本発明の出力ドライブ回路に関する1つの実施の形態について、図1〜図4を参照しながら以下に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は第1の実施の形態における出力ドライブ回路の構成を示すブロック図である。図2は図1に示す出力ドライブ回路における遅延回路の具体的な構成を示す電気回路図である。図3は図1に示す出力ドライブ回路における遅延ロックループ回路(DLL)の具体的な構成を示すブロック図である。図4は図1に示す出力ドライブ回路の動作例を示す波形図である。
図1に示す出力ドライブ回路は、所定の電流容量を持つ低出力バッファ201と、低出力バッファ201よりも大きい電流容量を持つ高出力バッファ200と、遅延回路7と、特許請求の範囲の制御信号生成手段として機能する遅延ロックループ(DLL)回路8と、特許請求の範囲の高出力バッファ駆動手段として機能するNANDゲート12と、特許請求の範囲の高出力バッファ駆動手段として機能するNORゲート13とで構成されている。
低出力バッファ201はCMOS構成になっており、出力端子Voに出力する信号を比較的小さい電流で駆動することができる。
高出力バッファ200は、ソース端子が電源ライン(VDD)と接続されたPMOSトランジスタ23と、ソース端子が接地ラインと接続されたNMOSトランジスタ24とで構成されており、PMOSトランジスタ23及びNMOSトランジスタ24のドレイン端子が出力端子Voに共通に接続されている。高出力バッファ200は、低出力バッファ201と比べて電流容量が大きく、十分に大きな電流で出力端子Voを駆動することができる。また、PMOSトランジスタ23及びNMOSトランジスタ24を共にオフ状態に制御することにより、高出力バッファ200はその出力を非駆動状態(ハイインピーダンス状態)にすることができる。
高出力バッファ200は、NANDゲート12が生成する信号xuと、NORゲート13が生成する信号xdとによって駆動される。
入力信号INは、低出力バッファ201の入力と、遅延回路7の入力と、NANDゲート12及びNORゲート13の一方の入力とに印加される。
遅延回路7は、その入力端子Iに印加される信号を所定の遅延時間だけ遅延した遅延信号in1を出力する。また、遅延回路7における遅延時間の長さはその制御入力に印加されるアナログ制御信号VCにより決定される。
NANDゲート12は、遅延回路7から出力される遅延信号in1と入力信号INとに基づいて、PMOSトランジスタ23を駆動するための信号xuを生成する。NORゲート13は、遅延回路7から出力される遅延信号in1と入力信号INとに基づいて、NMOSトランジスタ24を駆動するための信号xdを生成する。
遅延ロックループ回路8は、遅延回路7における遅延時間の長さを一定に制御するためのアナログ制御信号VCを生成するために設けてある。遅延ロックループ回路8は、水晶発振回路等により生成される周波数が一定の正確なクロック信号CLKに基づいてアナログ制御信号VCを生成する。なお、遅延ロックループ回路8の代わりにフェーズロックループ(PLL)回路を用いることもできる。
図1の出力ドライブ回路に設けられた遅延回路7の具体的な構成例が図2に示されている。
図2を参照すると、この遅延回路7は、複数の遅延素子7aを直列に接続して構成してある。各遅延素子7aは、インバータINV1_kと、NMOSトランジスタNA_kと、インバータINV1_kの出力に接続された負荷容量C1_kとで構成されている。ここで、k=1〜2n(nは自然数)とする。
各インバータINV1_kは、PMOSトランジスタP1_kと、NMOSトランジスタN1_kとで構成されており、PMOSトランジスタP1_kのソース端子は電源ラインと接続され、NMOSトランジスタN1_kのソース端子はNMOSトランジスタNA_kを介して接地ラインと接続されており、PMOSトランジスタP1_kのゲート端子とNMOSトランジスタN1_kのゲート端子は入力に共通に接続されており、PMOSトランジスタP1_kのドレイン端子とNMOSトランジスタN1_kのドレイン端子とは出力に共通に接続されている。
各遅延素子7aのNMOSトランジスタNA_kのゲート端子には、遅延ロックループ回路8が出力するアナログ制御信号VCが基準電圧として印加される。各遅延素子7aのNMOSトランジスタNA_kは、アナログ制御信号VCの電圧に応じて変化する可変抵抗或いは可変の定電流源として機能する。
各遅延素子7aのNMOSトランジスタNA_kは、各インバータINV1_kのNMOSトランジスタN1_kのソース端子と接地ラインとの間に挿入されているので、入力されるアナログ制御信号VCの電圧に応じてNMOSトランジスタNA_kに流れる電流が変化すると、それに伴って各インバータINV1_kから出力される電流も制限される。
遅延素子7aの1段あたりの遅延時間は、その出力に接続されている負荷容量C1_kの充放電に要する時間によって定まるので、インバータINV1_kから出力される電流が変わると、負荷容量C1_kの充放電速度、すなわち遅延素子7aの時定数が変わり、遅延時間も変化する。従って、遅延回路7の遅延時間をアナログ制御信号VCの電圧により制御できる。
なお、各遅延素子7aにはインバータINV1_kを用いているため、1つの遅延素子7aを通過する度に信号のレベルが反転する。従って、入力信号INと比べてレベルの反転しない正転信号を遅延回路7から出力するためには、遅延回路7に設ける遅延素子7aの数を偶数にする必要がある。
図1の出力ドライブ回路に設けられた遅延ロックループ回路8の具体的な構成例が図3に示されている。
図3を参照すると、遅延ロックループ回路8は、遅延回路9と、位相比較回路(PD)14と、チャージポンプ回路(CP)15と、帯域フィルタ(LF)16とで構成されている。
遅延ロックループ回路8の入力端子Cに印加されるクロック信号(CLK)は、遅延回路9の入力と、位相比較回路(PD)14の一方の入力とにそれぞれ入力される。位相比較回路(PD)14の他方の入力には遅延回路9が出力する信号C_2が印加される。
位相比較回路(PD)14の出力はチャージポンプ回路(CP)15の入力と接続されており、チャージポンプ回路(CP)15の出力は帯域フィルタ(LF)16の入力と接続されている。帯域フィルタ(LF)16が出力する信号は、アナログ制御信号VCとして遅延ロックループ回路8から出力されると共に、内部の遅延回路9にも遅延時間制御信号として供給される。
遅延ロックループ回路8に設けられた遅延回路9は、前述の遅延回路7と同等の構成になっている。すなわち、遅延回路9は複数の遅延素子9aを直列に接続して構成してある。
各遅延素子9aは、インバータINV2_lと、NMOSトランジスタNB_lと、インバータINV2_lの出力に接続された負荷容量C2_lとで構成されている。ここで、l=1〜2m(mは自然数)とする。
各インバータINV2_lは、PMOSトランジスタP2_lと、NMOSトランジスタN2_lとで構成されており、PMOSトランジスタP2_lのソース端子は電源ラインと接続され、NMOSトランジスタN2_lのソース端子はNMOSトランジスタNB_lを介して接地ラインと接続されており、PMOSトランジスタP2_lのゲート端子とNMOSトランジスタN2_lのゲート端子は入力に共通に接続されており、PMOSトランジスタP2_lのドレイン端子とNMOSトランジスタN2_lのドレイン端子とは出力に共通に接続されている。
各遅延素子9aのNMOSトランジスタNB_lのゲート端子には、遅延ロックループ回路8内部の帯域フィルタ(LF)16が出力する遅延時間制御信号(上記アナログ制御信号VCと同じ)が基準電圧として印加される。各遅延素子9aのNMOSトランジスタNB_lは、遅延時間制御信号の電圧に応じて変化する可変抵抗或いは可変の定電流源として機能する。
各遅延素子9aのNMOSトランジスタNB_lは、各インバータINV2_lのNMOSトランジスタN2_lのソース端子と接地ラインとの間に挿入されているので、入力される遅延時間制御信号の電圧に応じてNMOSトランジスタNB_lに流れる電流が変化すると、それに伴って各インバータINV2_lから出力される電流も制限される。
