JP2008039916A - 二成分現像剤及び現像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】含有率が10重量%以上の着色剤を含むトナーとキャリアとからなる二成分現像剤を用いて現像を行う際に、現像スリーブの周面上へのトナーの固着を防止して画質を向上させる。
【解決手段】
芯材及び芯材の表面を覆う被覆層を有するキャリアと離型剤及び着色剤等を含有するトナーとからなる二成分現像剤を収容する現像槽11と、二成分現像剤を周面上で担持し、現像領域Yで感光体100の表面にトナーを供給する現像スリーブ4とを備えている。二成分現像剤に含まれているトナーは、着色剤の含有率が10重量%以上であり、現像槽11に収容されたトナーのうち粒径が0.6μm〜2.0μmのトナーの含有率が10個数%以下に構成されている。
【選択図】図1
【解決手段】
芯材及び芯材の表面を覆う被覆層を有するキャリアと離型剤及び着色剤等を含有するトナーとからなる二成分現像剤を収容する現像槽11と、二成分現像剤を周面上で担持し、現像領域Yで感光体100の表面にトナーを供給する現像スリーブ4とを備えている。二成分現像剤に含まれているトナーは、着色剤の含有率が10重量%以上であり、現像槽11に収容されたトナーのうち粒径が0.6μm〜2.0μmのトナーの含有率が10個数%以下に構成されている。
【選択図】図1
Description
この発明は、キャリアとトナーとからなり、像担持体の表面に形成された静電潜像をトナー像に可視化する二成分現像剤及びこの二成分現像剤を収容する現像装置に関する。
画像形成を行うための電子写真法としては多数の方法が知られている(例えば、特許文献1〜3参照。)。一般には、光導電性物質を利用して種々の手段により感光体上に形成した静電潜像をトナーを用いて現像する。現像によって感光体に形成されたトナー像を、用紙やOHP等の転写材(記録媒体)に転写した後、定着装置が有する定着ローラを用いて加熱、加圧等して記録媒体に定着させる。これにより、記録媒体に画像が形成される。
電子写真法に用いられる現像剤としては、トナーのみからなる一成分現像剤と、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤の2種類が公知であるが、帯電制御が容易で、信頼性が高い等の点から二分現像剤が多く使用されている。
近年の複写機、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置ではビジネスユース、パーソナルユースを問わず、従来よりも高速で且つ小型の装置が望まれている。装置の小型化が進む一方、省エネルギの観点からトナーの低温定着化の試みが数多く提案されている。低温定着化に対しては、装置の低消費電力化や、定着温度が低く且つ定着領域の広いトナーが要求されている。低温定着性のトナーには、従来用いられていたスチレンーアクリル系樹脂に代えて、より低溶融粘度のポリエステル系樹脂が用いられることが多い。
ところが、ポリエステル系樹脂を使用したトナーはホットオフセットが発生しやすくなる。そこで、これを防止するために従来の画像形成装置には、定着ローラの表面にシリコーンオイルを塗布する構成を備えたものがある。
しかしながら、定着ローラの表面にシリコーンオイルを塗布する構成では、シリコーンオイル等を定着ローラへ供給するための供給手段が必要となるため、定着装置の構成が複雑になり大型化する等の問題があった。さらに、定着装置が加熱状態のとき、定着ローラの表面に塗布されたシリコーンオイルは加熱されて揮発飛散するため、シリコーンオイルで装置内が汚損されるという欠点もあった。
そこで、定着ローラの表面にオイルを塗布する構成を採用せず、いわゆるオイルレストナーを使用する手法が試みられている。オイルレストナーは一般的にワックス(離型剤)をトナー中に分散させた構成であるが、最近では更なる低温定着化が要求されてきているためにトナー中のワックスの分散量は増加傾向にある。
装置内部に収容されている二成分現像剤は、現像剤担持体である現像スリーブの周面上に担持、搬送され、現像スリーブと感光体とが対向する領域(現像領域)でトナーのみが感光体の表面に静電吸着する。これにより、静電潜像が可視像化される。
感光体と現像スリーブとは現像領域において間隙を設けて対向しているが、近年の高画質化に対応するため、現像領域での感光体と現像スリーブと間の距離は狭小化する方向にあり、現像領域で感光体の表面への当接等により二成分現像剤が受けるストレスが大きくなってきている。
その結果、二成分現像剤自体が温度上昇してしまうため、トナー中に分散しているワックスが表面に過剰に溶出し、現像スリーブの表面上に移行する。これによって、トナー粒子の中でも粉体流動性が悪く、離型性の大きく劣るトナー微粒子が現像スリーブの表面上のワックスに捕捉される。このトナー微粒子の捕捉が契機となって現像スリーブの表面上に微粒子以外の粒子を含むトナーの固着が発生する。
特に、現像領域において現像スリーブの回転方向が感光体の回転方向に対してカウンタ方向の現像方式を採用する二成分現像方式では、順方向と比べて現像領域で単位時間当たりに圧縮される二成分現像剤の量が多く、二成分現像剤の受けるストレスは大きい。そのため、現像スリーブへのトナーの固着はさらに促進されてしまう。
しかも、近年は画像の更なる高精細化、高画質化が求められているため、トナー粒子は小粒径化する傾向にある。そのため、トナーの着色剤の含有率が増大する。また、トナーは少ない消費量で所望の画像濃度を満足することが望まれているため、例えばトナー材料中の着色剤量を多くする構成がとられている(例えば、特許文献4参照。)。特許文献4の構成では、トナー中に10重量%以上の着色剤(カーボンブラック)が含まれている。ところが、含有量(含有率)が多いトナーでは抵抗が低くなりすぎて表面から電荷がリークして帯電量が低下するため、カブリやトナー飛散等の問題が発生する。
そこで、電荷制御剤等の量を増加させることなくトナーの帯電量を向上させるため、近年のトナーには、トナーの誘電体損の値を一定値以下に規定した構成のものがある(例えば、特許文献5参照。)。その他にも、トナーの誘電体損の値を規定した構成のものがある(例えば、特許文献6,7参照。)。
