JP2008035757A - 魚肉の臭気を除去するための方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉の溶解度を維持しながら、エタノールなどによる有機溶媒処理を行うことによって、魚肉の臭気を効果的に除去する方法を提供する。
【解決手段】 魚肉を破砕し、破砕した魚肉と還元性糖類とを混合し、破砕した魚肉と還元性糖類との混合物を脱水し、その混合物を、水分含有量を6%以下に維持しながら該混合物に含まれる筋肉タンパク質を変性させない温度条件の下で保持することによって、筋肉タンパク質に還元性糖類が結合した可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉を生成し、可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉と有機溶媒とを混合し、可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉と有機溶媒との混合物を、可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉の溶解度を低下させない温度条件の下で保持する工程を含むことを特徴とする方法である。
【選択図】 図6

Description

本発明は、水産加工業、食品加工業などの食品加工分野に関し、より具体的には、可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉の溶解度を維持しながら当該魚肉の臭気を除去するための方法、及び、当該方法によって得られた魚肉食品に関する。
魚肉は、魚肉中のタンパク質が有するゲル形成能、乳化能、保水能などの機能特性を利用することによって、調理冷凍食品や練り製品、ソーセージなどの様々な加工食品の原料として幅広く利用されている。魚肉を原料とする食品素材の例として、例えば「冷凍すり身」が挙げられる。これは、洗浄した新鮮な魚肉に変性防止剤などを添加して冷凍したものであり、この技術によって、魚肉のゲル形成能を長期にわたって保持することが可能となる。
しかしながら、魚肉が持つこれらの機能は、鮮度の低下及び含まれるタンパク質の変性によって、影響を受ける場合がある。また、冷凍すり身化が可能な魚種も限定されている。したがって、魚肉をタンパク資源として効率的に産業利用するためには、魚肉を汎用性のあるタンパク質素材にすることが有用であり、その方策の1つとして、魚肉由来の筋肉タンパク質の可溶化が望まれてきた。本発明者らはすでに、筋肉タンパク質を含む魚肉を還元性糖類と混合し、混合物を、温度30℃〜70℃、相対湿度35%以下、水分含有量6%以下の低水分環境下に保持してメイラード反応させることによって、魚肉に含まれる可溶化筋肉タンパク質に還元性糖類を結合させ、このようにして糖類を結合させた筋肉タンパク質を含む魚肉は、低イオン強度下(0.05M〜0.1M NaCl)であっても溶解度が79%〜93%となることを見いだしている(特許文献1)。この技術を用いることによって、機能安定性に優れた、汎用性のある魚肉由来の可溶化筋肉タンパク質素材を製造することが可能になった。
ところで、魚肉を食品素材として利用する際の課題の1つが、魚肉の臭気を低減させることである。魚肉の臭気は、主に脂質酸化物由来の揮発性低分子化合物に起因することが知られており、こうした臭気は、エタノールなどの有機溶媒を用いて魚肉を洗浄(処理)して脂質を除去することによって、効果的に低減できることが分かっている。実際に、水産食品加工の現場では、イワシやサバなどの多脂肪魚肉の脱脂(すなわち、脱臭)を目的として、エタノール処理が行われている。また、有機溶媒処理による脱臭及び脱脂技術以外の従来技術として水晒し処理があり、この技術によって、冷凍すり身製造時に水溶性の成分に由来する臭気を除去することが可能である。さらに、食品の表面に臭気成分が存在する場合には、オゾン水処理又は紫外線照射処理技術が用いられる。
特許文献2には、いか類を、糖類、糖アルコール類及び塩類から選択された一種若しくは二種以上含有する30%以上のエチルアルコール溶液に浸漬するか、又は、糖類、糖アルコール類及び塩類から選択された一種若しくは二種以上含有する溶液に浸漬し、その後30%以上のエチルアルコール溶液に浸漬することによって、表面が白くなったり固くなったりするタンパク質の変性を防止しつつ殺菌を行う技術が開示されている。特許文献3には、魚肉を細かくし、タンパク質分解酵素を作用させて魚肉に含まれるタンパク質の物性を変化させることによりペースト状のタンパク質材料を製造するに際し、少なくともいずれかの段階でエタノールにより魚肉を処理し、エタノールと共にエタノールに溶解する成分を除去することによって、魚臭がなく、色調がよく、且つ保存安定性に優れたペースト状タンパク質食品を製造する技術が開示されている。特許文献4には、魚介類にエタノール水溶液を含浸させ、次いで食塩含有水溶液中でボイルした後、該食塩含有水溶液から取り出した魚介類を包装容器に充填密封してレトルト殺菌する方法が開示されており、この方法によって、レトルト殺菌時に生じる臭みを効率的に除去し、魚介類の縮み防止、食感保存が可能である。特許文献5には、甘蔗(さとうきび)由来の抽出物をカラム分画して得た消臭物質を、魚介類又は肉類に振りかけるか、又は混入させることによって、炭化水素、アルコール類、アルデヒド類、有機酸、高度不飽和脂肪酸、窒素化合物、含硫化合物などの複合的な成分に由来する魚介類又は肉類の特有な不快臭を消臭又は低減する方法が開示されている。特許文献6には、シャロット及び/又はオニオンを低温下で含水アルコールなどによって抽出したペースト状抽出物を魚臭のマスキング剤として使用することによって、マスキング効果と共に、魚肉本来のおいしさを引き立てる効果を有するようにする技術が開示されている。
