JP2008050027A - 青果物輸送用コンテナ及びそれを用いた青果物の保存輸送方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】輸送用コンテナを用いた長期間に亘る青果物の輸送の際に、従来よりも高い鮮度を維持する。
【解決手段】輸送の際に、青果物輸送用のコンテナであって、気体熱伝導式センサを備えて二酸化炭素を0.5m/h以上6m/h以下の放出量で放出する二酸化炭素放出制御装置を備え、かつコンテナの開閉部面積に対して0.02%〜0.22%の面積に相当し、換気量が2m/h以上12m/h以下である通気孔を設けて、コンテナ内部の二酸化炭素濃度を8体積%以上40体積%以下に制御するとともに、温度制御装置を備えて内部の温度を0℃以上15℃以下の範囲で制御する青果物輸送用コンテナを用いる。
【選択図】なし

Description

この発明は、二酸化炭素放出制御装置と通気孔を備え内部の二酸化炭素濃度を制御して青果物のカビの発生を抑制するとともに鮮度を維持する輸送用コンテナ、及びそれを用いて良好な品質を保持したまま青果物を輸送する方法に関し、特にイチゴの保存輸送に関する。
青果物を輸出入するような長期間の青果物の輸送では、単純な冷蔵輸送では鮮度が低下してしまうだけでなく、カビ等の発生により商品性が著しく低下するため、青果物の商品性を保持する技術が必要であった。また、雰囲気ガスの濃度調整を行って鮮度の低下を抑制する方法として、従来から、Controlled Atmosphereコンテナ(以下、「CAコンテナ」と略す。)が用いられている。このCAコンテナは、具体的には、低温を維持する温度調整機能と、湿度を維持する湿度調整機能と、酸素及び二酸化炭素濃度を調整するとともに揮発性有機物質の除去を行う雰囲気調整機能とを有するものである。この雰囲気調整機能とは、青果物の呼吸、代謝を抑制するためのものであり、主に酸素濃度と二酸化炭素濃度を規定の範囲に保つ機能である。具体的には収容した青果物の呼吸量に応じて酸素の供給或いは除去を行い、さらに過剰の二酸化炭素や揮発性有機物質は除去し、この操作を連続して行うことで一定の濃度となるように調整する機能である。
このような調整を行う例としては、非特許文献1に、酸素濃度を1〜10%とし、二酸化炭素濃度を1〜10%にし、エチレンなどの揮発性有機物質を除去する雰囲気調整を行い、温度を0〜10℃の冷蔵環境で保管した場合、雰囲気を調整しない通常の冷蔵環境の場合と比較して青果物の呼吸量を40%以下にまで低下させる例が記載されている。このように酸素濃度と二酸化炭素濃度とを制御し続けることによってこのような雰囲気におかれた青果物は、冷蔵環境よりも鮮度を維持することができ、長期間に亘る輸送に耐えることができる。
ところで、コンテナのような大規模な輸送における青果物の鮮度保持だけではなく、個々の袋に詰めた個包装での鮮度保持も検討がされている。例えば、特許文献1には、酸素透過度が500cc/m/24h以下でかつ気体透過度の比がCO/O=2〜7である袋に、イチゴとともに二酸化炭素発生剤と吸水剤を封入し、二酸化炭素濃度を2〜20%にしてイチゴを貯蔵する方法が記載されている。
また、特許文献2には、容器内に二酸化炭素供給体を収容して、高二酸化炭素状態にして青果物の品質低下を防止する方法が記載されている。さらに、特許文献3には、容器内にボンベから二酸化炭素を供給するか、又は炭酸カルシウム及び有機酸のような二酸化炭素発生剤を仕込んでおき、収容から24時間以内に二酸化炭素濃度が30〜70%の極大値を有するように増加させ、その後二酸化炭素濃度を減衰させる、イチゴの鮮度保持方法が記載されている。
特公平7−77542号公報 特開平10−157787号公報 特開2000−197447号公報
三菱重工技報 Vol.35 No.2(1998−3)P116−119