遅延素子9aの1段あたりの遅延時間は、その出力に接続されている負荷容量C2_lの充放電に要する時間によって定まるので、インバータINV2_lから出力される電流が変わると、負荷容量C2_lの充放電速度、すなわち遅延素子9aの時定数が変わり、遅延時間も変化する。従って、遅延回路9の遅延時間を遅延時間制御信号の電圧により制御できる。
なお、各遅延素子9aにはインバータINV2_lを用いているため、1つの遅延素子9aを通過する度に信号のレベルが反転する。従って、入力信号と比べてレベルの反転しない正転信号を遅延回路9から出力するためには、遅延回路9に設ける遅延素子9aの数を偶数にする必要がある。
なお、遅延回路9の初期状態における遅延時間は、入力端子Cに印加されるクロック信号CLKの周期(T)に近い時間になるように各遅延素子9aの特性及び遅延素子9aの数(偶数)を事前に決定してある。
図3に示す遅延ロックループ回路8においては、位相比較回路(PD)14に入力されるクロック信号CLKと、遅延回路9の出力信号C_2との位相が一致するように、アナログ制御信号VCの電位が自動的に調整される。従って、遅延回路9における遅延時間は、クロック信号CLKの周期(T)と正確に一致する。
遅延回路9における各遅延素子9aを全て同一の構成にする場合には、遅延素子9aの数が2mの場合、遅延素子9aの1個当りの遅延量はT/2mになる。また、図2に示す遅延回路7の各遅延素子7aを遅延回路9の各遅延素子9aと同一構成にすることにより、遅延回路7の遅延時間も一定になる。すなわち、遅延素子7aの数が2n個の場合、遅延回路7の遅延時間は一定値のnT/mになるように制御される。
このため、遅延回路7を構成する遅延素子7aの数(=2n)と、遅延回路9を構成する遅延素子9aの数(=2m)とを調整することで、各遅延回路7,9の遅延時間を定めることができる。
図1に示す出力ドライブ回路における動作波形の具体例が図4に示されている。すなわち、出力端子Voの信号電位を低レベルLから高レベルHに立ち上げる際の動作例が図4(A)に示されており、出力端子Voの信号電位を高レベルHから低レベルLに立ち下げる際の動作例が図4(B)に示されている。なお、図4(A)、(B)はいずれも横軸が時間、縦軸が電圧を示している。
まず、立ち上がりの際の出力ドライブ回路の動作について説明する。
図4(A)において、初期状態(時刻t1まで)では入力信号INが’L’レベルであり、図1の低出力バッファ201は’L’レベルを出力し、また、遅延回路7の出力する信号in1は’L’レベルの状態にあるため、NANDゲート12の出力する信号xuは’H’、NORゲート13の出力する信号xdも’H’になる。従って、高出力バッファ200においてはPMOSトランジスタ23がオフ、NMOSトランジスタ24がオンになり、出力端子Voの電位は’L’レベルになる。ここで、’H’レベルは電源電圧VDDと同等の電位であり、’L’レベルは基準接地電位(0V)と同等である。
図4(A)の時刻t1で入力信号INが’L’から’H’レベルへ変化すると、常時駆動状態の低出力バッファ201の出力にも’H’レベルが現れる。一方、NORゲート13の出力する信号xdは時刻t1の直後に’L’になるが、遅延回路7の出力する信号in1は遅延回路の遅延時間tdを経過するまでは’L’であるため、その期間はNANDゲート12の出力する信号xuは’H’を維持する。そのため、高出力バッファ200は時刻t1〜t2の期間は、PMOSトランジスタ23、NMOSトランジスタ24が共にオフし、非出力状態(ハイインピーダンス状態)になる。従って、出力端子Voの信号波形は低出力バッファ201のみの駆動により立ち上がり始める。遅延回路7の遅延時間tdは、上述のnT/mに相当する。
ここで、出力端子Voに接続される外部負荷Coの容量が予め定めた特定の範囲内に限定される場合には、低出力バッファ201による出力端子Voの信号波形の立ち上がり速度はほぼ一定になり、時刻t1から遅延時間tdが経過した時点(t2)での出力端子Voの電位はほぼ一定の値(設計時に想定した値)になる。
入力信号INが’H’に変化した後、遅延回路7の遅延時間tdが経過して時刻t2になると、遅延回路7の出力する信号in1が’H’に変化し、NANDゲート12の出力する信号xuは’L’になり、NORゲート13の出力する信号xdは’L’の状態を維持する。従って、高出力バッファ200においては時刻t2からPMOSトランジスタ23がオンし、PMOSトランジスタ23が出力する比較的大きな電流により、出力端子Voの電位は電源電圧VDDの近傍まで高速で立ち上がる。
ところで、高出力バッファ200に流れる電流の大きさは、オン状態のPMOSトランジスタ23又はNMOSトランジスタ24のソース・ドレイン間の電位差に応じて定まり、PMOSトランジスタ23又はNMOSトランジスタ24がオフからオンに切り替わった直後にソース・ドレイン間の電位差が最大になるので、この時にピーク電流が流れる。
しかし、図4(A)に示すように、高出力バッファ200のPMOSトランジスタ23がオンに切り替わる時刻t2においては、PMOSトランジスタ23のドレイン端子と接続された出力端子Voの電位が既にある程度上昇しているため、PMOSトランジスタ23のソース・ドレイン間の電位差の最大値は比較的小さい。従って、PMOSトランジスタ23がオンした直後に流れるピーク電流の大きさはある程度抑制される。
実際には、PMOSトランジスタ23がオンする時の出力端子Voの電位は、遅延回路7の遅延時間td及び出力端子Voの信号波形の立ち上がり速度により定まるので、電源電圧や温度等の変動の影響を受けることなく、ピーク電流を抑制できる。これにより、リンギングノイズや不要輻射ノイズが抑制される。また、時刻t2以降は低出力バッファ201に比べて電流容量の大きい高出力バッファ200を用いて出力端子Voを駆動するので、この出力ドライブ回路を通過する信号の遅延を必要最小限に抑制できる。
次に、立ち下がりの際の出力ドライブ回路の動作について説明する。
図4(B)において、初期状態(時刻t3まで)では入力信号INが’H’レベルであり、低出力バッファ201の出力する信号は’H’レベルになり、遅延回路7の出力する信号in1は’H’レベルの状態になり、NANDゲート12の出力する信号xuは’L’、NORゲート13の出力する信号xdも’L’になる。従って、高出力バッファ200においてはPMOSトランジスタ23のみがオンし、出力端子Voの電位は’H’レベルになる。
図4(B)の時刻t3で、入力信号INが’H’から’L’レベルへ変化すると、常時駆動状態の低出力バッファ201が出力する信号は、’L’レベルになる。一方、NANDゲート12の出力する信号xuは時刻t3の直後に’H’になり、遅延回路7の出力する信号in1は遅延時間tdを経過するまでは’H’になり、時刻t3〜t4の期間はNORゲート13の出力する信号xdは’L’の状態を維持する。
そのため、時刻t3〜t4の期間は高出力バッファ200はPMOSトランジスタ23、NMOSトランジスタ24が共にオフになり、非出力状態(ハイインピーダンス状態)になる。従って、出力端子Voの電位は、低出力バッファ201による駆動のみで緩やかに立ち下がり始める。
ここで、出力端子Voに接続される外部負荷Coの容量が予め定めた特定の範囲内に限定される場合には、低出力バッファ201による出力端子Voの電位の立ち下がり速度はほぼ一定になり、遅延時間tdが経過した時点(t4)での出力端子Voの到達電位はほぼ一定の値になる。
時刻t3で入力信号INが’L’に変化した後、遅延回路7の遅延時間tdを経過して時刻t4になると、遅延回路7の出力する信号in1が’L’に変化し、NORゲート13の出力する信号xdは’H’になる。NANDゲート12の出力するxuは’H’のままである。従って、高出力バッファ200は時刻t4でNMOSトランジスタ24をオンし、NMOSトランジスタ24の電流によって出力端子Voの電位を接地電圧まで高速に立ち下がる。
