JP2008038744A - 内燃機関の圧縮比可変装置 - Google Patents

内燃機関の圧縮比可変装置 Download PDF

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茂 茨木
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Abstract

【課題】内燃機関の圧縮比可変装置において,ピストンアウタの上向き慣性力が,燃焼室からの下向き荷重より過大になったときは,ピストンアウタの低圧縮比位置から高圧縮比位置への移動を禁止するようにして,カム機構の耐久性を確保する。
【解決手段】ピストンアウタ5bの高圧縮比位置Hへの変位を許容すると共に,その高圧縮比位置Hを保持し得るカム機構151 と;ピストンアウタ5bの低圧縮比位置Lへの変位を許容すると共に,その低圧縮比位置Lを保持するロック機構152 と;これらカム機構151 及びロック機構152 の作動を圧縮比切換領域判定手段M1に従って制御する制御装置50と;を備える,内燃機関の圧縮比可変装置において,制御装置50を,これが圧縮比切換領域判定手段M1から高圧縮比領域Haと判定しても,機関Eの所定の高回転且つ低負荷運転領域Pでは,前記カム機構151 の作動を禁止するように構成した。
【選択図】 図1

Description

本発明は,コンロッドにピストンピンを介して連結されるピストンインナと;ヘッド部を機関の燃焼室に臨ませながらピストンインナの外周に軸方向摺動可能に嵌合し,慣性力により前記燃料室寄りの高圧縮比位置と,それと反対側の低圧縮比位置との間をピストンインナに対して変位するピストンアウタと;ピストンインナ及びピストンアウタ間に構成されて,ピストンアウタの高圧縮比位置への変位を許容すると共に,ピストンアウタが高圧縮比位置に変位したときその高圧縮比位置を保持し得るカム機構と;同じくピストンインナ及びピストンアウタ間に構成されて,ピストンアウタの低圧縮比位置への変位を許容すると共に,ピストンアウタが低圧縮比位置へ変位したときその低圧縮比位置を保持するロック機構と;これらカム機構及びロック機構の作動を圧縮比切換領域判定手段に従って制御する制御装置と;を備える,内燃機関の圧縮比可変装置の改良に関する。
かゝる内燃機関の圧縮比可変装置は,特許文献1に開示されるように,既に知られている。
特開2005−54619号公報
かゝる内燃機関の圧縮比可変装置では,ピストンアウタを低圧縮比位置から高圧縮比位置へ切換制御する際には,アクチュエータによりカム機構を,ピストンアウタの高圧縮比位置側に付勢しながら,ピストンアウタがそれ自体の慣性力により高圧縮比位置に移動するのを待ち,ピストンアウタが高圧縮比位置に移動すれば,カム機構の作動によりピストンアウタは高圧縮比位置に保持される。この場合,ピストンアウタの高圧縮比位置への移動は,ピストンアウタの燃焼室側への慣性力(以下,上向き慣性力という。)が,燃焼室圧力によるピストンアウタへの荷重(以下,下向荷重という)よりも勝ったときに生じる。
しかしながら,カム機構がピストンアウタの低圧縮比位置から高圧縮比位置への移動を許容した場合,ピストンアウタの上向き慣性力が,燃焼室からの下向き荷重より過大になると,機関の圧縮行程終わりの上死点でもピストンアウタが高圧縮比位置へ移動することがあり,そうなると,カム機構がピストンアウタを高圧縮比位置に保持する作動を完了しないうちに,膨張行程に移ってしまい,燃焼室からの大なる下向き荷重がピストンアウタを介して,不完全作動状態のカム機構に加わることになり,その耐久性を損じることがある。
