JP2008045103A - 活性エネルギー線硬化型インキ樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】多官能アクリル系モノマーは、活性エネルギー線硬化型組成物、特にインキ用樹脂組成物において、使用に際し密着性や光沢性を向上させるために用いられるポリエステル樹脂やポリエーテル樹脂等との溶解性が悪い場合や硬化速度が遅く生産性が下がる場合やインキの用途により粘度が高すぎて使用できない場合等があり、単一種類では一長一短の種々の問題点を有している。それゆえ、極力単一化合物にてこれらの要求に応えることが出来るアクリル系モノマーが長らく求められていた。
【解決手段】ポリグリセリン(平均重合度2〜10)に対しアルキレンオキサイド(炭素数2〜4のアルキレンオキサイドであって、付加モル数4〜40)を反応して得られる化合物の(メタ)アクリレートを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インク用樹脂組成物により上記課題を解決する。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット印刷インキ、スクリーン印刷インキ、オフセット印刷インキ、グラビア印刷インキ、凹版印刷インキ等の印刷インキに適する印刷インキ用樹脂組成物に関する。
活性エネルギー線硬化性樹脂である多官能アクリル系モノマーは、硬化した際の物性のバランスが悪いものが多く、特定の用途のための適切な化合物を数種組み合わせる等の配合上の工夫が必要である場合が多い。具体的には、硬化速度は速いものの基材に用いるフィルムを湾曲させるものや、基材に用いるフィルムを湾曲させることはないが、硬化速度が遅くまた硬化した際の塗膜の硬度が低いため傷つき易い等、各種物性において一長一短であることが知られている。このようなアクリル系モノマーの代表的なものとしては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートを挙げることができる。
UV・EB硬化技術の展開P.19〜23 シー・エム・シー (編)ラドテック研究会 1989年9月29日発行
前記の多官能アクリル系モノマーは、活性エネルギー線硬化型組成物、特にインキ用樹脂組成物において、使用に際し密着性や光沢性を向上させるために用いられるポリエステル樹脂やポリエーテル樹脂等との溶解性が悪い場合や硬化速度が遅く生産性が下がる場合やインキの用途により粘度が高すぎて使用できない場合等があり、単一種類では一長一短の種々の問題点を有している。それゆえ、極力単一化合物にてこれらの要求に応えることが出来るアクリル系モノマーが長らく求められていた。
本発明者らは、鋭意研究した結果、ポリグリセリン(平均重合度2〜10)及びアルキレンオキサイド(炭素数2〜4のアルキレンオキサイドであって、付加モル数4〜40)を反応して得られる化合物の(メタ)アクリレートを含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型印刷インキ用樹脂組成物により上記課題を解決するに至った。
本発明の(メタ)アクリレートを含有させることにより硬化速度を向上させながら他に添加するポリエステル等のポリマーとの溶解性も良く、得られる組成物の粘度を低く抑えることができる活性エネルギー線硬化型印刷用インキ樹脂組成物を得ることができる。
本発明では、ポリグリセリン(平均重合度2〜10)及びアルキレンオキサイド(炭素数2〜4のアルキレンオキサイドであって、付加モル数4〜40)を反応して得られる化合物の(メタ)アクリレートを用いることを特徴とするが、ポリグリセリンの重合度及びアルキレンオキサイドの種類や付加モル数及び(メタ)アクリレートの反応割合により種々の化合物を合成することができるので、以下に説明する。
本発明で用いられるアクリレートに使用するポリグリセリンは、水酸基当量から得られる平均重合度が2〜10のものであり、好ましくは同平均重合度が4〜10である。平均重合度が1すなわちグリセリンの場合、硬化速度が遅いため好ましくなく、また平均重合度が10より大きい場合、製造工程中に水洗することが困難である等製造上種々の問題があるため好ましくない。
本発明で用いられるアクリレートに使用するアルキレンオキサイドは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどが挙げられるが、エチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサイドが好ましく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドは単独でも併用しても良い。アルキレンオキサイドの付加単位数は、ポリグリセリン1モルに対して4〜40モルであり、好ましくは4〜30モルである。付加モル数が4モルより少ない場合、ポリグリセリン骨格の2級のアルコールが増えるため(メタ)アクリレートを反応させることが難しくなり、逆に付加モル数を40より増やすと製造工程中に水洗することが困難である等製造上種々の問題があるため好ましくない。
本発明で用いられる(メタ)アクリレートの反応率については、ポリグリセリンのアルキレンオキサイド付加物の水酸基のうち、70%以上反応させることが好ましい。70%より少ないと反応速度が遅くなり、かつ製造工程中に水洗することが困難である等製造上種々の問題があるので好ましくない。