立ち下げの場合にも、高出力バッファ200のピーク電流は、NMOSトランジスタ24がオンに切り替わった直後(t4)のドレイン・ソース間の電位差により定まる。図4(B)に示すように、時刻t4ではNMOSトランジスタ24のドレイン端子と接続された出力端子Voの電位が既にある程度低下しているので、NMOSトランジスタ24のドレイン・ソース間の電位差は比較的小さくなる。このため、最大ピーク電流を減少させることができる。
実際には、NMOSトランジスタ24がオンする時の出力端子Voの電位は、遅延回路7の遅延時間td及び出力端子Voの信号波形の立ち下がり速度により定まるので、電源電圧や温度等の変動の影響を受けることなく、ピーク電流を抑制できる。これにより、リンギングノイズや不要輻射ノイズが抑制される。また、時刻t4以降は低出力バッファ201に比べて電流容量の大きい高出力バッファ200を用いて出力端子Voを駆動するので、この出力ドライブ回路を通過する信号の遅延を必要最小限に抑制できる。
なお、図1に示す出力ドライブ回路においては、低出力バッファ201は常時駆動状態になっているが、高出力バッファ200を駆動するタイミングでは低出力バッファ201を非駆動状態に切り替えても構わない。
(第2の実施の形態)
本発明の出力ドライブ回路に関するもう1つの実施の形態について、図5及び図6を参照しながら以下に説明する。図5は第2の実施の形態における出力ドライブ回路の構成を示すブロック図である。図6は図5に示す出力ドライブ回路の動作例を示す波形図である。
この形態は、前述の第1の実施の形態の変形例である。また、図5において第1の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。
図5に示す出力ドライブ回路の構成については、高出力バッファ200を制御するタイミングをより精密に制御するために、2つの遅延回路71,72を設けた点が第1の実施の形態と大きく異なっている。
図5に示す出力ドライブ回路は、低出力バッファ201と、高出力バッファ200と、特許請求の範囲の第1の遅延回路として機能する遅延回路71と、特許請求の範囲の第2の遅延回路として機能する遅延回路72と、遅延ロックループ回路8と、インバータ41と、特許請求の範囲の高出力バッファ駆動手段として機能するNANDゲート42と、特許請求の範囲の高出力バッファ駆動手段として機能するNORゲート43とで構成されている。
遅延回路71及び72の各々の構成及び動作については、図2に示した遅延回路7と同一であるが、遅延素子7aの数や遅延時間は異なっている。図5に示すように、遅延ロックループ回路8が出力するアナログ制御信号VCは、遅延回路71及び72にそれぞれ供給される。従って、遅延回路71の遅延時間及び遅延回路72の遅延時間はいずれも一定に維持される。なお、遅延ロックループ回路8の代わりにPLL回路を用いても良い。
入力信号INは、低出力バッファ201の入力及び遅延回路71の入力Iに印加される。遅延回路71が出力する信号in1は、遅延回路72の入力Iと、NANDゲート42及びNORゲート43の一方の入力とにそれぞれ印加される。遅延回路72が出力する信号は、インバータ41の入力に印加され、インバータ41の出力する信号は、NANDゲート42及びNORゲート43の他方の入力にそれぞれ印加される。
NANDゲート42は、遅延回路71から出力される遅延信号in1と、インバータ41から出力される信号とに基づいて、PMOSトランジスタ23を駆動するための信号xuを生成する。NORゲート43は、遅延回路71から出力される遅延信号in1と、インバータ41から出力される信号とに基づいて、NMOSトランジスタ24を駆動するための信号xdを生成する。信号xuは高出力バッファ200のPMOSトランジスタ23のゲート端子に印加され、信号xdは高出力バッファ200のNMOSトランジスタ24のゲート端子に印加される。
図5に示す出力ドライブ回路における動作波形の具体例が図6に示されている。すなわち、出力端子Voの信号電位を低レベルLから高レベルHに立ち上げる際の動作例が図6(A)に示されており、出力端子Voの信号電位を高レベルHから低レベルLに立ち下げる際の動作例が図6(B)に示されている。なお、図6(A)、(B)はいずれも横軸が時間、縦軸が電圧を示している。
まず、立ち上がりの際の出力ドライブ回路の動作について説明する。
図6(A)において、初期状態(時刻t11まで)では入力信号INが’L’レベルであり、低出力バッファ201は出力端子Voに’L’レベルを出力する。一方、遅延回路71の出力する信号in1及び遅延回路72の出力する信号はいずれも’L’レベルの状態になり、NANDゲート42の出力する信号xuは’H’、NORゲート43の出力する信号xdは’L’になる。従って、高出力バッファ200においてはPMOSトランジスタ23、NMOSトランジスタ24が共にオフし、非出力状態(ハイインピーダンス状態)になる。従って、出力端子Voは時刻t11までは低出力バッファ201のみの出力により’L’レベルに維持される。
図6(A)の時刻t11で入力信号INが’L’から’H’レベルへ変化すると、低出力バッファ201は直ちに出力端子Voの電位を’H’に駆動する。また、信号in1は遅延回路71の遅延時間td1が経過するまで’L’を維持する。また、時刻t11〜t12の期間は、インバータ41の出力も’H’のままとなり、NANDゲート42及びNORゲート43の状態は変化せず、信号xuは’H’、信号xdは’L’を保つ。そのため高出力バッファ200はハイインピーダンス状態を維持する。
従って、立ち上がりの初期段階(時刻t11〜t12)では、図1の出力ドライブ回路の場合と同様に、低出力バッファ201のみの駆動により出力端子Voの電位は緩やかに立ち上がり始める。
図6(A)の時刻t11で入力信号INが’H’に変化した後、遅延回路71の遅延時間td1を経過して時刻t12になると、遅延回路71の出力する信号in1は’H’に変化する。時刻t12から更に遅延回路72の遅延時間td2を経過するまでは、遅延回路72の出力は’L’になり、インバータ41の出力は’H’のままである。従って、NANDゲート42の出力する信号xuとNORゲート43の出力する信号xdとは共に’L’になる。
従って、時刻t12以降は、高出力バッファ200も低出力バッファ201と同様に’H’を出力し、両者の出力する電流によって出力端子Voの電位は高速に立ち上がり始める。
前述のように、高出力バッファ200のPMOSトランジスタ23がオンに切り替わるとき(t12)にピーク電流が流れるが、時間t12においては、PMOSトランジスタ23のドレイン端子と接続された出力端子Voの電位は、既にある程度上昇しているので、PMOSトランジスタ23のソース・ドレイン間の電位差は比較的小さくなり、ピーク電流は抑制される。なお、時刻t12における出力端子Voの電位は、低出力バッファ201の立ち上がり速度と遅延時間td1とで決定される。
時刻t12で遅延回路71の出力する信号in1が’H’に変化した後、更に遅延回路72の遅延時間td2を経過して時刻t13になると、遅延回路72の出力は’H’になり、インバータ41の出力は’L’になる。これによりNANDゲート42の出力する信号xuは’H’になる。また、NORゲート43の出力する信号xdは’L’のままである。
従って、時刻t13で高出力バッファ200ではPMOSトランジスタ23、NMOSトランジスタ24が共にオフし、再びハイインピーダンス状態になる。また、低出力バッファ201は’H’の出力を継続する。従って、時刻t13以降は、出力端子Voは、高いオン抵抗を有する低出力バッファ201のみにより駆動され、緩やかな立ち上がり速度で電源電圧VDDの近傍の電位まで立ち上がる。そのため、出力端子Voの信号の立ち上がりに伴うリンギングノイズを一層低減できる。
次に、立ち下がりの際の出力ドライブ回路の動作について説明する。