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,ピストンアウタの上向き慣性力が,燃焼室からの下向き荷重より過大になったときは,ピストンアウタの低圧縮比位置から高圧縮比位置への移動を禁止するようにして,カム機構の耐久性を確保し得る,前記内燃機関の圧縮比可変装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために,本発明は,コンロッドにピストンピンを介して連結されるピストンインナと;ヘッド部を機関の燃焼室に臨ませながらピストンインナの外周に軸方向摺動可能に嵌合し,慣性力により前記燃料室寄りの高圧縮比位置と,それと反対側の低圧縮比位置との間をピストンインナに対して変位するピストンアウタと;ピストンインナ及びピストンアウタ間に構成されて,ピストンアウタの高圧縮比位置への変位を許容すると共に,ピストンアウタが高圧縮比位置に変位したときその高圧縮比位置を保持し得るカム機構と;同じくピストンインナ及びピストンアウタ間に構成されて,ピストンアウタの低圧縮比位置への変位を許容すると共に,ピストンアウタが低圧縮比位置へ変位したときその低圧縮比位置を保持するロック機構と;これらカム機構及びロック機構の作動を圧縮比切換領域判定手段に従って制御する制御装置と;を備える,内燃機関の圧縮比可変装置において,前記制御装置を,これが圧縮比切換領域判定手段から高圧縮比領域と判定しても,機関の所定の高回転且つ低負荷運転領域では,前記カム機構の作動を禁止するように構成したことを第1の特徴とする。
尚,前記カム機構及びロック機構は,後述する本発明の実施例中の第1カム機構151 及び第2カム機構152 にそれぞれ対応し,また圧縮比切換領域判定手段は圧縮比切換領域判定マップM1に対応し,前記制御装置は電子制御ユニット50に対応する。
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記所定の高回転且つ低負荷運転領域が,機関の圧縮行程で,ピストンアウタの燃焼室側への慣性力が,燃焼室圧力によるピストンアウタへの荷重以上に増大する運転領域であることを第2の特徴とする。
本発明の第1の特徴によれば,機関が低圧縮比状態から高圧縮比状態へ切り換わるべき運転状態にあっても,所定の高回転且つ低負荷状態であれば,カム機構の作動を禁止することで,ロック機構による低圧縮比状態が保持され,過大な上向き慣性力による高圧縮比位置への変位を拘束することができ,これにより特に圧縮行程終わりの上死点でピストンアウタが過大な上向き慣性力により高圧縮比位置へ変位することを拘束することができ,その結果,次に膨張行程に移っても,燃焼室圧力により荷重が特に不完全作動状態の第1カム機構に加わることを未然に回避して,第1カム機構の耐久性を確保することができる。
本発明の第2の特徴によれば,圧縮行程終わりの上死点でピストンアウタが過大な上向き慣性力により高圧縮比位置へ変位することを確実に拘束することができる。
本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の一実施例に基づいて以下に説明する。
図1は本発明の圧縮比可変装置を備える内燃機関の要部縦断正面図,図2は図1の2−2線拡大断面図で低圧縮比状態を示す。図3は高圧縮比状態を示す,図2との対応図,図4は図2の4−4断面図,図5は図3の5−5線拡大断面図,図6は図2の6−6線断面図,図7は図3の7−7線断面図,図8は高圧縮比状態から低圧縮比状態への切り換え作用説明図,図9は低圧縮比状態から高圧縮比状態への切り換え作用図,図10は圧縮比切換領域マップを示す線図,図11は高圧縮比への切換禁止領域マップを示す線図,図12は電子制御ユニットの制御プログラミングの実行手順を示すフローチャートである。
先ず,図1〜図9により内燃機関Eの圧縮比可変装置の基本構成について説明する。
図1〜図3において,内燃機関Eにおいて,クランクケース3にベアリング8,8′を介して支承されるクランク軸9には,シリンダブロック2のシリンダボア2a内を昇降するピストン5にコンロッド7を介してピストン5が連接される。このピストン5は,ピストンピン6を介してコンロッド7の小端部7aに連結されるピストンインナ5aと,このピストンインナ5aの外周面に摺動可能に嵌合していて,ピストンインナ5a上で所定の低圧縮比位置L(図2参照)と高圧縮比位置H(図3参照)との間を移動し得るピストンアウタ5bとからなっており,そのピストンアウタ5bが,その外周に装着された複数のピストンリング10a〜10cを介してシリンダボア2aの内周面に摺動自在に嵌合すると共に,ヘッド部5bhをシリンダヘッド4の燃焼室4aに臨ませている。
