JP2008044454A - 給油口の閉鎖装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡素な構成又は構造のロック機構を備えた給油口のシャッタ開閉型閉鎖装置を提供する。
【解決手段】上方から給油口31を塞ぐ傾倒自在なダストカバー7と、給油口31の周縁を胯ぐ範囲で前記ダストカバー7の傾倒方向に進退自在なスライド部材5と、給油口31に下方から押し付けたシャッタ2から給油口31に干渉しない範囲で前記給油口31の上方に突出し、同じく給油口31に干渉しない範囲で係合部27を設けた嵌入突部25と、一端をダストカバー7に、他端をスライド部材4に軸着して前記ダストカバー7の傾倒と前記スライド部材4の進退とを連動させるリンクアーム8とからロック機構を構成したシャッタ開閉型閉鎖装置である。
【選択図】図1

Description

本発明は、給油口に下方から押し付けられるシャッタが給油ノズルに押されて給油口を開き、前記シャッタが給油ノズルの引き抜きと共に復帰して給油口を閉じる給油口の閉鎖装置に関する。
「給油口」とは、給油管端に取り付けた部材(例えばフィラネック)に設けられ、前記給油管に連通する開口を意味し、給油ノズルは前記開口を通じて給油管に挿入される。ここで、給油口に連通する開口を備えたガイド部が設けられる場合、本発明では前記ガイド部の開口を含めた全体を給油口とする。
給油口キャップを取り外して給油口を開き、給油口キャップを取り付けて給油口を閉じる給油口の閉鎖装置(以下、キャップ着脱型閉鎖装置と呼ぶ。)は、例えばシールリングを介装して給油口キャップを給油口に締着することにより、給油口としての気密性及び液密性を確保しやすい利点がある。しかし、給油口に締着する給油口キャップは着脱する手間がかかり、前記締着が不適切であると、かえって気密性及び液密性が損なわれる虞がある。また、給油口から取り外した給油口キャップは、独立した部材となり、紛失される可能性が否定できない。
そこで、特許文献1に見られるように、給油口に下方から押し付けられるシャッタが給油ノズルに押されて給油口を開き、前記シャッタが給油ノズルの引き抜きと共に復帰して給油口を閉じる給油口の閉鎖装置(以下、シャッタ開閉型閉鎖装置と呼ぶ。)が提案されている。このシャッタ開閉型閉鎖装置は、給油口キャップの締め忘れがないことはもちろん、実際に給油ノズルが挿入されてシャッタを押し開くまで給油口から続く給油管を外部から遮断でき、燃料蒸気の放出を抑制できる利点がある。
特許文献1のシャッタ開閉型閉鎖装置は、給油口リッドの開閉と、シャッタ手前に設けたクモ状部材(Spider)の押圧とに連動するシャッタのロック機構を設けている。このシャッタ開閉型閉鎖装置は、給油口を設けたハウジングを塞ぐ給油口リッドを開き、かつクモ状部材を給油ノズルが押すことにより、給油口に嵌めたベゼルと給油口に下方から押し付けられるシャッタとの係合を解除し、前記給油ノズルに押されてシャッタを開く。給油ノズルを引き抜くと、捻りコイルバネの付勢によりシャッタが再び給油口に下方から押し付けられ、そして給油口リッドを閉じると、給油口リッドに連結した捻りコイルバネの働きにより、再びベゼルがシャッタと係合する。このように、特許文献1のシャッタ開閉型閉鎖装置は、給油口リッドが開かれ、クモ状部材が給油ノズルに押されない限り、シャッタが拘束され、不用意に開かないようになっている。
米国特許出願公開第2005/0257852号明細書
シャッタ開閉型閉鎖装置は、シャッタが給油口から奥まった位置に設けられるため、そのままでは埃や雨水がシャッタ手前に溜まる虞がある。特許文献1のシャッタ開閉型閉鎖装置は、給油口を設けたハウジングを給油口リッドで塞いでいる。しかし、例えば洗車に際して給油口リッドを開放し、ハウジングに向けて高圧水が吹き付けられることも少なくない。このとき、特許文献1のように、シャッタを不用意に開かせないロック機構を設けていないと、前記高圧水を受けて不用意にシャッタが開き、給油口から給油管を通じて、燃料タンクに水が混入してしまう虞がある。これから、シャッタ開閉型閉鎖装置では、特許文献1に見られるように、給油の際のみシャッタを開閉できるようにするロック機構を設けることが好ましい。
