JP2008044807A - 単結晶内部に形成される誘起構造の作製方法およびその装置ならびに単結晶内部に形成された誘起構造を備える光学素子 - Google Patents

単結晶内部に形成される誘起構造の作製方法およびその装置ならびに単結晶内部に形成された誘起構造を備える光学素子 Download PDF

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真悟 兼平
Seiki Miura
清貴 三浦
Koji Fujita
晃司 藤田
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Abstract

【課題】単結晶内部に誘起構造を作製する方法および該誘起構造を備えた光学素子を提供する。
【解決手段】面心立方格子構造または六方最密充填構造を有し、かつパルスレーザを透過し得る単結晶内部に単一のフィラメントが形成されるようにパルスレーザを集光させる。また、パルスレーザは、上記フィラメントが誘起構造の形成される結晶面に対して略垂直に形成されるように照射する。これによって、フィラメントが到達した結晶面が局所転位を起こし、単結晶内部に光学異方性を有する誘起構造を周期的に作製することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、誘起構造を単結晶内部に作製する方法に関するものであり、より詳細には、面心立方格子構造を有する単結晶の内部にパルスレーザを集光させることによって、誘起構造を作製する方法ならびにその装置および単結晶内部に形成された誘起構造を備える光学素子に関するものである。
ナノ秒レーザ、ピコ秒レーザ、フェムト秒レーザ(それぞれ以下、「nsレーザ」、「psレーザ」、「fsレーザ」と称する場合もある)などのパルスレーザは、10−15秒〜10−8秒の極短時間だけ光パルスが持続するレーザである。パルスレーザ(例えば、fsレーザ)のパルス幅は、材料の電子および格子が緩和する時間より短いため、短時間内に吸収されたエネルギーが熱拡散の形で散逸することなく、微細加工を行うことができる。このようなパルスレーザを用いた微細加工技術は、効率と精度が高い微細加工ツールとして脚光を浴びつつある。
fsレーザを用いたガラスなどの透明材料の加工技術については、ガラス内部に屈折率の変化を利用した光導波路を作製する研究、Au3+、Agおよび希土類などの活性イオンをガラス内部に3次元的に析出させる研究などが、現在までに数多く報告されている。
例えば、特許文献1には、互いに干渉したfsレーザをガラスおよび単結晶などの透明材料に照射することによる結晶表面における周期微細構造の作製方法が開示されている。また、特許文献2には、fsレーザをガラス内部に集光照射させることによって光学異方性光導波路を作製する方法が記載されている。特許文献2に記載の方法は、具体的には、開口数(NA値)が0.05〜0.3程度の対物レンズを用いて、石英ガラスに対してfsレーザの光軸に沿ってフィラメントを形成するようにfsレーザを照射し、fsレーザの光軸に沿って永続的に屈折率が変化した領域を誘起させる方法である。
また、fsレーザを用いたガラスなどの透明材料に対する加工技術の一つに、fsレーザを開口数の高い対物レンズにより透明材料内部に対して集光照射することによって透明材料内部に空孔を形成する技術が知られている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3記載の技術は、fsレーザを透明材料内部に集光照射することによって、焦点付近において非常に大きなエネルギーが閉じ込められ、多光子反応が誘起されることを利用したものである。このような多光子反応を利用することによって、透明材料中の3次元空間における任意の一点において空孔の形成を行うことができる。
本発明者らの研究グループにおいても、透明ガラス材料に対してfsレーザを集光照射することによってナノサイズの空孔を形成させる加工技術について研究を行ってきた。例として、レーザの自己収束効果および局所加熱硬化に伴う空孔の自己形成が挙げられる(例えば、非特許文献1参照)。
特開2003−57422号公報(平成15年2月26日公開) 特開2002−116336号公報(平成14年4月19日公開) 特開2002−210730号公報(平成14年7月30日公開) S. Kanehira, J. Si, J. Qui, K. Fujita, K. Hirao, Nano Lett., 5, 1591-1595 (2005).
