JP2008039931A - 光学機能層形成用組成物、および、光学機能フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板上に光学機能層が積層された光学機能フィルムであって、上記透明基板と上記光学機能層との密着性に優れ、かつ、透明性が良好な光学機能フィルムを製造可能な光学機能層形成用組成物を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、屈折率異方性を有する棒状化合物と、ジアセトンアルコールおよびケトン系溶媒を含有する溶媒とを含むことを特徴とする光学機能層形成用組成物を提供することにより上記課題を解決するものである。
【選択図】図1
【解決手段】本発明は、屈折率異方性を有する棒状化合物と、ジアセトンアルコールおよびケトン系溶媒を含有する溶媒とを含むことを特徴とする光学機能層形成用組成物を提供することにより上記課題を解決するものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、主として液晶表示装置等に用いられる光学機能フィルムを構成する光学機能層を形成するために用いられる光学機能層形成用組成物に関するものであり、より詳しくはシクロオレフィン系樹脂からなる透明基板上に光学機能層を形成するために好適に用いられる光学機能層形成用組成物に関するものである。
液晶表示装置は、その省電力、軽量、薄型等といった特徴を有することから、従来のCRTディスプレイに替わり、近年急速に普及している。一般的な液晶表示装置としては、図3に示すように、入射側の偏光板102Aと、出射側の偏光板102Bと、液晶セル101とを有するものを挙げることができる。偏光板102Aおよび102Bは、所定の振動方向の振動面を有する直線偏光のみを選択的に透過させるように構成されたものであり、それぞれの振動方向が相互に直角の関係になるようにクロスニコル状態で対向して配置されている。また、液晶セル101は画素に対応する多数のセルを含むものであり、偏光板102Aと102Bとの間に配置されている。
このような液晶表示装置は、上記液晶セルに用いられる液晶材料の配列形態により種々の駆動方式を用いたものが知られている。今日、普及している液晶表示装置の主たるものは、TN、STN、MVA、IPS、および、OCB等に分類される。なかでも今日においては、上記MVA、および、IPSの駆動方式を有するものが広く普及するに至っている。
一方、液晶表示装置は、その特有の問題点として、液晶セルや偏光板の屈折率異方性に起因する視野角依存性の問題点がある。この視野角依存性の問題は、液晶表示装置を正面から見た場合と、斜め方向から見た場合とで視認される画像の色味やコントラストが変化してしまう問題である。このような視野角依存性の問題は、近年の液晶表示装置の大画面化に伴って、さらにその問題の重大性が増している。
このような視野角依存性の問題を改善するため、現在までに様々な技術が開発されている。その代表的な方法として位相差フィルムを用いる方法がある。このような位相差フィルムを用いる方法は、図4に示すように所定の光学特性を有する位相差フィルム103を、液晶セル101と偏光板102Aおよび102Bとの間に配置することにより、視野角依存性の問題を改善する方法である。この方法は位相差フィルム103を液晶表示装置に組み込むことのみで上記視野角依存性の問題点を改善できることから、簡便に視野角特性に優れた液晶表示装置を得ることが可能な方法として広く用いられるに至っている。
上記位相差フィルムとしては、図5に示すように任意の透明基材21上に配向膜22を設け、さらに当該配向膜22上に液晶分子を有する光学機能層23を形成し、上記配向膜の配向規制力により上記液晶分子を配向させて所望の屈折率異方性を発現させる構成を有するものが一般的である。このような位相差フィルムとしては、例えば、特許文献1または特許文献2に、コレステリック規則性の分子構造を有する光学機能層(複屈折性を示す光学機能層)を配向膜を有する基材上に形成した位相差フィルムが開示されている。また、特許文献3には、円盤状化合物からなる光学機能層(複屈折性を示す光学機能層)を配向膜を有する基材上に形成した位相差フィルムが開示されている。
このような位相差フィルムは、液晶表示装置の液晶セルで生じる位相差を相殺するように、光学機能層の屈折率異方性を適宜設計することにより、液晶表示装置の視角依存性の問題を大幅に改善することができる点において有用である。
しかしながら、このような位相差フィルムは、上記液晶分子を配向させるための配向膜を必須の構成としていたことから、上記配向膜と位相差との密着性に問題があった。
このような位相差フィルムは、液晶表示装置の液晶セルで生じる位相差を相殺するように、光学機能層の屈折率異方性を適宜設計することにより、液晶表示装置の視角依存性の問題を大幅に改善することができる点において有用である。
しかしながら、このような位相差フィルムは、上記液晶分子を配向させるための配向膜を必須の構成としていたことから、上記配向膜と位相差との密着性に問題があった。
また、上記位相差フィルムに用いられる透明基板としては、従来、トリアセチルセルロース(TAC)に代表されるセルロース誘導体が主に用いられていたが、トリアセチルセルロースは、ガスバリア性が低く、また、高温高湿雰囲気下における光学特性の経時変化量が大きいという欠点があった。また、上記トリアセチルセルロースは、レターデーション値の波長依存性が逆波長分散型であることから、このようなトリアセチルセルロースからなる透明基板が用いられた光学機能フィルムを液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いると、パネルを見る角度によって色味が変化してしまうといった問題もあった。このようなことから、近年では、上記トリアセチルセルロースに替えて、上記のような問題が少ないシクロオレフィン系樹脂からなる透明基板を用いることが望まれている。
しかしながら、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板を用いて光学機能フィルムを作製した場合、上記トリアセチルセルロースの場合よりも上記密着性の問題が顕在化してしまうことが問題となっている。
しかしながら、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板を用いて光学機能フィルムを作製した場合、上記トリアセチルセルロースの場合よりも上記密着性の問題が顕在化してしまうことが問題となっている。
このような密着性に問題点を解決するために、本発明者らは配向膜を用いることなく所望の光学特性を発現できる位相差フィルムとして、透明基板と、上記透明基板上に直接形成され、棒状化合物を有する光学機能層とを有する位相差フィルムを開発している(特許文献4)。このような配向膜を有さない位相差フィルムは、光学機能層と基材との密着性に優れる点において有用であり、耐久性や光学特性の安定性の点において従来の位相差フィルムを凌ぐ品質を備えるものとして着目されている。
しかしながら、このような位相差フィルムにシクロオレフィン系樹脂からなる透明基板を用いると、上記光学機能層が白濁してしまい、透明性に優れた位相差フィルムを得ることが困難であるという問題点があった。
このようなことから、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板を用いて、密着性に優れ、かつ、透明性が良好な位相差フィルムを得ることは困難であった。
しかしながら、このような位相差フィルムにシクロオレフィン系樹脂からなる透明基板を用いると、上記光学機能層が白濁してしまい、透明性に優れた位相差フィルムを得ることが困難であるという問題点があった。
このようなことから、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板を用いて、密着性に優れ、かつ、透明性が良好な位相差フィルムを得ることは困難であった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板上に光学機能層が積層された光学機能フィルムであって、上記透明基板と上記光学機能層との密着性に優れ、かつ、透明性が良好な光学機能フィルムを製造可能な光学機能層形成用組成物を提供することを主目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は、屈折率異方性を有する棒状化合物と、ジアセトンアルコールおよびケトン系溶媒を含有する溶媒とを含むことを特徴とする光学機能層形成用組成物を提供する。
本発明によれば、上記ジアセトンアルコールおよびケトン系溶媒を含有する溶媒を含むことにより、本発明の光学機能層形成用組成物をシクロオレフィン系樹脂からなる透明基板上に塗布して光学機能層を形成した場合に、白濁の少ない光学機能層を形成することができる。
また、本発明によれば上記ジアセトンアルコールおよびケトン系溶媒を含有する溶媒を含むことにより、本発明の光学機能層形成用組成物をシクロオレフィン系樹脂からなる透明基板上に塗布して光学機能層を形成した場合に、上記透明基板と上記光学機能層との密着性を向上させることができる。
このようなことから本発明の光学機能層形成用組成物によれば、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板上に光学機能層が積層された光学機能フィルムであって、上記透明基板と上記光学機能層との密着性に優れ、かつ、透明性が良好な光学機能フィルムを製造することができる。