ピストンインナ及びアウタ5a,5bの摺動嵌合面には,ピストン5の軸方向に延びて互いに係合する複数のスプライン歯11a及びスプライン溝11bがそれぞれ形成され,ピストンインナ及びアウタ5a,5bは,それらの軸線周りに相対回転できないようになっている。またピストンインナ5a及びピストンアウタ5bの軸方向相対移動を規制する止環18が,ピストンインナ5aを挟んでヘッド部5bhと反対でピストンアウタ5bの内周面に係止される。
ピストンインナ5aとヘッド部5bhとの間には,それらの間の第1軸方向間隔S1 を制御する第1カム機構151 が介裝され,またピストンインナ5a及び止環18間には,それらの間の第2軸方向間隔S2 を制御する第2カム機構152 が介裝される。これら第1及び第2カム機構151 ,152 により前記第1及び第2軸方向間隔S1 ,S2 を互いに反対に増減させることによって,ピストンアウタ5bは,ピストンインナ5aに対してピストンピン寄りの低圧縮比位置Lと,燃焼室4a寄りの高圧縮比位置Hとに交互に保持される。
図2,図3及び図6に示すように,第1カム機構151 は,ピストンアウタ5bのヘッド部5bh内壁に形成される上部の第1固定カム161 と,ピストンインナ5aの上面に一体に突設された枢軸部12に回動可能に嵌合しつゝピストンインナ5aの上面に支承される下部の第1回転カム板171 とからなっている。
第1回転カム板171 は,その軸線周りに設定される第1及び第2回転位置A,B間を回転し得るもので,その往復回転により第1固定カム161 と協働して,前記第1軸方向間隔S1 を増減させ得る。具体的には,第1固定カム161 は,周方向に並ぶ複数のカム山161 ,161 …で構成され,第1回転カム板171 には,同じく周方向に並ぶ複数のカム山171 ,171 …が一体に形成される。
而して,第1回転カム板171 が第1回転位置Aにあるときは,この第1回転カム板171 の隣接するカム山171 ,171 間の谷に上部の第1固定カム161 のカム山161 が出入り可能であり(図6の(a),(b)参照),その結果,ピストンアウタ5bの低圧縮比位置L又は高圧縮比位置Hへの移行が許容される。そして上下のカム山161 a,171 aが噛み合えば,第1カム機構151 は軸方向収縮状態となって前記第1軸方向間隔S1 を減少させることになる。
また第1回転カム板171 が第2回転位置Bにあるときは,第1回転カム板171 及び第1固定カム161 のカム山161 a,171 a同士が平坦な頂面を衝合させる(図6の(a)参照)ことで,第1カム機構151 は軸方向拡張状態となって,前記第1軸方向間隔S1 を増加させ,ピストンアウタ5bを高圧縮比位置Hに保持することになる。
ピストンインナ5a及び第1回転カム板171 間には,第1回転カム板171 を第1回転位置A及び第2回転位置Bへ交互に回転させる第1アクチュエータ201 が設けられる。
第1アクチュエータ201 は図2及び図4に示すような構成を有する。即ち,ピストンインナ5aには,ピストンピン6を挟んでそれと平行に延びる一対の有底のシリンダ孔211 ,211 と,各シリンダ孔211 の中間部の上壁を貫通する長孔291 ,291 とが設けられ,第1回転カム板171 の下面に一体的に突設されて,その直径線上に並ぶ一対の受圧ピン281 ,281 が上記長孔291 ,291 を通してシリンダ孔211 ,211 に臨ませてある。長孔291 ,291 は,受圧ピン281 ,281 が第1回転カム板171 と共に第1回転位置A及び第2回転位置B間を移動することを妨げないようになっている。