ところが、特許文献1のシャッタ開閉型閉鎖装置は、通常、給油口から離れた給油口リッドの開閉にロック機構を連動させるため、前記ロック機構の構成又は構造が複雑になっている。これは、前記ロック機構の部材点数が増加して、組み付け作業等を含めた製造コストを高くする問題を招く。また、複雑な構成又は構造のロック機構は、動作不良を招きやすく、ロック機構のみならず、シャッタ開閉型閉鎖装置の破損を招く虞がある等、信頼性を低下させる問題もある。これから、特許文献1に見られるように、給油の際のみシャッタを開閉できるようにするロック機構を設けることが好ましいが、より簡素な構成又は構造が求められる。そこで、簡素な構成又は構造のロック機構を備えたシャッタ開閉型閉鎖装置を開発するため、検討した。
検討の結果開発したものが、上方から給油口を塞ぐ傾倒自在なダストカバーと、給油口の上方かつ給油口の周縁を胯ぐ範囲で前記ダストカバーの傾倒方向に進退自在なスライド部材と、給油口に下方から押し付けたシャッタから給油口に干渉しない範囲で前記給油口の上方に突出し、同じく給油口に干渉しない範囲で係合部を設けた嵌入突部と、一端をダストカバーに他端をスライド部材にそれぞれ軸着して前記ダストカバーの傾倒と前記スライド部材の進退とを連動させるリンクアームとからロック機構を構成したシャッタ開閉型閉鎖装置である。ロック機構は、ダストカバーを倒すとスライド部材が前進し、前記スライド部材が係合部に下方から係合してシャッタを拘束し、ダストカバーを引き起こすとスライド部材が後退し、スライド部材と係合部との係合を解除してシャッタを解放する。
シャッタは、給油管端に取り付けた部材に設けられる給油口の下端面側を塞ぐが、給油口に連通する開口を備えたガイド部が設けられる場合、ガイド部に設けられる開口の下端面側を塞ぐことになる。この場合、本発明では給油口に連通するガイド部の開口を含めた全体を給油口とすることから、ガイド部に設けた場合も上記シャッタ開閉型閉鎖装置の構成により本発明を適用できる。
ダストカバーは、給油管端に取り付けた部材に設けられる給油口(開口)の上端面側を塞ぐ部材である。このダストカバーは、給油口のみを塞ぐ板状部材でもよいが、埃や雨水の給油管への進入をより確実に防止するため、給油口に被せる箱状部材が好ましい。この場合、箱状部材のダストカバーはスライド部材をも含む範囲に被せてもよい。
スライド部材は、ダストカバーの傾倒方向に前進して給油口内に突出又は給油口を横断し、前記傾倒方向に後退して給油口外に待避できれば、板状又は棒状等、構成又は構造を限定されない。スライド部材の進退軌道を特定させるには、例えばスライド部材を挟持する断面鉤状のガイドレールを、給油口を設けた部材に設けるとよい。前記ガイドレールで特定されるスライド部材の進退方向は、給油口と平行でなくてもよいが、通常給油口に沿って前記給油口と平行となる。これから、「給油口の周縁を胯ぐ範囲」とは、スライド部材の進退軌道を給油口に投影した場合、前記進退軌道が前記給油口の周縁を胯ぐ範囲を意味する。また、「ダストカバーの傾倒方向」とは、例えば給油口を設けた部材に配した傾倒軸を中心にダストカバーを倒したり、引き起こす方向(傾倒軸の直交方向)を意味する。
リンクアームは、両端をそれぞれダストカバーとスライド部材とに軸着されて両者を連結し、ダストカバーの傾倒運動(回転運動)をスライド部材の進退運動(直線運動)に変換し、ダストカバーの傾倒とスライド部材の進退とを連動させる。このように、リンクアームはダストカバーの傾倒とスライド部材の進退とを連動させることができればよく、構造又は構成が限定されない。
嵌入突部は、給油口に下方から押し付けたシャッタから前記給油口を通じて上方に突出する部分で、シャッタとの一体成形部位でも、シャッタと別体部材として別途シャッタの上面に取り付けてもよく、また給油口を通じて上方に突出できれば、構成又は構造を限定されない。しかし、通常、回転軸を中心にシャッタが回転運動するため、給油口に対して斜め下方から差し込まれる嵌入突部は、給油口より小さい断面を有することになる。このように、嵌入突部における「給油口に干渉しない範囲」とは、シャッタが開閉に伴って回転運動した際、給油口に干渉しないように、嵌入突部が前記給油口より小さい断面を有することを意味する。
係合部は、前進したスライド部材を差し込める大きさ又は形状で嵌入突部に設けられる貫通しない穴又は貫通した孔や、前進したスライド部材に交差して張り出す面又は突起を例示できる。穴又は孔からなる係合部は、板状又は棒状のスライド部材を差し込んで係合させ、引き抜いて前記係合を解除する。また、面又は突起からなる係合部は、板状又は棒状のスライド部材を前進させて下方から係合させ、後退させて前記係合を解除する。ここで、係合部における「給油口に干渉しない範囲」とは、シャッタが開閉に伴って回転運動した際、給油口に干渉しないように、面又は突起からなる係合部が前記給油口より小さい範囲で嵌入突部から張り出していることを意味する。穴又は孔からなる係合部は、嵌入突部から張り出すことが通常考えられないため、当然「給油口に干渉しない範囲」にある。