また、本発明によれば上記ジアセトンアルコールおよびケトン系溶媒を含有する溶媒を含むことにより、本発明の光学機能層形成用組成物をシクロオレフィン系樹脂からなる透明基板上に塗布して光学機能層を形成した場合に、上記透明基板と上記光学機能層との密着性を向上させることができる。
このようなことから本発明の光学機能層形成用組成物によれば、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板上に光学機能層が積層された光学機能フィルムであって、上記透明基板と上記光学機能層との密着性に優れ、かつ、透明性が良好な光学機能フィルムを製造することができる。
本発明においては、上記ケトン系溶媒の沸点が110℃以上であることが好ましい。これにより、本発明の光学機能層形成用組成物を用いて、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板上に光学機能層を形成した場合に、より白濁の少ない光学機能層を得ることが可能になるからである。
また本発明においては、上記ケトン系溶媒がシクロヘキサノンであることが好ましい。上記シクロヘキサノンは、上記シクロオレフィン系樹脂に対する溶解性が高いものであるため、上記ケトン系溶媒としてシクロヘキサノンを用いることにより、本発明の光学機能層形成用組成物により、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板との密着性がさらに優れた光学機能層を形成することが可能になるからである。
また本発明は、負のCプレートとしての性質を有し、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板を用い、上記透明基板上に、上記本発明の光学機能層形成用組成物を塗布することにより光学機能層を形成する光学機能層形成工程を有することを特徴とする、光学機能フィルムの製造方法を提供する。
本発明によれば、上記光学機能層形成工程において上記本発明の光学機能層形成用組成物が用いられていることにより、上記透明基板と上記光学機能層との密着性に優れ、かつ、透明性が良好な光学機能フィルムを製造することができる。
本発明は、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板上に光学機能層が積層された光学機能フィルムであって、上記透明基板と上記光学機能層との密着性に優れ、かつ、透明性が良好な光学機能フィルムを製造できるという効果を奏する。
本発明は、光学機能層形成用組成物と、これを用いた光学機能フィルムの製造方法に関するものである。
以下、本発明の光学機能層形成用組成物、および、光学機能フィルムの製造方法について順に説明する。
以下、本発明の光学機能層形成用組成物、および、光学機能フィルムの製造方法について順に説明する。
A.光学機能層形成用組成物
まず、本発明の光学機能層形成用組成物について説明する。本発明の光学機能層形成用組成物は、屈折率異方性を有する棒状化合物と、ジアセトンアルコールおよびケトン系溶媒を含有する溶媒とを含むことを特徴とするものである。
まず、本発明の光学機能層形成用組成物について説明する。本発明の光学機能層形成用組成物は、屈折率異方性を有する棒状化合物と、ジアセトンアルコールおよびケトン系溶媒を含有する溶媒とを含むことを特徴とするものである。
本発明の光学機能層形成用組成物は、上記ジアセトンアルコールおよびケトン系溶媒を含有する溶媒を含むことにより、本発明の光学機能層形成用組成物をシクロオレフィン系樹脂からなる透明基板上に塗布して光学機能層を形成した場合に、白濁が少なく、透明性が良好な光学機能層を形成することができる。
ここで、本発明の光学機能層形成用組成物に上記溶媒が含まれていることにより、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板上に白濁の少ない光学機能層を形成することができる理由については明らかではないが、次のような理由によるものであると推定される。
すなわち、本発明の光学機能層形成用組成物は、透明基板上に直接塗布することによって、光学機能層を形成するために用いられるものである。そして、本発明の光学機能層形成用組成物を用いて作製される光学機能フィルムは、配向層がなく、透明基板上に直接光学機能層が積層された構成を有するものとなる。また、本発明の光学機能層形成用組成物を用いて形成される光学機能層は、屈折率異方性を有する棒状化合物が、光学機能層表面と平行な断面内に於いてランダムに配列し、かつ、光学機能層の表面と直交する断面内に於いては棒状化合物の向きが光学機能層の表面と平行、または、略並行に配列(以後、単に「ランダム配列」と称する場合がある。)することにより、光学的に負のCプレートとしての性質を有するものとなる。
このように、配向層を用いないで形成される光学機能層は、光学機能層形成用組成物を透明基板上に塗布した後、塗膜が乾燥する過程で上記棒状化合物がランダム配列することにより、所望の光学特性を備え、かつ、透明性に優れたものとなるのであるが、上記塗膜の乾燥速度が速いと、上記棒状化合物が十分にランダム配列することができないため、形成される光学機能層が白濁してしまうことになる。
この点、本発明においては、上記溶媒に沸点が高いジアセトンアルコールが含有されているため、本発明の光学機能層形成用組成物を用いて光学機能層を形成する際に、塗膜の乾燥速度を遅くすることができる。また、ジアセトンアルコールを含有させて乾燥速度を遅くした場合、光学機能層形成用組成物の塗膜が乾燥する過程において、塗膜中のジアセトンアルコール濃度が徐々に高くなることになるが、ジアセトンアルコールは棒状化合物に対して良好な溶解性を示すため、乾燥過程において上記棒状化合物が析出してしまうことを防止できる。このため、本発明の光学機能層形成用組成物によれば、塗膜が乾燥する過程において上記棒状化合物が十分にランダム配列することができるため、白濁の少ない光学機能層を形成することができると考えられる。
ここで、本発明の光学機能層形成用組成物に上記溶媒が含まれていることにより、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板上に白濁の少ない光学機能層を形成することができる理由については明らかではないが、次のような理由によるものであると推定される。
すなわち、本発明の光学機能層形成用組成物は、透明基板上に直接塗布することによって、光学機能層を形成するために用いられるものである。そして、本発明の光学機能層形成用組成物を用いて作製される光学機能フィルムは、配向層がなく、透明基板上に直接光学機能層が積層された構成を有するものとなる。また、本発明の光学機能層形成用組成物を用いて形成される光学機能層は、屈折率異方性を有する棒状化合物が、光学機能層表面と平行な断面内に於いてランダムに配列し、かつ、光学機能層の表面と直交する断面内に於いては棒状化合物の向きが光学機能層の表面と平行、または、略並行に配列(以後、単に「ランダム配列」と称する場合がある。)することにより、光学的に負のCプレートとしての性質を有するものとなる。
このように、配向層を用いないで形成される光学機能層は、光学機能層形成用組成物を透明基板上に塗布した後、塗膜が乾燥する過程で上記棒状化合物がランダム配列することにより、所望の光学特性を備え、かつ、透明性に優れたものとなるのであるが、上記塗膜の乾燥速度が速いと、上記棒状化合物が十分にランダム配列することができないため、形成される光学機能層が白濁してしまうことになる。
この点、本発明においては、上記溶媒に沸点が高いジアセトンアルコールが含有されているため、本発明の光学機能層形成用組成物を用いて光学機能層を形成する際に、塗膜の乾燥速度を遅くすることができる。また、ジアセトンアルコールを含有させて乾燥速度を遅くした場合、光学機能層形成用組成物の塗膜が乾燥する過程において、塗膜中のジアセトンアルコール濃度が徐々に高くなることになるが、ジアセトンアルコールは棒状化合物に対して良好な溶解性を示すため、乾燥過程において上記棒状化合物が析出してしまうことを防止できる。このため、本発明の光学機能層形成用組成物によれば、塗膜が乾燥する過程において上記棒状化合物が十分にランダム配列することができるため、白濁の少ない光学機能層を形成することができると考えられる。
また、本発明の光学機能層形成用組成物は、上記溶媒として、シクロオレフィン系樹脂を溶解可能なケトン系溶媒が用いられているため、本発明の光学機能層形成用組成物を用いて、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板上に光学機能層を形成する際に、上記シクロオレフィン系樹脂を一部溶解させることが可能となる。このため、本発明の光学機能層形成用組成物を用いて形成される光学機能層は、上記シクロオレフィン系樹脂と上記棒状化合物が混合されたものとなり、上記透明基板との密着性に優れたものになる。
このようなことから本発明の光学機能層形成用組成物によれば、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板上に光学機能層が積層された光学機能フィルムであって、上記透明基板と上記光学機能層との密着性に優れ、かつ、透明性が良好な光学機能フィルムを製造することができると考えられる。
本発明の光学機能層形成用組成物は、少なくとも上記棒状化合物と、上記溶媒とを含有するものである。
