JP2008039598A - 石油類容器用金属材料の局部腐食性評価方法 - Google Patents
石油類容器用金属材料の局部腐食性評価方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2008039598A JP2008039598A JP2006214610A JP2006214610A JP2008039598A JP 2008039598 A JP2008039598 A JP 2008039598A JP 2006214610 A JP2006214610 A JP 2006214610A JP 2006214610 A JP2006214610 A JP 2006214610A JP 2008039598 A JP2008039598 A JP 2008039598A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- corrosion
- metal material
- local
- petroleum
- test
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Testing Resistance To Weather, Investigating Materials By Mechanical Methods (AREA)
Abstract
【解決手段】石油類を収容する容器に用いられる金属材料の局部腐食性評価方法において、金属材料を用いて作製された金属片を、水またはNaCl水溶液とS粉末とを混合した溶液に接触させて腐食させ、当該腐食させた金属片の平均腐食深さと表面の粗さ測定値を合計して、当該腐食させた金属片の最大腐食深さを測定することにより、金属材料の局部腐食性を評価することを特徴とする。また、金属材料として鋼材を用いることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
また、石油類容器の金属材料で生じる局部腐食は孔食となる場合が多いが、このような孔食を簡便に評価する方法として、塩化第二鉄溶液を用いてステンレス鋼(鋼材)の耐孔食性を調べる方法がJIS G0578に定められている。この方法は、35℃または50℃における6質量%塩化第二鉄溶液に試験片を24時間浸漬して、質量変化より腐食度を評価するものである。
海上安全研究領域 材料信頼性研究グループ「模擬原油タンクにおける孔食再現試験」独立行政法人海上技術安全研究所 研究発表会講演集 2003年6月 p.1‐4
実環境での暴露試験では、試験期間に数年程度の長期間を要することに加えて、局部腐食は確率論的に発生するために、大面積の試験片が必要になるという問題があった。
また、JIS G0578に定められている方法は、ステンレス鋼材に対しては短時間で耐食性を評価できる方法として有効であるが、炭素鋼材や低合金鋼材には、環境条件が厳しすぎて適用できないという問題があった。
さらに、非特許文献1に記載の方法は、タンカーの原油タンクにおける局部腐食を高精度で評価することが可能であるが、専用の評価試験設備が必要であることに加え、評価期間も6ヶ月程度と、暴露試験ほどではないが、比較的長期間を要するという問題があった。
すなわち、請求項1に係る石油類容器用金属材料の局部腐食性評価方法は、石油類を収容する容器に用いられる金属材料の局部腐食性評価方法において、前記金属材料を用いて作製された金属片を、水またはNaCl水溶液とS粉末とを混合した溶液に接触させて腐食させ、当該腐食させた金属片の最大腐食深さを測定することにより、前記金属材料の局部腐食性を評価することを特徴とする。
このような構成によれば、金属材料として鋼材を使用することで、鋼材を使用した石油類容器における実機での局部腐食性評価を迅速かつ簡便に、また、高精度で行うことができる。
本発明の評価方法では、まず、金属材料を用いて作製された金属片を、水またはNaCl水溶液(以下、適宜「溶媒」という)とS粉末とを混合した溶液に接触させて腐食させる(腐食試験)。次に、この腐食試験で腐食させた金属片の最大腐食深さを測定することにより局部腐食性を評価する。
試験片として用いる金属片は、実機における局部腐食部を模擬するものである。この金属片は、転炉溶製により金属材料の原料を溶製して、所定の化学成分を有する金属材料を作製し、この金属材料から所定の大きさに切り出して作製する。そして、この金属片の全面を研磨仕上げし、水洗およびアセトン洗浄を行って腐食試験用の試験片とする。
油類容器用に用いられる金属材料としては、機械特性や経済性の観点から鋼材を用いることが多いが、試験片の金属材料として鋼材を用いることにより、鋼材を使用した石油類容器における実機での局部腐食性評価を、迅速かつ簡便に、また、高精度で行うことができる。
また、腐食反応が進行するための導電性を確保するため、水の代わりに、NaCl水溶液を用いることがさらに好ましい。
NaCl水溶液としては、前記した水に、NaCl濃度が0.5〜30質量%となるようにNaClを添加することが好ましい。NaCl濃度が0.5質量%未満であると、導電性が低いため腐食を再現しにくい。また、NaCl濃度が30質量%を超えると、塩が析出して油類容器の腐食を正確に再現できない場合があるため好ましくない。したがって、NaCl濃度は、0.5〜30質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
処理温度が低すぎると、局部腐食反応の進行が遅いため、正確な測定が可能な局部腐食深さを得るのに長時間を要する。一方、処理温度が高すぎると、局部腐食が激しすぎて金属材料の局部腐食特性の違いが現れにくい。したがって、処理温度は20〜80℃が好ましく、25〜60℃がより好ましい。
最大腐食深さを測定する方法としては、腐食試験前後の試験片(金属片)の質量変化から平均腐食深さを求め、さらに腐食試験後の表面の粗さを測定して測定値を求め、この平均腐食深さと表面の粗さの測定値を合計することにより、最大腐食深さを測定することが好ましい。また、精度の良い測定を行うために、腐食試験後の質量および表面の粗さの測定の前には、腐食生成物を除去することが好ましい。腐食生成物の除去方法としては、インヒビターを添加した酸等、適切な除去液に浸漬させる方法、クエン酸水素二アンモニウム水溶液等を用いた陰極電解法、あるいはウォータージェット法等を用いることが可能である。
なお、実機での使用面積とは、本発明で評価対象としている環境、すなわち、実機において、石油類と接触している材料の総面積を意味する。また、腐食発生面積とは、発生した局部腐食の総面積を意味する。
参照する図面において、図1は、腐食試験後の試験片断面における最大腐食深さを示す説明図であり、図2は、最大腐食深さの極値プロットを示す極値プロット図である。
なお、本発明の評価方法における評価結果と、従来の評価方法における評価結果との整合性を示すため、従来の評価方法(暴露試験)における評価結果を合わせて示す。
[試験方法]
転炉溶製により鋼材の原料を溶製して、表1に示すAからDの化学成分を有する鋼材を作製し、この鋼材から30×30×5(mm)の大きさの金属片を切り出した。切り出した金属片の全面を湿式回転研磨機(研磨紙;#600)で研磨仕上げし、水洗およびアセトン洗浄を行って腐食試験用の試験片とした。この試験片を使用して、以下の腐食試験を行った。
