JP2008045201A - 低密度合金材料、及び、その製法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低密度合金材料、及び、その製法を提供する。
【解決手段】低密度の合金材料、及び、その製法であって、合金材料は、主要組成が重量百分率で、15≦マンガン≦22.5、7.2≦アルミニウム≦9.0、5.1≦クロム≦7.8、0.6≦カーボン≦1.2、残りが鉄の組み合わせからなる。上述の合金成分の合金材料でゴルフヘッドを製作する時、鍛造、及び、圧延等の熱間、冷間塑性加工も不要で、好ましい延伸性、強度、吸震性、及び、高耐蝕性を有し、現在の生産コストを大幅に減少させる。
【選択図】図4
【解決手段】低密度の合金材料、及び、その製法であって、合金材料は、主要組成が重量百分率で、15≦マンガン≦22.5、7.2≦アルミニウム≦9.0、5.1≦クロム≦7.8、0.6≦カーボン≦1.2、残りが鉄の組み合わせからなる。上述の合金成分の合金材料でゴルフヘッドを製作する時、鍛造、及び、圧延等の熱間、冷間塑性加工も不要で、好ましい延伸性、強度、吸震性、及び、高耐蝕性を有し、現在の生産コストを大幅に減少させる。
【選択図】図4
Description
本発明は、低密度合金技術に関するものであって、特に、いかなる鍛造、及び、圧延等の熱間、冷間塑性加工も不要である条件下で、好ましい延伸性、強度、吸震性、及び、高耐蝕性を有する低密度のゴルフヘッド合金材料、及び、その製法に関するものである。
ゴルフプレーヤのスウィング時の感触を更に心地よいものにし、打撃が安定し、制球性に優れ、震動を少なくし、更に遠くに飛ばせるようにするため、様々な材質がヘッド材質に応用されている。例えば、8620カーボンスチール、304オーステナイト鉄ステンレス、17−4PH析出硬化型ステンレス、高強度のAISI431、AISI455マルテンサイト系ステンレス、18Ni(200)マルエージング鋼、チタン−6アルミ−4バナジウム合金とSP−700チタン合金等である。しかし、これらの材料中、あるものは、好ましい延伸性を有するが、強度が不足し(8620カーボンスチール、304ステンレスの強度、及び、延伸性は約60ksi、30%)、あるものは、強度が強いが、延伸性が劣る(AISI431、AISI455マルテンサイト系ステンレス、18Ni(200)マルエージング鋼の強度は、150〜200ksiだが、延伸性はたった10%かそれ以下)。
近年、国内外の専門家が、鉄−マンガン−アルミニウム−カーボンをベースとした低密度、高強度、高延展性の合金を開発している。以下の論文は、これらの性質について詳しく説明している。
1.G. L. Kayak により発表された、1969年,第2冊,Metal Science and Heat Treatment,第95頁,標題"Fe−Mn−Al Precipitation−Hardening Austenitic Alloys"。
2.M. F. Alekseenko 等により発表された、1972年,第14冊,Metal Science and Heat Treatment,第187頁,標題"Phase Composition Structure and Properties of Low−Density Steel 9G28Yu9MVB"。
3.G. S. Krivonogov等により発表された、1975年,第4冊,Phys. Met.& Metallog.,第86頁,標題"Phase Transformation Kinetics in Steel 9G28Yu9MVB"。
4.L.I. Lysak等により発表された、1975年,第59冊,Metallogizika,第29頁,標題"Structural and Phase Change in Steel 9G28Yu9MVB During Aging"。
5.J. Charles等により発表された、1981年5月,Metal Progress,第71頁,標題"New Cryogenic Materials:Fe−Mn−Al Alloys"。
