JP2008038053A - グリース組成物及び転がり軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】180℃を超える高温でも十分な潤滑性を維持し、かつ、高荷重性や耐久性にも優れるグリース組成物、並びに前記グリース組成物を封入してなり、耐久性に優れる転がり軸受を提供する。
【解決手段】基油が特定の分岐アルキル側鎖ジフェニルエーテル油を含み、かつ、酸化防止及び防錆性能を付与する添加剤として、ベンゾトリアゾール及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種と、金属ジチオカーバメートのみを含有することを特徴とするグリース組成物、並びに前記グリース組成物を封入してなる転がり軸受。
【選択図】図1

Description

本発明は、高温高速回転条件で使用される転がり軸受に好適なグリース組成物、並びに前記グリース組成物を封入してなる転がり軸受に関する。
例えば自動車のエンジン周りの電装機器は小型軽量化及び高速回転化の要求が強く、それらに組み込まれる転がり軸受においても高温化の傾向にある。その一方で、これら電装機器には省資源化や省エネ化、更にはメンテナンスフリー化の要望も高く、これらに組み込まれる転がり軸受は、耐熱性に加えて信頼性や耐久性も要求されてきている。
このような要求に対して従来は、フッ素系グリースや粘土鉱物系グリースが多用されている。また、ベンゾトリアゾール及びその誘導体(特許文献1参照)、あるいは金属ジチオカーバメート(特許文献2参照)を添加することで高温耐久性を向上できることが知られている。
特開2003−82374号公報 特開2001−342483号公報
しかしながら、耐熱性の更なる向上の要求は必至であり、今日では軸受温度が180℃を超えるような環境での使用に対しても潤滑性を維持できることが要求されている。また、振動や荷重に対する耐性の要求も高くなってきている。
そこで本発明は、180℃を超える高温でも十分な潤滑性を維持し、かつ、高荷重性や耐久性にも優れるグリース組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、前記グリース組成物を封入してなり、高温耐久性に優れる転がり軸受を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は下記を提供する。
(1)基油が一般式(I)で表される分岐アルキル側鎖ジフェニルエーテル油を含み、かつ、酸化防止及び防錆性能を付与する添加剤として、ベンゾトリアゾール及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種(以下、ベンゾトリアゾール類ともいう)と、金属ジチオカーバメートのみを含有することを特徴とするグリース組成物。
Figure 2008038053
〔(I)式中、R1、R2及びR3の1つは水素原子であり、残りの2つは同一又は異なる炭素数10〜26の分岐アルキル基である。〕
(2)内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪との間に転動自在に配設された複数の転動体とを備え、上記(1)記載のグリース組成物を封入してなることを特徴とする転がり軸受。
本発明のグリース組成物において、基油に用いる特定の分岐アルキル側鎖ジフェニルエーテル油は揮発性が低く、180℃を超えるような使用温度でも十分な潤滑性を維持できる。また、ベンゾトリアゾール類と金属ジチオカーバメートとを併用し、特定の分岐アルキル側鎖ジフェニルエーテル油と組み合わせることにより、優れた酸化防止性能が付加され、耐熱性がより向上するとともに、耐剥離性や耐摩耗性も向上する。このように、本発明のグリース組成物は、特定の基油及び添加剤の組み合わせにより、これまでにない優れた耐熱性を示す。また、このようなグリース組成物を封入した本発明の転がり軸受も耐熱性や耐久性等に優れ、長寿命となる。
以下、本発明に関して詳細に説明する。
〔グリース組成物〕
本発明のグリース組成物において、基油は、一般式(I)で表される分岐アルキル側鎖ジフェニルエーテル油を含む。
Figure 2008038053
(I)式において、R1、R2、R3の1つは水素原子であり、残りの2つは同一又は異なる炭素数10〜26の分岐アルキル基である。分岐アルキル基において、炭素数は12〜24であることがより好ましい。炭素数が26より多い分岐アルキル基では、流動点が高まり低温での流動性が乏しくなり使用上問題になる。また、炭素数が10未満の分岐アルキル基では、蒸発量が大きくなり使用上問題となる。
分岐アルキル基の中では、それぞれ分岐しているデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等が好ましい。