以下、本発明の光学機能層形成用組成物に用いられる各構成について詳細に説明する。
以下、本発明の光学機能層形成用組成物に用いられる各構成について詳細に説明する。
1.溶媒
まず、本発明に用いられる溶媒について説明する。本発明に用いられる溶媒は、ジアセトンアルコールおよびケトン系溶媒を含有するものである。上述したように、本発明の光学機能層形成用組成物は、このような溶媒を含むことにより、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板との密着性に優れ、かつ、透明性が良好な光学機能層を形成することができるのである。
まず、本発明に用いられる溶媒について説明する。本発明に用いられる溶媒は、ジアセトンアルコールおよびケトン系溶媒を含有するものである。上述したように、本発明の光学機能層形成用組成物は、このような溶媒を含むことにより、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板との密着性に優れ、かつ、透明性が良好な光学機能層を形成することができるのである。
本発明に用いられる溶媒中のジアセトンアルコールの含有量としては、本発明の光学機能層形成用組成物を用いて光学機能層を形成する際に、所望の透明性を備える光学機能層を形成できる程度に、溶媒の乾燥速度を低下できる範囲であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられる溶媒は、ジアセトンアルコールの含有量が25質量%〜75質量%の範囲内であることが好ましく、特に25質量%〜50質量%の範囲内であることが好ましく、さらに25質量%〜40質量%の範囲内であることが好ましい。ジアセトンアルコールの含有量が上記範囲内であることにより、本発明の光学機能層形成用組成物を用いて、光学特性の発現性に優れた光学機能層を形成することができるからである。
なお、本発明に用いられる溶媒中のジアセトンアルコール量は、ガスクロマトグラフィー法により、以下の条件で測定した値を用いるものとする。
測定装置 島津製作所
検出器 FID
カラム SBS−200 3m
カラム温度 100℃
インジェクション温度 150℃
キャリアガス He 150kPa
水素圧 60kPa
空気圧 50kPa
測定装置 島津製作所
検出器 FID
カラム SBS−200 3m
カラム温度 100℃
インジェクション温度 150℃
キャリアガス He 150kPa
水素圧 60kPa
空気圧 50kPa
本発明に用いられるケトン系溶媒としては、後述する棒状化合物を所望の程度で溶解することができ、かつ、シクロオレフィン系樹脂に対しても所望の程度の溶解性を示すものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられるケトン系溶媒は、沸点が比較的高いものが好ましい。より具体的には、沸点が110℃以上であるものが好ましく、なかでも120℃以上であるものが好ましく、特に130℃〜170℃の範囲内であるものが好ましい。沸点が高いケトン系溶媒を用いることにより、本発明の光学機能層形成用組成物を用いて光学機能層を形成する際に、塗膜の乾燥速度をより遅くすることができるため、本発明の光学機能層形成用組成物を用いてより白濁の少ない光学機能層を形成することができるからである。
また、本発明に用いられるケトン系溶媒は、シクロオレフィン系樹脂に対する溶解性が高いものが好ましい。より具体的には溶解度パラメーター(SP値)が8(cal/cm−3)1/2〜11(cal/cm−3)1/2の範囲であることが好ましく、なかでも9(cal/cm−3)1/2〜11(cal/cm−3)1/2の範囲内であるものが好ましい。溶解度パラメーターがこのような範囲内であることにより、本発明の光学機能層形成用組成物を用いて形成される光学機能層を、よりシクロオレフィン系樹脂からなる透明基板との密着性に優れたものにできるからである。
ここで、上記溶解度パラメーターは、25℃における溶媒1mlの分子間結合エネルギー(E1:蒸発潜熱より気体のエネルギーを引いた値)の平方根で表されるものである。上記E1は、溶媒の沸点(Tb,℃)、分子量(MW)、分子間結合エネルギー(E)、および、密度(D,g/cm3)によりE1=E×D/MWと表されることから、各溶媒についてのSP値は、SP値=(E1)1/2によって求めることができる。
ここで、上記溶解度パラメーターは、25℃における溶媒1mlの分子間結合エネルギー(E1:蒸発潜熱より気体のエネルギーを引いた値)の平方根で表されるものである。上記E1は、溶媒の沸点(Tb,℃)、分子量(MW)、分子間結合エネルギー(E)、および、密度(D,g/cm3)によりE1=E×D/MWと表されることから、各溶媒についてのSP値は、SP値=(E1)1/2によって求めることができる。
本発明に用いられるケトン系溶媒の具体例としては、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等を挙げることができる。なかでも本発明においてはシクロヘキサノンが好適に用いられる。シクロヘキサノンは、シクロオレフィン系樹脂に対する溶解性が高いため、上記ケトン系溶媒としてシクロヘキサノンを用いることにより、本発明の光学機能層形成用組成物を用いて、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板との密着性がさらに優れた光学機能層を形成することが可能になるからである。
なお、本発明に用いられるケトン系溶媒は1種類のみであってもよく、または、2種類以上であってもよい。
2.棒状化合物
次に、本発明に用いられる棒状化合物について説明する。本発明に用いられる棒状化合物は、棒状の分子骨格を有し、屈折率異方性を備えるものである。また、本発明に用いられる棒状化合物は、本発明の光学機能層形成用組成物を用いて形成される光学機能層に、光学特性を発現させる機能を有するものである。
ここで、上記「屈折率異方性」とは、入射光に対する屈折率が、入射光の電場(或いは磁場)の振動方向によって異なることを意味するものである。
以下、このような棒状化合物について詳細に説明する。
次に、本発明に用いられる棒状化合物について説明する。本発明に用いられる棒状化合物は、棒状の分子骨格を有し、屈折率異方性を備えるものである。また、本発明に用いられる棒状化合物は、本発明の光学機能層形成用組成物を用いて形成される光学機能層に、光学特性を発現させる機能を有するものである。
ここで、上記「屈折率異方性」とは、入射光に対する屈折率が、入射光の電場(或いは磁場)の振動方向によって異なることを意味するものである。
以下、このような棒状化合物について詳細に説明する。
本発明に用いられる棒状化合物は、分子量が比較的小さい化合物であることが好ましい。より具体的には、分子量が200〜1200の範囲内である化合物が好ましく、特に400〜800の範囲内である化合物が好ましい。その理由は次の通りである。すなわち、本発明の光学機能層形成用組成物を用いて、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板上に、光学機能層を形成した場合、形成される光学異方性層は、上記棒状化合物と、上記透明基板を構成するシクロオレフィン系樹脂とを含有するものとなる。このとき、上記棒状化合物の分子量が比較的小さいことにより、上記光学機能層において上記棒状化合物が上記シクロオレフィン系樹脂と混合しやすくなるため、より透明性に優れた光学機能層を得ることができるからである。
なお、上記棒状化合物として重合性官能基を有する材料を用いる場合、上記棒状化合物の分子量は、重合前のモノマーの分子量を示すものとする。
なお、上記棒状化合物として重合性官能基を有する材料を用いる場合、上記棒状化合物の分子量は、重合前のモノマーの分子量を示すものとする。
また、本発明に用いられる棒状化合物は、液晶性を示す液晶性材料であることが好ましく、なかでもネマチック相を示す液晶性材料であることが好ましい。液晶性材料は屈折率異方性が大きいため、上記棒状化合物として液晶性材料を用いることにより、本発明の光学機能層形成用組成物を用いて単位厚み当たりの光学特性の発現性に優れた光学機能層を形成できるからである。
さらに、上記ネマチック相を示す液晶性材料は、メソゲン両端にスペーサを有する分子であることが好ましい。メソゲン両端にスペーサを有する液晶性材料は、柔軟性に優れるため、本発明の光学機能層形成用組成物を用いて、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板上に光学機能層を形成した際に、光学異方性層が白濁することを効果的に防止することができるからである。
本発明に用いられる棒状化合物としては、分子内に重合性官能基を有するものが好適に用いられ、なかでも3次元架橋可能な重合性官能基を有するものがより好適に用いられる。上記棒状化合物が重合性官能基を有することにより、上記棒状化合物を重合して固定することが可能になるため、本発明の光学機能層形成用組成物を用いて、配列安定性に優れ、かつ、光学特性の経時変化が生じにくい光学異方性層を得ることができるからである。
なお、上記「3次元架橋」とは、棒状化合物を互いに3次元に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることを意味する。
なお、上記「3次元架橋」とは、棒状化合物を互いに3次元に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることを意味する。