各シリンダ孔211 には,対応する受圧ピン281 を挟んで作動プランジャ231 及び有底円筒状の戻しプランジャ241 が摺動可能に嵌装される。その際,作動プランジャ231 ,231 同士及び戻しプランジャ241 ,241 同士は,それぞれピストン5の軸線に関して点対称に配置される。
各シリンダ孔211 内には,作動プランジャ231 の内端が臨む第1油圧室251 が画成され,該室251 に油圧を供給すると,その油圧を受けて作動プランジャ231 が受圧ピン281 を介して第1回転カム板171 を第2回転位置Bへ回転するようになっている。
また各シリンダ孔211 の開放側端部には,円筒状のばね保持筒351 が止環361 を介して係止され,このばね保持筒351 と前記戻しプランジャ241 との間に,その戻しプランジャ241 を受圧ピン281 側に付勢する戻しばね271 が縮設される。
而して,第1回転カム板171 の第1回転位置Aは,各シリンダ孔211 の底面に当接する作動プランジャ231 の先端に受圧ピン281 が当接することにより規定され,第1回転カム板171 の第2回転位置Bは,受圧ピン281 に押された戻しプランジャ241 がばね保持筒351 の先端に当接することにより規定される。
また図2,図3及び図6に示すように,第2カム機構152 は,ピストンインナ5aの下端壁に形成される上部の第2固定カム162 と,前記止環18上でピストンアウタ5bの内周面に回転可能に嵌合する下部の第2回転カム板172 とからなっている,ピストンアウタ5bの内周には,第2回転カム板172 の上面に当接する環状の肩部19が形成されており,この肩部19と前記止環18とで第2回転カム板172 は回転可能に挟持され,ピストンアウタ5bに対して軸方向の移動が阻止される。
第2回転カム板172 は,その軸線周りに設定される第3回転位置C及び第4回転位置D間を回転し得るもので,その往復回転により第2固定カム162 と協働して,前記第2軸方向間隔S2 を増減させるようになっている。具体的には,第2固定カム162 は,周方向に並ぶ複数のカム山162 a,162 a…で構成され,第2回転カム板172 には,同じく周方向に並ぶ複数のカム山172 a,172 a…が一体に形成される。
第2回転カム板172 の第3及び第4回転位置C,D間の回転角度は,前記第1回転カム板171 の第1及び第2回転位置A,B間の回転角度と同一に設定される。また第2固定カム162 及び第2回転カム板172 のカム山162 a,172 aの少なくとも有効高さは,前記第1固定カム161 及び第1回転カム板171 のカム山161 a,172 aのそれと同一に設定される。
而して,第2回転カム板172 が第3回転位置Cにあるときは,第2回転カム板172 及び第2固定カム162 のカム山162 a,172 a同士が平坦な頂面を衝合させる(図6の(d)参照)ことで,第2カム機構152 は軸方向拡張状態となって,前記第2軸方向間隔S2 を増加させ,ピストンアウタ5bを低圧縮比位置Lに保持する。
また第2回転カム板172 が第4回転位置Dにあるときは,この第2回転カム板172 の隣接するカム山172 a,172 a間の谷に第2固定カム162 のカム山162 aが出入り可能であり(図6の(a),(c)参照),その結果,ピストンアウタ5bの低圧縮比位置L又は高圧縮比位置Hへの移行が許容される。そして上下のカム山162 a,172 aが噛み合えば,第2カム機構152 は軸方向収縮状態となって前記第2軸方向間隔S2 の減少をすることになる。
ピストンインナ5a及び第2回転カム板172 間には,第2回転カム板172 を第3回転位置C及び第4回転位置Dへ交互に回転させる第2アクチュエータ202 が設けられる。