本発明のシャッタ開閉型閉鎖装置は、給油口に下方から押し付けたシャッタから給油口を通じて突出する嵌入突部の係合部に、ダストカバーに連動させた前進させたスライド部材を係合させてシャッタを拘束するロック機構を構成する。このロック機構は、係合部に係合させたスライド部材により直接シャッタを拘束するので、特許文献1に見られる複雑な構成にならない。また、スライド部材の進退をダストカバーの開閉に連動させているので、ロック機構によるシャッタの拘束及び解放に特別な操作を要しない。例えばダストカバーを開くと、給油口リッドに干渉して給油口リッドが閉じないようにすれば、給油口リッドを閉じる前に必ずダストカバーが閉じられ、シャッタを必ず拘束できる。
好ましい嵌入突部及びスライド部材の組み合わせは、嵌入突部はダストカバーの傾倒方向に直交して一対の係合部を張り出し、スライド部材はダストカバーの傾倒方向に延びる一対の係合アームを有する構成である。この構成は、ダストカバーを倒して前進したスライド部材が各係合アームを係合部に下方から係合させる。より好ましい嵌入突部及びスライド部材の組み合わせは、嵌入突部はダストカバーの傾倒方向に平行な一対の切欠面を有し、各切欠面から前記傾倒方向に直交して一対の係合部を張り出し、スライド部材は嵌入突部の外形に倣う周縁を有するベースの左右から前記切欠面に沿ってダストカバーの傾倒方向に延びる一対の係合アームを突き出して、平面視C字状に構成する。この構成は、ダストカバーを倒して前進し、嵌入突部にベースを近づけたスライド部材が各係合アームを係合部に下方から係合させる。
上記各組み合わせにおけるスライド部材は、係合アームが下方から係合部に係合できればよいが、前記係合アームがスライド部材の本体(例えば上記ベース)のみに支持されていると、上方から嵌入突部に加わった力に係合アームを対抗させることができない場合がある。そこで、スライド部材の係合アームは給油口を横断する長さとし、前記係合アームは係合部と給油口を設けた面との間に差し込まれる構成にするとよい。すなわち、ダストカバーを倒して前進させたスライド部材は、係合アームを給油口に架け渡し、給油口を設けた面によって両持ち支持させる。これにより、スライド部材は、上方から嵌入突部に加わった力に係合アームを対抗させて、給油口に下方から押し付けたシャッタを安定して前記給油口を閉じた状態に維持できる。
実際のシャッタは、複数の部材を組み付けて構成され、給油口にシールリングを押し付けて気密性及び液密性を確保する。このシールリングによる前記気密性及び液密性は、シールリングの弾性変形量を適正範囲にしなければ発揮されない。しかし、シャッタを構成する各部材は寸法のばらつきを避けられず、しかも経時的に各部材が摩耗したり、歪んだりする場合がある。こうした場合、シールリングの押し付け量が不足すると、給油口における気密性及び液密性が低下する。また、逆にシールリングの押し付け量が過剰であれば、てシャッタを閉鎖する際、スライド部材を係合部に係合させるために大きな力が必要となり、前記スライド部材に連動するダストカバーの開閉操作が困難になる虞がある。そこで、シャッタを構成する各部材における寸法のばらつきを吸収し、シールリングを適度に弾性変形させて押し付けるため、スライド部材の係合アームは弾性支持部を有する構成とし、前記弾性支持部により係合部を下方から弾支させるとよい。ここで、「弾性支持部により係合部を下方から弾支させる」とは、弾性支持部が弾性変形した状態で係合部に係合し、弾性変形した弾性支持部が発揮する復元力により係合部を上方に付勢し、前記係合部、嵌入突部を介してシールリングを給油口に下方から押し付けた状態でシャッタを支持することを意味する。
弾性支持部は、係合部を係合させると弾性変形する部位であり、例えば樹脂成形された係合アームと一体に設けた弾性変形する樹脂片により構成してもよいが、十分な耐久性を確保する観点から、金属製の板バネを係合アームの上面に取り付けて構成するほうが好ましい。前記板バネは、係合アームに片持ち支持させてもよいが、安定的かつ永続的に係合部を弾支するには、係合アームに両持ち支持させることが好ましい。両持ち支持の板バネは、スライド部材の前進に応じて係合部の下方に進入し、係合部に接して係合する段階で安定して係合部を弾支させるため、上向きに凸な側面視山形に形成し、係合部に係合する位置に前記係合部が嵌合する凹部を形成するとよい。この場合、側面視山形の板バネの斜辺に凹部を形成してもよいが、板バネの頂部に前記凹部を形成する方が好ましい。