しかしながら、短期間の輸送であれば問題にならない僅かずつの劣化であっても、長期間の輸送後では商品性が著しく低下する。また、青果物の輸出入を行おうとした場合には、輸送に長時間を要するのはもちろんのこと、輸出入に関わる事務手続きや検閲、燻蒸処理などにより輸送時間がさらに長期化する問題があった。このため、バナナでは最適保管温度である14℃に調節された専用船が利用されているように、それぞれの青果物の特性に合わせた最適な輸送技術の利用が必要であったが、ほとんどの青果物では単に冷蔵輸送されているだけであり、このため、カビが発生しやすい品目では商品性が大きく低下してしまう場合があった。
一方、冷蔵と雰囲気のガス調節によって鮮度保持を行うCAコンテナが存在するが、細かな濃度の調整が必要なことから、酸素の供給或いは除去の操作を頻繁に行う必要がある。また、使用されるコンテナは空気の流入を抑えた構造が必要で、密閉されていることが基本となり、このため、呼吸によって生じた過剰な二酸化炭素については除去する操作が必須であった。また、エチレン発生量の多い品目ではエチレンも除去する必要があった。このようにCAコンテナでは、密閉性の高い特殊なコンテナ、並びに酸素と二酸化炭素とエチレンとの濃度を調整するための設備が必要であり、規模も大きくなるという問題があった。さらに、CAコンテナでは二酸化炭素濃度の測定に赤外線分析法を用いたセンサが使用されているが、赤外線分析式センサの測定範囲は狭く、高濃度下では検出感度が低下することから、カビの発生が抑制されるような高濃度の二酸化炭素雰囲気下ではこのセンサを用いた濃度の調整はできなかった。
また、このことからもわかるように、CAコンテナはカビの発生を抑制するような高濃度の二酸化炭素雰囲気を構築することは意図されておらず、CAコンテナを利用してもカビの発生を十分には抑制できず、場合によっては商品性を失ってしまった。このため、より高い二酸化炭素濃度に保持する必要があった。さらにまた、CAコンテナでは冷蔵装置から冷気を噴出することで雰囲気のガスの移動を起こすが、これによって雰囲気のガス濃度を均一にすることは難しく、特に積荷間の隙間が狭い場合には十分な量のガスが流通しない場合があった。
また一方で、特許文献1に記載のような二酸化炭素発生剤を使用する方法では、長期間に亘る二酸化炭素の放出量の調整が困難であることから、輸出入を行うような長期の輸送では二酸化炭素濃度の調整が十分にできず、カビの発生を抑制することができなかった。また、二酸化炭素発生剤の作用が終了した後も二酸化炭素濃度を高く維持しようとすると、呼吸による二酸化炭素の生成が多量に必要であり、このため酸欠を起こす濃度まで酸素が減少し、良品率は大きく減少してしまった。
また、特許文献2に記載のような個包装内に二酸化炭素の供給体を収容し、二酸化炭素を一定量放出する方法では、二酸化炭素濃度は成り行きで、十分な調整は行えなかった。このため、短期間の青果物の緑色保持は可能であっても、長期に亘る保管中のカビを抑制する効果は得られなかった。また、二酸化炭素濃度が高すぎる場合には、二酸化炭素がイチゴなどの青果物に吸収されすぎて異臭を放ってしまうことがあり、コンテナに個包装の技術をそのままに適用することが出来ないことがわかった。さらに輸送中の温度上昇による青果物の呼吸量の増加が起こった場合には酸素の過剰な消費が起こり、酸欠により異臭が発生する場合があった。
さらに、特許文献3に記載のような、容器内に青果物を収容後24時間以内に二酸化炭素濃度を25〜70%に増加させ、48時間経過時点で上記極大値の40〜70%の濃度を保持するように減少させる方法では、常温下における保管を目的としたものであるため、一時的に二酸化炭素濃度が非常に高い雰囲気を構築する必要があったが、低温下では不要となる無駄な処置を含んでいた。また、輸送コンテナのように容積が非常に大きい場合では、70%に達するような濃度を構築するためには多量の二酸化炭素が必要であり、大量輸送には不向きであった。
