JPH08102643A - 可変遅延回路及びこれを使用したリング発振回路並びにこれを使用したpll回路 - Google Patents

可変遅延回路及びこれを使用したリング発振回路並びにこれを使用したpll回路

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JPH08102643A
JPH08102643A JP6237666A JP23766694A JPH08102643A JP H08102643 A JPH08102643 A JP H08102643A JP 6237666 A JP6237666 A JP 6237666A JP 23766694 A JP23766694 A JP 23766694A JP H08102643 A JPH08102643 A JP H08102643A
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circuit
signal
variable delay
voltage
output
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Masaki Ikeda
雅紀 池田
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Asahi Kasei Microsystems Co Ltd
Asahi Kasei Microdevices Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Microsystems Co Ltd
Asahi Kasei Microdevices Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 制御可能な遅延時間の最小値が従来よりも小
さくでき且つ回路規模も小さい可変遅延回路を実現す
る。 【構成】 インバータ回路3の出力ノード(Va)に容
量素子C2を接続した可変遅延回路において、インバー
タ回路3の出力ノード(Va)と容量素子C2との間に
制御信号Vcnt の電圧値に応じてスイッチングのタイミ
ングが変わるスイッチング回路(スイッチングトランジ
スタTr3)が挿入接続される。そこで、容量素子C2
の充電電流を制限するために従来は必要とされた電圧−
電流変換回路やカレントミラー回路が不要となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、可変遅延回路に関
し、特に、二値信号(この発明では二値信号の遷移状態
の制御を問題とするのでこの明細書では波形整形等によ
って最終的に二値化されるべき信号をも含めて二値信号
と呼ぶ。)を遅延させる遅延回路であって、制御可能な
遅延時間の最小値を従来よりも短いものとすることがで
きる可変遅延回路に関するものである。さらには、これ
に加えてIC化に際し遅延時間のバラツキが少ない可変
遅延回路に関する。また、このような可変遅延回路を有
して、従来よりも高い周波数で発振動作可能なリング発
振回路及びPLL回路(Phase Lock Loop 回路)に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】テレビ受像機やVTR,FMチューナー
等の装置や通信装置等にあっては、ノイズ等の影響を排
して搬送波等に追従する位相と周波数の発振信号を発生
するためにPLL回路が用いられることが多い。このP
LL回路には発振信号の周波数を制御可能なものとする
ために電圧制御発振回路が含まれるが、高周波の発振信
号を必要とする場合には電圧制御発振回路としてリング
発振回路が採用される。このリング発振回路は、複数個
の遅延回路が順にリング状に接続された発振回路であ
り、しかも発振周波数が制御信号に応じて可変制御され
るリング発振回路である。また、この周波数可変のリン
グ発振回路に用いられる遅延回路としては、発振信号の
周波数制御のために、制御信号に応じて遅延時間が可変
制御される可変遅延回路が用いられる。
【0003】図9に従来の可変遅延回路の例を示す。こ
こに、10は、二値信号Vinを入力信号とし、遅延時間
を可変制御するための電圧信号Vcnt を制御信号として
受け、入力信号(Vin)の立ち下がりの遷移タイミング
を制御信号(Vcnt )の電圧値に応じて遅延させた反転
信号Va を生成しこれを出力信号とする可変遅延回路で
ある。なお、制御信号を電圧信号とするのは、PLL回
路に用いられる電圧制御発振回路が制御信号を電圧信号
とすること等に対応したものである。また、20は可変
遅延回路10と同様の構成でこれに従属接続された可変
遅延回路、30は可変遅延回路20の出力信号を反転す
るとともに波形整形(二値化)して出力信号Vout を発
生するインバータ回路である。
【0004】可変遅延回路10の構成を説明する。ここ
に、C1は充放電されて電圧信号を発生する容量素子と
してのコンデンサ、1はコンデンサC1の充電電流の大
きさを制御するための電圧−電流変換回路、2はコンデ
ンサC1への充電電流を供給する電流源としてのカレン
トミラー回路、3は入力信号(Vin)を受けその反転値
に対応した向きの充放電電流をコンデンサC1に出力す
るインバータ回路である。インバータ回路3は信号反転
とともに入力信号(Vin)の二値化をも行うものである
が、この二値状態の変化に対応して固有の遅延時間でス
イッチングするインバータ回路3に対し、電圧−電流変
換回路1,カレントミラー回路2,コンデンサC1で構
成される一次遅れ回路が遅延時間の制御のために付加さ