本発明は、給油口のシャッタ開閉型閉鎖装置において、簡素な構成又は構造のロック機構を提供する。しかも、本発明における前記ロック機構は、ダストカバーの開閉に連動してシャッタの拘束及び解放を切り換えることができ、操作性に優れている利点がある。加えて、既述したように、開いたダストカバーが車体リッドに干渉するようにしていれば、給油に際して車体リッドを開いた状態でのみ、ダストカバーを開き、そしてシャッタが解放されるのみで、車体リッドを閉じるためにダストカバーも閉じなければならないので、給油時以外はシャッタを確実に拘束できる。
本発明におけるロック機構は、上述のように、給油時以外はシャッタを確実に拘束できるばかりでなく、シャッタを上方に吊り上げて給油口に下方から押し付ける働きがある。これは、シャッタを給油口に下方から押し付ける捻りコイルバネ等の押し付け力を補う働きであり、捻りコイルバネによる押し付け力が小さかったり、また前記捻りコイルバネ等が経年劣化により押し付け力を低下させても、給油口に下方からシャッタ(厳密にはシールリング)を押し付け、必要十分な気密性及び液密性が確保できる効果をもたらす。特に、弾性支持部により係合部を支持させると、捻りコイルバネ等の押し付け力を弾性支持部の弾性力が適度に補い、確保される気密性及び液密性を安定的かつ永続的とする。また、捻りコイルバネ等の押し付け力を低くできることにより、給油ノズルを給油口に挿入する際の負荷を小さくし、給油口に対する給油ノズルの抜き差しを容易かつ円滑にする効果も得られる。
本発明のシャッタ開閉型閉鎖装置の具体的構成は様々考えられるが、例えば給油口を設けた部材の上面側にダストカバーの傾倒軸を、前記部材の下面側にシャッタの回転軸を配した場合、本発明におけるロック機構の各要素は一体のモジュールとして構成できる利点がある。これは、ロック機構が簡素な構成であることのほか、シャッタを拘束する主要な効果を担う各要素が、給油口を中心としていずれも近接して配されることに基づく効果である。このように、本発明のシャッタ開閉型閉鎖装置は、簡素に構成できるロック機構に基づき、シャッタの拘束の確実性、シャッタによる気密性及び液密性の確保、前記気密性及び液密性の安定的かつ永続的な確保、給油ノズルの抜き差しの改善、そして給油口のモジュール化等の効果をもたらす。
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。図1〜図7は本発明を適用した一例のシャッタ開閉型閉鎖装置を表わす断面図又は平面図であり、図1はダストカバー7を閉じた状態の断面図、図2はダストカバー7を閉じた状態の部分破断平面図、図3はダストカバー7を閉じた状態におけるスライド部材4によるシャッタ2の拘束を表した部分斜視図、図4はダストカバー7を開いた状態の断面図、図5はダストカバー7を開いた状態の平面図、図6はダストカバー7を開いた状態におけるスライド部材4からのシャッタ2の解放を表した部分斜視図であり、図7は給油ノズルNを差し込んだ状態の断面図である。図3及び図6では、説明の便宜上、シャッタ2の拘束及び解放に関係する部分のみを抜粋して図示している。
初めに、本例のシャッタ開閉型閉鎖装置の構成について説明する。本例のシャッタ開閉型閉鎖装置は、図1及び図2に見られるように、大きく分けて、シャッタ2を組み付ける下部モジュール1と、給油口31を開口する上部モジュール3と、スライド部材4のガイドレール52を有するプレートモジュール5と、ダストカバー7を組み付けるカバーモジュール6とから構成され、前記スライド部材4及びダストカバー7をリンクアーム8により連結している。下部モジュール1、上部モジュール3、プレートモジュール5及びカバーモジュール6は、フィラネック9に対して、前記記載順に下から上に組み付けられる。下部モジュール1及び上部モジュール3は、組み付けに際して互いに接触する下部モジュール1の外面と上部モジュール3の内面との嵌合によって位置関係が特定される。上部モジュール3、プレートモジュール5及びカバーモジュール6は、上部モジュール3の上面に突設した4つの位置決め突起32(図1参照)をプレートモジュール5及びカバーモジュール6の位置決め孔に貫通させることにより、位置関係が特定される。