そこでこの発明の課題は、上記した問題点を解決し、従来よりも装置及び操作が簡易でありながら、かつ青果物を輸出入するような長期間に亘る輸送においても精度の高い雰囲気の調整を行い、高い商品性と鮮度を維持できる方法を提供することである。
この発明は、輸送の際に、青果物輸送用のコンテナであって、気体熱伝導式センサを備えて二酸化炭素を0.5m/h以上6m/h以下の放出量で放出する二酸化炭素放出制御装置を備え、かつコンテナの開閉部面積に対して0.02%〜0.22%の面積に相当し、換気量が2m/h以上12m/h以下である通気孔を設けて、コンテナ内部の二酸化炭素濃度を8体積%以上40体積%以下に制御するとともに、温度制御装置を備えて内部の温度を0℃以上15℃以下の範囲で制御する青果物輸送用コンテナを用いることで、上記の課題を解決したものである。
この発明にかかる輸送用コンテナを用いることにより、センサで検知した濃度に応じて二酸化炭素放出制御装置からの二酸化炭素の放出量を調整され、二酸化炭素濃度を8体積%以上、好ましくは15体積%以上40体積%以下に調整し、極めて容易に青果物が収容されている雰囲気を長期間に亘って最適な組成に調整できる。本発明では、一定量の空気の自然流入が可能なことから酸素濃度を調整する設備及び操作が不要であり、上記のようにセンサが検知した濃度をもとに二酸化炭素の放出量を調整するだけでカビの発生を抑制することができる。
青果物の表皮は本発明の方法を用いることによって強化され、表皮組織が健全な状態を長期に亘って保つことでカビの発生が抑制され、特に青果物の中でもイチゴの商品性を保持する際に、高い効果を発揮する。また、カビの発生を抑制するとともに青果物の呼吸、代謝も抑制できるため、商品性と鮮度の両方を保持することができる。
以下、この発明について詳細に説明する。
この発明は、気体熱伝導式センサを備えた二酸化炭素放出制御装置と、所定の通気性を確保した輸送用コンテナであり、温度を調整する温度制御装置を併設しており、青果物の保存輸送に適したコンテナである。
上記の気体熱伝導式センサは、上記輸送用コンテナ内部の二酸化炭素濃度を検知するセンサである。具体例としては、白金コイルを用いた発熱体の温度変化からガスの熱伝導度を測定して濃度を算出するものが挙げられ、0体積%〜100体積%までの範囲で測定可能であり、特に高濃度のガス検出に適している。また、自動で雰囲気ガスを吸引する吸引装置が接続されているセンサを用いると好ましい。
上記二酸化炭素放出制御装置とは、上記輸送用コンテナ内部に二酸化炭素を供給する装置をいい、具体的には例えば、放出量を調整可能な弁を取り付けた二酸化炭素ボンベや、LPガス若しくは灯油を燃料とした燃焼式二酸化炭素発生装置などが挙げられる。前記二酸化炭素ボンベは上記輸送用コンテナの内部に設けてあってもよいし、外部に設けてあってもよい。一方、燃焼式二酸化炭素発生装置を用いる場合は、内部に設けると温度上昇を起こすことから、外部に設ける。
これらの二酸化炭素放出制御装置は、この発明にかかる輸送用コンテナを輸送する間に必要な二酸化炭素を、交換などのメンテナンスを行わなくても連続して供給可能であるだけの二酸化炭素容量を有するものであると好ましい。具体的には、1週間の輸送を行うのであれば、少なくとも1000m以上の二酸化炭素を発生可能であると好ましく、その数値は輸送に要する日数に比例して大きくなる。ただし、容量が大きすぎると、内部に設置する場合は上記輸送用コンテナの内部容積を圧迫することになり、外部に設置しても大きければ大きいほど輸送の妨げになるので、上記二酸化炭素放出制御装置の体積は7m以下であると好ましい。
上記の気体熱伝導式センサを備えた二酸化炭素放出制御装置は、この発明にかかる輸送用コンテナ内部の二酸化炭素濃度の変化を検知して、二酸化炭素放出装置からの二酸化炭素放出量を調整し、この発明にかかる輸送用コンテナ内部の二酸化炭素濃度を8体積%以上40体積%以下に調整する。ただし、上記気体熱伝導式センサが検知する閾値は、8体積%以上40体積%以下の任意の範囲に調整してもよく、例えば、通常の大気をそのまま利用した場合には達成できない、21体積%以上の二酸化炭素濃度を保つようにしてもよい。また、上限を低下させてもよい。さらに、15体積%以上40体積%の範囲で、任意の一定値を維持するものであると、青果物の環境変化を最小限に留めることができるのでもっとも好ましい。これらの調整は、この発明にかかる輸送用コンテナの内容物である青果物の二酸化炭素濃度に対する挙動に応じて、その青果物ごとの最適値を選択すると好ましい。
上記の青果物ごとの最適値は、イチゴでは20体積%〜40体積%、ブルーベリーでは15体積%〜30体積%、またブロッコリー及びアスパラガスでは20体積%〜30体積%、ホウレンソウ、コマツナ、チンゲンサイ、ネギでは8体積%〜20体積%である。
この二酸化炭素放出制御装置の時間あたり二酸化炭素放出量は、0.5m/h以上であることが必要である。0.5m/h未満であると、上記の必要な濃度を維持することが難しくなるだけでなく、二酸化炭素濃度が低下しすぎた際に、二酸化炭素濃度の回復に時間がかかりすぎてしまう。一方、6m/h以下である必要がある。6m/hを超えた量を放出すると、二酸化炭素を無駄に放出しすぎる場合があり、また、内部の二酸化炭素濃度が高くなりすぎるおそれがある。
二酸化炭素を放出する際には、前記の範囲で任意に固定した放出量での放出をセンサの検知に合わせてオン/オフ切り替えしてもよいし、放出開始時点で高速に放出を行って濃度が高くなってきたら放出量を減少させるようにしてもよい。さらに、放出のオン/オフを行うとともに、放出時の放出量を上記の範囲で調整するようにすると、より詳細な濃度の調整ができるのでより好ましい。
さらに、前記の放出量の範囲で、上記気体熱伝導式センサが検知する二酸化炭素濃度に応じて二酸化炭素放出量を随時調整可能とすると、青果物を輸送する間の雰囲気変化を最小限に留めることができ、雰囲気変化に対して脆弱な青果物を輸送する際に特に好ましい。すなわち、換気量に応じて外部に抜け出ていく二酸化炭素と同量の二酸化炭素を内部に放出し続けることで、二酸化炭素濃度を一定に保持するものである。この場合に内部に放出する二酸化炭素量は、後述する空気漏れ量と保持すべき二酸化炭素濃度との積により求められる大凡の二酸化炭素漏れ量を基本とし、内部の二酸化炭素濃度の増減に応じて放出量を増減させるものである。これらの調整は、例えば、上記二酸化炭素発生装置が二酸化炭素ボンベである場合には、上記気体熱伝導式センサと連動して放出量を調整する開閉弁を用いることで実現可能である。
上記輸送用コンテナ内への二酸化炭素の放出にあたっては、上記輸送用コンテナの天面に、放出口を等間隔で複数設け、その放出口から二酸化炭素を放出するようにすると、空気より重い二酸化炭素を上記輸送用コンテナの内部に均等に放出することができるので好ましい。この放出口の間隔は、一方向の間隔が91.4cm(3フィートに相当する。)以上、111.8cm(3.8フィートに相当する。)以下であり、それと直交する方向に66cm(2.2フィートに相当する。)以上、81.3cm(2.8フィートに相当する。)以下の間隔で設けられていると、特にイチゴなどの青果物を積載するために用いられるパレットの四隅に対応して放出口が存在することになるので好ましい。また、このように天面に均等に放出口を設けることにより、コンテナ内に均等に二酸化炭素を供給することができ、収納された青果物の二酸化炭素濃度が偏りにくくなる。