なお、本発明においては上記重合性官能基を有する棒状化合物と、上記重合性官能基を有さない棒状化合物とを混合して用いてもよい。
上記重合性官能基としては、例えば、紫外線、電子線等の電離放射線、または、熱の作用によって重合する重合性官能基を挙げることができる。これら重合性官能基の代表例としては、ラジカル重合性官能基、および、カチオン重合性官能基等を挙げることができる。
ここで、上記ラジカル重合性官能基の代表例としては、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ官能基を挙げることができ、その具体例としては、置換基を有するもしくは有さないビニル基、アクリレート基(アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を包含する総称)等を挙げることができる。また、上記カチオン重合性官能基の具体例としては、エポキシ基等を挙げることができる。その他、上記重合性官能基としては、例えば、イソシアネート基、不飽和3重結合等を挙げることができる。なかでも本発明においては、プロセス上の点から、エチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が好適に用いられる。
ここで、上記ラジカル重合性官能基の代表例としては、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ官能基を挙げることができ、その具体例としては、置換基を有するもしくは有さないビニル基、アクリレート基(アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を包含する総称)等を挙げることができる。また、上記カチオン重合性官能基の具体例としては、エポキシ基等を挙げることができる。その他、上記重合性官能基としては、例えば、イソシアネート基、不飽和3重結合等を挙げることができる。なかでも本発明においては、プロセス上の点から、エチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が好適に用いられる。
本発明に用いられる棒状化合物は液晶性を示す液晶性材料であって、末端に上記重合性官能基を有するものが特に好ましい。このような棒状化合物を用いることにより、本発明の光学機能層形成用組成物を用いて、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板上に光学機能層を形成した際に、配列安定性を備え、かつ、光学特性の発現性に優れた光学機能層を得ることができるからである。
なお、本発明においては片末端に重合性官能基を有する液晶性材料を用いた場合であっても、他の分子と架橋して配列安定化することができる。
なお、本発明においては片末端に重合性官能基を有する液晶性材料を用いた場合であっても、他の分子と架橋して配列安定化することができる。
本発明に用いられる棒状化合物の具体例としては、下記式(1)〜(6)で表される化合物を例示することができる。
ここで、化学式(1)、(2)、(5)および(6)で示される液晶性材料は、D.J.Broerら、Makromol.Chem.190,3201−3215(1989)、またはD.J.Broerら、Makromol.Chem.190,2250(1989)に開示された方法に従い、あるいはそれに類似して調製することができる。また、化学式(3)および(4)で示される液晶性材料の調製は、DE195,04,224に開示されている。
また、末端にアクリレート基を有するネマチック液晶性材料の具体例としては、下記化
学式(7)〜(17)に示すものも挙げられる。
学式(7)〜(17)に示すものも挙げられる。
なお、本発明に用いられる棒状化合物は、1種類のみであってもよく、または、2種以上であってもよい。例えば、上記棒状化合物として、両末端に重合性官能基を1つ以上有する液晶性材料と、片末端に重合性官能基を1つ以上有する液晶性材料とを混合して用いると、両者の配合比の調整により重合密度(架橋密度)及び光学特性を任意に調整できる点から好ましい。
本発明の光学機能層形成用組成物中の棒状化合物の含有量としては、本発明の光学機能層形成用組成物を用いて光学機能層を形成する際に用いられる塗布方法等に応じて、本発明の光学機能層形成用組成物の粘度を所望の範囲にできる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、上記棒状化合物の含有量が20質量%〜40質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも25質量%〜40質量%の範囲内であることが好ましく、特に25質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましい。
なお、上記棒状化合物の含有量は、本発明の光学機能層形成用組成物をアルミカップに2g計り取り、150℃のオーブンで1時間乾燥した後、揮発減量分から算出することにより求めた値を用いるものとする。
なお、上記棒状化合物の含有量は、本発明の光学機能層形成用組成物をアルミカップに2g計り取り、150℃のオーブンで1時間乾燥した後、揮発減量分から算出することにより求めた値を用いるものとする。
3.光学機能層形成用組成物
本発明の光学機能層形成用組成物は、上記溶媒および棒状化合物以外の他の構成を有するものであっても良い。このような他の構成としては、例えば、ポリジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、有機変性シロキサン等のシリコン形レベリング剤;ポリアルキルアクリレート、ポリアルキルビニルエーテル、ポリウレタン等の直鎖状重合物;フッ素系界面活性剤、炭化水素系界面活性剤等の界面活性剤;テトラフルオロエチレン等のフッ素系レベリング剤;光重合開始剤等を挙げることができる。なかでも本発明においては、上記棒状化合物として、光照射により重合する重合性官能基を有する棒状化合物を用いる場合に、上記他の構成として光重合開始剤を有することが好ましい。
本発明の光学機能層形成用組成物は、上記溶媒および棒状化合物以外の他の構成を有するものであっても良い。このような他の構成としては、例えば、ポリジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、有機変性シロキサン等のシリコン形レベリング剤;ポリアルキルアクリレート、ポリアルキルビニルエーテル、ポリウレタン等の直鎖状重合物;フッ素系界面活性剤、炭化水素系界面活性剤等の界面活性剤;テトラフルオロエチレン等のフッ素系レベリング剤;光重合開始剤等を挙げることができる。なかでも本発明においては、上記棒状化合物として、光照射により重合する重合性官能基を有する棒状化合物を用いる場合に、上記他の構成として光重合開始剤を有することが好ましい。
上記光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、アデカ社製N1717、四臭化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性色素とアスコルビン酸やトリエタノールアミンのような還元剤との組み合わせ等を例示できる。本発明においては、これらの光重合開始剤を1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記光重合開始剤が用いられる場合、本発明の光学機能層形成用組成物中の光重合開始剤の含有量としては、上記棒状化合物を所望の時間で重合できる範囲内であれば特に限定されない。なかでも本発明においては、上記棒状化合物100重量部に対して、1重量部〜10重量部の範囲内であることが好ましく、特に3重量部〜6重量部の範囲内であることが好ましい。光重合開始剤の含有量が上記範囲よりも多いと、本発明の光学機能層形成用組成物を用いて形成される光学機能層において、上記棒状化合物の配列が乱される恐れがあるからである。また、含有量が上記範囲よりも少ないと、棒状化合物の種類によっては所望の時間内に重合することができない可能性があるからである。
上記光重合開始剤を用いる場合には、光重合開始助剤を併用することができる。このような光重合開始助剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等の3級アミン類や、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミド安息香酸エチル等の安息香酸誘導体を例示することができる。
さらに本発明の光学機能層形成用組成物には、本発明の目的を損なわない範囲内で、下記に示すような化合物を添加することができる。添加できる化合物としては、例えば、多価アルコールと1塩基酸または多塩基酸を縮合して得られるポリエステルプレポリマーに、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオール基と2個のイソシアネート基を持つ化合物を互いに反応させた後、その反応生成物に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエーテル、脂肪族または脂環式エポキシ樹脂、アミノ基エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート等の光重合性化合物;アクリル基やメタクリル基を有する光重合性の液晶性化合物等が挙げられる。上記のような化合物を添加することにより本発明の光学機能層形成用組成物を用いて形成される光学機能層の機械強度が向上し、安定性が改善される場合がある。
