JP2008043239A - 細胞転写用部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、片面に細胞転写層を有する細胞転写基材からなる細胞転写膜と、細胞培養時において、上記細胞転写膜の平坦性を維持する固定部と、上記固定部に接続し、かつ上記細胞転写膜の上記細胞転写層が形成されていない面側に配置された把持部と、からなることを特徴とする細胞転写用部材を提供することにより、上記課題を解決するものである。
【選択図】図1
Description
まず、本発明の細胞転写用部材について説明する。本発明の細胞転写用部材は、片面に細胞転写層を有する細胞転写膜と、細胞培養時において、上記細胞転写膜の平坦性を維持する固定部と、上記固定部に接続し、かつ上記細胞転写膜の上記細胞転写層が形成されていない面側に配置された把持部と、からなることを特徴とするものである。
まず、本発明の細胞転写用部材に用いられる細胞転写膜について説明する。本発明に用いられる細胞転写膜は、片面に細胞転写層を有する細胞転写基材からなるものである。
本発明に用いられる細胞転写膜における細胞転写層について説明する。本発明に用いられる細胞転写層は、上記細胞転写基材上に形成されるものであり、その表面に細胞を接着させて培養することが可能であって、培養された細胞を、その培養パターン、および機能を損なうことなく、他の細胞培養基板や生体組織等の被転写体に転写するものである。
このようなパターン培養機能を付与する方法としては、例えば、図2に示すように、細胞転写層2が、細胞との接着性を有する細胞接着領域6と細胞接着性を有しない細胞接着阻害領域7とからなるものとする方法が挙げられる。細胞転写層が、細胞接着領域と細胞接着阻害領域とを有する場合、細胞接着領域上にのみ細胞を接着させて培養することが可能となり、パターン状に細胞を転写することが可能となる。細胞転写層に形成された細胞接着領域は一箇所であってもよいし複数個所であってもよい。その形状も特に限定されず、円形、多角形、ライン、分岐を有するライン、ネットワーク状、リング状、これらが組合された形状など様々な態様が考えられる。
また、上記細胞転写層の細胞接着領域としたい部分の水和能を小さくする方法としては、例えば、上記接触角の調整に用いたものと同様に光触媒の作用を用いる方法や、熱照射、紫外光照射、電子線照射等により水和能を有する基を分解または変性させる方法等が挙げることができる。
ここでバインダー物質としては、細胞と結合できるものであれば特に限定されないが、例えば、細胞表面に発現しているレセプターと結合可能な糖鎖、蛋白質等を挙げることができる。本発明においては、なかでも細胞特異的に発現しているレセプターと特異的結合をすることができるバインダー物質を用いることが好ましい。このような細胞特異的結合を行うバインダー物質を上記細胞転写層上にパターニングすることで、例えば、同一細胞転写層上に、二以上の異なる細胞が混ざることなくパターニングすることを可能とするからである。
本発明に用いられる細胞転写基材について説明する。本発明に用いられる細胞転写基材は、上記細胞転写層を均一に形成可能なものであり、公知の方法で滅菌できることが可能なものであれば細胞転写基材の種類等は特に限定されるものではない。公知の滅菌方法としては、例えばγ線を照射して滅菌する方法、紫外光を照射して滅菌する方法、電子線を照射して滅菌する方法、オートクレーブにより滅菌する方法、アルコールにより滅菌する方法、エチレンオキサイドガスにより滅菌する方法等が挙げられる。
本発明に用いられる細胞転写膜は、上記細胞転写基材と、上記細胞転写基材の片面に形成された細胞転写層とからなるものである。
上記細胞転写補助層としては、細胞転写層上に形成されるものであり、この細胞転写補助層上に細胞が接着されることとなる。このような細胞転写補助層は、細胞転写補助層上で細胞を培養した後、細胞を転写する際、細胞と一緒に被転写体側に少なくとも一部が一緒に転写される。本発明においては、このような細胞転写補助層が形成されていることにより、より効率よく細胞を被転写体上に転写させることが可能となるのである。このような細胞転写補助層としては、被転写体側に影響を及ぼさないものが選択され、例えばコラーゲン等のポリペプチドや、ヒアルロン酸等の多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、アルギン酸、ポリビニルアルコール、ポリリジン等が挙げられる。また上記細胞転写補助層中には、カルシウムイオンやマグネシウムイオン等の金属イオンが含まれていてもよい。