さらに、この発明にかかる輸送用コンテナは、床面にガスが循環可能である流路が設けられていると好ましい。このような流路を設ける方法としては、例えば床面にレールを設け、青果物を収納した容器やこれらを積載したパレットがそのレールの上に載ることで、容器の下の、レールの間に流路を設けることができる。このような流路があることにより、供給された二酸化炭素が均一に循環しやすくなり、二酸化炭素の濃度が低い部分が生じにくくなり、品質低下の偏りを減らすことができる。
一方、この発明にかかる輸送用コンテナは、コンテナの開閉部面積に対して0.02%〜0.22%の面積に相当する通気孔を有し、換気量を2m/h以上12m/h以下に調整することが可能である。0.02%未満であると場合によっては換気量が2m/h未満になり、外部からの酸素流入量が少ないために、内部酸素濃度を低下させすぎて、収納する青果物の呼吸機能を低下させすぎてしまい、かえって品質を劣化させてしまうおそれがある。また、内部の二酸化炭素濃度が望ましい範囲を超えて高くなりすぎたときに、低下するまでの時間がかかりすぎてしまう。一方、0.22%を超える場合には換気量が12m/hを超え、内部と外部との雰囲気の交換が速すぎて、好適な二酸化炭素濃度を維持することが難しくなり、出来たとしても大量の二酸化炭素を必要とすることになるためである。尚、換気量は5m/h以下であると好ましい。
このような通気孔は、コンテナの扉の一部を削って隙間を生じさせたり、扉やコンテナの壁面に孔を開けたりすることにより設けても良いし、扉を閉めた際に通気孔となる隙間を生じるようにコンテナを設計して、通常通り扉を閉めるだけで生じる隙間により達成するものでもよい。この中でも特に、扉を削る方法を用いると、設計変更などをすることなく従来のコンテナを利用して容易にこの発明にかかる輸送用コンテナとすることができるので好ましい。この場合、扉本来の機能を失わないようにするために、扉の上部分か下部分、又はその両方を削り、扉と開閉部の枠との間に隙間を生じるようにすると、扉の施錠には影響を及ぼすことなく、扉が勝手に開いて中の青果物が飛び出すといったことを避けつつ隙間を生じさせることができる。
上記の通気孔により、上記の換気量となる通気性を確保することにより、この発明にかかる輸送用コンテナの内部の酸素濃度は、12体積%以上に制御される。すなわち、12体積%未満となる前に外部から酸素が供給されるようになる。こうして12体積%以上の高い酸素濃度を維持させることにより、青果物が酸欠になりすぎて品質低下を起こすことを防ぐことができる。一方で、通常の大気の酸素濃度が21体積%であり、コンテナ内部で二酸化炭素を放出させるため、21体積%を超えることはなく、二酸化炭素が増加する分だけ酸素濃度が減少するため21体積%より低くなり、結果として18体積%以下に制御され得るものである。
このような輸送用コンテナの本体は、一般に用いられている冷凍コンテナをそのまま利用して、上記二酸化炭素放出制御装置を設けてもよい。具体的には、例えばTYPE20’、TYPE40’などの標準的なコンテナが挙げられる。TYPE20’の冷凍コンテナの一例であるR2−9002Aの内容量は27.8mであり、この他、TYPE40’の冷凍コンテナとして、内容量57.7mのR4−9001A、66.9mのZ4−9004Aなどが挙げられる。
さらに、この発明にかかる輸送用コンテナは、温度制御装置を有し、内部の温度を0℃以上15℃以下の範囲で制御するものである。この温度制御装置としては、一般に用いられている冷蔵装置を用いてよい。また、温度制御装置の本体は上記輸送用コンテナの内部に設けてもよいし、本体を外部に設けて内部の気温を調整するものでもよい。また、最適な温度は0℃であり、長期間の輸送が可能になる。ただし、温度が0℃を下回ると冷凍になってしまうため、青果物を傷めることになってしまい、一方で15℃を超えると冷蔵効果が不十分となり、輸出入のような長期間に亘る輸送では商品性と鮮度の保持は難しくなる。