この分岐アルキル側鎖ジフェニルエーテル油は、基油全量の50質量%以上を占めることが好ましく、60質量%以上がより好ましい。勿論、分岐アルキル側鎖ジフェニルエーテル油のみで基油を構成してよく、上限は100質量%である。分岐アルキル側鎖ジフェニルエーテル油が基油全量の50質量%未満では、目的とする耐熱性が得られない。
併用可能な潤滑油としては、一般式(II)で表される直鎖アルキル側鎖ジフェニルエーテル油が好ましい。
Figure 2008038053
(II)式において、R4、R5及びR6の1つは水素原子であり、他の2つは好ましくは炭素数8〜20、さらに好ましくは炭素数12〜14の直鎖アルキル基である。炭素数が20より多い直鎖アルキル基では、流動点が高まり低温での流動性が乏しくなり使用上問題になる。また、炭素数が8未満の直鎖アルキル基では、蒸発量が大きくなり使用上問題となる。
また、併用可能な潤滑油として、エステル系合成油、ポリαオレフィン油も好ましい。エステル系合成油としては、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート等のジエステル、トリメチロールプロパンカプリレート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート等のポリオールエステルやトリオクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート等のトリメリット酸エステル、テトラオクチルピロメリテート等のピロメリット酸エステルの芳香族エステル油が挙げられる。ポリαオレフィン油は、下記一般式(III)で表されるものが好ましい。
Figure 2008038053
(III)式において、R7はアルキル基であり、同一分子中の2種類の異なったアルキル基が混在していてもよいが、n−オクチル基が好ましい。また、nは3〜8の整数が好ましい。
特に好ましい基油組成は、一般式(I)においてR1が水素原子で、R2及びR3が共に炭素数10〜26の分岐アルキル基である分岐アルキル側鎖ジフェニルエーテル油と、一般式(II)においてR4が水素原子で、R5及びR6が共に炭素数10〜26の直鎖アルキル基である直鎖アルキル側鎖ジフェニルエーテル油とを、直鎖アルキル側鎖ジフェニルエーテル油:分岐アルキル側鎖ジフェニルエーテル油=15〜45:85〜55の比率で配合したものであり、更に好ましくは直鎖アルキル側鎖ジフェニルエーテル油:分岐アルキル側鎖ジフェニルエーテル油=1:2の比率で配合したものである。また、最も好ましい基油組成は、一般式(I)においてR1が水素原子で、R2及びR3が共に炭素数10〜18の分岐アルキル基である分岐アルキル側鎖ジフェニルエーテル油と、一般式(II)においてR4が水素原子で、R5及びR6が共に炭素数10〜18である直鎖アルキル基である直鎖アルキル側鎖ジフェニルエーテルとを、前記の比率で配合したものである。
また、基油は、40℃における動粘度が20〜500mm/sであることが好ましい。40℃における動粘度が500mm/sを超えると、トルクが上昇しすぎるとともに、低温での流動性が不十分となって低温下で起動する際に異音が発生するおそれがある。また、40℃における動粘度が20mm/s未満では、蒸発損失や潤滑性の問題が懸念され、例えば高温において軸受の回転中に軌道面と転動体との金属接触を避けるのに十分な潤滑油膜の形成が困難となるおそれがある。このような点から、基油の40℃における動粘度は30〜400mm/sがより好ましい。
増ちょう剤には、少量でも増ちょう能力に優れ、また耐熱性にも優れることからウレア化合物を用いる。また、増ちょう剤の含有量は、上記基油とともにグリース性状が得られればよく、特に制限はない。
グリース組成物には、必須添加剤として、ベンゾトリアゾール類と金属ジチオカーバメートとを添加する。ベンゾトリアゾール類と金属ジチオカーバメートとを併用し、上記の分岐アルキル側鎖ジフェニルエーテル油と組み合わせることにより、酸化防止効果とともに、剥離防止効果、磨耗防止効果も付与される。
ベンゾトリアゾール類としては、下記式で示されるもの、及びその塩(アルカリ金属塩、銀塩等)が好適であるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2008038053
式中、R8は水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素)、炭素原子数1〜18のアルキル基(例えば、メチル、エチル)又はCOOR10を示し、R9は水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素)、CHCHCOOH、CHCH(OH)CHOH、CH(COOH)CHCOOH、CHCH(COOH)CHCOOHまたはCHNR11R12を示し、R10、R11、12は水素原子または炭素原子数1〜18のアルキル基(例えば、2−エチルヘキシル、オクチル)を示す。