米国特許第2297691号明細書
特公昭42−23910号公報
特公昭43−24748号公報
特開平7−77828号公報
特開平6−51557号公報
特開2001−337487号公報
特開2004−102261号公報
しかしながら、特許文献5〜7の構成では、トナーの帯電量を向上させることができるがトナー中の微粒子の割合については考慮されておらず、現像スリーブへのトナーの固着を防止することが困難である。
この発明の目的は、含有率が10重量%以上の着色剤を含むトナーとキャリアとからなる二成分現像剤を用いて現像を行う際に、現像スリーブの周面上へのトナーの固着を防止して画質を向上させることができる二成分現像剤及び現像装置を提供することにある。
この発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を備えている。
(1)この発明の二成分現像剤は、芯材及び前記芯材の表面を覆う被覆層を有するキャリアと少なくとも結着樹脂、電荷制御剤、離型剤及び着色剤を含有するトナーとからなって現像装置内部に収容される。トナーは、着色剤の含有率が前記トナーの重量に対して10重量%以上であり、現像装置内部に収容されるトナーのうち粒径が0.6μm〜2.0μmのトナーの含有率が10個数%以下である。
この構成においては、粒径が0.6μm〜2.0μmの微粒子のトナーの含有率がトナー全体の10個数%以下となるトナーを含む二成分現像剤が現像装置内部に収容される。粒径が0.6μm〜2.0μmの微粒子のトナーは、それよりも大きい粒径のトナーに比べ粉体流動性が悪くなり、また離型剤がトナー中に分散し難い大きさであることより、離型性も大きく劣るため、含有率が10重量%より大きいと現像担持体へのトナーの固着が発生しやすくなる。固着した部分においては絶縁性物質によって被覆されたのと同様となってトナーに印加される現像バイアスが押し上げられ(実質的な現像バイアスが小さくなり)、トナーカブリや画像濃度ムラ等の問題が発生する。
したがって、粒径が0.6μm〜2.0μmの微粒子のトナーの含有率を10個数%以下に抑えることで、トナーの離型性、帯電量を維持しつつ、現像担持体へのトナーの固着が防止される。
(2)上記(1)の構成においては、トナーの誘電体損値(tanδ)が3.0×10-3以上13.0×10-3以下に構成されている。
この構成においては、トナーが誘電体損値3.0×10-3以上13.0×10-3以下に形成されている。誘電体損値が3.0×10-3より小さい場合は、トナーの帯電量が高くなりすぎて、充分な画像濃度を得ることができない。一方、誘電体損値が13.0×10-3より大きい場合は、トナーの帯電量が低くなってカブリやトナー飛散等が発生する。
したがって、トナーの誘電体損値を3.0×10-3以上13.0×10-3以下に抑えることで、スリーブ固着や画像濃度不足、トナーカブリ、トナー飛散が発生することが抑制される。
(3)上記(1)の構成においては、キャリアの被覆層は、被覆層中の導電性微粉末の含有率が0.0重量%より大きく、8.0重量%以下に構成されている。
この構成においては、キャリアの被覆層に含有率が0.0重量%より大きく、8.0重量%以下で導電性微粉末が含まれている。導電性微粉末の含有率が8.0重量%以上の場合、キャリアの抵抗が低くなるため、摩擦帯電によりトナー粒子に発生した電荷はキャリアを通して減衰し、トナーに必要な帯電量を維持できなくなる。そのため、カブリやトナー飛散等が発生する。一方、導電性微粉末がトナーに含まれていないと、トナーの帯電量が多くなりすぎて所望の画像濃度を得ることができない。
したがって、キャリアの被覆層に含有率が0.0重量%より大きく、8.0重量%以下で導電性微粉末が含まれているので、キャリアに適度な導電性を付与することができ、キャリアへの電荷の蓄積現象が抑制され、画像濃度不足やトナーカブリ、トナー飛散が発生することが抑制される。
(4)上記(1)の構成においては、キャリアの被覆層は、被覆量が芯材の重量に対して5重量%以上20重量%以下に構成されている。
この構成においては、キャリアの被覆層が芯材の重量に対して5重量%以上、20重量%以下の被覆量で形成されている。被覆量が5重量%以下の場合は、キャリアの芯材の露出部分が大きくなるので、安定した帯電をトナーに付与することができなくなる。また、キャリアの電気抵抗が低くなるため、摩擦帯電によりトナー粒子に発生した電荷がキャリアを通して減衰し、トナーに必要な帯電量を維持できなくなる。そのため、トナーカブリやトナー飛散の問題が発生する。さらに、二成分現像剤粒同士の衝突や装置の内壁との衝突等の機械的ストレスによってキャリアの被覆層が剥がれてしまう。これにより、キャリアの芯材の表面の露出部分が拡大し、キャリアの耐久性も悪化する。
一方、被覆量が20重量%以上の場合は、トナーの帯電量が多くなりすぎ、所望の画像濃度を得ることができない。
したがって、被覆層を芯材の重量に対して5重量%〜20重量%としているので、よりトナーカブリが減少し且つトナー飛散の発生が抑制される。
(5)上記(1)の構成においては、キャリアは、体積平均粒径が50μm以上80μm以下に構成されている。
この構成においては、キャリアが50μm以上、80μm以下の平均粒径で形成されている。キャリアの平均粒径が50μmより小さい場合は、キャリア上がり現象による画像の白抜けが発生する。一方、キャリアの平均粒径が80μmより大きい場合は、トナー粒子に安定した帯電を付与することができなくなり、現像性が低下し、所望の画像濃度が得られない。
したがって、キャリアが平均粒径50μm以上80μm以下で形成されているので、よりトナーカブリが減少し且つトナー飛散の発生が抑制される。また、キャリア上がり現象による画像の白抜けも防止される。
(6)上記(1)〜(5)の二成分現像剤を用いる現像装置は、現像槽、トナー濃度センサ、制御部を備えている。現像槽は、二成分現像剤を収容する。前記トナー濃度センサは、前記現像槽に収容された二成分現像剤中のトナー濃度を検出する。前記制御部は、前記トナー濃度センサの検出値を3.5重量%以上8.0重量%以下に制御することができる。
