の関係式を満足する線速となるように、用紙Sの先端が第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始めた時以後は、v=vの関係式を満足する線速となるように、第1搬送モータ29および第2搬送モータ30を制御する第1の制御機能を有することが主に相違する。
加えて、CPU44は、用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触した後、第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始める前までは、ベルト線速vが一定となるように第2搬送モータ30を制御し、かつ、少なくとも第2搬送手段7のニップ部により用紙Sの先端が挟持・搬送され始める直前までにはターン前線速vが徐々に(漸次)増速してベルト線速vと等しくなるように、ターン前線速vを連続的に変化させるように第1搬送モータ29を制御する第2の制御機能を有する。
ここで、「ターン前線速vを連続的に変化させる」とは、図23(a)に示すようにターン前線速vを用紙Sの搬送に伴う時間とともに連続した値をとることに加え、図23(b)に示すようにターン前線速vをある時間間隔ごとに段階的に切り替えていくことも含むことを意味する。
図23(a)、(b)に、本変形例のベルト線速の変更内容を示す。同図に示すように、用紙Sの先端が第1搬送手段6を通過する前には、v≧v/sinθもしくはv≒v/sinθの関係式を満足する線速となるように、ベルト線速vは、ターン前線速vよりも速くなるように制御されている。用紙Sがさらに搬送されて第1搬送手段6を通過し、用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触した後、第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始める前までは、
≧v/sinθもしくはv≒v/sinθ、
但し、θ=cos−1{1/(v×t/l+1/cosθ)}の関係式を満足する線速となるように、ターン前線速vは徐々に増速され、用紙Sの先端が第2搬送手段7のニップ部に挟持・搬送される時間tより速いタイミングで、ターン前線速vはベルト線速vと等しくなるように、連続的に変化し切り替わる。
なお、図23(a)、(b)に破線で示す減速曲線は、v=v/sinθ、
θ=cos−1{1/(v×t/l+1/cosθ)}の場合を示している。
以上説明したように、変形例4によれば、図18、図21、図23(a)、(b)を参照して上述したとおり、用紙Sの先端が第1搬送手段6を通過し、搬送ベルト82の搬送面82aに接触する前までは、ベルト線速はターン前線速よりも速いため、少なくとも用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触する際に、「v≧v/sinθもしくはv≒v/sinθ」とすることで、用紙Sの先端のめくれという問題を起こすことなく搬送ベルト82の搬送面82aに進入することができる。その後、搬送ベルト82により用紙Sの先端が搬送されている状態では、用紙Sの先端部の進入角度θと搬送ベルト81とは時間tとともに変化するため、「v≧v/sinθもしくはv≒v/sinθ、但し、θ=cos−1{1/(v×t/l+1/cosθ)}」の関係式を満足することで、搬送ベルト82による用紙Sの搬送中もめくれなく用紙Sの先端を搬送することができる。
そして、用紙Sの先端が第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始めた時以後は、「ベルト線速v=ターン前線速v」とすることで、用紙Sの先端のニップ部での擦れなどの問題も起こすことなく搬送することができるという効果を奏する。
(第5の実施形態)
図24を参照して、第5の実施形態を説明する。同図に示す第5の実施形態は、例えば図18および図19に示した第3の実施形態における用紙搬送装置5Aの制御構成と比較して、図12に示した制御装置43のCPU44の一部制御機能およびROM45の記憶内容を変更して図24に示した線速度線図を得られるように構成した点が主に相違する。第5の実施形態は、前記相違点以外は、図18および図19を用いて説明した第3の実施形態における用紙搬送装置5Aの制御構成と同様である。