れている。そしてコンデンサC1の充電電流を変えるこ
とで、インバータ回路3の出力電圧信号(Va )の立ち
上がり傾斜部分における傾斜を変化させて、遅延時間を
可変制御する。
【0005】具体的には、コンデンサC1は、一端がイ
ンバータ3の出力ノードに接続され他端が接地ラインV
ssに接続されたものである。電圧−電流変換回路1は、
制御信号(Vcnt )を入力とし電流−電圧変換のための
抵抗R1を流れる電流を出力とするものであり、制御信
号(Vcnt )を正転入力とし抵抗R1の一端に発生した
電圧をフィードバックして反転入力として制御信号(V
cnt )に対応した電流が抵抗R1に流れるように電流を
制御するオペアンプとを主体として構成される。カレン
トミラー回路2は、入力側が電源ラインVddと電圧−電
流変換回路1の出力側との間に挿入接続されて電圧−電
流変換回路1の出力電流を入力とし、出力側が電源ライ
ンVddとインバータ回路3の電流供給側のトランジスタ
Tr1 との間に挿入接続されて反転した向きの出力電流
をインバータ回路3の電流供給側のトランジスタTr1
に供給する、すなわちトランジスタTr1 を介して制御
信号(Vcnt )に対応した電流値の充電電流をコンデン
サC1に供給するものである。
【0006】また、インバータ回路3は、入力信号(V
in)をゲートに受け入力信号(Vin)が“L”(ロー)
のときオンしてカレントミラー回路2の出力電流をコン
デンサC1に供給し入力信号(Vin)が“H”(ハイ)
のときオフしてカレントミラー回路2の出力とコンデン
サC1とを遮断する電流供給側のPチャンネルMOSト
ランジスタTr1 と、入力信号(Vin)をゲートに受け
入力信号(Vin)が“H”(ハイ)のときオンしてコン
デンサC1に充電されている電荷を接地ラインVssに放
電させ入力信号(Vin)が“L”(ロー)のときオフし
て接地ラインVssとコンデンサC1とを遮断する電流放
出用のNチャンネルMOSトランジスタTr2 とを備え
るものである。トランジスタTr1 のドレインとトラン
ジスタTr2 とが接続されたインバータ回路3の出力ノ
ードにはコンデンサC1の充放電電流の入出力側端子も
接続され、この出力ノードに発生した電圧Va がインバ
ータ回路3の出力電圧信号(Va ) とされる。
【0007】図9の回路の動作を説明する。先ず、制御
信号(Vcnt )の値を仮にV0としたときの動作を図1
0の波形図を参照しつつ説明する。このとき、電圧−電
流変換回路1によって、抵抗R1を介する電流さらにカ
レントミラー回路2の入力側電流はほぼ(V0/R1)
となり、インバータ回路3のトランジスタTr1 がオン
のときにこれを介してコンデンサC1に供給される電流
も、カレントミラー回路2の出力電流によって決まるこ
とから、やはり(V0/R1)となる。このため、コン
デンサC1の充電時におけるインバータ回路3の出力電
圧信号(Va )は、信号波形の傾斜がほぼ(C1/(V
0/R1))となる。なお、インバータ回路3のトラン
ジスタTr2 がオンのときにはこれを介して速やかにコ
ンデンサC1からの放電がなされるので、このときの出
力電圧信号(Va )の信号波形の傾斜は急峻なものとな
る。
【0008】そこで、“H”,“L”の二値を採る発振
信号を入力信号(Vin)として受け(図10の(a)参
照)、入力信号(Vin)が“H”となっておりトランジ
スタTr2がオンでコンデンサC1が完全放電した状態
から始めて(図10の時刻t0参照)、入力信号(Vi
n)が“H”から“L”に遷移すると(図10の(a)
における立ち下がり部分参照,時刻t1)、コンデンサ
C1の制御された放電によってインバータ回路3の出力
電圧信号(Va )は(C1/(V0/R1))の傾きで
緩やかに“L”から“H”に遷移する(図10の(b)
における立ち上がり部分参照)。そして、インバータ回
路3の出力電圧信号(Va )が可変遅延回路10の出力
としてさらに次段の可変遅延回路20に入力されると可
変遅延回路20におけるインバータ回路によって二値化
される。ここで、インバータ回路における閾値をVe と
すると、インバータ回路3の出力電圧信号(Va )が閾
値Ve に達したときすなわち時間d1=(Ve /(C1
/(V0/R1)))だけ遷移開始から遅延した時点
(時刻t2)で、可変遅延回路20の出力電圧信号(V
b )が反転する(図10の(c)における立ち下がり部
分参照)。さらに、電圧信号(Vb )がインバータ30
によって反転されて、出力信号Vout が変化する(図1
0の(d)における立ち上がり部分参照)。これによ
り、出力信号Voutは、立ち上がり遷移するタイミング
が入力信号(Vin)の立ち下がり遷移のタイミングに対
し時間d1だけ遅延させられたものとなる。
【0009】これに対し、入力信号(Vin)が“L”か
ら“H”に遷移すると(図10の時刻t3参照)、コン
デンサC1の急速放電によってインバータ回路3の出力
電圧信号(Va )は速やかに“H”から“L”に遷移す
る(図10の(b)における立ち下がり部分参照)。そ
して、インバータ回路3の出力電圧信号(Va )が可変
遅延回路10の出力としてさらに次段の可変遅延回路2
0に入力されると、可変遅延回路20が上述の可変遅延
回路10と同様に動作して、可変遅延回路20の出力電
圧信号(Vb )が(C1/(V0/R1))の傾きで緩
やかに“L”から“H”に遷移する(図10の(c)に
おける立ち上がり部分参照)。さらにこれがインバータ
回路30によって閾値Ve で二値化されて波形整形さ
れ、同様に可変遅延回路20の出力電圧信号(Vb )が
閾値Ve に達した時点(時刻t4)で出力信号Vout が