このように、透明材料内部に、屈折率変化領域または空孔を形成する技術が開発されている。透明材料内部に、屈折率を変化させた領域(屈折率変化領域)および空孔のように形状の異なる複数種類の誘起構造を同時に形成させた透明材料は、新規の光回折素子として透過型回折光学素子に利用され得、透明材料内部における光集積回路を実現するために欠くことのできない偏光素子として利用され得る。しかし、透明材料内部に、屈折率変化領域と空孔とを同時に形成することができる方法は現在まで実現されていない。
本発明は、上記課題を解決するために、透明材料内部に複数種類の誘起構造を同時に形成することができる技術を提供することを目的としている。
本発明者らは、透明材料に単結晶を用いることによって、非晶質化合物であるガラスを用いて作製した誘起構造とは、その誘起構造形成メカニズムならびに誘起構造の形状および特性が全く異なる誘起構造を形成させ得ると考えた。
単結晶には、その結晶構造に由来する異方性が存在し、光学的性質、電気的特性および力学的特性が全く異なるものが存在することが知られている。従来の技術、すなわち特許文献1または特許文献2に記載されている技術では、結晶表面に応力ひずみを発生させることによる結晶表面上でのみ微細構造の作製が可能であるので、本発明の目的を達成させることはできない。また、特許文献2に用いられた対物レンズでは、照射したパルスレーザが単結晶表面にてアブレーションを起こし、単結晶内部にフィラメントを形成させることができなかった。本発明者らは、対物レンズの開口数を上げることにより上記アブレーションを回避し得ると考えたが、結晶内部に不規則な方向に大きなクラックが形成されてしまい、結晶内部に首尾よく誘起構造を作製することができなかった。
そこで、本発明者らは、独自の観点に基づき、面心立方格子構造または六方最密充填構造を有する単結晶の性質とfsレーザの照射条件とを関連づけた。その結果、本発明者らは、単結晶内部にfsレーザを集光させることによってフィラメントを形成させ、該フィラメントが形成される方向に沿って転位領域および微細な複数のクラックによって球状に形成された構造(以下、球状クラック)を周期的に形成させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
ここで、「転位領域」とは、単結晶の結晶面における局所転位によって誘起構造が形成される領域のことである。
本発明は、係る新規な知見に基づいて完成されたものであり、以下の発明を包含する。
(1)パルスレーザを単結晶に照射して単結晶に誘起構造を形成させる誘起構造作製方法であって、面心立方格子構造または六方最密充填構造を有し、該パルスレーザを透過し得る単結晶内部に単一のフィラメントが形成されるように、かつ、上記フィラメントが誘起構造の形成される結晶面に対して略垂直に形成されるように該パルスレーザを集光させる工程を包含することを特徴とする誘起構造作製方法。
(2)上記単結晶が、パルスレーザによって転位を生じる結晶面を有する単結晶であることを特徴とする(1)に記載の誘起構造作製方法。
(3)上記面心立方格子構造を有し、上記転位を生じる結晶面を有する単結晶が、岩塩型構造を有する単結晶であることを特徴とする(2)に記載の誘起構造作製方法。
(4)上記岩塩型構造を有する単結晶が、酸化マグネシウム、フッ化リチウム、塩化ナトリウムまたは塩化カリウムからなることを特徴とする(3)に記載の誘起構造作製方法。
(5)上記六方最密充填構造を有し、上記転位を生じる結晶面を有する単結晶が、サファイヤからなることを特徴とする(2)に記載の誘起構造作製方法。
(6)上記パルスレーザは、パルスエネルギーが5μJ以上、30μJ以下の範囲内であることを特徴とする(1)に記載の誘起構造作製方法。
(7)上記パルスレーザは、パルス数が1パルス以上、1000パルス以下の範囲内であることを特徴とする(1)に記載の誘起構造作製方法。
(8)上記誘起構造が周期的に形成されることを特徴とする(1)に記載の誘起構造作製方法。
(9)上記誘起構造が光学異方性を有することを特徴とする(1)に記載の誘起構造作製方法。
(10)上記誘起構造は、上記単結晶の結晶面が局所転位することによって形成されることを特徴とする(1)に記載の誘起構造作製方法。
(11)上記誘起構造は転位領域およびクラックを有し、該クラックは上記フィラメントに沿って上記フィラメントが到達した結晶面に複数形成されることにより球状となっており、該転位領域は該クラックが形成される結晶面上において該クラックから四方に向かって直線状に形成されることを特徴とする(1)に記載の誘起構造作製方法。
(12)上記転位領域および上記クラックが形成される結晶面は、上記誘起構造が形成されることによって光反射率が高くなることを特徴とする(11)に記載の誘起構造作製方法。
(13)上記クラックにより形成された球形の直径が、1μm以上、2μm以下の範囲内であることを特徴とする(11)に記載の誘起構造作製方法。
(14)(1)から(13)に記載の誘起構造作製方法によって作製された誘起構造を備えることを特徴とする光学素子。
