JP2001321844A - 金属管のハイドロフォーム方法および金型 - Google Patents
金属管のハイドロフォーム方法および金型Info
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Abstract
製品をハイドロフォームにより得る方法、およびその方
法に用いる金型の提供。 【解決手段】金属素管内300に液体105を導入し、液体に
圧力を負荷して金属素管を部分的に膨出させ異形管状製
品に成形するハイドロフォーム方法において、金属素管
の膨出し易い部位300aと膨出しにくい部位300bで構成さ
れる膨出予定部の少なくとも膨出し易い部位の外周面を
押圧し、膨出し易い部位と膨出しにくい部位とが同調し
て膨出するように拘束力を制御して膨出加工するハイド
ロフォーム方法。
Description
が異なる複数の短尺金属管を長手方向に接合した組立素
管(以下、テーラード素管という)をハイドロフォーム
によって異形管状製品に成形する方法および金型に関す
る。
イドロフォームによって各種の断面形状を有する異形管
に成形する技術が、自動車などの構造部材の成形に使用
されている。
明するための金型部の縦断面図で、図4(a)は膨出加
工する直前の状態を示し、図4(b)は膨出加工後の状
態を示す図である。
加工した後で溶接して製造した溶接管であっても、継目
無管であってもよい。
02に素管110がセットされ、図示しない加圧装置に
よって降下せしめた上型101が下型102に押しつけ
られる。次いで、上型素管ガイド部101aと下型素管
ガイド部102aで挟持された素管110の両管端に向
かって、図示しない駆動装置によって軸押し工具10
3、104を前進せしめ、軸押し工具先頭部103a、
104aを素管内に圧入し、一方の軸押し工具104を
貫通する流路104bから加工液を注入するとともに、
素管内の空気を他方の軸押し工具を貫通する流路103
bから追い出し、流路103bの延長先の図示しないバ
ルブを閉じ、素管内を加工液105で満たして圧力を付
与して膨出加工がおこなわれる。加工液としては、防錆
剤を添加した水が一般的に用いられる。
管110内に圧入するのは、加工液105をシールする
ためである。なお、ハイドロフォーム製品が長手方向に
曲がった形状の場合は、あらかじめ曲げ加工した素管を
ハイドロフォーム金型にセットする。また、製品幅が素
管径よりも小さい場合には、ハイドロフォーム金型内に
セット可能な断面寸法につぶし加工した素管をハイドロ
フォーム金型にセットする。次いで、流路104bの延
長先の図示しない増圧機によって加工液105の圧力を
増加させながら、軸押し工具103、104を前進させ
て素管110に軸圧縮力を付加し、素管の長さを減少さ
せながら、上下型内の空間106内に膨出させる。図4
(b)は、膨出した材料表面全体が上型内郭部101
b、下型内郭部102bに接触した状態を示す。この
後、加工液105の圧力を減じ、軸押し工具103、1
04の後退と上型101の上昇とをさせ、製品107を
下型102から取り出す。
膨出部の肉厚が周長増加にともなって減少し、場合によ
っては破断を生ずる恐れがある。軸押し工具103、1
04による材料の押し込みは、材料を膨出部に送り込む
ことによって膨出部の減肉や破断を抑制するのが目的で
ある。もちろん、膨出部の周長増加が小さくて減肉や破
断が問題とならない場合には積極的な材料の軸方向押し
込みは必要がなく、軸押し工具103、104は加工液
のシールのみに使用される。
の剛性や強度を部分的に向上させる必要がある場合には
素管110の肉厚を厚くしたり、強度の大きい材質を選
択する必要がある。しかしながら、厚肉の素管を使用し
た場合には膨出部以外の部分も厚肉となるので、ハイド
ロフォーム製品の重量が嵩んでしまうのが問題である。
また、材料強度の増加を合金成分の添加で達成する場合
には材料コストの上昇を招いてしまう。
部が部分的に板厚や強度が異なる異形管状製品をハイド
ロフォームにより得る方法、およびその方法に用いる金
型を提供することにある。
数の短尺金属管を長手方向に接合した組立素管をハイド
ロフォームする方法に着目し、下記のような試験をおこ
なった。
でる。図6(a)は、同一材質の薄肉管300aと厚肉
管300bを組み合わせた素管300(以下、異肉厚素
管という)で、溶接部301は全周溶接されている。図
6(b)は同一肉厚の低強度管310aと高強度管31
0bを組み合わせた素管310(以下、異強度素管とい