特開2003−169634 特開昭62−28650 特公平4−74990 特許第2879410 特開平11−187825 特開2004−357648
上述のように、魚肉の臭気は、エタノールなどの有機溶媒処理によって効果的に除去することができる。ところが、このエタノールなどの有機溶媒処理によって、魚肉に含まれる筋肉タンパク質の溶解度は著しく低下するという問題がある。このことを示したのが、図1である。
図1は、本発明の発明者らが行った実験結果のグラフであり、ニジマスの筋原繊維(ニジマスMf)を様々な濃度のエタノール溶液によって処理したときに、ニジマスMfの溶解度がどのように変化するかを示している。濃度0%のエタノール溶液、すなわち蒸留水に懸濁したニジマスMfを0.5M NaCl溶液に溶解させた場合の溶解度は約80%であるが、濃度20%のエタノール溶液に懸濁したニジマスMfの溶解度は20%を下回る。エタノール濃度が30%より高くなるに従ってニジマスMfの溶解度は高くなるものの、エタノール処理前に比べると極めて低い値に留まっている。図1には、濃度99.5%のエタノールで処理したMfの全画分(図1においてTで表されている)と0.5M NaCl中の溶解画分(図1においてSで表されている)とを、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によって分析した結果も示す。この図において、0.5M NaCl中の溶解画分においてはミオシン重鎖(MHC)が検出されず、アクチン(A)も減少していることが分かる。この結果から、エタノール処理によるニジマスMfの溶解度低下は、筋肉タンパク質の主要構成成分であるミオシンとアクチンがエタノール処理によって変性し、これらの溶解性が低下することが主な原因であると考えられる。このように、魚肉に含まれる筋肉タンパク質の溶解度は、エタノールなどの有機溶媒処理によって著しく低下する。
また、水晒し処理は、脂質成分の除去が不可能であるため、脂質酸化物由来の揮発性低分子化合物に起因する臭気を除去することはできない。オゾン水処理については、処理過程で脂質が酸化して脂質酸化分解物が生成するとともに、オゾン濃度が高くなると人体に有害であるという欠点がある。オゾン水処理及び紫外線処理については、オゾン水及び紫外線が表面の臭気成分にのみ作用するため、内部の臭気成分を除去することができない。
一方、特許文献2〜6においては、タンパク質の変性による表面の白濁又は固化を防止しながら、エタノールなどの有機溶媒によっていか類を殺菌する方法、魚肉をエタノールによって処理することによって魚臭のないペースト状タンパク質材料を製造する方法、及び、自然物から抽出した抽出物を消臭剤として利用することによって魚介類又は肉類の臭気を除去する方法などが開示されている。しかしながら、魚肉に含まれる筋肉タンパク質を可溶化させることができると共に、可溶化した筋肉タンパク質を含む魚肉の溶解度を維持しながら、魚肉の臭気を効果的に除去する技術は開示されていない。
したがって、可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉の溶解度を維持しながら、エタノールなどによる有機溶媒処理を行うことによって魚肉に含まれる脂質を除去し、脂質由来の臭気を効果的に除去することができれば、筋肉タンパク質を含む魚肉の食品素材としての利用を著しく促進することになる。
本発明の発明者らは、上述のように、筋肉タンパク質を含む魚肉を還元性糖類と混合し、該混合物を低水分環境下に保持してメイラード反応させることによって、可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉が得られることを既に見いだしている(特許文献1)。本発明は、特許文献1に開示された技術によって魚肉に含まれる筋肉タンパク質を可溶化し、このように可溶化された筋肉タンパク質を含む魚肉を特定の条件下でエタノール処理することによって、可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉の溶解度を維持しながら魚肉の臭気を効果的に除去することが可能であるという知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明の第1の態様は、魚肉を破砕し、破砕した魚肉と還元性糖類とを混合し、破砕した魚肉と還元性糖類との混合物を脱水し、該混合物を、水分含有量を6%以下に維持しながら該混合物に含まれる筋肉タンパク質を変性させない温度条件の下で保持することによって、筋肉タンパク質に還元性糖類が結合した可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉を生成し、可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉と有機溶媒とを混合し、可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉と有機溶媒との混合物を、可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉の溶解度を低下させない温度条件の下で保持する工程を含む、該可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉の臭気を除去するための方法である。
