JP2008049368A - ろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】取扱い性に優れ、かつ、所望の耐熱性及び耐食性を有するろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品を提供するものである。
【解決手段】本発明に係るろう付け用複合材は、ろう材の一成分である金属Aの層1と、ろう材のもう一方の成分であり、少なくとも一種の金属からなる金属Bの層2を積層、複合一体化してなり、それらの積層体の層構造を対称構造としたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、ろう付けの作業性を向上させ、かつ、耐熱性と耐食性を有したろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品に関するものであり、特に、熱交換器(排ガス再循環装置(EGR)用クーラや燃料電池改質器用クーラなど)および燃料電池用部材のろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品に関するものである。
自動車用オイルクーラの接合材として、ろう付け用ステンレス基クラッド材が使用されている。これは、ステンレス鋼板の片面、或いは両面にろう材としての機能をもつ銅がクラッドされている。また、ステンレス鋼や、ニッケル基又はコバルト基合金などの部品のろう付け材として、接合部の耐食性に優れる各種ニッケルろう材に、Ni、Cr、Ni−Cr合金の内から選ばれた金属粉末を4wt%〜30wt%添加して構成されるNiろう材が提案されている。
また、高耐食性を有するろう材として、JIS規格に準ずる組成を持つNi、Crを主成分とするアモルファス箔形状のNiろうがある。
特開平7−299592号公報 特開2000−107883号公報 特開2006−43749号公報
自動車用オイルクーラの接合材としてのろう付け用ステンレス基クラッド材は、ろう材の機能を持つ銅が、ステンレス鋼板の片面あるいは両面にクラッドされている。オイルクーラに、このろう付け用ステンレス基クラッド材を使用した場合、ろう材としての銅は使用上の耐熱性及び耐食性に全く問題はない。
しかしながら、このろう付け用ステンレス基クラッド材を、燃料電池用熱交換器、或いはEGR(Exhaust Gas Recirculation:排ガス再循環装置)クーラ接合用など、耐熱・耐食環境下(高温・腐食性環境下)でろう材として使用した場合、耐熱性及び耐食性に著しい問題が生じる。すなわち、燃料電池用熱交換器やEGRクーラ内には、高温かつ腐食性の高い溶液あるいは排気ガスが循環されるため、従来の銅ろう材においては、耐熱性及び耐食性が十分でなく使用ができない。
特許文献2に記載されている粉末Niろう材、及びJISに記載のニッケルろう材は、粉末状であるため、接合部毎に粉末ろう材を添付(配置)する作業が必要で多大な労力を費やし、製品の生産性が著しく低く、高コストな製品とならざるを得ない。また、粉末ろう材は、基材に塗布するために有機系のバインダを使用するので、バインダの蒸発工程が必要となる他、バインダの蒸発による異臭発生、ろう付け炉内の汚染の問題が生じる。
また、市販のアモルファス箔ニッケルろう材は脆いため、加工及びろう付け組み立て時の取り扱いが難しく、加工コストが高いという問題があった。
そこで本発明の目的は、取扱い性に優れ、かつ、所望の耐熱性及び耐食性を有するろう付け用複合材及びそれを用いたろう付け製品を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、ろう材の一成分である金属Aと、ろう材のもう一方の成分であり、少なくとも一種の金属からなる金属Bを複合一体化してなり、それらを複合させたものの層構造が対称構造を有することを特徴とするろう付け用複合材である。