図6(B)において、初期状態(時刻t21まで)では入力信号INが’H’レベルであり、低出力バッファ201は出力端子Voに’H’レベルを出力する。一方、遅延回路71の出力する信号in1及び遅延回路72の出力する信号は’H’レベルの状態にあり、インバータ41の出力が’L’になる。従って、NANDゲート42の出力する信号xuは’H’、NORゲート43の出力する信号xdは’L’になる。従って、高出力バッファ200においてはPMOSトランジスタ23、NMOSトランジスタ24が共にオフし、ハイインピーダンス状態になる。そのため、出力端子Voは低出力バッファ201の出力により’H’レベルに維持される。
図6(B)の時刻t21で、入力信号INが’H’から’L’レベルへ変化すると、低出力バッファ201は直ちに出力端子Voを’L’に駆動する。一方、信号in1は更に遅延回路71の遅延時間td1が経過するまでは’H’を維持する。インバータ41の出力は’L’を保持し、NANDゲート42の出力する信号xuは’H’、NORゲート43の出力する信号xdは’L’で変化は無い。そのため高出力バッファ200はハイインピーダンス状態を維持する。従って、時刻t21から遅延時間td1が経過するまでは、図1の出力ドライブ回路の場合と同様に、低出力バッファ201のみの駆動により出力端子Voは緩やかに立ち下がり始める。
図6(B)の時刻t21で、入力信号INが’L’に変化した後、遅延回路71の遅延時間td1を経過して時刻t22になると、遅延回路71の出力する信号in1が’L’に変化する。一方、遅延回路72の出力は、遅延回路72の遅延時間td2を更に経過するまでは遅延’H’レベルを維持し、インバータ41の出力は’L’を維持し、NANDゲート42の出力する信号xuとNORゲート43の出力する信号xdとは共に’H’になる。
従って、高出力バッファ200も低出力バッファ201と同様に’L’を出力するので、両者の出力する電流により、出力端子Voの電位は時刻t22から高速に立ち下がり始める。
前述のように、高出力バッファ200のNMOSトランジスタ24がオンに切り替わるとき(t22)にピーク電流が流れるが、時刻t22においては、NMOSトランジスタ24のドレイン端子と接続された出力端子Voの電位は、既にある程度下降しているので、NMOSトランジスタ24のソース・ドレイン間の電位差は比較的小さくなり、ピーク電流は抑制される。なお、時刻t22における出力端子Voの電位は、低出力バッファ201の立ち下がり速度と遅延時間td1とで決定される。
図6(B)の時刻t22で、遅延回路71の出力する信号in1が’L’に変化した後、更に遅延回路72の遅延時間td2を経過して時刻t23になると、遅延回路72の出力は’L’になり、インバータ41の出力は’H’になる。これによりNORゲート43の出力する信号xdは’L’になる。また、NANDゲート42の出力する信号xuは’H’のままである。従って、高出力バッファ200は時刻t23でPMOSトランジスタ23、NMOSトランジスタ24を共にオフし、ハイインピーダンス状態になる。しかし、低出力バッファ201は、’L’を出力したままである。低出力バッファ201は比較的高いオン抵抗を有しているので、時刻t23以降は小さな電流で駆動することになり、出力端子Voの電位は緩やかな立ち下がり速度で接地電圧まで立ち下がる。従って、出力端子Voの立ち下がりに伴うリンギングノイズは一層低減される。
図5に示した出力ドライブ回路においても、アナログ制御信号VCを生成するために図3に示した遅延ロックループ回路8を用いている。また、遅延回路71及び72には図2に示した遅延回路7と同等の回路を用いているので、遅延回路71の遅延時間td1及び遅延回路72の遅延時間td2を一定に維持することができる。
なお、遅延時間td1は遅延回路71に設ける遅延部7aの数で決めることができ、遅延時間td2は遅延回路72に設ける遅延部7aの数で決めることができる。遅延回路71に設ける遅延部7aの数を(2・n1)とし、遅延回路72に設ける遅延部7aの数を(2・n2)とする場合、n1、n2の値は次式により求めることができる。
n1=m×td1/T
n2=m×td2/T
なお、出力端子Voに接続される外部負荷Coの容量を予め定めた特定の範囲内に限定する場合には、低出力バッファ201及び高出力バッファ200による出力端子Voの波形の立ち上がり/立ち下がり速度はほぼ一定(設計時に想定した値)になるので、遅延時間td1、td2の経過時点(図6のt12,t13,t22,t23)での出力端子Voの電位はほぼ一定の値(設計値)になる。これらの電位が最適な動作条件と一致するように、低出力バッファ201及び高出力バッファ200の駆動能力(電流容量)が定められる。
従って、第1の実施の形態の場合と同様に、電源電圧や温度等の変動による影響を受けることなく、ピーク電流をほぼ一定に抑制でき、リンギングノイズや不要輻射ノイズが抑制される。また、出力ドライブ回路を通過する信号の遅延を必要最小限に抑制できる。
特に、図5に示す出力ドライブ回路においては、出力端子Voの信号波形において、レベル変化の終盤(t13,t23以降)で高出力バッファ200を非駆動状態に切り替えて波形の変化速度を緩やかにするので、電源ライン或は接地ラインに現れるリンギングノイズを一層低減できる。
(第3の実施の形態)
本発明の出力ドライブ回路に関するもう1つの実施の形態について、図7及び図8を参照しながら以下に説明する。図7は第3の実施の形態における出力ドライブ回路の構成を示すブロック図である。図8は図7に示す出力ドライブ回路の動作例を示す波形図である。
この形態は、前述の第1の実施の形態の変形例である。また、図7において第1の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。
図7に示す出力ドライブ回路においては、図1の出力ドライブ回路における低出力バッファ201の代わりに、インバータ11と、特許請求の範囲の低出力バッファ駆動手段として機能する速度制御回路400と、特許請求の範囲の低出力バッファとして機能するソースフォロア出力回路100とを設けた点が第1の実施の形態と構成上大きく異なっている。それ以外の構成要素については図1の出力ドライブ回路と同一である。
インバータ11の出力端子に速度制御回路400が接続されている。速度制御回路400は、並列に接続された2組のインバータINV1及びINV2を備えている。
インバータINV1は、PMOSトランジスタ61とNMOSトランジスタ62とを備える。
PMOSトランジスタ61は、そのゲート端子がインバータ11の出力端子に接続され、そのドレイン端子がNMOSトランジスタ62のドレイン端子に接続され、そのソース端子が定電流源5を介して電源ラインVDDに接続されている。定電流源5はそこを流れる電流が一定値(i0)になるように制御する。
NMOSトランジスタ62は、そのゲート端子がインバータ11の出力端子に接続され、そのドレイン端子がPMOSトランジスタ61のドレイン端子に接続され、そのソース端子が接地ライン(0V)に接続されている。
インバータINV2は、PMOSトランジスタ63とNMOSトランジスタ64とを備える。
PMOSトランジスタ63は、そのゲート端子がインバータ11の出力端子に接続され、そのドレイン端子がNMOSトランジスタ64のドレイン端子に接続され、そのソース端子が電源ラインVDDに接続されている。
NMOSトランジスタ64は、そのゲート端子がインバータ11の出力端子に接続され、そのドレイン端子がPMOSトランジスタ63のドレイン端子に接続され、そのソース端子が定電流源6を介して接地ライン(0V)に接続されている。定電流源6はそこを流れる電流が一定値(i1)になるように制御する。
このような構成により、速度制御回路400は、出力ドライブ回路に入力される入力信号INの立ち上がり時及び立ち下がり時の双方において、入力信号INの変化開始時刻から所定の期間は、ソースフォロワ出力回路100が出力する出力信号の変化速度が一定となるようにソースフォロワ出力回路100を駆動する。
