JP2008043229A - 糖類の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】木本類を原料とする糖類の製造において、多糖類の加水分解に要するエネルギーや水の使用量を低減し、安価かつ簡易な糖類の製造方法を提供する。
【解決手段】木本類を加水分解処理して糖類を製造する方法であって、加水分解処理に使用する処理水が、木本類の加水分解処理により得られた糖を含む加水分解抽出液から糖類を回収した後の酸性水を含むことを特徴とする糖類の製造方法。糖類を含む加水分解抽出液は濃縮し、その留出液を加水分解処理の処理水として使用することができる。加水分解に使用する処理水のpHは2.6〜2.9であるのが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、糖類の製造方法に関し、より詳細には木本類を原料とし、加水分解処理により糖類を製造する方法に関するものである。
近年環境保護等の観点から、バイオマスの有効利用に対する要求は益々高まっている。例えば、広葉樹などの木本類は主に切削加工により木造品として利用されるが、木造品としての利用が終わると廃棄されているのが現状である。しかし、このような廃棄された木造品は分子レベルでは切削前と何ら変わらず、更に利用できる可能性がある。例えば、木本類に多量に含まれているセルロースやヘミセルロースなどの多糖成分からオリゴ糖や単糖を誘導することなどは、有望な木本類の再利用法であるといえる。
オリゴ糖は腸内細菌の選択的な増殖を促すことによる整腸作用を有することが知られている。現在の健康食品ブームのなかで、種々の食品が特定保健用食品の登録を受けているが、オリゴ糖はこれらの健康食品の先駆けともいえる食品である。特定保健用食品の登録を受けている商品のなかでも、「関与する成分」としてオリゴ糖を表示するものが最も多く、乳酸菌飲料やシロップなど多数の商品が登録されている。現在上市されているオリゴ糖は、原料がコーンこぶや小麦ふすまといった草本類であるが、木本類(広葉樹等)も潜在的に多糖成分を高い含有率で含んでいる。また、木本類からオリゴ糖を得る技術は実験的には実証、確立されており、例えば過去に蒸煮爆破技術を用いた広葉樹の総体利用に関する研究が行われており、その報告書のなかでは広葉樹を蒸煮爆破した後に熱水抽出することによりオリゴ糖が得られるという報告がある。また、高温高圧水処理を施すことによりオリゴ糖を加水分解抽出することなども検討されている。単糖類は甘味料としての需要も高く、特にグルコースは医薬品分野においても利用される。単糖類はオリゴ糖をさらに酵素処理などにより分解することにより製造できる。
しかし、木材等の木本類は、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンの3大成分が剛直に絡み合った構造を有するため、分解するためには非常に高エネルギーでの処理が必要となる。さらに、セルロース、ヘミセルロース等の多糖類の加水分解を進行させるためにも高エネルギーでの処理が必要であり、例えば、高温高圧処理、蒸煮爆破処理などが知られている。水による抽出処理を行う場合、特に加水分解処理と抽出処理を同時に進行しようとする場合には多量の水を使用することが必要となるためランニングコストも高くなり、濃縮等の後処理に要するエネルギーや手間も増大する。例えば、特開平10−327900号公報には、セルロース粉末を加圧熱水と接触させて加水分解することによりオリゴ糖類を製造する方法が開示されているが、該技術ではセルロース粉末1.5gに対しておよそ190mlもの蒸留水を使用している。また、特開2000−236899号公報ではキシラン含有天然物を熱水で処理することによりキシロース及びキシロオリゴ糖を製造する方法が開示されているが、糖成分の抽出を行う本処理では150〜170℃で90分間の熱処理を行っており、エネルギー的及び時間的負担は大きい。
また、木本類を高温高圧水処理し、加水分解抽出を行うと、得られる抽出液は酸性(pH2〜3程度)を示す。このような抽出液は、目的物であるオリゴ糖等の回収を行った後、廃棄又は再利用に際しては中和処理を行うことが必要であるため、コストが増大し木本類由来のオリゴ糖等の上市を困難とする一因となっている。
特開平10−327900号公報 特開2000−236899号公報
本発明は、木本類を原料とし、高温高圧水処理による加水分解抽出等、加水分解処理により糖類を製造する方法において、加水分解処理に要するエネルギー、水、時間等を低減すると共に、中和などの廃液処理に要する手間とコストを削減し、安価かつ効率よく糖類を製造することができる糖類の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、木本類の加水分解処理に使用した酸性廃液を、再度使用して加水分解処理を行うと、純水を使用した場合に比べて短時間で効率よく糖類の加水分解抽出を行うことが可能であること及び、該酸性廃液は、繰り返し加水分解処理に使用しても液性がほぼ一定であり、循環的に抽出溶媒として使用しうることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、木本類を加水分解処理して糖類を製造する方法であって、加水分解処理に使用する処理水が、木本類の加水分解処理により得られた糖類を含む加水分解抽出液から糖類を回収した後の酸性水を含むことを特徴とする糖類の製造方法を提供する。
糖類を含む加水分解抽出液を濃縮し、その留出液を加水分解処理の処理水として使用することができ、該処理水のpHは2.6〜2.9であるのが好ましい。
本発明の糖類の製造方法は、木本類に処理水を添加して加水分解処理をする工程A、前記工程Aで得られた糖類を含む加水分解抽出液から糖類を回収する工程B、及び前記工程Bで糖類を回収した後の酸性水を前記工程Aにおける処理水として再利用する工程Cを含むことができる。
上記加水分解処理は、高温高圧水処理により行うことができ、本発明の方法により製造することができる糖類としては、キシロオリゴ糖が例示できる。
本発明によれば、加水分解抽出に使用し、糖類を回収した後の酸性廃液を、中和処理や精製処理等を行うことを要せず、繰り返し加水分解抽出の抽出溶媒として使用することが可能であるため、水資源を有効活用することができる。
また、酸性廃液を使用して加水分解抽出を行った場合は、純水等により処理を行った場合に比べ効率よく加水分解抽出を行うことができるため、反応に要する時間は短縮され、エネルギーを節約することができる。しかも、該酸性廃液は、繰り返し抽出溶媒として使用しても液性に変化が無く、得られる糖類の品質や収率等も一定であるため、安価に、効率よく簡易に糖類を製造することができる。
さらに、木本類の加水分解抽出時に副生する酸性廃液を中和して廃棄する手間や費用を大幅に削減することができる。
本発明の製造方法により処理し、糖類を製造することができる原料としては、ヘミセルロース、セルロース、アミロースなどの多糖成分を含み、かつ加水分解処理により加水分解抽出液が酸性を呈するものであれば特に制限されない。例えば、植物体などを使用できるが、特に、木本類を好適に使用できる。具体的には例えば、白樺、ブナ、ミズナラ等の広葉樹を例示できる。なかでも白樺はキシランの含有量が多く、オリゴ糖のなかでも高い整腸作用を示すキシロオリゴ糖を効率よく製造できる。これらの原料の形状は加水分解操作を容易にするために、例えば、チップ状、繊維状等に粉砕された状態で使用するのが好ましい。
本明細書中、糖類は、主として単糖類及びオリゴ糖類を意味するが、例えば、アミノ糖や糖アルコールなどの糖誘導体を含む場合もある。本発明の製造方法により製造することができる糖類には、例えば、キシロース、リボース、アラビノース、アビオースなどのペントース類;グルコース、フルクトース、リブロース、ガラクトース、マンノース、タロースなどのヘキソース類;グルコヘプトースなどヘプトース類;これらの1種又は2種以上が2〜20程度重合したオリゴ糖類などが含まれる。特に、ヘミセルロースの加水分解により得られるキシロオリゴ糖、アラビノオリゴ糖、マルトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖などは本発明の製造方法による製造に適している。
本発明の糖類の製造方法は、具体的には例えば、原料に処理水を添加して加水分解処理をする工程A、前記工程Aで得られた糖類を含む加水分解抽出液から糖類を回収する工程B、及び前記工程Bで糖類を回収した後の酸性水を前記工程Aにおける処理水として再利用する工程Cを含むことができる。
本発明において、加水分解処理を行う手段は特に制限されず、例えば、爆破処理、蒸煮処理、腐朽菌などによる微生物分解、酵素処理、高温高圧水処理などが挙げられる。これらの処理は、単独で行ってもよく、複数を組み合わせて行ってもよい。これらの中で、高温高圧水処理は1段階の処理で、短時間に効率よく加水分解が行えるため、特に好ましい。
以下に、高温高圧水処理により木本類中のヘミセルロースの加水分解処理を行い、キシロース及びキシロオリゴ糖を製造する場合を例にして、本発明を具体的に説明する。
上記工程Aにおいて加水分解処理は、原料と処理水とをオートクレーブなどの高温高圧処理が可能な容器に入れ、容器内を高温高圧に保って、高温高圧水処理することにより実施することができ、これにより原料中のキシラン成分の加水分解抽出が進行し、オリゴ糖を含む加水分解抽出液が得られる。この際の処理水の使用量は、例えば、原料の乾燥重量に対し、例えば、5〜90倍、好ましくは、10〜30倍の範囲から選択することができる。高温高圧水処理の温度は、例えば、180〜200℃、好ましくは185〜195℃の範囲から選択することができる。180℃未満では加水分解抽出が十分進行せず、キシロオリゴ糖が得られない場合があり、200℃より高いと、原料中の難分解性リグニン及びセルロースが加水分解されてキシロオリゴ糖と共に溶出されるだけでなく、キシロオリゴ糖及びキシロースの二次分解が進行する場合があり、好ましくない。高温高圧水処理を行う時間は、例えば、3〜30分、好ましくは3〜15分の範囲から選択することができる。高温高圧水処理終了後は、冷却コイルなどを使用して系内を速やかに冷却することにより、二次反応による不純物の生成を抑制することができる。高温高圧水処理終了後、ろ過や遠心分離など適宜な方法により、抽出残渣とオリゴ糖を含む加水分解抽出液とを分離する。
工程Aにおいて処理水としては、後述する工程Bにより得られた酸性水を好適に使用できるが、製造の出発においては水(純水等)を使用してもよく、例えば、酢酸水溶液などの水溶液を使用してもよい。
なお、高温高圧処理における処理水として工程Bで得られた酸性水を使用すると、処理水として純水を使用した場合に比べて加水分解抽出が効率よく進行するため、高温高圧水処理を行う時間を短縮することができる。例えば、酸性水を使用した高温高圧水処理では、純水を使用した場合の処理時間の5〜8割程度の時間で処理を完了することができる。処理時間が長くなれば、一般に、得られるオリゴ糖の重合度が低くなるため、所望の重合度に応じて反応時間を選択すればよいが、純水を使用しての処理時と同じ重合度のオリゴ糖を得ようとする場合であれば、処理時間は純水を使用した際の処理時間の7割程度が最も適当である。
工程Bにおいては、工程Aで得られたオリゴ糖を含む加水分解抽出液からオリゴ糖を回収すると共に、処理水として使用するための酸性水を回収する。具体的には、例えば、加水分解抽出液を濃縮し、留出液(酸性水)を回収する。濃縮残渣にはキシロースやキシロオリゴ糖などの糖成分が含まれており、留出液は原料中のヘミセルロース成分の加水分解生成物(例えば、酢酸など)により酸性(pH2〜3程度)を示す。蒸留は、例えばロータリーエバポレーター、蒸発器、蒸留塔などを使用して行うことができ、減圧下で行うと効率的である。なお、抽出残渣は更に熱水等で洗浄して、残渣に付着しているオリゴ糖を回収してもよい。この際に得られた糖成分は、後述の酸性水による高温高圧水処理により得られるオリゴ糖と重合度やその分布などにおいて大きく異なることはない。
工程Cでは、工程Bで留出液として得られた酸性水を工程Aにおける処理水として再利用する。工程Bで得られた酸性水はそのまま、又は希釈、濃縮して高温高圧水処理における処理水として使用することができる。酸性水の液性は特に調整することを要しないが、pH2.6〜2.9であると、最も好適に加水分解抽出を行うことができる。例えば、原料の乾燥重量に対して10倍量の処理水を使用した場合であれば、回収した酸性水を1.8〜2.2容量倍程度に希釈して次の処理水として使用すると、pHを上記最適な範囲に維持できる。具体的には、例えば、抽出残渣と加水分解抽出液を分離後、更に抽出残渣を洗浄する場合であれば、得られた加水分解抽出液の0.8〜1.2容量倍の熱水等を使用して抽出残渣を洗浄し、加水分解抽出液と洗浄液とを合わせれば0.8〜2.2容量倍の希釈を実施できる。
工程Cにより酸性水を再利用し、再び工程Aにより高温高圧水処理して得られた加水分解抽出液は、更に工程Bを経て、再び工程Cにより高温高圧水処理の処理液として再利用される。このように酸性水を繰り返し回収して使用しても、原料と処理水との比率並びに回収した酸性水の濃縮又は希釈の比率、及び高温高圧処理における温度、時間等の他の条件が一定であれば、回収される酸性水の液性や得られるオリゴ糖の重合度なども一定であるため、処理水を循環的に再利用して一定の品質のオリゴ糖を安定して製造することができる。
なお、得られたキシロース及びキシロオリゴ糖は、必要に応じて活性炭処理や、イオン交換樹脂による処理等、慣用の精製処理を施して、食品として供することができる。
高温高圧水処理以外の手段によって加水分解を行う場合は、酸性水のpHなど、加水分解処理の条件は、原料の種類、加水分解処理を行う手段、得ようとする糖類の重合度等に応じて適宜選択することができる。また、高温高圧水処理以外の手段によって加水分解を行う場合でも、工程A、工程B及び工程Cを含む本発明の糖類の製造方法を実施することができる。
以上、木本類を原料とするキシロース及びキシロオリゴ糖を製造する方法について詳細に説明したが、温度、圧力、時間等反応条件を調節して同様の手法により木本類に含まれるセルロースの分解を行うことも可能であり、又、材料を選択することにより多様な単糖類又はオリゴ糖類の製造を行うことができる。
上述のように、本発明によれば、加水分解処理に使用する処理水を循環的に、繰り返し再利用できるため、水資源を有効に利用することができる。しかも、回収された加水分解抽出液が酸性を呈することにより、処理水の再利用を行わない場合に比べて加水分解抽出が効率的に進行し、高温高圧水処理に要するエネルギーや時間を大幅に低減することができる。さらに、木本類の加水分解抽出時に副生する酸性廃液を中和して廃棄する手間や費用を大幅に削減することができる。
また、再利用された処理水により製造した糖類の品質は、純水を使用した加水分解処理により得られた糖類に比べてほぼ同一の品質であり、収率も向上する。
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
(比較例1)
粉砕機でチップ状にした白樺材10gと純水100gとをオートクレーブに入れ、バンドヒーターで190℃に加熱した。オートクレーブ内の温度が190℃に達してから10分間この温度を保持し、高温高圧水処理を行った。高温高圧水処理終了後、室温まで速やかに冷却して加水分解抽出を停止した。加水分解抽出液と抽出残渣とを分離して、約70mlの抽出液を得た。抽出残渣をさらに60mlの熱水で洗浄して加水分解抽出液と合わせた。このようにして得られたオリゴ糖を含む加水分解抽出液をロータリーエバポレーターを使用して糖成分を含む濃縮残渣と酸性水(留出液:120ml)とに分離して各々を回収した。回収した酸性水のpHは2.88であり、導電率は0.23mS/cmであった。
(実施例1)
粉砕機でチップ状にした白樺材10gと比較例1で加水分解抽出液より回収した酸性水100gとをオートクレーブに入れ、バンドヒーターで190℃に加熱した。オートクレーブ内の温度が190℃に達してから10分間この温度を保持し、高温高圧水処理を行った。高温高圧水処理終了後、室温まで速やかに冷却して加水分解抽出を停止した。抽出液と抽出残渣とを分離して、約70mlの抽出液を得た。抽出残渣をさらに60mlの熱水で洗浄して抽出液と合わせた。このようにして得られたオリゴ糖を含む加水分解抽出液をロータリーエバポレーターを使用して糖成分を含む濃縮残渣と酸性水(留出液:120ml)とに分離して各々を回収した。回収した酸性水のpHは2.79であり、導電率は0.29mS/cmであった。
(実施例2)
比較例1で得られた酸性水のかわりに実施例1で得られた酸性水を使用した以外は実施例1と同様の操作を行い、糖成分を含む濃縮残渣と酸性水とを得た。回収した酸性水のpHは2.79であり、導電率は0.29であった。
(実施例3)
比較例1で得られた酸性水のかわりに実施例2で得られた酸性水を使用した以外は実施例1と同様の操作を行い糖成分を含む濃縮残渣と酸性水とを得た。回収した酸性水のpHは2.80であり、導電率は0.29mS/cmであった。
(実施例4)
高温高圧水処理の温度を185℃とした以外は、実施例1と同様の操作を行い糖成分を含む濃縮残渣と酸性水とを得た。
(実施例5)
高温高圧水処理の時間をオートクレーブ内の温度が190℃に達してから5分間とした以外は実施例1と同様の操作を行い、糖成分を含む濃縮残渣と酸性水とを得た。
(実施例6)
高温高圧水処理の時間をオートクレーブ内の温度が190℃に達してから7分間とした以外は実施例1と同様の操作を行い、糖成分を含む濃縮残渣と酸性水とを得た。
(実施例7)
高温高圧水処理の時間をオートクレーブ内の温度が190℃に達してから8分間とした以外は実施例1と同様の操作を行い、糖成分を含む濃縮残渣と酸性水とを得た。
(参考例)
純水に酢酸を添加してpHを2.8に調整し、酢酸水溶液を得た。
粉砕機でチップ状にした白樺材10gと上記酢酸水溶液100gとをオートクレーブに入れ、バンドヒーターで190℃に加熱した。オートクレーブ内の温度が190℃に達してから10分間この温度を保持し、高温高圧水処理を行った。高温高圧水処理終了後、室温まで速やかに冷却して加水分解抽出を停止した。加水分解抽出液と抽出残渣とを分離して、約70mlの加水分解抽出液を得た。抽出残渣をさらに60mlの熱水で洗浄して抽出液と合わせた。このようにして得られたオリゴ糖を含む加水分解抽出液をロータリーエバポレーターを使用して糖成分を含む濃縮残渣と酸性水とに分離して各々を回収した。回収した酸性水のpHは2.79であり、導電率は0.21mS/cmであった。
比較例、実施例及び参考例で得られた固体成分についてHPLC測定を行い、キシロース及びキシロオリゴ糖の分子量分布及び平均重合度を求めた。結果を表1に示す。なお、HPLC測定は、得られた固体成分を純水で一定容積にメスアップしたものを測定試料とした。実施例4〜7は、高温高圧水処理時の温度を比較例1と同じにして処理時間を短縮したものである。純水を使用して処理した場合と同程度の重合度まで分解するのに要する時間は約7分間であり、処理時間を大幅に短縮できる。
HPLC測定条件
・カラム:TOSO TSKgelSCX(×2)
・溶離液:水
・検出器:RI
Figure 2008043229
また、比較例1及び実施例1で得られたキシロース及びキシロオリゴ糖のHPLC測定のクロマトグラムを図1及び2にそれぞれ示す。図中、X1〜X5は、それぞれ糖の重合度を表している。実施例1で得られたオリゴ糖は比較例1で得られたオリゴ糖に比べて、重合度4以下の低分子量成分を比較的多く含んでいることが分かるが、組成比に大きな違いは生じていない。各クロマトグラムのピークの積分値の比は、実施例1:比較例1=14971:12501であった。すなわち、実施例1では、比較例1に比べて、糖成分の収量が有意に増加している。
比較例1で得られたキシロース及びキシロオリゴ糖のHPLC測定結を示すクロマトグラムである。 実施例1で得られたキシロース及びキシロオリゴ糖のHPLC測定結果を示すクロマトグラムである。

Claims (6)

  1. 木本類を加水分解処理して糖類を製造する方法であって、加水分解処理に使用する処理水が、木本類の加水分解処理により得られた糖類を含む加水分解抽出液から糖類を回収した後の酸性水を含むことを特徴とする糖類の製造方法。
  2. 糖類を含む加水分解抽出液を濃縮し、その留出液を加水分解処理の処理水として使用する請求項1記載の糖類の製造方法。
  3. 加水分解処理に使用する処理水のpHが2.6〜2.9である請求項1記載の糖類の製造方法。
  4. 木本類に処理水を添加して加水分解処理をする工程A、前記工程Aで得られた糖類を含む加水分解抽出液から糖類を回収する工程B、及び前記工程Bで糖類を回収した後の酸性水を前記工程Aにおける処理水として再利用する工程Cを含む請求項1記載の糖類の製造方法。
  5. 加水分解処理を高温高圧水処理により行う、請求項1〜4何れかの項に記載の糖類の製造方法。
  6. 糖類がキシロオリゴ糖である請求項1〜5何れかの項に記載の糖類の製造方法。
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