本発明の第2の態様は、魚肉を破砕し、破砕した魚肉と還元性糖類とを混合し、破砕した魚肉と還元性糖類との混合物を脱水し、該混合物を、水分含有量を6%以下に維持しながら該混合物に含まれる筋肉タンパク質を変性させない温度条件の下で保持することによって、筋肉タンパク質に還元性糖類が結合した可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉を生成し、可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉と有機溶媒とを混合し、可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉と有機溶媒との混合物を、該可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉の溶解度を低下させない温度条件の下で保持する工程によって得られた、可溶化筋肉タンパク質を含み、臭気が除去された魚肉食品である。
本発明においては、後述の工程(1)〜(4)により、魚肉に含まれる筋肉タンパク質に糖類を結合させて可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉を生成し、後述の工程(5)〜(6)により、生成した可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉を有機溶媒と混合して臭気を除去する。これらの各工程を以下に詳細に説明する。
(1)魚肉を破砕する工程
最初の工程では、筋肉タンパク質を含む魚肉を破砕する。ここで、破砕とは、魚肉を何らかの手段で細かく切断すること(すなわち、細切り(こまぎり)すること)を意味し、例えば、ホモジナイズ処理又は挽肉処理などが含まれるが、これらに限定されるものではない。魚肉を、5ミリ以下のふるい目を通過する程度まで破砕することが好ましく、3ミリ以下のふるい目を通過する程度まで破砕することがさらに好ましい。なお、本発明の実施形態においては、この工程で、筋肉タンパク質の凍結変性防止を目的として、ソルビトールなどの凍結変性防止剤を加える場合がある。
(2)破砕した魚肉と還元性糖類とを混合する工程
次いで、破砕した魚肉と還元性糖類とを混合する。本発明において用いられる還元性糖類は、還元末端を有する糖類であればよく、例として、マルトース、スクロース、ラクトース、セロビオースなどの二糖類、マルトトリオースなどの三糖類、又は、アルギン酸オリゴ糖、キトサンオリゴ糖などのオリゴ糖類を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。いずれにしても、本発明によって生成される可溶化筋肉タンパク質は、筋肉タンパク質のメイラード反応によって得られるものであるため、混合される糖類は還元性糖類であることが必要となる。破砕した魚肉と還元性糖類との混合物を、後述する特定の条件下で保持することによって、筋肉タンパク質の反応性リジン残基と糖類の還元末端との間でメイラード反応が起こり、筋肉タンパク質に糖類が結合し、生理的条件下(又は、低イオン強度下)でも十分な溶解度を持った可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉が得られる。
本発明においては、破砕した魚肉と混合する還元性糖類の量は、魚肉に含まれる筋肉タンパク質の量と還元性糖類との混合比(重量比)が1:0.1〜1:10の範囲になるようにするのが好ましく、さらに好ましくは、魚肉に含まれる筋肉タンパク質と還元性糖類との混合比(重量比)は、1:0.5〜1:1である。魚肉に含まれる筋肉タンパク質の量1に対して、還元性糖類の量が0.1より小さい場合には、筋肉タンパク質を十分に可溶化できるだけの糖類結合量が得られない。一方、魚肉に含まれる筋肉タンパク質の量1に対して、還元性糖類の量が10より大きい場合には、筋肉タンパク質を可溶化するのに十分な糖類結合量は得られるものの、筋肉タンパク質に結合しない糖類が多くなり、最終的に得られる魚肉食品の呈味性への影響(甘みの増加)や、カロリー摂取に関する問題が生じ、食品素材としての有用性を損なう可能性がある。また、全体に占める筋肉タンパク質の割合が10%以下となるため、タンパク質素材としての価値が低下することになる。
(3)破砕した魚肉と還元性糖類との混合物を脱水する工程
次いで、破砕した魚肉と還元性糖類との混合物は、脱水処理が施される。脱水処理は、種々の手段によって行うことができ、例えば、相対湿度10%の低湿度下における加熱、凍結乾燥、噴霧乾燥、若しくは減圧乾燥などの処理又はこれらの組み合わせによって、行うことができる。本発明は、破砕した魚肉と還元性糖類との混合物の水分含有量を(相対湿度35%以下の低湿度環境下において)約6%以下に維持してメイラード反応させることによって、従来の(高湿度環境下における)水分含有量の多い状態での糖結合反応では得られなかった高い溶解度を魚肉に与えるものである。したがって、脱水処理終了時点で水分含有量が約6%以下となっているように脱水するのが好ましいが、後述の工程(4)において糖結合が開始するまでに6%以下になればよく、脱水処理終了時点での水分含有量は必ずしも約6%以下である必要はない。しかしながら、工程(4)において所望の水分含有量を維持するために、破砕魚肉と還元性糖類との混合物の水分含有量を脱水処理終了時点でできるだけ約6%に近づけておくことが望ましく、脱水処理終了時点で水分含有量を少なくとも10%以下にしておくことが好ましい。