第5の実施形態における制御装置43のCPU44は、第3の実施形態のそれと比較して、用紙線速検知センサ39からのターン前線速に係る出力信号およびベルト線速検知センサ40からのベルト線速に係る出力信号に基づき、図24に示すターン前線速v、ベルト線速v、時間t、tを適宜計算して求め、これらを適宜参照しながら、第1搬送手段6により搬送されてきた用紙の先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触する前まではベルト線速vがターン前線速vよりも速い線速(ベルト線速v>ターン前線速v)となるように、用紙の先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触した後であって第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始める前までは、ターン前線速vがベルト線速vよりも一時的に速い線速(v>v)となるように、用紙の先端が第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始めた時以後は、ベルト線速vがターン前線速vと等しい線速となるように、第1搬送モータ29および第2搬送モータ30を制御する第1の制御機能を有することのみ相違する。
CPU44は、加えて、第1搬送手段6により搬送されてきた用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触した時から第2搬送手段7のニップ部により挟持・搬送され始める前までは、ターン前線速vが一定となるように第1搬送モータ29を制御し、かつ、少なくとも用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触した直後にはベルト線速vが瞬時に減速し切り替えられてターン前線速vと等しくなるように第2搬送モータ30を制御する第2の制御機能を有する。
図24に示すように、用紙Sの先端が第1搬送手段6を通過する前から用紙Sの先端が搬送ベルト82の搬送面82aに接触する前までは、v≧v/sinθもしくはv≒v/sinθの関係式を満足する線速となるように制御されている。搬送ベルト82の搬送面82aに用紙Sの先端が接触した時間t後において、ベルト線速vは瞬時に減速された後、ターン前線速vがベルト線速vよりも一時的に速い線速(v>v)となるように切り替わり、用紙Sの先端のスキュー補正が行われる。その後、用紙Sの先端が第2搬送手段7のニップ部に挟持・搬送される時間tより速いタイミングで、ベルト線速vはターン前線速vと等しくなるように切り替わる。
以上説明したように、第5の実施形態によれば、搬送ベルト82の搬送面82aに用紙Sの先端が接触した時間t後において、ターン前線速vがベルト線速vよりも一時的に速い線速(v>v)となるように制御されることにより、第1搬送手段6の搬送によって用紙Sを後端側から押し進めることとなる。その結果、厚紙等の比較的剛性の高い用紙Sの腰の強さにより、用紙Sの先端は搬送ベルト82の搬送面82aに向かって押し上げられることとなり、搬送ベルト82の腹(有効搬送面)に向かって用紙Sの先端位置が揃えられる。これにより、用紙Sの先端のスキューが補正され、(プレ)レジストの効果を実現することができる。第5の実施形態では上述した効果の他に、例えば第3の実施形態と同様の効果も奏することはいうまでもない。
なお、第5の実施形態は、別言すれば、例えば図14を用いて説明した第1の実施形態における用紙搬送装置5Aの制御構成と比較して、図12に示した制御装置43のCPU44の一部制御機能およびROM45の記憶内容を変更して図24に示した線速度線図を得られるように構成したとみなすこともできる。
本発明は、用紙搬送装置5Aに限らず、図1〜図6や図8〜図10等に示したベルト搬送手段8を有する用紙搬送装置5にも適用可能なことはいうまでもない。