6.C. J. Altstetter等により発表された、1986年,第82冊,Materials Science and Engineering,第13頁,標題"Processing and Properties of Fe−Mn−Al Alloys"。
7.K. H. Ham等により発表された、 1986年,第20冊,Scripta Metal.,第33頁,標題"The Evidence of Modulated Structure in Fe−Mn−Al−C Austenitic Alloys"。
8.P. J. Jamesにより発表された、1969年1月,J. Iron & Steel Inst.,第54頁,標題"Precipitation of the Carbide (Fe, Mn)3AlC in an Fe−Al Alloy"。
2.M. F. Alekseenko 等により発表された、1972年,第14冊,Metal Science and Heat Treatment,第187頁,標題"Phase Composition Structure and Properties of Low−Density Steel 9G28Yu9MVB"。
3.G. S. Krivonogov等により発表された、1975年,第4冊,Phys. Met.& Metallog.,第86頁,標題"Phase Transformation Kinetics in Steel 9G28Yu9MVB"。
4.L.I. Lysak等により発表された、1975年,第59冊,Metallogizika,第29頁,標題"Structural and Phase Change in Steel 9G28Yu9MVB During Aging"。
5.J. Charles等により発表された、1981年5月,Metal Progress,第71頁,標題"New Cryogenic Materials:Fe−Mn−Al Alloys"。
6.C. J. Altstetter等により発表された、1986年,第82冊,Materials Science and Engineering,第13頁,標題"Processing and Properties of Fe−Mn−Al Alloys"。
7.K. H. Ham等により発表された、 1986年,第20冊,Scripta Metal.,第33頁,標題"The Evidence of Modulated Structure in Fe−Mn−Al−C Austenitic Alloys"。
8.P. J. Jamesにより発表された、1969年1月,J. Iron & Steel Inst.,第54頁,標題"Precipitation of the Carbide (Fe, Mn)3AlC in an Fe−Al Alloy"。
上述の論文中、重量百分率が鉄−(28〜35)マンガン−(4.9〜11)アルミニウム−(0.5〜2.0)カーボンをベースとする合金は、鍛造、圧延等の塑性加工後、950℃〜1200℃で、溶体化熱処理後、急冷する。その後、急冷後の合金を、450〜750℃で時効熱処理し、オーステナイト鉄をベースとする組織が得られ、密度は、6.6〜6.8g/cm3、抗引っ張り強度は、100〜180ksi、メガパスカルが、90〜160ksi、延伸率は25〜65%の高強度、高靭性の鉄、マンガン、アルミ、カーボン合金を得る。
この他、多くの専門家が、上述の鉄、マンガン、アルミ、カーボン合金の耐蝕性を向上させるために、2.98〜6wt.%のクロム、0.9〜1.03wt.%のモリブデン等の合金元素を添加している。耐蝕性質は、以下の論文中で、詳細に記述されている。
1.1989年三月J. Electronchem. Soc.期刊,第136期, No. 3, Jeng−Gong Duh らにより発表の国外期刊論文「Diffusion−Related Kinetics in the Oxidation−Induced Phase Transformation of Fe−9Al −3Cr−31Mn Alloys」。