この構成においては、現像槽に収容された二成分現像剤におけるトナーの濃度が3.5重量%以上、8.0重量%以下に制御される。トナー濃度が3.5重量%より小さい場合は、現像に必要な量のトナーを像担持体に供給できず、十分な画像濃度が得られなくなる。一方、トナー濃度が8.0重量%以上の場合は、装置内部の二成分現像剤を攪拌する攪拌能力が追いつかなくなり、トナー粒子に十分な帯電を付与することができず、トナーカブリやトナーの飛散が発生する。
したがって、二成分現像剤中のトナー濃度が3.5重量%以上、8.0重量%以下となるように制御されているので、よりトナーのカブリが減少し且つトナー飛散の発生が抑制される。
この発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)粒径が0.6μm〜2.0μmの微粒子のトナーの含有率を10個数%以下とすることによって、現像担持体へのトナーの固着を防止でき、トナーカブリやトナー飛散の発生を防止して画質を向上させることができる。
(2)トナーの誘電体損値を3.0×10-3以上13.0×10-3以下にすることによって、スリーブ固着や画像濃度不足、トナーカブリ、トナー飛散が発生することを抑制することができ、より高画質化を図ることができる。
(3)キャリアの被覆層の導電性微粉末の含有率を0.0重量%より大きく、8.0重量%以下とすることによって、キャリアに適度な導電性を付与できるので、キャリアへの電荷の蓄積現象を抑制し、画像濃度不足やトナーカブリを抑制できる。これによって、長期間に渡ってトナーの帯電量を安定させることができ、高品質な画像を安定して形成することができる。これによって、より高画質化を図ることができる。
(4)キャリアの被覆量を芯材の重量に対して5重量%〜20重量%とすることによって、トナーカブリ、トナー飛散が発生することを抑制することができ、より充分な画像濃度を得ることができる。
(5)キャリアを平均粒径50μm以上80μm以下で形成することによって、トナーカブリ、トナー飛散が発生することを抑制することができ、より充分な画像濃度を得ることができる。また、キャリア上がり現象による画像の白抜けも防止することができる。
(6)二成分現像剤中のトナー濃度を3.5重量%〜8.0重量%となるよに制御することによって、トナーカブリ、トナー飛散が発生することを抑制することができ、より充分な画像濃度を得ることができる。
以下、この発明の最良の実施形態に係る二成分現像装置を用いる現像装置を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、この発明の実施形態に係る現像装置の概略の構成を示す断面図である。現像装置1は、感光体(像担持体)100の表面に対向するように配置されている。現像装置1は、図示しない電子写真方式の画像形成装置の内部に配置され、感光体100にトナーを供給して静電潜像の現像を行う。画像形成装置は、現像によって感光体100の表面に形成されたトナー像を用紙等の記録媒体に転写等して画像形成を行う。
現像装置1は、キャリア及びトナーからなる二成分現像剤を収容する現像槽11及び現像槽11に未使用のトナーを補給するトナーホッパ14を備える。現像槽11とトナーホッパ14との接続箇所には、トナーがトナーホッパ14から現像槽11に移動する開口12が形成されている。
トナーホッパ14は、内部にトナー補給ローラ13を備えている。トナー補給ローラ13は、開口12の上側を覆い、スポンジローラで形成されている。トナー補給ローラ13は、図1に示す矢印方向に回転しつつ、気泡部分にトナーを含ませた後に開口12の縁で余分なトナーをしごき落として開口12を通じて現像槽11にトナーを補給する。
現像槽11の内部には、攪拌ローラ3、現像スリーブ4、層厚規制部材5及びトナー濃度センサ6等が配置されている。
撹拌ローラ3は、現像スリーブ5の回転軸に平行な回転軸に回転自在に指示されている。撹拌ローラ3は、現像槽11内のトナー及びキャリアを撹拌する。キャリアと攪拌されたトナーは、摩擦帯電してキャリアに静電吸着する。また、攪拌ローラ3は、攪拌されたトナー及びキャリアを現像スリーブ4に搬送する。
現像スリーブ4は、本発明の現像剤担持体に相当し、周面が感光体100の表面に間隙を設けて対向している。現像スリーブ4は、感光体100の回転軸に平行な回転軸に図1に示す矢印方向に回転自在に支持されている。現像スリーブ4は、極性が異なる磁石部材を略交互に周方向に配置して形成されたマグネットローラであり、トナーが静電吸着したキャリアを磁力により担持する。また、現像スリーブ4は、回転によりトナー及びキャリアを感光体100の表面に対向する現像領域Yに搬送する。現像領域Yにおいて、キャリアに静電吸着していたトナーは、感光体100の表面に形成された静電潜像に静電吸着する。
なお、本実施形態では、現像領域Yでの現像スリーブの回転方向が感光体100の回転方向に対してカウンタ方向となるが、順方向(ウィズ方向)であってもよい。
層厚規制部材5は、ステンレス鋼の薄板等で構成される薄板部材であり、現像槽11の内壁に片持ち状に配置されている。層厚規制部材5の自由端は、現像スリーブ4の周面に対して所定の間隔を設けて配置され、現像スリーブ4の周面に担持された二成分現像剤層の厚さを規制する。
トナー濃度センサ6は、撹拌ローラ3に近接するように、現像槽11の底部に配置されている。トナー濃度センサ6は、現像槽11に収容された二成分現像剤中のトナー濃度を検出する透磁率センサであり、検出結果を制御部50に出力する。制御部50は、トナー濃度センサ6から出力されたトナー濃度値に基づいて現像槽11内のトナー濃度が所定の値(本実施形態では、5.0重量%)に維持されるようにドライバ132を介してモータ131の駆動を制御する。モータ131は、駆動によりトナー補給ローラ13を回転させる。つまり、制御部50は、モータ131の駆動を制御することでトナーホッパ14からのトナーの補給量を調整してトナー濃度を維持する。制御部100は、装置全体の動作を制御する。