上記例や上記実施形態等では、図4および図5に示した駆動機構22や、図11に示した駆動機構のようにグリップローラ81側を駆動側に設定したことにより、次の利点が得られる。すなわち、ベルト搬送手段8の搬送ベルト82は、駆動機構22や図11に示した駆動機構により回転駆動されるグリップローラ81(回転搬送駆動手段・回転搬送駆動部材)と直接接触して連れ回る構成であるので、搬送ベルト82側を駆動する場合よりもグリップローラ81側を駆動した方が、搬送ベルト82の線速度のばらつきを小さくできる。これにより、第1搬送路A(用紙搬送経路)のターンの外側(外郭方向)に第2搬送手段7の挟持部に向けて回転する搬送ベルト82を配置することで、第1搬送路Aのターン部での厚紙等の比較的剛性の高い用紙搬送性の向上を可能とし、搬送ベルト82と対向し直接接触するグリップローラ81を駆動し、搬送ベルト82を連れ回りさせることで、安定した線速度で用紙を第2搬送手段7以降に搬送させることが可能となる。
この利点・効果は、次のような技術内容を考察すれば容易に理解できる。すなわち、グリップローラ81を駆動する場合、グリップローラ81の線速度はグリップローラ81自身の外径と回転数とによってのみ決まる。これに対して、搬送ベルト82側を駆動する場合を考えると、搬送ベルト82を駆動する場合、搬送ベルト82の内側に設けたローラ状のプーリ83(ベルト駆動ローラ、主プーリ)によって搬送ベルト82を駆動するのが一般的である。
この場合、搬送ベルト82の線速度は、搬送ベルト82の内側に設けたプーリ83の外径および回転数以外に、構成部品バラツキによる搬送ベルト82の厚さのばらつき、搬送ベルト82の磨耗による厚さの影響、あるいは搬送ベルト82とプーリ83との間のスリップの影響を受ける。このため、搬送ベルト82側を駆動するよりグリップローラ81側を駆動した方が、搬送ベルト82の線速度のばらつきを小さくできる。
なお、上述したほどの効果をそれ程望まなくても良いのであれば、例えば駆動機構22や図11に示した駆動機構からグリップローラ81を駆動する駆動系を除去してグリップローラ81を従動側とし、かつ、搬送ベルト82側を図示しない駆動機構で駆動するようにしてもよい。
以上説明したとおり、各用紙搬送装置5,5Aのベルト搬送手段8は、第2搬送手段7(挟持搬送手段)の対向対の一方が、用紙(シート)の先端ないし先端部(先端、先端面、先端の角部・エッジを含む広い意味合いの用語である)と接触・当接した状態を保持しつつ、用紙の剛性程度によってはその接触面積を徐々に広げながらグリップローラ81とのニップ部(挟持部)に向けて用紙Sを移動・案内する移動案内手段の一例であるといえる。それ故に、移動案内手段としては、ベルト搬送手段8に限らず、前記構成・機能を有し、上記作用効果を奏するものならば何でもよい。
上記の実施形態や、実施例、変形例等では、図1に示したように、この発明を複写機である画像形成装置におけるシート収容手段(給紙トレイ51)から画像形成手段本体に搬送して給送する用紙給紙装置に適用した例を説明したが、これに限られることなく、上記の画像形成装置においてその装置本体内で、定着装置11の上部からその先端が略上方に向けて排出される用紙Sを、装置本体から排紙トレイ9に略水平方向に向けて用紙Sを排出する構成の用紙搬送装置(例えば、図25(b)参照)や、装置本体外に設けられた略水平な手差しトレイ67上にユーザが載置した用紙を、その水平な姿勢のまま装置本体内に引き込んで、該姿勢を上向きに変更して、装置本体内の画像形成部に至る上下方向の搬送経路に搬入する構成の用紙搬送装置に適用してもよい。
すなわち、上記の実施形態や変形例等では、その互いに異なる用紙(シート)搬送方向として、略水平方向からこれに対する垂直方向の上向き(略鉛直上方向)に変更する例を説明したが、これに限られることなく、略水平方向から垂直方向の下向き(略鉛直下方向)に変更したり、垂直方向の下向きか、上向きの何れかから略水平方向に変更したり(例えば、図25(a)参照)、あるいは両方が斜め方向等であったりしてもよい。
上記した各実施形態や実施例、変形例等では、第1搬送手段および第2搬送手段を、ともに挟持搬送手段としたが、それぞれの搬送手段単体の搬送方向に応じて、搬送対象の下面を支持して搬送するだけで済むならば、対向部材による挟持部を形成した挟持搬送手段としなくてよい。
第1搬送手段や、第2搬送手段、ピックアップローラを構成した部材としては、上述したものに限らず、それぞれの回転軸の軸長手方向に所定長さを確保した略長円筒状のローラ部材であっても、適宜、短円筒状のコロ部材であっても、何れでもよく、また、適宜、1つの回転軸上に所定の間隔を設けて、間欠的に複数のローラ部材やコロ部材が配置されていてもよい。