ソースフォロア出力回路100は、NMOSトランジスタ21とPMOSトランジスタ22とを組み合わせて構成してあり、ソースフォロア回路を構成している。すなわち、NMOSトランジスタ21のソース端子及びPMOSトランジスタ22のソース端子が出力である出力端子Voと接続されている。
NMOSトランジスタ21は、そのゲート端子がPMOSトランジスタ61及びNMOSトランジスタ62のドレイン端子に接続され、そのドレイン端子が電源ラインVDDに接続されている。以下では、PMOSトランジスタ61及びNMOSトランジスタ62のドレイン端子から出力される信号を出力n1又は信号n1という。
PMOSトランジスタ22は、そのゲート端子がPMOSトランジスタ63及びNMOSトランジスタ64のドレイン端子に接続され、そのドレイン端子が接地ラインに接続されている。以下では、PMOSトランジスタ63及びNMOSトランジスタ64のドレイン端子から出力される信号を出力n2又は信号n2という。
後述するように、ソースフォロア出力回路100と速度制御回路400とを組み合わせて出力端子Voを駆動することにより、出力端子Voに接続される負荷の大きさの変化の影響をほとんど受けることなく、出力端子Voの波形の立ち上がり及び立ち下がりの速度を一定にすることができる。
図7に示す出力ドライブ回路における動作波形の具体例が図8に示されている。すなわち、出力端子Voの信号電位を低レベルLから高レベルHに立ち上げる際の動作例が図8(A)に示されており、出力端子Voの信号電位を高レベルHから低レベルLに立ち下げる際の動作例が図8(B)に示されている。なお、図8(A)、(B)はいずれも横軸が時間、縦軸が電圧を示している。
まず、立ち上がりの際の出力ドライブ回路の動作について説明する。
図8(A)において、初期状態(時刻t1まで)では入力信号INが’L’レベルであり、インバータ11の出力は’H’レベルになり、インバータINV1が出力する信号n1とインバータINV2が出力する信号n2は、どちらも定常状態にあり、どちらも’L’レベルになる。そのため、ソースフォロア出力回路100のNMOSトランジスタ21はオフする。また、PMOSトランジスタ22は出力端子Voの電位に応じた状態にあり、出力端子Voの電位と信号n2との電位差がPMOSトランジスタ22の閾値Vtpより小さいのでPMOSトランジスタ22はオフ状態になる。
また、遅延回路7の出力する信号in1は’L’レベルになり、NANDゲート12の出力する信号xuは’H’、NORゲート13の出力する信号xdも’H’になる。従って、高出力バッファ200においてはNMOSトランジスタ24のみがオンし、NMOSトランジスタ24の出力する電流により出力端子Voの電位は’L’レベルになる。
図8(A)の時刻t1で、入力信号INが’L’から’H’レベルへ変化すると、インバータ11の出力は’L’になり、インバータINV2の出力する信号n2は直ちに’H’になり、PMOSトランジスタ22はオフ状態を維持する。また、インバータINV1については、電源ライン側より定電流源5を介して’H’レベルである電源電圧VDDと同等の電位になるまで定電流i0が供給されるので、インバータINV1が出力する信号n1の電位は立ち上がりを開始する。このときの信号n1の立ち上がり速度は、電流値i0と、NMOSトランジスタ21のゲート容量など入力端子近傍の内部負荷容量値との割合に比例した値になり、常に一定の速度となる。
一方、NORゲート13の出力する信号xdは時刻t1で直ちに’L’になるが、遅延回路7の出力する信号in1は、時刻t1から遅延回路7の遅延時間tdを経過するまでは’L’になる。従って、時刻t1から遅延時間tdを経過して時刻t2になるまでの期間は、NANDゲート12の出力する信号xuは’H’を維持する。そのため、高出力バッファ200は時刻t1〜t2の期間はPMOSトランジスタ23、NMOSトランジスタ24を共にオフし、非出力状態(ハイインピーダンス状態)になる。従って、出力端子Voの電位は時刻t1〜t2の期間はソースフォロア出力回路100のNMOSトランジスタ21の出力する電流のみによって立ち上がる。
ここで、出力端子Voに接続される外部負荷Coの最大負荷の動作条件を事前に考慮して、NMOSトランジスタ21の駆動能力を十分に確保しておくことにより、最大の負荷容量が接続された最悪の動作条件においても、時刻t1〜t2の立ち上がり期間において、ほぼ一定の出力電流となる飽和状態をNMOSトランジスタ21が維持したまま、出力端子Voの電位を立ち上げることができる。
NMOSトランジスタ21の出力電流I21は次式で表される。
I21=βe×(VGS21−Vtn)2/2
I21≒Ic1(一定電流値)
但し、
βe:NMOSトランジスタ21の電流増幅率
VGS21:NMOSトランジスタ21のゲート−ソース間電圧
Vtn:NMOSトランジスタ21の閾値
また、前記信号n1の電圧をVn1、出力端子Voの電圧をVoで表すと、
VGS21=Vn1−Vo
であるので、出力電圧Voは次式で表される。
Vo≒Vn1−Vtn−(2×Ic1/βe)1/2
ここで、NMOSトランジスタ21の入力の信号n1に関する負荷容量をCn1で表すと、信号n1の電圧Vn1は入力信号INが’L’から’H’レベルへ変化してからの経過時間tの関数として次式で表される。
Vn1=(i0/Cn1)×t
従って、出力端子Voの電圧の立ち上がり速度は、外部負荷が最大負荷時であってもNMOSトランジスタ21のゲート端子の入力における立ち上がり速度とほぼ同程度になることが分かる。また、外部負荷Coが小さい場合であっても、Voの立ち上がり速度がNMOSトランジスタ21のゲート端子の入力における信号の立ち上がり速度より速くなることはない。
但し、図7に示す出力ドライブ回路においては、信号n1の電位が、NMOSトランジスタ21の閾値Vtnを越えるまではNMOSトランジスタ21がオンしないため、それまでは出力端子Voの電位は’L’レベルになる。
図8(A)の時刻t1で、入力信号INが’H’に変化した後、遅延回路7の遅延時間tdを経過して時刻t2になると、遅延回路7の出力する信号in1が’H’に変化し、NANDゲート12の出力する信号xuは’L’になる。また、NORゲート13の出力する信号xdは’L’のままである。従って、高出力バッファ200においては時刻t2でPMOSトランジスタ23がオンし、PMOSトランジスタ23の出力する電流によって出力端子Voの電位が電源電圧VDDの近傍まで高速に立ち上がる。
図7に示す出力ドライブ回路においても、図1の出力ドライブ回路の場合と同様に、遅延回路7の遅延時間tdは、遅延回路7の内部に設けた遅延部7a(図2参照)の数(2n)と、遅延ロックループ回路8内の遅延回路9に設けた遅延部9aの数(2m)との比によって定まり、(nT/m)になる。
また、時刻t1〜t2の期間における出力端子Voの電位は、遅延時間tdと出力端子Voの出力の立ち上がり速度、すなわち信号n1の立ち上がり速度とで決定される。信号n1の電位Vn1は次式で表される。
Vn1=(i0/Cn1)×(nT/m)
従って、出力端子Voの電位は次式で表される。
Vo≒(i0/Cn1)×(nT/m)−Vtn−(2×Ic1/βe)1/2
つまり、外部負荷の大きさや、電源電圧、温度などの変動や、プロセスばらつきの影響を受けることなく、出力端子Voの電位変化の波形を一定に制御することができる。そのため、高出力バッファ200の駆動を開始する際に生じるピーク電流をほぼ一定に抑制することができるので、リンギングノイズや不要輻射ノイズを十分に抑制できる。また、出力ドライブ回路を通過する信号の遅延を必要最小限に抑制できる。
次に、立ち下がりの際の出力ドライブ回路の動作について説明する。
図8(B)において、初期状態(時刻t3まで)では入力信号INが’H’レベル、インバータ11の出力は’L’レベルになり、インバータINV1の出力する信号n1及びインバータINV2の出力する信号n2はいずれも定常状態にあり、どちらも’H’レベルになる。そのため、ソースフォロア出力回路100のPMOSトランジスタ22はオフになる。また、NMOSトランジスタ21は出力端子Voの電位に応じた状態になるが、出力端子Voの電位は電源電圧VDDと同等であるため、NMOSトランジスタ21のゲート・ソース間の電位差がその閾値Vtnよりも小さいため、NMOSトランジスタ21はオフ状態になる。