本発明の実施形態のトナーは、結着樹脂、電荷制御剤、着色剤、離型剤等から構成されている。
(結着樹脂)
本発明の実施形態のトナーに用いられる結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が用いられる。ポリエステル樹脂としては、ポリオールと多塩基酸との縮重合から成り、必要に応じて少なくとも一方に3価以上の多官能性成分を重合せしめることで架橋構造を有するポリエステル樹脂でもよい。
本発明の実施形態のトナーに用いられる結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が用いられる。ポリエステル樹脂としては、ポリオールと多塩基酸との縮重合から成り、必要に応じて少なくとも一方に3価以上の多官能性成分を重合せしめることで架橋構造を有するポリエステル樹脂でもよい。
ポリエステル樹脂の合成に用いられるポリオールの中、ジオール類としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等が挙げられる。
またフェノール類としては、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA等のビスフェノールAアルキレンオキシド付加物や、その他1,2,4−ベンゼントリオール、ヒドロキノン等が挙げられる。
またポリエステルの架橋化に関わる3価以上のポリオールとしては、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスルトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、蔗糖等が挙げられる。
一方、多塩基酸としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、及びこれらの酸無水物もしくは低級アルキルエステル等が挙げられる。
またポリエステル樹脂の架橋化に関わる3価以上の多塩基酸としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサトリカルボン酸、及びこれらの酸無水物、低級アルキルエステル等が挙げられる。
(電荷制御剤)
本発明の実施形態のトナーに用いられる電荷制御剤としては、ニグロシン染料、金属アゾ化合物、サリチル酸金属塩、第四級アンモニウム塩等が挙げられる。これらは上記ポリエステル樹脂100重量部に対して0.5重量部〜3.0重量部の範囲で添加されることが好ましい。
本発明の実施形態のトナーに用いられる電荷制御剤としては、ニグロシン染料、金属アゾ化合物、サリチル酸金属塩、第四級アンモニウム塩等が挙げられる。これらは上記ポリエステル樹脂100重量部に対して0.5重量部〜3.0重量部の範囲で添加されることが好ましい。
(着色剤)
本発明の実施形態のトナーに用いられる着色剤としては、染料、顔料、カーボンブラック等が挙げられる。具体的には、ニグロシン染料、カーマイン染料、各種の塩基性染料、酸性染料、油性染料、アントラキノン染料、ベンジジン系黄色有機顔料、キナントリン系有機顔料、ローダミン系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタンなどであるが、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラックを用いることが好ましい。これらカーボンブラックの中でも樹脂中での分散性に優れた1次粒子径が15nm〜30nmのものが好ましく、また生産時において他の原材料特性を損なうことのない酸性(pH7以下)のものが好ましい。これらは上記ポリエステル樹脂100重量部に対して3重量部〜20重量部の範囲で添加されることが好ましい。本実施形態のトナーには、含有率が10重量%以上の割合で着色剤が含まれている。
本発明の実施形態のトナーに用いられる着色剤としては、染料、顔料、カーボンブラック等が挙げられる。具体的には、ニグロシン染料、カーマイン染料、各種の塩基性染料、酸性染料、油性染料、アントラキノン染料、ベンジジン系黄色有機顔料、キナントリン系有機顔料、ローダミン系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタンなどであるが、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラックを用いることが好ましい。これらカーボンブラックの中でも樹脂中での分散性に優れた1次粒子径が15nm〜30nmのものが好ましく、また生産時において他の原材料特性を損なうことのない酸性(pH7以下)のものが好ましい。これらは上記ポリエステル樹脂100重量部に対して3重量部〜20重量部の範囲で添加されることが好ましい。本実施形態のトナーには、含有率が10重量%以上の割合で着色剤が含まれている。
(離型剤)
本発明の実施形態のトナーに用いられる離型剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、アミドワックス等の合成系ワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス等の動植物系ワックスが望ましく、中でもDSC(示差走査型熱量測定)による吸熱ピーク値で60℃〜100℃が特に望ましい。
本発明の実施形態のトナーに用いられる離型剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、アミドワックス等の合成系ワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス等の動植物系ワックスが望ましく、中でもDSC(示差走査型熱量測定)による吸熱ピーク値で60℃〜100℃が特に望ましい。