2.1989年JOURNAL OF MATERIALS SCIENCE期刊,第23期, Jeng−Gong Duhらにより発表の国外期刊論文「Microstructural development in the oxidation−induced phase transformation of Fe−Al−Cr−Mn−C alloys」。
3.1993年JOURNAL OF MATERIALS SCIENCE期刊,第28期, J. G. Duhらにより発表の国外期刊論文「Nitriding behavior in Fe−Al−Mn−Cr−C alloys at 1000−1100℃」。
4.1995年CORROSION期刊,第51期, S. C. Changらにより発表の国外期刊論文「Environment−Assisted Cracking of Fe−32%Mn−9%Al Alloys in 3.5% Sodium Chloride Solution」。
5.1990年JOURNAL OF MATERIALS SCIENCE期刊,第25期, J. G. Duhらにより発表の国外期刊論文「Nitriding Kinetics of Fe−Al−Mn−Cr−C alloys at 1000℃」。
6.1990年JOURNAL OF MATERIALS SCIENCE期刊,第25期, J. G. Duhらにより発表の国外期刊論文「High temperature oxidation of Fe−31Mn−9Al−xCr−0.87C alloys(x=0, 3 and 6)」。
2.1989年JOURNAL OF MATERIALS SCIENCE期刊,第23期, Jeng−Gong Duhらにより発表の国外期刊論文「Microstructural development in the oxidation−induced phase transformation of Fe−Al−Cr−Mn−C alloys」。
3.1993年JOURNAL OF MATERIALS SCIENCE期刊,第28期, J. G. Duhらにより発表の国外期刊論文「Nitriding behavior in Fe−Al−Mn−Cr−C alloys at 1000−1100℃」。
4.1995年CORROSION期刊,第51期, S. C. Changらにより発表の国外期刊論文「Environment−Assisted Cracking of Fe−32%Mn−9%Al Alloys in 3.5% Sodium Chloride Solution」。
5.1990年JOURNAL OF MATERIALS SCIENCE期刊,第25期, J. G. Duhらにより発表の国外期刊論文「Nitriding Kinetics of Fe−Al−Mn−Cr−C alloys at 1000℃」。
6.1990年JOURNAL OF MATERIALS SCIENCE期刊,第25期, J. G. Duhらにより発表の国外期刊論文「High temperature oxidation of Fe−31Mn−9Al−xCr−0.87C alloys(x=0, 3 and 6)」。
表1は、公知技術による鉄マンガンアルミニウムカーボン合金をゴルフヘッド材質上に応用した成分、熱処理、及び、鍛造条件比較表である。上述の鉄、マンガン、アルミニウム、カーボン合金をゴルフヘッド材質に応用した特許に関し、表1は、その成分、熱処理、鍛造条件比較表で、中華民国特許第178648号の合金成分中、クロム元素を含まず、よって、合金耐蝕性が好ましくない。中華民国特許第185568号の合金の耐蝕性は、中華民国第178648号の合金より優れているが、表面研磨後、ゴルフヘッドの5%の塩化ナトリウム濃度の48時間の塩水噴霧試験にパスしない。
この他、米国公開番号第20030077479、20030082067、20050006007号、及び、中華民国特許公告番号第I235677号中、その合金がゴルフヘッドの5%の塩化ナトリウム濃度の48時間の塩水噴霧試験をパスできることが説明されているが、注意すべきことは、その合金は皆、まず、鍛造、圧延等の熱間、冷間塑性加工を施し、本来は好ましくなかった鋳造状態の樹枝状構造を鍛造と圧延加工により微細で、且つ、均一なポリシリコン構造にすると共に、好ましい表面性質を得ないと、塩水噴霧試験をパスすることができない。しかし、ゴルフヘッドの鍛造は、複数に及ぶ粗鍛、及び、精鍛を含み、高価な鍛造金型も必要とするので、製造コストが大幅に増加し、その上、鍛造加工の形状が制限され、ヘッドの外観形状も大幅に制限を受け、精密鍛造のように多様性を有し、功能性と造型美観を強調した設計を達成することができない。しかし、上述のような特許の合金成分を利用し、精密鍛造法でゴルフヘッドを製作する時、塩水噴霧試験をパスできない。