ベンゾトリアゾール類の具体例としては、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1,H−ベンゾトリアゾール、4−メチル−1,H−ベンゾトリアゾール、4−カルボキシル−1,H−ベンゾトリアゾール、ナトリウムトリルトリアゾール、5−メチル−1,H−ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾールブチルエーテル、銀ベンゾトリアゾール、5−クロロ−1,H−ベンゾトリアゾール、1−クロロ−ベンゾトリアゾール、1−ジ(C817)アミノメチル−ベンゾトリアゾール、2,3−ジヒドロキシプロピル−ベンゾトリアゾール、1,2−ジカルボキシエチル−ベンゾトリアゾール、(C817)アミノメチル−ベンゾトリアゾール、ビス(ベンゾトリアゾール−1−イル−メチル)(C817)アミン、N,N−ビス(2−エチルヘキシル)−4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−メチルアミン、N,N−ビス(2−エチルヘキシル)−5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−メチルアミン等が挙げられる。
また、ベンゾトリアゾール類の添加量は、グリース組成物全量の0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。添加量が0.01質量%未満では、酸化防止等の効果が不十分であり。一方10質量%を超えて添加すると、ベンソトリゾール類は溶解性が乏しいため、析出物が潤滑に悪影響を及ぼすようになり、実用的でない。
一方、金属ジチオカーバメートの中では、下記一般式(IV)で表されるものが好ましい。
Figure 2008038053
式(IV)において、R13〜R16はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、炭素数10〜20の炭化水素基を表す。炭素数9以下のものは早期はく離の防止に劣る場合があり、炭素数12以上のものが好ましい。また、炭素数が20を超えるものは、入手困難である。
このような炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキルシクロアルキル基(アルキル置換シクロアルキル基、以下同様である)、アリール基、アルキルアリール基(アルキル置換アリール基、以下同様である)、アリールアルキル基(アリール置換アルキル基、以下同様である)等が挙げられる。これらの中でも、早期はく離の防止に優れることからアルキル基又はアルケニル基の使用が好ましい。
アルキル基としては、例えば、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられ、これらは直鎖又は分枝のいずれでも良い。また、アルケニル基としては、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オレイル基等のオクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基等が挙げられ、これらは直鎖又は分枝のいずれでも良い。上記アルキルシクロアルキル基としては、炭素数1〜15のアルキル基を1個又は複数個有するシクロペンチル基(ただし、アルキル基の炭素数の合計は5〜15である)、炭素数1〜14のアルキル基を1個又は複数個有するシクロヘキシル基(ただし、アルキル基の炭素数の合計は4〜14である)、炭素数1〜13のアルキル基を1個又は複数個有するシクロペンチル基(ただし、アルキル基の炭素数の合計は3〜13である)等が挙げられる。また、アリール基としては、ナフチル基等が挙げられる。上記アルキルアリール基としては、例えば、炭素数1〜14のアルキル基を1個又は複数個有するフェニル基(ただし、アルキル基の炭素数の合計は4〜14である)等が挙げられる。また、アリールアルキル基としては、フェニル基又はアルキルアリールで置換されたアルキル基等が挙げられる。
また、式(IV)において、Xは金属又は金属含有基を示す。金属としては、Mo、Zn、Pb、Sb、Cu、Ni等が挙げられる。これらの中でも、環境対策の面からはZn、Cu、Niが好ましい。金属含有基としては、下記に表される基等が挙げられる。
Figure 2008038053
式中、Yは金属を表し、Z1〜Z4はそれぞれ別個に酸素原子又は硫黄原子を表す。また、Yとしては、Mo、Zn、Pb、Sb、Cu、Ni等が挙げられ、Moが好ましい。