離型剤は、トナー中に分散され、記録媒体に転写されたトナー像を加熱圧着させる定着ローラによるトナー像の定着時にトナー表面に溶出することで、離型性を発現させるオフセット防止剤として働く。故に、離型剤の融点及びトナー中における分散状態はオフセット防止に大きく関与している。離型剤のDSCにおける吸熱ピークが60℃以下の場合、トナー粉砕時での衝突板への融着などによりトナーの製造上困難となる。一方、吸熱ピークが100℃以上の場合、定着時において離型剤が十分に溶出できず定着ローラへの巻きつき等の問題が発生する。
離型剤の酸価は10.0mgKOH/g以下が望ましく、さらに望ましくは4.0mgKOH/g以下である。離型剤の酸価が10.0mgKOH/g以上の場合、ポリエステル樹脂に対する親和性が増し、離型剤が定着時にトナー表面に溶出し難くなるためオフセットの原因となる。離型剤の添加量は上記ポリエステル樹脂100重量部に対して0.5重量部〜10.0重量部が望ましく、さらに望ましくは1.5重量部〜8.5重量部である。離型剤の添加量が1.5重量部以下の場合は離型剤のホットオフセット防止効果が期待できず、8.5重量部以上の場合はフィルミング等の現象が発生する虞がある。
本発明の実施形態のキャリアは、磁性粒子からなる芯材、芯材を被覆する被覆層を形成する被覆用樹脂、被覆層に含まれる添加剤等から構成されている。
(磁性粒子)
本発明の実施形態のキャリアに用いられる磁性粒子としては、亜鉛系フェライト、ニッケル系フェライト、銅系フェライト、ニッケル−亜鉛系フェライト、マンガン−マグネシウム系フェライト、銅−マグネシウム系フェライト、マンガン−亜鉛系フェライト、マンガン−銅−亜鉛系フェライト等の粒子が挙げられる。これらのフェライト粒子は、原料を混合し、仮焼および粉砕を経た後に焼成して得られ、焼成温度を変化させることにより、粒子の表面形状を変化させることが可能となる。なお、フェライト粒子に限られずマグネタイト、鉄等からなる磁性粒子であってもよい。
本発明の実施形態のキャリアに用いられる磁性粒子としては、亜鉛系フェライト、ニッケル系フェライト、銅系フェライト、ニッケル−亜鉛系フェライト、マンガン−マグネシウム系フェライト、銅−マグネシウム系フェライト、マンガン−亜鉛系フェライト、マンガン−銅−亜鉛系フェライト等の粒子が挙げられる。これらのフェライト粒子は、原料を混合し、仮焼および粉砕を経た後に焼成して得られ、焼成温度を変化させることにより、粒子の表面形状を変化させることが可能となる。なお、フェライト粒子に限られずマグネタイト、鉄等からなる磁性粒子であってもよい。
(被覆用樹脂)
本発明の実施形態のキャリアに用いられる被覆用樹脂としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等があげられる。またポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂およびスチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロター10ポリマー、およびシリコーン樹脂等が使用できる。これらの被覆用樹脂が抵抗制御剤とともに磁性粒子を被膜する手段としては、抵抗制御剤を含む被覆樹脂の溶液中に浸漬する浸漬法、被覆樹脂溶液を磁性粒子表面へ噴霧するスプレー法、磁性粒子を流動エアーにより浮遊させた状態で噴霧する流動床法、ニーダーコーター中で磁性粒子と被覆樹脂溶液を混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
本発明の実施形態のキャリアに用いられる被覆用樹脂としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等があげられる。またポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂およびスチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロター10ポリマー、およびシリコーン樹脂等が使用できる。これらの被覆用樹脂が抵抗制御剤とともに磁性粒子を被膜する手段としては、抵抗制御剤を含む被覆樹脂の溶液中に浸漬する浸漬法、被覆樹脂溶液を磁性粒子表面へ噴霧するスプレー法、磁性粒子を流動エアーにより浮遊させた状態で噴霧する流動床法、ニーダーコーター中で磁性粒子と被覆樹脂溶液を混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
(添加剤)
本発明の実施形態のキャリアに用いられる添加剤としては、酸化ケイ素、アルミナ、カーボンブラック、グラファイト、酸化亜鉛、チタンブラック、酸化鉄、酸化チタン、酸化スズ、チタン酸カリウム、チタン酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。添加剤は、磁性粒子と被覆用樹脂との接着性を向上させる。
本発明の実施形態のキャリアに用いられる添加剤としては、酸化ケイ素、アルミナ、カーボンブラック、グラファイト、酸化亜鉛、チタンブラック、酸化鉄、酸化チタン、酸化スズ、チタン酸カリウム、チタン酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。添加剤は、磁性粒子と被覆用樹脂との接着性を向上させる。
(実験例1)
本発明を実施例及び比較例により更に詳述する。
本発明を実施例及び比較例により更に詳述する。
まず、着色剤の含有率が10,12,15重量%のトナーを製造する。トナーの製造は、着色剤を含む全ての添加剤をより均一に分散させ、樹脂の特性を損なうことなく効率よく行う必要がある。そのため、結着樹脂と着色剤とを含有した原料混合物を公知の連続式2本ロール型混練機により加熱しながら混練した後、少なくとも同種または異種の結着樹脂と離型剤や電荷制御剤等の添加剤とを加え、エクストルーダーを用いて希釈混練することにより製造されることが好ましい。
具体的には、結着樹脂としてポリエステル樹脂(商品名:EP208、三洋化成工業株式会社製)60重量部に対して、カーボンブラック(商品名:♯44、粒子径24nm、三菱化学株式会社製)40重量部の割合で計量された原料10kgを、ヘンシェルミキサにて、撹拌羽根回転数毎分700回転の条件で3分間混合した。得られた原料混合物を、テーブルフィーダーにて連続式2本ロール型混練機に定量供給し、溶融混練を行って、混練物を得た。この混練物を冷却後、ハンマータイプの粉砕機にて粗砕し、混練粗砕物を得た。