次に、本発明の細胞転写用部材に用いられる固定部について説明する。本発明に用いられる固定部は、上記細胞転写膜を固定し、細胞培養時において、上記細胞転写膜の平坦性を維持するものであり、細胞培養容器からの取り出しの際に、上記細胞転写膜を、変形・破断を起こすことなく取り出すことができるものであれば、特に限定されるものではない。
次に、本発明の細胞転写用部材に用いられる把持部について説明する。本発明に用いられる把持部は、上記細胞転写膜を固定する固定部に接続し、かつ上記細胞転写膜の上記細胞転写層が形成されていない面側に配置されたものであり、上記細胞転写層上で培養した細胞を、上記把持部を把持して転写することが可能なものであれば、特に限定されるものではない。
また、上記把持部5の配置は、図8に示すように、上記固定部の全周に配置した円錐台状のものや、離間した柱状の把持部を用いるものが挙げられる。離間した柱状の把持部の一例を示す概略図を図10に示す。図10(a)に示すように上記離間した柱状の把持部は、上記固定部に接続し、上記細胞転写膜の上記細胞転写層が形成されていない面側に配置したものである。図10(b)は図10(a)の矢視断面を示す概略断面図であり、上記細胞転写膜と上記固定部が円形であり、かつ上記離間した柱状の把持部が4本配置された場合を示すものである。本発明の細胞転写用部材を用いた細胞培養時の安定性のために、上記離間した柱状の把持部は、3本以上からなることが好ましい。また、上記把持部は、上記把持部が上記離間した柱状である場合において、図11に示すように、収束部30に接続したものであってもよい。本発明の細胞転写用部材のサイズによっては、転写の際に上記離間した柱状の把持部が上記収束部に接続していることにより、より安定的に把持することができるからである。上記収束部の数は、上記離間した柱状の把持部の数より少ない数であれば、特に限定されない。本発明において、上記収束部の数は、取り扱い性の観点から1乃至2本が好ましい。
本発明の細胞転写用部材は、片面に細胞転写層を有する細胞転写基材からなる細胞転写膜と、細胞培養時において、上記細胞転写膜の平坦性を維持する固定部と、上記固定部に接続し、かつ上記細胞転写膜の上記細胞転写層が形成されていない面側に配置された把持部と、を有するものであれば、特に限定されるものではない。
次に、本発明の細胞転写キットについて説明する。本発明の細胞転写キットは、上記本発明の細胞転写用部材と、培養プレートと、からなる細胞転写キットであって、上記細胞転写膜が上記培養プレート内壁と接触することがないことを特徴とするものである。
まず、本発明に用いられる細胞転写用部材について説明する。本発明に用いられる細胞転写用部材については、上記「A.細胞転写用部材」の項に記載したものと同様の内容であるので、ここでの説明は省略する。
次に、本発明に用いられる培養プレートについて説明する。本発明に用いられる培養プレートは、上記細胞転写膜と、上記培養プレート内壁とが接触することがないものであれば、特に限定されるものではない。このような培養プレートとしては、上記培養プレートが、上記細胞転写膜と上記培養プレート内壁とが接触しない状態で、上記細胞転写用部材を固定可能なものとするものが挙げられる。
本発明の細胞転写キットは、細胞転写用部材と培養プレートとからなるものであれば、特に限定されるものではない。このような細胞転写キットとしては、例えば、既に説明した、図12に示すように、本発明の細胞転写キット40が、上記本発明の細胞転写用部材10と、上記細胞転写用部材10を固定可能な底面凹部42を備えた培養プレート41と、からなるものを挙げることができる。また、本発明の細胞転写キットは、上記細胞転写用部材の上記細胞転写層が、上記培養プレートの底面と対向するように固定するものであってもよい。このような細胞転写キットとしては、図13に示すように、上記細胞転写用部材10の上記把持部5と上記培養プレート41の内壁に設けられた壁面凹部43とを、嵌め合わせることで固定するものが挙げられる。本発明においては、上記細胞転写層と上記培養プレートの底面とを対向させるものとするか、対向させないものとするかは、目的とする細胞培養条件等によって適宜選択されるものであり、特に限定するものではない。