また、遅延回路7の出力する信号in1は’H’レベルであり、NANDゲート12の出力する信号xuは’L’、NORゲート13の出力する信号xdも’L’になる。従って、高出力バッファ200においては初期状態ではPMOSトランジスタ23のみがオンし、PMOSトランジスタ23の出力する電流により出力端子Voの電位は’H’レベルになる。
図8(B)の時刻t3で、入力信号INが’H’から’L’レベルへ変化すると、インバータ11の出力は’H’になり、インバータINV1の出力する信号n1は直ちに’L’になるため、NMOSトランジスタ21はオフ状態を維持する。また、インバータINV2の出力する信号n2の電位については、インバータINV2の基準電圧端子側から定電流源6により’L’レベルに相当する接地電位に至るまで定電流i1で放電され、緩やかに低下する。
このときの信号n2の立ち下がり速度については、電流値i1と、トランジスタ22のゲート容量などの内部負荷容量値の割合に比例した値となり、常に一定の速度となる。一方、NANDゲート12の出力する信号xuは時刻t3で直ちに’H’になるが、遅延回路7の出力する信号in1は遅延回路の遅延時間tdを経過するまでは’H’を維持し、時刻t3〜t4の期間はNORゲート13の出力する信号xdは’L’を維持する。
そのため、高出力バッファ200においては時刻t3〜t4の期間はPMOSトランジスタ23、NMOSトランジスタ24が共にオフし、非出力状態(ハイインピーダンス状態)になる。従って、出力端子Voの電位はソースフォロア出力回路100のPMOSトランジスタ22に流れる電流のみによって緩やかに立ち下がる。
ここで、出力端子Voに接続される外部負荷Coの最大負荷の動作条件を事前に考慮して、PMOSトランジスタ22の駆動能力を十分に確保しておくことにより、最大の負荷容量が接続された最悪の動作条件においても、時刻t3〜t4の立ち下がり期間において、ほぼ一定の出力電流となる飽和状態をPMOSトランジスタ22が維持したまま、出力端子Voの電位を立ち下げることができる。
PMOSトランジスタ22の出力電流I22は次式で表される。
I22=βp×(VGS22−Vtp)2/2
I22≒Ic2(一定電流値)
但し、
βp:PMOSトランジスタ22の電流増幅率
VGS22:PMOSトランジスタ22のゲート−ソース間電圧
Vtp:PMOSトランジスタ22の閾値
また、前記信号n2の電圧をVn2、出力端子Voの電圧をVoで表すと、
VGS22=Vn2−Vo
であるので、出力電圧Voは次式で表される。
Vo≒Vn2+Vtp+(2×Ic2/βe)1/2
ここで、PMOSトランジスタ22の入力の信号n2に関する負荷容量をCn2で表すと、信号n2の電圧Vn2は入力信号INが’H’から’L’レベルへ変化してからの経過時間tの関数として次式で表される。
Vn2=VDD−(i1/Cn2)×t
これにより、出力Voの立ち下り速度は、外部負荷が最大負荷時であっても、PMOSトランジスタ22のゲート端子の入力における立ち下がり速度とほぼ同程度にできる。また、外部負荷Coが小さくなってもゲート端子の入力における立ち下がり速度より速くなることはない。
但し、PMOSトランジスタ22のゲート端子の電位が、ソース端子と接続された出力端子Voの電圧(VDDと同等)よりPMOSトランジスタ22の閾値Vtp分(VDD−Vtp)を越えて下降するまでは、トランジスタ22はオンしないため、それまでは’H’レベルを出力する。
図8(B)の時刻t3で入力信号INが’L’に変化した後、遅延回路7の遅延時間tdを経過して時刻t4になると、遅延回路7の出力する信号in1が’L’に変化し、NORゲート13の出力する信号xdは’H’になる。また、NANDゲート12の出力する信号xuは’H’のままである。従って、高出力バッファ200においては時刻t4でトランジスタ24をオンし、NMOSトランジスタ24を流れる電流によって出力端子Voの電位を接地電位まで高速に立ち下げる。
立ち下げ時も立上げ時と同様に、遅延回路7の遅延時間tdは、一定(nT/m)に維持される。出力端子Voの電位は、遅延時間tdと出力端子Voの電位変化の立ち下がり速度、すなわち信号n2の立ち下がり速度とに応じて定まることになる。
信号n2の電位Vn2は次式で表される。
Vn2=VDD−(i1/Cn2)×(nT/m)
従って、出力端子Voの電位は次式で表される。
Vo≒VDD−(i1/Cn2)×(nT/m)+Vtp+(2×Ic2/βe)1/2
つまり、外部負荷の大きさや、電源電圧、温度などの変動や、プロセスばらつきの影響を受けることなく、出力端子Voの電位変化の波形を一定に制御することができる。そのため、高出力バッファ200の駆動を開始する際に生じるピーク電流をほぼ一定に抑制することができるので、リンギングノイズや不要輻射ノイズを十分に抑制できる。また、出力ドライブ回路を通過する信号の遅延を必要最小限に抑制できる。
なお、出力端子Voに接続される外部の負荷容量の大きさが事前に決定された制限範囲を超えた場合であっても、負荷容量の最大値に対してソースフォロア出力回路100に十分な駆動能力が備わっている場合には、ソースフォロア出力回路100だけで制御される期間(t1〜t2,t3〜t4)の出力端子Voにおける立ち上がり/立ち下がり速度は、負荷容量に依存することなく、常に一定に維持される。
また、ソースフォロア出力回路100におけるNMOSトランジスタ21及びPMOSトランジスタ22の出力電流は速度制御回路400によってほぼ一定に抑制されるので、立ち上がり/立ち下がりの初期段階(t1〜t2,t3〜t4)での変化速度を一定に維持することができ、高出力バッファ200がオフからオンに切り替わる時点(t2,t4)での出力端子Voの電位は事前に定めた値とほぼ一致する。従って、高出力バッファ200がオンするときのソース・ドレイン間の電位差を一定にすることができ、高出力バッファ200に流れるピーク電流を外部負荷容量、電源電圧、温度、プロセスばらつきなどに依存することなく抑制できる。従って、リンギングノイズや不要輻射ノイズが抑制できる。同時に、出力ドライブ回路を通過する信号の遅延を必要最小限に抑制できる。
なお、高出力バッファ200が駆動状態になる期間(t2以降,t4以降)については、ソースフォロア出力回路100を駆動状態に制御しても良いし、非駆動状態に制御しても良い。
(第4の実施の形態)
本発明の出力ドライブ回路に関するもう1つの実施の形態について、図9を参照しながら以下に説明する。図9は第4の実施の形態における出力ドライブ回路の構成を示すブロック図である。
この形態は、前述の第2の実施の形態及び第3の実施の形態の変形例である。また、図9において第2の実施の形態又は第3の実施の形態と対応する要素は同一の符号を付けて示してある。
図9に示す出力ドライブ回路の構成については、特許請求の範囲の出力バッファとして機能する低出力バッファ300が追加された点と、低出力バッファ300を駆動するための信号yu、ydを生成する、特許請求の範囲の出力バッファ駆動手段として機能するNANDゲート44及びNORゲート45が追加された点が、図7の出力ドライブ回路と大きく異なっている。
低出力バッファ300は、高出力バッファ200に比べて電流容量の小さいバッファであり、より精密な波形の制御を行うために追加してある。
低出力バッファ300は、比較的電流容量の小さいPMOSトランジスタ25とNMOSトランジスタ26とで構成されている。PMOSトランジスタ25のソース端子は電源ラインVDDと接続され、NMOSトランジスタ26のソース端子は接地ライン(0V)と接続されている。また、PMOSトランジスタ25のドレイン端子及びNMOSトランジスタ26のドレイン端子は出力端子Voと共通に接続されている。PMOSトランジスタ25のゲート端子には入力信号yuが印加され、NMOSトランジスタ26のゲート端子には入力信号ydが印加される。