請求項2の発明は、ろう材の一成分である金属Aと、ろう材の残りの成分であり、少なくとも一種の金属からなる金属B及び金属Cを複合一体化してなり、それらを複合させたものの層構造が対称構造を有することを特徴とするろう付け用複合材である。
請求項3の発明は、上記金属A,B又は上記金属A,B,Cの各層を積層、複合一体化してなり、それらの積層体の層構造が対称構造を有する請求項1又は2記載のろう付け用複合材である。
請求項4の発明は、中心材としての金属Bの層を、厚さの等しい2枚の金属Aの層で挟んだ3層構造を有する請求項1又は3記載のろう付け用複合材である。
請求項5の発明は、上記金属Aがニッケル或いはニッケル合金で構成され、上記金属Bがチタン或いはチタン合金で構成される請求項4記載のろう付け用複合材である。
請求項6の発明は、上記金属Aが鉄−ニッケル合金で構成され、上記金属Bがチタン或いはチタン合金で構成される請求項4記載のろう付け用複合材である。
請求項7の発明は、中心材としての金属Cの層を、厚さの等しい2枚の金属Bの層で挟み、さらにその上を厚さの等しい2枚の金属Aの層で挟んだ5層構造を有する請求項2又は3記載のろう付け用複合材である。
請求項8の発明は、上記金属Aが鉄−ニッケル合金で構成され、上記金属Bがチタン或いはチタン合金で構成され、上記金属Cがニッケルで構成される請求項7記載のろう付け用複合材である。
請求項9の発明は、棒状又はワイヤ状の上記金属Bの周りを金属Aで被覆、複合一体化してなり、それらの複合体の層構造が対称構造を有する請求項1記載のろう付け用複合材である。
請求項10の発明は、棒状又はワイヤ状の上記金属Cの周りを金属Bで被覆し、さらにその上を金属Aで被覆、複合一体化してなり、それらの複合体の層構造が対称構造を有する請求項2記載のろう付け用複合材である。
請求項11の発明は、請求項1〜10いずれかに記載のろう付け用複合材を用い、組み立てられた被ろう付け材同士をろう付け接合したことを特徴とするろう付け製品である。
本発明によれば、取扱い性に優れ、かつ、所望の耐熱性及び耐食性を有するろう付け用複合材を得ることができる。
以下、本発明の好適一実施の形態を添付図面に基いて説明する。
前述した目的を達成するために、本発明者らが鋭意研究し、耐熱性、耐腐食性を有し、さらにろう付け作業時のコストを低減させるろう付け用複合材の構成について種々検討した結果、ろう材としての材料を所定の構成及び組成に選定したろう付け用複合材を完成するに至った。
すなわち、本発明の好適一実施の形態に係るろう付け用複合材は、ろう材の一成分である金属Aと、ろう材のもう一方の成分であり、少なくとも一種の金属からなる金属Bを複合一体化してなるものであり、具体的には、金属A,Bの各層を積層、複合一体化してなるものである。
この積層体の層構造は対称構造を有しており、中心材としての金属Bの層を、厚さの等しい2枚の金属Aの層で挟んだ3層構造となっている。金属A,Bの組み合わせは、例えば、図1に示すように、金属AとしてFe−Ni合金の層1、金属BとしてTi(又はTi合金)の層2が挙げられ、積層構造がFe−Ni合金層1/Ti層2/Fe−Ni合金層1の3層構造とされる。
ろう付け用複合材に、リンを0.02〜10mass%程度添加すると、ろうの湯流れ性や耐酸化性が更に向上する。リンの添加量が増えると(10mass%よりも多いと)、接合される基材(被ろう付け材)の種類によっては、強度低下が発生する。好ましいリンの添加量の範囲は0.02〜5.0mass%である。
また、ろう付け用複合材に、銅、マンガンを含ませることで湯流れ性は更に向上し、また、アルミ、クロム、シリコンを含ませることで耐酸化性を向上させることができる。