下部モジュール1は、フィラネック9に設けられた上部大径部91に嵌合して位置固定される樹脂製の筒状ブロックからなる。シャッタ2は、下部モジュール1の内面に支持させた回転軸21に回転アーム22が軸着され、前記回転軸21に外嵌した捻りコイルバネ23の復元力により、上部モジュール3に開口した給油口31を閉じる方向(図1中左回転方向)に付勢されている。捻りコイルバネ23は、下部モジュール1の内面に固定腕を宛てがい、シャッタ2の下面に作用腕を宛てがって、前記シャッタ2を付勢する。本例のシャッタ2は、給油口31を囲む大きさのシールリング24を上面側に嵌め、前記シールリング24の内側から前記給油口31に干渉しない範囲で、シャッタ2と一体成形された嵌入突部25を突出させている。嵌入突部25は、ダストカバー7の傾倒方向に平行な一対の切欠面26を円柱に形成した構造で、前記各切欠面26から前記傾倒方向に直交して一対の棒状の係合部27を張り出している。本例の係合部27は、後述する板バネ43の凹部44が容易に嵌合又は離脱できるように、断面円形である。また、係合部27が切欠面26から突出する長さは、前記切欠面26及び給油口31それぞれに直交する線分の長さであり、給油口31の範囲内である(図2参照)。
上部モジュール3は、上記下部モジュール1に上方から外嵌する下方を開放した樹脂製の筒状ブロックで、ダストカバー7の傾倒方向に平行な側面を有する軌道枠33を形成し、前記軌道枠33内に給油口31を開口している。スライド部材4は、前記軌道枠33に嵌め込まれ、軌道枠33の側面に規制されながら、給油口31に向けて進退する。前記スライド部材4は、後述するプレートモジュール5のガイドレール52により両側縁が上方より押さえ込まれて拘束されるため、がたつくことなく、前記軌道枠33の範囲内で進退できる。また、本例の上部モジュール3は、フィラネック9に対して給油口31以外の気密性及び液密性を確保するため、上部モジュール3の外面に嵌めたシールパッキン34をフィラネック9の上部大径部91の内面に圧接させている。このほか、本例の上部モジュール3は、下部モジュール1の内面に設けた軸受け11に上方から差しこんだ回転軸21の端部に対し、更に前記軸受け11に差しこむ押え片(図示略)を下方に向けて突出させている。上方に開放している軸受け11に差しこんだ回転軸21の端部は、前記押え片により上方から押さえ込まれることにより、抜け止めが図られる。
プレートモジュール5は、上部モジュール3の上面に接面して組み付けられる樹脂製の板状部材である。このプレートモジュール5は、上部モジュール3に設けた軌道枠33に相当するプレート開口51を設けており、前記プレート開口51の縁部にガイドレール52を設けている。このガイドレール52は、前記軌道枠33に嵌め込んだスライド部材4の係合アーム42の両縁(図1中紙面直交方向の縁部、図2中上下方向の縁部)に上方から係合し、スライド部材4の逸脱を防止すると共に、がたつきなくスライド部材4を進退させる働きを有する。また、プレートモジュール5は4つの位置決め孔を設けており、既述したように、上部モジュール3の上面に突設した4つの位置決め突起32(図1参照)に前記位置決め孔をそれぞれ嵌合させることにより、上部モジュール3に対して位置決めされる。このほか、スライド部材4の連結突起46に軸着したリンクアーム8が前記連結突起46から外れないように、本例のプレートモジュール5は軌道枠33の両側に沿って前記連結軸の移動範囲にガイド壁53を立てている。
本例のシャッタ開閉型閉鎖装置は、下部モジュール1に上部モジュール3を嵌合させ、リンクアーム8を接続したスライド部材4を上部モジュール3の軌道枠33に取り付けた後、前記上部モジュール3の上面にプレートモジュール5を接面させた状態でフィラネック9の上部大径部91に嵌め込み、前記フィラネック9の開口端縁から突出させた係合爪92を内向きに折り込んでプレートモジュール5に係合させ、下部モジュール1からプレートモジュール5までをフィラネック9と一体化する。すなわち、下部モジュール1からプレートモジュール5までは前記係合爪92によりフィラネック9の上部大径部91から離脱しないように押さえ込まれている。これにより、例えば給油ノズルN等が給油口31に引っかかった場合でも、前記下部モジュール1からプレートモジュール5までが分離することがない。