(4)脱水した混合物を、混合物の水分含有量を約6%以下に維持しながら混合物に含まれる筋肉タンパク質を変性させない温度条件の下で保持することによって、可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉を生成する工程
この工程においては、脱水した破砕魚肉と還元性糖類との混合物の水分含有量を(相対湿度35%以下の低湿度環境下において)約6%以下に維持しながらメイラード反応を進行させて、魚肉に含まれる筋肉タンパク質に糖類を結合することによって、低イオン強度下でも十分な溶解度を持つ筋肉タンパク質を含む魚肉を生成する。従来、タンパク質への糖結合は、例えば次のような工程で行っていた。まず、サケ筋肉の懸濁液を作成し、これに、サケ筋肉に含まれる筋原繊維タンパク質の質量と等量の還元性糖類、例えばアルギン酸オリゴ糖を溶解し、脱水して、水分含有量を8.4%とする。次いで、これを相対湿度65%、温度50℃の環境下で8時間保持して、筋肉タンパク質と糖類とを結合させる。この従来方法の場合、8時間経過後の試料の水分含有量は約20.7%となる。しかしながら、筋肉タンパク質の主成分であるミオシンは、熱的に不安定であり、水分含有量が多い状態で保持すると、メイラード反応が進行して糖類が結合しても周囲に存在する水分子の影響を受けて変性し、可溶化の程度が低くなる。これに対して、本発明のように、試料の水分含有量が少ない状態で、具体的には(相対湿度35%以下の低湿度環境下において)水分含有量が約6%以下の状態でメイラード反応を起こさせると、低イオン強度下でも十分な溶解度が得られるようになる。
前述のように、脱水した破砕魚肉と還元性糖類との混合物は、本工程前に約6%以下まで水分含有量を低下させておくこともできるが、本工程前には約6%以上でも、本工程において水分含有量を約6%以下まで低下させ、その状態を維持するようにしてもよい。これは、脱水した混合物を、相対湿度約35%以下の低湿度環境下で保持することによって達成することができる。相対湿度が約35%より大きくなると、メイラード反応の過程で混合物が環境水分を吸収し、混合物の水分含有量を約6%以下に維持することができない。
本工程では、(3)の工程で脱水した破砕魚肉と還元性糖類との混合物を、温度約30℃〜約70℃の温度環境下で一定時間保持する。この温度範囲の環境下で保持することによって、混合物に含まれる筋肉タンパク質の熱変性を防止しながら、メイラード反応を進行させることができる。保持温度が約30℃より低くなるとメイラード反応の進行が遅くなり、保持温度が約70℃より高くなると、含まれる筋肉タンパク質が熱変性して、可溶化せず、色調が黄色く変色する。
混合物の保持時間は、好ましくは保持温度60℃、相対湿度35%の場合、約0.5〜約6時間であり、さらに好ましくは1.5〜3時間である。保持時間が約0.5時間より短いと、糖結合量が少ないため可溶化の程度が小さくなり、保持時間が約6時間より長いと、可溶化に十分な量の糖類が結合するが、糖結合反応が過剰に進行し、褐変などの現象や溶解度の低下が生じる。
上記(1)〜(4)の工程によって、筋肉タンパク質に糖類が結合した可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉が得られる。本発明の実施形態においては、得られた魚肉は、0.05M〜0.1M NaClに対する溶解度が88%〜93%となる。
(5)可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉を有機溶媒と混合する工程
以上のようにして可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉(本発明の一実施形態においては、実施例1に記載されるように粉末状である)が得られた後、該魚肉を高濃度の有機溶媒と混合し、魚肉と有機溶媒との混合物を特定の条件下で保持することによって、筋肉タンパク質を含む魚肉の溶解度を維持しながら魚肉の臭気を除去することができる。なお、本明細書においては、有機溶媒(又は、エタノール)によって「処理する」とは、魚肉を有機溶媒(又は、エタノール)と混合し、その混合物を特定の条件下で保持することを指す。本発明において用いるのに最適な有機溶媒はエタノールであるが、これに限定されるものではない。エタノール以外の有機溶媒、例えばヘキサン又はベンゼンなどを利用することも可能であるが、本発明において臭気を除去する対象は最終的に食品となる魚肉であるため、人体に対する影響の観点から、エタノールを用いて処理することが最も好ましい。可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉と有機溶媒との混合割合は、魚肉の脂質含量によって異なるが、魚肉の重量に対して5倍量以上の有機溶媒に晒すことが好ましく、混合後に撹拌が可能な流動性を有する状態になるような割合であればよい。