また、ローラ部材やコロ部材を配置していない前記のいくつかの間隔に、それぞれ上記した各実施形態における外郭方向および内郭方向のいくつかのガイド部材が形成したガイド面を位置させた構成としてよい。これらのガイド面としては、搬送方向の搬送中心線に対して適宜の規則的な対称に配置されていれば、用紙(シート)搬送方向に帯状のガイド面を形成したり、略線状のガイド面を形成したり、適宜、これらを混在させてもよい。
また、上記した各実施形態や実施例、変形例等では、給紙分離機構として、FRR給紙方式を採用したが、これに限られることなく、摩擦により所定に重送された用紙を分離して1枚の用紙だけを搬送方向に進み続けさせる分離機構であれば、適宜の摩擦分離方式を採用してよく、例えば上記したフィードローラに対して、上記のリバースローラの替わりに、分離爪を用いたり、固定部材であるフリクション・パッドを圧接した構成のフリクション・パッド方式を採用したりしてもよい。すなわち、このフリクション・パッド方式では、フィードローラに摩擦部材としてのフリクション・パッドを適宜の分離角度、分離圧で押し当て、これによって形成されるフィードローラとフリクション・パッドとの間のニップに用紙を通過させるようにしている。従って、フリクション・パッド方式を採用した給紙分離機構によれば、用紙が2枚重なった状態で引き出されても、下側の用紙は、フリクション・パッドから受ける抵抗の方が、重なった用紙間摩擦による抵抗よりも大きいので、それ以上の用紙搬送方向への移動が阻止される。他方、上側の用紙は、フィードローラから受ける搬送力の方が、重なった用紙間摩擦による抵抗よりも大きく、かつ、フリクション・パッドから受ける抵抗よりも大きく設定されているので、結局、上側の用紙だけが搬送方向に進み続けることになる。
本発明は、例えば、モノクロの複写機1に限らず、カラー複写機や、モノクロのレーザプリンタやインクジェットプリンタ、インク転写リボンを用いるプリンタ等を含むプリンタに係る画像形成装置に関して、本発明に係るシート搬送装置を応用・適用可能である。
カラー複写機では、転写体で用紙(シート)を搬送しながら順次転写して重ね合わせる直接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置や、中間転写体としての無端状の中間転写ベルトに転写した後、用紙に一括転写するタンデム型の画像形成装置においても同様に適用し実施することができる。無論、無端ベルト状の感光体が単一の画像形成装置においても同様に適用し実施することができる。
本発明は、例えば、画像形成部とスキャナとの間に用紙を排出する胴内排紙型の画像形成装置に限らず、画像形成装置本体の側部に備える排紙トレイに用紙を排出する画像形成装置にも適用してもよい。また、給紙装置3から繰り出された用紙を画像形成装置本体2の上部へ向かって略垂直方向(略鉛直上方向)の搬送路を形成しているがこの限りではなく、給紙装置から用紙が排紙トレイへ排出されるまでの搬送路が略垂直方向(略鉛直方向)でない画像形成装置にも適用可能である。
本発明は、孔版印刷機等を含む印刷装置において、シート収容手段(給紙トレイ)やシート積載手段(給紙台)からシート(用紙)を印刷部本体に搬送して供給するシート搬送装置にも適用してもよい。
また、上述した画像形成装置としての複写機1では、読み取る原稿を手動操作でセットする構成としているが、複数の原稿(シート)を自動的に読み取り動作するためのADF(自動原稿送り装置)を装備した複写機や印刷装置等において、該ADFに本発明のシート搬送装置を適用してもよい。
さらには、画像形成装置として、複写機に限られることなく、ファクシミリ、プリンタ、インクジェット記録装置、印刷装置、原稿から画像を読み取るスキャナを有し画像読取機能を主体にした画像読取装置等またはそれらのうちの少なくとも二つを組み合わせた複合機等に適用してもよい。何れにしても、多種多様な紙種としてのシート種類を搬送対象にして、このシートの搬送経路上で省スペース化を図りながら、そのシート搬送方向を変更する必要がある機器や装置において、最適なシート搬送装置とすることができる。
本発明は、複数の給紙段に配設されたシート搬送装置に限らず、例えば図1に示した給紙装置3において、上段の給紙トレイ51および用紙搬送装置5’を除去して、単一の給紙トレイ51および用紙搬送装置5のみで構成したシート搬送装置にも適用できる。