(15)単結晶に誘起構造を形成させる誘起構造作製装置であって、パルスレーザを照射する照射手段と、照射したパルスレーザを集光させる集光手段と、該照射手段の照射条件を制御する制御手段と、を備え、該制御手段は、該照射手段から照射されかつ該集光手段によって集光したパルスレーザが、単結晶内部に単一のフィラメントを形成し、該フィラメントが、該単結晶の結晶面のうち該フィラメントに対して略垂直なものの少なくとも1つに到達するように、レーザの照射条件を制御するものであることを特徴とする誘起構造作製装置。
なお、上記誘起構造作製装置は、コンピュータを用いて実現してもよく、この場合には、コンピュータを用いて上記各手段を制御するための誘起構造作製装置の制御プログラムおよび上記制御プログラムを記録した記録媒体もまた本発明の範疇に包含する。
本発明に係る誘起構造作製方法は、面心立方格子構造を有しかつパルスレーザの波長を透過し得る単結晶内部に、不規則な方向に大きなクラックを生じることなく誘起構造を形成することができる。本発明によれば、単結晶内部に誘起構造を作製することができるため、従来技術では作製し得なかった新規の光回折素子および偏光素子の作製が可能となる。
本発明は、単一のフィラメントが形成される条件によって面心立方格子構造または六方最密充填構造を有する単結晶(以下、単結晶)内部にパルスレーザを集光させると、該フィラメントの到達した結晶面に転位領域および球状クラックを形成することができる誘起構造作製方法に関するものである。
本項において、まず誘起構造作製方法について述べ、その後、誘起構造作製装置およびその利用について述べる。
(誘起構造作製方法)
本発明に係る誘起構造作製方法は、パルスレーザを透過し得る単結晶内部に単一のフィラメントが形成されるように集光させることによって、該フィラメントが到達した結晶面に誘起構造を作製する誘起構造作製方法である。また、上記パルスレーザは、上記フィラメントが上記結晶面に対して垂直に形成されるように照射する。
本発明に用いた単結晶は、面心立方格子構造または六方最密充填構造を有する単結晶であることが好ましいが、単結晶内部にフィラメントが形成され、誘起構造を作製し得るものであればこれに限定されるものではない。
本発明における「フィラメント」とは、強度の大きいレーザ光が、透明材料内部に集光した後に、一定のビーム径を有しながら透明材料内部を進行する現象を指す。
また、パルスレーザのパルスエネルギーが高い場合には、ほぼ同じ大きさを持った多数のフィラメントが発生する。しかし、パルスレーザのパルスエネルギーをさらに高くすると、単一のフィラメントが形成される。本発明におけるパルスレーザのパルスエネルギー
は、単一のフィラメントが形成されれば特に限定されるものではない。例えば、酸化マグネシウム単結晶では、1μJ以上であることが好ましい。
パルスレーザは、10−15〜10−8秒以下の極短時間だけ光パルスが持続するレーザであればよく、その他、具体的な条件については特に限定されるものではない。パルスレーザの例として、ナノ秒レーザ、ピコ秒レーザおよびフェムト秒レーザなどが挙げられる。本発明においては、パルスレーザとして超短パルスレーザを用いることが好ましい。超短パルスレーザとは、10−15秒〜10−12秒の極短時間だけ光パルスが持続するレーザである。具体例としては、フェムト秒レーザが挙げられる。使用するパルスレーザ源についても特に限定されるものではなく、従来公知のパルスレーザの光源を用いることができる。
パルスレーザを集光させる方法としては、従来公知の方法を挙げることができ、特に限定されるものではないが、例えば、対物レンズなどの集光部材を用いることが一般的である。
用いる対物レンズの開口数も特に限定されるものではないが、室温下で誘起構造を作製するためには開口数が0.8以上であることが好ましく、開口数が0.9以上であることがより好ましい。なお、開口数が低い対物レンズでは、照射したパルスレーザが単結晶表面においてアブレーションを起こし、単結晶内部にフィラメントを形成させることができないが、パルスレーザの照射時に単結晶を加熱すれば、開口数が低い対物レンズを用いた場合であっても単結晶内部に集光させることができる。
本実施の形態では、誘起構造として転位領域および球状クラックを例に挙げて説明するが、この構造に限定されるものではなく、本発明の誘起構造には様々な形状、大きさの誘起構造が含まれることはいうまでもない。
なお、本発明における転位領域は、パルスレーザによる結晶面の局所転位により形成されるものであり、ガラス等の非晶質化合物とは屈折率変化領域の形成メカニズムが異なる。また、転位領域部には、従来の屈折率変化領域にはみられない高い光反射率が確認されている。したがって、本発明における転位領域は以後、光反射領域と称する。
次に、光反射領域および球状クラックの形成メカニズムについて説明する。なお、以下の説明では、単結晶の一例として岩塩型構造を、パルスレーザの一例としてfsレーザを用いて説明する。