なお、本発明で用いられる(メタ)アクリレートは、インキ組成物に対し、通常30〜80重量%配合される。この範囲より少ないとインク組成物の粘度が高すぎて印刷することが困難になり、また多いと表面光沢性や密着性が悪くなる傾向にある。
本発明の活性エネルギー線硬化型インク樹脂組成物は、本発明で用いられるアクリレートの以外に他のアクリル系モノマーを単独若しくは2種以上併用することも妨げない。他のアクリル系モノマーとしては、例えばテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2−エチルヘキシルジエトキシ(メタ)アクリレート、水添ジシクロペンタジエン(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサ(メタ)アクリレート混合物、ジペンタエリスリトールポリエトキシヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリプロポキシヘキサ(メタ)アクリレート等のモノマー類を挙げることができる。
本発明の樹脂組成物は公知の方法によって硬化する事ができる。活性エネルギー線とは、電子線、X線、紫外線、低波長領域の可視光等エネルギーの高い電子線若しくは電磁波の総称であり、通常装置の簡便性及び普及性により紫外線が好ましい。紫外線を照射できる装置として多くの種類があるが、任意に選択できる。また、低波長領域側の可視光等エネルギーとして、青色LEDを用いることも可能である。
本発明において上記の中で、紫外線を用いて硬化させる場合に、光重合開始剤を使用する必要がある。光重合開始剤としては、公知のどのような光重合開始剤であっても良いが配合後の貯蔵安定性の良い事が要求される。この様な光重合開始剤としては、例えばベンゾイン類、アセトフェノン類、チオキサントン類、ケタール類、ベンゾフェノン類、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等があげられ、単独または2種以上を併用することができる。光重合開始剤を使用する必要がある場合、その使用量は、通常、組成物の0.1〜15重量%であり、好ましくは3〜10重量%である。
ベンゾイン類としては、例えばベンゾインエチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等があげられる。アセトフェノン類としては、例えばアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等があげられる。チオキサントン類としては、例えば2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等があげられる。ケタール類としては、例えばベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール等があげられる。ベンゾフェノン類としては、例えばベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等があげられる。
さらに、光増感剤を単独あるいは2種以上と組合せて用いることができる。光増感剤としては、例えばN,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の三級アミン類があげられる。
本発明に使用される着色剤は、顔料及び染料等から任意に選択でき、顔料は有機顔料と無機顔料から任意に選択できる。有機顔料の着色剤としては、例えば、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、キノフタロン系顔料、又はイソインドリノン系顔料等が挙げられる。色相は特に限定されるものではなく、赤色有機顔料、黄色有機顔料、青色有機顔料、オレンジ有機顔料、グリーンオレンジ有機顔料等を用いることができる。また、無機顔料の着色剤としては、酸化チタン、カーボンブラック、硅酸塩等を用いることができる。
本発明の樹脂組成物は、所望により、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール等の有機溶剤、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、アクリルポリマー等の非反応性高分子樹脂;ポリジアリルフタレート、ポリジアリルイソフタレート等の反応性高分子樹脂;レベリング剤、消泡剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤等の添加剤;炭酸カルシウム、タルク、酸化シリカ、硫酸バリウム等の無機フィラー等を併用することができる。
本発明の組成物は、本発明に用いる(メタ)アクリレート及び着色剤を混合、加熱、溶解することにより、また必要に応じて光重合開始剤、前記の着色剤、非反応性高分子樹脂、反応性高分子樹脂、添加剤、無機フィラー等を添加し、均一に混合、加熱、溶解することにより、調製することができる。
光重合開始剤を含有する組成物は、種々の基材の表面に塗布され、次いで紫外線等の活性エネルギー線を照射することにより硬化する。この組成物は、紙、硬質及び可橈性プラスチック、金属基板、セメント、ガラス、石、セラミック、木材、その他を含む広い範囲の基板上へ適用できる。