以上述べたとおり、本発明を特定の実施形態や変形例等について説明したが、本発明が開示する技術的範囲は、上述した各実施形態や変形例等に例示されているものに限定されるものではなく、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、(例えば、本発明の上記各実施形態や変形例等を適宜組み合わせて構成したり、本発明の上記各実施形態や変形例等が先願発明に係る第1および第2の例等に適用可能であることなど)本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
本発明を適用する用紙搬送装置を有する画像形成装置の全体構成を示す概略的な正面図である。 図1の用紙搬送装置およびその周りの給紙トレイ段を示す図であって、用紙の先端がベルト搬送手段に到達した動作状態を示す要部の拡大断面図である。 図2の用紙搬送装置において、用紙の先端が第2搬送手段のニップ部に到達する直前の動作状態を示す要部の拡大断面図である。 図2の用紙搬送装置における駆動機構を示す簡略的な斜視図である。 図4の要部の概略的な正面図である。 実施例1を説明するための用紙搬送装置の要部の拡大断面図である。 実施例1における紙種別搬送時間のばらつきに関する試験結果を説明するためのグラフである。 本発明を適用する図2とは別の用紙搬送装置およびその周りの給紙トレイ段を示す要部の断面図である。 図8の用紙搬送装置において、用紙の先端がベルト搬送手段に到達した動作状態を示す要部の拡大断面図である。 図8の用紙搬送装置において、用紙の先端が第2搬送手段のニップ部に到達する直前の動作状態を示す要部の拡大断面図である。 第1の実施形態の用紙搬送装置における第1、第2搬送手段、その駆動手段、センサ等の配置状態を説明する要部の断面図である。 第1の実施形態等の用紙搬送装置における制御構成を示すブロック図である。 (a)、(b)、(c)は、厚紙および薄紙の先端が搬送ベルトに突き当たり接触する挙動の違いを説明する要部の正面図、(d)は(c)の拡大正面図である。 第1の実施形態の用紙搬送装置におけるターン前線速およびベルト線速の時間経過による変化状態を説明する線速度線図である。 第2の実施形態の用紙搬送装置におけるターン前線速およびベルト線速の時間経過による変化状態を説明する線速度線図である。 (a)、(b)は、第1の実施形態の変形例1の用紙搬送装置におけるターン前線速およびベルト線速の時間経過による変化状態を説明する線速度線図である。 (a)、(b)は、第2の実施形態の変形例2の用紙搬送装置におけるターン前線速およびベルト線速の時間経過による変化状態を説明する線速度線図である。 第3および第4の実施形態の用紙搬送装置において、用紙の先端がめくれを起こさない条件式を求めるための要部の説明図である。 第3の実施形態の用紙搬送装置におけるターン前線速およびベルト線速の時間経過による変化状態を説明する線速度線図である。 第4の実施形態の用紙搬送装置におけるターン前線速およびベルト線速の時間経過による変化状態を説明する線速度線図である。 (a)、(b)、(c)は、第3の実施形態の変形例3および第4の実施形態の変形例4の用紙搬送装置において、搬送ベルトの搬送面に対する進入角度の時間経過による変化を考慮した場合の、用紙の先端がめくれを起こさない条件式を求めるための要部の説明図である。 (a)、(b)は、第3の実施形態の変形例3の用紙搬送装置におけるターン前線速およびベルト線速の時間経過による変化状態を説明する線速度線図である。 (a)、(b)は、第4の実施形態の変形例4の用紙搬送装置におけるターン前線速およびベルト線速の時間経過による変化状態を説明する線速度線図である。 第5の実施形態の用紙搬送装置におけるターン前線速およびベルト線速の時間経過による変化状態を説明する線速度線図である。 (a),(b)は、用紙搬送経路の違いに伴う用紙搬送装置の第1、第2搬送手段の配置例を説明する簡略的な正面図である。
符号の説明
1 複写機(画像形成装置)
2 画像形成装置本体
3 給紙装置
4 原稿読取装置
5A 用紙搬送装置(シート搬送装置)
6 第1搬送手段(第1搬送手段6)
7 第2搬送手段(第2の搬送手段)
8 ベルト搬送手段(移動案内手段)