なお、本発明の光学機能層形成用組成物におけるこれら化合物の添加量は、本発明の目的が損なわれない範囲で決定することができる。
なお、本発明の光学機能層形成用組成物におけるこれら化合物の添加量は、本発明の目的が損なわれない範囲で決定することができる。
本発明の光学機能層形成用組成物の粘度としては、本発明の光学機能層形成用組成物を用いて光学機能層を形成する方法等に応じて任意に調整すればよいが、通常、25℃において0.5mPa・s〜10mPa・sの範囲内が好ましく、なかでも1Pa・s〜5Pa・sの範囲内が好ましく、特に1Pa・s〜3Pa・sの範囲内が好ましい。
B.光学機能フィルムの製造方法
次に、本発明の光学機能フィルムの製造方法について説明する。本発明の光学機能フィルムの製造方法は、負のCプレートとしての性質を有し、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板を用い、上記透明基板上に上記本発明の光学機能層形成用組成物を塗布することにより、光学機能層を形成する光学機能層形成工程を有することを特徴とするものである。
次に、本発明の光学機能フィルムの製造方法について説明する。本発明の光学機能フィルムの製造方法は、負のCプレートとしての性質を有し、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板を用い、上記透明基板上に上記本発明の光学機能層形成用組成物を塗布することにより、光学機能層を形成する光学機能層形成工程を有することを特徴とするものである。
このような本発明の光学機能フィルムの製造方法について図を参照しながら説明する。図1は本発明の光学機能フィルムの製造方法の一例を示す概略図である。図1に例示するように本発明の光学機能フィルムの製造方法は、負のCプレートとしての性質を有し、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板1を用い(図1(a))、上記透明基板1上に、光学機能層形成用組成物2’を塗布することによって光学機能層2を形成する光学機能層形成工程を有するものである(図1(b)、(c))。そして、本発明により製造される光学機能フィルム10は、上記透明基板1上に、光学機能層2が積層された構成を有するものとなる(図1(c))。
このような例において、本発明の光学機能フィルムの製造方法は、上記光学機能層形成用組成物2’として、上記本発明に係る光学機能層形成用組成物を用いること特徴とするものである。
このような例において、本発明の光学機能フィルムの製造方法は、上記光学機能層形成用組成物2’として、上記本発明に係る光学機能層形成用組成物を用いること特徴とするものである。
本発明によれば、上記光学機能層形成工程において上記本発明の光学機能層形成用組成物が用いられていることにより、上記透明基板と上記光学機能層との密着性に優れ、かつ、透明性が良好な光学機能フィルムを製造することができる。
ここで、本発明の光学機能層形成用組成物を用いることにより、上記透明基板と上記光学機能層との密着性に優れ、かつ、透明性が良好な光学機能フィルムを製造することができる理由については、上記「A.光学機能層形成用組成物」の項において説明した理由と同様であるため、ここでの詳しい説明は省略する。
ここで、本発明の光学機能層形成用組成物を用いることにより、上記透明基板と上記光学機能層との密着性に優れ、かつ、透明性が良好な光学機能フィルムを製造することができる理由については、上記「A.光学機能層形成用組成物」の項において説明した理由と同様であるため、ここでの詳しい説明は省略する。
また本発明は、上記透明基板としてシクロオレフィン系樹脂からなるものが用いられていることにより、レターデーション(Re)の波長依存性が正分散型である光学機能フィルムを容易に製造することができるという利点も有するものである。
すなわち、従来、光学機能フィルムに主として用いられてきた透明基板はトリアセチルセルロース(TAC)に代表されるセルロース誘導体からなるものであった。そして、このようなセルロース誘導体は、大半がレターデーション(Re)の波長依存性が逆分散型であるものであった。また、液晶材料を含有する光学機能形成用組成物は、通常、レターデーション(Re)の波長依存性が正分散型であることから、上記透明基板としてセルロース誘導体からなるものを用いると、レターデーション(Re)の波長依存性が、正分散型またはフラット型である光学機能フィルムを得ることが困難であった。
しかしながら、本発明においては、上記透明基板としてレターデーション(Re)の波長依存性がフラット型であるシクロオレフィン系樹脂からなる透明基板を用いることにより、上記波長依存性がフラット型または正分散型である光学機能フィルムを容易に得ることができるのである。
すなわち、従来、光学機能フィルムに主として用いられてきた透明基板はトリアセチルセルロース(TAC)に代表されるセルロース誘導体からなるものであった。そして、このようなセルロース誘導体は、大半がレターデーション(Re)の波長依存性が逆分散型であるものであった。また、液晶材料を含有する光学機能形成用組成物は、通常、レターデーション(Re)の波長依存性が正分散型であることから、上記透明基板としてセルロース誘導体からなるものを用いると、レターデーション(Re)の波長依存性が、正分散型またはフラット型である光学機能フィルムを得ることが困難であった。
しかしながら、本発明においては、上記透明基板としてレターデーション(Re)の波長依存性がフラット型であるシクロオレフィン系樹脂からなる透明基板を用いることにより、上記波長依存性がフラット型または正分散型である光学機能フィルムを容易に得ることができるのである。
なお、上記「逆分散型」とは、レターデーション(Re)が長波長側よりも短波長側のほうが小さい波長分散(即ち、Reが波長の増加関数である)の類型を意味するものである。また、上記「正分散型」とは、レターデーション(Re)が長波長側よりも短波長側のほうが大きい波長分散(即ち、Reが波長の減少関数である)の類型を意味するものである。さらに、上記「フラット型」とは、レターデーション(Re)が波長依存性を有さない波長分散の類型を意味するものである。
ここで、レターデーション(Re)は、面内における遅相軸方向(屈折率が最も大きい方向)の屈折率nx、および、進相軸方向(屈折率が最も小さい方向)の屈折率nyと、厚みd(nm)とにより、Re=(nx−ny)×dの式で表される値である。
ここで、レターデーション(Re)は、面内における遅相軸方向(屈折率が最も大きい方向)の屈折率nx、および、進相軸方向(屈折率が最も小さい方向)の屈折率nyと、厚みd(nm)とにより、Re=(nx−ny)×dの式で表される値である。
本発明の光学機能フィルムの製造方法は、少なくとも上記光学機能層形成工程を有するものであり、必要に応じて他の工程を有してもよいものである。
以下、本発明に用いられる各工程について順に説明する。
以下、本発明に用いられる各工程について順に説明する。
1.光学機能層形成工程
まず、本発明に用いられる光学機能層形成工程について説明する。本工程は、負のCプレートとしての性質を有し、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板を用い、上記透明基板上に上記本発明の光学機能層形成用組成物を塗布することによって光学機能層を形成する工程である。
以下、このような光学機能層形成工程について詳細に説明する。
まず、本発明に用いられる光学機能層形成工程について説明する。本工程は、負のCプレートとしての性質を有し、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板を用い、上記透明基板上に上記本発明の光学機能層形成用組成物を塗布することによって光学機能層を形成する工程である。
以下、このような光学機能層形成工程について詳細に説明する。
なお、本工程に用いられる光学機能層形成用組成物については、上記「A.光学機能層形成用組成物」の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
(1)透明基板
まず、本工程に用いられる透明基板について説明する。本工程に用いられる透明基板はシクロオレフィン系樹脂からなり、負のCプレートとしての機能を有するものである。
まず、本工程に用いられる透明基板について説明する。本工程に用いられる透明基板はシクロオレフィン系樹脂からなり、負のCプレートとしての機能を有するものである。
本工程に用いられる透明基板は、負のCプレートとしての性質を有するものであるが、ここで、上記「負のCプレートとしての性質」とは、面内の屈折率の最も小さい方向の屈折率をnx、面内の屈折率の最も大きい方向の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnzとしたときにnx≒ny>nzの関係が成立することを意味する。
