JP2008046561A - 光学系のフォーカシング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】非軸光学系の特長を十分に活かしながらフォーカシングにおいて品質の高い像を得ることのできるフォーカシング方法を提供する。
【解決手段】撮像光学系TLは、複数の光学面と絞りSTを有し、複数の光学面のうちの少なくとも1面として偏芯した反射面S11を有する。偏芯した反射面S11を有する第3プリズムP3をフォーカシング群として、そのフォーカシング群の平行移動と回転移動により、異なる共役距離に対し、軸上の結像位置と軸上主光線の像面S13への入射角度とをほぼ一定に保ちながら、像面S13全体の位置をほぼ一定にするためのフォーカシングを行う。
【選択図】図1

Description

本発明は光学系のフォーカシング方法に関するものであり、例えば、撮像光学系,投影光学系等、あらゆるタイプの非軸光学系に用いられるフォーカシング方法に関するものである。撮像光学系としては、例えば、画像入力機能付きデジタル機器(例えば携帯電話機)において撮像素子の受光面上に被写体の光学像を形成する光学系が挙げられ、投影光学系としては、例えば、プロジェクターにおいて表示素子の画像をスクリーン上に投影する光学系が挙げられる。
近年、撮像光学系や投影光学系を小型化するために、偏芯した光学面(例えば非回転対称な曲面形状を有する自由曲面等)を用いて光路を折り曲げる非軸光学系の開発が行われている。非軸光学系で撮像光学系や投影光学系を実用化するためには、撮影距離や投影距離を変化させても良好な結像性能を確保できるフォーカシング方法が必要である。従来より提案されている非軸光学系のフォーカシング方法としては、例えば、特許文献1,2等で提案されているものが挙げられる。特許文献1記載の非軸光学系では、フォーカシング群の軸上入射主光線と軸上射出主光線とが平行になっており、その方向に対して平行にフォーカシング群を平行移動させることによりフォーカシングを実現している。また、特許文献2記載の非軸光学系では、光学系全体の軸上入射主光線と軸上射出主光線とが平行になっており、その方向に対して平行に光学系を平行移動させることによりフォーカシングを実現している。
偏芯した光学レンズを用いた投影光学系のフォーカシング方法については、特許文献3〜5記載のものが挙げられる。特許文献3〜5では、T.Scheimpflugの理論を用いた、物体面と像面の傾きの関係を満たす、台形歪の少ない光学系が提案されている。具体的な数値実施例の記載は無いが、その構成は共軸系レンズが光軸に対し傾いた場合の光学系について成り立っており、傾いた物面に対しT.Scheimpflugの理論が成り立つように共軸系レンズを配置することにより、台形歪の少ない像を得るようにしている。そしてフォーカシングは、T.Scheimpflugの理論が成り立つように、光学レンズ,像面位置,物体面位置を変化させることにより実現している。
特開平8−292368号公報 特開2005−134832号公報 特開平5−80418号公報 特開平5−113600号公報 特開平6−148566号公報
特許文献1,2で提案されているフォーカシング方法では、フォーカシング群又は全系の軸上入射主光線と軸上射出主光線とが平行になっており、その方向に対して平行にフォーカシング群又は全系を移動させることによりフォーカシングが行われる。非軸光学系における光路の折り曲げは、小型化・薄型化を実現する上で共軸光学系よりも有効である。つまり、光学系や光学素子の軸上入射主光線と軸上射出主光線とを平行にすると、光路を折りたたむことによる小型化や薄型化の効果が薄れてしまい、非軸光学系のメリットを十分に発揮できなくなるのである。
非軸光学系には上記メリットがある一方で、フォーカシング中に像面中心の主光線(つまり軸上主光線)の像面への入射角度が変動するおそれがある。特に軸上主光線の入射が像面に対して垂直から大きく変化すると、その位置での光量の偏りが生じ、非対称な明るさ分布となって像に明るさムラが生じる。その結果、像の明るさムラが発生し、特にフォーカシングに伴ってそのムラが変化するためきれいな像が得られず、実用的なものとは言えなくなる。
特許文献3〜5で提案されているフォーカシング方法は、偏芯した反射面を用いた、偏芯のより大きな非軸光学系の場合、適用が困難である。そのような非軸光学系には、T.Scheimpflugの理論が適用できないからである。T.Scheimpflugの理論を適用するためには、1本の直線から成る光軸が必要であるが、非軸光学系にはそのような軸は通常存在しない。したがって、特許文献3〜5で提案されているフォーカシング方法をフォーカシングに適用しようとしても、光路を折り曲げたような積極的な非軸光学系のフォーカシングを行うことは不可能である。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、非軸光学系の特長を十分に活かしながらフォーカシングにおいて品質の高い像を得ることのできるフォーカシング方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、第1の発明のフォーカシング方法は、複数の光学面と絞りを有し、前記複数の光学面のうちの少なくとも1面として偏芯した反射面を有する光学系のフォーカシング方法であって、前記偏芯した反射面を少なくとも1面有する群をフォーカシング群として、そのフォーカシング群の平行移動と回転移動により、異なる共役距離に対し、軸上の結像位置と軸上主光線の像面への入射角度とをほぼ一定に保ちながら、像面全体の位置をほぼ一定にするためのフォーカシングを行うことを特徴とする。
第2の発明のフォーカシング方法は、上記第1の発明において、前記フォーカシング群が、前記光学面として前記偏芯した反射面のみを有する光学素子、前記光学面として前記偏芯した反射面とその他の光学面とを有する光学素子、それらの組み合わせ、又はそれらのうちの少なくとも1つと他の光学素子との組み合わせから成ることを特徴とする。
第3の発明のフォーカシング方法は、上記第1又は第2の発明において、前記光学系が前記フォーカシング群を複数有し、前記平行移動と回転移動を個々のフォーカシング群について行うことを特徴とする。
第4の発明のフォーカシング方法は、上記第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記フォーカシング群として、軸上入射主光線と軸上射出主光線とが平行でないものを少なくとも1つ有することを特徴とする。
第5の発明のフォーカシング方法は、上記第1〜第4のいずれか1つの発明において、前記フォーカシング群として、フォーカシング中の少なくとも1つの共役距離状態で以下の条件式(1)を満足するものを少なくとも1つ有することを特徴とする。
|φfoc/φall|<5.0 …(1)
ただし、
φfoc:フォーカシング群のパワー、
φall:全系のパワー、
である。
第6の発明のフォーカシング方法は、上記第1〜第5のいずれか1つの発明において、前記フォーカシング群として、フォーカシング中のパワーが一定でないものを少なくとも1つ有することを特徴とする。
第7の発明のフォーカシング方法は、上記第1〜第6のいずれか1つの発明において、前記偏芯した反射面として、自由曲面から成るものを少なくとも1面有することを特徴とする。
第8の発明のフォーカシング方法は、上記第1〜第7のいずれか1つの発明において、前記フォーカシング群として、フォーカシング中の任意の共役距離状態s1,s2の組み合わせのうちの少なくとも1つで以下の条件式(2)を満足するものを少なくとも1つ有することを特徴とする。
|(φi_s2−φi_s1)/φi_s2×100|<25.0 …(2)
ただし、
φi_s1:共役距離状態s1におけるフォーカシング群のパワー、
φi_s2:共役距離状態s2におけるフォーカシング群のパワー、
である。
第9の発明のフォーカシング方法は、上記第1〜第8のいずれか1つの発明において、前記光学系を構成する光学素子の少なくとも1つがプラスチック材料から形成されていることを特徴とする。
第10の発明のフォーカシング方法は、上記第9の発明において、前記プラスチック材料がアサーマル樹脂であることを特徴とする。
第11の発明のフォーカシング方法は、上記第1〜第10のいずれか1つの発明において、前記光学系が撮像素子の受光面上に物体の光学像を形成するための撮像光学系であることを特徴とする。
第12の発明のフォーカシング方法は、複数の光学面と絞りを有し、前記複数の光学面のうちの少なくとも1面として偏芯した反射面を有する光学系のフォーカシング方法であって、前記光学系が前記偏芯した反射面を少なくとも1面有するプリズム光学素子を少なくとも1つ有し、そのうちの少なくとも1つのプリズム光学素子を含む群をフォーカシング群として、そのフォーカシング群の平行移動と回転移動により、異なる共役距離に対し、軸上の結像位置と軸上主光線の像面への入射角度とをほぼ一定に保ちながら、像面全体の位置をほぼ一定にするためのフォーカシングを行うことを特徴とする。
第13の発明のフォーカシング方法は、上記第12の発明において、前記フォーカシング群が、前記光学面として偏芯した光学面のみを有するプリズム光学素子、前記光学面として前記偏芯した反射面とその他の光学面とを有するプリズム光学素子、それらの組み合わせ、又はそれらのうちの少なくとも1つと他の光学素子との組み合わせから成ることを特徴とする。
第14の発明のフォーカシング方法は、上記第12又は第13の発明において、前記光学系が前記フォーカシング群を複数有し、前記平行移動と回転移動を個々のフォーカシング群について行うことを特徴とする。
第15の発明のフォーカシング方法は、上記第12〜第14のいずれか1つの発明において、前記フォーカシング群として、軸上入射主光線と軸上射出主光線とが平行でないものを少なくとも1つ有することを特徴とする。
第16の発明のフォーカシング方法は、上記第12〜第15のいずれか1つの発明において、前記フォーカシング群として、フォーカシング中の少なくとも1つの共役距離状態で以下の条件式(1)を満足するものを少なくとも1つ有することを特徴とする。
|φfoc/φall|<5.0 …(1)
ただし、
φfoc:フォーカシング群のパワー、
φall:全系のパワー、
である。
第17の発明のフォーカシング方法は、上記第12〜第16のいずれか1つの発明において、前記フォーカシング群として、フォーカシング中のパワーが一定でないものを少なくとも1つ有することを特徴とする。
第18の発明のフォーカシング方法は、上記第12〜第17のいずれか1つの発明において、前記偏芯した反射面として、自由曲面から成るものを少なくとも1面有することを特徴とする。
第19の発明のフォーカシング方法は、上記第12〜第18のいずれか1つの発明において、前記フォーカシング群として、フォーカシング中の任意の共役距離状態s1,s2の組み合わせのうちの少なくとも1つで以下の条件式(2)を満足するものを少なくとも1つ有することを特徴とする。
|(φi_s2−φi_s1)/φi_s2×100|<25.0 …(2)
ただし、
φi_s1:共役距離状態s1におけるフォーカシング群のパワー、
φi_s2:共役距離状態s2におけるフォーカシング群のパワー、
である。
第20の発明のフォーカシング方法は、上記第12〜第19のいずれか1つの発明において、前記光学系を構成する光学素子の少なくとも1つがプラスチック材料から形成されていることを特徴とする。
第21の発明のフォーカシング方法は、上記第20の発明において、前記プラスチック材料がアサーマル樹脂であることを特徴とする。
第22の発明のフォーカシング方法は、上記第12〜第21のいずれか1つの発明において、前記光学系が撮像素子の受光面上に物体の光学像を形成するための撮像光学系であることを特徴とする。
本発明によれば、フォーカシング群の平行移動と回転移動により、異なる共役距離に対し、軸上の結像位置と軸上主光線の像面への入射角度とをほぼ一定に保ちながら、像面全体の位置をほぼ一定にするためのフォーカシングを行う構成になっているので、非軸光学系の特長を十分に活かしながらフォーカシングにおいて品質の高い像を得ることができる。
以下、本発明に係るフォーカシング方法の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。図1及び図2に、第1の実施の形態のフォーカシング方法を採用した撮像光学系TLの光学構成を光学断面で示し、図15及び図16に、第2の実施の形態のフォーカシング方法を採用した撮像光学系TLの光学構成を光学断面で示す。図2,図16中、(A)は第1フォーカスポジションPOS1、(B)は第4フォーカスポジションPOS4、(C)は第6フォーカスポジションPOS6での光学配置,光路等をそれぞれ示している。また図1,図15中、Si(i=1,2,3,...)が付された面は物体側から数えてi番目の面であり、Siに*印が付された面は自由曲面であり、第1面S1は後述する各面頂点位置を表すためのダミー面(基準面)である。