変化する(図10の(d)における立ち下がり部分参
照)。これにより、出力信号Vout は、立ち下がり遷移
するタイミングが入力信号(Vin)の立ち上がり遷移の
タイミングに対し時間d1だけ遅延させられたものとな
る。この結果、制御信号(Vcnt )の値V0に対応して
時間d1だけ入力信号(Vin)を遅延させた反転信号
が、出力信号Vout として得られる。
【0010】次に制御信号(Vcnt )の値を仮に(V0
/2)としたときの動作を説明するが、このときの波形
を示す図11の波形(a)〜(d)はそれぞれ図10の
波形(a)〜(d)に対応したものである。このとき、
電圧−電流変換回路1によって、抵抗R1及びカレント
ミラー回路2の入力側電流はほぼ((V0/2)/R
1)となり、インバータ回路3のトランジスタTr1 が
オンのときにこれを介してコンデンサC1に供給される
電流も、カレントミラー回路2の出力電流によって決ま
ることから、やはり((V0/2)/R1)となる。こ
のため、コンデンサC1の充電時におけるインバータ回
路3の出力電圧信号(Va )は、信号波形の傾斜がほぼ
(C1/((V0/2)/R1))となる。そして、可
変遅延回路10,可変遅延回路20による遅延時間d2
は、(Ve /(C1/((V0/2)/R1)))すな
わち(2×d1)となる。
【0011】そこで、上述の場合と同様にして(図11
の波形(a)〜(d)参照)、制御信号(Vcnt )の値
(V0/2)に対応して時間(2×d1)だけ入力信号
(Vin)を遅延させた反転信号が、出力信号Vout とし
て得られる。また、制御信号(Vcnt )の値を他の任意
の値に設定することで、これに対応した遅延時間だけ入
力信号(Vin)を遅延させた出力信号Vout を得ること
ができる。
【0012】したがって、このような可変遅延回路が複
数個順にリング状に接続されたリング発振回路は、発振
周波数が電圧制御信号に応じて可変制御されるリング発
振回路を構成し、さらにこの周波数可変のリング発振回
路を電圧制御発振回路として用いることでPLL回路の
一構成が可能となる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】このように従来の可変
遅延回路にあっては、インバータ回路の出力ノードに接
続された容量素子への充電電流の大きさを制御すること
により、出力電圧信号の傾斜を変化させて遅延時間を可
変制御していた。このため、インバータの電流吐出側ト
ランジスタに対し直列に電流制限のためのカレントミラ
ー回路等を設ける必要がある。しかし、このような電流
制限回路がその機能を果たすためには、通常そのトラン
ジスタが能動域で動作する必要があることから、スイッ
チング動作で駆動しうる電流値よりも小さな電流しか駆
動することができない。その結果、可変遅延回路による
制御可能な遅延時間の最小値は、インバータ回路単体に
よる遅延時間よりもかなり大きなものとならざるを得
ず、インバータ回路単体による遅延時間に近い値にまで
小さくすることは困難である。
【0014】さらに、外部から受ける制御信号が電圧信
号である場合、これに対応した充電電流を生成するため
の電圧−電流変換回路を必要とする。しかし、電圧−電
流変換回路はオペアンプ等を主体として構成されること
から、インバータ回路等の他の構成要素に比べて回路規
模が大きい。このため、全体の回路規模も大きくなりが
ちである。
【0015】また、回路のIC化を図った場合、抵抗R
1等の値に依存して決まる電圧−電流変換比率と、コン
デンサC1の容量とは、製造プロセスの変動によってば
らつくが、これらは互いに無関係にばらつく。このこと
から、これらの積に従う遅延時間の可変遅延回路におけ
る遅延時間の制御可能な範囲は、ばらつきが大きくなり
易いという不都合もある。
【0016】そして、このような可変遅延回路を用いて
構成された周波数可変のリング発振回路やPLL回路に
は、上述のことに対応して、発振周波数を高くすること
ができないこと、回路規模が大きいこと、IC化に際し
発振周波数の制御可能範囲のばらつきが大きいことなど
の不都合がある。この発明は、上記従来技術における未
解決の課題に着目してなされたものであり、制御可能な
遅延時間の最小値が従来よりも小さくでき回路規模も小
さい可変遅延回路を実現することを目的とする。さらに
は、制御可能な遅延時間の最小値が従来よりも小さくで
き回路規模も小さくIC化したときにばらつきが小さい
可変遅延回路を実現することを目的とする。また、制御
可能な発振周波数を従来よりも高くでき回路規模も小さ
い周波数可変のリング発振回路やPLL回路の実現、さ
らにはこれに加えてIC化したときにばらつきが小さい
周波数可変のリング発振回路やPLL回路の実現をも目
的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明は、二値信号を入力とするインバー
タ回路と、前記インバータ回路の出力ノード側に接続さ
れた遅延時間を設定する容量素子とを備え、遅延時間を
可変制御するための電圧制御信号によって前記容量素子
の充放電を制御するようにした可変遅延回路において、
前記インバータ回路に入力信号を供給すると共に、前記
インバータ回路の出力ノード及び前記容量素子との間に
前記制御信号に応じて前記容量素子に対する充放電電流
の通電時間を制御するスイッチング回路を介挿したもの
である。
【0018】また、請求項2の発明は、前記スイッチン
グ回路をMOSトランジスタで構成すると共に、前記容
量素子をMOSトランジスタと同一半導体基板に形成し
たゲート容量で構成するようにしたものである。請求項
3の発明は、請求項1又は2記載の可変遅延回路を複数
段リング状に接続して構成されたリング発振回路であ
る。
【0019】請求項4の発明は、基準信号と帰還信号と
の位相差に応じた信号を出力する位相比較回路と、前記
位相比較回路の出力側に接続されたフィルタ回路と、前
記フィルタ回路の出力側に接続され且つ出力信号を前記
位相比較回路に帰還信号として供給する請求項3記載の
リング発振回路で構成される電圧制御発振回路とを備え
たPLL回路である。
【0020】
【作用】請求項1記載の発明に係る可変遅延回路にあっ
ては、インバータ回路の出力電流がそのままスイッチン
グ回路を介して容量素子の充電電流とされるので、入力
信号が変化したときこれに応じる充電電流は何ら制限さ
れることなく容量素子に供給される。そこで、容量素子
の容量と充電電流の大きさによって決まる容量素子に発
生する電圧の傾斜すなわちインバータ回路の出力ノード
の電圧出力信号の傾斜は従来よりも急峻なものとなる。
よって、従来よりも遅延時間を短くすることが可能とな
る。
【0021】ところで、この傾斜度は固定的なものであ
り、制御信号の値によって変化するものではない。しか
し、スイッチング回路が制御信号の電圧値等とインバー
タ回路の出力ノードの電圧出力信号との比較結果に対応
して容量素子への充放電電流を通電遮断することとした
ことから、容量素子の充電期間が制御信号の電圧値に応
じて変化し、これに伴ってインバータ回路の出力ノード
の電圧出力信号の傾斜部分の長さが制御信号の電圧値に
応じて変化する。
【0022】具体的には、スイッチング回路が通電状態
で容量素子が放電した状態において入力信号が反転する
と、上述の傾斜で容量素子が充電され、さらに容量素子
の発生電圧が上昇してインバータ回路の出力ノードの電
圧出力信号が制御信号の電圧値に達すると、スイッチン
グ回路が遮断状態となり、インバータ回路の出力ノード
の電圧が、容量素子から切り離されて、速やかに入力信
号の反転値に達する。これにより、立ち上がり部分の波
形の下部が傾斜しその上部がこの傾斜部分の期間だけ遅
延した波形が得られる。
【0023】一方、逆向きの遷移については、スイッチ
ング回路が遮断状態で容量素子が制御信号の電圧値にま
で充電された状態において入力信号が反転すると、スイ
ッチング回路が遮断状態のためインバータ回路の出力ノ
ードの電圧が速やかに制御信号の電圧値にまで下がる。
そして、これに応じてスイッチング回路が通電状態とな
り、制御信号の電圧値にまで充電されていた容量素子か
らの放電が行われる。インバータ回路の出力ノードの電
圧が入力信号の反転値に達するまでのこのときの傾斜は
上述の傾斜と逆向きで同様の傾斜度のものとなる。これ
により、立ち下がり部分の波形の下部が傾斜した波形が
得られる。
【0024】電圧出力信号が、遷移部にこのような傾斜
部を有する波形の信号として生成されることから、電圧
出力信号を所定の閾値で二値化するとその立ち上がりタ
イミング又は立ち下がりタイミングが傾斜部分の期間に
応じて遅延した波形が得られる。このことから、この発
明の可変遅延回路は、インバータ回路の出力ノードの電
圧出力信号の傾斜度が固定的なものであっても、その傾
斜部分の時間長を制御信号の電圧値に応じて変化させる
ことができる。そこで、遅延時間を可変制御することが
可能となる。しかも、電圧出力信号の傾斜が急峻で従来
よりも遅延時間を短くすることが可能なことは既述の通
りであるから、従来よりも小さな遅延時間の範囲で可変
制御することが可能である。
【0025】さらに、この構成の可変遅延回路にあって
は、回路規模を大きくする主要因となるオペアンプ等の
回路が不要であるのに対し、新たに設けられたスイッチ
回路は一般に簡易で小規模な回路で済む。そこで、全体
の回路規模も小さなものとなる。したがって、この発明
にあっては、制御可能な遅延時間の最小値が従来よりも
小さくでき回路規模も小さい可変遅延回路を実現するが
できる。
【0026】請求項2記載の発明に係る可変遅延回路に
あっては、さらに容量素子とスイッチング回路とが同一
のMOS−IC内に設けられ、スイッチング回路がスイ
ッチングトランジスタであり、しかも容量素子がゲート
容量で構成される。具体的には、このスイッチングトラ
ンジスタと容量素子とは、その断面構造における深さ方
向の構成がほぼ同一のものである。
【0027】ここで、同一のMOS−IC内に同一の断
面構造で形成されたトランジスタと容量素子において
は、充放電電流に大きく影響するゲート厚さのばらつき
というIC製造プロセス条件の変動に関し、同様の変動
を受けることとこの変動がそれらの特性に及ぼす影響の
特性とから、トランジスタのオン抵抗が大きい方にばら
ついたときには容量素子の容量が小さい方にばらつき、
トランジスタのオン抵抗が小さい方にばらついたときに
は容量素子の容量が大きい方にばらつくという相関関係
が存在する。
【0028】そこで、トランジスタのオン抵抗の大小と
容量素子の充放電電流の大小とはほぼ逆の相関があり、
さらに容量素子の充放電により発生する電圧の傾斜は充
放電電流の大きさと容量素子の容量の大きとの比に対応
して決まることから、IC製造プロセス条件が変動して
も、トランジスタのばらつきと容量素子のばらつきが互
いに相殺しあい、充放電によって容量素子に発生する電
圧のばらつきは、抑制される。
【0029】したがって、この発明の第2の構成の可変
遅延回路にあっては、制御可能な遅延時間の最小値が従
来よりも小さくでき回路規模も小さくでき、しかもIC
化したときのばらつきを小さく抑えることができる。こ
の発明の構成のリング発振回路やPLL回路にあって