9 排紙トレイ
10 感光体ユニット
10A 感光体
11 定着装置
12 現像装置
13 転写装置
21 レジストローラ対
29 第1搬送モータ(駆動手段)
30 第2搬送モータ(駆動手段)
39 用紙線速検知センサ(第1の線速度検出手段)
40 ベルト線速検知センサ(第2の線速度検出手段)
43 制御装置(制御手段)
44 CPU(制御手段の制御構成)
45 ROM(制御手段の制御構成)
50 底板(シート積載手段)
51 給紙トレイ(シート収容手段)
60 ピックアップローラ
61 フィードローラ(第1搬送手段6の対向対の一方)
62 リバースローラ(第1搬送手段6の対向対の他方)
67 手差しトレイ
70 搬送ガイド部材(内郭側、ガイド部材)
71 搬送ガイド部材(外郭側、ガイド部材)
72 搬送ガイド部材(縦方向搬送路の外郭側、ガイド部材)
73 搬送ガイド部材(給紙トレイから搬送経路への導入口形成用)
79 開閉ガイド(シート搬送装置本体)
80 ハウジング(シート搬送装置本体)
81 グリップローラ(第2の搬送手段の対向対の一方、回転搬送駆動手段、回転搬送駆動部材)
81a グリップローラの回転駆動軸
82 搬送ベルト(第2の搬送手段の対向対の他方としてのベルト)
82a 搬送ベルトの搬送面
83 プーリ(第1搬送手段6の対向対の一方としてのベルト搬送手段の構成部材、第1のベルト保持回転部材)
83a プーリ軸(ベルト保持回転部材の下流側の軸)
84 プーリ(第1搬送手段6の対向対の一方としてのベルト搬送手段の構成部材、第2のベルト保持回転部材)
84a プーリ軸
A 第1搬送路(シート搬送経路)
B 第2搬送路(シート搬送経路)
R1 搬送路
R2 手差給紙路
R3 反転搬送路
S 用紙(シート・シート状記録媒体、被画像形成媒体)
Y 用紙幅方向(シート幅方向)
ターン前線速(第1の線速度)
ベルト線速(第2の線速度)
搬送ベルトの搬送面に用紙の先端が接触した時間
第2搬送手段のニップ部に用紙の先端が挟持・搬送され始めた時間
θ、θ 進入角度
θa 突入角度

Claims (16)

  1. シートを第1の線速度で搬送する第1の搬送手段と、
    第1の搬送手段のシート搬送方向の下流側に配置され、第1の搬送手段により搬送されてきたシートを前記第1の搬送手段のシート搬送方向と異なるシート搬送方向に搬送する第2の搬送手段とを有し、
    第1の搬送手段および第2の搬送手段のうちの少なくとも第2の搬送手段は、シートを挟持して搬送する挟持部を形成する挟持搬送手段であり、
    第1の搬送手段と第2の搬送手段との間に形成されるシート搬送経路の外郭方向に配置され、前記挟持部に向けてシートを第2の線速度で搬送するベルトを備えたベルト搬送手段を具備し、
    第1の線速度および第2の線速度の何れか一方の線速度が、相対的に可変であることを特徴とするシート搬送装置。
  2. シートを第1の線速度で搬送する第1の搬送手段と、
    第1の搬送手段のシート搬送方向の下流側に配置され、第1の搬送手段により搬送されてきたシートを前記第1の搬送手段のシート搬送方向と異なるシート搬送方向に搬送する第2の搬送手段と、
    第1の搬送手段と第2の搬送手段との間に形成される第1のシート搬送経路と、
    第2の搬送手段の上流から第2の搬送手段に至って形成され、第1のシート搬送経路と異なる第2のシート搬送経路と、
    第1のシート搬送経路と第2のシート搬送経路とが、第2の搬送手段の上流側で合流する合流搬送経路とを有し、
    第1の搬送手段および第2の搬送手段のうちの少なくとも第2の搬送手段は、シートを挟持して搬送する挟持部を形成する挟持搬送手段であり、
    前記合流搬送経路の外郭方向に配置され、前記挟持部に向けてシートを第2の線速度で搬送するベルトを備えたベルト搬送手段を具備し、
    第1の線速度および第2の線速度の何れか一方の線速度が、相対的に可変であることを特徴とするシート搬送装置。
  3. 第1の搬送手段により搬送されてきたシートの先端が前記ベルトの搬送面に接触する前から接触した後であって前記挟持部により挟持・搬送され始める前までは、第2の線速度が第1の線速度よりも速い線速度でシートを搬送し、
