JP2008036890A - 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 - Google Patents

液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 Download PDF

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Abstract

【課題】流路内の気泡の残留を防止して、液体噴射特性を向上した液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】液体を噴射するノズル開口21に連通する圧力発生室12と、該圧力発生室12の長手方向の一端部に連通して当該圧力発生室12に液体を供給する液体供給路14とが設けられた流路形成基板10と、前記圧力発生室12に圧力変化を生じさせる圧力発生手段300とを具備し、前記液体供給路14が、前記圧力発生室12の短手方向の幅を絞ることで形成されていると共に、前記圧力発生室12の短手方向の側面と前記液体供給路14の短手方向の側面との間に段差面16が設けられ、該段差面16と、前記圧力発生室12の短手方向の前記段差面16側の側面と、前記圧力発生室12の前記流路形成基板10の厚さ方向の一方面とで画成された角部には、当該角部を埋めるように設けられた埋設部17を具備する。
【選択図】図2

Description

本発明は、液体を噴射する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関し、特に、液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
一般的に、プリンタ、ファクシミリ、複写装置等に用いられる液体噴射ヘッドであるインクジェット式記録ヘッドとしては、インク滴を吐出させるためのメカニズムに応じて各種方式のものが知られている。例えば、ノズル開口に連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子の変位により変形させて圧力発生室内の容積を膨張又は収縮させることでノズル開口からインク滴を吐出させるものや、静電気力を利用して振動板を変形させて圧力発生室の容積を変化させることで、ノズル開口からインク滴を吐出させるようにしたものもある。
このようなインクジェット式記録ヘッドとしては、ノズル開口に連通する圧力発生室が設けられた流路形成基板の一方面側に圧力発生室に相対向する領域に振動板を介して圧電素子を設けたものがある。そして、流路形成基板には、圧力発生室の長手方向一端部側に連通するインク供給路を圧力発生室の短手方向の幅を狭くすることで形成し、この圧力発生室とインク供給路との間の段差面を流路形成基板の厚さ方向に対して傾斜させて傾斜面としたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1のように、圧力発生室とインク供給路との間の段差面を傾斜面としても、インク供給路側から供給されたインクに混入した気泡が、段差面と圧力発生室の側面とで画成された角部に残存し、この気泡が成長することによって、圧力発生室の内容積が減少して、インク吐出特性に悪影響を与えてしまうという問題がある。
また、圧力発生室にインクを供給するインク供給路の角部を結晶軸に沿って曲面状に形成したものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献2の構成では、インク供給路を通過するインクに混入した気泡の残留を防止することができないという問題がある。
特開2005−153243号公報(第7〜10頁、第2図) 特開平7−178909号公報(第3及び5頁、第8及び16図)
本発明はこのような事情に鑑み、流路内の気泡の残留を防止して、液体噴射特性を向上した液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室と、該圧力発生室の長手方向の一端部に連通して当該圧力発生室に液体を供給する液体供給路とが設けられた流路形成基板と、前記圧力発生室に圧力変化を生じさせる圧力発生手段とを具備し、前記液体供給路が、前記圧力発生室の短手方向の幅を絞ることで形成されていると共に、前記圧力発生室の短手方向の側面と前記液体供給路の短手方向の側面との間に段差面が設けられ、該段差面と、前記圧力発生室の短手方向の前記段差面側の側面と、前記圧力発生室の前記流路形成基板の厚さ方向の一方面とで画成された角部には、当該角部を埋めるように設けられた埋設部を具備することを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第1の態様では、埋設部を設けることにより、液体供給から圧力発生室に供給される液体に混入した気泡が、圧力発生室の液体供給路側の角部に残留するのを防止して、残留した気泡が成長することにより圧力発生室の内容積が変化するのを防止して、液体噴射特性を向上することができる。
本発明の第2の態様は、前記埋設部の表面が、前記段差面と、前記圧力発生室の短手方向の前記段差面側の側面と、前記圧力発生室の前記流路形成基板の厚さ方向の一方面とに対して傾斜した傾斜面となっていることを特徴とする第1の態様の液体噴射ヘッドにある。
かかる第2の態様では、埋設部と、段差面、圧力発生室の短手方向の段差面側の側面及び圧力発生室の流路形成基板の厚さ方向の一方面とで画成される角部に気泡が残留するのを防止することができる。
本発明の第3の態様は、前記埋設部が、前記流路形成基板と一体的に形成されていることを特徴とする第1又は2の態様の液体噴射ヘッドにある。
かかる第3の態様では、部品点数を減らしてコストを低減することができる。
本発明の第4の態様は、前記流路形成基板には、前記液体供給路の前記圧力発生室とは反対側の端部に、当該液体供給路の短手方向の幅よりも幅広の連通路が設けられていると共に、該連通部と前記液体供給路との間には段差面が設けられ、当該段差面と、前記連通路の短手方向の前記段差面側の内面と、前記連通路の前記流路形成基板の厚さ方向の一方面とで画成された角部には、当該角部を埋める前記埋設部が設けられていることを特徴とする第1〜3の何れかの態様の液体噴射ヘッドにある。
かかる第4の態様では、連通路の液体供給路側の角部に埋設部を設けることで、連通路の液体供給路側の角部に気泡が残留するのを防止して、残留した気泡によって連通路の内容積が変化するのを防止することができ、液体噴射特性を向上することができる。
本発明の第5の態様は、前記圧力発生手段が、前記流路形成基板の前記一方面側に振動板を介して設けられた圧電素子からなると共に、前記圧力発生室の前記流路形成基板の一方面側が、前記振動板で画成されていることを特徴とする第1〜4の何れかの態様の液体噴射ヘッドにある。
かかる第5の態様では、圧電素子を用いることで液体噴射特性に優れた液体噴射ヘッドを実現できる。
本発明の第6の態様は、前記段差面が、前記流路形成基板の一方面に対して垂直に形成されていることを特徴とする第1〜5の何れかの態様の液体噴射ヘッドにある。
かかる第6の態様では、圧力発生室の段差面側の角部に気泡が残留しやすい段差面としても、埋設部によって気泡の残留を防止することができる。
本発明の第7の態様は、前記段差面が、前記流路形成基板の厚さ方向に対して傾斜した傾斜面で形成されていることを特徴とする第1〜6の何れかの態様の液体噴射ヘッドにある。
かかる第7の態様では、圧力発生室の段差面側の角部に気泡が残留し難い段差面としても、埋設部によって気泡の残留を確実に防止することができる。
本発明の第8の態様は、第1〜7の何れかの態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる第8の態様では、液体噴射特性を向上した液体噴射装置を実現できる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及びそのA−A′断面図である。図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では結晶面方位が(110)面のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化によって二酸化シリコンからなる厚さ0.5〜2μmの弾性膜50が形成されている。
流路形成基板10には、他方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁11により区画された複数の圧力発生室12がその幅方向(短手方向)に並設されている。
また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向一端部側には、液体供給路であるインク供給路14と、連通路15とが隔壁11によって区画されている。また、連通路15の一端には、後述する保護基板30のリザーバ部31と連通して、各圧力発生室12の共通のインク室(液体室)となるリザーバ100の一部を構成する連通部13が形成されている。すなわち、本実施形態では、流路形成基板10には、圧力発生室12を有する液体流路として、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15が設けられている。
インク供給路14は、圧力発生室12の長手方向一端部側に連通し且つ圧力発生室12の幅より小さい幅を有する。すなわち、インク供給路14は、リザーバ100と各圧力発生室12との間の圧力発生室12側の流路を幅方向に絞ることで形成されている。ここで、インク供給路14が流路を幅方向に絞るようにしているのは、圧力発生室12、連通部13及び連通路15の流路系と、インク供給路14とをエッチングで同時に形成する際に、流路形成基板10を構成するシリコン単結晶基板の厚みを考慮するマスクを用いることなく容易に且つ一度でインク供給路14と他の流路系とを形成することができるためである。
また、各連通路15は、圧力発生室12の幅方向両側の隔壁11を連通部13側に延設してインク供給路14と連通部13との間の空間を区画することで形成されている。連通路15は、インク供給路14の幅よりも大きい幅で形成されている。本実施形態では、連通路15を圧力発生室12の幅と同じ幅で形成するようにした。
また、圧力発生室12とインク供給路14との間には、インク供給路14を設けることによって形成された段差面16が設けられている。この段差面16は、流路形成基板10の一方面に対して垂直に形成されていると共に、圧力発生室12の短手方向に対して傾斜して形成されている。このような段差面16によって、圧力発生室12の長手方向の長さが規定されている。
また、この段差面16と、圧力発生室12の短手方向の段差面16側の一側面と、圧力発生室12の流路形成基板10の厚さ方向の一方面である弾性膜50とで画成された角部には、埋設部17が設けられている。
埋設部17は、圧力発生室12の深さよりも低い高さとなるように設けられており、その表面が段差面16、圧力発生室12の一側面及び弾性膜50の一方面に対して、傾斜して設けられている。このような埋設部17の表面は、平面状であってもよく、また、曲面状であってもよく、さらに、平面と曲面とが混在した面であってもよい。
なお、埋設部17は、例えば、流路形成基板10を異方性エッチング(ウェットエッチング)して圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15等を形成する際に、エッチング液の濃度や、温度等のエッチング条件を調整することで、流路形成基板10の一部をエッチングすることなく残留させて形成することができる。すなわち、埋設部17は、流路形成基板10の一部で形成されている。勿論、埋設部17は、流路形成基板10とは別材料、例えば、樹脂等を用いて形成するようにしてもよい。
なお、本実施形態では、連通路15とインク供給路14との間にも段差面16が設けられており、この段差面16と、連通路15の短手方向の一側面と、弾性膜50とで画成された角部にも埋設部17が設けられている。
このようにインク供給路14を連通路15及び圧力発生室12の幅を絞ることで形成し、角部に埋設部17を設けることで、連通部13からのインクが連通路15、インク供給路14を介して圧力発生室12に供給される際に、インクに混入した気泡が、この角部に残留するのを防止して、残留した気泡が成長することにより圧力発生室12や連通路15の内容積が変化するのを防止して、インク吐出特性を向上することができる。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。なお、ノズルプレート20は、例えば、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板、ステンレス鋼(SUS)等からなる。
一方、このような流路形成基板10のノズルプレート20とは反対側の面には、上述したように、厚さが例えば約1.0μmの弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、厚さが例えば、約0.4μmの絶縁体膜55が形成されている。さらに、この絶縁体膜55上には、厚さが例えば、約0.2μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約1.0μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.05μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部320という。本実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室12毎に圧電体能動部320が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせてアクチュエータ装置と称する。すなわち、本実施形態では、圧力発生室12内のインクに圧力変化を生じさせる圧力発生手段として振動板と圧電素子300とからなるアクチュエータ装置を設けるようにした。なお、上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び下電極膜60が振動板として作用するが、弾性膜50、絶縁体膜55を設けずに、下電極膜60のみを残して下電極膜60を振動板としてもよい。
また、各圧電素子300の上電極膜80には、流路形成基板10のインク供給路14側に延設された金(Au)等のリード電極90がそれぞれ接続されている。このリード電極90を介して各圧電素子300に選択的に電圧が印加される。
さらに、圧電素子300が形成された流路形成基板10上には、連通部13に対向する領域にリザーバ部31が設けられた保護基板30が接着剤35を介して接合されている。このリザーバ部31は、上述したように、流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。
また、保護基板30には、圧電素子300に対向する領域に、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部32が設けられている。なお、圧電素子保持部32は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。
さらに、保護基板30の圧電素子保持部32とリザーバ部31との間の領域には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられ、この貫通孔33内に下電極膜60の一部及びリード電極90の先端部が露出されている。
また、保護基板30上には、圧電素子300を駆動するための駆動回路200が実装されている。この駆動回路200としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。そして、駆動回路200とリード電極90とはボンディングワイヤ等の導電性ワイヤからなる接続配線210を介して電気的に接続されている。
保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料の面方位(110)のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路200からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、絶縁体膜55、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
(実施形態2)
図3は、本発明の実施形態2に係る液体噴射ヘッドの一例を示すインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であり、図4は、図3の平面図及びそのB−B′断面図である。なお、上述した実施形態1と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図示するように、インクジェット式記録ヘッドを構成する流路形成基板10Aには、圧力発生室12、インク供給路14、連通路15及び連通部13が設けられている。この圧力発生室12とインク供給路14との間及びインク供給路14と連通路15との間の段差面16Aは、圧力発生室12の深さ方向(流路形成基板10の厚さ方向)に対して傾斜して形成されていると共に、圧力発生室12の短手方向に対して傾斜して形成されている。
また、圧力発生室12側の段差面16Aと、圧力発生室12の短手方向の段差面16A側の一側面と、圧力発生室12の深さ方向の一方面を画成する弾性膜50の一方面とで画成された角部には、埋設部17Aが設けられている。
さらに、連通路15側の段差面16Aと、連通路15の短手方向の段差面16A側の一側面と、連通路15の深さ方向の一方面を画成する弾性膜50の一方面とで画成された角部にも埋設部17Aが設けられている。
このような構成としても、連通部13からのインクが連通路15、インク供給路14Aを介して圧力発生室12に供給される際に、インクに混入した気泡が、この角部に残留するのを防止して、残留した気泡が成長することにより圧力発生室12や連通路15の内容積が変化するのを防止して、インク吐出特性を向上することができる。
(実施形態3)
図5は、本発明の実施形態3に係る液体噴射ヘッドの一例を示すインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図5に示すように、インクジェット式記録ヘッドを構成する流路形成基板10Bには、圧力発生室12、インク供給路14及び連通部13が設けられており、連通部13からのインクはインク供給路14を介して圧力発生室12に供給される。
また、圧力発生室12とインク供給路14との間の段差面16は、上述した実施形態1と同様に、流路形成基板10の一方面に対して垂直に形成されていると共に、圧力発生室12の短手方向に対して傾斜して形成されている。
そして、この段差面16と、圧力発生室12の短手方向の段差面16側の一側面と、圧力発生室12の深さ方向の一方面を画成する弾性膜50の一方面とで画成された角部には、埋設部17が設けられている。
すなわち、本実施形態では、流路形成基板10Bに連通路15を設けずに、埋設部17を圧力発生室12側にのみ設けた構成となっている。
このような構成としても、上述した実施形態1と同様に、連通部13からのインクがインク供給路14を介して圧力発生室12に供給される際に、インクに混入した気泡が、この角部に残留するのを防止して、残留した気泡が成長することにより圧力発生室12の内容積が変化するのを防止して、インク吐出特性を向上することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の基本的構成は、上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1〜3では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路14を形成したが、特にこれに限定されず、例えば、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。このように流路の幅を両側から絞った場合には、両側に段差面が形成されるため、両側の段差面によって画成された角部に埋設部を設けるようにすればよい。
また、上述した実施形態1〜3では、流路形成基板10として、結晶面方位が(110)面のシリコン単結晶基板を例示したが、特にこれに限定されず、例えば、結晶面方位が(100)面のシリコン単結晶基板を用いるようにしてもよく、また、SOI基板、ガラス等の材料を用いるようにしてもよい。
さらに、上述した各実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図6は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
図6に示すように、インクジェット式記録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになっている。
また、上述した実施形態1〜3においては、圧力発生手段として、圧電素子を有するアクチュエータ装置を用いて説明したが、振動板と電極を所定の隙間を開けて配置し、静電気力で振動板の振動を制御する、いわゆる静電アクチュエータを圧力発生手段として用いても良い。また、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドの製造方法にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(電界放出ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの平面図及び断面図である。 実施形態2に係る記録ヘッドの分解斜視図である。 実施形態2に係る記録ヘッドの平面図及び断面図である。 実施形態3に係る記録ヘッドの分解斜視図である。 一実施形態に係るインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
符号の説明
10、10A、10B 流路形成基板、 12 圧力発生室、 13 連通部、 14 インク供給路、 15 連通部、 16、16A 段差面、 17、17A 埋設部、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 リザーバ部、 32 圧電素子保持部、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 55 絶縁体膜、 60 下電極膜、 70 圧電体層、 80 上電極膜、 90 リード電極、 100 リザーバ、 200 駆動回路、 210 駆動配線、 300 圧電素子

Claims (8)

  1. 液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室と、該圧力発生室の長手方向の一端部に連通して当該圧力発生室に液体を供給する液体供給路とが設けられた流路形成基板と、前記圧力発生室に圧力変化を生じさせる圧力発生手段とを具備し、
    前記液体供給路が、前記圧力発生室の短手方向の幅を絞ることで形成されていると共に、前記圧力発生室の短手方向の側面と前記液体供給路の短手方向の側面との間に段差面が設けられ、該段差面と、前記圧力発生室の短手方向の前記段差面側の側面と、前記圧力発生室の前記流路形成基板の厚さ方向の一方面とで画成された角部には、当該角部を埋めるように設けられた埋設部を具備することを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 前記埋設部の表面が、前記段差面と、前記圧力発生室の短手方向の前記段差面側の側面と、前記圧力発生室の前記流路形成基板の厚さ方向の一方面とに対して傾斜した傾斜面となっていることを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッド。
  3. 前記埋設部が、前記流路形成基板と一体的に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の液体噴射ヘッド。
  4. 前記流路形成基板には、前記液体供給路の前記圧力発生室とは反対側の端部に、当該液体供給路の短手方向の幅よりも幅広の連通路が設けられていると共に、該連通部と前記液体供給路との間には段差面が設けられ、当該段差面と、前記連通路の短手方向の前記段差面側の内面と、前記連通路の前記流路形成基板の厚さ方向の一方面とで画成された角部には、当該角部を埋める前記埋設部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の液体噴射ヘッド。
  5. 前記圧力発生手段が、前記流路形成基板の前記一方面側に振動板を介して設けられた圧電素子からなると共に、前記圧力発生室の前記流路形成基板の一方面側が、前記振動板で画成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の液体噴射ヘッド。
  6. 前記段差面が、前記流路形成基板の一方面に対して垂直に形成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の液体噴射ヘッド。
  7. 前記段差面が、前記流路形成基板の厚さ方向に対して傾斜した傾斜面で形成されていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の液体噴射ヘッド。
  8. 請求項1〜7の何れかに記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
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