なお、本工程に用いられる透明基板として負のCプレートとしての性質を有するものを用いるのは次の理由によるものである。すなわち、透明基板が負のCプレートとしての性質を有する場合、透明基板を構成するシクロオレフィン系樹脂は、面内方向においてランダムに配列していると考えられる。このような面内方向にランダムに配列したシクロオレフィン系樹脂を表面に有する透明基板上に、上記本発明の光学機能層形成用組成物を塗布すると、ランダムに配列したシクロオレフィン系樹脂の分子軸に沿うように上記棒状化合物を配列させることができるため、上記棒状化合物がランダムに配列し、透明性に優れた光学機能層を形成することが容易になるからである。
本工程に用いられる透明基板の負のCプレートとしての性質は、上記光学機能層形成用組成物に用いる棒状化合物の種類や、本発明により製造する光学機能フィルムに求める光学特性等に応じて適宜選択して用いればよい。なかでも本工程に用いられる透明基板は、厚み方向レターデーション(Rth)が、10nm〜100nmの範囲内であることが好ましく、特に20nm〜60nmの範囲内であることが好ましく、なかでも30nm〜60nmの範囲内であることが好ましい。上記透明基板の厚み方向のレターデーション(Rth)が、上記範囲内にあることにより、本工程により形成される光学機能層において、棒状化合物をよりランダムに配向させることができるため、より透明性に優れた光学機能層を形成することが可能になるからである。
ここで、上記厚み方向のレターデーション(Rth)は、本工程に用いられる透明基板の面内における遅相軸方向(屈折率が最も大きい方向)の屈折率nx、および、進相軸方向(屈折率が最も小さい方向)の屈折率nyと、厚み方向の屈折率nzと、透明基板の厚みd(nm)とにより、Rth={(nx+ny)/2−nz}×dの式で表される値である。
なお、上記厚み方向のレターデーション(Rth)の値は、王子計測機器株式会社製 KOBRA−WRを用い、室温において測定波長589nmで測定した値を用いるものとする。
ここで、上記厚み方向のレターデーション(Rth)は、本工程に用いられる透明基板の面内における遅相軸方向(屈折率が最も大きい方向)の屈折率nx、および、進相軸方向(屈折率が最も小さい方向)の屈折率nyと、厚み方向の屈折率nzと、透明基板の厚みd(nm)とにより、Rth={(nx+ny)/2−nz}×dの式で表される値である。
なお、上記厚み方向のレターデーション(Rth)の値は、王子計測機器株式会社製 KOBRA−WRを用い、室温において測定波長589nmで測定した値を用いるものとする。
また、本工程に用いられる透明基板は、厚み方向のレターデーション(Rth)が上記範囲内であることに加え、面内のレターデーション(Re)が0nm〜300nmの範囲内であることが好ましく、特に0nm〜150nmの範囲内であることが好ましく、なかでも0nm〜125nmの範囲内であることが好ましい。これにより、本工程において、より均質にランダム配列した棒状化合物を有する光学機能層を形成することができるからである。
ここで、上記面内レターデーション(Re)は、本工程に用いられる透明基板の面内における遅相軸方向(屈折率が最も大きい方向)の屈折率nx、および、進相軸方向(屈折率が最も小さい方向)の屈折率nyと、透明基板の厚みd(nm)とにより、Re=(nx−ny)×dの式で表される値である。
なお、上記厚み方向のレターデーション(Re)の値は、王子計測機器株式会社製 KOBRA−WRを用い、室温において測定波長589nmで測定した値を用いるものとする。
ここで、上記面内レターデーション(Re)は、本工程に用いられる透明基板の面内における遅相軸方向(屈折率が最も大きい方向)の屈折率nx、および、進相軸方向(屈折率が最も小さい方向)の屈折率nyと、透明基板の厚みd(nm)とにより、Re=(nx−ny)×dの式で表される値である。
なお、上記厚み方向のレターデーション(Re)の値は、王子計測機器株式会社製 KOBRA−WRを用い、室温において測定波長589nmで測定した値を用いるものとする。
本工程に用いられる透明基板の透明度は、本発明によって製造する光学機能フィルムに求める透明性等に応じて任意に決定すればよいが、通常、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。透過率が低いと、上記棒状化合物等の選択幅が狭くなってしまう場合があるからである。
ここで、透明基板の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
ここで、透明基板の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
また、本工程に用いられる透明基板の厚みは、本発明により製造される光学機能フィルムの用途等に応じて、必要な自己支持性を有するものであれば特に限定されない。中でも本工程においては、30μm〜200μmの範囲内であることが好ましく、特に30μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、さらに30μm〜80μmの範囲内であることが好ましい。透明基板の厚みが上記の範囲よりも薄いと、本発明により製造される光学機能フィルムに必要な自己支持性が得られない場合があるからである。また、厚みが上記の範囲よりも厚いと、例えば、本発明によって製造される光学機能フィルムを裁断加工する際に、加工屑が増加したり、裁断刃の磨耗が早くなってしまう場合があるからである。
本工程に用いられる透明基板は、シクロオレフィン系樹脂からなるものである。ここで、上記シクロオレフィン系樹脂とは、環状オレフィン(シクロオレフィン)からなるモノマーのユニットを有する樹脂を意味するものである。上記環状オレフィンからなるモノマーとしては、例えば、ノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマー等を挙げることができる。
本工程に用いられるシクロオレフィン系樹脂は上記環状オレフィンからなるモノマーの単独重合体であっても良く、または、共重合体であっても良い。
本工程に用いられるシクロオレフィン系樹脂としては、所望の透明性を備える透明基板を得ることができるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本工程に用いられるシクロオレフィン系樹脂は、23℃における飽和吸水率が1質量%以下であるものが好ましく、なかでも0.1質量%〜0.7質量%の範囲内であるものが好ましい。このようなシクロオレフィン系樹脂を用いることにより、本発明より製造される光学機能フィルムを、吸水による光学特性変化や寸法変化がより生じにくいものとすることができるからである。
ここで、上記飽和吸水率は、上記吸水率は、ASTMD570に準拠し23℃の水中で1週間浸漬して増加重量を測定することにより求めることができる。
ここで、上記飽和吸水率は、上記吸水率は、ASTMD570に準拠し23℃の水中で1週間浸漬して増加重量を測定することにより求めることができる。
また、本工程に用いられるシクロオレフィン系樹脂は、ガラス転移点が100℃〜200℃の範囲内であるものが好ましく、特に100℃〜180℃の範囲内であるものが好ましく、なかでも100℃〜150℃の範囲内であるものが好ましい。ガラス転移点が上記範囲内であることにより、本発明により製造される光学機能フィルムを耐熱性および加工適性により優れたものにできるからである。
このようなシクロオレフィン系樹脂としては、例えば、下記式(a)、または、下記式(b)で表される構成単位を有するものを挙げることができる。
ここで、上記式(a)において、tおよびuはそれぞれ独立に0または正の整数を表すが、tおよびuが同時に0である場合は除く。また、Aはエチレン基またはビニレン基を示し、R11〜R14は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数が1〜30の炭化水素基、または、−(CH2)n−COOR(nは0〜5、Rは炭素数1〜12のアルキル基を示す。)を示す。
ここで、上記R11またはR12と、R13またはR14とは相互に結合して炭素環または複素環を形成しても良い。さらに、上記炭素環または複素環は単環構造であっても良く、または、多環構造であっても良い。
ここで、上記R11またはR12と、R13またはR14とは相互に結合して炭素環または複素環を形成しても良い。さらに、上記炭素環または複素環は単環構造であっても良く、または、多環構造であっても良い。
また、上記式(b)において、Bはエチレン基またはビニレン基を示す。R15〜R18は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数が1〜30の炭化水素基を示す。さらに、R15およびR16、または、R17およびR18は一体化して2価の炭化水素基を形成しても良い。
本工程に用いられる透明基板には上記シクロオレフィン系樹脂が1種類のみ用いられていてもよく、または、2種類以上用いられていてもよい。
また、本工程における透明基板の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されていてもよく、または、異なった組成を有する複数の層が積層されていても良い。
本工程に用いられるシクロオレフィン系樹脂からなる透明基板の具体例としては、例えば、Ticona社製 Topas、ジェイエスアール社製 アートン、日本ゼオン社製 ZEONOR、日本ゼオン社製 ZEONEX、三井化学社製 アペル等を挙げることができる。
(2)光学機能層の形成方法
次に、本工程において、上記透明基板上に光学機能層を形成する方法について説明する。本工程においては上記光学機能層形成用組成物を、上記透明基板上に直接塗布することにより光学機能層を形成する。