    シートの先端が前記挟持部により挟持・搬送され始めた時以後は、第2の線速度が第1の線速度と等しい線速度でシートを搬送することを特徴とする請求項1または2記載のシート搬送装置。
  4. 第1の線速度をvとし、第2の線速度をvとし、シートの先端部の前記ベルトの搬送面に対する進入角度をθとした場合、第1の搬送手段により搬送されてきたシートの先端が前記ベルトの搬送面に接触する前から接触した後であって前記挟持部により挟持・搬送され始める前までは、
    ≧v/sinθもしくはv≒v/sinθの関係式を満足する線速度で、
    シートの先端が前記挟持部により挟持・搬送され始めた時以後は、
    =vの関係式を満足する線速度で、シートを搬送することを特徴とする請求項1または2記載のシート搬送装置。
  5. 第1の線速度をvとし、第2の線速度をvとし、シートの先端部の前記ベルトの搬送面に対する進入角度をθとした場合、シートの先端が前記ベルトの搬送面に接触する前までは、
    ≧v/sinθもしくはv≒v/sinθの関係式を満足する線速度で、
    シートの先端が前記ベルトの搬送面に接触した後の任意の時間をtとし、時間t以後の変化する進入角度をθとし、第1の搬送手段の挟持部中心から前記ベルトの搬送面に下した垂線と前記搬送面との接点までの距離をlとした場合、シートの先端が前記ベルトの搬送面に接触した後、前記挟持部により挟持・搬送され始める前までは、
    ≧v/sinθもしくはv≒v/sinθ、但し、θ=cos−1{1/(v×t/l+1/cosθ)}の関係式を満足する線速度で、
    シートの先端が前記挟持部により挟持・搬送され始めた時以後は、
    =vの関係式を満足する線速度で、シートを搬送することを特徴とする請求項1または2記載のシート搬送装置。
  6. 第1の搬送手段により搬送されてきたシートの先端が前記ベルトの搬送面に接触した時から前記挟持部により挟持・搬送され始める前までは、第2の線速度を一定として、第1の線速度を変えることを特徴とする請求項1ないし5の何れか一つに記載のシート搬送装置。
  7. 第1の線速度を、増速するように変えることを特徴とする請求項6記載のシート搬送装置。
  8. 第1の搬送手段により搬送されてきたシートの先端が前記ベルトの搬送面に接触した時から前記挟持部により挟持・搬送され始める前までは、第1の線速度を一定として、第2の線速度を変えることを特徴とする請求項1ないし5の何れか一つに記載のシート搬送装置。
  9. 第2の線速度を、減速するように変えることを特徴とする請求項8記載のシート搬送装置。
  10. 第1の線速度または第2の線速度を連続的に変えることを特徴とする請求項3ないし9の何れか一つに記載のシート搬送装置。
  11. 第1の搬送手段により搬送されてきたシートの先端が前記ベルトの搬送面に接触する前までは、第2の線速度が第1の線速度よりも速い線速度で、シートを搬送し、
    第1の搬送手段により搬送されてきたシートの先端が前記ベルトの搬送面に接触した後であって前記挟持部により挟持・搬送され始める前までは、第1の線速度が第2の線速度よりも一時的に速い線速度でシートを搬送し、
    シートの先端が前記挟持部により挟持・搬送され始めた時以後は、第2の線速度が第1の線速度と等しい線速度でシートを搬送することを特徴とする請求項1または2記載のシート搬送装置。
  12. 第1の線速度を検出する第1の線速度検出手段および第2の線速度を検出する第2の線速度検出手段のうちの少なくとも一方を有することを特徴とする請求項1ないし11の何れか一つに記載のシート搬送装置。
  13. シートは、比較的剛性の高いシートであることを特徴とする請求項1ないし12の何れか一つに記載のシート搬送装置。
  14. 請求項1ないし13の何れか一つに記載のシート搬送装置を有することを特徴とする画像読取装置。
  15. 請求項1ないし13の何れか一つに記載のシート搬送装置および/または請求項14記載の画像読取装置を有することを特徴とする画像形成装置。
  16. 前記画像形成装置は、複写機、ファクシミリ、プリンタ、印刷機およびインクジェット記録装置の何れか一つ、またはそれらの少なくとも二つを組み合わせた複合機であることを特徴とする請求項15記載の画像形成装置。
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