は、制御可能な遅延時間の最小値が従来よりも小さくで
き回路規模も小さい可変遅延回路を採用する。ここで、
リング発振回路やPLL回路における制御可能な発振周
波数の上限は、採用した可変遅延回路における遅延時間
の最小値に対応して決まる。
【0030】したがって、この発明では、制御可能な発
振周波数を従来よりも高くでき回路規模も小さい周波数
可変のリング発振回路やPLL回路を実現することが可
能となる。さらに、制御可能な遅延時間の最小値が従来
よりも小さく回路規模も小さくIC化したときのばらつ
きの小さい可変遅延回路を採用することにより、制御可
能な発振周波数を従来よりも高くでき回路規模も小さい
ことに加えてIC化したときにばらつきが小さい周波数
可変のリング発振回路やPLL回路を実現することもで
きる。
【0031】
【実施例】図1にこの発明の可変遅延回路の一実施例を
示す。これは従来例の図9に対応するものであり、波形
整形等によって最終的に二値化されるべき信号をも含め
た広い意味での二値信号Vinを入力信号とし、二値信号
Vinの遷移タイミングに対する遅延時間を可変制御する
ための電圧信号Vcnt を制御信号として受け、入力信号
(Vin)の立ち上がり及び立ち下がりの遷移タイミング
を制御信号(Vcnt)の電圧値に応じた同一時間だけ遅
延させた反転信号を生成しこれを出力信号Vout とする
回路である。
【0032】ここで、100,200は、それぞれ図9
における可変遅延回路10,20に対応する可変遅延回
路である。30は可変遅延回路200の出力信号を反転
するとともに波形整形(二値化)して出力信号Vout を
発生するインバータ回路であり、図9におけるものと同
一でよい。可変遅延回路100は、二値信号Vinを入力
信号とし電圧信号Vcnt を制御信号として受け、入力信
号(Vin)の立ち下がり,又は立ち上がり及び立ち下が
りの遷移タイミングを制御信号(Vcnt )の電圧値に応
じて遅延させた反転信号Va を生成しこれを出力信号と
するものである。立ち下がりのタイミングだけでなく立
ち上がりのタイミングをも遅延させることがある点、さ
らにその構成と性能の点で、従来のものと相違する。
【0033】また、可変遅延回路200は、可変遅延回
路100と同様の構成を有し、可変遅延回路100に従
属接続される。これは、入力信号(Va )の立ち下が
り,又は立ち上がり及び立ち下がりの遷移タイミングを
制御信号(Vcnt )の電圧値に応じて遅延させた反転信
号Vb を生成するが、信号Va が信号Vinの反転信号で
あることから、信号Vb は信号Vinに対してはその立ち
上がり,又は立ち下がり及び立ち上がりを遅延させるこ
ととなる。そこで、信号Vb は、入力信号(Vin)の立
ち上がり及び立ち下がりの遷移タイミングが制御信号
(Vcnt )の電圧値に応じた同一時間だけ遅延させられ
た信号となる。その結果、出力信号Vout は上述のもの
となる。
【0034】可変遅延回路100の構成を説明する。こ
こに、C2は充放電されて電圧信号を発生する容量素子
としてのコンデンサ(図9のC1に対応する)、3は入
力信号(Vin)を受けその反転値に対応した向きの充放
電電流をコンデンサC2に出力するインバータ回路であ
る。インバータ回路3は、従来と同様に信号反転ととも
に入力信号(Vin)の二値化をも行うものであるが、従
来はこれに付加されていた図9における電圧−電流変換
回路1とカレントミラー回路2が取り除かれている。そ
の代わりに、スイッチングトランジスタTr3 が、スイ
ッチング回路として、インバータ回路3の出力ノードと
コンデンサC2との間に挿入接続されている。電圧−電
流変換回路とカレントミラー回路を構成するのには多数
のトランジスタ等が要るのに対しスイッチング回路を構
成するのには単一のトランジスタでも可能であるから、
回路規模が小さくなる。さらに、コンデンサC2への充
電電流が制限を受けることがなくなるから、コンデンサ
C2の充放電を短時間で行うことができる。
【0035】具体的には、インバータ回路3は、ソース
が電源ラインVddに接続されゲートに入力信号(Vin)
を受けるPチャンネルMOSトランジスタTr1 と、ソ
ースが接地ラインVssに接続されドレインがトランジス
タTr1 のドレインに接続されゲートに入力信号(Vi
n)を受けるNチャンネルMOSトランジスタTr2 と
を備え、トランジスタTr1 ,Tr2 のドレインの接続
点を出力ノード(Va )とするCMOS型のインバータ
である。この回路3は、入力信号(Vin)が“H”(ハ
イ)のときには、トランジスタTr1 がオフでトランジ
スタTr2 がオンとなり、出力ノードを接地ラインVss
に導通させて、“L”(ロー)出力状態となる。一方、
入力信号(Vin)が“L”(ロー)のときには、トラン
ジスタTr1 がオンでトランジスタTr2 がオフとな
り、出力ノードを電源ラインVddに導通させて、“H”
(ハイ)出力状態となる。すなわち、インバータ回路3
は、入力信号(Vin)の反転値に対応した向きの充放電
電流となるようにコンデンサC2の充放電を制御する。
なお、インバータ回路3の閾値はVe とする。
【0036】トランジスタTr3 は、ソースがコンデン
サC2の一端に接続されドレインがインバータ回路3の
出力ノード(Va )に接続されゲートに制御信号(Vcn
t )を受けるNチャンネルMOSトランジスタである。
なお、制御信号(Vcnt )が電圧信号であるから、トラ
ンジスタTr3 は制御信号(Vcnt )を直接に受けるこ
とができる。
【0037】このトランジスタTr3 のゲート閾値をV
T とするとトランジスタTr3 がスイッチングする閾値