式(IV)で表される金属ジチオカーバメートの具体例としては、亜鉛ジデシルジチオカーバメート、亜鉛ジウンデシルジチオカーバメート、亜鉛ジドデシルジチオカーバメート、亜鉛ジトリデシルジチオカーバメート、亜鉛ジテトラデシルジチオカーバメート、亜鉛ジペンタデシルジチオカーバメート、亜鉛ジヘキサデシルジチオカーバメート、亜鉛ジヘプタデシルジチオカーバメート、亜鉛ジオクタデシルジチオカーバメート、亜鉛ジノナデシルジチオカーバメート、亜鉛ジイコシルジチオカーバメート、銅ジデシルジチオカーバメート、銅ジウンデシルジチオカーバメート、銅ジドデシルジチオカーバメート、銅ジトリデシルジチオカーバメート、銅ジテトラデシルジチオカーバメート、銅ジペンタデシルジチオカーバメート、銅ジヘキサデシルジチオカーバメート、銅ジヘプタデシルジチオカーバメート、銅ジオクタデシルジチオカーバメート、銅ジノナデシルジチオカーバメート、銅ジイコシルジチオカーバメート、ニッケルジデシルジチオカーバメート、ニッケルジウンデシルジチオカーバメート、ニッケルジドデシルジチオカーバメート、ニッケルジトリデシルジチオカーバメート、ニッケルジテトラデシルジチオカーバメート、ニッケルジペンタデシルジチオカーバメート、ニッケルジヘキサデシルジチオカーバメート、ニッケルジヘプタデシルジチオカーバメート、ニッケルジオクタデシルジチオカーバメート、ニッケルジノナデシルジチオカーバメート、ニッケルジイコシルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジデシルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジデシルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジウンデシルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジドデシルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジトリデシルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジテトラデシルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジペンタデシルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジヘキサデシルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジヘプタデシルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジオクタデシルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジノナデシルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジイコシルジチオカーバメート、鉛ジデシルジチオカーバメート、鉛ジウンデシルジチオカーバメート、鉛ジドデシルジチオカーバメート、鉛ジトリデシルジチオカーバメート、鉛ジテトラデシルジチオカーバメート、鉛ジペンタデシルジチオカーバメート、鉛ジヘキサデシルジチオカーバメート、鉛ジヘプタデシルジチオカーバメート、鉛ジオクタデシルジチオカーバメート、鉛ジノナデシルジチオカーバメート、鉛ジイコシルジチオカーバメート、アンチモンジデシルジチオカーバメート、アンチモンジウンデシルジチオカーバメート、アンチモンジドデシルジチオカーバメート、アンチモンジトリデシルジチオカーバメート、アンチモンジテトラデシルジチオカーバメート、アンチモンジペンタデシルジチオカーバメート、アンチモンジヘキサデシルジチオカーバメート、アンチモンジヘプタデシルジチオカーバメート、アンチモンジオクタデシルジチオカーバメート、アンチモンジノナデシルジチオカーバメート、アンチモンジイコシルジチオカーバメート等が挙げられる。
金属ジチオカーバメートの添加量は、グリース組成物全量の0.1〜10質量%が好ましく、0.3〜2質量%がより好ましい。添加量が0.1質量%未満では、酸化防止及び剥離防止の効果が不十分であり、10質量%を超えて添加しても前記効果が飽和し、更に熱安定性に劣るようになり、実用的でない。
ところで、従来は、酸化防止効果をより高めるために、酸化防止剤と防錆剤とを併用することが多い。中でも、カルボン酸系やエステル系、スルホン酸系の防錆剤は防錆性能に特に優れることから多用されている。しかし、これら防錆剤は、本発明が目的とする180℃を超える高温になると、蒸発や分解等により防錆性能が損なわれる。そのため、本発明では、これら防錆剤の高温での性能低下によるグリース全体としての耐熱性の低下を防ぐために、ベンゾトリアゾール類及び金属ジチオカーバメートのみを使用する。
従って、グリース組成物には、その各種性能をさらに向上させるため種々の添加剤を混合してもよいが、カルボン酸系やエステル系、スルホン酸系の防錆剤以外を添加する。具体的には、摩擦防止剤等を、本発明の目的を損なわない程度の量添加することができる。