次に、本発明の細胞の培養方法について説明する。本発明は、上記本発明の細胞転写用部材を用いることを特徴とするものである。本発明によれば、上記本発明の細胞転写用部材を用いることにより、上記細胞転写膜の上記細胞転写層の形成されていない面が細胞培養容器の内壁と接触することなく、上記細胞転写層上において細胞を培養することができる。これにより上記細胞転写膜の上記細胞転写層が形成されていない面側から、細胞が所望の機能を得るのに必要な因子等を供給しながら、細胞を培養することができる。したがって、例えば上皮細胞のように、細胞の表裏で機能の異なる細胞を培養することが可能となる。また、上記細胞転写用具を用いることで、培養した細胞を、生体組織等の被転写体に転写することを容易にすることができる。
まず、本発明における細胞培養用部材準備工程について説明する。本工程は、細胞転写用部材を細胞培養プレートに挿入し細胞培養用部材とする工程である。本工程に用いられる細胞転写用部材としては、上記本発明の細胞転写用部材を用いるものである。上記本発明の細胞転写用部材については、上述した「A.細胞転写用部材」の項に記載したものと同様の内容であるので、ここでの説明は省略する。
次に、本発明における細胞培養工程について説明する。本工程は、上記細胞培養用部材の上記細胞転写層上に細胞を播種し、細胞を接着させ、培養する工程である。
本発明の細胞の培養方法は、上記本発明の細胞転写用部材を用いて細胞を培養するものであれば、特に限定されるものではない。本発明において、上記細胞転写層上で培養する細胞に必要な因子等を供給させる目的で、上記細胞培養プレートの底面でフィーダー細胞を培養する場合には、上記細胞転写用部材を上記細胞培養プレートに挿入する前に、上記細胞培養プレートの底面上に、フィーダー細胞の播種、接着、培養をしておいてもよい。先にフィーダー細胞を播種し、接着させておくことで、後述する細胞培養工程において、上記細胞培養用部材の上記細胞転写層上で培養する細胞へのフィーダー細胞のコンタミネーションを防ぐことができるからである。
次に、本発明の細胞転写用具について説明する。本発明の細胞転写用具は、上記本発明の細胞培養用部材の細胞転写層上に細胞が接着していることを特徴とするものである。
本発明に用いられる細胞転写用部材については、上記「A.細胞転写用部材」の項に記載したものと同様の内容であるので、ここでの説明は省略する。
本発明に用いられる細胞としては、上記「C.細胞の培養方法」の項において記載したものと同様のものを用いることができるため、ここでの説明は省略する。
本発明の細胞転写用具は、上記本発明の細胞転写用部材、および上記細胞転写用部材の細胞転写層上に細胞を有するものであれば、特に限定されるものではない。本発明の細胞転写用具の製造方法としては、上記「C.細胞の培養方法」に記載したものと同様のものを用いることができるため、ここでの説明は省略する。
本発明の細胞組織の製造方法は、上記本発明の細胞転写用具を用いることを特徴するものである。本発明によれば、上記細胞転写用具を用いることにより、細胞の培養パターン、及び機能を維持した状態で転写することができるため、種々の機能を持った細胞を組み合わせた細胞組織を製造することができる。したがって、例えば、細胞組織としての機能を維持するためには、血管等により、必要な栄養分の供給や、老廃物の排出等が必要になるが、血管をパターン培養した細胞を転写し、血管網を張り巡らせた細胞組織を構築することにより、人工的に構築した細胞組織でありながら、恒常的に機能を維持することが可能な細胞組織とすることができる。
本発明における細胞転写用具製造工程は、上記本発明の細胞転写用具を製造するものである。このような方法としては上記「D.細胞転写用具」の項において記載したものと同様の内容であるため、ここでの説明は省略する。