ステンレス鋼をはじめとする鉄系合金の基材(以下、Fe基材という)のろう付けを行う場合、ろう付け用複合材中にFeを添加することが望ましい。これは、Feを添加することで、Fe基材の食われを低減することができるためである。Feの添加量は、50mass%以下が望ましく、好ましくは20〜50mass%とされる。これは、Fe添加量が50mass%を超えると、耐食性及びろうの湯流れ性が低下するためである。
本実施の形態においては、図1に示したように、ろう付け用複合材が3層構造の場合を例に挙げて説明を行ったが、ろう付け用複合材は、5層構造、或いは6層以上の層構造であってもよい。例えば、5層構造の場合、図2に示すように、金属AとしてFe−Ni合金の層1、金属BとしてTi(又はTi合金)の層2、金属CとしてNiの層3が挙げられ、積層構造がFe−Ni合金層1/Ti層2/Ni層3/Ti層2/Fe−Ni合金層1とされる。また、金属の種類としては、金属A,B,Cの3種に限らず、金属A,B,C,D…と4種以上を用いてもよい。
また、本実施の形態においては、図1に示したように、ろう付け用複合材が箔状の積層体である場合を例に挙げて説明を行ったが、ろう付け用複合材は、棒状又はワイヤ状であってもよい。例えば、図3に示すように、金属BとしてTi(又はTi合金)のワイヤ5、金属AとしてFe−Ni合金の被覆層6が挙げられ、金属Bの周りを金属Aで被覆、複合一体化してなり、それらの複合体の層構造が対称構造(ワイヤ中心から同心状に被覆層6を配置した構造)とされる。また、図4に示すように、金属CとしてNiのワイヤ7、金属BとしてTi(又はTi合金)の被覆層8、金属AとしてFe−Ni合金の被覆層6が挙げられ、金属Cの周りを金属Bで被覆し、さらにその上を金属Aで被覆、複合一体化してなり、それらの複合体の層構造を対称構造(ワイヤ中心から同心状に被覆層8,6を配置した構造)とされる。
所定の被ろう付け材同士を組み立ててなる組み立て材において、所望のろう付け接合箇所に、上述した本実施の形態に係るろう付け用複合材を配置し、ろう付けすることで、被ろう付け材同士がろう付け接合部を介してろう付けされ、本実施の形態に係るろう付け製品が得られる。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
ろう付け用複合材には、基材付き(有り)のものと、基材レス(無し)のものとがあるが、基材レスの場合では、基材付きと比較して、「ろう部の組成均一性」がろう付け層の積層構造に依存する度合いが高い。この「ろう部の組成均一性」は、ろう付け特性を左右する特性の1つである。
よって、基材レスのろう付け用複合材である本実施の形態に係るろう付け用複合材は、中心材としての金属Bの層を、厚さの等しい2枚の金属Aの層で挟み、積層体の層構造(各層の組成及び厚さ)を対称構造としている。これにより、異種金属A,B間の反応(拡散反応)が金属Aと金属Bの各界面において均一に起こり、ろう材の溶融、流れが均一となる。その結果、ろう付け後におけるろう部(ろう付け接合部)の組成が均一となり、良好な耐熱性及び耐食性が得られる。
更に、このろう付け用複合材は、自由な形状、大きさに加工が可能であるため、一度目のろう付け後、ろう付け接合部における未接合の箇所、或いはろう材が不足している箇所にこのろう付け用複合材を配置し、補修用ろう付け材として二度目のろう付けに利用することができ、補修用途の部材としても利用価値が高い。
本実施の形態に係るろう付け用複合材は、EGR用クーラや燃料電池改質器用クーラなどの熱交換器や、燃料電池用部材のろう材のみに限定されるものではなく、高耐食性が要求される接合分野においては、その用途が限定されないのは言うまでもない。
以下、本発明の実施例を説明する。
(実施例1)
Fe−70mass%Ni条材(厚さ0.61mm)、Ti条材(厚さ1.0mm)、Fe−70mass%Ni条材(厚さ0.61mm)を圧延法によりクラッドし、ろう付け用複合材(Fe−Ni/Ti/Fe−Ni)を作製した。その後、このろう付け用複合材に圧延を繰り返し、全体の合計厚さを50μmとした。このろう付け用複合材をステンレス鋼板上に設置し、更にその上にステンレス鋼パイプを載せた後、1200℃の管状炉で加熱し、ろう付け特性を評価した。
(実施例2)
Ni条材(厚さ0.09mm)、Cu条材(厚さ1.02mm)、Ni条材(厚さ0.09mm)を圧延法によりクラッドし、ろう付け用複合材(Ni/Cu/Ni)を作製した。その後、このろう付け用複合材に圧延を繰り返し、全体の合計厚さを50μmとした。このろう付け用複合材をステンレス鋼板上に設置し、更にその上にステンレス鋼パイプを載せた後、1200℃の管状炉で加熱し、ろう付け特性を評価した。
(実施例3)
インバー(登録商標)条材(厚さ0.36mm)、Ti条材(厚さ0.5mm)、Ni条材(厚さ0.52mm)、Ti条材(厚さ0.5mm)、インバー条材(厚さ0.36mm)を圧延法によりクラッドし、ろう付け用複合材(インバー/Ti/Ni/Ti/インバー)を作製した。その後、このろう付け用複合材に圧延を繰り返し、全体の合計厚さを50μmとした。このろう付け用複合材をステンレス鋼板上に設置し、更にその上にステンレス鋼パイプを載せた後、1200℃の管状炉で加熱し、ろう付け特性を評価した。
(実施例4)
インバー(登録商標)条材(厚さ1.13mm)、Ti条材(厚さ0.5mm)、Ni条材(厚さ0.06mm)、Ti条材(厚さ0.5mm)、インバー条材(厚さ1.13mm)を圧延法によりクラッドし、ろう付け用複合材(インバー/Ti/Ni/Ti/インバー)を作製した。その後、このろう付け用複合材に圧延を繰り返し、全体の合計厚さを50μmとした。このろう付け用複合材をステンレス鋼板上に設置し、更にその上にステンレス鋼パイプを載せた後、1200℃の管状炉で加熱し、ろう付け特性を評価した。
(比較例1)
Fe−70mass%Ni条材(厚さ0.72mm)、Ti条材(厚さ1.0mm)、Fe−74mass%Ni条材(厚さ0.5mm)を圧延法によりクラッドし、ろう付け用複合材(Fe−Ni/Ti/Fe−Ni)を作製した。その後、このろう付け用複合材に圧延を繰り返し、全体の合計厚さを50μmとした。このろう付け用複合材をステンレス鋼板上に設置し、更にその上にステンレス鋼パイプを載せた後、1200℃の管状炉で加熱し、ろう付け特性を評価した。
(比較例2)
Ni条材(厚さ0.13mm)、Cu条材(厚さ1.02mm)、Ni条材(厚さ0.05mm)を圧延法によりクラッドし、ろう付け用複合材(Ni/Cu/Ni)を作製した。その後、このろう付け用複合材に圧延を繰り返し、全体の合計厚さを50μmとした。このろう付け用複合材をステンレス鋼板上に設置し、更にその上にステンレス鋼パイプを載せた後、1200℃の管状炉で加熱し、ろう付け特性を評価した。
(比較例3)
インバー(登録商標)条材(厚さ0.72mm)、Ti条材(厚さ1.0mm)、Ni条材(厚さ0.52mm)を圧延法によりクラッドし、ろう付け用複合材(インバー/Ti/Ni)を作製した。その後、このろう付け用複合材に圧延を繰り返し、全体の合計厚さを50μmとした。このろう付け用複合材をステンレス鋼板上に設置し、更にその上にステンレス鋼パイプを載せた後、1200℃の管状炉で加熱し、ろう付け特性を評価した。
(比較例4)
インバー(登録商標)条材(厚さ0.36mm)、Ti条材(厚さ1.0mm)、Ni条材(厚さ0.52mm)、インバー条材(厚さ0.36mm)を圧延法によりクラッドし、ろう付け用複合材(インバー/Ti/Ni/インバー)を作製した。その後、このろう付け用複合材に圧延を繰り返し、全体の合計厚さを50μmとした。このろう付け用複合材をステンレス鋼板上に設置し、更にその上にステンレス鋼パイプを載せた後、1200℃の管状炉で加熱し、ろう付け特性を評価した。