まず、所定の結晶面である(100)面に対してfsレーザを垂直に照射し、対物レンズ等の集光部材を用いて岩塩型構造を有する単結晶内部に集光させた場合、集光部分からfsレーザの光軸方向に沿ってフィラメントが形成される。これによって、岩塩型構造の(100)面に対して応力が加わり、(110)面において原子面のすべりが発生する。すなわち、光反射領域は、fsレーザ照射によって特定方向の原子面のすべりが誘起された結果、形成されている。
光反射領域の形成は、単結晶の有する性質に深く関与しており、上述の岩塩型構造においては、必ず<110>方向に沿って形成される。したがって、岩塩型構造における光反射領域は、常にフィラメントの到達した点を中心として四方に伸びた構造をとる。
また、光反射領域は、単結晶の結晶構造に由来する誘起構造である。したがって、等間隔にfsレーザを照射すると、光反射領域は、fsレーザの照射位置からずれることなく、フィラメントの到達した点を中心として四方に伸びた形状にて(100)面に形成される。これによって、光反射領域は、容易かつ簡便にパターン化された誘起構造として作製することができる。
さらに、四方に伸びた光反射領域が重なる部分においても、重なり合った光反射領域は、乱されたり消失したりすることなく形成される。このことから、照射パターンを様々変化させることにより様々な光学異方性パターンを有する光回折素子を作製することができる。
また、(100)面に対して平行な結晶面において、フィラメントが到達した点には球状クラックが形成される。なお、球状クラックは、単結晶内部に入射するfsレーザと単結晶底部にて反射したfsレーザとが干渉することによって形成されている。
したがって、岩塩型構造の場合は、球状クラックを中心として光反射領域が四方に伸びた誘起構造が形成される。
さらに、パルスレーザを照射する工程では、単結晶に不規則な方向に形成される大きなクラックが発生しないようにパルスレーザを照射することが必須である。不規則な方向に形成される大きなクラックが発生すると、所望の光特性および電子特性などを担保することができなくなってしまうためである。
不規則な方向に形成される大きなクラックの発生を回避するためには、単結晶の所定の面に対してのみパルスレーザを照射する必要がある。例えば、上述した岩塩型構造を有する単結晶の場合では(100)面に対して垂直に単一のフィラメントが形成されるようにパルスレーザを照射する必要がある。また、室温において光反射領域および空孔を形成するためには、上記した開口数を持つ対物レンズによってパルスレーザを集光する必要がある。
上述したように本発明におけるパルスレーザの照射条件は、上記条件を満たすように照射すればよく、使用するパルスレーザの周波数、波長、ならびに形成対象の単結晶の大きさ、形状、厚み、パルスレーザを集光する位置などの諸条件の具体的数値は、特に限定されるものではない。
また、面心立方格子構造および六方最密充填構造を有する単結晶に形成される光反射領域の大きさならびに球状クラックの個数(球状クラックの個数と光反射領域の個数とは同一個数である)は、パルスレーザのパルスエネルギーおよびパルス数を調整することによって制御することができる。
具体的には、パルスエネルギーを5μJ以上、30μJ以下の範囲内で調整することによって、光反射領域の四方に伸びた直線における球状クラックの中心から直線の端部までの長さを約7μm〜35μmの間で制御することができる。また、側面方向(パルスレーザを照射する面を表面とする)から観察した時の球状クラックが形成される列の長さを約60〜120μmの間で制御することができる。
また、パルス数を1〜1000パルスの範囲内で調整することによっても光反射領域の四方に伸びた直線における球状クラックの中心から直線の端部までの長さを約7〜35μmの間で制御することができる。
したがって、光反射領域の四方に伸びた直線における球状クラックの中心から直線の端部までの長さの範囲を制御するためには、パルスレーザのパルスエネルギーが1〜40μJの範囲であることが好ましく、5〜30μJの範囲であることがより好ましい。
また、パルス数は、1〜1000パルスの範囲であることが好ましく、1〜200パルスの範囲であることがより好ましい。なお、パルス数が1000パルス以上であっても、光反射領域は形成されるが、1000パルスの場合と外見上ほとんど差異がない。
また、球状クラックが形成される列の長さの範囲を制御するためには、パルスエネルギーが1〜40μJの範囲であることが好ましく、5〜30μJの範囲であることがより好ましい。
(誘起構造作製装置)
本発明に係る誘起構造作製方法に用いる誘起構造作製装置について、図8を用いて説明する。
図8に示すように、誘起構造作製装置10は、レーザ照射部1、NDフィルタ2、シャッター3、ダイクロイックミラー4、対物レンズ5、制御部6、試料ステージ7を備えている。なお、図8では、誘起構造を形成する単結晶8を試料ステージ7上に載置した構成を示している。
レーザ照射部1は、パルスレーザを照射する照射手段として機能するものであればよく、従来公知のパルスレーザ照射装置を好適に使用することができ、その具体的な構成等は特に限定されるものではない。本実施の形態では、パルスレーザとしてfsレーザを一例として用いている。なお、具体的なfsレーザ照射装置としては、例えば、チタン:サファイアレーザ(Ti: Sapphire laser)の波長800nm、繰り返し周期1kHzのものを用いている。