有機溶媒としてエタノールを用いる場合には、魚肉と混合するエタノールの濃度は、好ましくは約90%以上であり、さらに好ましくは約99.5%である。約99.5%の濃度のエタノールによって魚肉を処理した場合には、エタノールによって処理しない場合の可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉の溶解度を維持することができる。約90%より低い濃度のエタノールによって魚肉を処理した場合でも、魚肉に含まれる脂質がエタノールに溶解し、臭気を除去する効果は得られるが、可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉の溶解度は、エタノールによって処理しない場合の溶解度と比べて低下する。すなわち、エタノールによって処理しない場合の溶解度を、完全には維持することができない。最終的に得られる臭気が除去された魚肉を、可溶化筋肉タンパク質を含む食品として利用するという観点から考えた場合、魚肉の溶解度が低下することによって、同量の原料から得られる可溶化筋肉タンパク質を含む食品としての魚肉の量は、減少することになる。言い換えると、同量の臭気が除去された可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉食品を得るために必要な製造コストが増大する。したがって、溶解度をできるだけ低下させないことを優先的に考える場合には、魚肉と混合するエタノールは、約90%以上の濃度のものであることが好ましく、約99.5%の濃度が最も好ましい。しかしながら、許容される溶解度低下と製造コストとを勘案して、約90%より低い濃度のエタノールを用いる場合もあり得るであろう。
(6)可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉と有機溶媒との混合物を、特定の温度条件の下で保持する工程
(5)の工程によって、可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉がエタノールなどの有機溶媒中に分散した状態の混合物が得られる。この混合物を特定の温度条件の下で一定時間保持することによって、魚肉に含まれる脂質が有機溶媒中に溶解し、魚肉に含まれる脂質由来の臭気を除去することができる。混合物は、可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉の溶解度をできるだけ低下させない温度条件の下で保持される。この保持温度(すなわち、エタノール処理温度)は、好ましくは70℃を超えない温度であり、さらに好ましくは約50℃を超えない温度である。魚肉と有機溶媒との混合物の保持温度が高いほど、有機溶媒に溶解する脂質の量は多くなり、臭気を除去する効果は高くなる。しかしながら、魚肉と有機溶媒との混合物の保持温度が高いほど、魚肉に含まれる可溶化筋肉タンパク質の熱変性の影響によって、可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉の溶解度は低下することになる。保持温度が50℃を超えると、溶解度低下の程度は次第に大きくなり、70℃を越える温度で保持した場合の溶解度は、有機溶媒によって処理しない場合の溶解度と比べて著しく低下する。
混合物を保持する時間は、保持温度が高い場合には短く、保持温度が低い場合には長くすることが必要であるが、約0.5時間〜約3時間であることが好ましい。保持時間が3時間を超える場合は、溶解度の低下が生じる可能性がある。なお、保持温度及び保持時間は、許容される溶解度低下と必要な臭気除去効果の程度とを勘案して決定することができる。低温で短時間保持した場合には、溶解度低下は少ないが、脂質の除去量が少なくなり、十分な臭気除去効果が得られない。反対に、高温で長時間保持した場合には、脂質の除去量は多く、十分な臭気除去効果が得られるものの、溶解度低下は大きくなる。
以上のように、糖類が結合した可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉を、好ましくは90%以上、より好ましくは99.5%の高濃度エタノールによって、特定の条件下で処理することにより、可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉の溶解度を概ね維持しながら効果的に魚肉の臭気を除去することができる。このような効果が得られる詳細な作用機序は明らかではないが、概ね以下のように考えられる。すなわち、一般にタンパク質の高次構造は、構成するアミノ酸の側鎖間の相互作用、及び、タンパク質分子周辺の水分子とタンパク質との間の相互作用によって安定化していると考えられており、タンパク質をとりまく水分の変化によってタンパク質の高次構造は容易に不安定な状態になる(すなわち、タンパク質の高次構造が変化する)。可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉を90%より低い濃度のエタノールによって処理した場合には、可溶化筋肉タンパク質の周辺に存在する水分子が多くなるため、タンパク質と水分子との間の相互作用のバランスが崩れ、それによりタンパク質の高次構造が変化し、可溶化筋肉タンパク質が不溶化する。しかしながら、本発明の実施形態のように、可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉を濃度90%以上のエタノールによって処理した場合には、可溶化筋肉タンパク質の周辺に存在する水分子は少なく、可溶化筋肉タンパク質をとりまく水分の変化は小さい。したがって、可溶化筋肉タンパク質と水分子との間の相互作用のバランスが保たれるため、タンパク質の高次構造は変化せず、溶解性も維持されると考えられる。
以下に本発明の実施例を示す。本発明における工程(1)〜(4)の結果として得られる、可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉の実施例及び比較例として、特許文献1に記載の実施例2、実施例4、及び実施例5、並びに、比較例1及び比較例2を参照されたい。これらの実施例及び比較例から、サケ筋肉を細切り(すなわち、破砕)し、破砕したサケ筋肉とアルギン酸オリゴ糖とを混合し、この混合物を脱水し、脱水した混合物を、相対湿度35%以下の低湿度環境下で水分量を6%以下に維持しながら、50℃又は60℃の温度で一定時間保持することによって、低イオン強度下(0.1M NaCl中)でも88〜93%の高い溶解度を持つ可溶化筋肉タンパク質を含むサケ筋肉が得られることが分かる。