第2の実施の形態と同様に、遅延回路71及び72は、それぞれ所定の遅延時間を決定する。遅延回路71及び72は、直列に接続されており、遅延回路71の入力に入力信号INが印加される。また、遅延回路71の出力が遅延回路72の入力と接続され、遅延回路72の出力がインバータ41の入力と接続されている。遅延回路71及び72の遅延時間を制御するために、遅延ロックループ回路8の出力するアナログ制御信号VCが遅延回路71及び72に印加される。
NANDゲート42は、インバータ41の出力する信号と、遅延回路71が出力する信号との論理演算結果として信号xuを生成する。また、NANDゲート44は遅延回路71の出力する信号と入力信号INとの論理演算結果として信号yuを生成する。また、NORゲート43はインバータ41の出力する信号と、遅延回路71の出力する信号との論理演算結果として信号xdを生成する。また、NORゲート45は遅延回路71が出力する信号と、入力信号INとの論理演算結果として信号ydを生成する。
図9に示した遅延回路71及び72の各々の具体的な構成については図2に示された遅延回路7と同様であり、図9に示した遅延ロックループ回路8の具体的な構成については図3に示された遅延ロックループ回路8と同様である。従って、安定したクロック信号CLKに基づいて、遅延回路71の遅延時間及び遅延回路72の遅延時間を一定に維持できる。
図9に示す出力ドライブ回路の動作については、図6に示された第2の実施の形態の動作タイミングとよく似ているので、図6を参照しながら図9の出力ドライブ回路の動作を説明する。なお、実際の出力端子Voの電位(Vo)の波形は図6に示す内容とは多少異なっている。
まず出力端子Voの電位を低レベルLから高レベルHに立ち上げる場合の動作について説明する。
初期状態(図6の時刻t11まで)では入力信号INが’L’レベルの場合を想定しているので、初期状態ではインバータINV1、INV2の出力n1、n2は定常状態にあり、出力される信号n1、n2はどちらも’L’レベルになる。また、高出力バッファ200の出力Voの電位は’L’レベルになり、NMOSトランジスタ21及びPMOSトランジスタ22は共にオフになる。
一方、初期状態では遅延回路71の出力及び遅延回路72の出力は共に’L’レベルの状態になり、NANDゲート42とNANDゲート44の入力の少なくとも一方は’L’となり、各出力xu、yuはどちらも’H’になり、NORゲート45の出力ydも’H’になる。NORゲート43は、遅延回路72の出力をインバータ41で反転した信号が印加されるので、NORゲート43の出力xdは’L’になる。
従って、高出力バッファ200においてではPMOSトランジスタ23、NMOSトランジスタ24が共にオフし、非出力状態(ハイインピーダンス状態)になる。低出力バッファ300においては、NMOSトランジスタ26のみオンするので、出力端子Voの信号は’L’レベルになる。その他の信号の状態は図5に示した出力ドライブ回路の場合と同じである。
入力信号INが’L’から’H’レベルへ変化すると(図6(A)の時刻t11)、信号ydは直ちに’L’になり、信号xu、yuは、遅延回路71の遅延時間値td1に至るまで’H’の状態を維持する。また、インバータ41の出力は’H’のままなので、信号xdは’L’のままである。そのため高出力バッファ200はハイインピーダンス状態を維持する。また、低出力バッファ300もPMOSトランジスタ25、NMOSトランジスタ26を共にオフしてハイインピーダンス状態になる。一方、ソースフォロア出力回路100は、図7に示した出力ドライブ回路の場合と同様に、NMOSトランジスタ21をオンして出力端子Voの電位を信号n1の立ち上がりと同等の一定の速度で立ち上げ始める。
入力信号INが’H’に変化した後、遅延時間td1を経過した後で遅延回路71の出力が’H’に変化する時刻(t12)から、更に遅延回路72の遅延時間td2を経過するまでは遅延回路72の出力は’L’になり、インバータ41の出力は’H’のままなので、NANDゲート42と44の出力する信号xuとyuは共に’L’になり、信号xdとydは’L’のままである。従って、高出力バッファ200はPMOSトランジスタ23をオンし、同時に低出力バッファ300はPMOSトランジスタ25をオンするので、それ以降(時刻t12以降)は出力端子Voの電位を高速に立ち上げ始める。
この場合も、高出力バッファ200がオンした直後にそのソース・ドレイン間の電位差が最大になり、電流もピークになるが、オンに切り替わるときには、高出力バッファ200のドレイン端子に接続された出力端子Voの電位が電源電圧VDDに近づいているので、ピーク電流を抑制できる。
遅延回路71の出力が’H’に変化し、更に遅延回路72の遅延時間td2を経過すると(時刻t13)、遅延回路72の出力は’H’になり、インバータ41の出力は’L’になる。これによりNANDゲート42の出力する信号xuは’H’になるが、他の論理ゲート43〜45の出力yu、xd、ydは全て’L’のままである。従って、高出力バッファ200においてはPMOSトランジスタ23、NMOSトランジスタ24が共にオフしてハイインピーダンス状態になる。また、低出力バッファ300においてはPMOSトランジスタ25のみオンする。つまり、図6(A)の時刻t13から立ち上がりが終了するまでの間は、低出力バッファ300だけで駆動され、出力端子Voの電位は電源電圧VDDまで緩やかに立ち上がる。すなわち、低出力バッファ300のPMOSトランジスタ25は比較的高いオン抵抗を有するので、時刻t13以降に流れる電流は比較的小さくなり、出力端子Voの電位は緩やかな立ち上がりになる。そのため、出力端子Voの立ち上がりに伴うリンギングノイズを一層低減できる。
次に、出力端子Voの電位を高レベルHから低レベルLに立ち下げる場合の動作について説明する。
初期状態(図6(B)の時刻t21まで)では入力信号INが’H’レベルの場合を想定している。この初期状態では、インバータINV1、INV2の出力する信号n1、n2は定常状態でどちらも’H’レベルになり、PMOSトランジスタ22はオフし、NMOSトランジスタ21はソース端子と接続された出力端子Voの電位が電源電圧VDDに近いのでオフしている。
初期状態では出力信号xuのみ’H’になり、他の出力信号yu、xd、ydは全て’L’レベルなる。従って、高出力バッファ200においてはPMOSトランジスタ23、NMOSトランジスタ24が共にオフしてハイインピーダンス状態になる。また、低出力バッファ300においてはPMOSトランジスタ25のみオンするので、出力端子Voの電位は’H’レベルになる。その他の信号の状態については図5に示した出力ドライブ回路の場合と同じである。
入力信号INが’H’から’L’レベルへ変化すると(図6(B)の時刻t21)、信号yuは直ちに’H’になり、出力信号xd、ydは、更に遅延回路71により定まる遅延時間td1を経過するまで’L’を維持する。また、インバータ41の出力は’L’のままなので、信号xuは’H’のままである。そのため高出力バッファ200はハイインピーダンス状態を維持し、低出力バッファ300もPMOSトランジスタ25、NMOSトランジスタ26を共にオフしてハイインピーダンス状態になる。一方、ソースフォロア出力回路100は、図7に示した出力ドライブ回路の場合と同様に、PMOSトランジスタ22をオンに切り替えて出力端子Voを信号n2の立ち下がりとほぼ同等の一定の速度で立ち下げ始める。
入力信号INが’L’に変化し、更に遅延回路71の遅延時間td1を経過した後に(図6(B)の時刻t22)、遅延回路71の出力が’L’に変化してから更に遅延回路72によって定まる遅延時間td2を経過するまでは遅延回路72の出力は’H’を維持し、インバータ41の出力は’L’のままなので、NANDゲート42と43の出力する信号xuとyuは’H’の状態を維持し、出力信号xdとydはともに’H’に変化する。