Vd は(Vcnt −VT )となるから、トランジスタTr
3 は、ドレインの接続されたインバータ回路3の出力ノ
ードの電圧Va が閾値Vd より大きいときにはオフし、
電圧Va が閾値Vd より小さいときにはオンする。これ
により、トランジスタTr3 は、制御信号の電圧値(V
cnt )に応じて決まる閾値とインバータ回路3の出力ノ
ードに発生する電圧Va との比較結果に対応してコンデ
ンサC2への充放電電流を通電遮断するスイッチング回
路として機能する。
【0038】コンデンサC2は、充放電電流の入出力側
となる一端がトランジスタTr3 のソースに接続され、
他端が接地ラインVssに接続されたものである。そこ
で、トランジスタTr3 がオンのときには、インバータ
回路3からのトランジスタTr3 を介する充放電電流に
よって充放電され、この充放電電流に応じた傾斜の立ち
上がり又は立ち下がり部分を有する電圧信号を充放電電
流の入出力側となる一端に発生する容量素子として機能
する。また、トランジスタTr3 がオフのときには、オ
ンからオフしたときの充電状態を保持する。
【0039】このように充放電電流の電流値を制限する
回路が設けられていないので、インバータ3,トランジ
スタTr3 を介する充放電電流によってコンデンサC2
に発生する電圧の傾斜度は変えられないが、その代わり
トランジスタTr3 が制御信号(Vcnt )に応じてスイ
ッチングするので、制御信号(Vcnt )に応じてコンデ
ンサC2の充電状態ひいてはコンデンサC2に発生する
電圧を制御信号(Vcnt )に応じて可変制御することが
できる。
【0040】図1の回路の動作を説明する。先ず、制御
信号(Vcnt )の値を仮にV0(ただし、V0<Ve )
としたときの動作を図2,図4の波形図を参照しつつ説
明する。なお、図2は従来例の説明と同様にインバータ
の遅延を無視したものであるが、図4はインバータ固有
の遅延による波形の傾斜をも含んだものである。また、
簡単のためトランジスタTr3 のゲート閾値VT を無視
し、閾値Vd =電圧V0として説明する。
【0041】この回路は、“H”,“L”の二値を採る
発振信号を入力信号(Vin)として受け(図2,4の
(a)参照)、入力信号(Vin)が“H”となっており
トランジスタTr2がオンでコンデンサC2が完全放電
した状態から始めて(図2の時刻t0’参照)、入力信
号(Vin)が“H”から“L”に遷移して閾値Ve 以下
になると(図2,4の(a)における立ち下がり部分参
照,時刻t1’)、インバータ回路3の出力状態が
“L”から“H”に遷移する。このとき、出力電圧信号
(Va )が閾値Vd =電圧V0以下の間はトランジスタ
Tr3 がオンしており、トランジスタTr1 ,Tr3 を
介してコンデンサC2が充電される。これによってイン
バータ回路3の出力電圧信号(Va )は、コンデンサC
2の容量が従来のコンデンサ(C1)のものと同じであ
れば、従来のものよりは急峻に但しコンデンサC2が遮
断されているときよりは緩やかな傾き(この傾きをfと
おく。)で“L”から“H”に遷移する(図2,4の
(b)における立ち上がり部分の下部参照)。
【0042】そして、コンデンサC2に発生する電圧が
上昇しこれに伴ってインバータ回路3の出力電圧信号
(Va )が閾値Vd =電圧V0に達するとトランジスタ
Tr3がオフする(時刻t2’)。そこで、インバータ
3の出力ノード(Va )がコンデンサ2から遮断され
て、コンデンサC2の充電が停止し、これに対応してイ
ンバータ回路3の出力電圧信号(Va )は、速やかに
“L”から“H”に遷移する(図2,4の(b)におけ
る立ち上がり部分の上部参照)。
【0043】この出力電圧信号(Va )が可変遅延回路
100の出力としてさらに次段の可変遅延回路200に
入力されると可変遅延回路200におけるインバータ回
路によって閾値Ve で二値化される。ここで、インバー
タ回路における遅延を無視すると、インバータ回路3の
出力電圧信号(Va )が閾値Ve に達したときすなわち
時間d3=(Ve /f)だけ遷移開始から遅延した時点
で、可変遅延回路200の出力電圧信号(Vb )が反転
する(図2,4の(c)における立ち下がり部分の上部
参照)。なお、このとき可変遅延回路200ではそのコ
ンデンサが遮断状態にあるので出力電圧信号(Vb )が
速やかに変化する。さらに、電圧信号(Vb )がインバ
ータ30によって反転されて、出力信号Vout が変化す
る(図2,4の(b)の(d)における立ち上がり部分
参照)。これにより、出力信号Vout は、立ち上がり遷
移するタイミングが入力信号(Vin)の立ち下がり遷移
のタイミングに対し時間d3だけ遅延させられたものと
なる。
【0044】これに対し、入力信号(Vin)が“L”か
ら“H”に遷移し閾値Ve 以上になると(図2,4の
(a)における立ち上がり部分参照,時刻t3’)、イ
ンバータ回路3の出力状態が“H”から“L”に遷移す
る。このとき、出力電圧信号(Va )が閾値Vd =電圧
V0以上の間はトランジスタTr3 がオフしており、イ
ンバータ回路3の出力ノード(Va )とコンデンサC2
とが遮断状態にあるので、インバータ回路3の出力電圧
信号(Va )は速やかに“H”から“L”に遷移する
(図2,4の(b)における立ち下がり部分の上部参
照)。そして、インバータ回路3の出力電圧信号(Va
)が閾値Vd =電圧V0に達するとトランジスタTr3
がオンし、これに伴ってインバータ3の出力ノード
(Va )とコンデンサC2が導通して、トランジスタT
r3 ,Tr2を介してコンデンサC2からの放電が行わ