実施例1
可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉の調製
図2は、本発明の実施形態における可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉の概略的な調製方法である。調製方法は、魚肉の洗浄及び糖類混合工程(A工程)並びに魚肉への糖類の結合工程(B工程)で構成される。A工程においては、まず、冷凍貯蔵したサケからサケ筋肉を採取し、冷水に懸濁し、予備脱水肉を回収した。次いで、予備脱水肉をスクリュープレスで脱水し(脱水後の水分含量は、約85〜90%であった)、小骨や結締組織などの夾雑物を除去した。このようにして得た脱水肉と、脱水肉の固形分重量に対して1/2量のアルギン酸オリゴ糖(AO)及び等量のソルビトールとを混合し、凍結後、−25℃で貯蔵することによって、冷凍中間素材を得た。このように可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉を冷凍中間素材にすることによって、図3に示されるように、溶解度を低下させることなく長期保存が可能になるという利点がある。
次いで、B工程においては、冷凍中間素材を凍結乾燥機によって脱水した後、粉末状にし、恒温恒湿乾燥機において温度60℃、相対湿度35%で一定時間保持することによって、アルギン酸オリゴ糖が結合した(AO修飾した)可溶化筋肉タンパク質を含む(粉末状の)魚肉(図2においては、「Meat−AO」と表されている)を得た。
図4は、このようにして得られた可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉の溶解度(すなわち、エタノールによる処理を行う前の状態の溶解度)が、保持時間(すなわち、アルギン酸オリゴ糖と筋肉タンパク質とのメイラード反応時間)によってどのように変化するかを表したものである。黒丸は0.5M NaClに対する溶解度であり、白丸は0.1M NaClに対する溶解度である。溶解度の測定方法は、次のとおりである。まず、可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉を、40mM Tris−HCl(pH7.5)を含む0.1M NaCl又は0.5M NaClに分散・懸濁し、タンパク質濃度を3mg/mlに調整した後、氷蔵下でホモジナイズ処理(13,500rpm、30sec×2)した。次いで、遠心分離(15,000×g、30min)を行い、遠心分離前後のタンパク質濃度をBradford法によって測定し、その比率(%)を溶解度とした。なお、可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉には未反応のアルギン酸オリゴ糖とソルビトールが含まれているが、これらは可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉の溶解度に影響を及ぼさないことを予備試験により確認している。
反応時間(すなわち、保持時間)が約1.5時間以上であれば、65〜85%程度の溶解度が得られた。本発明の以下の実施例においては、冷凍中間素材を凍結乾燥した後に、保持温度60℃、相対湿度35%、保持時間1.5時間の条件で反応させた可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉を用いた。
なお、特許文献1に記載の実施例においては低イオン強度下(0.05〜0.1M NaCl)でも88〜93%の溶解度が得られたが、これらの溶解度と比較すると、本明細書に記載の実施例1における溶解度は約80%と低い。これは、特許文献1に記載の実施例においては、サケ鮮魚から採取したサケ筋肉を2mm目のふるい(JIS−8811)に通したものをアルギン酸オリゴ糖と結合させたのに対し、本実施例1においては冷凍すり身の生産工程を利用したことが主な原因であると考えられる。すなわち、本実施例1においては、サケ筋肉はふるい目が5mmの採肉機を通しており、ふるい目が2mmのものよりサケ筋肉の粒子が大きいため、同量のアルギン酸オリゴ糖が結合しても特許文献1の実施例と同程度の溶解度を得ることが困難であると考えられる。さらに、本実施例1においては、サケを魚体のまま凍結貯蔵した原料を使用したことによって、凍結貯蔵中に筋肉タンパク質の冷凍変性が生じたと考えられる。
図5は、−20℃で凍結貯蔵したサケを原料とした可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉の溶解度への影響を表したグラフである。図中の溶解度は、凍結貯蔵期間に対する最大溶解度の変化を示しており、黒丸は0.5M NaClに対する溶解度、白丸は0.1M NaClに対する溶解度である。横軸の凍結貯蔵期間の単位mは、月数を表す。貯蔵期間0ヶ月は鮮魚を原料とした場合を意味しており、この場合の0.1M NaClに対する溶解度は、約75%であった。特許文献1の実施例と比較して13〜18%程度の溶解度低下が認められるが、これは、主にサケ筋肉の粒子の大きさが影響していると推察される。さらに、凍結貯蔵期間が長くなるに従って、最大溶解度が徐々に低下する傾向が認められ、凍結貯蔵期間4ヶ月で0.1M NaClへの溶解度は約65%となった。以上の結果から、サケを魚体のまま凍結貯蔵することによって、筋肉タンパク質が凍結変性し、溶解度は低下することが分かる。