着色剤の含有率が10重量%のトナーの製造においては、ポリエステル樹脂(商品名:EP208、三洋化成工業株式会社製)66重量部に対して、上記で得られた混練粗砕物25重量部、電荷制御剤(商品名:ボントロンS−34、オリエント化学株式会社製)4重量部および離型剤としてフィッシャートロプシュワックス(商品名:FT7010、融点(80)℃、日本精鑞製)5重量部の割合で10kgを計量し、ヘンシェルミキサにて撹拌羽根回転数毎分850回転の条件で2分間混合し、原料混合物を得た。
着色剤の含有率が12重量%のトナーの製造においては、ポリエステル樹脂(商品名:EP208、三洋化成工業株式会社製)61重量部に対して、上記で得られた混練粗砕物30重量部、電荷制御剤(商品名:ボントロンS−34、オリエント化学株式会社製)4重量部および離型剤としてフィッシャートロプシュワックス(商品名:FT7010、融点(80)℃、日本精鑞製)5重量部の割合で10kgを計量し、ヘンシェルミキサにて撹拌羽根回転数毎分850回転の条件で2分間混合し、原料混合物を得た。
着色剤の含有率が15重量%のトナーの製造においては、ポリエステル樹脂(商品名:EP208、三洋化成工業株式会社製)53.5重量部に対して、上記で得られた混練粗砕物37.5重量部、電荷制御剤(商品名:ボントロンS−34、オリエント化学株式会社製)4重量部および離型剤としてフィッシャートロプシュワックス(商品名:FT7010、融点(80)℃、日本精鑞製)5重量部の割合で10kgを計量し、ヘンシェルミキサにて撹拌羽根回転数毎分850回転の条件で2分間混合し、原料混合物を得た。
得られたそれぞれの原料混合物を、押出し混練機(商品名:PCM−30、池貝鉄工株式会社製)を用いて溶融混練し、スピードミルにて粗粉砕した。得られた粗砕物をI型ジェットミルにて粉砕した後、エルボージェット分級機を用いて分級を行い、着色剤の含有率10,12,15重量%の体積平均粒径(D50)が6.7μmのトナーを製造した。なお、トナーの体積平均粒径は、コールター社製マルチサイザーII測定機を用いて測定した。
上述の着色剤の含有率10,12,15重量%のトナーのそれぞれについて、図2に示す誘電体損値(tanδ)及びトナー微粒子の含有率が異なる実施例1〜15及び比較例1〜8を製造した。
誘電体損値は、選択した結着樹脂の種類、各種添加剤の種類及び部数、更に混練条件等により変化させることができる。本実施形態では、押出し混練機の運転条件(混練条件)を以下のように設定することで、所望の誘電体損値となるように各実施例1〜15及び比較例1〜8を製造した。
実施例1〜4、11〜13及び比較例1,2のトナーの製造では、押出し混練機の運転条件を、シリンダ設定温度120℃、バレル回転数毎分300回転、原料混合物供給速度15kg/時間とした。
実施例5のトナーの製造では、押出し混練機の運転条件を、シリンダ設定温度110℃、バレル回転数毎分390回転、原料混合物供給速度10kg/時間とした。
実施例6のトナーの製造では、押出し混練機の運転条件を、シリンダ設定温度110℃、バレル回転数毎分370回転、原料混合物供給速度10kg/時間とした。
実施例7のトナーの製造では、押出し混練機の運転条件を、シリンダ設定温度110℃、バレル回転数毎分350回転、原料混合物供給速度10kg/時間とした。
実施例8のトナーの製造では、押出し混練機の運転条件を、シリンダ設定温度130℃、バレル回転数毎分300回転、原料混合物供給速度15kg/時間とした。
実施例9のトナーの製造では、押出し混練機の運転条件を、シリンダ設定温度130℃、バレル回転数毎分280回転、原料混合物供給速度15kg/時間とした。
実施例10のトナーの製造では、押出し混練機の運転条件を、シリンダ設定温度130℃、バレル回転数毎分260回転、原料混合物供給速度15kg/時間とした。
実施例14,15、比較例7,8のトナーの製造では、押出し混練機の運転条件を、シリンダ設定温度120℃、バレル回転数毎分300回転、原料混合物供給速度15kg/時間とした。
比較例3のトナーの製造では、押出し混練機の運転条件を、シリンダ設定温度100℃、バレル回転数毎分390回転、原料混合物供給速度6kg/時間とした。
比較例4のトナーの製造では、押出し混練機の運転条件を、シリンダ設定温度100℃、バレル回転数毎分390回転、原料混合物供給速度8kg/時間とした。
比較例5のトナーの製造では、押出し混練機の運転条件を、シリンダ設定温度130℃、バレル回転数毎分240回転、原料混合物供給速度15kg/時間とした。
比較例6のトナーの製造では、押出し混練機の運転条件を、シリンダ設定温度140℃、バレル回転数毎分240回転、原料混合物供給速度15kg/時間とした。
また、誘電体損値は、安藤電気社製の誘電体測定装置(TRS−10T型、)、発振器(WBG−9型)、平衡点検出器(BDA−9形)、恒温槽(TO−19形)、固体用電極(SE−70形)を用いて測定した。測定原理として、誘電率を測定する基本的な方法である公知のブリッジ法を用いた。
トナー微粒子の含有率は、製造されたトナー中に含まれる粒径が0.6μm〜2.0μmのトナー微粒子の含有率を示す。この含有率は、粉砕分級条件により変化させることができる。本実施形態では、エルボージェット分級機のエッジの位置を調整することにより、所望のトナー微粒子の含有率となるように実施例1〜15、比較例1〜8を製造した。
トナー微粒子の含有率は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子)を用いて測定した。
キャリアは、芯材としてMn−Mg系フェライト粒子(商品名:EFキャリア、体積平均粒子径(D50)50μm、パウダーテック株式会社製)を用い、被覆用樹脂としてシリコーン樹脂(商品名:SR2411、東レダウコーニング社製)用いた。