れる。これに対応してインバータ回路3の出力電圧信号
(Va )は、傾斜fで“H”から“L”に遷移する(図
2,4の(b)における立ち下がり部分の下部参照)。
【0045】この出力電圧信号(Va )が可変遅延回路
100の出力としてさらに次段の可変遅延回路200に
入力されると可変遅延回路200におけるインバータ回
路によって閾値Ve で二値化されるが、V0<Ve であ
るから、傾斜部分の存在に関わらず可変遅延回路200
におけるインバータ回路は入力信号(Vin)の遷移,そ
してインバータ回路3の出力電圧信号(Va )の遷移に
対応して速やかに変化する(時刻t3’)。ただし、可
変遅延回路200は可変遅延回路100によって反転さ
れた信号(Va )を入力としているから、再度の説明は
割愛するが上述の可変遅延回路100の動作と同様にし
て、信号(Va )の立ち下がり遷移するタイミングを時
間d3だけ遅延させる(時刻t4’)。これにより、出
力信号Vout は、立ち下がり遷移するタイミングも入力
信号(Vin)の立ち上がり遷移のタイミングに対し時間
d3だけ遅延させられたものとなる。
【0046】次に制御信号(Vcnt )の値を仮に(2×
V0)としたときの動作を説明するが、このときの波形
を示す図3,5の波形(a)〜(d)はそれぞれ図2,
4の波形(a)〜(d)に対応したものである。なお、
(2×V0)>Ve のときを例として説明する。制御信
号(Vcnt )の値がV0のときとの基本的な相違は、閾
値Vd が2倍の(2×V0)になったことに対応して傾
斜部の長さも2倍になり、これに伴って傾斜部に対応し
た遅延時間がd4=((2×V0)/f)=(2×d
3)と2倍になることである。そこで、重複する説明は
割愛する。ただし、その他に(2×V0)>Ve である
ことに伴い、入力信号(Vin)が閾値Ve に達するタイ
ミングと,出力電圧信号(Va )が閾値Vd =電圧(2
×V0)に達するタイミングとが逆転する。
【0047】そこで、可変遅延回路100により入力信
号(Vin)に対し出力電圧信号(Va )は立ち上がりが
(Ve /f)だけ遅延させられ立ち下がりが(((2×
V0)/f)−(Ve /f))だけ遅延させられ、さら
に、可変遅延回路200により電圧信号(Va )に対し
電圧信号(Vb )は立ち上がりが(Ve /f)だけ遅延
させられ立ち下がりが(((2×V0)/f)−(Ve
/f))だけ遅延させられる。これにより、出力信号V
out は、これらの遅延時間の和として、入力信号(Vi
n)に対しその立ち上がり遷移するタイミング及び立ち
下がり遷移のタイミングが時間d4=((2×V0)/
f)=(2×d3)だけ遅延させられたものとなる。
【0048】こうして、制御信号(Vcnt )の値(2×
V0)に対応して時間(2×d3)だけ入力信号(Vi
n)を遅延させた反転信号が、出力信号Vout として得
られる。また、以上の説明から明らかなように、制御信
号(Vcnt )の値を他の任意の値に設定すれば、これに
対応した他の遅延時間だけ入力信号(Vin)を遅延させ
た出力信号Vout を得ることができる。なお、実際の遅
延時間は上述の遅延時間にインバータ回路固有の遅延時
間が重畳したものであるが、既述の通り従来のものより
急峻な傾きfの波形を用いることから従来の可変遅延回
路よりも遅延時間の最小値を小さくすることができる。
特に、傾きfの波形部分を制御信号(Vcnt )に応じて
短縮することから、制御信号(Vcnt )の値を最高値に
設定したときにはインバータ回路固有の遅延時間だけに
よる遅延時間に近いところまで制御することができる。
【0049】なお、この実施例は、信号の立ち上がり遷
移のタイミング及び立ち下がり遷移のタイミング双方を
同じだけ遅延させる回路であるが、これらのタイミング
を同一とする必要がない場合には、可変遅延回路を複数
接続する必要はない。また、可変遅延回路の出力を受け
る後段の回路が入力を所定の閾値で二値化する回路の場
合には波形整形のためのインバータを設ける必要もな
い。そこで、このような場合には、この発明の可変遅延
回路を単独で用いることができる。
【0050】また、この実施例は一例であり、電源ライ
ンVddや接地ラインVssは他の基準電圧ラインであって
もよく、トランジスタTr1 ,Tr2 ,Tr3 はPチャ
ンネル型とNチャンネル型とをそれぞれ入替えた構成も
可能であり、コンデンサC2の他端はさらに他の基準電
圧ラインに接続されていてもよい。この発明の可変遅延
回路の他の実施例について説明する。この可変遅延回路
は、上述の可変遅延回路に対し特にIC化に際し遅延時
間のばらつきを抑制すべく要件を追加したものである。
このために、少なくともコンデンサC2とスイッチング
トランジスタTr3 とは、同一のMOS−IC内に設け
られる。なお、ICの構造に関するこの部分についての
断面模式図を図6に示す。ここで、スイッチングトラン
ジスタTr3 は,ドレイン102がインバータ回路3の
出力ノード(Va )に接続され,ソース103がコンデ
ンサC2の一端(105)に接続され,ゲート101が
制御信号(Vcnt )を受けるものである。コンデンサC
2は,断面構造における深さ方向の構成がスイッチング
トランジスタTr3 のゲート101及びチャンネル部分
104の断面構造におけるものとほぼ同一であり,断面
構造上ゲートに対応する部位105がトランジスタTr
3 のソース103に接続される一端であって充放電電流
の入出力側端子となるものである。なお、コンデンサC
2の他端となるバックゲート部位106等は通常接地ラ
インVssに接続される。
【0051】このように形成されてIC化された可変遅