尚、グリース組成物のちょう度は、用途により適宜選択されるが、例えば自動車のエンジン周りの電装機器に組み込まれる転がり軸受の封入グリースとした場合は混和ちょう度で220〜385とすればよい。220未満では、硬すぎて十分な潤滑性能が期待できず、385超では軸受から漏洩するおそれがある。
グリース組成物を製造にも制限がなく、従来と同様でかまわない。例えば、増ちょう剤にウレア化合物を用いる場合は、分岐アルキル側鎖ジフェニルエーテル油を含む基油中で、アミンと、ジイソシアネートとを反応させればよい。
〔転がり軸受〕
本発明はまた、上記グリース組成物を封入した転がり軸受を提供する。
転がり軸受の構造には制限がなく、例えば図1に断面図で示す玉軸受1を例示することができる。図示される玉軸受1は、内輪10と外輪11との間に、保持器12により複数個の玉13を転動自在に保持してなり、内輪10、外輪11及び玉13とで形成される軸受内部空間に上記のグリース組成物Gを充填し、シール14で封止して構成されている。
また、封入するグリース組成物Gが耐熱性に優れるため、本発明の転がり軸受は高温での使用に特に好適であり、例えば自動車のエンジン周りの電装機器の他、自動車用セラミックガスタービン、ターボエンジン、コージェネレーション用エンジン、ジェットエンジン等に組み込まれる転がり軸受として使用できる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〜6、比較例1〜6〕
基油として、下記Aの分岐アルキル側鎖ジフェニルエーテル油と下記Bの直鎖アルキル側鎖ジフェニルエーテル油とを、A:B=1:2で混合したアルキルジフェニルエーテルを調製した。
Figure 2008038053
また、その他の潤滑油を用意し、表1に示す配合にて基油を調製した。そして、増ちょう剤として脂環族ジウレア化合物を用い、表記の如く酸化防止剤及び防錆剤を添加して試験グリースを調製した。尚、増ちょう剤量、酸化防止剤及び防錆剤の各加剤量はグリース全量に対する値であり、残部は基油量である。
調製した各試験グリースについて、下記の(1)耐熱試験、(2)耐摩耗試験及び(3)焼付き寿命試験を行った。結果を表1に併記する。
(1)耐熱試験
シャーレに試験グリースを10g載せ、開放したまま200℃で300時間放置し、加熱前後の重量差から蒸発減量を求めた。また、加熱後に全酸価を測定した。
(2)耐摩耗試験
鏡面仕上げした平板に試験グリースを塗布し、その上に直径10mmの軸受鋼球を載置して荷重59N、振幅0.7mm、振動数10Hzにて雰囲気温度120℃で10分間往復動させ、摩耗痕径を測定した。試験は3回行い、その平均値を求めた。
(3)焼付き寿命試験
耐熱ゴムシールを備える玉軸受(呼び番号6305;外径62mm、内径25mm、幅17mm)に、試験グリースを軸受内部空間の30%を占めるように封入し、外輪温度180℃、ラジアル荷重98N、アキシアル荷重98N,内輪回転速度15000min−1にて連続回転させ、温度上昇またはモータ電流値(トルク)上昇を起こしたときを焼付き寿命とし、それまでの時間を計測した。試験は3回行い、その平均値を求め、比較例1を1とする相対値で示す。
Figure 2008038053
Figure 2008038053
表1から、本発明に従い、一般式(I)で表される分岐アルキル側鎖ジフェニルエーテル油を基油とし、ベンゾトリアゾール類及び金属ジチアゾールのみを添加したグリース組成物は、蒸発し難く、耐摩耗性及び焼付き寿命にも優れており、耐熱性に優れることがわかる。これに対し、ベンゾトリアゾール類及び金属ジチアゾールの何れか一方、あるいは他の酸化防止剤(PAN)を用い、スルホン酸系防錆剤またはエステル系防錆剤と併用すると、摩耗しやすくなり、焼付き寿命も短くなる。
本発明に係る転がり軸受の一例を示す断面図である。
符号の説明
1 玉軸受
10 内輪
11 外輪
12 保持器
13 玉
14 シール
G グリース組成物

Claims (2)

  1. 基油が一般式(I)で表される分岐アルキル側鎖ジフェニルエーテル油を含み、かつ、酸化防止及び防錆性能を付与する添加剤として、ベンゾトリアゾール及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種と、金属ジチオカーバメートのみを含有することを特徴とするグリース組成物。
    Figure 2008038053
    〔(I)式中、R1、R2及びR3の1つは水素原子であり、残りの2つは同一又は異なる炭素数10〜26の分岐アルキル基である。〕
  2. 内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪との間に転動自在に配設された複数の転動体とを備え、請求項1記載のグリース組成物を封入してなることを特徴とする転がり軸受。
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