上述の問題を解決するため、本発明は、低密度の合金材料を提供し、現在生産されている鉄、マンガン、アルミニウム、カーボン合金材料のゴルフヘッドのコストを大幅に減少させ、ヘッドの外形の設計空間を増加させ、ゴルフヘッドの材料への応用に適合させることを目的とする。
本発明は、低密度の合金材料とその製法を提供し、いかなる鍛造圧延等の熱間、冷間塑性加工も不要である条件下で、好ましい延伸性、強度、吸震性、及び、高耐蝕性を達することを目的とする。
本発明は、低密度の合金材料とその製法を提供し、いかなる鍛造圧延等の熱間、冷間塑性加工も不要である条件下で、塩分噴霧試験をパスし、生産コストを大幅に減少させ、この他、低密度合金の設計は、公知のものよりも更に大きい空間で、ゴルフヘッド外形設計の多様性を増加する。
本発明は、低密度の合金材料とその製法を提供し、合金は6.6g/cm3〜6.9g/cm3の低密度で、いかなる鍛造圧延等の熱間、冷間塑性加工も不要である条件下で、30%〜77%の好ましい延伸性、100ksi〜140ksiの好ましい抗引っ張り強度、高吸震性、及び、高耐蝕性を達することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明の具体例による低密度の合金材料は、重量百分率(wt.%)が、15≦マンガン≦22.5、7.2≦アルミニウム≦9.0、5.1≦クロム≦7.8、0.6≦カーボン≦1.2、残りが鉄の組み合わせからなる。
上述の目的を達成するため、本発明のもう一つの具体例による低密度の合金材料は、重量百分率(wt.%)が、15≦マンガン≦22.5、7.2≦アルミニウム≦9.0、5.1≦クロム≦7.8、0.6≦カーボン≦1.2、残りが鉄の材料で、精錬工程により合金材料を形成する。
本発明により、いかなる熱処理、及び、熱間、冷間塑性加工も不要である条件下で、好ましい延伸性、強度、吸震性、及び、高耐蝕性を有する低密度のゴルフヘッド合金材料が得られる。
本発明は、鉄、マンガン、アルミニウム、クロム、カーボン元素をベースとする合金で、マンガンはオーステナイト鉄の強化元素で、合金中、オーステナイト鉄相の比例は、合金中のマンガン含量の増加によって増加し、オーステナイト鉄相は面心立法構造で、多くのシフトシステムを有するので、好ましい延伸性を有し、マンガン元素の添加は合金延伸性の向上を助ける。しかし、発明者の研究により、合金中のマンガン含量の増加が合金の延展性を向上させるが、合金の耐蝕能力は合金中のマンガン含量の増加により低下することが分かり、これは、マンガン元素が大気環境中で酸化しやすく、保護性を具備せず、基材付着性が悪い酸化マンガンになることによる。更に、X線光電子分光分析装置(XPS/ESCA)により、合金表面の鈍化層酸化物組成を分析し、分析結果により分かったことは、鈍化層の酸化物組成は、主に、耐蝕、且つ、基材を保護する効果を有するCr2O3、Al2O3酸化物、及び、不耐蝕のMnO(Mn3O4)とMn2O3と、少量のFeO(Fe3O4)、Fe2O3酸化物である。合金中のマンガン含量が過高であるとき、合金表面に一層の高い比率の酸化マンガンの不連続酸化クロムと酸化アルミニウムの保護層を形成する。よって、大気中の酸素原子は酸化マンガンの箇所から不断に酸化腐食し、基材内で拡散して孔蝕(pitting)を生成し、表面上の全面性の均一的腐食ではない。この理論と高マンガン含量の鉄、マンガン、アルミニウム、クロム、カーボン合金の塩分噴霧試験中で発見された孔蝕現象は一致する。