第2アクチュエータ202 は図2及び図6に示すような構成を有する。即ち,ピストンインナ5aには,ピストンピン6を挟んでそれと平行に延びる一対の有底のシリンダ孔212 ,212 と,各シリンダ孔212 の中間部の上壁を貫通する長孔292 ,292 とが設けられ,第2回転カム板172 の下面に一体的に突設されて,その直径線上に並ぶ一対の受圧ピン282 ,282 が上記長孔292 ,292 を通してシリンダ孔212 ,212 に臨ませてある。各長孔292 は,受圧ピン282 が第2回転カム板172 と共に第3回転位置C及び第4回転位置D間を移動することを妨げないようになっている。
各シリンダ孔212 には,対応する受圧ピン282 を挟んで作動プランジャ232 及び有底円筒状の戻しプランジャ242 が摺動可能に嵌装される。その際,作動プランジャ232 ,232 同士及び戻しプランジャ242 ,242 同士は,それぞれピストン5の軸線に関して点対称に配置される。
各シリンダ孔212 内には,作動プランジャ232 の内端が臨む第2油圧室252 が画成され,該室252 に油圧を供給すると,その油圧を受けて作動プランジャ232 が受圧ピン282 を介して第2回転カム板172 を第4回転位置Dへ回動するようになっている。
また各シリンダ孔212 の開放側端部には,円筒状のばね保持筒352 が止環362 を介して係止され,このばね保持筒352 と前記戻しプランジャ242 との間に,その戻しプランジャ242 を受圧ピン282 側に付勢する戻しばね272 が縮設される。こうして第2アクチュエータ202 は,前記第1アクチュエータ201 と対称的に構成される。
而して,第2回転カム板172 の第3回転位置Cは,各シリンダ孔212 ,212 の底面に当接する作動プランジャ232 ,232 の先端に受圧ピン282 ,282 が当接することにより規定され,第2回転カム板172 の第4回転位置Dは,受圧ピン282 に押された戻しプランジャ242 がばね保持筒352 の先端に当接することにより規定される。
以上において,第1回転カム板171 及び第1アクチュエータ201 ,並びに第2回転カム板172 及び第1アクチュエータ202 は,ピストンインナ5a及びピストンアウタ5bの慣性力の差や,ピストンアウタ5bがシリンダボア2aの内面から受ける摩擦抵抗,ピストンアウタ5bが燃焼室4a側から受ける負圧,正圧等,ピストンインナ5a及びアウタ5bを互いに軸方向に離間させたり近接させようと作用する外力により,ピストンアウタ5bが低圧縮比位置L及び高圧縮比位置H間を移動することを許容する。
再び図1及び図2において,前記ピストンピン6と,その中空部に圧入されたスリーブ40との間に筒状の油室41が画成され,この油室41を第1及び第2アクチュエータ201 ,202 の両油圧室251 ,252 に接続する第1及び第2分配油路421 ,422 がピストンピン6及びピストンインナ5aに渡り設けられる。また油室41は,ピストンピン6,コンロッド7及びクランク軸9に渡り設けられる油路44に接続され,この油路44は,電磁切換弁45を介して油圧源たるオイルポンプ46と,油溜め47とに切換可能に接続される。オイルポンプ46は電動モータ48により駆動される。
[高圧縮比位置から低圧縮比位置への切り換え]
いま,図8の(a)に示すように,ピストンアウタ5bが高圧縮比位置Hに保持されているとする。したがって,第1カム機構151 では,上下のカム山161 a,171 aが互いに頂面を対向させた軸方向拡張状態にあると共に,第2カム機構152 では上下のカム山162 a,172 aを互いに噛み合わせた軸方向収縮状態にある。
この状態において,電磁切換弁45を図1に示すように非通電状態,即ちオフ状態にして,油路44を油溜め47に開放すれば,第1及び第2アクチュエータ201 ,202 の油圧室251 ,252 は,何れも油室41及び油路44を通して油溜め47に開放されるので,第1アクチュエータ201 では,戻しプランジャ241 が戻しばね271 の付勢力で受圧ピン281 を押圧して,第1回転カム板171 を第1回転位置Aへ回転しようとし,第2アクチュエータ201 では,戻しプランジャ242 が戻しばね272 の付勢力で受圧ピン282 を押圧して,第2回転カム板172 を第3回転位置Cへ回転しようとする。