(比較例5)
インバー(登録商標)条材(厚さ1.36mm)、Ti条材(厚さ0.5mm)、Ni条材(厚さ0.03mm)、Ti条材(厚さ0.5mm)、インバー条材(厚さ1.0mm)を圧延法によりクラッドし、ろう付け用複合材(インバー/Ti/Ni/Ti/インバー)を作製した。その後、このろう付け用複合材に圧延を繰り返し、全体の合計厚さを50μmとした。このろう付け用複合材をステンレス鋼板上に設置し、更にその上にステンレス鋼パイプを載せた後、1200℃の管状炉で加熱し、ろう付け特性を評価した。
(従来例1)
ステンレス鋼板上に、厚さ50μmに圧延したCu箔(ろう材)を設置し、さらにその上にステンレス鋼パイプを載せた後、1120℃の管状炉で加熱し、ろう付け特性を評価した。
(従来例2)
ステンレス鋼板の片面に、JIS規格のBNi−5に相当する市販の粉末Niろう材を合成樹脂バインダで溶いたものを塗布し、さらにその上にステンレス鋼パイプを載せた後、1180℃の管状炉で加熱し、ろう付け特性を評価した。
(従来例3)
ステンレス鋼板の片面に、JIS規格のBNi−5に相当する市販のアモルファス箔Niろう材を設置し、さらにその上にステンレス鋼パイプを載せた後、1180℃の管状炉で加熱し、ろう付け特性を評価した。
また、補修用途としてのろう付けを模擬するため、実施例1のろう付けで得られたろう付け製品を基準材とし、この基準材のろう付け接合部付近に、実施例1〜4、比較例1〜5のろう付け用複合材をそれぞれ配置し、2度目のろう付け熱処理を行い、サンプル1〜9を作製した。これらのサンプルをろう付け一回目と同様の方法で評価した。
表1に、実施例1〜4及び比較例1〜5の各ろう付け用複合材、従来例1〜3の各ろう材に対して、ろうの流れ性、ろう付け後におけるろう部の組成の均一性(ろう付け一回目、2度ろう付け後)、腐食発生の有無、ろう付生産性(取扱い性)を比較し、それぞれのろう付け用複合材及びろう材の総合評価を行ったものを示す。
ここで、ろうの流れ性は、パイプろう付け部のフィレット量(ろう付け接合部へのろうの集まり量)の大きさによって評価した。ろう部の組成均一性については、ろう付け後のろう付け接合部断面のSEM−EDXを用いた成分分析及びライン分析により評価した。腐食試験は、塩素イオン、硫酸イオンを含んだ腐食性溶液中に試料を1000h浸漬し、取り出した後のろう付け部について詳細な観察を行い、腐食の発生の有無を調査した。
Figure 2008049368
表1によれば、実施例1〜4に示す様に、対称構造を有するろう付け用複合材は、異種金属間の反応が均一であるため、ろうの流れ性に優れ、また、ろう付け後におけるろう部の組成のばらつきが小さいことがわかった。また、Ti−Ni−Fe系ろう材の場合、ろう材中のFe濃度を20〜50mass%とすることで、優れた耐食性を確保できることがわかった。さらに、実施例1〜4のろう付け用複合材は、全て圧延、プレスなどの加工が可能であり、また、板状であるため、ろう付け生産性にも優れていると判断できる。
一方、実施例1と同じろう材部組成を持つものの、ろう材部の積層構造が非対称、すなわち両最外層の層厚が異なる(t1,t2)比較例1の場合、異種金属間の反応が均一でないため、ろう付け接合部の位置におけるろう部の組成のばらつきが大きいことがわかった。また、比較例2に示すCu−Ni系ろう材の場合でも同様に、ろう材部の積層構造が非対称であるため、ろうの流れ性が不足し、ろう部の組成均一性にも問題があることがわかった。
比較例3,4については、実施例3と同一のろう材部組成であるものの、ろう材部の積層構造が非対称であるため、ろうの流れ性が不足し、ろう部の組成均一性にも問題があることがわかった。