従って、図6(B)に示す時刻t22以降(t23まで)は、高出力バッファ200はNMOSトランジスタ24をオンし、低出力バッファ300はNMOSトランジスタ26をオンするので、高出力バッファ200及び低出力バッファ300は、出力端子Voの電位を高速に立ち下げ始める。
この場合も、高出力バッファ200のNMOSトランジスタ24がオン状態に切り替わった直後にドレイン・ソース間の電位差が最大になり、電流がピークになる。しかし、このときにNMOSトランジスタ24のドレイン端子と接続された出力端子Voの電位は、既に接地電位に近づいているので、ドレイン・ソース間の電位差は比較的小さくなり、最大ピーク電流は減少する。
遅延回路71の出力が’L’に変化した後、更に遅延回路72の遅延時間td2を経過すると(図6(B)の時刻t23)、遅延回路72の出力は’L’に切り替わり、インバータ41の出力は’H’になる。これにより、NORゲート43の出力xdは’L’になる。また、他の論理ゲート42、44、45の出力する信号xu、yu、ydは全て’H’のままである。従って、高出力バッファ200はPMOSトランジスタ23、NMOSトランジスタ24を共にオフしてハイインピーダンス状態になり、低出力バッファ300ではNMOSトランジスタ26のみオンする。このため、時刻t23以降は、出力端子Voの電位は、低出力バッファ300だけで駆動されて緩やかに接地電位まで立ち下がる。すなわち、低出力バッファ300のNMOSトランジスタ26はオン抵抗が比較的大きいので、NMOSトランジスタ26を流れる電流は小さくなり、出力端子Voの波形は緩やかに立ち下がる。従って、出力端子Voの立ち下がりに伴うリンギングノイズを一層低減できる。
なお、高出力バッファ200を駆動する期間(図6の時刻t12〜t13の期間)におけるソースフォロア出力回路100及び低出力バッファ300のそれぞれの動作については、これらを駆動状態に制御しても良いし、非駆動状態に制御しても良い。しかし、立ち上がり/立ち下がりの初期段階(例えば図6のt11〜t12,t21〜t22の各期間)では、精密な制御を実現するためにソースフォロア出力回路100だけを動作状態にし、高出力バッファ200の及び低出力バッファ300を非駆動状態に制御して出力端子Voを駆動するのが望ましい。立ち上がり/立ち下がりの最終段階(例えば図6のt13以降の期間,t23以降の期間)では、高出力バッファ200を非駆動状態に制御し、ソースフォロア出力回路100及び低出力バッファ300のいずれか一方だけを駆動状態に制御するか又は両者を駆動状態に制御すればよい。
例えば、低出力バッファ300を、高出力バッファ200を駆動する期間(図6の時刻t12〜t13の期間)は停止させ、立ち上がり/立ち下がりの最終段階(例えば図6のt13以降の期間,t23以降の期間)においてのみ動作させる場合には、図9において、NANDゲート44の、遅延回路71からの信号が入力される端子に、遅延回路71からの信号の代わりに、遅延回路72からの出力信号を直接入力させる構成とし、NORゲート45の、遅延回路71からの信号が入力される端子に、遅延回路71からの信号の代わりに、遅延回路72からの出力信号を直接入力させる構成とすれば良い。
いずれにしても、図9に示す出力ドライブ回路においては、電源電圧及び周囲温度の変動や、各部品の製造プロセスのばらつきの影響を受けることなく、遅延回路71の遅延時間と遅延回路72遅延時間とをそれぞれ一定に維持できるので、最適なタイミングでソースフォロア出力回路100と、高出力バッファ200と、低出力バッファ300との駆動状態を切り替えることができる。従って、リンギングノイズや不要輻射ノイズ(EMI)を効果的に低減でき、しかも出力ドライブ回路を通過する信号の遅延を最小限に抑制できる。
なお、図9に示す出力ドライブ回路において、インバータ11、速度制御回路400、及びソースフォロワ出力回路100を、第1の実施の形態で説明したように、低出力バッファ201に置き換えることも可能である。
なお、第1〜第4の実施の形態においては、入力信号INの立ち上がりと立ち下がりの両方において本発明の課題を解決するための構成を説明したが、入力信号INの立ち上がり時及び立ち下がり時のいずれか一方においてのみ、本発明の課題を解決するための構成を適用しても構わない。
例えば、図1において、NMOSトランジスタ24及びNORゲート13を省略した構成とすることで、入力信号INの立ち上がり時のみ、本発明の課題を解決することができる。又は、図1において、NORゲート13を入力信号INのみを入力とするインバータ13’に変更して、図10に示すような構成にすることで、入力信号INの立ち上がり時には本発明の課題を解決し、入力信号INの立ち下がり時には通常の高駆動出力とすることができる。
又、図1において、PMOSトランジスタ23及びNANDゲート12を省略した構成とすることで、入力信号INの立ち下がり時のみ、本発明の課題を解決することができる。又は、図1において、NANDゲート12を入力信号INのみを入力とするインバータ12’に変更して、図11に示すような構成にすることで、入力信号INの立ち下がり時には本発明の課題を解決し、入力信号INの立ち上がり時には通常の高駆動出力とすることができる。
又、図5において、NMOSトランジスタ24及びNORゲート43を省略した構成とすることで、入力信号INの立ち上がり時のみ、本発明の課題を解決することができる。又は、図5において、NORゲート43を入力信号INのみを入力とするインバータに変更することで、入力信号INの立ち上がり時には本発明の課題を解決し、入力信号INの立ち下がり時には通常の高駆動出力とすることができる。
又、図5において、PMOSトランジスタ23及びNANDゲート42を省略した構成とすることで、入力信号INの立ち下がり時のみ、本発明の課題を解決することができる。又は、図5において、NANDゲート42を入力信号INのみを入力とするインバータに変更することで、入力信号INの立ち下がり時には本発明の課題を解決し、入力信号INの立ち上がり時には通常の高駆動出力とすることができる。
又、図7において、INV2、電流源6、PMOSトランジスタ22、NMOSトランジスタ24、及びNORゲート13を省略した構成とすることで、入力信号INの立ち上がり時のみ、本発明の課題を解決することができる。又は、図7において、NORゲート13を入力信号INのみを入力とするインバータに変更することで、入力信号INの立ち上がり時には本発明の課題を解決し、入力信号INの立ち下がり時には通常の高駆動出力とすることができる。
又、図7において、INV1、電流源5、NMOSトランジスタ21、PMOSトランジスタ23、及びNANDゲート12を省略した構成とすることで、入力信号INの立ち下がり時のみ、本発明の課題を解決することができる。又は、図7において、NANDゲート12を入力信号INのみを入力とするインバータに変更することで、入力信号INの立ち下がり時には本発明の課題を解決し、入力信号INの立ち上がり時には通常の高駆動出力とすることができる。
又、図9において、INV2、電流源6、PMOSトランジスタ22、NMOSトランジスタ24、NMOSトランジスタ26、及びNORゲート43,45を省略した構成とすることで、入力信号INの立ち上がり時のみ、本発明の課題を解決することができる。又は、図9において、NORゲート43,44を入力信号INのみを入力とするインバータに変更することで、入力信号INの立ち上がり時には本発明の課題を解決し、入力信号INの立ち下がり時には通常の高駆動出力とすることができる。
又、図9において、INV1、電流源5、NMOSトランジスタ21、PMOSトランジスタ23、PMOSトランジスタ25、及びNANDゲート42,44を省略した構成とすることで、入力信号INの立ち下がり時のみ、本発明の課題を解決することができる。又は、図9において、NANDゲート42,44を入力信号INのみを入力とするインバータに変更することで、入力信号INの立ち下がり時には本発明の課題を解決し、入力信号INの立ち上がり時には通常の高駆動出力とすることができる。