本発明における転写工程は、上記細胞転写用具上の細胞を、被転写体の被転写先細胞に転写させる工程である。本工程においては、上記細胞転写用具上の細胞を、被転写体の被転写先細胞に転写させることができるものであれば、特に限定されるものではない。このような工程としては、例えば、図15(a)に示すように、上記細胞転写用具製造工程において製造された細胞転写用具60と、被転写先細胞培養基材71、および上記被転写先細胞培養基材71上において培養した被転写先細胞72からなる被転写体70とを、上記細胞転写用具60の細胞50と上記被転写先細胞72とが対向するように配置した後、図15(b)に示すように、上記細胞50と上記被転写先細胞72とを接触させ、両者を培養可能な培地を加え、共培養する。次いで、図15(c)に示すように、上記細胞転写用部材10を剥がすことにより、上記被転写体70を、上記被転写先細胞72上に上記細胞50が接着した細胞組織体73を有する被転写体80とする工程を挙げることができる。本工程において、上記共培養の条件は、上記細胞転写用具の細胞、被転写体の被転写先細胞の条件等により、適宜選択させるものである。
本発明は、上記本発明の細胞転写用具を用いて、細胞組織を製造する方法であれば、特に限定されるものではない。本発明においては、上記細胞転写用具上の細胞を、被転写体の被転写先細胞に転写し、細胞組織としたり、またその細胞組織を有する被転写体に対して、上記細胞転写用具の細胞を転写する作業を複数回行うことにより、より高度な機能を有する細胞組織とすることもできる。
1.細胞転写用部材の準備
(1)中間層の形成
細胞転写基材は厚み10μmの多孔質なポリエステルフィルムを使用した。フィルムサイズ25mmφ、ポアサイズ0.4μm、ポア密度1.6×106個/cm2、水接触角65°であった。これをCVDチャンバー内に設置し、ヘキサメチルジシロキサン、酸素ガス、ヘリウムガスをそれぞれ所定量投入した。その際の真空度を30MPaに制御した。これにより、プラズマ気相成長法(CVD法)による酸化珪素系薄膜(中間層)を厚さ約100nmで形成した。
次いで、CVD処理を施したフィルムをペンタフルオロフェニルプロピルトリメトキシシラン0.2ccを含むテフロン(登録商標)容器に入れ、容器を密閉し100℃のオーブン内で5時間保持した。上記の方法で得られた細胞転写層の水接触角は120°であった。
酸化チタン系光触媒を全面に塗布した5インチ角の石英板の光触媒含有層と、上記細胞転写層とを対向させ、上記石英板側より水銀ランプにより3.5J/cm2の照射量で紫外線照射を行った。これにより、上記細胞転写層を構成するペンタフルオロフェニルプロピルトリメトキシシランが酸化分解処理(露光処理)された細胞転写膜を得た。露光処理後における上記細胞転写膜の上記細胞転写層の水接触角は15°であった。
上記細胞転写膜に取り付ける固定部及び把持部は、ポリスチレンからなるものを使用した。上記の方法で作製した細胞転写膜をオートクレーブ滅菌し、上記固定部及び把持部は70%エタノール滅菌した。上記細胞転写膜と、上記固定部及び把持部との接着に一液型RTVゴム脱オキシムタイプ(信越シリコーン製)を使用し、バイオクリーンベンチ内で図1と同じ構成にした。
上記細胞転写層をシリコーン樹脂性のO−リングで囲った後、細胞転写用部材を上記細胞転写層が上面となるように、培養プレート内に配置した。次いで、5%血清を含むMEM培地をO−リングが培地に触れる程度にまで培養プレート内に加えた。次いで、予め上記MEM培地に懸濁させたウシ血管内皮細胞(bEC)を5.3×105個/cm2になるようO−リング内の細胞転写層上に播種し、37℃、5%CO2で、16時間培養した。細胞転写層上に細胞がコンフルエントに接着していることを位相差顕微鏡で確認した。これにより上記細胞転写部材の細胞転写層上に細胞が接着した細胞転写用具とした。
あらかじめ市販の細胞培養用ディッシュ内でコンフルエントになるように培養しておいたマウス由来線維芽細胞シートと、上記細胞転写用部材上の細胞(bEC)とを接触させ、5%FBS(ウシ胎児血清)含有DMEM培地を加え、37℃、5%CO2でインキュベートした。24時間後に上記細胞転写用部材を除去した後、位相差顕微鏡で観察した結果、上記細胞転写層上に接着していた全ての細胞は、線維芽細胞シート上に転写されていることを確認した。また、上記細胞転写層が形成された細胞転写膜は、上述した細胞培養操作、および細胞転写操作において変形・破断を起こすことはなかった。
1.細胞転写用部材の準備