次に、本工程において、上記透明基板上に光学機能層を形成する方法について説明する。本工程においては上記光学機能層形成用組成物を、上記透明基板上に直接塗布することにより光学機能層を形成する。
上記光学機能層形成用組成物を上記透明基板上に塗布する塗布方式としては、厚みが均一で、所望の平面性を達成できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法などを例示することができる。
本工程において、透明基板上に上記光学機能層形成用組成物を塗布することにより形成される塗膜の厚みについても、所望の平面性を達成できる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては0.1μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、特に0.5μm〜30μmの範囲内であることが好ましく、さらに1.0μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。光学機能層形成用組成物の塗膜の厚みが上記範囲より薄いと光学機能層の平面性を損なわれてしまう場合があり、また厚みが上記範囲より厚いと、溶媒の乾燥負荷が増大し、生産性が低下してしまう可能性があるからである。
また、上記光学機能層形成用組成物の塗膜の乾燥方法は、加熱乾燥方法、減圧乾燥方法、ギャップ乾燥方法等、一般的に用いられる乾燥方法を用いることができる。本工程に用いられる乾燥方法は、単一の方法に限られず、例えば、残留する溶媒量に応じて順次乾燥方式を変化させる等の態様により、複数の乾燥方式を採用してもよい。
なお、上記棒状化合物として重合性官能基を有する化合物を用いる場合、本工程において、上記棒状化合物を重合する重合処理が施されることになる。この場合、本工程に用いられる重合処理としては、上記棒状化合物が有する重合性官能基の種類に応じて任意に決定すればよい。このような重合処理としては、通常、紫外線または可視光の照射処理や、加熱処理等が用いられる。
2.その他の工程
本発明の光学機能フィルムの製造方法は、上記光学機能層形成工程以外に他の工程を有するものであっても良い。このような他の工程としては、特に限定されるものではなく、一般的に光学機能フィルムの製造工程に用いられる各工程の中から、本発明により製造される光学機能フィルムに所望の機能を付与することができる工程を適宜選択して用いることができる。
本発明の光学機能フィルムの製造方法は、上記光学機能層形成工程以外に他の工程を有するものであっても良い。このような他の工程としては、特に限定されるものではなく、一般的に光学機能フィルムの製造工程に用いられる各工程の中から、本発明により製造される光学機能フィルムに所望の機能を付与することができる工程を適宜選択して用いることができる。
3.光学機能フィルム
次に、本発明により製造される光学機能フィルムについて説明する。本発明により製造される光学機能フィルムは、上記透明基板上と、上記透明基板上に直接形成され、上記棒状化合物および上記透明基板を構成するシクロオレフィン系樹脂を含有する光学機能層とを有するものとなる。
次に、本発明により製造される光学機能フィルムについて説明する。本発明により製造される光学機能フィルムは、上記透明基板上と、上記透明基板上に直接形成され、上記棒状化合物および上記透明基板を構成するシクロオレフィン系樹脂を含有する光学機能層とを有するものとなる。
本発明により製造される光学機能フィルムは、上記本発明の光学機能層形成用組成物を用いて光学機能層が形成されていることにより、透明度が優れたものになる。
また、本発明により製造される光学機能フィルムは、上記透明基板を構成するシクロオレフィン系樹脂を含有する光学機能層が直接形成されていることにより、透明基板と光学機能層との密着性に優れるという利点を有するものになる。
また、本発明により製造される光学機能フィルムは、上記透明基板を構成するシクロオレフィン系樹脂を含有する光学機能層が直接形成されていることにより、透明基板と光学機能層との密着性に優れるという利点を有するものになる。
本発明により製造される光学機能フィルムにおいて、上記透明基板と、上記光学機能層とが積層されている態様は、上記透明基板と上記光学機能層とが独立した層として積層された態様となる場合と、上記透明基板と光学機能層との間に明確な界面がなく、両者の間において上記シクロオレフィン系樹脂の含有量が連続的に変化するように積層された態様となる場合とがある。
ここで、本発明により製造される光学機能フィルムにおいて、上記透明基板と上記光学機能層とが積層されている態様について図を参照しながら説明する。図2は本発明により製造される光学機能フィルムにおいて、上記透明基板と上記光学機能層とが積層されている態様の一例を示す概略図である。図2に例示するように、本発明により製造される光学機能フィルムは、上記透明基板1と上記光学機能層2とが独立した層として積層されている態様となる場合と(図2(a))、上記透明基板1と光学機能層2との間に明確な界面がなく、両者の間において上記シクロオレフィン系樹脂の含有量が連続的に変化するように積層されている態様となる場合がある(図2(b))。
また、本発明により製造される光学機能フィルムは、上述したように透明性に優れたものとなる。より具体的には、JIS K7105に準拠して測定したヘイズ値を、通常、0.1%〜5%の範囲内、さらには0.1%〜0.5%の範囲内とすることができる。
本発明により製造される光学機能フィルムの厚み方向のレターデーション(Rth)は、光学機能フィルムの用途等に応じて適宜調整されるものではあるが、通常、50nm〜600nmの範囲内とされる。厚み方向のレターデーション(Rth)が上記範囲内であることにより、本発明により製造される光学機能フィルムをVA(Vertical Alignment)方式の液晶表示装置の視野角特性を改善するのに好適なものにできるからである。
ここで、厚み方向のレターデーション(Rth)の定義、および、測定方法については、上記「1.透明基板」の項において説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
ここで、厚み方向のレターデーション(Rth)の定義、および、測定方法については、上記「1.透明基板」の項において説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、本発明により製造される光学機能フィルムの面内レターデーション(Re)は、光学機能フィルムの用途等に応じて適宜調整されるものではあるが、通常、0nm〜20nmの範囲内とされる。面内レターデーション(Re)が上記範囲内であることにより、本発明により製造される光学機能フィルムを、VA(Vertical Alignment)方式の液晶表示装置の視野角特性を改善するのに好適な位相差フィルムとして用いることができるからである。
ここで、面内レターデーション(Re)の定義、および、測定方法については、上記「1.透明基板」の項において説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
ここで、面内レターデーション(Re)の定義、および、測定方法については、上記「1.透明基板」の項において説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
なお、本発明により製造される光学機能フィルムの面内レターデーション(Re)の波長依存性は、通常、正分散型またはフラット型とされる。
本発明により製造される光学機能フィルムの用途としては、特に限定されるものではなく、光学的機能フィルムとして種々の用途に用いることができる。このような用途としては、例えば、液晶表示装置に用いられる光学補償板(例えば、視角補償板)、楕円偏光板、輝度向上板等を挙げることができる。なかでも本発明により製造される光学機能フィルムは、負のCプレートとしての用途に好適に用いることができる。このように負のCプレートとして用いられる場合は、VAモードもしくはOCBモードなどの液晶表示装置に好適に用いられる。
また本発明により製造される光学機能フィルムは、偏光子と貼り合わせることにより、偏光板としての用途にも用いることができる。偏光板は、通常、偏光子とその両表面に偏光板保護フィルムが形成されてなるものであるが、本発明により製造される光学機能フィルムは、例えば、その一方の偏光板保護フィルムとして用いることができる。このように本発明により製造された光学機能フィルムが用いられた偏光板は、液晶表示装置の視野角特性を改善する光学補償機能を有するものとなる。
上記偏光子としては、特に限定されないが、例えばヨウ素系偏光子、二色性染料を用いる染料系偏光子やポリエン系偏光子などを用いることができる。ヨウ素系偏光子や染料系偏光子は、一般にポリビニルアルコールを用いて製造される。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示し、本発明についてさらに具体的に説明する。
(1)実施例1
質量%比でシクロヘキサノン:ジアセトンアルコール=3:1の溶媒に、下記式(I)で表されるネマチック液晶を20質量%溶解させた。そこに、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)を、上記ネマチック液晶の質量に対して4質量%となるように添加し、光学機能層形成用組成物を調製した。