よって、合金の孔蝕を改善し、合金の耐蝕能力を増加させ、いかなる鍛造、圧延等の熱間、冷間塑性加工も不要である条件下で、ゴルフヘッド合金材料の5%の塩化ナトリウム濃度の48時間の塩水噴霧試験をパスするため、本発明者は、合金中のマンガン含量を減少させ、合金表面の酸化物組成の変化を観察し、図1〜図3は、それぞれ、32、28と19.5wt.%マンガンの鉄−(32,28,19.5)マンガン−8.2アルミニウム−5.1クロム−0.9カーボン合金(重量百分率計)の表面酸化物含量の合金に対する深さプロファイル(depth profile)である。これらの図から分かるように、マンガン含量の低下に従って、合金表面酸化マンガンの組成比率も低下し、マンガン含量が19.5wt.%に低下する時、酸化マンガンの組成比率も明らかに低下する。反対に、酸化アルミニウム、及び、酸化マンガンの組成比率は明らかに増加する。更に、耐蝕能力を比較し、図4は、重量百分率計で、鉄−28マンガン−8.2アルミニウム−5.1クロム−0.9カーボンと鉄−19.5マンガン−8.2アルミニウム−5.1クロム−0.9カーボンの二種、各28、及び、19.5wt.%マンガン含量の合金の5%の塩化ナトリウム溶液柱の動電位分極曲線(potentiodynamic polarization curves)で、図4から分かるように、合金のマンガン含量が19.5wt.%に低下するとき、鈍化電流密度(Ip)が明らかに下降し、鈍化電位範囲(ΔE)、及び、孔蝕電位(Epp)も大幅に増加する。その耐蝕性は、含28wt.%マンガンの鉄−32マンガン−8.2アルミニウム−5.1クロム−0.9カーボン合金のものより大変優れている。また、鉄−19.5マンガン−8.2アルミニウム−5.1クロム−0.9カーボン合金が、いかなる鍛造、及び、圧延等の熱間、冷間塑性加工も不要である条件下で、ゴルフヘッドの5%の塩化ナトリウム濃度の48時間の塩水噴霧試験にパスすることができる。しかし、前述のように、合金中のオーステナイト鉄相の比率は、合金中のマンガン含量の増加に伴って増加し、合金の延展性を向上させ、相対して、マンガン含量が15wt.%以下になる時、合金の延伸性が不足する。これにより、合金の耐蝕性と靭性等を考慮する下、マンガン含量の添加は15〜22.5 wt.%の間に制御する必要がある。
アルミニウム元素はフェライトの強化元素なので、合金中のアルミ含量の増加は、フェライトの比率を増加させ、オーステナイト鉄相の比率が減少すると、合金の延展性が低下する。また、過量のアルミニウム含量は脆性のDO3秩序相(ordered phase)を有し、フェライト内で合金延性を破壊する。しかし、アルミニウム元素も同時に、鉄マンガンアルミニウムカーボン合金強化の主要炭化物(Fe,Mn)3AlCxの形成元素の一つで、合金のアルミニウム含量が不足時、(Fe,Mn)3AlCx炭化物は、オーステナイト鉄相中、細小、且つ、均一な整合性(coherent)の析出ができず、合金強度の低下を招く。この他、発明者の研究によると、アルミニウム含量の不足も、Al2O3酸化物の合金表面での形成を抑制し、合金の耐蝕能力を低下させる。これにより、本発明の合金中15〜22.5 wt.% マンガンの添加量、及び、総合的な合金延性、強度、耐蝕能力を考慮して、アルミニウム含量の添加を7.2〜9.0wt.%に制御する必要がある。
クロム元素の添加は合金表面上で、保護性を有するCr2O3酸化層を形成し、合金の耐蝕能力を増加する。しかし、クロムはフェライトの強化元素で、炭化物の強化元素でもある。クロム含量の不足は、合金の耐蝕性を低下させるが、過多なクロム含量、及び、カーボン含量は、六方最密構造(hexagonal close−packed structure,hcp)を有する炭化クロムCr7C3の形成を促進し、合金の延性を低下させるばかりか、クロムの空乏領域を形成し、合金が容易に孔蝕、或いは、粒界腐食を生成する。よって、本発明の合金中、15〜22.5wt.%マンガンの添加量、クロム元素の添加は、5.1〜7.8wt.%の間に制御し、カーボン元素の添加は、0.6〜1.2wt.%の間に制御しなければならない。この他、シリコンとモリブデン元素の少量添加も合金の耐蝕能力を適度に増加させる。
本発明の実施例による低密度合金材料の成分は、15〜22.5wt.%のマンガン、7.2〜9.0wt.%のアルミニウム、5.1〜7.8wt.%のクロム、0.6〜1.2wt.%のカーボン、及び、残りの比例の鉄を含み、0〜1.5wt.%のモリブデンを添加して、合金の耐蝕能力を増加する。また、もう一つの実施例中、最大0.7wt.%のシリコンを添加してもよく、シリコンは合金材料内で、鉄マンガンアルミニウムカーボン合金の鋳造性を改善し、合金の液体状態時の流動性を向上させる。本発明で得られる合金は、鋳造状態下で、6.6〜6.9g/cm3の低密度、30〜77%の好ましい延展性、100〜140ksiの抗引っ張り強度、高吸震性、及び、高耐蝕性の特性を有し、且つ、塑性加工なしに、塩分噴霧試験をパスし、生産コストを大幅に減少させる。
本発明の合金成分の主な組成は、15≦マンガン≦22.5、7.2≦アルミニウム≦9.0、5.1≦クロム≦7.8、0.6≦カーボン≦1.2、残りが鉄の材料で、合金中、最大1.5wt.%のモリブデン、また/及び、最大0.7wt.%のシリコンを添加してもよく、精錬工程、例えば、大気精錬、真空精錬、或いは、還元空気精錬により、金型内に注入し、いかなる鍛造、及び、圧延等の熱間、冷間塑性加工も不要で、直接、噴砂、研磨、溶接、ドリル、表面処理などの工程を経て、ゴルフヘッドを製作する。一実施例中、更に、950℃〜1200℃で、0.5〜10時間、及び、500℃〜700℃で、0〜10時間の熱処理工程を含み、例えば、溶体化熱処理を施し、その後、時効熱処理し、合金材料の延展性、及び、強度を向上させる。本発明の合金は、鋳造状態下(As−cast)で好ましい靭性を有し、これにより、後続の冷間、熱間塑性加工を実行するのに適合し、鋳造型、或いは、鋳造プラス鋳造の複合型ゴルフヘッドを製作する。
好ましい実施例中、22.1wt.%のマンガン、8.01wt.%のアルミニウム、6.21wt.%のクロム、0.99wt.%のカーボン、及び、残りの比率の鉄からなる合金は、高周波感応炉で精錬した後、予熱したヘッド脱ロウ金型内で、鋳造物件の冷却を待ち、殻取り、ゲートと湯道の切割、噴砂、研磨、溶接、ドリル、表面処理等の工程を実行する。いかなる鍛造、圧延等の熱間、冷間塑性加工なしに、ゴルフヘッドの5%の塩化ナトリウム濃度の48時間の塩水噴霧試験にパスすると共に、6.74g/cm3の低密度、38.6%延伸率、及び、112.1ksiの抗引っ張り強度等の好ましい性質を有するゴルフヘッドが製作され、製造コストを大幅に減少させる。
更に好ましい実施例中、例えば、16.3wt.%マンガン、8.56wt.%アルミニウム、5.16wt.%クロム、1.10wt.%カーボン、及び、残りが鉄である本発明の合金は、高周波感応炉で精錬した後、予熱したヘッド脱ロウ金型内で型抜きし、1050℃の真空溶体化熱処理後1時間後、いかなる鍛造、圧延等の熱間、冷間塑性加工なしに、ゴルフヘッドの5%の塩化ナトリウム濃度の48時間の塩水噴霧試験にパスすると共に、6.69g/cm3の低密度、76.9%の延伸率、及び、118.7ksiの抗引っ張り強度等の好ましい特性を有するゴルフヘッドが製作され、製造コストを大幅に減少させる。
更に、この増し実施例中、19.2wt.%マンガン、7.78wt.%アルミニウム、6.73wt.%クロム、1.03wt.%カーボン、0.21wt.%シリコン、及び、残りが鉄である本発明の合金は、高周波感応炉で精錬した後、予熱したヘッド脱ロウ金型内で型抜きし、1050℃の真空溶体化熱処理後1時間後、いかなる鍛造、圧延等の熱間、冷間塑性加工なしに、ゴルフヘッドの5%の塩化ナトリウム濃度の48時間の塩水噴霧試験にパスすると共に、6.78g/cm3の低密度、66.9%の延伸率、及び、115.3ksiの抗引っ張り強度等の好ましい特性を有するゴルフヘッドが製作され、製造コストを大幅に減少させる。
上述の説明により、本発明の実施例の低密度合金材料の製造方法は、6.6g/cm3〜6.9g/cm3の低密度のゴルフヘッドの合金材料を形成し、いかなる鍛造、圧延等の熱間、冷間塑性加工なしに、30%〜77% の好ましい延伸性、100ksi〜140ksiの好ましい抗引っ張り強度、高吸震性、高耐食性を有し(ゴルフヘッドの5%の塩化ナトリウム濃度の48時間の塩水噴霧試験にパスする)、適当な合金設計により、合金が液体状態時の流動性を改善して、成型性、及び、塑性加工性を向上させ、現在の鉄マンガンアルミニウムカーボン合金材質のゴルフヘッドのコストと時間を大幅に減少させ、ゴルフヘッドの外形設計空間を増加し、ヘッドの材料に応用するのに適合する。
