JP2008050556A - 消臭性ポリウレタン発泡体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】消臭性ポリウレタン発泡体は、ポリオール類、ポリイソシアネート類、触媒、発泡剤及び消臭性化合物を含むポリウレタン発泡体の原料を反応及び発泡させることにより得られるものである。その際、消臭性化合物は、アルデヒド類等のVOCを酸化、分解すると共に自身も酸化され、酸化、分解後に自身が水分により還元されて元の消臭性化合物に戻る化合物であり、該消臭性化合物の含有量はポリオール類100質量部当たり0.003〜0.110質量部に設定される。この消臭性化合物としては、硫酸第一鉄等の鉄系化合物又は酸化銀等の銀系化合物であることが好ましい。
【選択図】なし
Description
請求項3に記載の発明の消臭性ポリウレタン発泡体は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記揮発性有機化合物は、アルデヒド類であることを特徴とするものである。
請求項1に記載の発明の消臭性ポリウレタン発泡体においては、ポリウレタン発泡体の原料に消臭性化合物がポリオール類100質量部当たり0.003〜0.110質量部配合されている。このため、例えば得られる消臭性ポリウレタン発泡体がアルデヒド類などのVOC雰囲気に晒されると、発泡体中に含まれる消臭性化合物がアルデヒド類を酸化してカルボン酸に変性させ、さらに酸化を促進させてカルボン酸を二酸化炭素と水に分解させる。このとき、消臭性化合物自身は酸化状態に変性されるが、空気中の水分により還元され、元の還元状態に戻り再び消臭性化合物としての機能を発現する。
本実施形態における消臭性ポリウレタン発泡体(以下、ポリウレタン発泡体又は単に発泡体ともいう)は、ポリオール類、ポリイソシアネート類、触媒、発泡剤及び消臭性化合物を含むポリウレタン発泡体の原料を反応及び発泡させて得られるものである。その際、ポリウレタン発泡体の原料には、消臭性化合物としてVOCを酸化、分解すると共に自身も酸化され、前記酸化、分解後に自身が水分により還元されて元の消臭性化合物に戻る化合物が含まれ、その消臭性化合物の含有量がポリオール類100質量部当たり0.003〜0.110質量部に設定される。この消臭性化合物を所定量配合することにより、ポリウレタン発泡体はその機械的物性を保持しつつ、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類に代表されるVOCを酸化、分解して除去し、消臭が図られる。
(ポリオール類)
ポリオール類としては、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール又はポリエステルポリオールが単独又は混合して用いられるが、ポリイソシアネート類との反応性が良く、加水分解し難いなどの点からポリエーテルポリオールが好ましい。
(ポリイソシアネート類)
次に、ポリオール類と反応させるポリイソシアネート類はイソシアネート基を複数個有する化合物であって、具体的にはトリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、これらの変性物等が用いられる。
(発泡剤)
発泡剤はポリウレタン樹脂を発泡させてポリウレタン発泡体とするためのもので、例えば水のほかジクロロメタン(塩化メチレン)、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、炭酸ガス等が用いられる。これらの発泡剤のうち、ポリイソシアネート類と速やかに反応して十分な炭酸ガスを発生でき、取扱いが良好である点から水が好ましい。発泡剤の含有量は、ポリオール類100質量部当たり1〜5質量部であることが好ましい。発泡剤の含有量が1質量部未満の場合には、発泡が不十分となり、低密度の発泡体が得られ難くなる。一方、5質量部を越える場合には、発泡が過剰となり、発泡体の硬さ、引張強さ等の物性が低下する。
(触媒)