実施例2
エタノール処理温度による脱臭効果と溶解度との関係
図6は、上記実施例1で調製した可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉を濃度99.5%のエタノール(図6において「Et」で表される)によって処理した場合において、処理温度及び処理時間と、魚肉の脂質含量及び(0.5M NaClに対する)溶解度との関係を表したグラフである。エタノールによる処理は、可溶化筋肉タンパク質約38gを含む(粉末状の)魚肉50gを濃度99.5%のエタノール500mlに分散し、所定の温度で所定の時間保持した後、濾紙上に魚肉粉末を回収することによって行った。図6の上図における*は、官能評価による臭気除去効果を表しており、*の数が多いものは、*の数が少ないものと比べて臭気除去効果が高いことを示す。上図から、概ね、処理温度が高いほど、魚肉の脂質含量が少なくなり(すなわちエタノール処理による脂質除去量が多くなり)、臭気除去効果が高いことが分かる。エタノールによる処理温度が80℃の場合には、3時間の処理時間で60%以上の脂質が除去され、高い臭気除去効果が認められた。エタノールによる処理温度が40℃の場合には、脂質含量の変化は小さいものの、エタノール処理前と比較して明らかに臭気除去効果が認められた。脂質含量の変化が小さくても臭気除去効果が認められたのは、エタノール処理によって、脂質由来の臭気以外の臭気(例えば、揮発性含窒素化合物などによる臭気)も除去されたためと考えられる。しかしながら、図6の下図に示されるように、処理温度が高いほど、可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉の溶解度は低下し、特に、処理温度が50℃を超えると、溶解度は著しく低下した。なお、脂質含量は、ソックスレー抽出法によって測定した。
実施例3
糖結合の有無による、エタノール処理の溶解度に与える影響
図7は、実施例1において調製した可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉(図7においては、「Meat−AO」と表されている。糖結合量は、80μg/mg)と、アルギン酸オリゴ糖が結合されていない筋肉タンパク質を含む魚肉(図7においては、「未修飾」と表されている)とについて、濃度99.5%のエタノールによって処理した場合の0.5M NaClに対する溶解度(図7においては、「99.5%Et処理」と表されている)と、エタノールによって処理しない場合の溶解度(図7においては、「Et未処理」と表されている)とを比較したものである。エタノールによる処理の方法及び溶解度の測定方法は、実施例2及び実施例1に記載のとおりである。図7から分かるように、アルギン酸オリゴ糖が結合されていない(すなわち未修飾の)筋肉タンパク質を含む魚肉の場合には、濃度99.5%のエタノール処理によって溶解度が約75%から約24%に低下したが、アルギン酸オリゴ糖を結合させた可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉の場合には、エタノール処理の前後で溶解度が概ね維持された。この結果から、アルギン酸オリゴ糖を結合させた可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉を濃度99.5%のエタノールによって処理することにより、可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉の溶解度を維持しながら魚肉の臭気を除去できることが分かる。
実施例4
エタノール濃度による溶解度の変化
図8は、実施例1において調製した可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉を、濃度の異なるエタノールによって処理した場合の溶解度の変化を表したグラフである。エタノールによる処理の方法及び溶解度の測定方法は、実施例2及び実施例1に記載のとおりである。図8において「未処理」と表されているグラフは、アルギン酸オリゴ糖が結合された可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉をエタノールによって処理しない場合の溶解度を示しており、この場合の溶解度は、0.1M NaClに対して約65%、0.5M NaClに対して約73%であった。図8から、濃度90%のエタノールによって処理した場合の溶解度は、0.1M NaClに対して約63%、0.5M NaClに対して約65%であり、未処理の場合の溶解度と比較して僅かに低下したことが分かる。エタノール濃度が90%より低い場合には、溶解度低下の程度は著しく、例えば濃度50%のエタノールによって処理した場合の溶解度は、未処理の場合の溶解度の約7分の1まで低下した。一方、濃度99.5%のエタノールによって処理した場合には、未処理の場合の溶解度が維持された。