キャリアは、導電性微粉末(添加剤)として酸化チタン(商品名:ECTT−1、チタン工業株式会社製)を被覆用樹脂に添加して更に混合し、トルエン溶剤で希釈させる。その後、流動床を用いて芯材の表面を被覆用樹脂で被覆し、被膜を乾燥、硬化させることで製造を行った。
また、このキャリアは、被覆量が芯材の重量に対して20重量%、導電性微粉末の被覆層中の含有率が5重量%となるように製造した。具体的には、シリコーン樹脂(商品名:SR2411、東レダウコーニング社製)95重量%(固形分換算)に対して、導電性微粉末(添加剤)として酸化チタン(商品名:ECTT−1、チタン工業株式会社製)5重量%の割合で混合し、得られた混合物をトルエンで希釈して固形分10重量%の被覆樹脂溶液を調製した。次に、Mn−Mg系フェライト粒子(商品名:EFキャリア、体積平均粒子径50μm、パウダーテック株式会社製)を用いたキャリア芯材に、得られた被覆樹脂溶液を流動床法によって噴霧する。その際、焼付け後の被覆層の割合が後述する値になるように調整しながら噴霧する。その後、温度200℃で2時間加熱して焼付けを行うことで、被覆層の割合がキャリア芯材100重量部に対して20重量%、導電性微粉末の被覆層中の含有率が5重量%であるキャリアを製造した。
キャリアの体積平均粒径の測定方法は、試料約100gを0.1gの桁まで秤取して、149μm〜44μmの篩を用い、上から149μm、105μm、74μm、63μm、44μmの大きさの順に積み重ね底に受け皿を設置する。これを振動機によって水平回転数285rpm、振動回数150rpmで15分間振る。篩による分級の後、各受け皿の秤取し、重量百分率で算出した。これはJIS−H2601に準拠する。
このキャリアと実施例1〜15、比較例1〜8のトナーのそれぞれとを、現像剤中のトナー濃度を5.0重量%としてナウターミキサを用いて均一に混合し、図2に示す二成分現像剤を調製した。なお、トナー濃度は公知の方法により測定した。
このようにして得られた実施例1〜15、比較例1〜8の二成分現像剤を用い、感光体100の外径を30mm、プロセススピードが130mm/secに設定したSHARP製デジタル複写AR−260機(600dpi)を用い、温度23℃、相対湿度60%の環境下で、印字率6%のA4サイズの文字原稿を20,000枚連続してA4サイズの用紙に複写を行った。その後の現像スリーブ4の周面のトナー固着、画像濃度、トナーカブリ、トナー飛散を測定した。その結果を図3に示す。
トナー固着については、20,000枚複写後、清掃した現像スリーブ4の周面を目視することにより、固着度合いを判断した。画像濃度については、マクベス社製の反射濃度計RD918により、画像形成された用紙の黒ベタ部分を測定し、この測定値に応じて評価を行った。トナーカブリについては、用紙の白地部と、印字率6%のA4文字原稿の白色部とを同位置で日本電飾社製の白色度計Σ90にて測定し、測定した両方の値の比較からカブリの数値を算出した。この数値に基づいて評価を行った。トナー飛散については、複写された用紙を目視により確認した。
図3に示すように、0.6μm〜2.0μmの粒径のトナー微粒子の含有率を10個数%以下とすることで、現像スリーブ4へのトナーの固着を防止でき、トナーカブリやトナー飛散の発生を防止して画質を向上させることが可能となった。
以上の如く、粒径が0.6μm〜2.0μmの微粒子のトナーは、粉体流動性が悪く、離型性も大きく劣り、現像スリーブへのトナーの固着に大きく関与していることが明白である。
また、トナーの誘電体損値(tanδ)を3.0×10-3≦tanδ≦13.0×10-3とすることでも、現像スリーブ4へのトナーの固着を防止でき、トナーカブリを減少させ、且つトナー飛散の発生を防ぎ、また充分な画像濃度を得ることが可能となった。
ここで、トナーの誘電体損値(tanδ)が2.5×10-3≦tanδ≦16.0×10-3の範囲内であれば図3に示すように評価上「×」は含まれない許容範囲内である。したがって、3.0×10-3≦tanδ≦13.0×10-3の範囲に限らず2.5×10-3≦tanδ≦16.0×10-3の範囲内からトナーの性質等を考慮して適宜選択してもよい。なお、スリーブ固着、画像濃度のみに関していえば3.0×10-3≦tanδ≦16.0×10-3の範囲が最も評価が良好となり、スリーブ固着、画像濃度、トナーカブリ、トナー飛散に関していえば3.0×10-3≦tanδ≦13.0×10-3の範囲が最も評価が良好となる。
(実験例2)
上述の実験例1で行った製造方法で導電性微粉末の含有率を異なる値に設定して製造されたキャリアを用いて図4に示す実施例4,16〜21、比較例9〜11の二成分現像剤を製造した。実施例4は、実験例1で用いた実施例4と同じ二成分現像剤である。
上述の実験例1で行った製造方法で導電性微粉末の含有率を異なる値に設定して製造されたキャリアを用いて図4に示す実施例4,16〜21、比較例9〜11の二成分現像剤を製造した。実施例4は、実験例1で用いた実施例4と同じ二成分現像剤である。
これらの二成分現像剤を用いて上述と同じように感光体100の外径を30mm、プロセススピードが130mm/secに設定したSHARP製デジタル複写AR−260機(600dpi)を用い、温度23℃、相対湿度60%の環境下で、印字率6%のA4文字原稿を10,000枚及び20,000枚を連続して複写した。現像スリーブ4の周面のトナー帯電量、画像濃度、トナーカブリを測定した。その結果を図5に示す。なお、トナー帯電量は、公知の方法により測定した。
図5に示すように、被覆層中の導電性微粉末の含有率が0.0重量%より大きく、8.0重量%以下となるように被覆層を形成することで、キャリアに適度な導電性を付与できるので、キャリアへの電荷の蓄積現象を抑制し、画像濃度不足やトナーカブリを抑制することが可能となった。これによって、長期間に渡ってトナーの帯電量を安定させることができ、高品質な画像を安定して形成することができる。
(実験例3)
上述の実験例1で行った製造方法で被覆量を異なる値に設定して製造されたキャリアを用い、図6に示す実施例4,22〜24、比較例12,13の二成分現像剤を製造した。実施例4は、実験例1で用いた実施例4と同じ二成分現像剤である。これらの二成分現像剤を用いて実験例1と同じように用紙に複写を行い、現像スリーブ4の周面のトナー固着、画像濃度、トナーカブリ、トナー飛散を測定した。その結果を図7に示す。