各実施の形態に係る撮像光学系TLはいずれも、撮像素子{例えば、CCD(Charge Coupled Device)等の固体撮像素子}SRの受光面上に物体(すなわち被写体)の光学像を形成するための単焦点光学系であり、物体側から順に、第1プリズムP1と、第2プリズムP2と、フォーカシング群である第3プリズムP3と、の3つのプリズム光学素子から成っている。以下に、第1,第2の実施の形態の光学構成を光路順に説明する。
第1の実施の形態(図1)において、撮像光学系TLの最も物体側の面である第2面S2は、第1プリズムP1の入射面である。その第2面S2から撮像光学系TLに入射してきた光線は、反射面である第3面S3(第1反射面)で反射されて第4面S4に向かう。第4面S4は全反射面(第2反射面)であり、第4面S4で反射された光線は第5面S5を透過する。第5面S5は第1プリズムP1の射出面であり、第5面S5から第1プリズムP1を射出した光線は、絞りSTの第6面S6に向かう。第6面S6の絞りSTを通過した光線は、第2プリズムP2に向かう。第2プリズムP2の最も物体側の面である第7面S7は、第2プリズムP2の入射面である。その第7面S7から第2プリズムP2に入射してきた光線は、反射面である第8面S8(第3反射面)で反射されて第9面S9に向かう。第9面S9は第2プリズムP2の射出面であり、第9面S9から第2プリズムP2を射出した光線は、第3プリズムP3の第10面S10に入射する。第10面S10は第3プリズムP3の入射面であり、その第10面S10から第3プリズムP3に入射してきた光線は、反射面である第11面S11(第4反射面)で反射された後、第12面S12を透過する。第12面S12は第3プリズムP3の射出面であり、第12面S12から第3プリズムP3を射出した光線は、撮像素子SRの受光面S13上で被写体の光学像を形成する。
第2の実施の形態(図15)において、撮像光学系TLの最も物体側の面である第2面S2は、第1プリズムP1の入射面である。その第2面S2から撮像光学系TLに入射してきた光線は、反射面である第3面S3(第1反射面)で反射されて第4面S4に向かう。第4面S4は全反射面(第2反射面)であり、第4面S4で反射された光線は第5面S5を透過する。第5面S5は第1プリズムP1の射出面であり、第5面S5から第1プリズムP1を射出した光線は、第2プリズムP2に向かう。第2プリズムP2の最も物体側の面である第6面S6は、第2プリズムP2の入射面であり、絞りSTを兼ねている。その第6面S6から第2プリズムP2に入射してきた光線は、反射面である第7面S7(第3反射面)で反射されて第8面S8に向かう。第8面S8は第2プリズムP2の射出面であり、第8面S8から第2プリズムP2を射出した光線は、第3プリズムP3の第9面S9に入射する。第9面S9は第3プリズムP3の入射面であり、その第9面S9から第3プリズムP3に入射してきた光線は、反射面である第10面S10(第4反射面)で反射された後、第11面S11を透過する。第11面S11は第3プリズムP3の射出面であり、第11面S11から第3プリズムP3を射出した光線は、撮像素子SRの受光面S12上で被写体の光学像を形成する。
上述したように、各実施の形態において第3プリズムP3を射出した光線は、像面(図1中の第13面S13,図15中の第12面S12)に相当する撮像素子SRの受光面に到達して、撮像素子SRの受光面上に被写体の光学像を形成する。形成された光学像は、撮像素子SRによって電気的な信号に変換される。ここでいう「撮像素子」とは、受光面が平面の2次元的なものである。2次元的な撮像素子は、水平方向と垂直方向に広がりを持つため、用いる撮像光学系も複雑であり、性能を劣化させる収差も複雑である。その補正のためには、各実施の形態のように、自由曲面等の回転非対称な面を適切に設定して用いるのが好ましい。
第1の実施の形態の撮像光学系TLは、複数の光学面S2〜S12と絞りSTを有しており、偏芯した反射面として第11面S11を第3プリズムP3に有している。また、第2の実施の形態の撮像光学系TLは、複数の光学面S2〜S11と絞りSTを有しており、偏芯した反射面として第10面S10を第3プリズムP3に有している。第1,第2の実施の形態において、像面全体の位置をほぼ一定にするためのフォーカシングは、第3プリズムP3をフォーカシング群として、その平行移動と回転移動により、軸上の結像位置と軸上主光線の像面への入射角度とをほぼ一定に保ちながら行われる。このように、偏芯した反射面を少なくとも1面有する群をフォーカシング群として、そのフォーカシング群の平行移動と回転移動により、軸上の結像位置をほぼ一定に保ちながら、像面全体の位置をほぼ一定にするためのフォーカシングを行うフォーカシング方法は、複数の光学面と絞りを有し、その複数の光学面のうちの少なくとも1面として偏芯した反射面を有する光学系であれば適用可能であり、各実施の形態に係る光学系への適用に限るものではない。以下に、その特徴的な構成、作用効果等を説明する。
一般に、光学系を薄型にするには、偏芯した反射面で光路を折り曲げて配置するのが有効である。そのような配置にすることにより、共軸光学系よりもはるかに厚みの薄い光学系を実現することができる。また、光学系を実用化するには、フォーカシング機能が必要である。フォーカシング機能とは、異なる共役距離においても結像性能が保たれているようにすることである。そのためには、異なる共役距離においても、像面がほぼ一定に保たれ、さらには軸上の結像位置がずれない必要がある。共軸光学系では、一般に、光学系全体や光学系の一部のフォーカシングブロックを光軸上で光軸に対し平行に移動させることにより、フォーカシングが行われる。
以下、撮像光学系を例に挙げて、その撮影距離が異なる場合、つまり物面位置が異なる場合のフォーカシング方法を説明する。共軸光学系の場合、通常、直線で表される光軸が存在し、その光軸は軸上主光線と一致する。フォーカシングに際して移動するフォーカシングブロック(すなわちフォーカシング群)は、光軸上をその光軸に対して平行に移動することによりフォーカシングを行う。つまり、フォーカシング群はフォーカシングに際し、それに入射する軸上主光線(すなわち軸上入射主光線)と、そこから射出する軸上主光線(すなわち軸上射出主光線)と、に対して平行な方向に移動する。
ここで、共軸光学系における全体繰り出しのフォーカシング方法を考える。撮影距離S1と撮影距離S2が異なる場合、撮影距離S1のときの像点と撮影距離S2のときの像点も光軸上の異なる位置に形成される。その異なる像点位置を合わせるために、全系を光軸に沿って移動させるのが、全体繰り出しのフォーカシング方法である。
次に、共軸光学系におけるインナーフォーカス、特に像面側の一部の光学素子を移動させることによりフォーカスする方法(いわゆるリアフォーカス)を考える。全体繰り出しのフォーカシング方法と同様に、撮影距離S1,S2の2つの状態を考える。このとき、図29に示すように、フォーカシングで移動する光学面や光学素子の固まり(ブロック)をフォーカシング群GrBとし、フォーカシングで移動しない光学面や光学素子の固まり(ブロック)を固定群GrAとする。リアフォーカスの場合、固定群GrAは物体側にあり、フォーカシング群GrBは像側にある。
図29において、FF_fixは固定群GrAの前側焦点位置、FB_fixは固定群GrAの後側焦点位置、FF_focはフォーカシング群GrBの前側焦点位置、FB_focはフォーカシング群GrBの後側焦点位置である。X_fixは固定群GrAの前側焦点位置FF_fixから物体面OBまでの距離、X'_fixは固定群GrAの後側焦点位置FB_fixから固定群GrAの像点までの距離、X_focはフォーカシング群GrBの前側焦点位置FF_focからフォーカシング群GrBの物点までの距離、X'_focは、フォーカシング群GrBの後側焦点位置FB_focからフォーカシング群GrBの像点IMまでの距離である。H_Aは、固定群GrAの前側焦点位置FF_fixから後側焦点位置FB_fixまでの距離、H_Bは、フォーカシング群GrBの前側焦点位置FF_focから後側焦点位置FB_focまでの距離である。ここで便宜上、固定群GrAの前側焦点位置FF_fixから物体面OBまでの距離を撮影距離S1,S2とする。
固定群GrAの結像関係から以下の関係式(J1)が成り立つ。また、フォーカシング群GrBの結像関係から以下の関係式(J2)が成り立つ。
(X_fix)(X'_fix)=−(f'_fix)2 …(J1)
(X_foc)(X'_foc)=−(f'_foc)2 …(J2)
ただし、
f'_fix:固定群GrAの焦点距離、
f'_foc:フォーカシング群GrBの焦点距離、
である。
2つの撮影距離S1,S2で像面IMの位置が一定になるようにするためには、固定群GrAの像点位置とフォーカシング群GrBの物点位置とを一致させたときに、以下の式(J3)が成り立つようにフォーカシング群GrBを移動させればよい。つまり、固定群GrAによる像点位置をフォーカシング群GrBの物点位置とした場合のフォーカシング群GrBの像点位置が、異なる撮影距離S1,S2で一致するように、フォーカシング群GrBを移動させればよい。したがって、以下の式(J3)が成り立てば、異なる撮影距離においても像面は一定となる。
(X'_fix)S1−(X_foc)S1+(X'_foc)S1=(X'_fix)S2−(X_foc)S2+(X'_foc)S2 …(J3)
ただし、式(J3)中、撮影距離S1でのパラメータに添え字S1を付して示し、撮影距離S2でのパラメータに添え字S2を付して示す。
次に、非軸光学系の場合を考える。ここでは、非軸光学系の場合の本発明に係るフォーカシング方法を、撮像光学系を例に挙げて具体的に説明する。共軸光学系の場合と同様に、リアフォーカスの場合について説明するが、このフォーカシング方法はリアフォーカスに限定されるものではない。例えば、フロントフォーカス,インナーフォーカス,全体フォーカスについても、同様に適用することができる。また、このフォーカシング方法は撮像光学系だけでなく、投影光学系等、あらゆる光学系に適用することができる。
ここでの説明には、ハミルトン光学の特性関数を用い、特に、論文「B.D.Stone and G.W.Forbes, "Foundations of first-order layout for asymmetric systems : an application of Hamilton's methods" J.Opt.Soc.Am.A 9,96-109(1992)」で導入された1次特性関数行列を用いる。そして、1次特性関数行列はangle特性関数行列とする。また、図30に示すように、前群に固定群GrA、後群にフォーカシング群GrBが配置された非軸光学系を考える。ただし、群を構成するものとしては、単独の光学面、複数の光学面、単独の光学素子、複数の光学素子、のいずれでもよく、フォーカシング中に一体で移動させる集まり、又は、独立して移動する集まりがフォーカシング群である。
非軸光学系の場合、一般に共軸光学系が持つような直線から成る光軸は存在しない。そのため、光軸の代わりに基準となる光線を考える。その光線は、物体中心から絞り中心を通り像面中心に至る光線とする。これは軸上光線の主光線であり、これを「ベースレイ」と呼ぶ。この光線を基準とするが、この光線は共軸光学系の場合のような直線ではない。非軸光学系の場合も、フォーカシング群を移動させることにより結像関係を満たすよう、フォーカシングが行われる。しかしながら、ベースレイが直線でないため、光学系全体や光学系の一部を単純に平行移動させた場合、通常、ベースレイは移動してしまう。具体的には、図30に示すフォーカシング群GrBが平行移動すると、フォーカシング群GrBへのベースレイBRの入射位置が変わり、ベースレイBRの通過位置・射出位置と方向が変わることになる。この場合、像面IMへ向かうベースレイBRの方向が変わるため、像面IMでのベースレイBRの位置、つまり軸上の結像位置が移動してしまう。このような現象が起こると、フォーカシング中に軸上位置(中心位置)が移動してしまい、像がフォーカシング中に動いたり、ふらふらしたりしてしまう。さらに、中心がずれるため、像の周辺に欠ける部分が生じてしまう。いずれにしても実用性はなくなる。
平行移動だけでは軸上射出主光線を一定にできないことを、偏芯した反射面を持つ三角プリズムPR(図30中のフォーカシング群GrB)を例に挙げて説明する。図31(A)は、ある撮影距離状態で三角プリズムPRを通過するベースレイBRの様子を示している。この三角プリズムPRを軸上入射光線(ベースレイBR)方向に平行移動させた場合、そのベースレイBRの通過する様子を描いたのが図31(B)である(移動後の位置を破線で示す。)。図31(B)から分かるように、軸上射出主光線(ベースレイBR)は元の光線位置(実線)からずれている。また、三角プリズムPRを軸上射出主光線(ベースレイBR)方向に平行移動させた場合、そのベースレイBRの通過する様子を描いたのが図31(C)である(移動後の位置を破線で示す。)。この場合も、軸上射出主光線(ベースレイBR)が元の光線位置(実線)からずれていることが分かる。