カバーモジュール6は、上述のように、下部モジュール1からプレートモジュール5をフィラネック9に一体化した後、前記フィラネック9に対して上方から外嵌する樹脂製の箱状部材で、上面に上部モジュール3に設けた軌道枠33相当のカバー開口61を設けている。そして、前記カバー開口61の外側に傾倒軸66を設け、前記傾倒軸66に樹脂製の箱状部材であるダストカバー7を軸着している。ダストカバー7は、内面に連結ブラケット71を取り付け、前記連結ブラケット71に貫通させた連結ピン72にリンクアーム8を軸着している。本例のカバーモジュール6は、カバー端縁内側に係合内環67を形成しており、フィラネック9の上部大径部91に形成した係合外環93に前記係合内環67を係合させることにより、フィラネック9に対して取り付けられる。ここまでの組み付け関係から明らかなように、本例のシャッタ開閉型閉鎖装置は、何らボルト又はリベット等を用いず、部材相互の嵌合等のみで組み付けられる利点を有している。このほか、本例のカバーモジュール6は、上記プレートモジュール5の位置決め孔と同じ位置に同様の位置決め孔を設けており、既述したように、上部モジュール3の上面に突設した4つの位置決め突起32(図1参照)を前記位置決め孔に嵌合させて上部モジュール3及びプレートモジュール5に対して位置決めされる。
カバー開口61は、ダストカバー7を引き起こして開いた際、外部に露出する給油管の最も外側の部分である。これから、本例のカバー開口61は、給油口31を囲むように、給油ノズルNを給油口31に導くガイドフランジ62及びガイドリブ63を設けている。ガイドフランジ62は、給油口31の半周に相当する範囲の扇状のフランジで、上面を前記給油口31に向けて下り勾配とすることで、給油ノズルNを給油口31に導く。ガイドリブ63は、前記ガイドフランジ62と対向した位置関係に配したガイドブロック64の上面に設けた給油口31の半径方向の壁面であり、上縁を給油口31に向けて下り勾配とすることで、給油ノズルNを給油口31に導く。本例は、スライド部材4に取り付けた板バネ43の凹部44に上方から嵌合する断面円弧状の節度突起65を、前記ガイドブロック64に左右一対(図2中上下一対)で設けている。
本発明のシャッタ開閉型閉鎖装置は、ダストカバー7の開閉に連動して進退するスライド部材4により構成されるロック機構に特徴を有する。このロック機構は、ダストカバー7及びスライド部材4それぞれに両端を軸着したリンクアーム8により前記ダストカバー7及びスライド部材4を連動させる。ダストカバー7を倒すと、ダストカバー7に軸着したリンクアーム8も倒れてスライド部材4を押し、給油口31に向けて前進させる。逆にダストカバー7を引き起こすと、前記リンクアーム8も立ち上がってスライド部材4を引き、給油口31から後退させる。リンクアーム8は、倒して給油口31を上方から塞ぐダストカバー7に収まる大きさ及び形状であれば構造が限定されない。本例のリンクアーム8は、左右一対の湾曲アームを中間梁で連結した樹脂製の平面視H状部材である。
本例のスライド部材4は、嵌入突部25の外形に倣う円弧状の内周縁を有するベース41と、前記ベース41の左右(図2中上下)から嵌入突部25の切欠面26に沿ってダストカバー7の傾倒方向に延びる一対の係合アーム42を突き出した樹脂製で平面視C字状の板状部材である(図3参照)。既述したように、スライド部材4は上部モジュール3の軌道枠33に嵌め込まれ、プレートモジュール5に設けられたガイドレール52に係合アーム42を係合させて、前記軌道枠33内を給油口31に向けて進退する。リンクアーム8は、スライド部材4のベース41から各係合アーム42にわたって板バネ43を囲む補強リブ45から左右方向(図2中上下方向)それぞれに突出した連結突起46に軸着する。前記連結突起46は、各先端がプレートモジュール5のガイド壁53に内接しており、リンクアーム8が外れないようにしている。給油口31に向けて前進するスライド部材4は、リンクアーム8により進退範囲が規制される。
スライド部材4の係合アーム42は、給油口31を横断する長さを有し、弾性支持部となる側面視山形の板バネ43を前記長さの範囲で係合アーム42の上面に取り付けている。本例の板バネ43は金属製で、既述したように、頂部に係合部27又は節度突起65に嵌合する凹部44を形成している。また、板バネ43は後端(図1及び図2中左端)をスライド部材4のベース41に差し込み、位置保持ピンを突き刺して位置固定し、更に前記位置保持ピンに保持プレート47を上方から嵌合してベース41と前記保持プレート47とにより挟み込みながら、板バネ43の前端を係合アーム42に当接させているだけで位置固定していない。すなわち、本例の板バネ43は前後両端を係合アーム42に接している点で両持ち支持となっているが、前端が自由状態にある実質上片持ち支持である。