う)で、溶接部311は全周溶接されている。
いてハイドロフォームをおこなった場合の問題点は下記
の通りであった。
用いてハイドロフォームした場合の問題点を説明するた
めの図である。図8(a)は、異肉厚素管300を上下
金型内にセットし、両管端を軸押し工具103、104
でシールして素管内を加工液105で満たした状態を示
す。加工液105の圧力を増加させていくと、まず薄肉
部300aが周方向引張力で降伏し、図8(b)のよう
に薄肉部が膨出する。この状態では溶接部301に軸方
向の引張力が作用し、溶接部301が破断する危険があ
る。なお、図6(a)の異肉厚素管300が切削加工な
どで製作した一体品の場合でも、やはり肉厚が急変する
境界部が破断し易いという問題がある。溶接部が破断せ
ず、引き続いて増圧が可能な場合でも、厚肉部300b
の膨出が遅れることにより問題が生じる。図8(c)
は、厚肉部と薄肉部との肉厚差が大きい場合に生じる現
象で、厚肉部300bと金型内郭部101b、102b
の間に膨出した薄肉部が入り込み、しわ302が形成さ
れた状態を示す。また、図8(d)は、厚肉部の膨出が
完了する時点までに薄肉部が軸方向に伸ばされているこ
とによってしわ303が残る場合で、図8(b)の場合
よりも軽度である。図8(c)(d)のしわは、軸押し
をおこなう場合にはさらに助長されることになる。以上
の問題点は、膨出し易い部分と膨出しにくい部分が隣り
合っていることに起因するものであり、図6(b)の異
強度素管310の場合でも同様である。図8(b)
(c)(d)のような不良現象は膨出部の周長増加率を
小さくすれば回避できるが、製品形状が制約されてしま
う問題がある。
させるハイドロフォーム製品の成形についての問題点で
あるが、逆に膨出部の剛性や強度を部分的に弱くしたハ
イドロフォーム製品もある。これはハイドロフォーム製
品に外力が加わった時の変形を特定部位(複数でも良
い)に集中させることを目的としている。
の例を示し、図9(a)は膨出部に部分的に薄肉部40
0bがあり、他が厚肉部400aで構成されているハイ
ドロフォーム製品400、図9(b)は膨出部の一部が
低強度材質部410bで、他が高強度材質部410aで
構成されているハイドロフォーム製品410である。こ
れらの製品をハイドロフォームで成形する場合において
も、膨出部が膨出し易い部分と膨出しにくい部分が隣り
合っているために、図8(b)(c)(d)と同様の問
題が生ずる。
ない検討した結果下記のような知見を得た。
ォームすると、肉厚や強度が急変する境界部にしわが発
生するのは、素管の肉厚が薄い部分や強度が低い部分に
相当する膨出し易い部位が、膨出しにくい部位よりも先
に膨出し過ぎることによる。
の膨出予定部を全体的に膨出させるのがよい。
の膨出し易い部位の外周面を押圧して膨出を抑制し、膨
出しにくい部位の膨出に合わせて膨出し易い部位を膨出
させる必要がある。本発明は、このような知見に基づき
なされたもので、その要旨は以下の通りである。
圧力を負荷して金属素管を部分的に膨出させ異形管状製
品に成形するハイドロフォーム方法において、膨出し易
い部位と膨出しにくい部位で構成された金属素管を用
い、膨出予定部の少なくとも膨出し易い部位の外周面を
押圧して、膨出し易い部位と膨出しにくい部位とが同調
して膨出するように押圧力を制御して膨出加工するハイ
ドロフォーム方法。
であって、成形工具は、金型内に収納された膨出し易い
部位と膨出しにくい部位からなる膨出予定部を備えた金
属素管の少なくとも膨出予定部の膨出し易い部位の外周
面を押圧することができ、かつ金型内の空間において金
型に収納した金属素管の軸方向に直交する方向に進退可
能で、押圧力を付与した状態で後退可能であるハイドロ
フォーム金型。
方法および金型について図に基づき具体的に説明する。
ハイドロフォームするための金型例と成形方法について
説明するための図で、図1(a)は成形開始直前の金型
部の縦断面図、図1(b)は横断面図である。
からなっており、金型内の空間部5a、5bに成形工具
2a、2bが設けられている。この成形工具は、金型内
部に収納した膨出し易い部位である薄肉部300aと膨
出しにくい部位である厚肉部300bからなる金属素管
300の少なくとも膨出予定部の膨出し易い部位の外周
面を押圧することができ、かつ金型内部の空間5a、5
bにおいて、金属素管300の軸方向に直交する方向
{図1(a)においては上下方向}に進退自在となって
いる。また、成形工具2a、2bと油圧シリンダ3a、
3bはロッド4a、4bを介して連結されている。油圧