上記のように、三角プリズムPRを平行移動させると、いずれの場合も軸上射出主光線がずれてしまう。ただし、フォーカシング群の軸上入射主光線と軸上射出主光線とが平行で、その方向に移動させた場合には、このような現象は生じない。しかしながら、そのような配置は非軸光学系では特別の場合であることが多い。また、そのような配置にすると、光路の折りたたみ効果が少なくなり、大きなスペースが必要となるため、非軸光学系のメリットを十分に活かせなくなる。そして、そのような設計制約が発生する結果として、設計での自由度が少なくなってしまう。
上記課題を解決するには、フォーカシング群のフォーカス移動として平行移動と回転移動を行うのが好ましい。平行移動と回転移動を行うことにより、ベースレイの各面への入射角度及び入射位置を変えることができる。各面の位置,形状及び移動を適切に設定することにより、フォーカシング群の最終面から射出するベースレイを、他のフォーカスポジション(つまり撮影距離状態)でのベースレイとほぼ一致させることができる。特に、偏芯した反射面があると、そのような配置をとることが容易に可能となる。これを全てのフォーカシング群の個々に要求する必要はない。移動させる群のうち、最後の群から射出するベースレイが一致するように、フォーカシング群を個々に平行移動及び回転移動させればよい。フォーカシング群のなかには、平行移動のみの群や回転移動のみの群が含まれていても構わない。また、フォーカシング群間ではベースレイが移動しても構わない。
図32に、先の三角プリズムPRの平行移動及び回転移動を行った場合を例として示す。三角プリズムPRの平行移動及び回転移動を行うと、以下のようにベースレイBRが変動する(図32中、移動後の三角プリズムPRとベースレイBRの位置を破線で示す。)。まず、三角プリズムPRの第1面s1(入射面)とベースレイBRとの交点が移動し、さらには第1面s1に対するベースレイBRの入射角度が変化する。したがって、この第1面s1から射出するベースレイBRの方向が変化する。三角プリズムPRの移動前後で、第1面s1からの射出ベースレイBRの位置と方向が異なるため、第2面s2(反射面)とベースレイBRとの交点位置も異なる。さらには、第2面s2への入射角度が異なるため第2面s2での反射角度も異なる。第2面s2を射出するベースレイBRは位置と方向が異なるため、ベースレイBRと第3面s3(射出面)との交点位置を変えることが可能である。
第2面s2を射出したベースレイBRの位置と方向が異なるため、第3面S3とベースレイBRとの交点位置が変化し、また、第3面S3への入射角度が異なるため、第3面S3からの射出角度も変化する。このとき、第3面S3とベースレイBRとの交点を、元の三角プリズムPR位置の射出ベースレイBR上に乗るようにし、その射出方向を元の射出ベースレイBRと同じ方向にすれば、射出光線としてのベースレイBRは移動しない。このようにするためには、三角プリズムPRの平行移動と回転移動が必要であり、その移動により、各面とベースレイBRとの交点、及び各面に対する入射角度を変化させることが可能となり、射出ベースレイBRを一定とすることが可能となる。ここでは、三角プリズムの移動によるフォーカシング方法を例示したが、単独の偏芯した光学面や複数の光学面を持つ光学素子の移動によるフォーカシング方法においても同様であり、平行移動と回転移動により射出ベースレイを一定にすることが可能となる。
なお、非軸光学系のフォーカシングにおいても必要な条件は次の2つである。すなわち、異なる共役距離において、フォーカシングにより、(i)像面位置(一次結像位置)がほぼ一定となること、(ii)軸上主光線の像面での位置と方向がほぼ一定となること、である。条件(i)は、異なる共役距離(撮像光学系では異なる撮影距離)でも、像面が一定位置にあることを意味する。撮影距離によって像位置が動くと、結像性能が著しく低下してしまうため、実用的でない。条件(ii)については、軸上光線の位置や像面への入射角度が、フォーカシングでほとんど変化しないことを意味する。軸上光線がフォーカシングで移動すると、像位置や範囲が変動してしまうため、実用的でない。また、光線の入射角度が変動すると、明るさが変化してしまうため、実用的でない。従来のようにフォーカシング群を単純に平行移動させるだけでは条件(i),(ii)を満たすことはできない。2つの条件(i),(ii)を満たすためには、平行移動と回転を行う必要がある。
図30に戻って、非軸光学系において好ましいフォーカシング方法を更に詳しく検討する。まず、各群GrA,GrBに関する座標系を次のように導入する。固定群GrAの前側座標系をO_fixとし、固定群GrAの後側座標系をOd_fixとする。フォーカシング群GrBの前側座標系をO_focとし、後側座標系をOd_focとする。各座標系の原点をベースレイBR上にとり、ベースレイBR方向にz軸を設定する。ベースレイBRに対し垂直なx軸を、紙面の手前から向こう側へ向かう方向に設定する。z軸とx軸で右手系を成す方向にy軸(y軸は紙面内にある。)を設定する。また、固定群GrAの後側座標系Od_fixとフォーカシング群GrBの前側座標系O_focとを一致させておく。なお、説明を簡単にするため非軸光学系はy−z面対称とする。
任意の2つの撮影距離状態をΘ1,Θ2とし、固定群GrAから物面までのベースレイBRに沿った距離をそれぞれS1,S2とする。つまり、
S1:撮影距離状態Θ1における固定群の最も物体側の面とベースレイとの交点から物面までのベースレイに沿った距離、
S2:撮影距離状態Θ2における固定群の最も物体側の面とベースレイとの交点から物面までのベースレイに沿った距離、
である。
また、固定群GrAの前側焦点位置から物面までのベースレイに沿った距離を、x方向,y方向にそれぞれxfix,yfixとし、固定群GrAの後側焦点位置から固定群GrAによる1次結像点までのベースレイBRに沿った距離を、x’fix,y’fixとする。そうすると、固定群GrAの結像関係から以下の式(J4),(J5)が成り立つ。
x方向:(xfix)(x’fix)=−(−M11)fix 2 …(J4)
y方向:(yfix)(y’fix)=−(−M22)fix 2 …(J5)
ただし、各撮影距離状態Θ1,Θ2について、
(xfix)_Θ1=S1+(F11)fix
(yfix)_Θ1=S1+(F22)fix
(xfix)_Θ2=S2+(F11)fix
(yfix)_Θ2=S2+(F22)fix
であり、F,M,Bは1次特性関数行列であり、添え字11,22はその行列の11成分,22成分をそれぞれ表し、添え字fixは固定群GrAの特性関数行列であることを表す。
次に、フォーカシング群GrBに着目する。まず、座標系Od_fixとO_focの原点を一致させる。さらに、座標系Od_focの原点を撮影距離Θ1と撮影距離Θ2とで一致させる。座標系Od_focの原点は軸上射出主光線上に設定されているため、フォーカシング群GrBへの軸上入射主光線とフォーカシング群GrBからの軸上射出主光線とが平行でない場合、単純に平行移動させるだけでは、座標系Od_focの原点は異なる撮影距離で一致しない。座標系Od_focの原点を異なる撮影距離Θ1,Θ2で一致させるには、フォーカシング群GrBを、単純な平行移動だけではなく、さらに回転させる必要がある。それにより、異なる撮影距離においても、軸上射出光線をほぼ一定にすることができる。つまり、偏芯した反射面の平行移動と回転移動により、異なる撮影距離での光路を変えて、軸上射出光線をほぼ一定にすることができる。
座標系Od_focの原点が、異なる撮影距離において一致しているとき、固定群GrAの1次結像点をフォーカシング群GrBの物面とした場合のフォーカシング群GrBの1次結像点は、全系の1次結像点でもある。座標系Od_focでの1次結像点については、フォーカシング群GrBの結像関係から以下の式(J6),(J7)が成り立つ。
x方向:(xfoc)(x’foc)=−(−M11)foc 2 …(J6)
y方向:(yfoc)(y’foc)=−(−M22)foc 2 …(J7)
ただし、
x方向:(xfoc)=(B11)fix+(x’fix)+(F11)foc
y方向:(yfoc)=(B22)fix+(y’fix)+(F22)foc
であり、(F11)foc,(F22)foc,(M11)foc,(M22)focはフォーカシング群GrBの1次特性関数行列であり、添え字11,22はその行列の11成分,22成分をそれぞれ表し、添え字focはフォーカシング群GrBの特性関数行列であることを表す。
また、フォーカシング群GrBの1次結像点、すなわち全系の結像点の位置を、フォーカシング群GrBの後側座標系Od_focの原点から、x方向,y方向にそれぞれfbx,fbyとすると、次のように式(J8),(J9)で表される。
x方向:(fbx)=(B11)foc+(x’foc) …(J8)
y方向:(fby)=(B22)foc+(y’foc) …(J9)
したがって、撮影距離Θ1でのフォーカシング群GrBの1次結像点の位置は、以下の式(J10),(J11)で表される。
x方向:
(fbx)_Θ1=BC11+{−MC11 2(FX11+S1)}/{(FX11+S1)(BX11+FC11)−MX11 2} …(J10)
y方向:
(fby)_Θ1=BC12+{−MC12 2(FX12+S1)}/{(FX12+S1)(BX12+FC12)−MX12 2} …(J11)
また、撮影距離Θ2でのフォーカシング群GrBの1次結像点の位置は、以下の式(J12),(J13)で表される。
x方向:
(fbx)_Θ2=BC21+{−MC21 2(FX21+S2)}/{(FX21+S2)(BX21+FC21)−MX21 2} …(J12)
y方向:
(fby)_Θ1=BC22+{−MC22 2(FX22+S2)}/{(FX22+S2)(BX22+FC22)−MX22 2} …(J13)
ただし、
X11=(F11)fix,FX12=(F22)fix
X11=(M11)fix,MX12=(M22)fix
X11=(B11)fix,BX12=(B22)fix
C11=(F11)foc_Θ1,FC12=(F22)foc_Θ1
C21=(F11)foc_Θ2,FC22=(F22)foc_Θ2
C11=(−M11)foc_Θ1,MC12=(−M22)foc_Θ1
C21=(−M11)foc_Θ2,MC22=(−M22)foc_Θ2
C11=(B11)foc_Θ1,BC12=(B22)foc_Θ1
C21=(B11)foc_Θ2,BC22=(B22)foc_Θ2
である。
撮影距離Θ1と撮影距離Θ2とで1次結像点が等しい必要があるため、以下の式(J14),(J15)が成り立つように、フォーカシング群GrBを設計して、平行移動と回転移動を行えばよい。
C11+{−MC11 2(FX11+S1)}/{(FX11+S1)(BX11+FC11)−MX11 2}=BC21+{−MC21 2(FX21+S2)}/{(FX21+S2)(BX21+FC21)−MX21 2} …(J14)
C12+{−MC12 2(FX12+S1)}/{(FX12+S1)(BX12+FC12)−MX12 2}=BC22+{−MC22 2(FX22+S2)}/{(FX22+S2)(BX22+FC22)−MX22 2} …(J15)
上記式(J14),(J15)を満たすようにすれば、像面全体の位置をほぼ一定とすることが可能となり、非軸光学系においてフォーカシングが可能となる。収差によるベスト像面の変動を考慮すると、上記の式(J14),(J15)は等号で成立する必要はなく、所定の範囲で条件を満たせばよい。例えば、x方向については以下の条件式(3A)を満足することが望ましく、y方向については以下の条件式(3B)を満足することが望ましい。また、条件式(3A)及び(3B)を満足することが更に望ましい。ただし、fxはx方向の全系の焦点距離、fyはy方向の全系の焦点距離であり、フォーカシング群GrBの後側座標系Od_focの原点を、フォーカシング群GrBの最終光学面の軸上射出光線位置とする。条件式(3A),(3B)の各範囲を外れると、フォーカシングにおいて像面が移動し、良好な像が得られなくなる。
|[(BC11−BC21)+{MC21 2(FX21+S2)}/{(FX21+S2)(BX21+FC21)−MX21 2}−{MC11 2(FX11+S1)}/{(FX11+S1)(BX11+FC11)−MX11 2}]/fx|≦0.10 …(3A)
|[(BC12−BC22)+{MC22 2(FX22+S2)}/{(FX22+S2)(BX22+FC22)−MX22 2}−{MC12 2(FX12+S1)}/{(FX12+S1)(BX12+FC12)−MX12 2}]/fy|≦0.10 …(3B)
x方向については以下の条件式(3Aa)満足することが更に望ましく、y方向については以下の条件式(3Ba)を満足することが更に望ましい。これらの条件式(3Aa),(3Ba)は、上記条件式(3A),(3B)が規定している条件範囲のなかでも、上記観点等に基づいた更に好ましい条件範囲を規定している。
|[(BC11−BC21)+{MC21 2(FX21+S2)}/{(FX21+S2)(BX21+FC21)−MX21 2}−{MC11 2(FX11+S1)}/{(FX11+S1)(BX11+FC11)−MX11 2}]/fx|≦0.02 …(3Aa)
|[(BC12−BC22)+{MC22 2(FX22+S2)}/{(FX22+S2)(BX22+FC22)−MX22 2}−{MC12 2(FX12+S1)}/{(FX12+S1)(BX12+FC12)−MX12 2}]/fy|≦0.02 …(3Ba)
従来のフォーカシング方法と比べると、非軸光学系に用いる上記フォーカシング方法には大きな利点がある。共軸光学系の場合やフォーカシング群がその軸上入射光線及び軸上射出光線に対し平行方向に移動する非軸光学系の場合、フォーカシング群の焦点距離は一定である。それに対し、フォーカシング群の平行移動と回転移動により非軸光学系のフォーカシングを行うと、軸上光線通過位置を変えることができるため、フォーカシング群の焦点距離を撮影距離により変えることが可能となる。フォーカシング群の焦点距離を変えることにより、フォーカシング群の結像関係のM11,M22の値を変えることが可能となるため、フォーカシング群の移動量を小さくすることが可能となる。これにより、フォーカシング群の移動のためのスペースを小さくすることが可能となり、光学系の厚みをさらに薄く抑えることが可能となる。この点が従来のフォーカシング方法では得られない、本発明の大きな効果である。
非軸光学系のMの係数は、透過面の場合、以下の式(J16),(J17)で表される。また、反射面の場合、非軸光学系のMの係数は、以下の式(J18),(J19)で表される。
11=1/[L11{ncos(θ)−n’cos(θ’)}] …(J16)
22={cos(θ)×cos(θ’)}/[L22{ncos(θ)−n’cos(θ’)}] …(J17)
11=1/{2L11・ncos(θ)} …(J18)
22={cos(θ)}2/{2L22・ncos(θ)} …(J19)
ここで、L11、L22は各方向の面の曲率、θは入射角度、θ’は射出角度、nは入射前の媒質の屈折率、n’は射出後の媒質の屈折率である。
上記式(J16)〜(J19)から分かるように、面の曲率が同じでも、反射面を用いた場合の方が2〜4倍、パワーを強くすることができる。非軸光学系のような偏芯した反射面の場合は、共軸光学系と異なり、入射角度θが面のパワーに影響を及ぼす。このθの変動の影響は、cos(θ)について、屈折面に対し反射面の方が2〜4倍、パワーを変化させることができる。つまり、偏芯した反射面を回転させることにより、ベースレイの入射角度θを変化させた場合、屈折系よりも、より大きくパワーを変化させることが可能となる。よって、このような面をフォーカシング群として採用することにより、フォーカシング群のパワーを大きく変えることが可能となるため、フォーカシングによる移動量を大幅に減らすことが可能となる。これにより、よりコンパクトな光学系の実現が可能となる。したがって、偏芯した反射面を含む光学面群、又は偏芯した反射面を含む光学素子群をフォーカシング群とし、フォーカシングに回転移動を用いることが、以上のことから望ましいといえる。
上記の説明ではリアフォーカス方式について述べたが、フォーカシングのために平行移動と回転移動を行うフォーカシング群について、その位置や個数、単独か複数か、一体移動か独立移動かに関わらず、上記のように一次結像点がほぼ一定になるようにフォーカシング群の平行移動と回転を行えば、フォーカシングは可能である。また、上記の説明では撮像光学系の撮影距離が異なる場合について述べたが、本発明に係るフォーカシング方法は撮像光学系に限らない。投影光学系におけるピント位置の調節にも、本発明に係るフォーカシング方法を適用することができる。
したがって各実施の形態のように、偏芯した反射面を少なくとも1面有する群をフォーカシング群として、そのフォーカシング群の平行移動と回転移動により、軸上の結像位置をほぼ一定に保ちながら像面全体の位置をほぼ一定にするためのフォーカシングを行う構成は、複数の光学面と絞りを有し、その複数の光学面のうちの少なくとも1面として偏芯した反射面を有する光学系,又はそのフォーカシング方法における適用において一般化が可能である。上記フォーカシング群としては、例えば、光学面として偏芯した反射面のみを有する光学素子、光学面として偏芯した反射面とその他の光学面とを有する光学素子、それらの組み合わせ、又はそれらのうちの少なくとも1つと他の光学素子との組み合わせから成るものが挙げられる。前述した各実施の形態のように、光学系が偏芯した反射面を少なくとも1面有するプリズム光学素子を少なくとも1つ有し、そのうちの少なくとも1つのプリズム光学素子を含む群をフォーカシング群としてもよく、また、光学系がフォーカシング群を複数有し、平行移動と回転移動を個々のフォーカシング群について行う構成としてもよい。
更に詳しくは、光学面として少なくとも1面の偏芯した反射面を有する光学系,又はそのフォーカシング方法において、以下の(a)〜(e)の一体又は個々の平行移動及び回転移動により、軸上の結像位置をほぼ一定に保ちながら像面全体の位置をほぼ一定にするためのフォーカシングを行う構成を有することが望ましい。
(a):少なくとも1面の偏芯した反射面。
(b):少なくとも1面の偏芯した反射面を含む複数の光学面(偏芯した反射面以外の光学面を含む。)。
(c):少なくとも1面の偏芯した反射面を有する少なくとも1つの光学素子。
(d):少なくとも1面の偏芯した反射面を有する光学素子を含む複数の光学素子(偏芯した反射面の無い光学素子を含む。)。
(e):少なくとも1面の偏芯した反射面を有する光学素子を含む全光学素子(偏芯した反射面の無い光学素子を含む。)。
上記のように、偏芯した反射面を少なくとも1面有するフォーカシング群の平行移動と回転移動により、軸上の結像位置をほぼ一定に保ちながら像面全体の位置をほぼ一定にするためのフォーカシングを行う構成によれば、非軸光学系の特長を十分に活かしながらフォーカシングにおいて品質の高い像を得ることができる。この効果に加え、更に高い光学性能等を達成するための条件、その他の好ましい構成等を以下に説明する。
前記フォーカシング群の平行移動と回転移動により、軸上の結像位置と軸上主光線の像面への入射角度とをほぼ一定に保ちながら、像面全体の位置をほぼ一定にするためのフォーカシングを行う構成にすることが望ましい。軸上主光線が像面に対して垂直に入射しないと、像面での明るさが非対称となり、明るさのムラが発生する。そのとき、デフォーカスした位置での像は非対称なボケ像となるため、きれいな像は得られない。フォーカシング中に軸上主光線の像面への入射角度が大きく変化すると、像の明るさムラがフォーカシング中に大きく変化し、実用的でなくなる。このため、フォーカシング中は軸上主光線の像面への入射角度が大きく変化しないことが好ましい。したがって、偏芯した反射面を少なくとも1面有するフォーカシング群の平行移動と回転移動により、軸上の結像位置と軸上主光線の像面への入射角度とをほぼ一定に保ちながら、像面全体の位置をほぼ一定にするためのフォーカシングを行うことが望ましい。
上記観点から、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。条件式(5)の条件範囲を外れて入射角度が大きく変化すると、フォーカシング中に像の明るさムラが大きくなりすぎてしまい、実用的でなくなる。
|θI−θN|<5.0° …(5)
ただし、
θI:無限遠撮影距離状態での軸上主光線の像面への入射角度、
θN:近接撮影距離状態での軸上主光線の像面への入射角度、
である。
以下の条件式(5a)を満足することが望ましく、条件式(5b)を満足することが更に望ましい。
|θI−θN|<3.0° …(5a)
|θI−θN|<1.0° …(5b)
これらの条件式(5a),(5b)は、上記条件式(5)が規定している条件範囲のなかでも、上記観点等に基づいた更に好ましい条件範囲を規定している。
ここで、軸上主光線の像面への入射角度をほぼ一定に保つための条件を説明する。共軸光学系の場合は、フォーカシング時にフォーカシング群を光軸に対し平行に移動させても、軸上光線の入射光線と射出光線は光軸上にある。しかしながら、一般の非軸光学系ではフォーカシング群に対する軸上光線のうち入射光線と射出光線とが平行でないと、フォーカシング群の移動により射出光線が移動してしまい、像面位置が移動してしまう。これを防ぐためには、前述したようにフォーカシング群を平行移動させるのに加えて適切に回転移動させることが好ましく、これにより軸上射出光線が一定であるようにすることができる。
フォーカシング群がフォーカス移動したときでも、像面へ向かう軸上主光線がほとんど移動しないようにするための条件は、以下のようにして求められる。簡単のために、前述した図32に示す三角プリズムPRを像面に最も近いフォーカシング群とした場合を例に挙げ、その平行移動と回転移動により軸上射出光線が移動しないようにする場合を考える。この三角プリズムPRは、光路に沿って順に、入射面(第1面s1)と、反射面(第2面s2)と、射出面(第3面s3)と、の各1面から成っている。なお、グローバル座標系の原点を所定の基準面とベースレイBRとの交点とし、ベースレイBR方向にZ軸を設定し、紙面の手前から向こう側へX軸を設定し、Z軸とX軸で右手系を成す方向をY軸(Y軸は紙面内にある。)と設定する。そして、説明を簡単にするため光学系はY−Z面対称とする。
フォーカシングにおいて互いに異なる2つの撮影距離状態F1,F2を考える。図32において、実線が撮影距離状態F1での位置を示し、破線が撮影距離状態F2での位置を示すものとする。図32に示すように、各撮影距離状態F1,F2で三角プリズムPR内を通過するベースレイBRの軌跡は異なる。そこで、この光学系のある位置、例えば、この三角プリズムPRへ入射する軸上光線上にグローバル座標系の原点を設定し、その座標系で説明する。
撮影距離状態F1の場合、第1面s1への入射光線の方向余弦ベクトルをQA1=QA1(lA1,mA1,nA1)とし、第1面s1からの射出光線の方向余弦ベクトルをQdA1=QdA1(ldA1,mdA1,ndA1)とする。第2面s2,第3面s3も同様に、入射光線の方向余弦ベクトルをそれぞれQB1=QB1(lB1,mB1,nB1),QC1=QC1(lC1,mC1,nC1)とし、射出光線の方向余弦ベクトルをそれぞれQdB1=QdB1(ldB1,mdB1,ndB1),QdC1=QdC1(ldC1,mdC1,ndC1)とする。明らかに、QdA1=QB1,QdB1=QC1である。第1面s1〜第3面s3とベースレイBRとの交点を、それぞれ(xA1,yA1,zA1),(xB1,yB1,zB1),(xC1,yC1,zC1)とする。第1面s1〜第3面s3とベースレイBRとの交点における単位法線ベクトルを、それぞれEA1,EB1,EC1とする。また、第1面s1の前後の媒質の屈折率をnA,nAdとする。第2面s2,第3面s3についても同様に、屈折率をnB,nBd;nC,nCdとする。なお、第2面s2は反射面なので、nB=nBd、更には、nB=nAd,nC=nAdである。撮影距離状態F2の場合、撮影距離状態F1の添え字1を2に変更する。
フォーカシング群(すなわち三角プリズムPR)に入射する光線上の位置と入射光線ベクトルが分かっているので、第1面s1とベースレイBRとの交点(xA1,yA1,zA1)を計算することができ、そこからEA1が算出される。QdA1はnA(EA1×QA1)=nAd(EA1×QAd1)より求められる。順次、追跡することにより、第3面s3とベースレイBRとの交点(xC1,yC1,zC1)とQdC1を計算することができる。
撮影距離状態F1,F2の第3面s3からの射出ベースレイBRは、Y−Z面が対称面であることから以下の式で表される。
・撮影距離状態F1の場合 … (Y−yC1)/(mdC1)=(Z−zC1)/(ndC1)
・撮影距離状態F2の場合 … (Y−yC2)/(mdC2)=(Z−zC2)/(ndC2)
2つの撮影距離状態F1,F2での2直線が一致すると、軸上光線の像面での位置と入射角度はフォーカシングにおいて変動しない。その条件は以下の式で表される。ただし、正確に一致している必要はなく、ある程度の差は許容される。
(mdC1)/(mdC2)=(ndC1)/(ndC2)=(yC1−yC2)/(zC1−zC2)
なお、図32に示すようなフォーカシング群の焦点距離は、以下の式で表される。
11=(nAd)/(2・LB11・V11・V12・cosθBs−EA・LA11・V12−EC・LC11・V11)
22=(nAd・cosθCsd・cosθCs・cosθBs・cosθAsd・cosθAs)/(2・LB22・V21・V22−EA・LA22・V22・cosθBs−EC・LC22・V21・cosθBs)
ここで、各面でのベースレイBRとの交点におけるX方向とY方向の曲率をLA11,LA22;LB11,LB22;LC11,LC22とする。また、各面でのベースレイBRの入射角と射出角をそれぞれ、θAs,θAsd;θBs,θBsd(=θBs);θCs,θCsdとする。nAdは屈折率であり、V11,V12,V21,V22,EA,ECは以下の通りである。ただし、フォーカシング群である三角プリズムPR(図30中のフォーカシング群GrB)の前側座標系O_focの原点から、ベースレイBRと第1面s1との交点までの距離をdAとし、ベースレイBRと第1面s1との交点からベースレイBRと第2面s2との交点までの距離をdBとし、ベースレイBRと第2面s2との交点からベースレイBRと第3面s3との交点までの距離をdCとする。
11=(EA・LA11・dB−nAd)
12=(EC・LC11・dC+nAd)
21=(EA・LA22・dB−nAd・cos2θAsd)
22=(EC・LC22・dC+nAd・cos2θCs)
A=(nA・cosθAs−nAd・cosθAsd)
C=(nC・cosθCs−nCd・cosθCsd)
フォーカシング群の軸上入射主光線と軸上射出主光線とが平行である場合には、その方向にフォーカシング群を平行移動させることにより、軸上射出主光線の方向を一定にすることができる。しかしながら、その場合にはフォーカシング群が群間距離を変えることによる変倍のみが、フォーカシングに寄与することになる。それは、ベースレイの通過位置が変動せず、ベースレイと各光学面との交点位置が一定であり、さらに各光学面へのベースレイの入射角度が変化せず、結果として、そのフォーカシング群のパワーが変化しないからである。
非軸光学系では、フォーカシング群の平行移動と回転移動により、軸上射出光線を一定のまま群間距離を変え、更にはフォーカシング群のパワー(焦点距離)を変化させることにより、フォーカシングを行うことが可能である。つまり、フォーカシング群のパワーを変化させて変倍を稼いだ方が、フォーカシングにおける移動距離を減らすことが可能となる。移動距離が少ないと、それだけスペースが少なくて済むため、よりコンパクトな光学系の実現が可能となる。それに対し、フォーカシング群の軸上入射主光線と軸上射出主光線とを平行に配置すると、大きなスペースが必要となるため、光路の折りたたみ効果が少なくなり、コンパクトな光学系にならなくなる。また、そのような設計制約が発生する結果、設計での自由度が少なくなってしまう。したがって、よりコンパクトな光学系を実現するには、偏芯した反射面を少なくとも1面有するフォーカシング群として、軸上入射主光線と軸上射出主光線とが平行でないものを少なくとも1つ有することが望ましい。設計自由度の大幅な緩和と光路の折りたたみ効果により、光学系の薄型化を効果的に達成することが可能となる。
上記観点から、偏芯した反射面を少なくとも1面有するフォーカシング群として、以下の条件式(4)を満足するものを少なくとも1つ有することが望ましい。
5<|θpr|<175 …(4)
ただし、
θpr:フォーカシング群に対する軸上主光線のうち軸上入射主光線と軸上射出主光線とが成す角度(°)、
である。
この条件式(4)は、フォーカシング群における軸上主光線の方向の変化に関して好ましい条件範囲を規定しており、|θpr|の値は、光路の折りたたみの度合いを表している。条件式(4)の下限を越えて軸上主光線の変化が小さくなると、光路の折りたたみ効果が小さくなるため、コンパクトな光学系にならなくなる。逆に、条件式(4)の上限を越えて光路が反対の方向へ曲げられた場合でも、光路の折りたたみ効果が小さくなるため、コンパクトな光学系にならなくなる。特に非軸光学系においてフォーカシングを行う場合、フォーカシング群については折りたたみ効果が小さいと、その分、より大きなスペースが必要となるため、コンパクトな光学系の実現が困難になる。
以下の条件式(4a)を満足することが望ましく、条件式(4b)を満足することが更に望ましい。
20<|θpr|<160 …(4a)
30<|θpr|<150 …(4b)
これらの条件式(4a),(4b)は、上記条件式(4)が規定している条件範囲のなかでも、上記観点等に基づいた更に好ましい条件範囲を規定している。
偏芯した反射面を少なくとも1面有するフォーカシング群として、フォーカシング中の少なくとも1つの共役距離状態で以下の条件式(1)を満足するものを少なくとも1つ有することが望ましい。
|φfoc/φall|<5.0 …(1)
ただし、
φfoc:フォーカシング群のパワー、
φall:全系のパワー、
である。
この条件式(1)は、フォーカシング群のパワーに関して好ましい条件範囲を規定している。フォーカシング群のパワーが強ければ、フォーカシングのために移動する距離を減らすことができるため、フォーカシングのためのスペースを小さくすることができ、その結果、光学系全体をコンパクトにすることができる。しかしながら、フォーカシング群のパワーが強すぎると、移動にともなうフォーカシング群による収差の変動が大きくなる。共役距離が異なることによる収差変動と、フォーカシング群の移動による収差変動と、のトータルが、性能の変動となるが、このとき、フォーカシング群の移動による変動が大きすぎると、光学系トータルの性能を確保することができなくなる。つまり、条件式(1)の条件範囲を外れると、光学系トータルの性能確保が難しくなる。
以下の条件式(1a)を満足することが更に望ましい。
|φfoc/φall|<3.0 …(1a)
この条件式(1a)は、上記条件式(1)が規定している条件範囲のなかでも、上記観点等に基づいた更に好ましい条件範囲を規定している。
前述した非軸光学系のフォーカシング群は、平行移動と回転移動を行うため、フォーカシング群内のベースレイの通過経路が異なる。そのため、フォーカシング群のパワーが共役距離により異なる。前述したようにフォーカシング群の焦点距離を変えることにより、フォーカシング群の結像関係のM11,M22の値を変えることが可能となるため、フォーカシング群の移動量を小さくすることが可能となる。これにより、フォーカシング群の移動のためのスペースを小さくすることが可能となり、光学系の厚みをさらに薄く抑えることが可能となる。したがって、偏芯した反射面を少なくとも1面有するフォーカシング群として、フォーカシング中のパワーが一定でないものを少なくとも1つ有することが望ましい。焦点距離を変えながらフォーカシングを行うことにより、フォーカシング群の移動量を小さくできる、という大きな効果を得ることができる。
偏芯した反射面を少なくとも1面有するフォーカシング群は、少なくとも1面の入射面と、前記少なくとも1面の偏芯した反射面と、少なくとも1面の射出面と、を有するプリズム光学素子を、少なくとも1つ含むことが望ましい。共役距離が変わることにより、光学系で発生する収差が変動する。特に色収差の変動は反射面で補正することが不可能であるため、色収差の変動を補正するためには透過面が必要となる。透過面を2面用いることにより、色収差を互いに打ち消し合いながら、共役距離の変動による色収差の変動を良好に補正することが可能となる。また、このような構成は非常にシンプルであるため、フォーカシング群自体を小さく構成することが可能である。そのため、フォーカシング群の平行移動と回転移動が容易になり、光学系全体の厚みも薄くすることができる。
光学系は、入射面と、少なくとも1面の反射面と、射出面と、を有するプリズム光学素子を、少なくとも3つ有することが望ましい。さらには、前述した各実施の形態のように、プリズム光学素子を3つ有することが望ましい。高性能化を実現するためには、収差補正能力を高める必要がある。特に、画角の拡大,像高の拡大,長焦点距離化等に伴い、軸外収差が大きくなる。その補正のためには、光学面が多いほうが有利である。しかしながら、光学素子が増えるとコンパクトさが失われてしまう。コンパクトさを維持しながら収差補正能力を高めるには、プリズム光学素子を少なくとも3つ有することが好ましい。さらには、光学素子3つで光学系を構成すると、コンパクトでありながら高性能を実現することができる。
偏芯した反射面として、自由曲面又は非回転対称な面から成るものを少なくとも1面有することが望ましい。偏芯した反射面を用いると、光路の折りたたみ等の偏芯の効果により、より薄い光学系を実現することができる。しかしながら、偏芯しているために、偏芯による独特の収差が発生する。例えば、軸上でも非点収差が発生する。その収差補正は、光学面の曲率半径を水平方向と垂直方向とで異ならせることによって初めて可能となる。この状況は、周辺部分でも同様である。このような非回転対称な面から成る反射面としては、水平方向と垂直方向との曲率半径を任意に選択できる自由曲面が適している。したがって、高性能な光学系を実現するためには、自由曲面を用いることが望ましい。
偏芯した反射面を少なくとも1面有するフォーカシング群として、フォーカシング中の任意の共役距離状態s1,s2の組み合わせのうちの少なくとも1つで以下の条件式(2)を満足するものを少なくとも1つ有することが望ましい。
|(φi_s2−φi_s1)/φi_s2×100|<25.0 …(2)
ただし、
φi_s1:共役距離状態s1におけるフォーカシング群のパワー、
φi_s2:共役距離状態s2におけるフォーカシング群のパワー、
である。
この条件式(2)は、フォーカシング時に平行移動と回転移動を行うフォーカシング群の、フォーカシングにおけるパワー変動に関して好ましい条件範囲を規定している。前述したフォーカシング方法では、フォーカシングを通してフォーカシング群のパワーが変動するため、フォーカシングによる移動量を小さくすることができる。さらに、そのパワーの変動により、異なる共役距離で変動する諸収差を補正することも可能となり、高性能化を達成することができる。しかしながら、フォーカシング群の収差変動が大きすぎると、異なる撮影距離で変動する収差がその補正以上に変動するため、性能が著しく低下してしまう。条件式(2)の条件範囲を外れると、異なる共役距離で変動する収差が補正過剰となるか、フォーカシング群の収差が大きくなりすぎるため、高性能化を達成することができなくなる。
以下の条件式(2a)を満足することが更に望ましい。
|(φi_s2−φi_s1)/φi_s2×100|<15.0 …(2a)
この条件式(2a)は、上記条件式(2)が規定している条件範囲のなかでも、上記観点等に基づいた更に好ましい条件範囲を規定している。
前記光学系を構成する光学素子の少なくとも1つがプラスチック材料から形成されていることが望ましい。「プラスチック材料から形成されている」とは、プラスチック材料を母材としていることを言い、その表面に反射防止や表面硬度向上を目的としてコーティング処理を施した場合をも含むものとする。また、ここで言う「プラスチック材料」とは、特開2005−55852号公報で開示されている、プラスチック材料も含むものとする。特開2005−55852号公報で開示されているプラスチック材料は、通常のプラスチック材料に比べ、温度による屈折率変化が小さい材料である。特にこのような、温度による屈折率変化の小さいプラスチック材料を、ここでは「アサーマル樹脂」と呼ぶことにする。特開2005−55852号公報で開示されているプラスチック材料とは、具体的には、プラスチック材料中に最大長が30ナノメートル以下の粒子(例えば、無機微粒子等)を分散させた素材を用いて成形したプラスチック材料であり、例えばアクリルに酸化ニオブ(Nb25)の微粒子を分散させたものである。
プラスチック材料を光学系に用いる利点は、軽量化,コストダウン,一体成型の容易さ等、多々ある。その反面、デメリットとしては、環境温度変化による屈折率変化が大きいことが挙げられる。この影響により、周囲温度が変化した際に、撮像レンズ全系の像点位置が変動してしまうという問題をかかえてしまう。これを補正するために、アサーマル樹脂を部分的又は全てのプラスチック材料として用いることが望ましい。そうすることにより、光学系の像点位置変化を小さく抑えることが可能となる。なお、特開2005−55852号公報では、プラスチック材料の例としてdn/dt(n:屈折率,t:温度)の符号の異なる微粒子を分散させた例が示されているが、プラスチック材料のdn/dtに比べてdn/dtの絶対値が小さい微粒子を分散させれば、dn/dtの符号が同符号であっても温度変化による屈折率変化は小さくなり、従来のプラスチック材料を用いる場合に比べて光学系の像点位置の変化量を小さくすることができる。ただし、プラスチック材料にはdn/dtの符号の異なる微粒子を分散させた方が、プラスチックに分散する微粒子の量を少なくすることができる。