ニジマス筋原繊維を様々な濃度のエタノール溶液によって処理した場合の溶解度変化を示す図である。 本発明の実施形態に係る、サケから可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉を調製する方法を示す図である。 図2に示される方法で調製した冷凍中間素材を、一定期間、−25℃で凍結貯蔵した場合の、本発明の実施形態に係る可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉の溶解度と凍結貯蔵期間の関係を示す図である。 本発明の実施形態に係る可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉の溶解度の反応時間による変化を示す図である。 鮮魚を用いてアルギン酸オリゴ糖を結合させた場合の溶解度と、サケ魚体を一定期間−20℃で凍結貯蔵した魚肉を用いてアルギン酸オリゴ糖を結合させた場合の溶解度との関係を示す図である。 本発明の実施形態に係る可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉をエタノールによって処理した場合の、処理温度及び処理時間と、魚肉に含まれる脂質含量及び溶解度との関係を示す図である。 本発明の実施形態に係る可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉と、アルギン酸オリゴ糖が結合されていない筋肉タンパク質を含む魚肉とについて、濃度99.5%のエタノールによって処理した場合の溶解度と、エタノールによって処理しない場合の溶解度とを比較した図である。 本発明の実施形態に係る可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉を、濃度の異なるエタノールによって処理した場合の溶解度の変化を示す図である。

Claims (10)

  1. 可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉の臭気を除去するための方法であって、
    魚肉を破砕し、
    前記破砕した魚肉と還元性糖類とを混合し、
    前記破砕した魚肉と前記還元性糖類との混合物を脱水し、
    前記混合物を、該混合物の水分含有量を6%以下に維持しながら該混合物に含まれる筋肉タンパク質を変性させない温度条件の下で保持することによって、前記筋肉タンパク質に前記還元性糖類が結合した可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉を生成し、
    前記可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉と有機溶媒とを混合し、
    前記可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉と前記有機溶媒との混合物を、該可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉の溶解度を低下させない温度条件の下で保持する、
    工程を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記混合物に含まれる筋肉タンパク質を変性させない温度条件は、30℃〜70℃であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記有機溶媒はエタノールであることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の方法。
  4. 前記エタノールの濃度は90%以上であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
  5. 前記可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉の溶解度を低下させない温度条件は、少なくとも50℃を超えない温度であることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか1つの請求項に記載の方法。
  6. 可溶化筋肉タンパク質を含み、臭気が除去された魚肉食品であって、
    魚肉を破砕し、
    前記破砕した魚肉と還元性糖類とを混合し、
    前記破砕した魚肉と前記還元性糖類との混合物を脱水し、
    前記混合物を、該混合物の水分含有量を6%以下に維持しながら該混合物に含まれる筋肉タンパク質を変性させない温度条件の下で保持することによって、前記筋肉タンパク質に前記還元性糖類が結合した可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉を生成し、
    前記可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉と有機溶媒とを混合し、
    前記可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉と前記有機溶媒との混合物を、該可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉の溶解度を低下させない温度条件の下で保持する、
    工程によって得られたことを特徴とする魚肉食品。
  7. 前記混合物に含まれる筋肉タンパク質を変性させない温度条件は、30℃〜70℃であることを特徴とする、請求項6に記載の魚肉食品。
  8. 前記有機溶媒はエタノールであることを特徴とする、請求項6又は請求項7に記載の魚肉食品。
  9. 前記エタノールの濃度は90%以上であることを特徴とする、請求項8に記載の魚肉食品。
  10. 前記可溶化筋肉タンパク質を含む魚肉の溶解度を低下させない温度条件は、少なくとも50℃を越えない温度であることを特徴とする、請求項6〜請求項9のいずれか1つの請求項に記載の魚肉食品。
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