この発明にかかる輸送用コンテナを用いて青果物を輸送する際には、青果物を収納した直後に、まず二酸化炭素濃度を8体積%以上、40体積%以下に調整したガスで内部の雰囲気を置換すると好ましい。上記二酸化炭素放出制御装置から二酸化炭素を放出することで上記の濃度範囲にしてもよいが、開口部を閉じた状態で上記の濃度範囲を達成するのに必要な量の二酸化炭素を急激に放出すると、一時的に内圧が高まりすぎてしまうおそれがあり、手間もかかるため、予め調整したガスで置換した方が簡便である。
その後、トラック、鉄道、及び船舶等で輸送する間、上記温度制御装置により内部の気温を0℃以上10℃以下に制御するとともに、外気との雰囲気交換及び青果物の呼吸により変化する二酸化炭素濃度を上記の気体熱伝導式センサで検知して、上記二酸化炭素放出制御装置により、内部の二酸化炭素濃度を8体積%以上40体積%以下に制御する。これにより、上記輸送用コンテナに収納された青果物は、鮮度を高い水準で維持したまま、長期の輸送に耐えることができる。
この発明にかかる輸送コンテナを用いた保存輸送方法は、特に青果物の中でもイチゴに対して用いると、内部の二酸化炭素濃度がイチゴの鮮度保持に最適であるので特に好ましい。このようにして輸送されたイチゴは、カビの発生率を10%以下、条件によっては5%以下にまで抑えることができ、また、異臭を発したり、酸味が強くなったりするような目に見えない品質の低下も抑えることができる。このようにして鮮度を保持できる日数は、温度や濃度条件にもよるが、少なくとも7日以上であり、最大で1月保たせることができる。
この発明にかかる輸送用コンテナを用いて鮮度保持できる青果物としては、上記のイチゴの他にブルーベリーなどのベリー類、またブロッコリー、アスパラガス、ホウレンソウ、コマツナ、チンゲンサイ、ネギなど緑色の野菜が挙げられる。
以下、この発明について実施例を示してより具体的に説明する。この発明にかかる輸送用コンテナに、青果物としてイチゴを収納し、輸送時と同様の環境において、イチゴの品質変化を観察する。
(実施例1)
内容積26.8mである日本石油輸送(株)製冷凍コンテナ(UF27A)の開口扉の上下部分を各0.78mm削り、開閉部面積に対して0.07%となる通気孔を設けた。またコンテナ内部に二酸化炭素放出制御装置として液化二酸化炭素が充填された二酸化炭素ボンベを設置し、このボンベに気体熱伝導式センサを内蔵した開閉弁を装着させた。このコンテナ内に段ボール包装したイチゴ3tを積載し、二酸化炭素濃度が22体積%である気体で内部のガスを交換した後、ボンベに装着した開閉弁により、二酸化炭素を0.5m/h〜1m/hの放出量でコンテナ内部に放出することができるように設定し、この放出量の調整により二酸化炭素濃度が22体積%を保持するようにした。さらに、コンテナに取り付けた温度制御装置(ヤンマーディーゼル(株)製、コンテナ側面に内蔵する。)により、内部の雰囲気温度を0℃に保持して、21日(3週間)保管した。尚、このコンテナの換気量を測定したところ3.7m/hであった。
保管後のイチゴを確認したところ、カビの生えた果実を分別して重量を測定した結果、カビの発生した果実の割合は5%であり、果肉の軟化は見られず、異臭は感じられなかった。
(実施例2〜6)
実施例1において、表1に記載の設定値に変更した以外は実施例1と同様の手順で、イチゴを保管した。いずれも1週間以上に亘って、カビの発生率を10%以下に抑えることができた。なお、実施例3は、二酸化炭素濃度が15体積%を下回ると二酸化炭素の放出を0.5m/hで開始し、濃度が16体積%になると二酸化炭素の放出を停止(0m/h)している。また、実施例4及び5で用いた内容量66.9mの冷凍コンテナは、(株)ロッコーエンジニアリング製:40−Cである。また、実施例6では鮮度の劣化が若干見られたが、カビの発生は10%以下に抑えられており、実用は可能である。