そこで,ピストン5が吸気行程に移ると,ピストンインナ5aには,ピストンアウタ5bに先行して下向きの慣性力が作用するため,第1カム機構151 は,ピストンインナ5a及びピストンアウタ5b間のスラスト荷重から解放される。したがって,先ず第1回転カム板171 が第1アクチュエータ201 の戻しばね271 の付勢力により受圧ピン281 を介して第1回転位置Aへ素早く回転する。その結果,図8の(b)に示すように,第1カム機構151 の上下のカム山161 a,171 aは互いに半ピッチずらした噛み合い可能の配置となる。
次にピストン5が圧縮行程の後半に来ると,ピストンインナ5aには,ピストンアウタ5bに先行して上向きの慣性力が作用するため,ピストンアウタ5bは,図8の(c)のように,第1カム機構151 の上下のカム山161 a,171 aを互いに噛み合せながら,即ち第1カム機構151 を軸方向に収縮させながら,ピストンインナ5aに対して相対的に下降し,低圧縮比位置Lを占めることになる。
このようにピストンアウタ5bがピストンインナ5aに対して相対的に下降すると,第2カム機構152 では,第2固定カム162 に対して第2回転カム板172 が下降することになり,それに伴ない上下のカム山162 a,172 aが噛み合い状態から解放されるので,第2回転カム板172 は第2アクチュエータ202 の戻しばね272 の付勢力により受圧ピン282 を介して第3回転位置Cへ素早く回転する。その結果,図8の(d)に示すように,第2カム機構152 の上下のカム山162 a,172 aは互いに平坦な頂面を当接対向させる。このような第2カム機構152 の軸方向拡張作用により,第2軸方向間隔S2 は増加して,ピストンアウタ5bの低圧縮比位置Lを保持することになり,内燃機関Eは低圧縮比状態となる。
[低圧縮比位置から高圧縮比位置への切り換え]
次に,内燃機関Eの高速運転時,電磁切換弁45を通電状態,即ちオン状態にして,油路44をオイルポンプ46に接続すると,オイルポンプ46の吐出油圧が油路44及び油室41を通して全油圧室251 ,252 に供給されるので,第1アクチュエータ201 では,作動プランジャ231 が第1油圧室251 の油圧を受けて受圧ピン281 を介して第1回転カム板171 を第2回転Bに向かって回転しようとし,第2アクチュエータ202 では,作動プランジャ232 が第2油圧室252 の油圧を受けて受圧ピン282 を介して第2回転カム板172 を第4回転位置Dに向かって回転しようとする。
そこで,ピストン5が排気行程に移ると,ピストンインナ5aがピストンアウタ5bに先行して上向きの慣性力を受けるため,ピストンインナ5a及び止環18間に介装された第2カム機構152 がスラスト荷重から解放される。したがって,先ず第2回転カム板172 が第2アクチュエータ202 の作動プランジャ232 の油圧による押圧力により受圧ピン282 を介して第4回転位置Dへ素早く回転する。その結果,図9の(b)に示すように,第2カム機構152 の上下のカム山162 a,172 aは互いに半ピッチずらした噛み合い可能の配置となる。
次にピストン5が吸気行程の後半に来ると,ピストンインナ5aには,ピストンアウタ5bに先行して下向きの慣性力が作用するため,ピストンアウタ5bは,図9の(c)のように,第2カム機構152 の上下のカム山162 a,172 aを互いに噛み合せながら,即ち第2カム機構151 を軸方向に収縮させながら,ピストンインナ5aに対して相対的に上昇し,高圧縮比位置Hを占めることになる。