前記腐食試験を行って求めた鋼材A、B、CおよびDの最大腐食深さについて、極値プロットを行った。この極値プロット(ガンベル分布)を図2に示す。図2は、Aは30個、Bは6個、Cは10個、Dは8個の試験片について、最大腐食深さを求め、それぞれ小さい順に並べて平均ランク法によりプロットした結果である。なお、縦軸は、再帰期間および累積確率、横軸は、最大腐食深さである。最大腐食深さは確率論的にばらついており、ガンベル分布に従っている。すなわち、実機での使用面積が広ければ広いほど、最大腐食深さは深くなることを意味するものである。
なお、本結果によれば、鋼材B、鋼材Cおよび鋼材Dの最大腐食深さは、ぞれぞれ、鋼材Aの35.7%、30.0%および28.1%と評価される。
[試験方法]
原油の貯蔵容器内に、表3に示すA、B、CおよびDの鋼材を暴露して、本発明に係る評価方法との相関関係を調べた。用いた試験片は、大きさが1000×1000×19(mm)であり、貯蔵容器底に平行に設置して原油(クエート産)に暴露した。なお、使用した鋼材は、前記の本発明に係る評価方法と同様の方法で作製した。5年間の暴露後に試験片を取り出して、ウォータージェット法により錆等の腐食生成物を除去し、デプスゲージを用いて腐食部の腐食深さを測定した。
前記試験を行って求めた鋼材A、B、CおよびDの最大腐食深さを表3に示す。
以上説明したように、本発明に係る石油類容器用金属材料の局部腐食性評価方法によれば、各種鋼材の実機での使用面積における最大腐食深さを簡便に求めることができる。この最大腐食深さを元に、各鋼材での最大腐食深さの違い等から、石油類容器用金属材料における実機での耐食性評価を迅速かつ簡便に、また、高精度で行うことができる。
A 質量変化(平均腐食深さ)
B 粗さ測定値
Claims (2)
- 石油類を収容する容器に用いられる金属材料の局部腐食性評価方法において、
前記金属材料を用いて作製された金属片を、水またはNaCl水溶液とS粉末とを混合した溶液に接触させて腐食させ、当該腐食させた金属片の最大腐食深さを測定することにより、前記金属材料の局部腐食性を評価することを特徴とする石油類容器用金属材料の局部腐食性評価方法。 - 前記金属材料が鋼材であることを特徴とする請求項1に記載の石油類容器用金属材料の局部腐食性評価方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006214610A JP4690962B2 (ja) | 2006-08-07 | 2006-08-07 | 石油類容器用金属材料の局部腐食性評価方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006214610A JP4690962B2 (ja) | 2006-08-07 | 2006-08-07 | 石油類容器用金属材料の局部腐食性評価方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008039598A true JP2008039598A (ja) | 2008-02-21 |
JP4690962B2 JP4690962B2 (ja) | 2011-06-01 |
Family
ID=39174775
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006214610A Expired - Fee Related JP4690962B2 (ja) | 2006-08-07 | 2006-08-07 | 石油類容器用金属材料の局部腐食性評価方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4690962B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009222395A (ja) * | 2008-03-13 | 2009-10-01 | Asahi Kasei Engineering Kk | タンク底板の最大腐食速度推定方法 |
CN102400205A (zh) * | 2010-09-19 | 2012-04-04 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种快速评价沟槽腐蚀性能的电解质溶液 |
JP2017090238A (ja) * | 2015-11-10 | 2017-05-25 | 日本電信電話株式会社 | 予測方法 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104422648B (zh) * | 2013-08-30 | 2018-01-30 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种油井管材料沉积硫腐蚀试验方法及其试验用夹具 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002228575A (ja) * | 2001-02-01 | 2002-08-14 | Asahi Eng Co Ltd | タンク鋼板の腐食診断システム |
JP2004250754A (ja) * | 2003-02-20 | 2004-09-09 | Kobe Steel Ltd | 耐局部腐食性に優れた鋼材および腐食試験方法 |
JP2005021981A (ja) * | 2003-02-26 | 2005-01-27 | Nippon Steel Corp | 耐食性に優れた溶接継手 |
-
2006
- 2006-08-07 JP JP2006214610A patent/JP4690962B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002228575A (ja) * | 2001-02-01 | 2002-08-14 | Asahi Eng Co Ltd | タンク鋼板の腐食診断システム |
JP2004250754A (ja) * | 2003-02-20 | 2004-09-09 | Kobe Steel Ltd | 耐局部腐食性に優れた鋼材および腐食試験方法 |
JP2005021981A (ja) * | 2003-02-26 | 2005-01-27 | Nippon Steel Corp | 耐食性に優れた溶接継手 |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009222395A (ja) * | 2008-03-13 | 2009-10-01 | Asahi Kasei Engineering Kk | タンク底板の最大腐食速度推定方法 |
CN102400205A (zh) * | 2010-09-19 | 2012-04-04 | 宝山钢铁股份有限公司 | 一种快速评价沟槽腐蚀性能的电解质溶液 |
JP2017090238A (ja) * | 2015-11-10 | 2017-05-25 | 日本電信電話株式会社 | 予測方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4690962B2 (ja) | 2011-06-01 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Mohd et al. | Investigation of the corrosion progress characteristics of offshore subsea oil well tubes | |