上述のように、本発明の合金成分、及び、技術によりゴルフヘッドを製作し、低密度、高強度、高靭性、高制震功能、及び、高耐蝕性等の特性以外に、塑性加工を経なくても、5%の塩化ナトリウム濃度の48時間の塩水噴霧試験にパスし、更に、流動性の増加により、微小字体、打撃線溝、及び、ヘッドの薄い領域等の成型が円滑に行われ、機械彫刻による成型が不要で、現在の鉄マンガンアルミニウムカーボン材質のゴルフヘッドを製造するコストと不良率を大幅に減少させる。
本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で各種の変動や潤色を加えることができ、従って本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
Claims (15)
- 低密度の合金材料であって、
前記合金材料は重量百分率が、15≦マンガン≦22.5、7.2≦アルミニウム≦9.0、5.1≦クロム≦7.8、0.6≦カーボン≦1.2、残りが鉄の組み合わせからなることを特徴とする低密度の合金材料。 - 更に、最大1.5重量百分率のモリブデンを含むことを特徴とする請求項1に記載の低密度の合金材料。
- 更に、最大0.7重量百分率のシリコンを含むことを特徴とする請求項1に記載の低密度の合金材料。
- 更に、最大0.7重量百分率のシリコンを含むことを特徴とする請求項2に記載の低密度の合金材料。
- 前記合金材料は、6.6g/cm3〜6.9g/cm3の密度、30%〜77%の延展性、100ksi〜140ksiの抗引っ張り強度を有することを特徴とする請求項1に記載の低密度の合金材料。
- 低密度合金材料の製造方法であって、
重量百分率が、15≦マンガン≦22.5、7.2≦アルミニウム≦9.0、5.1≦クロム≦7.8、0.6≦カーボン≦1.2、残りが鉄の組み合わせからなる材料が精錬工程により合金材料を形成することを特徴とする低密度合金材料の製造方法。 - 更に、最大1.5重量百分率のモリブデンを含むことを特徴とする請求項6に記載の低密度合金材料の製造方法。
- 更に、最大0.7重量百分率のシリコンを含むことを特徴とする請求項7に記載の低密度合金材料の製造方法。
- 更に、950℃〜1200℃で、0.5〜10時間、及び、500℃〜700℃で、0〜10時間の熱処理工程を含むことを特徴とする請求項8に記載の低密度合金材料の製造方法。
- 更に、950℃〜1200℃で、0.5〜10時間、及び、500℃〜700℃で、0〜10時間の熱処理工程を含むことを特徴とする請求項7に記載の低密度合金材料の製造方法。
- 更に、最大0.7重量百分率のシリコンを含むことを特徴とする請求項6に記載の低密度合金材料の製造方法。
- 更に、950℃〜1200℃で、0.5〜10時間、及び、500℃〜700℃で、0〜10時間の熱処理工程を含むことを特徴とする請求項11に記載の低密度合金材料の製造方法。
- 更に、950℃〜1200℃で、0.5〜10時間、及び、500℃〜700℃で、0〜10時間の熱処理工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の低密度合金材料の製造方法。
- 前記精錬工程は、大気精錬、真空精錬、或いは、還元空気精錬を含むことを特徴とする請求項6に記載の低密度合金材料の製造方法。
- 前記合金材料は、6.6g/cm3〜6.9g/cm3の密度、30%〜77%の延展性、100ksi〜140ksiの抗引っ張り強度を有することを特徴とする請求項6に記載の低密度合金材料の製造方法。
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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Publications (1)
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