このようにピストンアウタ5bがピストンインナ5aに対して相対的に上昇すると,第1カム機構151 では,第1回転カム板171 に対して第2固定カム161 が上昇することになり,それに伴ない上下のカム山161 a,171 aが噛み合い状態から解放されるので,第1回転カム板171 は第1アクチュエータ201 の作動プランジャ231 の油圧による押圧力により受圧ピン282 を介して第2回転位置Bへ素早く回転する(図5参照)。その結果,図9の(d)に示すように,第1カム機構151 の上下のカム山161 a,172 aは互いに平坦な頂面を当接対向させる。このような第1カム機構151 の軸方向拡張作用により,第1軸方向間隔S1 は増加して,ピストンアウタ5bの高圧縮比位置Hを保持することになる。かくして,内燃機関Eは高圧縮比状態となる。上記圧縮比可変装置の構成は,特許文献1に開示されたものを踏襲している。
前記電磁切換弁45には,図1に示すように,その作動を制御する電子制御ユニット50が接続される。この電子制御ユニット50には,機関回転数Neを検出する回転数センサ51と,機関Eのスロットル弁の開度θを検出するスロットルセンサ52の出力信号が少なくとも入力される。また電子制御ユニット50には圧縮比切換領域マップM1(図10)と,高圧縮比への切換禁止領域マップM2(図11)とが設けられる。
圧縮比切換領域マップM1において,線A1は機関Eの最大出力特性を,Laは低圧縮比領域を,Haは高圧縮比領域をそれぞれ示す。また高圧縮比への切換禁止領域マップM2において,線A2は,圧縮行程で,ピストンアウタ5bの上向き慣性力F1 と燃焼室4aからピストンアウタ5bに加えられる下向き荷重F2との釣り合うときを示す。そして前記高圧縮比領域Haの境界線(点線)と線A2とで囲まれる領域P,即ち機関Eの所定の高回転且つ低負荷運転領域Pは,圧縮行程でピストンアウタ5bの上向き慣性力F1 が強過ぎるため,第1,第2カム機構151 ,152 の,ピストンアウタ5bの高圧縮比側への切換作動を禁止する切換禁止領域Pである。
次に,電子制御ユニット50の制御プログラミングの実行手順を図12のフローチャートにより説明する。
先ず,ステップS1において,回転数センサ51の出力信号から機関回転数Neを読み込み,機関回転数Ne及びスロットルセンサ52の出力信号θから負荷Tqを算出して読み込む。
ステップS2では,機関回転数Ne及び負荷Tqに基づき圧縮比切換領域マップM1により圧縮比切換領域を判定し,ステップS3では,ステップS2での判定領域が低圧縮比領域であるか否かを判別し,YESであれば(即ち,低圧縮比領域と判別すれば)ステップ4に進み,電磁切換弁45をオフ状態にする。
ステップS3での判別がNOであれば(即ち,高圧縮比領域と判別すれば),ステップ5に進み,こゝでステップS2での判定領域が前回と変化しているか否かを判別し,NOであれば,前回の高圧縮比状態を維持すべくステップ1に戻る。
ステップ5でYESと判別されゝば,ステップ6で機関回転数Ne及び負荷Tqに基づきマップM2より高圧縮比への切換禁止領域Pを判定して,ステップ7に進む。
ステップ7では,高圧縮比への切換禁止領域Pにあるか否かを判別し,YESであればステップ4に進み,電磁切換弁45のオフ状態を維持して,ステップ1に戻る。
したがって,機関Eが低圧縮比状態から高圧縮比状態へ切り換わるべき運転状態にあっても,所定の高回転且つ低負荷状態であれば,電磁切換弁45のオフ状態を維持することで,前回の低圧縮比状態が保持されることになり,圧縮行程終わりの上死点でピストンアウタ5bが過大な上向き慣性力F1 により高圧縮比位置Hへ変位することを拘束することができる。その結果,次に膨張行程に移っても,燃焼室圧力により荷重が特に不完全作動状態の第1カム機構151 に加わることを未然に回避して,第1カム機構151 の耐久性を確保することができる。
ステップ7でNOと判別すれば,ステップ8に進み,電磁切換弁45をオン状態するので,前述のようにしてピストンアウタ5bは高圧縮比位置Hに変位して,第1及び第2カム機構151 ,152 により保持され,機関Eが高圧縮比運転状態となる。
