JP2008049348A - 沈下基礎修復用膨張型鋼管の製造方法 - Google Patents
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【解決手段】中空内部に外周面の一部を折り込んだ断面凹型形状の所定長の異形管を素管とし、その両端に高水圧の付加によって変形することのない強度を有する円筒形のスリーブが装着された水密構造を有する管体の一方のスリーブに設けた高圧水注入孔から高圧水を注入して前記凹型断面部を膨張させた後に、膨張させた管の両端のスリーブ近傍を除く部分を対向する平坦面あるいは曲面を有するプレス型に挿入して押圧成形し、前記管体長手方向のいずれの断面においてもその周長がほぼ同じであり、かつ前記管体のスリーブに隣接する部位を除いた部分の断面形状が扁平化された断面で構成される管体を得る。
【選択図】図1
Description
しかしながら、この手法は、設置面積の狭い基礎に、設計時に想定していない過度の負荷を負わせるために、基礎を破壊するおそれがあるばかりでなく、作業そのものにも以外に手間を要している。
また、予め扁平にプレスした鋼管を膨張させ、元の丸形状に戻る際の変位を利用して、沈下基礎を修復させる技術が特許文献2に記載されている。
また、前記特許文献2では、扁平にプレスされた膨張型鋼管に代わって、本出願人が特開2003−206698号公報で提案している、中空内部に外周面の一部を折り込んだ凹型の断面形状を有する膨張型異形管からなる膨張型鋼管が用いられ得ることも紹介されている。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、形状を工夫することにより、膨張量、すなわち沈下基礎の回復量を大きくすることが可能な沈下基礎修復用膨張型鋼管を低コストで製造することを目的とする。
そこで、本発明者等は、沈下基礎修復用膨張型鋼管の膨張量、すなわち沈下基礎の回復量を大きくすることが可能な形状について種々検討を重ねてきた。
そこで、本発明は、前記した膨張型の異形管を一旦膨張させて径を拡大した後に、上下よりプレス圧を加えて扁平化した断面形状としたものである(図1参照)。このため、スリーブ間の形状は、管体長手方向のいずれの断面においてもその周長がほぼ同じであり、かつ当該管体断面形状がスリーブに隣接する部位が凹型断面で、スリーブに隣接する部位を除いた部分が扁平化された断面となっている(図2参照)。
このように、膨張用凹部を有する異形管を一旦膨張させて円形断面にした後に、プレスにより扁平断面形状にすることにより、単に凹部を有する場合と比べて膨張高さ、すなわち、沈下基礎の回復量を格段に大きくすることが可能になる。
引張強度が400N/mm2を超える高強度鋼材では伸びが40%を大きく下回ることから、扁平形状からの膨張の際に破裂を生じる虞がある。引張強度400N/mm2級の鋼管の許容応力を400N/mm2とすると、膨張時の水圧25MPaに耐えるためには鋼管の肉厚tと外径Dの比t/Dが約3%以上であることが必要となる。また、扁平加工時に極端に高さを低くすると扁平管の断面の両端の部分での曲げひずみが過大となってその部分の変形能を損ない破裂を生じる危険性があることから、扁平管の高さは管の肉厚の7倍程度以上必要である。
中空内部に外周面の一部を折り込んだ断面凹型形状の所定長の異形管を素管とし、その両端に高水圧の付加によって変形することのない強度を有する円筒形のスリーブを装着して水密構造を有する膨張用の管体を作製する。一方のスリーブに高圧水注入孔を穿ち、この注水孔から高圧水を注入して前記凹型断面部を膨張させた後に、膨張させた管の両端のスリーブ近傍を除く部分を対向する平坦面あるいは曲面を有するプレス型に挿入して押圧成形し、前記管体長手方向のいずれの断面においてもその周長がほぼ同じであり、かつ前記管体の断面形状がスリーブに隣接する部位を除いた管体部分が扁平化された断面で構成される管体を得る。
金属めっきとしては、Zn系めっき,Zn−Al系合金めっき(Zn−5%Alめっき,Zn−55%Al系めっき等),Zn−Al−Mg系合金めっきされたものが好ましいが、特にMg:0.05〜10質量%,Al:4〜22質量%,残部Zn及び不可避的不純物からなるZn−Al−Mg系合金めっきが施されたものが好ましい。
ロール成形法を採用した場合には、例えば次のような工程を経て製造される。
図3に見られるように、まず、(a)例えば高周波溶接法等で溶接された鋼管を準備し、(b)凹異形管の凹部の周方向長さと、凹部以外の周方向長さにほぼ適合するように円弧の半径並びに角度を設定した大小2種類の凸曲面よりなる断面にロール成形する(第一工程)。その後、(c)前記2種類の凸曲面の内の曲率半径の大きい面の中央表面から円盤状ロールを当て前記曲率半径の大きい面を管の内側に窪ませるようにロール成形する(第二工程)。その後さらに、(d)、(e)中央が窪み樋状に湾曲した断面の両側にロールを当て樋状開口部を狭めて管外径を小さくロール成形して(第三工程)、半径方向に窪ませたくぼみを軸方向にわたって長く形成した膨張用の異形管を製造する。