Figure 2008050027
(比較例1)
実施例1において、二酸化炭素濃度が22体積%である気体で内部のガスの交換を行い、二酸化炭素の放出は行わず、内部の雰囲気をイチゴが呼吸するままにした以外は実施例1と同様の手順でイチゴを保管した。その条件を表2に示す。イチゴのカビ発生率は34%に増加し、イチゴの商品性を保持することは出来なかった。
Figure 2008050027
(比較例2)
実施例4において、二酸化炭素濃度が24体積%である気体で内部のガスの交換を行い、二酸化炭素の放出は行わず、内部の雰囲気をイチゴが呼吸するままにした以外は実施例4と同様の手順でイチゴを保管した。その条件を表2に示す。その結果、イチゴのカビ発生率は29%に増加し、商品性を保持することは出来なかった。
(比較例3)
実施例4において、二酸化炭素濃度が24体積%である気体で内部のガスの交換を行い、二酸化炭素放出制御装置を設けず、かつ空気漏れ量を10分の1に低減させて気密性を高め、温度を0℃に設定して21日保管した。その条件を表2に示す。その結果、カビ発生率は7%と低かったが、酸欠によると考えられる異臭を放つようになり、果肉が軟化しており、鮮度を保持することができなかった。
(比較例4)
実施例3において、二酸化炭素の放出量を0.2m/hと固定し、二酸化炭素濃度を7体積%とし、設定温度を0℃とし、保管日数を21日とした以外は同様の手順によりイチゴを保管した。その条件を表2に示す。その結果、異臭はなかったものの、鮮度が低下し、カビの発生は15%に増加し、商品性を維持することが出来なかった。二酸化炭素放出量が0.5m/hを下回り、二酸化炭素濃度が8体積%未満となると、表皮を強化する効果が不十分となり、カビの発生が多くなると考えられる。
(比較例5)
実施例2において、二酸化炭素の放出量を7〜7.5m/hとし、二酸化炭素濃度を48体積%とした以外は同様の手順によりイチゴを保管した。その条件を表2に示す。その結果、異臭を発し、果肉も軟化しており、鮮度を保持することが出来なかった。従って、単に二酸化炭素濃度を上昇させれば鮮度を保持することができるわけではなく、二酸化炭素濃度が40体積%を超えると、二酸化炭素がイチゴに吸収されすぎて品質低下を招くため、二酸化炭素濃度は規定された範囲で的確に制御する必要があることがわかった。
(比較例6)
実施例1において、通気孔面積をコンテナ開閉部の0.24%として換気量を13.9m/hに増加させて気密性を低下し、温度を0℃に設定して21日保管した。その条件を表2に示す。その結果、カビ発生率は18%に増加し、商品性を維持できなかった。通気孔面積がコンテナ開口部の0.24%を超えると換気量が12m/hを超え、カビの発生が多くなると考えられる。
(比較例7)
実施例4において、通気孔面積をコンテナ開閉部の0.01%として換気量を1.6m/hに低減させて気密性を高め、温度を0℃に設定して21日保管した。その条件を表2に示す。その結果、カビ発生率は16%に増加し、また二酸化炭素濃度が40体積%を超えたために、二酸化炭素がイチゴに吸収されすぎて異臭を発し、果肉も軟化してカビの発生を招いた。通気孔面積がコンテナ開口部の0.02%を下回ると換気量が2m/hを下回り、二酸化炭素がイチゴに吸収されすぎて異臭を発し、果肉も軟化してカビの発生を招くと考えられる。
(比較例8)
実施例5において、コンテナ内温度を20℃とした以外は同様の手順によりイチゴを保管した。その条件を表2に示す。その結果、カビの発生が著しくなり、カビの発生は47%に増加し、コンテナ温度を低温に保てない場合は、鮮度を保持しきれなくなると考えられる。
(実施例7)