上述の実験例1で行った製造方法で被覆量を異なる値に設定して製造されたキャリアを用い、図6に示す実施例4,22〜24、比較例12,13の二成分現像剤を製造した。実施例4は、実験例1で用いた実施例4と同じ二成分現像剤である。これらの二成分現像剤を用いて実験例1と同じように用紙に複写を行い、現像スリーブ4の周面のトナー固着、画像濃度、トナーカブリ、トナー飛散を測定した。その結果を図7に示す。
図7に示すように、被覆量を芯材の重量に対して5重量%〜20重量%とすることで、トナーカブリ、トナー飛散が発生することを抑制することができ、より充分な画像濃度を得ることが可能となった。
(実験例4)
上述の実験例1で行った製造方法で芯材の粒径の異なるMn−Mg系フェライト粒子(商品名:EFキャリア、パウダーテック株式会社製)を用いて製造した粒径の異なるキャリアを用いて図8に示す実施例4,25〜27、比較例14,15の二成分現像剤を製造した。実施例4は、実験例1で用いた実施例4と同じ二成分現像剤である。これらの二成分現像剤を用いて実験例1と同じように用紙に複写を行い、現像スリーブ4の周面のトナー固着、画像濃度、トナーカブリ、トナー飛散を測定した。その結果を図9に示す。
上述の実験例1で行った製造方法で芯材の粒径の異なるMn−Mg系フェライト粒子(商品名:EFキャリア、パウダーテック株式会社製)を用いて製造した粒径の異なるキャリアを用いて図8に示す実施例4,25〜27、比較例14,15の二成分現像剤を製造した。実施例4は、実験例1で用いた実施例4と同じ二成分現像剤である。これらの二成分現像剤を用いて実験例1と同じように用紙に複写を行い、現像スリーブ4の周面のトナー固着、画像濃度、トナーカブリ、トナー飛散を測定した。その結果を図9に示す。
図9に示すように、キャリアの体積平均粒径を50μm以上80μm以下とすることで、トナーカブリ、トナー飛散が発生することを抑制することができ、より充分な画像濃度を得ることが可能となった。また、キャリア上がり現象による画像の白抜けも防止することが可能となった。
(実験例5)
上述の実験例1で行った製造方法で二成分現像剤中のトナー濃度を異なる値とした図10に示す実施例4,25〜27、比較例14,15の二成分現像剤を製造した。これらの二成分現像剤を用いて実験例1と同じように用紙に複写を行い、現像スリーブ4の周面のトナー固着、画像濃度及びカブリを測定した。その結果を図11に示す。なお、複写中の現像槽11内のトナー濃度は、上述したように制御部50によるトナーの補給制御によって各トナー濃度値に維持されている。
上述の実験例1で行った製造方法で二成分現像剤中のトナー濃度を異なる値とした図10に示す実施例4,25〜27、比較例14,15の二成分現像剤を製造した。これらの二成分現像剤を用いて実験例1と同じように用紙に複写を行い、現像スリーブ4の周面のトナー固着、画像濃度及びカブリを測定した。その結果を図11に示す。なお、複写中の現像槽11内のトナー濃度は、上述したように制御部50によるトナーの補給制御によって各トナー濃度値に維持されている。
図11に示すように、二成分現像剤のトナー濃度を3.5重量%以上8.0重量%以下とすることで、トナーカブリ、トナー飛散が発生することを抑制することができ、より充分な画像濃度を得ることが可能となった。
1−現像装置
4−現像スリーブ
6−トナー濃度センサ
50−制御部
100−感光体
Y−現像領域
4−現像スリーブ
6−トナー濃度センサ
50−制御部
100−感光体
Y−現像領域
Claims (6)
- 芯材及び前記芯材の表面を覆う被覆層を有するキャリアと、少なくとも結着樹脂、電荷制御剤、離型剤及び着色剤を含有するトナーと、からなって現像装置内部に収容される二成分現像剤において、
前記トナーは、前記着色剤の含有率が前記トナーの重量に対して10(重量%)以上であり、前記現像装置内部に収容される前記トナーのうち粒径が0.6(μm)〜2.0(μm)のトナーの含有率が10(個数%)以下であることを特徴とする二成分現像剤。 - 前記トナーは、誘電体損値(tanδ)が3.0×10-3以上13.0×10-3以下であることを特徴とする請求項1に記載の二成分現像剤。
- 前記キャリアの被覆層は、被覆層中の導電性微粉末の含有率が0.0(重量%)より大きく、8.0(重量%)以下であるすることを特徴とする請求項1記載の二成分現像剤。
- 前記キャリアの被覆層は、被覆量が前記芯材の重量に対して5(重量%)以上20(重量%)以下であることを特徴とする請求項1に記載の二成分現像剤。
- 前記キャリアは、体積平均粒径が50(μm)以上80(μm)以下であることを特徴とする請求項1に記載の二成分現像剤。
- 請求項1〜5の何れかに記載の二成分現像剤を収容する現像槽と、
前記現像槽に収容された二成分現像剤中のトナー濃度を検出するトナー濃度センサと、
前記トナー濃度センサの検出値を3.5(重量%)以上8.0(重量%)以下に制御するように構成された制御部と、を備えたことを特徴とする現像装置。
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Cited By (2)
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JP2013205844A (ja) * | 2012-03-29 | 2013-10-07 | Xerox Corp | トナープロセス |
JP2014186055A (ja) * | 2013-03-21 | 2014-10-02 | Fuji Xerox Co Ltd | 画像形成方法及び圧着はがきの製造方法 |
-
2006
- 2006-08-02 JP JP2006211005A patent/JP2008039916A/ja active Pending
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