シリンダ3a、3bは、成形工具2a、2bを膨出する
材料に押しつけて拘束力を付与するためのもので、成形
工具の2a、2bの長さと押しつけ力の大きさに応じて
必要な数が金型に装着されている。
上面は製品膨出部の外面形状にならった形状にしてお
く。一例を下記に示す。
いる例を示す図で、図7(a)は素管の縦断面図を、図
7(b)はその素管を膨出加工した製品の縦断面図を示
す。
320bとそれより外径が小さい薄肉管320aが溶接
部321で接合されている。
の場合には、膨出部の段差形状にならった面形状の成形
工具2a、2bを使用することにより、図7(b)に示
したような製品が得られる。
いて説明する。ハイドロフォームは、図1(a)に示す
ように、先ず上下一対の金型の内部に異肉厚素管300
をセットし、両管端を軸押し工具103、104でシー
ルし、素管内に加工液105を満たす。
ける横断面を示し、素管300は予め円形断面から矩形
断面につぶし加工されており、成形工具2a、2bは素
管300の膨出予定部の上下面に当接されている。次い
で、加工液105の圧力を増加させながら、必要に応じ
て軸押し工具103、104を前進させ、素管300を
上下方向に徐々に膨出させる。成形工具2a、2bの役
割は、図8(b)で示したように素管薄肉部300aが
厚肉部300bに先行して膨出するのを防止し、薄肉部
300aと厚肉部300bが同調して膨出するように膨
出形状を制御することである。
料を押さえつける力は、薄肉部の先行膨出を抑制するの
に必要な大きさでよく、成形工具2a、2bは材料の膨
出とともに徐々に後退する。したがって、油圧シリンダ
3a、3bは所定の押圧力で圧力媒体である作動油を逃
がしていく機能を備えておくようにすればよい。
1a、下型1bの内部空間5a、5b内の後退限まで移
動して膨出が完了した状態を示し、図8(c)(d)に
示すしわ302、303の如き不良現象が防止される。
る横断面である。この後、油圧シリンダ3a、3bの押
さえ力を解除し、さらに加工液105の圧力を低下せし
め、上型1aを上昇させて製品200を取り出す。
上下方向におこなうために上下に成形工具2a、2bを
配置している。上あるいは下のみに膨出させる製品形状
の場合には成形工具は膨出させる側のみでよい。
工具2a、2bで押さえながら膨出させる例を説明した
が、図8(b)(c)(d)で示したような不良現象を
回避するには膨出し易い部位を選択的に押さえる方法で
もよい。
成形工具で拘束して成形する例を示す図で、図2(a)
は成形開始直前状態の縦断面図、図2(b)は成形終了
状態を示す縦断面図である。
型1′にセットした成形開始直前の状態を示し、上型1
a′および下型1b’の内部空間5a′、5b′には膨
出予定部の素管薄肉部300aを押さえるための成形工
具2a、2bが収納されており、それぞれの成形工具は
ロッド4a、4bを介して油圧シリンダ3a、3bに連
結されている。なお、図8(b)(c)(d)に示す不
良現象を安定的に回避するためには、成形工具2a、2
bは素管厚肉部300bの端部近傍も押さえられるよう
な長さにしておくことが推奨される。図2(b)は、膨
出とともに成形工具2a、2bが金型内部空間5a′、
5b′内に後退し、ハイドロフォームが終了した状態を
示す。なお、図2においては素管薄肉部300aと素管
厚肉部300bの膨出を完全に同調させる必要はなく、
図8に示した破断やしわが発生しない範囲で素管薄肉部
300aの膨出を僅かに先行させてもよい。
向におこなう場合であるが、左右方向に膨出させること
も可能である。
出して異肉厚製品200に成形する方法を説明するため
の図である。図3(a)は、素管300を上下一対の金
型20にセットした成形開始直前の状態を示し、図3
(b)は図3(a)のロ−ロ部における横断面を示す。
上型20a、下型20bで構成される内部空間5a、5
bに成形工具2a、2bが左右進退自在に収納されてお
り、成形工具2a、2bはロッド4a、4bを介して横
置きの油圧シリンダ3a、3bに連結されて、油圧シリ
ンダ3a、3bは下型20bに固定されている。加工液
105の圧力増加による材料の膨出にともなって、成形
工具2a、2bは膨出部を押さえながら左右に後退し、
図8(b)(c)(d)のような不良現象を抑制する機
能は図1あるいは図2で示した場合と同様である。図
1、図2および図3で示した方法は、一つのハイドロフ
ォーム製品に対して長手方向の部位別に適宜選択して用
いることも可能である。
が、異強度素管についても上記と同様の方法で成形でき
る。
ロフォーム製品の縦断面図で、図5(a)は膨出部20
2が薄肉部202aと厚肉部202bで構成され、両者
が溶接部203で接合されている製品200、図5
(b)膨出部212が低強度材質部212aと高強度材
質部212bで構成され、溶接部213で接合されてい
る製品210を示す。
り、膨出部の断面形状が長手方向に変化してもよい。ま
た、図5(a)、(b)では厚肉部202bあるいは高
強度材質部212bがそれぞれ1ケ所の場合を示した
が、これらが膨出部に複数個あってもよい。
(b)の異強度製品210の場合、図7(b)の異肉厚
製品220の場合、図9(a)の異肉厚製品400の場
合、図9(b)の異強度製品410の場合にも同様に適
用できる。
(b)で示した素管を組み合わせた異肉厚異強度素管で
あってもよい。図6に示す素管は外径が長手方向に一定
であるが、これに限定されるものではない。
を、下記の2種の鋼管を溶接して製作した。
b=4mm、長さlb=200mmの電気抵抗溶接製管プ
ロセスで製造された機械構造用炭素鋼鋼管STKM11
A(JIS−G3445)の両端に、外径D=89.1
mm、肉厚ta=2.3mm、la1、la2=200mm
の電気抵抗溶接で製造された機械構造用炭素鋼鋼管ST
KM11Aをレーザ溶接した。
mm高さの矩形断面形状にプレスによりつぶし加工した
のち、図1に示したハイドロフォーム金型1にて長さl
=400mm、幅w=76mm、高さh=90mmの膨
出部を有する製品を加工液最高圧力2000気圧で成形
した。
ム金型100にて上記異肉厚素管と同様の素管を成形し
た場合には、加工液内圧1200気圧で図8(c)に示
すしわ302が発生し、成形の続行が不可能となった。
を、下記の2種の鋼管を溶接して製作した。
b=2.3mm、長さlb=200mmの電気抵抗溶接製
管プロセスで製造された引張強さ550MPaの機械構
造用炭素鋼鋼管STKM14A(JIS−G3445)
の両側に、同上外径、肉厚で長さla1、la2=200m
mの同上プロセスで製造された引張強さ350MPaの
機械構造用炭素鋼鋼管STKM11Aをレーザ溶接して
製作した。
実施したのち、実施例1と同一のハイドロフォーム金型
を用いて加工液最高内圧1500気圧で成形した。一
方、図8に示す金型にて前記異強度素管を成形した場合
には、加工液内圧800〜900気圧で溶接部が破断
し、目標形状への成形が不可能であった。
異なる異形管状製品をハイドロフォームにより、破断、
しわなどの不良現象を伴うことなく容易に生産ができ、
テーラード素管を使用したハイドロフォームの成形可能
範囲を拡大することができ、ハイドロフォーム製品の機
能を向上させる上で大きな効果を奏する。
方法と金型を説明するための図で、(a)は成形開始直
前状態の縦断面図、(b)は横断面図である。
ーム方法と金型を説明するための図で、(a)は成形開
始直前状態の縦断面図、(b)は横断面図である。
イドロフォームする方法を説明するための図で、(a)
は成形開始直前状態の縦断面図、(b)は横断面図であ
る。
型部の縦断面図である。
れた素管をハイドロフォームにより膨出加工した製品の
縦断面図である。
て製作した素管の縦断面図である。
フォームした製品の縦断面図である。
した場合に生じる問題を説明するための図で、(a)は
成形開始直前の状態を示す図、(b)(c)(d)は薄
肉部が先行膨出することにより生じる不良現象発生状態
を示す図である。
製品の他の例を示す縦断面図である。
Claims (2)
- 【請求項1】金属素管内に液体を導入し、液体に圧力を
負荷して金属素管を部分的に膨出させ異形管状製品に成
形するハイドロフォーム方法において、膨出し易い部位
と膨出しにくい部位で構成された金属素管を用い、膨出
予定部の少なくとも膨出し易い部位の外周面を押圧し
て、膨出し易い部位と膨出しにくい部位とが同調して膨
出するように押圧力を制御して膨出加工することを特徴
とするハイドロフォーム方法。 - 【請求項2】成形工具を内蔵した上下一対の金型であっ
て、成形工具は、金型内に収納された膨出し易い部位と
膨出しにくい部位からなる膨出予定部を備えた金属素管
の少なくとも膨出予定部の膨出し易い部位の外周面を押
圧することができ、かつ金型内の空間において金型に収
納した金属素管の軸方向に直交する方向に進退可能で、
押圧力を付与した状態で後退可能であることを特徴とす
るハイドロフォーム金型。
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