触媒は主としてポリオール類とポリイソシアネート類とのウレタン化反応やポリイソシアネート類と発泡剤としての水との泡化反応を促進するためのものである。触媒として具体的には、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N´,N´−トリメチルアミノエチルピペラジン等の第3級アミン(アミン触媒)、オクチル酸スズ(スズオクトエート)、ラウリン酸ジブチルスズ(ジブチルスズジラウレート)等の有機金属化合物(金属触媒)、酢酸塩、アルカリ金属アルコラート等が単独、或いは混合して用いられる。触媒としては、その効果を高めるためにアミン触媒と金属触媒とを組合せて用いることが好ましい。
(消臭性化合物)
この消臭性化合物は、アルデヒド類などのVOCを酸化、分解して消臭機能を発現すると共に自身は酸化され、酸化された自身が水分で還元されて元の消臭性化合物に戻る性質をもつ化合物である。そのような消臭性化合物としては、硫酸第一鉄(FeSO4)、酸化第一鉄(FeO)、塩化第一鉄(FeCl2)等の鉄系化合物、酸化銀(Ag2O)、硝酸銀(AgNO3)、塩化銀(AgCl)、硫酸銀(Ag2SO4)等の銀系化合物などが用いられる。係る消臭性化合物を含む消臭剤には、金属イオンとキレート化合物を形成して安定化させるためにEDTA(エチレンジアミン四酢酸)等のキレート剤を含むことが好ましい。また、消臭剤には、ゼオライトなどの物理的な吸着作用を有する吸着剤を含むことができる。
また、ホルムアルデヒド(HCHO)は、下式に示すように、消臭性化合物によって酸化されて蟻酸(HCOOH)となり、その蟻酸はさらに消臭性化合物によって酸化、分解されて二酸化炭素(CO2)と水(H2O)になる。
これらの酸化又は酸化、分解の過程で、消臭性化合物としての硫酸第一鉄は硫酸第二鉄〔(Fe)2(SO4)3〕となり、一価の酸化銀(Ag2O)は二価の酸化銀(AgO)となる。すなわち、消臭性化合物はアルデヒド類を酸化又は酸化、分解する過程で自身も酸化状態に変化する。しかし、酸化状態となった消臭性化合物は、空気中の水分(還元剤)により還元され、硫酸第二鉄は硫酸第一鉄に、二価の酸化銀(AgO)は一価の酸化銀(Ag2O)に戻る。従って、この消臭性化合物は再びアルデヒド類などのVOCを酸化、分解することができ、加えてそのような還元状態から酸化状態を経て再び還元状態へ戻るサイクルが例えば10回以上繰り返され、長期に渡って消臭機能を発現することができる。
(整泡剤)
整泡剤は発泡を円滑に行うためにポリウレタン発泡体の原料に配合されることが好ましく、係る整泡剤としては、ポリウレタン発泡体の製造に際して一般に使用されるものを用いることができる。整泡剤として具体的には、シリコーン化合物、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、ポリエーテルシロキサン、フェノール系化合物等が用いられる。これらの中でも、線状或いは分枝状ポリエーテル−シロキサン共重合体が好ましく、特に連通性を高めるためには整泡力の低い線状ポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体がより好ましい。整泡剤の含有量は、ポリオール類100質量部当たり0.5〜2.5質量部であることが好ましい。この含有量が0.5質量部未満の場合には、ポリウレタン発泡体の原料の発泡時における整泡作用が十分に発現されず、良好な発泡体を得ることが難しくなる。一方、2.5質量部を越える場合には、整泡作用が強くなり、セルの連通性が低下する傾向を示す。
(その他の配合剤)
ポリウレタン発泡体の原料にはその他必要に応じて、架橋剤、酸化防止剤、充填剤、安定剤、着色剤、難燃剤、可塑剤等を常法に従って配合することができる。
(ポリウレタン発泡体の製造)
次に、上記のポリウレタン発泡体の原料を用いて消臭性ポリウレタン発泡体を製造する場合には常法に従って行われる。すなわち、発泡体の製造に当っては、ポリオール類とポリイソシアネート類とを直接反応させるワンショット法、或いはポリオール類とポリイソシアネート類とを事前に反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを得、それにポリオール類を反応させるプレポリマー法のどちらも採用される。そして、ポリオール類とポリイソシアネート類との混合液、或いはプレポリマーとポリオール類との混合液に、発泡剤を混和し、さらに整泡剤、触媒、消臭性化合物などを添加して攪拌、混合し、それらの原料をウレタン化反応、架橋反応などによって反応させると共に、泡化反応によって発泡させる。