比較例5は、ろう材部の積層構造が非対称であることに加え、Fe濃度が50mass%を超えているため、ろうの流れ性が更に悪化し、ろう部の組成均一性も悪いことがわかった。また、ろう材部のFe濃度が50mass%を超えると、耐食性に問題が発生することがわかった。このことから、ろう材部のFe濃度は50mass%以下であることが望ましいといえる。
補修を模擬した2度ろう付け後におけるろう部の組成の均一性の評価結果は、ろう付け一回目と同様であり、実施例1〜4についてのみ良好な結果を得ることができた。この結果からも、本発明のろう付け用複合材は、補修用途の利用にも優れていると判断できる。
従来例1に示すCu箔は、加工性、取り扱い性に優れ、比較的融点が低いため、単体でろう材として利用できるものの、耐食性試験では著しい腐食が発生し、高耐食環境下(高い腐食性環境下)での使用に耐えられないことがわかった。
従来例2に示す粉末Niろうは、耐食性に優れているものの、粉末ろう材であることや、有機物系のバインダーを用いることなどから、生産性が著しく低下してしまう。また、この粉末Niろう材を塗布した後の状態では、加工はもとより、振動が加わるだけでろう材が基材から剥離、脱落してしまうため、取扱いが著しく難しいことがわかった。
従来例3に示すアモルファス箔Niろうは、耐食性に優れているものの、箔形状ではあるが非常に脆い箔であることから、取扱い性が著しく低かった。
本発明の好適一実施の形態に係るろう付け用複合材の横断面図である。 図1の第1変形例である。 図1の第2変形例である。 図3の変形例である。
符号の説明
1 金属Aの層
2 金属Bの層

Claims (11)

  1. ろう材の一成分である金属Aと、ろう材のもう一方の成分であり、少なくとも一種の金属からなる金属Bを複合一体化してなり、それらを複合させたものの層構造が対称構造を有することを特徴とするろう付け用複合材。
  2. ろう材の一成分である金属Aと、ろう材の残りの成分であり、少なくとも一種の金属からなる金属B及び金属Cを複合一体化してなり、それらを複合させたものの層構造が対称構造を有することを特徴とするろう付け用複合材。
  3. 上記金属A,B又は上記金属A,B,Cの各層を積層、複合一体化してなり、それらの積層体の層構造が対称構造を有する請求項1又は2記載のろう付け用複合材。
  4. 中心材としての金属Bの層を、厚さの等しい2枚の金属Aの層で挟んだ3層構造を有する請求項1又は3記載のろう付け用複合材。
  5. 上記金属Aがニッケル或いはニッケル合金で構成され、上記金属Bがチタン或いはチタン合金で構成される請求項4記載のろう付け用複合材。
  6. 上記金属Aが鉄−ニッケル合金で構成され、上記金属Bがチタン或いはチタン合金で構成される請求項4記載のろう付け用複合材。
  7. 中心材としての金属Cの層を、厚さの等しい2枚の金属Bの層で挟み、さらにその上を厚さの等しい2枚の金属Aの層で挟んだ5層構造を有する請求項2又は3記載のろう付け用複合材。
  8. 上記金属Aが鉄−ニッケル合金で構成され、上記金属Bがチタン或いはチタン合金で構成され、上記金属Cがニッケルで構成される請求項7記載のろう付け用複合材。
  9. 棒状又はワイヤ状の上記金属Bの周りを金属Aで被覆、複合一体化してなり、それらの複合体の層構造が対称構造を有する請求項1記載のろう付け用複合材。
  10. 棒状又はワイヤ状の上記金属Cの周りを金属Bで被覆し、さらにその上を金属Aで被覆、複合一体化してなり、それらの複合体の層構造が対称構造を有する請求項2記載のろう付け用複合材。
  11. 請求項1〜10いずれかに記載のろう付け用複合材を用い、組み立てられた被ろう付け材同士をろう付け接合したことを特徴とするろう付け製品。
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