本発明の組成物は、インクジェット印刷インキ、スクリーン印刷インキ、オフセット印刷インキ、グラビア印刷インキ、凹版印刷インキ等の印刷インキに適する。種々の基材に1〜30μmの厚さに印刷し、次いで紫外線等活性エネルギー線を照射し硬化させる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものでない。
<合成例1>
ジグリセリン166g(1モル)にエチレンオキサイド176g(4モル)を付加した化合物に対し、アクリル酸317g(4.4モル)を85℃で10時間反応し、次いでトルエン及び多量の水及び未反応のアクリル酸を中和する量の苛性を加え、分液ロートで有機層を取り出しエバポレータにてトルエンを留去し、ジグリセリンエチレンオキサイド(4モル)付加物のアクリレート反応物を得た。生成物の粘度は、230mPa・s(25℃)であり、けん化価から求めたアクリル酸の反応割合は、水酸基に対して80%であった。以下、得られた化合物をA1という。
<合成例2>
エチレンオキサイドを264g(6モル)に変更した以外は合成例1と同様の反応を行い、ジグリセリンエチレンオキサイド(6モル)付加物のアクリレート反応物を得た。生成物の粘度は、240mPa・s(25℃)であり、けん化価から求めたアクリル酸の反応割合は、水酸基に対して87%であった。以下、得られた化合物をA2という。
<合成例3>
エチレンオキサイドを880g(20モル)、反応時間を12時間に変更した以外は合成例1と同様の反応を行い、ジグリセリンエチレンオキサイド(20モル)付加物のアクリレート反応物を得た。生成物の粘度は、350mPa・s(25℃)であり、けん化価から求めたアクリル酸の反応割合は、水酸基に対して84%であった。以下、得られた化合物をA3という。
<合成例4>
ジグリセリン166g(1モル)をテトラグリセリン314g(1モル)に、エチレンオキサイドを264g(6モル)、アクリル酸を649g(9モル)、反応時間を18時間に変更した以外は合成例1と同様の反応を行い、テトラグリセリンエチレンオキサイド(6モル)付加物のアクリレート反応物を得た。生成物の粘度は、440mPa・s(25℃)であり、けん化価から求めたアクリル酸の反応割合は、水酸基に対して95%であった。以下、得られた化合物をA4という。
<合成例5>
ジグリセリン166g(1モル)をデカグリセリン758g(1モル)、エチレンオキサイドを1056g(24モル)、アクリル酸を1297g(18モル)、反応時間を18時間に変更した以外は合成例1と同様の反応を行い、デカグリセリンエチレンオキサイド(24モル)付加物のアクリレート反応物を得た。生成物の粘度は、890mPa・s(25℃)であり、けん化価から求めたアクリル酸の反応割合は、水酸基に対して93%であった。以下、得られた化合物をA5という。
実施例1〜8、比較例1〜4を表1に示すような処方で(数値は重量部を示す。)各成分を混合し(予め樹脂をアクリレートに溶解させるために混合物を130℃で4時間加熱しておく)、その後三本ロールで混練し、樹脂組成物(印刷インキ組成物)を調製し、各種評価を行った。実施例中の評価は、以下の方法で行った。
組成物粘度:調製された組成物を回転粘度計にて測定した。なお、粘度測定には、東機産業株式会社製の粘度計(RB−80H;ローターNo.H7)を用い、25℃下で測定した。50Pa・s以下となることが好ましい。
相溶性:各種アクリレートとジアリルフタレート樹脂との溶解性を確認した。各種アクリレート60部に対しジアリルフタレート樹脂15部を100℃で2時間加熱したときの相溶性を確認した。
○・・・完全溶解
×・・・一部未溶解樹脂が残存
硬化性:調製された組成物を厚さ100μmのポリカーボネート樹脂の上にバーコーターにより塗布し(厚み15μm)、次いで高圧水銀灯(ランプ出力2kw)を平行に配した光源下20cmの位置で照射して硬化させた。硬化するまでの積算光量(mJ/cm)を求めた。
◎・・・50mJ/cm未満で完全に硬化した。
○・・・50mJ/cm以上100mJ/cm未満で完全に硬化した。
△・・・100mJ/cm以上300mJ/cm未満で完全に硬化した。
×・・・300mJ/cm以上で完全に硬化した。
収縮性:上記の方法で硬化した印刷物の反りを目視にて観察した。
○・・・・基材のポリカーボネートに反りが見られない。
×・・・・基材のポリカーボネートに反りが見られる。
密着性:上記の方法で硬化した印刷物を、JIS K 5400に記載されたクロスカット−セロテープ(登録商標)剥離テストを行なった。
○・・・・100升中、全く剥離が見られない。
△・・・・100升中、30%未満の剥離が見られる。
×・・・・100升中、30%以上の剥離が見られる。
Figure 2008045103
表1の評価結果から、本発明の印刷インキ用樹脂組成物は、安定性に優れ、密着性も良好である。
本発明の印刷インキ用樹脂組成物は、組成物の安定性が良好で、硬化物の着色が少なく密着性も良好である。

Claims (3)

  1. ポリグリセリン(平均重合度2〜10)及びアルキレンオキサイド(炭素数2〜4のアルキレンオキサイドであって、付加モル数4〜40)を反応して得られる化合物の(メタ)アクリレートを含有することを特徴とする印刷インキ用樹脂組成物。
  2. 請求項1に示す(メタ)アクリレートが組成物中に30〜80重量%を含有することを特徴とする印刷インキ用樹脂組成物。
  3. 光重合開始剤を含有する請求項1又は2の印刷インキ用樹脂組成物。
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