第一の成形工程にあっては、素管Mを図4(a)に示すような曲率半径の大きい凹みをもつロール11とそれよりも曲率半径の小さいロール12とからなる成形スタンドを通す。この工程では、曲率半径を順次大きくした2段階以上の成形スタンドを通してもよい。
次に第二の成形工程にあっては、素管Mはその断面が大小2種類の凸曲面よりなるようにロールによって成形されているので、図4(b)に示すように前記第一の成形工程で使用した曲率半径の小さい凹部をもつロールと同じかそれよりも小さい曲率半径の凹部をもつロール22と端部の曲率半径が小さい円盤状の凸ロール21とからなる成形スタンド間を、前記曲率半径が大きい方の凸曲面中央に前記円盤状のロール21を押付けるように通す。この工程でも、曲率半径を順次小さくした2段階以上の成形スタンドを通してもよい。この工程での素管の断面は、中央が窪み樋状に湾曲した形状で、その外形は素管の最初の径に近い半円形状となっている。
円筒形のスリーブSを圧入した後、膨張用鋼管を構成する異形管M端部の内面を変形させるために、円柱形状部2と円錐形状部1が一体に組み合わされた形状の押圧金具Dを異形管の端部開口から圧入する。なお、この押圧金具Dとして、スリーブ内径寸法から板厚の4倍の寸法を差し引いた寸法の外径を有する円筒形状部2を有するものを用いると、円柱形状部2の作用により管端部の鋼管壁をスリーブ内壁に沿った密着状態に変形させることができる(図6参照)。
なお、異形管端部とスリーブを溶接接合した後に高圧水注入孔Hを設けるとき、異形管やスリーブの寸法精度の影響により、あるいは密閉して溶接する際の加工や溶接の影響を受けた歪みの発生により、スリーブ内面と異形管外面とが密着せず、両者の間に空隙が生じている場合がある。このため、スリーブSと異形管Mの両者を貫通する流体注入孔Hの内壁を覆うように、中空の円筒状ピン(図示せず)を挿し込んでもよい。
その後、一旦膨張させた異形管の、建築物の沈下基礎の修復に用いる部分を、対向する平坦面あるいは曲面を有するプレス型内に配置し両側からプレス成形し、前記修復に用いる部分を扁平化して、扁平化された断面形状の膨張型異形管を得る。
板厚2mmの鋼板を素材とし、高周波誘導溶接により外径54mmのパイプ(板厚/外径=3.7%)に成形した後、直ちに外径約36mmの凹型断面を有する異形鋼管を成形した。
この異形鋼管を長さ2mに切断し、両管端約100mm分を縮管金型にて直径33mmに縮管した後、一端に封止側スリーブとして外径38.1mm,肉厚2.55mm,長さ70mmのパイプを被せ、さらにポンチ圧入箇所にポンチを圧入することによって管端部を封止側スリーブに沿った密着扁平状態に成形し、溶接により封止した。縮管した異形鋼管の他端にも、同様に注水側スリーブを形成するために外径41mm,肉厚4mm,長さ70mmのパイプを被せ、さらに管端の開口にポンチを圧入することによりパイプ内壁に沿った密着扁平状態に形成し、溶接により封止した後、注水側スリーブ先端より約25mmの位置で異形管の凹部を避けて径約3mmの高圧水注入孔をスリーブの肉厚4mm及び異形管の肉厚2mmを貫通するように穿設して、膨張用鋼管を作製した。
本発明例では、上記で製造された膨張型異形管の注水側スリーブから、膨張用の加圧水を付加し、最終的には20MPaにまで加圧して異形管の中ほど部を元の54mmの径まで膨張させた後に、膨張させた管の両端のスリーブ近傍を除く部分を対向する平坦面を有するプレス型装置に挟み、当該部分を厚さ15mmまで押圧し扁平化した。
両者を比較すると、本発明方法により得られた円形断面に膨張された後に扁平化された膨張型鋼管では、膨張により54mm−15mm=39mmの膨張高さを確保することができるのに対して、従来例である断面凹型のままの膨張型異形管では、膨張により54mm−36mm=18mmの膨張高さしか確保することができない。
本発明方法で得られた膨張型鋼管が、従来例と比べて沈下基礎回復能が格段に優れていることが理解できる。
Claims (2)
- 中空内部に外周面の一部を折り込んだ断面凹型形状の所定長の異形管を素管とし、その両端に高水圧の付加によって変形することのない強度を有する円筒形のスリーブが装着された水密構造を有する管体の一方のスリーブに設けた高圧水注入孔から高圧水を注入して前記凹型断面部を膨張させた後に、膨張させた管の両端のスリーブ及びその近傍を除く管体部分を対向する平坦面あるいは曲面を有するプレス型に挿入して押圧成形し、前記管体長手方向のいずれの断面においてもその周長がほぼ同じであり、かつ前記管体のスリーブに隣接する部位を除いた部分の断面形状が扁平化された断面で構成される管体を得ることを特徴とする沈下基礎修復用膨張型鋼管の製造方法。
- 素材鋼管に、大小2種類の凸曲面よりなる断面にロール成形する工程と、前記2種類の凸曲面の内の曲率半径の大きい凸曲面の中央に円盤状ロールを当てて前記曲率半径の大きい凸曲面を管の内側に窪ませるようにロール成形する工程と、その後に中央が窪み樋状に湾曲した断面の両側にロールを当てて樋状開口部を狭めて管外径を小さくロール成形する工程を経て断面凹型形状に成形した後、所定寸法に裁断した異形管を素管とする請求項1に記載の沈下基礎修復用膨張型鋼管の製造方法。
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