Prosek et al. | Low-temperature stress corrosion cracking of austenitic and duplex stainless steels under chloride deposits | |
Mohebbi et al. | Experimental investigation on corrosion of cast iron pipes | |
Bhandari et al. | Accelerated pitting corrosion test of 304 stainless steel using ASTM G48; Experimental investigation and concomitant challenges | |
JP4695560B2 (ja) | 石油類容器用低合金鋼材の局部腐食性評価方法 | |
Tyusenkov | Chemical resistance of steel 13CrV (rus 13ХФА) | |
JP4690962B2 (ja) | 石油類容器用金属材料の局部腐食性評価方法 | |
Ikechukwu et al. | Studies on corrosion characteristics of carbon steel exposed to Na2CO3, Na2SO4 and NaCl solutions of different concentrations | |
Jasim | Evaluation the effect of velocity and temperature on the corrosion rate of crude oil pipeline in the presence of CO2/H2S dissolved gases | |
Dobson et al. | Corrosion mechanisms of plasma welded Nickel aluminium bronze immersed in seawater | |
He et al. | Unraveling short-term O2 contamination on under deposit corrosion of X65 pipeline steel in CO2 saturated solution | |
Torkkeli et al. | Mechanistic study of stress corrosion cracking of carbon steel in ethanol | |
Silva et al. | The effect of oxygen on the CO2 corrosion of tensile wires in simulated annulus environments of flexible pipes | |
Rodríguez-Bravo et al. | Corrosion Rate and Wear Mechanisms Comparison for Aisi 410 Stainles Steel Exposed to Pure Corrosion and Abrasion-corrosion in a Simulated Marine Environment. | |
JP6048445B2 (ja) | 金属腐食性評価方法 | |
Timmins | Failure control in process operations | |
Moloney et al. | In situ assessment of pitting corrosion and its inhibition using a localized corrosion monitoring technique | |
RU2235309C1 (ru) | Способ коррозионных испытаний сталей | |
Bergin | Alternating current corrosion of steel in seawater | |
Liang et al. | The Effects of Chloride Droplet Properties on the Underoil Corrosion of API X100 Pipeline Steel | |
Budiea et al. | Corrosion of API X70 steel due to near shore sediment | |
Barker et al. | Determining the Behavior of Sulfur Compounds in Controlling Preferential Weld Corrosion in CO2-saturated Brine | |
Trausmuth et al. | Oxygen-Free Sliding–CO2 Corrosion Test Rig for Evaluating the Performance of Corrosion Inhibitors for Steel Tubings | |
RU2770844C1 (ru) | Способ оценки защитной эффективности композиций, ингибирующих коррозионное растрескивание под напряжением трубных сталей | |
Keserovic | Geothermal systems in Indonesia: influence on the corrosion resistance of stainless steel materials |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080926 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20101119 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20101130 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110126 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110215 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110218 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 4690962 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140225 Year of fee payment: 3 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |