JP2008035777A - 顕微観察用微小培養器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 アクリルアミドゲルで覆われたメンブレンフィルタと、該メンブレンフィルタの下方に配される光透過性の基板と、前記メンブレンフィルタの上面を押圧する押圧部材を備え、前記基板が前記アクリルアミドゲルを介して前記メンブレンフィルタに密着することを特徴とする細胞培養器である。
【選択図】 図1
Description
しかしながら、細胞集団を構成するそれぞれの細胞の周期が同調していることは、ほとんどなく、それぞれの細胞が異なった周期で蛋白質を発現している。
このことは、細胞応答の差異の原因の特定を困難とするものである。
特許文献1の装置が備える培養部(100)は、複数の凹部(102)を備える基板(101)と、基板(101)上に配され、凹部(102)周囲をシールするメンブレンフィルタ(103)と、メンブレンフィルタ(103)上方に閉空間を形成する培養容器(104)と、該培養容器(104)内部に連通する上流側チューブ(105)と下流側チューブ(106)からなる。
上流側チューブ(105)から新鮮な培養液が培養容器(104)内部に一次的に収容される。そして、培養容器(104)内部の供給された新鮮な培養液は、古くなった凹部(102)内の培養液とメンブレンフィルタ(103)を介して交換される。古くなった培養液は、凹部(102)からメンブレンフィルタ(103)を介して、培養容器(104)内部に至り、その後、下流側チューブ(106)を介して排出される。
このような構造をもって、特許文献1は、凹部(102)内の細胞に新鮮な培養液を常時供給することを可能にし、長期的な細胞培養を可能としている。
メンブレンフィルタ(103)と基板(101)の間において、メンブレンフィルタ(103)の−OH基が部分的に−CHO基に変換される。この変換部分をアミノ基が修飾されたビオチンと−(CO)−NH−結合させる。このようにして、メンブレンフィルタ(103)表面にビオチン(107)が修飾された状態を作り出す。
その後、アビジン(108)を添加し、ビオチン−アビチン結合で、基板(101)とメンブレンフィルタ(103)とを接続させる。
例えば、図11に示すような基板(101)に対して、メンブレンフィルタ(103)でシールする形態を考える。
図11に示す基板(101)は、複数の凹部(102)が行列状に配され、凹部(102)は細溝(109)により接続されている。図10に示すようなビオチン−アビチン結合では、メンブレンフィルタ(103)とガラス基板(101)との距離が化学結合を形成するために十分接近する必要があるが、メンブレンフィルタ(103)の表面の−CHO基に変換される−OH基は、均一に存在しているものと考えられるものの、メンブレンフィルタ(103)は網の目構造をしているため、化学結合を生じるために有効な距離にまで近づけない部分も存在する。このため、複数の凹部(102)すべてを均一に密閉する確実性には乏しく、図11に示すような基板(101)の凹部(102)或いは細溝(109)の周囲全てを確実にシールすることは困難である。したがって、ビオチン−アビチン結合が好適になされず、シールが不十分な箇所を備える凹部(102)では、十分な密閉状態である部分は限られてしまい、長期培養するための培地交換に伴い細胞も流れ出てしまう。
特許文献2は、基板に形成された凹部を密閉する手段としてではないが、アガロースゲル層に細胞収容用の凹部を形成し、このアガロースゲル層をセルロース膜上に載置する形態を開示する。
特許文献2のアガロースゲル層を基板上に配設することで、上記の凹部の密閉性の問題を解決できると考えられる。
図12に示すマイクロチャンバ(110)は、ガラス基板(111)及びガラス基板(111)上面に載置される平板状の構造体(112)を備える。構造体(112)には、流路等が形成されている(図示せず)。更に、マイクロチャンバ(110)は、構造体(112)上面に配されるセルロース膜(113)を備え、セルロース膜(113)上にはプラスチック薄板(114)が積層される。プラスチック薄板(114)中央部には、六角形状の開口部が形成され、この開口部内にアガロースゲル層(115)が形成される。
レーザ光照射システム(116)からマイクロニードル(117)先端にレーザ光が照射されると、マイクロニードル(117)が加熱し、アガロースゲル層(115)を溶解させる。
そして、マイクロニードル(117)を移動させながら、ウェル(119)を形成する。また、この加工は撮像システム(118)による監視の下、慎重に行われる。
アガロースゲル層(115)で基板に形成された凹部を密閉する場合、アガロースゲル層(115)と基板を密着させるために力を負荷する必要がある。この負荷される力が強すぎると、アガロースゲル層(115)が崩れ、もはや良好な空間構造を保つことができなくなる。
請求項2記載の発明は、前記基板と前記メンブレンフィルタの間の前記アクリルアミドゲルからなる層にチャンバが形成され、該チャンバ内に観察対象物が収容されることを特徴とする請求項1記載の細胞培養器である。
請求項3記載の発明は、前記チャンバの厚さが前記アクリルアミドゲルからなる層の厚さより小さいことを特徴とする請求項2記載の細胞培養器である。
請求項4記載の発明は、前記アクリルアミドゲルからなる層に形成されるチャンバが、所望のチャンバの形状を有する少なくとも1つの微小構造物を有する面上に、未硬化アクリルアミドゲルを含有する前記メンブレンフィルタを積層することにより形成されることを特徴とする請求項2記載の細胞培養器である。
請求項5記載の発明は、前記微小構造物が、光造形法、フォトリソグラフィ、切削加工、レーザ加工、放電加工、サンドブラスト加工、FIB加工からなる群から選択される加工方法により形成されることを特徴とする請求項4記載の細胞培養器である。
請求項6記載の発明は、前記押圧部材が、該押圧部材下面に形成される流路と、該流路に連通する供給口及び排出口を備え、該供給口から前記押圧部材下面に形成される流路に培養液が供給されることを特徴とする請求項1記載の細胞培養器である。
請求項7記載の発明は、前記メンブレンフィルタが光透過性であることを特徴とする請求項1記載の細胞培養器である。
請求項8記載の発明は、前記基板が光学的に透明であることを特徴とする請求項1記載の細胞培養器である。
例えば、観察対象物が大腸菌等の数ミクロン程度の微生物である場合、観察対象物が動き回りながら細胞分裂を繰り返すこととなる。本発明においては、上述の如く、アクリルアミドゲルによって観察対象物の移動を防ぐことが可能であるので、分裂後の細胞を容易に特定することが可能となる。
更に、アクリルアミドゲル層が液透過性であるので、培養液をゲル層内部に通過させることが可能となり、高い液交換効率を達成することができる。
請求項2乃至4記載の発明によれば、メンブレンフィルタと基板間の層がアクリルアミドゲルからなるので、この基板と密着するアクリルアミドゲル層の表面に形成されるチャンバの寸法精度を高めることが可能となる。
即ち、アクリルアミドゲル層の表面にチャンバを作製する方法としてチャンバ形状の型となる微小構造物を備える基板上に硬化前のアクリルアミドゲルを含ませたメンブレンフィルタを積層し、アクリルアミドゲル層が硬化した後、メンブレンフィルタを足場としたアクリルアミドゲル層をメンブレンフィルタと共に引き剥がすことで、アクリルアミドゲル層の表面にチャンバを簡便に形成可能となる。硬化したアクリルアミドゲル層は、高い機械的強度を備えるため、微小構造物を備える基板からチャンバが形成されたアクリルアミドゲル層をメンブレンフィルタと共に引き剥がすときにアクリルアミドゲル層が破損することがない。また、チャンバの深さ(厚さ)方向の高い寸法精度を得ることが可能となる。
請求項5記載の発明によれば、高い寸法精度の微小構造物を形成することができ、これに伴い、高い寸法精度のチャンバを形成可能となる。
請求項6記載の発明によれば、アクリルアミドゲルからなる層が押圧部材による押圧力により崩れることがないので、流路から培養液が漏れることがない。
請求項7記載の発明によれば、透過光を妨げることなく観察を行うことが可能となる。
請求項8記載の発明によれば、基板を介して細胞培養の様子を観察可能となる。
図1は、微小培養器(1)の展開斜視図である。
微小培養器(1)は、メンブレンフィルタ(2)と、メンブレンフィルタ(2)下面と接着する基板(3)と、メンブレンフィルタ(2)上面を押圧する押圧部材(4)からなる。
図1に示す例において、押圧部材(4)は、円板状の第1部材(41)と、環状の第2部材(42)から構成され、第1部材(41)がメンブレンフィルタ(2)上面に直接載置され、第1部材(41)上面に第2部材(42)が載置される。
座ぐり面(902)上に環状の第1パッキン材(903)が配される。第1パッキン材(903)上に基板(3)が載置される。更に、基板(3)上面には環状の第2パッキン材(904)が配される。そして、第2パッキン材(904)上にミドルプレート(910)が配される。
ミドルプレート(910)中央には、開口部(911)が形成される。また、ミドルプレート(910)下面には、下方へ突出する環状の突出平面(912)が形成される。突出平面(912)は開口部(911)を取り囲む。
第2パッキン材(904)上面は、ミドルプレート(910)下面に形成される突出平面(912)と当接する。
このようにして基板(3)は、ベースプレート(900)とミドルプレート(910)との間で挟持される。
第1部材(41)は、メンブレンフィルタ(2)に接する下面に貫通穴を通じて液を流すための流路(412)と、流路(412)への液を供給排出するための貫通穴(411)を備えている。
供給口(422)上端を始端とする供給路は、第1部材(41)が備える一対の貫通穴(411)のうち一方と連通する。そして、他方の貫通穴(411)下端を始点とする排出路は、排出口(423)に繋がる。液は、第1部材(41)底面の流路(412)を通じて流れる。これにより、メンブレンフィルタ(2)と基板(3)との間で狭持された細胞等の生体試料に対して、メンブレンフィルタ(2)を介して液交換がなされ、細胞等の生体試料に培地の供給と老廃物の除去がなされる。
上記説明は、第1部材(41)に貫通穴(411)と流路(412)が形成されて、液交換される場合であるが、図3(c)に関連して後述するように、第1部材(41)の中央部に開口穴を設け、その開口穴に液を溜めておくことで、メンブレンフィルタ(2)を通じて細胞等の生体試料に培地を供給する形でもよい。
一方、トッププレート(920)は、ミドルプレートを介さずにベースプレート(900)とボルトで連結される。これにより、メンブレンフィルタ(2)及び押圧部材(4)を基板(3)へ押付ける下方への力が、ミドルプレート(910)とベースプレート(900)とを連結する力と独立して、ベースプレート(900)とトッププレート(920)とをボルトで連結する力を増減させることで調整可能となる。
図2に示す如く、基板(3)は、ベースプレート(900)とミドルプレート(910)との間で、パッキン材(903,904)を介して挟持される。そして、基板(3)上にメンブレンフィルタ(2)及び押圧部材(4)が載置される。押圧部材(4)の第2部材(42)が、トッププレート(920)により下方に押されることで、メンブレンフィルタ(2)が基板(3)上面に密着され、押圧部材(4)がメンブレンフィルタ(2)上面に密着する。
基板(3)は光透過性材料で形成される。このような基板(3)としては、カバーガラス等が好適に使用可能である。また、メンブレンフィルタ(2)及び押圧部材(4)は観察するための透過光を妨げない可視光を透過する部材であればよい。
したがって、光源(930)からの光は、メンブレンフィルタ(2)、押圧部材(4)及び基板(3)を通過して、レンズ(940)へ至る。レンズ(940)は、微小培養器(1)中の光の通過により得られる像を捕捉する。
これにより、微小培養器(1)からの培養液の漏出を防止できる。
培養液の漏出は、周囲の実験環境を汚染する原因となる。更に、培養液が観察対象の菌を含む場合があり、培養液の漏出は実験環境の衛生を損なうものである。上述のように、本発明に係る微小培養器(1)は、完全に培養液の漏出を防止するので、衛生的な実験環境を提供することを可能とする。
図3(a)は、メンブレンフィルタ(2)の平面図である。
メンブレンフィルタ(2)は、複数の液透過用細孔(21)を備える。液透過用細孔(21)は、メンブレンフィルタ(2)を貫通し、メンブレンフィルタ(2)全面にわたって分布している。メンブレンフィルタ(2)は、観察を容易にするために光学的に可視光を通す部材であればよい。
メンブレンフィルタ(2)外面(上面、下面並びに周面)に、アクリルアミドからなるゲル層(22)が形成される。ゲル層(22)は、ゲル層(22)を構成するアクリルアミドゲルを、硬化前に液透過用細孔(21)内部まで浸潤させて硬化させることにより形成される。アクリルアミドゲルは、液透過性である。
ゲル層(22)は、基板(3)上面に密着する。
基板(3)上面とメンブレンフィルタ(2)との間には大腸菌等の観察対象物(V)が狭持される。
大腸菌は、長径で約1μm、短径で約0.5μmと大変小さいため、わずかな隙間で逃げ出してしまう。本発明において、ゲル層(22)が大腸菌等の微小な観察対象物(V)を覆うことにより、観察対象物(V)周囲の隙間の発生を防止することができ、観察対象物(V)の移動を防ぐことが可能となる。
尚、ゲル層(22)による観察対象物(V)の被覆は、大腸菌等の観察対象物(V)の分裂や培地を介しての栄養分の取り込み等の生体活動を妨げることはない。したがって、本発明は、同一の非常に小さな大腸菌等の観察対象物(V)の観察に好適に使用可能である。
供給口(422)から流入した培養液は、第1部材(41)下面の流路(412)中を左方から右方へ流れている。そして、培養液はメンブレンフィルタ(2)の液透過用細孔(21)を上下に通過する。
他の一例として図3(c)に示すように、流路(412)の代わりに、第1部材(41)の中央部に開口穴(413)を設け、その開口穴(413)に液を溜め、ゲル層(22)を介して、観察対象物(V)に培地を供給する形でもよい。
図4(a)は、基板(3)と接着するゲル層(22)にチャンバ(221)を形成した例である。
チャンバ(221)の厚さはゲル層(22)の厚さよりも薄く形成される。
チャンバ(221)内には、観察対象物(V)が配される。チャンバ(221)はゲル層(22)下面において開口している。チャンバ(221)の開口部周縁輪郭は、ゲル層(22)により構成されるので、チャンバ(221)周縁は、ゲル層(22)と基板(3)により完全に密閉される。
したがって、培養液がゲル層(22)並びにチャンバ(221)を通過しても、チャンバ(221)内部の観察対象物(V)が微小培養器(1)から漏れ出ることがない。チャンバ(221)を形成することによって、大腸菌等の微生物よりも大きな動物細胞や植物細胞を閉じ込めておくことができ、液交換を行っても細胞の位置が変わることなく長時間の観察を行なうことができる。
流路(222)内において観察対象物(V)を送液することができる。流路(222)はゲル層(22)下面において開口している。流路(222)の開口部周縁輪郭はゲル層(22)により構成されるので、流路(222)はゲル層(22)と基板(3)により完全に密閉される。
したがって、培養液がゲル層(22)並びに流路(222)を通過しても、流路(222)内部の観察対象物(V)が微小培養器(1)から漏れ出ることがない。
ゲル層(22)には、別途一対の貫通穴(223)を形成する。また、第1部材(41)には、ゲル層(22)上面の第1部材(41)の流路への供給口(422)とは別に、追加の貫通穴を設ける。そして、この追加の貫通穴を介して、ゲル層(22)に形成された貫通穴(223)へ観察対象物(V)を導入する。
ゲル層(22)下面には、一対の貫通穴(223)を接続するように流路(222)が形成され、流路(222)はゲル層(22)下面を蛇行して延設している。
流路(222)の幅は、観察対象物(V)の最大径より僅かに大きく形成される。流路(222)の周縁輪郭はゲル層(22)により構成され、密着しているため、観察対象物(V)は流路(222)の経路に沿って、もう一方の貫通穴(223)に向かって流れる。
貫通穴(223)から観察対象物(V)が懸濁された培養液を少量ずつ流路(222)へ流入させる。流路(222)に流入した観察対象物(V)は成長・分裂等をしつつ、下流へ向かって流される。したがって、流路(222)上流側では、成長或いは分裂初期の観察対象物(V)が観察されることとなり、流路(222)下流側では、成長或いは分裂が進んだ観察対象物(V)が観察されることとなる。
これにより、1つの観察領域の中で観察対象物(V)の成長・分裂過程が明瞭に現され、例えば同時に子供の状態の細胞から成長が終わった細胞までを同時に一回で観察することが可能となる。
図6は、その使用形態の例を示す部分拡大図である。図6(a)は、基板(3)にチャンバ(221)を形成した例を示す。
チャンバ(221)は、基板(3)上面において開口しており、チャンバ(221)の開口部周縁輪郭はゲル層(22)によって完全に密閉され、チャンバ(221)内に配された観察対象物(V)は閉じ込められて出ることができない。
その一方で、ゲル層(22)を介して培地を観察対象物(V)へ供給することが可能であり、長期間の培養と観察が実現できる。
図6(b)は、基板(3)に流路(222)を形成した例である。ゲル層(22)に流路(222)を形成した場合と同様に観察対象物(V)に対して好適な生息環境を維持しつつ、長期間の観察と細胞における世代間同時観察が可能となる。
図7(a)は、型形成工程により作製された型の一例である。
平坦な基板(5)上にチャンバ(221)及び流路(222)の型となるミクロンオーダーの構造物(51)を形成する。この構造物(51)の加工方法としては、光造形法、フォトリソグラフィ、放電加工、ウエットエッチング、ドライエッチング、切削加工、レーザ加工、サンドブラスト加工、FIB(Focused Ion Beam)加工などが例示できる。
これらの方法を用いることによってミクロンオーダーの構造物(51)を作製し、構造物(51)は、チャンバ(221)或いは流路(222)の型として用いられる。
表面に微小構造物(51)が形成された基板(5)の上に、硬化する前のアクリルアミドゲルを十分にしみこませたメンブレンフィルタ(2)を載置する。この時、予め、未硬化のアクリルアミドゲルを基板(5)表面に垂らしておき、アクリルアミドゲルをしみこませたメンブレンフィルタ(2)を載置することにより、微小構造体(51)とメンブレンフィルタ(2)との間が隙間無くゲル化される。
また、ゲル層(22)がアクリルアミドゲルからなるので、メンブレンフィルタ(2)上面をガラス板等の平坦な面を持つもので上から押さえつけることにより、ゲル層(22)が破損することなく、空気中の酸素がアクリルアミドゲルの重合を阻害するのを防ぐことができる。
このガラス板等とメンブレンフィルタ(2)とを重ね合わせた状態で、一定時間静置することによって、アクリルアミドゲルがメンブレンフィルタ(2)にしみこんだ状態のまま、硬化する。この結果、硬化後のゲル層(22)表面には、型であるチャンバ(221)若しくは流路(222)の形状に応じた構造が形成される。
型となる基板(5)表面から硬化したゲル層(22)を含むメンブレンフィルタ(2)を剥がす。メンブレンフィルタ(2)は、硬化したゲル層(22)の土台となるため、引抜操作においてアクリルアミドゲルが型となる基板に残ってしまうことを防止するとともに薄いゲル層(22)の取扱いを容易にする。また、ゲル層(22)がアクリルアミドゲルからなるので、薄いゲル層(22)であっても、この引き剥がし工程の際に、ゲル層(22)が破損することがない。
引抜工程を経て得られる硬化したゲル層(22)を含むメンブレンフィルタ(2)は透明な基板(3)上に載置されることで、ゲル層(22)に形成されたチャンバ(221)や流路(222)が密閉される。またチャンバ(221)や流路(222)は、ゲル層(22)を介して液交換可能である。
この時、余分な水分を取り除くことで、容器に入りきらなかった観察対象物(V)を取り除くことが可能となるとともにチャンバ(221)の密閉度が向上する。
図8に示す微小培養器(1)の製造工程は、基板(3)表面にチャンバ(221)若しくは流路(222)を形成する工程と、メンブレンフィルタ(2)に未硬化のアクリルアミドゲルを十分含ませた状態で硬化させ、ゲル層(22)を形成する工程と、基板(3)とメンブレンフィルタ(2)との張合工程からなる。
基板(3)表面上にチャンバ(221)若しくは流路(222)を作製する微細加工の方法としては、光造形法、フォトリソグラフィ、放電加工、ウエットエッチング、ドライエッチング、切削加工、レーザ加工、サンドブラスト加工、FIB(Focused Ion Beam)加工などが例示できる。
これらの方法を用いることによって、ミクロンオーダーでチャンバ(221)若しくは流路(222)を形成できる。
硬化する前のアクリルアミドゲルを十分しみこませたメンブレンフィルタ(2)を平坦な基板(50)上に静置させ、アクリルアミドゲルを硬化させる。
また、ゲル層(22)がアクリルアミドゲルからなるので、メンブレンフィルタ(2)上面をガラス板等の平坦な面を持つもので上から押さえつけることにより、ゲル層(22)が破損することなく、空気中の酸素がアクリルアミドゲルの重合を阻害するのを防ぐことができる。
このガラス板等とメンブレンフィルタ(2)とを重ね合わせた状態で、一定時間静置することによって、アクリルアミドゲルがメンブレンフィルタ(2)にしみこんだ状態のまま、硬化する。この結果、硬化後のアクリルアミドゲルの表面は、平坦な基板(5)の表面と同様の平坦な面が形成される。
チャンバ(221)或いは流路(222)は、ゲル層(22)を介して液交換可能である。
この時、余分な水分を取り除くことで、容器に入りきらなかった観察対象物(V)を取り除くことが可能となるとともにチャンバ(221)の密閉度が向上する。
2・・・・・メンブレンフィルタ
21・・・・液透過用細孔
22・・・・ゲル層
221・・・チャンバ
222・・・流路
3・・・・・基板
4・・・・・押圧部材
41・・・・第1部材
411・・・貫通穴
412・・・流路
42・・・・第2部材
421・・・第2部材本体部
422・・・供給口
423・・・排出口
900・・・ベースプレート
901・・・開口部
902・・・座ぐり面
903・・・第1パッキン材
904・・・第2パッキン材
910・・・ミドルプレート
911・・・開口部
912・・・突起平面
920・・・トッププレート
921・・・開口部
922・・・肩部
930・・・光源
940・・・レンズ
Claims (8)
- アクリルアミドゲルで覆われたメンブレンフィルタと、
該メンブレンフィルタの下方に配される光透過性の基板と、
前記メンブレンフィルタの上面を押圧する押圧部材を備え、
前記基板が前記アクリルアミドゲルを介して前記メンブレンフィルタに密着することを特徴とする細胞培養器。 - 前記基板と前記メンブレンフィルタの間の前記アクリルアミドゲルからなる層にチャンバが形成され、
該チャンバ内に観察対象物が収容されることを特徴とする請求項1記載の細胞培養器。 - 前記チャンバの厚さが前記アクリルアミドゲルからなる層の厚さより小さいことを特徴とする請求項2記載の細胞培養器。
- 前記アクリルアミドゲルからなる層に形成されるチャンバが、
所望のチャンバの形状を有する少なくとも1つの微小構造物を有する面上に、未硬化アクリルアミドゲルを含有する前記メンブレンフィルタを積層することにより形成されることを特徴とする請求項2記載の細胞培養器。 - 前記微小構造物が、光造形法、フォトリソグラフィ、切削加工、レーザ加工、放電加工、サンドブラスト加工、FIB加工からなる群から選択される加工方法により形成されることを特徴とする請求項4記載の細胞培養器。
- 前記押圧部材が、該押圧部材下面に形成される流路と、該流路に連通する供給口及び排出口を備え、
該供給口から前記押圧部材下面に形成される流路に培養液が供給されることを特徴とする請求項1記載の細胞培養器。 - 前記メンブレンフィルタが光透過性であることを特徴とする請求項1記載の細胞培養器。
- 前記基板が光学的に透明であることを特徴とする請求項1記載の細胞培養器。
Priority Applications (1)
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