本発明は上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,第1,第2アクチュエータ201 ,202 がオイルポンプ46から油圧を供給されたとき,ピストンインナ5aを高圧縮比位置から低圧縮比位置へと駆動するように圧縮比可変装置を構成することもできる。またピストンアウタ5bを高圧縮比位置Hに保持するために,前記第2カム機構152 に代えてラッチ機構(例えば特開2003−65090号公報参照)を設けることもできる。
また高圧縮比への切換禁止領域マップM2の作成に当たり,ピストンアウタ5bに働く下向き荷重F2の算出の際は,燃焼室圧力に荷重の他に,ピストンアウタ5bの上向き動作に抵抗する第1カム機構151 の軸方向摺動摩擦力をも考慮する方が現実的である。
本発明の圧縮比可変装置を備える内燃機関の要部縦断正面図。 図1の2−2線拡大断面図で低圧縮比状態を示す。 高圧縮比状態を示す,図2との対応図。 図2の4−4断面図。 図3の5−5線拡大断面図。 図2の6−6線断面図。 図3の7−7線断面図。 高圧縮比状態から低圧縮比状態への切り換え作用説明図。 低圧縮比状態から高圧縮比状態への切り換え作用図。 圧縮比切換領域マップを示す線図。 高圧縮比への切換禁止領域マップを示す線図。 電子制御ユニットの制御プログラミングの実行手順を示すフローチャート。
符号の説明
E・・・・内燃機関
L・・・・ピストンアウタ低圧縮比位置
H・・・・ピストンアウタ高圧縮比位置
La・・・低圧縮比領域
Ha・・・高圧縮比領域
F1・・・ピストンアウタの上向き慣性力
F2・・・燃焼室圧力による,ピストンアウタへの下向き荷重
M1・・・圧縮比切換領域判定手段(圧縮比切換領域判定マップ)
M2・・・高圧縮比への切換禁止領域マップ
P・・・・高圧縮比への切換禁止領域
4a・・・燃焼室
5・・・・ピストン
5a・・・ピストンインナ
5b・・・ピストンアウタ
5bh ・・ピストンヘッド部
7・・・・コンロッド
751 ・・カム機構(第1カム機構)
752 ・・ロック機構(第2カム機構)
50・・・制御装置(電磁制御ユニット)

Claims (2)

  1. コンロッド(7)にピストンピン(6)を介して連結されるピストンインナ(5a)と;ヘッド部(5bh)を機関(E)の燃焼室(4a)に臨ませながらピストンインナ(5a)の外周に軸方向摺動可能に嵌合し,慣性力により前記燃料室(4a)寄りの高圧縮比位置(H)と,それと反対側の低圧縮比位置(L)との間をピストンインナ(5a)に対して変位するピストンアウタ(5b)と;ピストンインナ(5a)及びピストンアウタ(5b)間に構成されて,ピストンアウタ(5b)の高圧縮比位置(H)への変位を許容すると共に,ピストンアウタ(5b)が高圧縮比位置(H)に変位したときその高圧縮比位置(H)を保持し得るカム機構(151 )と;同じくピストンインナ(5a)及びピストンアウタ(5b)間に構成されて,ピストンアウタ(5b)の低圧縮比位置(L)への変位を許容すると共に,ピストンアウタ(5b)が低圧縮比位置(L)へ変位したときその低圧縮比位置(L)を保持するロック機構(152 )と;これらカム機構(151 )及びロック機構(152 )の作動を圧縮比切換領域判定手段(M1)に従って制御する制御装置(50)と;を備える,内燃機関の圧縮比可変装置において,
    前記制御装置(50)を,これが圧縮比切換領域判定手段(M1)から高圧縮比領域(Ha)と判定しても,機関(E)の所定の高回転且つ低負荷運転領域(P)では,前記カム機構(151 )の作動を禁止するように構成したことを特徴とする,内燃機関の圧縮比可変装置。
  2. 請求項1記載の内燃機関の圧縮比可変装置において,
    前記所定の高回転且つ低負荷運転領域(P)が,機関(E)の圧縮行程で,ピストンアウタ(5b)の燃焼室(4a)側への慣性力(F1)が,燃焼室圧力によるピストンアウタ(5b)への荷重(F2)以上に増大する運転領域(P)であることを特徴とする,内燃機関の圧縮比可変装置。
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