スライド部材4が前進すると、板バネ43の前端はプレート開口51の内周縁に突き当たって更に前方に移動できなくなるため、板バネ43は弾性変形による復元力そのままに、凹部44が嵌合した係合部27を押し上げる。これにより、前記係合部27から嵌入突部25を介してシャッタ2を押し上げて、前記シャッタ2に取り付けたシールリング24を給油口31に下方から押し付けることができる。これに対し、スライド部材4が後退すると、板バネ43の前端は板バネ43が撓むことにより更に前方に移動できるため、板バネ43は弾性変形による復元力を前端が移動する方向に逃がし、凹部44は節度突起65に嵌合するのみで、前記節度突起65をほとんど押し上げない。これにより、ダストカバー7を引き起こした際に板バネ43の凹部44を節度突起65に容易に嵌合させながらも、ダストカバー7を倒してスライド部材4を前進させる際にわずかな抵抗感をダストカバー7に与えることができ、ダストカバー7の開閉に適度な節度感をもたらすことができる。
次に、本例のシャッタ開閉型閉鎖装置の操作手順について説明する。ダストカバー7を倒して給油口31を上方から塞いだ状態では、図1〜図3に見られるように、リンクアーム8も倒れてスライド部材4を前進させ、前記スライド部材4の係合アーム42に取り付けた板バネ43の凹部44を、給油口31の上方に突出した嵌入突部25から張り出した係合部27に嵌合させ、前記板バネ43の復元力が係合部27から嵌入突部25を介してシャッタ2を押し上げ、前記シャッタ2に取り付けたシールリング24を給油口31の周囲に下方から押し付けている。シャッタ2は、スライド部材4の板バネ43を下方から係合させ、下方に回転して開くことを規制されているため、不用意に開く虞はなく、また前述のようにシールリング24が給油口31の周囲に押し付けられているため、必要十分な気密性及び液密性が確保されている。
このようにダストカバー7を倒して給油口31を塞いだ状態では、前記ダストカバー7が給油口31から上方に突出するカバーモジュール6のカバー開口61を含めて広範囲を覆っているため、およそ給油口31から埃や雨水が侵入する虞はない。また、車体リッド(図示略)を開いて高圧洗車した際でも、高圧水が給油口31に侵入する虞はない。ここで、スライド部材4は、板バネ43の凹部44を嵌入突部25の係合部27に嵌合させることにより、前記係合部27により移動規制を受けているため、リンクアーム8を介して前記スライド部材4に連結されたダストカバー7も開閉規制を受けることになる。これから、高圧洗車に際して高圧水を受けても、ダストカバー7が不用意に開く虞はない。
給油口31を塞いでいたダストカバー7を引き起こして開くと、図4〜図6に見られるように、ダストカバー7に連結したリンクアーム8も引き起こされ、前記リンクアーム8に引っ張られるようにスライド部材4が給油口31から後退し、係合アーム42が給油口31から外れて、係合部27を介したシャッタ2の拘束が解除される。ダストカバー7は、通常、車体リッド(図示略)を開いた後、別途開くことになるが、例えば車体リッドとダストカバー7とを可撓性部材(紐又はチェーン等)で連結し、車体リッドを開くとダストカバー7が連動して開くようにしてもよい。また、設計上、車体リッドとダストカバー7とを兼ねた構成にしてもよい。
本例は、給油口31の大きさや各部材の大きさ又は形状等の制約から、係合アーム42全体が完全に給油口31から外れていない(図5参照)が、前記スライド部材4の進退範囲は多分に設計的事項であり、実質上、給油口31から突出する嵌入突部25が給油口31の下方に引き抜かれる際に邪魔にならない位置まで係合アーム42が後退できれば問題はない。本例のシャッタ開閉型閉鎖装置は、給油口31から上方に突出している部分は嵌入突部25から張り出した係合部27のみが係合アーム42に係合することから、係合アーム42が前記係合部27から外れるまでスライド部材4を後退させることができればよい。こうして、スライド部材4による拘束が解除されたシャッタ2は、捻りコイルバネ23の付勢に抗して下方に押し開くことができる。
ここで、ダストカバー7を引き起こす際、スライド部材4は板バネ43の凹部44を係合部27から外し、再び節度突起65に嵌合させることから、前記板バネ43の弾性変形に伴う復元力に抗する引っかかり、すなわち節度感をダストカバー7に2度与えることができる。節度感は、ダストカバー7を開閉操作する運転手等に、ダストカバー7の開閉範囲を触覚的に教え、「閉じる」及び「開く」の択一的なダストカバー7の姿勢を促すことで、前記ダストカバー7の開閉操作感を良好にする。また、板バネ43の凹部44を節度突起65に嵌合させることによりスライド部材4の進退が規制されるため、引き起こしたダストカバー7は引き起こした姿勢が保持され、例えば風を受ける等して給油中に勝手に倒れなくなる。