(作用)
さて、本実施形態の作用について説明すると、消臭性ポリウレタン発泡体はポリオール類、ポリイソシアネート類、触媒、発泡剤及び消臭性化合物を含むポリウレタン発泡体の原料を常法に従って反応及び発泡させることにより得られる。この場合、発泡体の原料には硫酸第一鉄、酸化銀等の消臭性化合物がポリオール類100質量部当たり0.003〜0.110質量部含まれている。そのため、発泡体の原料に含まれるアルデヒド類のほか、反応及び発泡過程で生成する可能性のあるアルデヒド類が消臭性化合物により酸化、分解される。例えば、アセトアルデヒドが酸化されて酢酸に変化し、その酢酸がさらに酸化されて二酸化炭素と水に分解され、アセトアルデヒドが無臭化及び無害化される。そのような酸化、分解が行われると、消臭性化合物自身は酸化状態に変化するが、空気中の水分により還元されて元の還元状態の消臭性化合物に戻り、再びその機能を発現する。このような消臭性化合物の酸化と還元とが繰り返され、消臭性化合物が常にその機能を維持することができるため、消臭作用が持続される。
(効果のまとめ)
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
・ 揮発性有機化合物が特にアセトアルデヒド、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類であることにより、そのようなアルデヒド類を容易に酸化、分解して無害化することができる。
(実施例1〜7及び比較例1〜7)
まず、各実施例及び比較例で用いたポリオール類、ポリイソシアネート類、発泡剤、整泡剤、触媒及び消臭性化合物を含むポリウレタン発泡体の原料を以下に示す。
アミン触媒:トリエチレンジアミン、中京油脂(株)製、LV33。
金属触媒:ジブチルスズジラウレート、城北化学工業(株)製、MRH110。
消臭剤B:消臭性化合物としての酸化銀(Ag2O)を1.2質量%含有し、キレート剤(EDTA)、ゼオライトなどを含む粉末、平均粒子径30μm。
モレキュラーシーブ:ユニオン昭和(株)製、モレキュラーシーブ3A。
そして、これらの各原料を表1及び表2に示す含有量で配合して各実施例及び比較例におけるポリウレタン発泡体の原料を調製した。その後、これらポリウレタン発泡体の原料を縦、横及び深さが各500mmの発泡容器内に注入し、常温、大気圧下で発泡させた後、加熱炉を通過させて架橋(硬化)させることにより軟質スラブ発泡体を得た。その途中、発泡状態を目視によって観察した。
(測定方法)
見掛け密度(kg/m3):JIS K7222(1999)に準拠して測定した。
引張強さ(kPa)及び伸び(%):JIS K6400−5(2004)に準拠して測定した。
・ 前記消臭性化合物として、複数の化合物を適宜組合せて用いることができる。
・ 前記消臭性化合物として、亜鉛系化合物等を使用することも可能である。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
Claims (3)
- ポリオール類、ポリイソシアネート類、触媒、発泡剤及び消臭性化合物を含むポリウレタン発泡体の原料を反応及び発泡させて得られる消臭性ポリウレタン発泡体であって、
前記消臭性化合物は、揮発性有機化合物を酸化、分解すると共に自身も酸化され、前記酸化、分解後に自身が水分により還元されて元の消臭性化合物に戻る化合物であり、該消臭性化合物の含有量がポリオール類100質量部当たり0.003〜0.110質量部であることを特徴とする消臭性ポリウレタン発泡体。 - 前記消臭性化合物は、鉄系化合物又は銀系化合物であることを特徴とする請求項1に記載の消臭性ポリウレタン発泡体。
- 前記揮発性有機化合物は、アルデヒド類であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の消臭性ポリウレタン発泡体。
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