NDフィルタ2は、パルスレーザの出力、すなわちパルスエネルギーを調整および制御するものである。シャッター3は、パルスレーザのパルス数を制御および調整するものである。ダイクロイックミラー4は、レーザ照射部1から照射されたレーザ光を対物レンズ5に向けて方向を変更するためのものである。
対物レンズ5は、試料ステージ7上に載置された単結晶8へ、レーザ光を集光させるものであり、従来公知の集光部材を好適に用いることができる。試料ステージ7は、3次元方向(x−y−z方向)に走査可能に構成されている試料台であり、レーザ光の集光照射位置を調整する機能を有するものである。
制御部6は、レーザ照射部1におけるパルスレーザの照射条件を制御する制御手段として機能するものである。かかる制御部6としては、パーソナルコンピュータ(PC)等の従来公知の演算装置を好適に用いることができる。なお、制御部6は、シャッター3及び試料ステージ7の動作を制御するように構成されている。
制御部6は、レーザ照射部1から照射されるパルスレーザが、単結晶8内部にフィラメントを形成するように、レーザ照射部1のレーザの照射条件を制御するものである。
制御部6が、上述のようにレーザ照射部1のレーザ照射条件を設定および制御することにより、誘起構造作製装置10は、上述した誘起構造作製方法を実行することができる。それゆえ、誘起構造作製装置10によれば、効率的にかつ精度よく、光反射領域および空孔を周期的に形成することができる。
また、誘起構造作製装置10の各ブロック、特に制御部6は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、誘起構造作製装置10は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである誘起構造作製装置10の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記誘起構造作製装置10に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、誘起構造作製装置10を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
(誘起構造作製方法によって作製された光学素子などの利用)
本発明に係る誘起構造作製方法によって作製された誘起構造を備える単結晶は、非常に高い産業上の有用性を有している。本発明には、上述した誘起構造作製方法を1工程として含む誘起構造が形成された単結晶の製造方法が含まれる。
面心立方格子構造自体には光学異方性は存在しないが、光反射領域および球状クラックを形成した単結晶には光学異方性が存在する。
したがって、従来では作製し得なかったような新しい光回折素子および光集積回路の作製には欠くことのできない偏光素子を作製することが可能になる。
また、転位領域および球状クラックが形成された結晶面には、従来のガラスなどの透明材料に形成された屈折率変化領域では確認されていない、該結晶面においての急激な光反射率の上昇がみられる。したがって、従来にはない、新規の光回折素子を作製することができる。
なお、転位領域は、透過させる光の波長に依存せず光異方性を誘起することができる。したがって、光通信帯領域(λ=〜1.5μm)程度の光領域に対しても光異方性を誘起することができる可能性がある。
さらに、転位領域において周期的な点欠陥を誘起することができれば、常温においてレーザ発振することができる素子として利用することができる可能性を有する。
以下、実施例を示し、本発明の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な様態が可能である。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明における単結晶8に誘起構造を形成させる誘起構造作製方法とそれにより得られる誘起構造について具体的に説明する。
〔実施例1〕
(岩塩型構造における誘起構造の作製)
図8に記載の誘起構造作製装置10を用いて単結晶8内部に誘起構造を作製した。すなわち、増幅Ti:Sapphireレーザ(繰り返し周波数1kHz、波長800nm、パルス幅150fs)によるfsレーザのパルス光を倍率が100倍(NA:0.9)の対物レンズ5を用いて単結晶8内部に集光照射した。fsレーザのパルスエネルギーは、NDフィルター2を用いて5〜30μJの範囲で制御し、パルス数は、シャッター3を用いて1〜1000パルスの範囲で制御した。
誘起構造を作製する対象である単結晶8は、酸化マグネシウム単結晶を用いた。両面研磨された酸化マグネシウム単結晶の(100)面をfsレーザの光軸に対して垂直になるように設置し、酸化マグネシウム単結晶内部100〜400μmの範囲においてfsレーザが集光されるように制御した。
図1(a)〜(c)は、fsレーザ照射後、透過型顕微鏡または共焦点顕微鏡を用いて空孔および光反射領域を観察した図である。