また、前述した各実施の形態のように偏芯した反射面を有する光学系の場合、環境温度による屈折率変化が大きいと、非点隔差が増大するという問題が発生する。これを補正するためには、従来のパワー配分の調整だけでは限界があり、アサーマル樹脂を使う必要がある。各実施の形態のような偏芯光学系では、非点隔差を小さく保つことが高性能な光学系を実現するためには必要であり、特に、プリズム材料としてアサーマル樹脂を用いることが望ましい。
前述した特徴的なフォーカシング方法を実施するにあたり、撮像素子へ光学像を形成するような構成をとることが望ましい。前述した各実施の形態に係るフォーカシング方法は、撮像素子SRの受光面上に物体の光学像を形成するための撮像光学系TLに用いられている。そのように、前記光学系が撮像素子の受光面上に物体の光学像を形成するための撮像光学系であることが望ましい。ただし、前記フォーカシング方法は撮像光学系への適用に限るものではなく、あらゆる非軸光学系に適用できるものであることから、投影光学系,表示光学系等にも適用可能な方法である。
プリズム光学素子の反射面を形成する面には、反射する領域と透過する領域があることが望ましい。プリズム面を作製する場合、その全てを反射面にすると、エッジの部分で迷光が発生するという問題があり、また、プリズム光学素子を保持するための部分が確保できないという問題もある。反射する領域以外の光を透過させる構成にすれば、有効範囲だけを利用することができ、迷光対策において好ましい。また、その領域でプリズム保持も可能となるが、保持部で光をカット又は吸収する構成にすれば迷光対策になる。
プリズム光学素子の反射面を形成する面には、反射する領域と吸収する領域があることが望ましい。プリズム面を作製する場合、その全てを反射面にすると、エッジの部分で迷光が発生するという問題があり、また、プリズム光学素子を保持するための部分が確保できないという問題もある。反射する領域以外の光を吸収させる構成にすれば、有効範囲だけを利用することができ、迷光対策において好ましい。また、吸収される部分でプリズム保持も可能となる。
プリズム光学素子の反射面を形成する面には、反射する領域と遮光する領域があることが望ましい。プリズム面を作製する場合、その全てを反射面にすると、エッジの部分で迷光が発生するという問題があり、また、プリズム光学素子を保持するための部分が確保できないという問題もある。反射する領域以外の光を遮光する構成にすれば、有効範囲だけを利用することができ、迷光対策において好ましい。また、遮光される部分でプリズム保持も可能となる。
前記反射する領域には、反射コートを施していることが望ましい。反射する部分に反射コートを施すことにより、光を効率良く反射させることが可能となる。例えば、絞りを有する反射面を用いる場合には、絞りの有効径内にのみ反射コートを施すのが望ましい。これにより、絞り有効径以外の光をカットすることが可能となり、部品点数を増やすことなく、安価な構成をとることが可能となる。
前記吸収する領域又は遮光する領域が黒染により構成されていることが望ましい。黒染することにより、その領域の面の変形を防止することができる。また、その面を保持部や測定基準面とすれば高精度を保つことができる。
前記吸収する領域又は遮光する領域が粗研削により構成されていることが望ましい。面を粗くして光を散乱させる構成にすれば、有効径内のみの光を反射の対象にすることができる。また、粗研削では領域の変更を簡単に行うことが可能であり、安く加工できるというメリットもある。
前記吸収する領域又は遮光する領域が粗い面に加工されていることが望ましい。面を粗くして光を散乱させる構成にすれば、有効径内のみの光を反射の対象にすることができる。面を研磨又はプレスで作製する場合、研磨での仕上げは行われない。プレスでは金型のその部分を粗くしておけば、安く簡単に吸収領域又は遮光領域を形成することができる。
前記吸収する領域又は遮光する領域が、光を散乱させるピラミッドの微小形状を有することが望ましい。吸収する領域又は遮光する領域に、光を散乱させるピラミッドの微小形状を作製することにより、その部分で光を減衰させることが可能となるため、特に迷光の対策になる。もし、その部分を透過にしておくと、鏡筒等で反射したり乱反射したりした光が迷光の原因となるため、その部分の形状を工夫したり、部品を追加したりする必要が生じる。それに比べれば、光を散乱させるピラミッドの微小形状はプレス等で安く加工できる。
前記吸収する領域又は遮光する領域が、有機溶剤での化学反応により構成されたものであることが望ましい。吸収する領域又は遮光する領域の形成に有機溶剤を用い、化学反応を起こさせてその部分の性質を変えてやることが可能である。その部分に塗布したり、溶剤に浸しておくだけの処理で済むため、一度に大量の生産が可能となる。
前記反射する領域が鏡面状態にされていることが望ましい。光を有効に反射させるためには、反射部分を鏡面状態にするのが好ましい。特に、リップル等の微小な凹凸があると、反射効率が落ちたり迷光が発生したりする原因になるため、鏡面状態にすることが望ましい。
反射面にはアルミ蒸着のコーティングが施されていることが望ましい。アルミ蒸着のコーティングは反射率が高く、安価に加工できるというメリットがある。また、反射面にはアルミ増反射のコーティングが施されていることが望ましい。アルミ増反射のコーティングは、通常のアルミ蒸着コーティングよりも高い反射率が得られるように形成することができる。
さらに、高い反射率を得るには、反射面に誘電体のコーティングが施されていることが望ましい。誘電体のコーティングは反射率が非常に高い。特に複数の反射面が存在する場合には、光量の損失を低く抑える必要があり、その場合には誘電体のコートが有効である。また、反射面には銀蒸着のコーティングが施されていることが望ましい。銀蒸着のコーティングは反射率が非常に高い。特に複数の反射面が存在する場合には、光量の損失を低く抑える必要があり、その場合には銀蒸着のコートが有効である。
プリズム光学素子の反射面は、アルミ蒸着コーティングを施した面、アルミ増反射コーティングを施した面、誘電体コーティングを施した面、銀蒸着コーティングを施した面、が混在していることが望ましい。1つのプリズム光学素子に複数の反射面がある場合、反射面の全てにアルミ蒸着コーティングを施せば安価に製作できるが、反射率の低下を招くおそれがある。また、全ての反射面に増反射コーティング,銀蒸着コーティング,誘電体コーティングを施すと、反射率の低下は抑えられるが高価になってしまう。反射率の低下を少なくしながらより安価にするためには、4者をバランスさせるのが好ましい。また、4者のうち、2つ又は3つを選択してもよい。
少なくとも1面の反射面の反射率は80%以上であることが望ましい。全系の反射率は、各反射面の反射率の掛け算となる。全体の反射率を上げるためには個々の反射率を高くする必要があるが、それとともに反射率の低い面が1面あれば、全体の反射率の低下は大きくなってしまう。そのため、少なくとも1面の反射率は80%以上であることが必要となる。
プリズム光学素子の透過面又は反射面のうちの少なくとも1面に、長波長域を吸収するコーティングが施されていることが望ましい。光学系の波長に依存した結像性能に対し、長波長領域の光は有害である。そのため、長波長領域を吸収するコートが施された平行平板が撮像素子の前に配置されたりする。しかしながら、プリズム光学素子の反射面でそのような長波長領域の光を吸収してしまえば、有害光がなくなる。したがって、長波長領域を吸収する部材は不要となり、コストダウンが可能となる。
プリズム光学素子はプラスチック材料から成ることが望ましい。プラスチック材料を用いればプリズム光学素子を安価に構成することができ、また、プレス加工により大量に作ることも可能である。別の観点から言えば、プリズム光学素子はガラス材料から成ることが望ましい。プリズム光学素子をガラス材料で構成する場合、屈折率の高い材料を選択することができるので、その分、薄型化・高性能化に有利である。
なお、各実施の形態の撮像光学系TLには、入射光線を屈折作用により偏向させる屈折型レンズ面(つまり、異なる屈折率を有する媒質同士の界面で偏向が行われるタイプのレンズ面)が用いられているが、使用可能なレンズ面はこれに限らない。例えば、回折作用により入射光線を偏向させる回折型レンズ面,屈折作用と回折作用との組み合わせで入射光線を偏向させる屈折・回折ハイブリッド型レンズ面等を用いてもよい。
各実施の形態の撮像光学系TLは、画像入力機能付きデジタル機器(例えばカメラ付き携帯電話)用の薄型撮像光学系としての使用に適しており、これを撮像素子SR等と組み合わせることにより、被写体の映像を光学的に取り込んで電気的な信号として出力する撮像装置を構成することができる。撮像装置は、被写体の静止画撮影や動画撮影に用いられるカメラの主たる構成要素を成す光学装置であり、例えば、物体(被写体)側から順に、物体の光学像を形成する撮像光学系と、撮像光学系により形成された光学像を電気的な信号に変換する撮像素子と、で構成される。
撮像素子としては、例えば複数の画素を有するCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサー等の固体撮像素子が用いられ、撮像光学系により形成された光学像は撮像素子により電気的な信号に変換される。撮像素子で生成した信号は、必要に応じて所定のデジタル画像処理や画像圧縮処理等が施されて、デジタル映像信号としてメモリー(半導体メモリー,光ディスク等)に記録されたり、場合によってはケーブルを介したり赤外線信号に変換されたりして他の機器に伝送される。なお、撮像光学系と撮像素子との間には、光学フィルター(光学的ローパスフィルター,赤外カットフィルター等)が必要に応じて配置される。
カメラの例としては、デジタルカメラ;ビデオカメラ;監視カメラ;車載カメラ;テレビ電話用カメラ;ドアホーン用カメラ;パーソナルコンピュータ,モバイルコンピュータ,携帯電話,携帯情報端末,これらの周辺機器(マウス,スキャナー,プリンター等),その他のデジタル機器等に内蔵又は外付けされるカメラが挙げられる。これらの例から分かるように、撮像装置を用いることによりカメラを構成することができるだけでなく、各種機器に撮像装置を搭載することによりカメラ機能を付加することも可能である。また、カメラ機能を実現する際には、必要に応じた形態で撮像装置を使用することが可能である。例えば、ユニット化した撮像装置をカメラボディに対して着脱自在又は回動自在に構成してもよく、ユニット化した撮像装置を携帯情報機器(携帯電話,PDA等)に対して着脱自在又は回動自在に構成してもよい。
以上の説明から分かるように、上述した各実施の形態や後述する各実施例には以下の構成が含まれている。その構成により、良好な光学性能と低コストで薄型・コンパクトな撮像装置を実現することができ、カメラ,デジタル機器等への適用により、その高性能化,高機能化,低コスト化及びコンパクト化に寄与することができる。
(U1) 光学像を形成する撮像光学系と、その撮像光学系により形成された光学像を電気的な信号に変換する撮像素子と、を備えた撮像装置であって、前記撮像光学系が複数の光学面と絞りを有し、前記複数の光学面のうちの少なくとも1面として偏芯した反射面を有し、前記偏芯した反射面を少なくとも1面有する群をフォーカシング群として、そのフォーカシング群の平行移動と回転移動により、軸上の結像位置と軸上主光線の像面への入射角度とをほぼ一定に保ちながら、像面全体の位置をほぼ一定にするためのフォーカシングを行うことを特徴とする撮像装置。
(U2) 光学像を形成する撮像光学系と、その撮像光学系により形成された光学像を電気的な信号に変換する撮像素子と、を備えた撮像装置であって、前記撮像光学系が偏芯した反射面を少なくとも1面有するプリズム光学素子を少なくとも1つ有し、そのうちの少なくとも1つのプリズム光学素子を含む群をフォーカシング群として、そのフォーカシング群の平行移動と回転移動により、軸上の結像位置と軸上主光線の像面への入射角度とをほぼ一定に保ちながら、像面全体の位置をほぼ一定にするためのフォーカシングを行うことを特徴とする撮像装置。
(U3) 前記フォーカシング群が、前記光学面として前記偏芯した反射面のみを有する光学素子、前記光学面として前記偏芯した反射面とその他の光学面とを有する光学素子、それらの組み合わせ、又はそれらのうちの少なくとも1つと他の光学素子との組み合わせから成ることを特徴とする上記(U1)記載の撮像装置。
(U4) 前記フォーカシング群が、前記光学面として偏芯した光学面のみを有するプリズム光学素子、前記光学面として前記偏芯した反射面とその他の光学面とを有するプリズム光学素子、それらの組み合わせ、又はそれらのうちの少なくとも1つと他の光学素子との組み合わせから成ることを特徴とする上記(U2)記載の撮像装置。
(U5) 前記撮像光学系が前記フォーカシング群を複数有し、前記平行移動と回転移動を個々のフォーカシング群について行うことを特徴とする上記(U1)〜(U4)のいずれか1項に記載の撮像装置。
(U6) 前記フォーカシング群として、軸上入射主光線と軸上射出主光線とが平行でないものを少なくとも1つ有することを特徴とする上記(U1)〜(U5)のいずれか1項に記載の撮像装置。
(U7) 前記フォーカシング群として、フォーカシング中のパワーが一定でないものを少なくとも1つ有することを特徴とする上記(U1)〜(U6)のいずれか1項に記載の撮像装置。
(U8) 前記フォーカシング群として、フォーカシング中の少なくとも1つの共役距離状態で前記条件式(1)又は(1a)を満足するものを少なくとも1つ有することを特徴とする上記(U1)〜(U7)のいずれか1項に記載の撮像装置。
(U9) 前記フォーカシング群として、フォーカシング中の任意の共役距離状態s1,s2の組み合わせのうちの少なくとも1つで前記条件式(2)又は(2a)を満足するものを少なくとも1つ有することを特徴とする上記(U1)〜(U8)のいずれか1項に記載の撮像装置。
(U10) 前記撮像光学系が前記フォーカシング群の物体側に固定群を有し、以下の条件式(3A)及び(3B)、又はその条件範囲を狭くした前記条件式を満足することを特徴とする上記(U1)〜(U9)のいずれか1項に記載の撮像装置。
|[(BC11−BC21)+{MC21 2(FX21+S2)}/{(FX21+S2)(BX21+FC21)−MX21 2}−{MC11 2(FX11+S1)}/{(FX11+S1)(BX11+FC11)−MX11 2}]/fx|≦0.10 …(3A)
|[(BC12−BC22)+{MC22 2(FX22+S2)}/{(FX22+S2)(BX22+FC22)−MX22 2}−{MC12 2(FX12+S1)}/{(FX12+S1)(BX12+FC12)−MX12 2}]/fy|≦0.10 …(3B)
ただし、任意の2つの撮影距離状態をΘ1,Θ2とし、物体中心から絞り中心を通り像面中心に至る軸上主光線をベースレイとすると、
S1:撮影距離状態Θ1における固定群の最も物体側の面とベースレイとの交点から物面までのベースレイに沿った距離、
S2:撮影距離状態Θ2における固定群の最も物体側の面とベースレイとの交点から物面までのベースレイに沿った距離、
であり、ベースレイ上の原点からベースレイ方向にz軸が設定され、そのz軸に対して垂直なx軸及びy軸から成る直交座標系について、
x:x方向の全系の焦点距離、
y:y方向の全系の焦点距離、
であり、
X11=(F11)fix,FX12=(F22)fix
X11=(M11)fix,MX12=(M22)fix
X11=(B11)fix,BX12=(B22)fix
C11=(F11)foc_Θ1,FC12=(F22)foc_Θ1
C21=(F11)foc_Θ2,FC22=(F22)foc_Θ2
C11=(−M11)foc_Θ1,MC12=(−M22)foc_Θ1
C21=(−M11)foc_Θ2,MC22=(−M22)foc_Θ2
C11=(B11)foc_Θ1,BC12=(B22)foc_Θ1
C21=(B11)foc_Θ2,BC22=(B22)foc_Θ2
であり、F,M,Bは1次特性関数行列であり、添え字11,22はその行列の11成分,22成分をそれぞれ表し、添え字fix,focは固定群,フォーカシング群の特性関数行列であることをそれぞれ表し、添え字_Θ1,_Θ2は撮影距離状態Θ1,Θ2での特性関数行列であることをそれぞれ表す。
(U11) 前記フォーカシング群として、前記条件式(4)及びその条件範囲を狭くした条件式のうちの少なくとも1つを満足するものを少なくとも1つ有することを特徴とする上記(U1)〜(U10)のいずれか1項に記載の撮像装置。
(U12) 前記条件式(5)及びその条件範囲を狭くした条件式のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする上記(U1)〜(U11)のいずれか1項に記載の撮像装置。
(U13) 前記偏芯した反射面として、自由曲面から成るものを少なくとも1面有することを特徴とする上記(U1)〜(U12)のいずれか1項に記載の撮像装置。
(U14) 前記偏芯した反射面として、非回転対称な面から成るものを少なくとも1面有することを特徴とする上記(U1)〜(U13)のいずれか1項に記載の撮像装置。
(U15) 前記撮像光学系を構成する光学素子の少なくとも1つがプラスチック材料から形成されていることを特徴とする上記(U1)〜(U14)のいずれか1項に記載の撮像装置。
(U16) 前記プラスチック材料がアサーマル樹脂であることを特徴とする上記(U15)記載の撮像装置。
(C1) 上記(U1)〜(U16)のいずれか1項に記載の撮像装置を備え、被写体の静止画撮影,動画撮影のうちの少なくとも一方に用いられることを特徴とするカメラ。
(C2) デジタルカメラ;ビデオカメラ;又は携帯電話,携帯情報端末,パーソナルコンピュータ,モバイルコンピュータ,若しくはこれらの周辺機器に内蔵又は外付けされるカメラであることを特徴とする上記(C1)記載のカメラ。
(D1) 上記(U1)〜(U16)のいずれか1項に記載の撮像装置を備えることにより、被写体の静止画撮影,動画撮影のうちの少なくとも一方の機能が付加されたことを特徴とするデジタル機器。
(D2) 携帯電話,携帯情報端末,パーソナルコンピュータ,モバイルコンピュータ,又はこれらの周辺機器であることを特徴とする上記(D1)記載のデジタル機器。
撮像装置では、撮像光学系によって拡大側の被写体から縮小側の撮像素子への縮小投影が行われるが、撮像素子の代わりに2次元画像を表示する表示素子(例えば液晶表示素子)を用い、撮像光学系を投影光学系として使用すれば、縮小側の画像表示面から拡大側のスクリーン面への拡大投影を行う画像投影装置(すなわちプロジェクター)を構成することができる。したがって、上述した各実施の形態や後述する各実施例には、以下の構成が含まれている。つまり、各実施の形態のフォーカシング方法は、撮像光学系に限らず、投影光学系にも好適に用いることが可能である。
(T1) 2次元画像を表示する表示素子と、その表示画像をフォーカシング可能に拡大投影する投影光学系と、を備えた画像投影装置であって、前記投影光学系が複数の光学面を有し、前記複数の光学面のうちの少なくとも1面として偏芯した反射面を有し、前記偏芯した反射面を少なくとも1面有する群をフォーカシング群として、そのフォーカシング群の平行移動と回転移動により、軸上の結像位置と軸上主光線の像面への入射角度とをほぼ一定に保ちながら、像面全体の位置をほぼ一定にするためのフォーカシングを行うことを特徴とする画像投影装置。
(T2) 2次元画像を表示する表示素子と、その表示画像をフォーカシング可能に拡大投影する投影光学系と、を備えた画像投影装置であって、前記投影光学系が偏芯した反射面を少なくとも1面有するプリズム光学素子を少なくとも1つ有し、そのうちの少なくとも1つのプリズム光学素子を含む群をフォーカシング群として、そのフォーカシング群の平行移動と回転移動により、軸上の結像位置と軸上主光線の像面への入射角度とをほぼ一定に保ちながら、像面全体の位置をほぼ一定にするためのフォーカシングを行うことを特徴とする画像投影装置。
(T3) 前記フォーカシング群が、前記光学面として前記偏芯した反射面のみを有する光学素子、前記光学面として前記偏芯した反射面とその他の光学面とを有する光学素子、それらの組み合わせ、又はそれらのうちの少なくとも1つと他の光学素子との組み合わせから成ることを特徴とする上記(T1)記載の画像投影装置。
(T4) 前記フォーカシング群が、前記光学面として偏芯した光学面のみを有するプリズム光学素子、前記光学面として前記偏芯した反射面とその他の光学面とを有するプリズム光学素子、それらの組み合わせ、又はそれらのうちの少なくとも1つと他の光学素子との組み合わせから成ることを特徴とする上記(T2)記載の画像投影装置。
(T5) 前記投影光学系が前記フォーカシング群を複数有し、前記平行移動と回転移動を個々のフォーカシング群について行うことを特徴とする上記(T1)〜(T4)のいずれか1項に記載の画像投影装置。
(T6) 前記フォーカシング群として、軸上入射主光線と軸上射出主光線とが平行でないものを少なくとも1つ有することを特徴とする上記(T1)〜(T5)のいずれか1項に記載の画像投影装置。
(T7) 前記フォーカシング群として、フォーカシング中のパワーが一定でないものを少なくとも1つ有することを特徴とする上記(T1)〜(T6)のいずれか1項に記載の画像投影装置。
(T8) 前記フォーカシング群として、フォーカシング中の少なくとも1つの共役距離状態で前記条件式(1)又は(1a)を満足するものを少なくとも1つ有することを特徴とする上記(T1)〜(T7)のいずれか1項に記載の画像投影装置。
(T9) 前記フォーカシング群として、フォーカシング中の任意の共役距離状態s1,s2の組み合わせのうちの少なくとも1つで前記条件式(2)又は(2a)を満足するものを少なくとも1つ有することを特徴とする上記(T1)〜(T8)のいずれか1項に記載の画像投影装置。
(T10) 前記投影光学系が前記フォーカシング群の物体側に固定群を有し、前記条件式(3A)及び(3B)、又はその条件範囲を狭くした条件式を満足することを特徴とする上記(T1)〜(T9)のいずれか1項に記載の画像投影装置。
(T11) 前記フォーカシング群として、前記条件式(4)及びその条件範囲を狭くした条件式のうちの少なくとも1つを満足するものを少なくとも1つ有することを特徴とする上記(T1)〜(T10)のいずれか1項に記載の画像投影装置。
(T12) 前記条件式(5)及びその条件範囲を狭くした条件式のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする上記(T1)〜(T11)のいずれか1項に記載の画像投影装置。
(T13) 前記偏芯した反射面として、自由曲面から成るものを少なくとも1面有することを特徴とする上記(T1)〜(T12)のいずれか1項に記載の画像投影装置。
(T14) 前記偏芯した反射面として、非回転対称な面から成るものを少なくとも1面有することを特徴とする上記(T1)〜(T13)のいずれか1項に記載の画像投影装置。
(T15) 前記投影光学系を構成する光学素子の少なくとも1つがプラスチック材料から形成されていることを特徴とする上記(T1)〜(T14)のいずれか1項に記載の画像投影装置。
(T16) 前記プラスチック材料がアサーマル樹脂であることを特徴とする上記(T15)記載の画像投影装置。
以下、本発明に係るフォーカシング方法を、それを用いた撮像光学系のコンストラクションデータ等を挙げて更に具体的に説明する。ここで挙げる実施例1,2は、前述した第1,第2の実施の形態にそれぞれ対応する数値実施例であり、第1,第2の実施の形態を表す光学構成図(図1,図2;図15,図16)は、対応する実施例1,2の光学構成,光路等をそれぞれ示している。
表1〜表12に、実施例1,2のコンストラクションデータを示す。表1,表7中の基本的な光学構成(i:面番号)において、Si(i=1,2,3,...)は物体側から数えてi番目の面(S1は基準面としてのダミー面に相当し、S2は撮像光学系の最も物体側の面に相当する。)、ri(i=1,2,3,...)は面Siの曲率半径(単位:mm)、Ni(i=1,2,3,...),νi(i=1,2,3,...)は物体側から数えてi番目の面Siと(i+1)番目の面Si+1との間に位置する光学材料のd線に対する屈折率(Nd),アッベ数(νd)をそれぞれ示している。
実施例1,2おける各面Siの配置は、表2,表8中の面頂点座標と回転角度の各面データでそれぞれ特定される。面データは右手系の直交座標系(X,Y,Z)に基づいて表現されており、その直交座標系(X,Y,Z)では、物体中心と像面中心を通る主光線をベースレイとし、ベースレイと第1面S1(ただし、実施例1の第3プリズムP3に関してはその入射面S10を面S11,S12の座標基準とし、実施例2の第3プリズムP3に関してはその入射面S9を面S10,S11の座標基準とする。)との交点を原点(0,0,0)とし、Z軸方向をベースレイが物体中心から第1面S1の交点を通る方向とし、その向きを正としている。各光路図(図1,図2;図15,図16)において、X軸方向は紙面に対して垂直方向であり(紙面の裏面方向を正とし、紙面に向かって反時計回りをX回転の正とする。)、Y軸方向はX軸とZ軸により右手系をなす方向(紙面と平行)である。各面の面頂点位置は面頂点座標(X座標,Y座標,Z座標)で表されており(単位:mm)、その面の面頂点を中心とするX,Y,Zの各方向の軸回り回転角度(X回転,Y回転,Z回転)で面の傾きが表されている(単位:°)。なお、X軸,Y軸の正方向に対して反時計回りがそれぞれX回転,Y回転の回転角度の正方向であり、Z軸の正方向に対して時計回りがZ回転の正方向である。
表2,表8に示すデータは、フォーカスポジションPOS1(物体距離=∞)での各面Siの配置を示している。第3プリズムP3の平行移動と回転移動によりフォーカシングを行うと、第1面S1を座標基準とする第10面S10(実施例1)と第9面S9(実施例2)の配置が変化する。表3,表9に、各フォーカスポジションPOS1〜POS6での物体距離(物体面から第1面S1までの距離,単位:mm)を示すとともに、各フォーカスポジションPOS1〜POS6での第10面S10(実施例1)と第9面S9(実施例2)の面頂点座標と回転角度のデータを示す。フォーカシングにおいて、平行移動はY−Z平面に沿って行われるためX=0であり、回転移動はX回転で行われるためY回転,Z回転の回転角度=0である。また、像面S13(実施例1),S12(実施例2)の位置もフォーカシングにおいて変化しない(つまり、像面位置は物体距離に関わらず一定である。)。
表1,表7中、*印が付された面Siは自由曲面であり、その面頂点を原点とするローカルな直交座標系(x,y,z)を用いた以下の式(FS)で定義される。表4〜表6,表10〜表12に、各実施例の自由曲面データを示す。ただし、表記の無い項の係数は0であり(すべての自由曲面についてk=0である。)、すべてのデータに関してE−n=×10-nである。
Figure 2008046561
…(FS)
ただし、式(FS)中、
z:高さhの位置でのz軸方向の変位量(面頂点基準)、
h:z軸に対して垂直な方向の高さ(h2=x2+y2)、
c:近軸曲率(=1/曲率半径)、
k:円錐係数、
j:係数、
であり、自由曲面項は以下の式(FC)で表される。
Figure 2008046561
…(FC)
表13に、各実施例の全系の焦点距離(単位:mm),Fナンバー(Fno),半画角(単位:°),物体距離変動(単位:mm)及び絞りSTの半径(単位:mm)を示す。また、表14に各実施例のフォーカシング群(すなわち第3プリズムP3)の焦点距離を各フォーカスポジションPOS1〜POS6について示し、表15に各実施例の条件式対応値等を示す。なお、表13〜表15において、X方向は水平方向(画面の長辺方向)、Y方向は垂直方向(画面の短辺方向)であり、表15中の条件式(2),(3A),(3B)の対応値はフォーカスポジションPOS1を基準としている。
図3〜図14,図17〜図28の(A)〜(F)は実施例1,2の横収差図であり、各フォーカスポジションPOS1〜POS6におけるX方向,Y方向の横収差Δx,Δyを示している。また各横収差図は、各図中のローカルな直交座標系(x,y)で表されている像高(単位:mm)でのd線に対する横収差Δx,Δy(単位:mm)を示している。なお、収差図のスケールは、縦軸が−0.02〜0.02、横軸が−1.0〜1.0である。
Figure 2008046561
Figure 2008046561
Figure 2008046561
Figure 2008046561
Figure 2008046561
Figure 2008046561
Figure 2008046561
Figure 2008046561
Figure 2008046561
Figure 2008046561
Figure 2008046561
Figure 2008046561
Figure 2008046561
Figure 2008046561
Figure 2008046561
第1の実施の形態(実施例1)の光学構成図。 第1の実施の形態(実施例1)のフォーカスポジションPOS1,POS4,POS6での光学配置等を示す光学構成図。 実施例1のPOS1でのX方向のΔxを示す横収差図。 実施例1のPOS4でのX方向のΔxを示す横収差図。 実施例1のPOS6でのX方向のΔxを示す横収差図。 実施例1のPOS1でのX方向のΔyを示す横収差図。 実施例1のPOS4でのX方向のΔyを示す横収差図。 実施例1のPOS6でのX方向のΔyを示す横収差図。 実施例1のPOS1でのY方向のΔxを示す横収差図。 実施例1のPOS4でのY方向のΔxを示す横収差図。 実施例1のPOS6でのY方向のΔxを示す横収差図。 実施例1のPOS1でのY方向のΔyを示す横収差図。 実施例1のPOS4でのY方向のΔyを示す横収差図。 実施例1のPOS6でのY方向のΔyを示す横収差図。 第2の実施の形態(実施例2)の光学構成図。 第2の実施の形態(実施例2)のフォーカスポジションPOS1,POS4,POS6での光学配置等を示す光学構成図。 実施例2のPOS1でのX方向のΔxを示す横収差図。 実施例2のPOS4でのX方向のΔxを示す横収差図。 実施例2のPOS6でのX方向のΔxを示す横収差図。 実施例2のPOS1でのX方向のΔyを示す横収差図。 実施例2のPOS4でのX方向のΔyを示す横収差図。 実施例2のPOS6でのX方向のΔyを示す横収差図。 実施例2のPOS1でのY方向のΔxを示す横収差図。 実施例2のPOS4でのY方向のΔxを示す横収差図。 実施例2のPOS6でのY方向のΔxを示す横収差図。 実施例2のPOS1でのY方向のΔyを示す横収差図。 実施例2のPOS4でのY方向のΔyを示す横収差図。 実施例2のPOS6でのY方向のΔyを示す横収差図。 共軸光学系のリアフォーカスを説明するための模式図。 非軸光学系のリアフォーカスを説明するための模式図。 図30に示す非軸光学系において偏芯した反射面を持つ三角プリズムの平行移動によるベースレイの動きを説明するための模式図。 図30に示す非軸光学系において偏芯した反射面を持つ三角プリズムの平行移動及び回転移動によるベースレイの動きを説明するための模式図。
符号の説明
TL 撮像光学系
P1 第1プリズム(プリズム光学素子)
ST 絞り
P2 第2プリズム(プリズム光学素子)
P3 第3プリズム(プリズム光学素子,フォーカシング群)
S1〜S13 第1面〜第13面
BR ベースレイ
SR 撮像素子(像面)

Claims (22)

  1. 複数の光学面と絞りを有し、前記複数の光学面のうちの少なくとも1面として偏芯した反射面を有する光学系のフォーカシング方法であって、前記偏芯した反射面を少なくとも1面有する群をフォーカシング群として、そのフォーカシング群の平行移動と回転移動により、異なる共役距離に対し、軸上の結像位置と軸上主光線の像面への入射角度とをほぼ一定に保ちながら、像面全体の位置をほぼ一定にするためのフォーカシングを行うことを特徴とするフォーカシング方法。
  2. 前記フォーカシング群が、前記光学面として前記偏芯した反射面のみを有する光学素子、前記光学面として前記偏芯した反射面とその他の光学面とを有する光学素子、それらの組み合わせ、又はそれらのうちの少なくとも1つと他の光学素子との組み合わせから成ることを特徴とする請求項1記載のフォーカシング方法。
  3. 前記光学系が前記フォーカシング群を複数有し、前記平行移動と回転移動を個々のフォーカシング群について行うことを特徴とする請求項1又は2記載のフォーカシング方法。
  4. 前記フォーカシング群として、軸上入射主光線と軸上射出主光線とが平行でないものを少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフォーカシング方法。
  5. 前記フォーカシング群として、フォーカシング中の少なくとも1つの共役距離状態で以下の条件式(1)を満足するものを少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のフォーカシング方法;
    |φfoc/φall|<5.0 …(1)
    ただし、
    φfoc:フォーカシング群のパワー、
    φall:全系のパワー、
    である。
  6. 前記フォーカシング群として、フォーカシング中のパワーが一定でないものを少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のフォーカシング方法。
  7. 前記偏芯した反射面として、自由曲面から成るものを少なくとも1面有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のフォーカシング方法。
  8. 前記フォーカシング群として、フォーカシング中の任意の共役距離状態s1,s2の組み合わせのうちの少なくとも1つで以下の条件式(2)を満足するものを少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のフォーカシング方法;
    |(φi_s2−φi_s1)/φi_s2×100|<25.0 …(2)
    ただし、
    φi_s1:共役距離状態s1におけるフォーカシング群のパワー、
    φi_s2:共役距離状態s2におけるフォーカシング群のパワー、
    である。
  9. 前記光学系を構成する光学素子の少なくとも1つがプラスチック材料から形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のフォーカシング方法。
  10. 前記プラスチック材料がアサーマル樹脂であることを特徴とする請求項9記載のフォーカシング方法。
  11. 前記光学系が撮像素子の受光面上に物体の光学像を形成するための撮像光学系であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のフォーカシング方法。
  12. 複数の光学面と絞りを有し、前記複数の光学面のうちの少なくとも1面として偏芯した反射面を有する光学系のフォーカシング方法であって、前記光学系が前記偏芯した反射面を少なくとも1面有するプリズム光学素子を少なくとも1つ有し、そのうちの少なくとも1つのプリズム光学素子を含む群をフォーカシング群として、そのフォーカシング群の平行移動と回転移動により、異なる共役距離に対し、軸上の結像位置と軸上主光線の像面への入射角度とをほぼ一定に保ちながら、像面全体の位置をほぼ一定にするためのフォーカシングを行うことを特徴とするフォーカシング方法。
  13. 前記フォーカシング群が、前記光学面として偏芯した光学面のみを有するプリズム光学素子、前記光学面として前記偏芯した反射面とその他の光学面とを有するプリズム光学素子、それらの組み合わせ、又はそれらのうちの少なくとも1つと他の光学素子との組み合わせから成ることを特徴とする請求項12記載のフォーカシング方法。
  14. 前記光学系が前記フォーカシング群を複数有し、前記平行移動と回転移動を個々のフォーカシング群について行うことを特徴とする請求項12又は13記載のフォーカシング方法。
  15. 前記フォーカシング群として、軸上入射主光線と軸上射出主光線とが平行でないものを少なくとも1つ有することを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載のフォーカシング方法。
  16. 前記フォーカシング群として、フォーカシング中の少なくとも1つの共役距離状態で以下の条件式(1)を満足するものを少なくとも1つ有することを特徴とする請求項12〜15のいずれか1項に記載のフォーカシング方法;
    |φfoc/φall|<5.0 …(1)
    ただし、
    φfoc:フォーカシング群のパワー、
    φall:全系のパワー、
    である。
  17. 前記フォーカシング群として、フォーカシング中のパワーが一定でないものを少なくとも1つ有することを特徴とする請求項12〜16のいずれか1項に記載のフォーカシング方法。
  18. 前記偏芯した反射面として、自由曲面から成るものを少なくとも1面有することを特徴とする請求項12〜17のいずれか1項に記載のフォーカシング方法。
  19. 前記フォーカシング群として、フォーカシング中の任意の共役距離状態s1,s2の組み合わせのうちの少なくとも1つで以下の条件式(2)を満足するものを少なくとも1つ有することを特徴とする請求項12〜18のいずれか1項に記載のフォーカシング方法;
    |(φi_s2−φi_s1)/φi_s2×100|<25.0 …(2)
    ただし、
    φi_s1:共役距離状態s1におけるフォーカシング群のパワー、
    φi_s2:共役距離状態s2におけるフォーカシング群のパワー、
    である。
  20. 前記光学系を構成する光学素子の少なくとも1つがプラスチック材料から形成されていることを特徴とする請求項12〜19のいずれか1項に記載のフォーカシング方法。
  21. 前記プラスチック材料がアサーマル樹脂であることを特徴とする請求項20記載のフォーカシング方法。
  22. 前記光学系が撮像素子の受光面上に物体の光学像を形成するための撮像光学系であることを特徴とする請求項12〜21のいずれか1項に記載のフォーカシング方法。
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WO2020246265A1 (ja) * 2019-06-07 2020-12-10 オムロン株式会社 三次元計測装置用光学アセンブリおよびこれを備えた三次元計測装置

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