実施例1において、二酸化炭素の放出を、ボンベから配管を通じて、コンテナ天面に91.4cm(3フィートに相当する。)×75cm(2.5フィートに相当する。)の間隔で均等に18個設けた放出口から行った以外は、実施例1と同様の条件により測定を行った。なお、ここで二酸化炭素放出量は、全ての放出口から放出される二酸化炭素量の合計となる。その条件を表3に示す。この結果、イチゴのカビ発生率は実施例1の5%から3%に減少した。コンテナの天面に均等に設けられた放出口から重い二酸化炭素ガスが放出されることで、二酸化炭素が均等に分布され、実施例1のコンテナでは二酸化炭素が行き渡りにくかった部分のイチゴにまで十分な量の二酸化炭素が行き渡ったことによると考えられる。
Figure 2008050027
(実施例8)
実施例4において、二酸化炭素の放出を、ボンベから配管を通じて、コンテナ天面に111.8cm(3.8フィートに相当する。)×75cm(2.5フィートに相当する。)の間隔で均等に30個設けた放出口から行った以外は、実施例4と同様の条件により測定を行った。なお、ここで二酸化炭素放出量は、全ての放出口から放出される二酸化炭素量の合計となる。その条件を表3に示す。この結果、イチゴのカビ発生率は実施例4の4%から2%に減少した。実施例4のコンテナでは二酸化炭素が行き渡りにくかった部分のイチゴにまで十分な量の二酸化炭素が行き渡ったことによると考えられる。
(実施例9)
実施例1において、コンテナの底面に開閉部からみて横方向に45cmの間隔で4本のレールを設けて、イチゴを包装した容器を積載したパレットをこのレールの上に置き、パレットとレールの間にガスが流通するための流路を形成したコンテナを用いる以外は実施例1と同様の条件により測定を行った。その条件を表3に示す。この結果、イチゴのカビ発生率は3%に減少した。これはレールの間を二酸化炭素が流通することで、コンテナ内部の二酸化炭素の分布が均等になり、実施例1のコンテナでは二酸化炭素が行き渡りにくかった部分のイチゴにまで十分な量の二酸化炭素が行き渡ったことによると考えられる。

Claims (6)

  1. 青果物輸送用のコンテナであって、気体熱伝導式センサを備えて二酸化炭素を0.5m/h以上6m/h以下の放出量で放出する二酸化炭素放出制御装置を備え、かつコンテナの開閉部面積に対して0.02%〜0.22%の面積に相当し、換気量が2m/h以上12m/h以下である通気孔を設けて、コンテナ内部の二酸化炭素濃度を8体積%以上40体積%以下に制御するとともに、温度制御装置を備えて内部の温度を0℃以上15℃以下の範囲で制御する青果物輸送用コンテナ。
  2. 二酸化炭素の放出を行う放出口が、(91.4cm〜111.8cm)×(66cm〜81.3cm)の間隔で、天面に均等に設置された請求項1に記載の青果物輸送用コンテナ。
  3. 床面にガスが流通可能である流路が設けられた請求項1又は2に記載の青果物輸送用コンテナ。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の青果物輸送用コンテナ内に青果物を収納し、この輸送用コンテナ内の二酸化炭素濃度を8体積%以上40体積%以下に制御したまま輸送する、青果物の保存輸送方法。
  5. 上記青果物を収納した直後に、上記輸送用コンテナ内を二酸化炭素濃度が8体積%以上40体積%以下に調整したガスで置換し、その後上記の気体熱伝導式センサを備えた二酸化炭素放出制御装置により、上記輸送用コンテナ内の二酸化炭素濃度を8体積%以上40体積%以下で制御し、かつ上記温度制御装置により気温を0℃以上15℃以下に制御したまま輸送する、請求項4に記載の青果物の保存輸送方法。
  6. 上記青果物がイチゴである、請求項4又は5に記載の青果物の保存輸送方法。
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