図1(a)は、fsレーザの光軸が酸化マグネシウム単結晶の(100)面に対して垂直になるようにfsレーザを照射した時の(100)面を透過型顕微鏡によって観察した図およびその部分拡大図である。図1(a)に示すように、fsレーザの中心(焦点)部には、球状クラックが形成され、さらに球状クラックを中心として四方に光反射領域が形成されていることを確認することができた。形成された光反射領域は直線状であり、隣り合う直線との間の角度は、ほぼ直角となっていた。
図1(b)は、球状クラックが千鳥状になるように隣の球状クラックに対して30度傾いた位置にfsレーザを照射した時の酸化マグネシウム単結晶を図1(a)と同様に観察した図である。図1(b)に示すように、酸化マグネシウム単結晶の(100)面のどの部分にfsレーザを照射しても、球状クラックおよび光反射領域は、明瞭に形成されることを確認することができた。また、光反射領域は、他の光反射領域と重なってもそのパターンが乱されること、および重なった部分が消失することがないことも併せて確認することができた。
図1(c)は、fsレーザ照射後、酸化マグネシウム単結晶を2つに切断し、切断面を鏡面研磨した断面を共焦点顕微鏡によって観察した図およびその拡大図である。同図に示すように、fsレーザを集光照射した位置からfsレーザの光軸方向に沿って一列に球状クラックが形成されている様子を確認することができた。この球状クラックは、その直径の幅が約1〜2μmであった。
図2は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて球状クラックを観察した図である。図2から、球状クラックは、微細な縞状のクラックの集合によって形成されていることが示された。
また、図3(a)および(b)は、fsレーザのパルスエネルギーおよびパルス数を変化させることによる光反射領域の球状クラックの中心から直線の端部までの長さ(L)の変化、およびパルスエネルギーを変化させることによる球状クラックが形成されている列の長さ(L)の変化を表したグラフである。
図3(a)は、fsレーザのパルスエネルギーを5〜30μJの範囲で変化させた時のLの変化を示したグラフである。図3(a)に示すように、パルスエネルギーを5〜30μJの範囲で変化させることによってLは、7〜35μm程度の幅広い範囲において制御することができた。また、fsレーザのパルス数を1〜1000パルスの範囲において変化させてもLを制御することができた。特に、パルス数が1〜200パルスまでの範囲において効果的にLを制御することができた。しかし、光反射領域の形成は、パルス数が大きいほどより明瞭であった。
図3(b)は、fsレーザのパルスエネルギーを5〜30μJの範囲で変化させた時のLの変化を示したグラフである。図3(b)に示すように、fsレーザのパルスエネルギーを5〜30μJの範囲で変化させることによってLは、約60μm〜120μmの範囲で制御することができた。また、Lの値は、パルスエネルギーの増加と比例して大きくなることが示された。
この結果から、LおよびLは、上記の範囲におけるfsレーザの照射条件によって制御することができることが確認された。
図4(a)および(b)は、偏光顕微鏡を用いて光反射領域を観察した図である。図4(a)は、光反射領域の明視野像であり、図4(b)は、図4(a)を観察するために用いた透過光を90°偏光させて得られた像(クロスニコル像)である。
図4(b)では、光変化領域の直線部のみが明るく観察された。このことから、単結晶8内部のひずみ(応力)が直線部に沿って誘起されている様子を確認することができた。また、面心立方格子自体には光学異方性が存在しないことから、レーザ照射を行っていない部分においては図4(a)および(b)のような像を確認することはできなかった。
したがって、本発明における光反射領域は、fsレーザによって特定方向に沿った局所的なひずみ(応力)が誘起された結果として形成されることが示された。
このように、光反射領域は、結晶構造に由来するものであるため、等間隔にfsレーザを照射することによって単結晶8内部に図1(a)に示したようなチェック模様の誘起構造を形成することができる。
チェック模様は、1.5mm×1.5mm四方の空間に縦と横それぞれ30回ずつ、計900回fsレーザを照射することによって作製した。作製したチェック模様の誘起構造に対して、波長633nmのHe−Neレーザを照射し、回折パターンを観察した。
図5に示すように、回折強度は、対角線方向にのみ大きくなった。すなわち、光異方性が対角線方向に誘起している様子を確認することができた。
従来のドットアレイ構造では、光強度分布に異方性は存在しない。したがって、fsレーザの集光照射による局所的なひずみ(応力)によって形成した光反射領域が効果的に光を回折し、回折強度の異方性が誘起していることを確認することができた。
次に、単結晶8にフッ化リチウム単結晶、塩化ナトリウム単結晶および塩化カリウム単結晶を用いた以外は酸化マグネシウム単結晶と同様にして単結晶8内部に誘起構造を作製した。
酸化マグネシウム、フッ化リチウム、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムは、岩塩型構造を有する面心立方格子の単結晶である。
得られた結果を図6(a)〜(d)に示す。図6(a)はfsレーザの光軸が酸化マグネシウム単結晶の(100)面に対して垂直になるように照射した時の(100)面を透過型顕微鏡によって観察した図である。図6(b)、図6(c)および図6(d)は、それぞれフッ化リチウム単結晶、塩化ナトリウム単結晶および塩化カリウム単結晶を図6(a)と同様の方法によって観察した図である。
結晶には、へき開を起こすものが多く知られており、岩塩型構造を有する上記4種の単結晶は、(100)面においてへき開を起こす性質を有している。
図6(a)〜図6(d)に示すように、フッ化リチウム単結晶、塩化ナトリウム単結晶および塩化カリウム単結晶では、酸化マグネシウム単結晶の場合よりも小さいものの、光反射領域を形成させることができることが確認された。
〔実施例2〕
(六方最密充填構造における誘起構造の作製)
次に、六方最密充填構造における誘起構造の作製方法について図8を参照して以下に説明する。
増幅Ti:Sapphireレーザ(繰り返し周波数1kHz、波長800nm、パルス幅150fs)によるfsレーザのパルス光を倍率が100倍(NA:0.9)の対物レンズ5を用いて単結晶8内部に集光照射する。fsレーザのパルスエネルギーは、NDフィルター2を用いて5〜30μJの範囲で制御し、パルス数は、シャッター3を用いて1〜1000パルスの範囲で制御する。誘起構造を作製する対象である六方最密充填構造を有する単結晶8として、サファイヤ(Al)単結晶を用いる。両面研磨されたサファイヤ単結晶の
面をfsレーザの光軸に対して垂直になるように設置し、サファイヤ単結晶内部100〜400μmの範囲においてfsレーザが集光されるように制御する。
〔実施例3〕
(対物レンズの開口数の違いによる誘起構造の作製)
倍率が、10倍(NA:0.3)、20倍(NA:0.45)および50倍(NA:0.8)の対物レンズ5を用いた以外は実施例1と同様にして単結晶8内部に誘起構造を作製した。
実施例3において得られた結果を図7(a)〜(c)に示す。また、上記の実施例1において得られた結果を比較材料として図7(d)に示す。図7(a)は、誘起構造作製に10倍(NA:0.3)の対物レンズ5を用いた時の酸化マグネシウム単結晶の(100)面を透過型顕微鏡によって観察した図である。図7(b)、図7(c)および図7(d)は、それぞれ20倍(NA:0.45)、50倍(NA:0.8)および100倍(NA:0.9)の対物レンズ5を用いた時の酸化マグネシウム単結晶を図7(a)と同様の方法によって観察した図である。
図7(a)に示すように、NAが低い対物レンズ5では、単結晶8表面においてアブレーションが起こり、単結晶8内部にfsレーザを集光することができなかった(集光部の単結晶8表面からの深さ:約100μm)。図7(a)において、黒く観察される部分がアブレーションの起きた領域である。また、図7(b)においても若干のアブレーションが単結晶8表面で起き、fsレーザの集光部にも不規則な方向に形成される大きなクラックが形成され、明瞭な光反射領域は形成されなかった。
図7(c)に示すように、NA値が0.8であると光反射領域が明瞭に形成され始め、アブレーションは確認されなかった。しかし、fsレーザの集光部にわずかながら不規則な方向に形成される大きなクラックが形成された。
図7(d)に示すように、NA値が0.9であると集光部に不規則な方向に形成される大きなクラックは形成されず、明瞭な光反射領域が形成された。
この結果から、室温下においてNA値が0.8以上の対物レンズ5において明瞭な光反射領域が形成されることが確認された。また、NA値が高い対物レンズ5を用いたfsレーザの集光では、集光部におけるパルスエネルギー密度が高くなることが示された。すなわち、光反射領域の形成は、集光部の集光密度に依存していることが示された。
本発明を用いれば、単結晶内部に空孔および光反射領域を形成させることができる。内部に空孔および光反射領域を有する単結晶は、新規の光回折素子として透過型回折光学素子に利用すること、および光集積回路の作製に欠くことのできない偏光素子として利用することが可能である。また、常温においてのレーザ発振素子として利用することができる可能も有している。ゆえに、従来では作製し得なかった新規の光デバイスを作製することができ、エレクトロニクス産業において幅広く利用することができる。
実施例1において作製した誘起構造を観察した図であり、(a)は(100)面を透過型顕微鏡によって観察した図であり、(b)は隣の球状クラックに対して30度傾いた位置にfsレーザを照射した時の(100)面を透過型顕微鏡によって観察した図であり、(c)は酸化マグネシウム単結晶の断面を共焦点顕微鏡によって観察した図である。 実施例1において作製した球状クラックを透過型電子顕微鏡によって観察した図である。 (a)はパルスエネルギーの変化およびパルス数の変化による光反射領域における直線部の長さの変化を示した図であり、(b)はパルスエネルギーの変化による球状クラックが形成されている列の長さの変化を示した図である。 実施例1において作製した光反射領域を偏光顕微鏡によって観察した図であり、(a)は光反射領域の明視野像であり、(b)は(a)を観察するために用いた透過光を90°偏光させて得られた像(クロスニコル像)を示した図である。 実施例1において作製した誘起構造の回折パターンを観察した図である。 実施例1において作製した誘起構造を(100)面から透過型顕微鏡によって観察した図であり、(a)は酸化マグネシウム、(b)はフッ化リチウム単結晶、(c)は塩化ナトリウム単結晶、(d)は塩化カリウム単結晶を観察した図である。 fsレーザの集光に様々な種類の対物レンズを用いた時の酸化マグネシウム単結晶の(100)面を透過型顕微鏡によって観察した図であり、(a)は10倍(NA:0.3)、(b)は20倍(NA:0.45)、(c)は50倍(NA:0.8)、(d)は100倍(NA:0.9)の対物レンズを用いた時である。 本実施形態に係る誘起構造作製装置の構成について模式的に示す図である。
符号の説明
1 レーザ照射部
2 NDフィルター
3 シャッター
5 対物レンズ
6 制御部
7 試料ステージ
8 単結晶
10 誘起構造作製装置

Claims (15)

  1. パルスレーザを単結晶に照射して単結晶に誘起構造を形成させる誘起構造作製方法であって、
    面心立方格子構造または六方最密充填構造を有しかつ該パルスレーザを透過し得る単結晶の内部に、単一のフィラメントが形成されるように、かつ、上記フィラメントが誘起構造の形成される結晶面に対して略垂直に形成されるように該パルスレーザを集光させる工程を包含する
    ことを特徴とする誘起構造作製方法。
  2. 上記単結晶が、パルスレーザによって転位を生じる結晶面を有する単結晶であることを特徴とする請求項1に記載の誘起構造作製方法。
  3. 上記面心立方格子構造を有し、上記転位を生じる結晶面を有する単結晶が、岩塩型構造を有する単結晶であることを特徴とする請求項2に記載の誘起構造作製方法。
  4. 上記岩塩型構造を有する単結晶が、酸化マグネシウム、フッ化リチウム、塩化ナトリウムまたは塩化カリウムからなることを特徴とする請求項3に記載の誘起構造作製方法。
  5. 上記六方最密充填構造を有し、上記転位を生じる結晶面を有する単結晶が、サファイヤからなることを特徴とする請求項2に記載の誘起構造作製方法。
  6. 上記パルスレーザは、パルスエネルギーが5μJ以上、30μJ以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の誘起構造作製方法。
  7. 上記パルスレーザは、パルス数が1パルス以上、1000パルス以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の誘起構造作製方法。
  8. 上記誘起構造が周期的に形成されることを特徴とする請求項1に記載の誘起構造作製方法。
  9. 上記誘起構造が光学異方性を有することを特徴とする請求項1に記載の誘起構造作製方法。
  10. 上記誘起構造は、上記単結晶の結晶面が局所転位することによって形成されることを特徴とする請求項1に記載の誘起構造作製方法。
  11. 上記誘起構造は、転位領域およびクラックを有し、該クラックは、上記フィラメントに沿って上記フィラメントが到達した結晶面に複数形成されることにより球状となっており、該転位領域は、該クラックが形成される結晶面上において該クラックから四方に向かって直線状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の誘起構造作製方法。
  12. 上記転位領域および上記クラックが形成される結晶面は、上記誘起構造が形成されることによって光反射率が高くなることを特徴とする請求項11に記載の誘起構造作製方法。
  13. 上記クラックにより形成された球形の直径が、1μm以上、2μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項11に記載の誘起構造作製方法。
  14. 請求項1から13のいずれか1項に記載の誘起構造作製方法によって作製された誘起構造を備えることを特徴とする光学素子。
  15. 単結晶に誘起構造を形成させる誘起構造作製装置であって、
    パルスレーザを照射する照射手段と、
    照射したパルスレーザを集光させる集光手段と、
    該照射手段の照射条件を制御する制御手段と、
    を備え、
    該制御手段は、該照射手段から照射されかつ該集光手段によって集光したパルスレーザが、単結晶内部に単一のフィラメントを形成し、該フィラメントが、該単結晶の結晶面のうち該フィラメントに対して略垂直なものの少なくとも1つに到達するように、レーザの照射条件を制御するものであることを特徴とする誘起構造作製装置。
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