(1)中間層の形成
細胞転写基材は厚み20μmの多孔質なポリエステルフィルムを使用した。フィルムサイズ25mmφ、ポアサイズ1.0μm、ポア密度1.6×106個/cm2、水接触角70°であった。これをCVDチャンバー内に設置し、ヘキサメチルジシロキサン、酸素ガス、ヘリウムガスをそれぞれ所定量投入した。その際の真空度を30MPaに制御した。これにより、プラズマ気相成長法(CVD法)による酸化珪素系薄膜を厚さ約100nmで形成した。
次いで、CVD処理を施したフィルムをペンタフルオロフェニルプロピルトリクロロシラン0.2ccを含むテフロン(登録商標)容器に入れ、容器を密閉し100℃のオーブン内で5時間保持した。上記の方法で得られた細胞転写層の水接触角は115°であった。
100μm角の開口部が100μmピッチで均一に配置された碁盤パターンで、且つ、接触角測定用として周囲に幅約1.5cmの開口部を有するフォトマスクに、酸化チタン系光触媒を全面に塗布した5インチ角の露光用フォトマスクを作製した。次いで、上記露光処理用フォトマスクの光触媒含有層と、上記細胞転写層とを対向させ、フォトマスク側から、水銀ランプにより4.0J/cm2の照射量で紫外線照射を行った。これにより、上記細胞転写層を構成するペンタフルオロフェニルプロピルトリメトキシシランが酸化分解処理(露光処理)され、100μm角の細胞接着領域が100μmピッチで均一に配置したパターン状の細胞接着領域を有する細胞転写層が形成された細胞転写膜を得た。また、接触角測定用として上記マスク周囲に形成した幅1.5cmの開口部箇所において表面水接触角を測定したところ、表面水接触角は15°であった。
上記露光処理をした細胞転写膜に取り付ける固定部及び把持部は、ポリスチレンからなるものを使用した。上記の方法で作製した細胞転写膜をオートクレーブ滅菌し、上記固定部及び把持部は70%エタノール滅菌した。上記細胞転写膜と、上記固定部及び把持部との接着には、一液型RTVゴム脱オキシムタイプ(信越シリコーン製)を使用し、バイオクリーンベンチ内で図1と同じ構成にした。
上記細胞転写層をシリコーン樹脂性のO−リングで囲った後、細胞転写用部材を上記細胞転写層が上面となるように、培養プレート内に配置した。Cascade製のMedium 106S(2%FBS&supplement)をO−リングが培地に触れる程度まで加え、同培地に懸濁させた正常ヒト皮膚線維芽細胞(HDFa)を2.0×105個/cm2になるようO−リング内の細胞転写層上に播種し、37℃、5%CO2で、16時間培養した。位相差顕微鏡による観察の結果、細胞転写層の露光処理を受けた箇所にのみ細胞が接着していることを確認した。これにより上記細胞転写部材の細胞転写層上にパターン状に細胞が接着した細胞転写用具を得た。
ピンセットでO−リングを除去した後、氷冷した成長因子低減マトリゲル(ベクトン・ディッキンソン)200μlをセルスクレイパーを用いて35mmディッシュ(ファルコン)上に広げ、室温で約2分間放置した後、上記細胞転写層上で接着させた細胞(HDFa)を所定時間接触させ5%血清を含むMEM培地を加え、37℃、5%CO2でインキュベートした。12時間後に細胞転写用部材を除去した後、位相差顕微鏡で確認した結果、上記細胞転写層上に接着していた全ての細胞は、パターンを維持した状態でマトリゲル上に転写されていることを確認した。また、上記パターン状の細胞接着領域を有する細胞転写層が形成された細胞転写膜は上述した細胞培養操作、および細胞転写操作において変形・破断を起こすことはなかった。
1.細胞転写用部材の準備
細胞転写基材として、厚み25μmの豚皮由来I型コラーゲンシートを用い、上記細胞転写基材上に、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を物理吸着させた細胞転写層を有する細胞転写膜を作製した。以下、細胞転写用部材の作製方法を示す。
細胞転写基材として用いるコラーゲンシートは、あらかじめ紫外線滅菌処理を施した。次いでポリスチレンからなる固定部及び把持部を、70%エタノール滅菌した。細胞転写基材と固定部及び把持部との接着には、一液型RTVゴム脱オキシムタイプ(信越シリコーン製)を使用し、バイオクリーンベンチ内で図1と同じ構成にした。このようにして作製した細胞転写層形成前の部材の細胞転写層形成面にO−リングを密着させた。