質量%比でシクロヘキサノン:ジアセトンアルコール=3:1の溶媒に、下記式(I)で表されるネマチック液晶を20質量%溶解させた。そこに、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)を、上記ネマチック液晶の質量に対して4質量%となるように添加し、光学機能層形成用組成物を調製した。
次に、上記光学機能層形成用組成物を、厚さ65μmのシクロオレフィンポリマー(COP)フィルム(商品名:アートン JSR社製)上に、バーコート法により塗布し、25℃で4分間乾燥させた。その後、窒素雰囲気中において100mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させた後、さらに90℃で2分間加熱させることによって光学機能層を形成し、光学機能フィルムを得た。
(2)実施例2
溶媒として、質量比でシクロヘキサノン:ジアセトンアルコール=1:1の溶媒を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学機能フィルムを作製した。
溶媒として、質量比でシクロヘキサノン:ジアセトンアルコール=1:1の溶媒を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学機能フィルムを作製した。
(3)実施例3
溶媒として、質量比でシクロヘキサノン:ジアセトンアルコール=1:3の溶媒を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学機能フィルムを作製した。
溶媒として、質量比でシクロヘキサノン:ジアセトンアルコール=1:3の溶媒を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光学機能フィルムを作製した。
(4)実施例4
溶媒に、ネマチック液晶を25質量%で溶解させたこと以外は実施例1と同様にして光学機能フィルムを作製した。
溶媒に、ネマチック液晶を25質量%で溶解させたこと以外は実施例1と同様にして光学機能フィルムを作製した。
(5)実施例5
質量%比でシクロヘキサノン:ジアセトンアルコール=1:2の溶媒に、ネマチック液晶を30質量%溶解させたこと以外は実施例1と同様にして光学機能フィルムを作製した。
質量%比でシクロヘキサノン:ジアセトンアルコール=1:2の溶媒に、ネマチック液晶を30質量%溶解させたこと以外は実施例1と同様にして光学機能フィルムを作製した。
(6)実施例6
質量%比でシクロヘキサノン:ジアセトンアルコール=1:1の溶媒にネマチック液晶を、40質量%溶解させたこと以外は実施例1と同様にして光学機能フィルムを作製した。
質量%比でシクロヘキサノン:ジアセトンアルコール=1:1の溶媒にネマチック液晶を、40質量%溶解させたこと以外は実施例1と同様にして光学機能フィルムを作製した。
(7)実施例7
質量%比でシクロヘキサノン:ジアセトンアルコール=10:1の溶媒に、ネマチック液晶を20質量%溶解させたこと以外は実施例1と同様にして光学機能フィルムを作製した。
質量%比でシクロヘキサノン:ジアセトンアルコール=10:1の溶媒に、ネマチック液晶を20質量%溶解させたこと以外は実施例1と同様にして光学機能フィルムを作製した。
(8)比較例1
質量%比でシクロヘキサノン:イソプロピルアルコール=1:1の溶媒に、ネマチック液晶を20質量%溶解させたこと以外は実施例1と同様にして光学機能フィルムを作製した。
質量%比でシクロヘキサノン:イソプロピルアルコール=1:1の溶媒に、ネマチック液晶を20質量%溶解させたこと以外は実施例1と同様にして光学機能フィルムを作製した。
(9)比較例2
質量%比でシクロヘキサノン:メタノール=1:1の溶媒に、ネマチック液晶を20質量%溶解させたこと以外は実施例1と同様にして光学機能フィルムを作製した。
質量%比でシクロヘキサノン:メタノール=1:1の溶媒に、ネマチック液晶を20質量%溶解させたこと以外は実施例1と同様にして光学機能フィルムを作製した。
(10)比較例3
ジアセトンアルコールからなる溶媒に、ネマチック液晶を20質量%溶解させたこと以外は実施例1と同様にして光学機能フィルムを作製した。
ジアセトンアルコールからなる溶媒に、ネマチック液晶を20質量%溶解させたこと以外は実施例1と同様にして光学機能フィルムを作製した。
<評価>
(1)ヘイズ
上記実施例及び比較例において作製した光学機能フィルムのヘイズを、JIS K 7361に規定する方法に準じて測定した。
(1)ヘイズ
上記実施例及び比較例において作製した光学機能フィルムのヘイズを、JIS K 7361に規定する方法に準じて測定した。
(2)クロスニコル下での白濁
上記実施例及び比較例において作製した光学機能フィルムについて、両側に市販の偏光板(HCL2−5618HCS、(株)サンリッツ製)をクロスニコル配置となるように貼り合わせ、液晶用バックライト上に設置し、暗室下にて正面の白濁の程度を目視にて観察して評価した。その白濁の程度を評価する判断の基準は以下の通りである。
○:白濁は認められず、透明性が高く、良好である。
△:白濁は認められないが、クロスニコル下で、顕著でないムラが視認される。
×:白濁は認められないが、クロスニコル下でのムラが目立つため不良である。
上記実施例及び比較例において作製した光学機能フィルムについて、両側に市販の偏光板(HCL2−5618HCS、(株)サンリッツ製)をクロスニコル配置となるように貼り合わせ、液晶用バックライト上に設置し、暗室下にて正面の白濁の程度を目視にて観察して評価した。その白濁の程度を評価する判断の基準は以下の通りである。
○:白濁は認められず、透明性が高く、良好である。
△:白濁は認められないが、クロスニコル下で、顕著でないムラが視認される。
×:白濁は認められないが、クロスニコル下でのムラが目立つため不良である。
(3)全光線透過率(Tt)
上記実施例及び比較例において作製した光学機能フィルムの全光線透過率(Tt%)を、積分球式光線透過率測定装置を用いて測定した。ここで、上記、全光線透過率(Tt%)は、可視光線について入射光量T1と試験片を通った全光量T2との比(Tt=T2/T1)で表されるものであり、(%)単位で表記されるものである。
上記実施例及び比較例において作製した光学機能フィルムの全光線透過率(Tt%)を、積分球式光線透過率測定装置を用いて測定した。ここで、上記、全光線透過率(Tt%)は、可視光線について入射光量T1と試験片を通った全光量T2との比(Tt=T2/T1)で表されるものであり、(%)単位で表記されるものである。
上記評価結果を表1に示す。表1に示すように実施例における光学機能フィルムは、ヘイズ及びクロスニコル下でのムラ・白濁が比較的良好であった。一方、比較例における光学機能フィルムは、ヘイズ及びクロスニコル下におけるムラ・白濁が共に不良であった。
1 … 透明基板
2 … 光学機能層
2’ … 光学機能層形成組成物
10 … 光学機能フィルム
21 … 透明基板
22 … 配向膜
23 … 光学機能層
101 … 液晶セル
102A、102B … 偏光板
103 … 位相差フィルム
2 … 光学機能層
2’ … 光学機能層形成組成物
10 … 光学機能フィルム
21 … 透明基板
22 … 配向膜
23 … 光学機能層
101 … 液晶セル
102A、102B … 偏光板
103 … 位相差フィルム
Claims (4)
- 屈折率異方性を有する棒状化合物と、ジアセトンアルコールおよびケトン系溶媒を含有する溶媒と、を含むことを特徴とする、光学機能層形成用組成物。
- 前記ケトン系溶媒の沸点が110℃以上であること特徴とする、請求項1に記載の光学機能層形成用組成物。
- 前記ケトン系溶媒がシクロヘキサノンであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の光学機能層形成用組成物。
- 負のCプレートとしての性質を有し、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板を用い、前記透明基板上に、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の光学機能層形成用組成物を塗布することにより光学機能層を形成する、光学機能層形成工程を有することを特徴とする、光学機能フィルムの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006211228A JP2008039931A (ja) | 2006-08-02 | 2006-08-02 | 光学機能層形成用組成物、および、光学機能フィルムの製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010211110A (ja) * | 2009-03-12 | 2010-09-24 | Konica Minolta Opto Inc | 光学補償フィルムの製造方法 |
WO2019039368A1 (ja) * | 2017-08-23 | 2019-02-28 | シャープ株式会社 | 液晶表示パネルの製造方法 |
-
2006
- 2006-08-02 JP JP2006211228A patent/JP2008039931A/ja active Pending
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