このようにダストカバー7を引き起こした状態では、シャッタ2の拘束が解除されているから、図7に見られるように、給油ノズルNを嵌入突部25に当てて押し込むと、シャッタ2を下方に開くことができる。既述したように、ガイドフランジ62及びガイドリブ63が給油口31を囲むようにカバーモジュール6に設けられているため、正確に嵌入突部25を狙って給油ノズルNを宛てがわなくても、前記ガイドフランジ62及びガイドリブ63に導かれて確実に給油ノズルNを嵌入突部25に当てることができる。また、前記ガイドフランジ62及びガイドリブ63は、給油ノズルNを給油口31に導くことにより、前記給油口31がスライド部材4に直接当たって前記スライド部材4を破損させないようにする働きも有する。
給油口31に下方から押し付けられるシャッタ2は、ロック機構により拘束され、特に板バネ43の復元力によりシールリング24を給油口31の周囲に押し付けて気密性及び液密性が確保されるため、本発明のロック機構を有さない従来同種のシャッタ開閉型閉鎖装置に比べて、シャッタ2を閉じる方向に付勢する捻りコイルバネ23の曲げ応力を低く押えることができる。これは、捻りコイルバネ23を許容応力内で使用できるようにして耐久年数を延長させる効果のほか、給油ノズルを差しこむ際の挿入力を小さくする効果をもたらす。これにより、本発明のシャッタ開閉型閉鎖装置を適用した給油口31は、給油ノズルを容易に抜き差しできるようにする効果も得られる。
本例のシャッタ開閉型閉鎖装置において、ダストカバーを閉じた状態の断面図である。 本例のシャッタ開閉型閉鎖装置において、ダストカバーを閉じた状態の部分破断平面図である。 ダストカバーを閉じた状態におけるスライド部材によるシャッタの拘束を表した部分斜視図である。 本例のシャッタ開閉型閉鎖装置において、ダストカバーを開いた状態の断面図である。 本例のシャッタ開閉型閉鎖装置において、ダストカバーを開いた状態の平面図である。 ダストカバーを開いた状態におけるスライド部材からのシャッタの解放を表した部分斜視図である。 本例のシャッタ開閉型閉鎖装置において、給油ノズルを差し込んだ状態の断面図である。
符号の説明
1 下部モジュール
2 シャッタ
24 シールリング
25 嵌入突部
26 切欠面
27 係合部
3 上部モジュール
31 給油口
33 軌道枠
4 スライド部材
41 ベース
42 係合アーム
43 板バネ
44 凹部
5 プレートモジュール
6 カバーモジュール
62 ガイドフランジ
63 ガイドリブ
65 節度突起
66 傾倒軸
7 ダストカバー
71 連結ブラケット
72 連結ピン
8 リンクアーム
9 フィラネック

Claims (4)

  1. 給油口に下方から押し付けられるシャッタが給油ノズルに押されて給油口を開き、前記シャッタが給油ノズルの引き抜きと共に復帰して給油口を閉じる給油口の閉鎖装置において、上方から給油口を塞ぐ傾倒自在なダストカバーと、給油口の周縁を胯ぐ範囲で前記ダストカバーの傾倒方向に進退自在なスライド部材と、給油口に下方から押し付けたシャッタから給油口に干渉しない範囲で前記給油口の上方に突出し、同じく給油口に干渉しない範囲で係合部を設けた嵌入突部と、一端をダストカバーに他端をスライド部材にそれぞれ軸着して前記ダストカバーの傾倒と前記スライド部材の進退とを連動させるリンクアームとからロック機構を構成してなり、前記ロック機構は、ダストカバーを倒すとスライド部材が前進し、前記スライド部材が係合部に下方から係合してシャッタを拘束し、ダストカバーを引き起こすとスライド部材が後退し、スライド部材と係合部との係合を解除してシャッタを解放することを特徴とする給油口の閉鎖装置。
  2. 嵌入突部はダストカバーの傾倒方向に直交して一対の係合部を張り出し、スライド部材はダストカバーの傾倒方向に延びる一対の係合アームを有してなり、ダストカバーを倒して前進したスライド部材が各係合アームを係合部に下方から係合させる請求項1記載の給油口の閉鎖装置。
  3. スライド部材の係合アームは給油口を横断する長さとし、前記係合アームは係合部と給油口を設けた面との間に差し込まれる請求項2記載の給油口の閉鎖装置。
  4. スライド部材の係合アームは弾性支持部を有し、前記弾性支持部により係合部を下方から弾支する請求項2又は3いずれか記載の給油口の閉鎖装置。
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