次いで、濃度100ng/mLのフィルタ滅菌済みのVEGFリン酸バッファー溶液を上記O−リングで囲まれた細胞転写基材上に展開し、当該部材を密閉容器内に配置し、室温で2時間保持した。これにより細胞転写層としてVEGF吸着層が形成された細胞転写膜からなる細胞転写用部材を得た。
O−リングを配置したままの上記細胞転写用部材を培養プレート内に配置し、VEGF溶液を吸引除去した後、速やかに、クラボウ製のHuMedia-EG2(2%FBS&supplement)をO−リングが培地に触れる程度まで加え、同培地に懸濁させた正常ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を5.3×105個/cm2になるようO−リング内の細胞転写層上に播種し、37℃、5%CO2で、16時間培養した。細胞転写層に細胞がコンフルエントに接着していることを位相差顕微鏡で確認した。
ピンセットでO−リングを除去した後、氷冷した成長因子低減マトリゲル(ベクトン・ディッキンソン)200μlをセルスクレイパーを用いて35mmディッシュ(ファルコン)上に広げ、室温で約2分間放置した後、上記細胞転写層上で接着させた細胞(HUVEC)を接触させHuMedia-EG2(2%FBS&supplement)を加え、37℃、5%CO2でインキュベートした。12時間後に細胞転写用部材を除去した後、位相差顕微鏡で確認した結果、上記細胞転写層上に接着していた全ての細胞は、マトリゲル上に転写されていることを確認した。また上記細胞転写基材としてコラーゲンシートを用いた細胞転写膜は上述した細胞培養操作、および細胞転写操作において変形・破断を起こすことはなかった。
2 … 細胞転写層
3 … 細胞転写膜
4 … 固定部
5 … 把持部
6 … 細胞接着領域
7 … 細胞接着阻害領域
8 … 上側固定部
9 … 下側固定部
10 … 細胞転写用部材
30 … 収束部
40 … 細胞転写キット
41 … 培養プレート
42 … 底面凹部
43 … 壁面凹部
50 … 細胞
60 … 細胞転写用具
70、80 … 被転写体
71 … 被転写先細胞培養基材
72 … 被転写先細胞
73 … 細胞組織体
Claims (9)
- 片面に細胞転写層を有する細胞転写基材からなる細胞転写膜と、細胞培養時において、前記細胞転写膜の平坦性を維持する固定部と、前記固定部に接続し、かつ前記細胞転写膜の前記細胞転写層が形成されていない面側に配置された把持部と、からなることを特徴とする細胞転写用部材。
- 前記細胞転写層が、細胞をパターン状に培養することができるパターン培養機能を有することを特徴とする請求項1に記載の細胞転写用部材。
- 前記細胞転写層が、前記細胞転写層の表面に生理活性物質を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の細胞転写用部材。
- 前記細胞転写基材が、微細な多孔質構造であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の細胞転写用部材。
- 前記把持部が、前記固定部と脱着可能であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の細胞転写用部材。
- 請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の細胞転写用部材と、培養プレートと、からなる細胞転写キットであって、前記細胞転写膜が前記培養プレート内壁と接触しないことを特徴とする細胞転写キット。
- 請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の細胞転写用部材を用いることを特徴とする細胞の培養方法。
- 請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の細胞転写用部材の前記細胞転写層上に細胞が接着していることを特徴とする細胞転写用具。
- 請求項8に記載の細胞転写用具を用いることを特徴とする細胞組織の製造方法。
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