延回路にあっては、ICの製造プロセス条件等の変動に
よりトランジスタのゲート酸化膜の厚さが変動すると、
これに対応してコンデンサの容量も変動する。ここで、
MOSトランジスタTr3 のドレイン,ソース,ゲート
に与えられる電圧が一定とすると、トランジスタTr3
のオン抵抗はゲート酸化膜の厚さに支配される。具体的
には、ゲート酸化膜の厚さが薄いとトランジスタTr3
のオン抵抗は小さくなり、ゲート酸化膜の厚さが厚いと
トランジスタTr3 のオン抵抗は大きくなる。一方、コ
ンデンサC2の容量は、やはりゲート酸化膜の厚さに支
配されるが、この厚さが薄いと容量は大きくなり、この
厚さが厚いと容量は小さくなる。また、トランジスタT
r3 を介してコンデンサC2が充放電されることから、
両者の変動特性は互いに相殺しあう方向に働く。
【0052】したがって、IC製造プロセス条件が変動
しても、トランジスタTr3 とコンデンサC2の変動が
互いに相殺しあって、充放電によってコンデンサC2に
発生する電圧の傾斜度fのばらつきは、抑制される。そ
の結果、この可変遅延回路にあっては、制御可能な遅延
時間のばらつきを少なく抑えることができる。なお、こ
の説明から明らかなように、さらにばらつきを少なくす
るためには、トランジスタTr3 ばかりでなくトランジ
スタTr1,Tr2 の構造もコンデンサC2に対応したも
のとすることが望ましい。さらに、コンデンサC2の辺
縁部にトランジスタのソース又はドレイン相当領域を設
けてこれをコンデンサC2の他端とし、これを接地ライ
ンVss等の基準電圧ラインに接続するのも良い。
【0053】図7に、この発明のリング発振回路の一実
施例を示す。ここに、100,200,300,40
0,500は、それぞれ上述の可変遅延回路100と同
一のものである。これらは、可変遅延回路100が可変
遅延回路500の出力を入力とし可変遅延回路200が
可変遅延回路100の出力を入力とする等、互いの入出
力が順に接続されてリング状をなし、いわゆる5段リン
グオシレータを構成する。また、これらは、この発振回
路における発振周波数を可変制御するための電圧信号V
cnt を制御信号として受ける。なお、インバータ30
は、この発振回路の発生した発振信号(例えば発振可変
遅延回路500の出力)を波形整形して出力信号Vout
とするものであり、波形整形等の必要があるときだけ設
けられるものである。
【0054】リング発振回路の一般的な動作説明は割愛
するが、この例では電圧信号Vcntに応じて各可変遅延
回路100乃至500がそれぞれ1〜2nsの範囲で信
号を遅延させると、可変遅延回路全体での信号遅延が5
〜10nsの範囲で制御され、これが発振信号の半周期
に対応することから、この周波数可変のリング発振回路
における発振周波数は制御信号(Vcnt )に応じて10
0〜50MHzの範囲で可変制御される。上述のように
可変遅延回路100〜500における可変制御可能な遅
延時間の最小値が小さいことから、このようにこのリン
グ発振回路における可変制御可能な発振周波数の最高値
を高くすることができる。また、可変遅延回路における
遅延時間のばらつきが小さいことからこのリング発振回
路における発振周波数のばらつきも小さくなる他、回路
規模が小さくなるという特徴も引き継いでいる。
【0055】なお、この実施例は5段リングオシレータ
であるが、5段に限られるものではなく、可変制御した
い周波数領域に応じて3段や7段等であってもよい。ま
た、リング発振回路に含まれる可変遅延回路の全てが上
述のこの発明の可変遅延回路である必要もなく、そのう
ちの1以上の回路がこの発明の可変遅延回路であっても
よい。この場合は、最高の効果は得られないにしてもそ
の個数に応じた程度の効果を得ることができる。特に、
デューティ50%の発振信号を得たい場合は、この発明
の可変遅延回路の個数を偶数個とし残りを例えばインバ
ータとすればよい。信号の立ち下がり遷移に対する遅延
と立ち上がり遷移に対する遅延とが一致して所望の発振
信号が得られるからである。
【0056】図8に、この発明のPLL回路の一実施例
を示す。ここに、610は、周波数制御の目標とされる
例えば100MHzの発振信号Aと、帰還された発振信
号Bを入力し、信号Aと信号Bとの位相を比較してその
比較結果に応じた値等の信号、例えば位相ずれの程度に
対応したパルス幅を有する信号等を発生する位相比較回
路である。620は、位相比較回路610の出力信号を
フィルタリングすることにより電圧信号を発生するフィ
ルタ回路であり、通常はローパスフィルタである。63
0は、電圧制御発振回路であるが、具体的には上述のこ
の発明のリング発振回路であり、フィルタ回路620の
出力電圧信号を制御信号として受け、これに応じて発振
周波数が制御される。なお、発振信号Aは外部回路から
送られてくる例えば100MHzの発振信号であり、電
圧制御発振回路630の発生する発振信号Bは出力信号
とされるとともに位相比較回路610に帰還される。
【0057】PLL回路の動作については、その詳細な
説明は割愛するが、この例では電圧制御発振回路630
の発生する発振信号Bが100MHzから少しでも変動
してその位相が変化すると、発振信号Aと発振信号Bと
の位相がずれ、このことが位相比較回路610によって
検出される。そして、この検出結果がフィルタ620で
フィルタリングされ電圧信号とされて電圧制御発振回路
630の制御信号とされ、さらにこの制御信号に応じて
電圧制御発振回路630の発振周波数が位相ずれを打ち
消すように加減される。そこで、発振信号Bは発振信号
Aに対し周波数及び位相が追従する100MHzの発振
信号となる。また、例えば信号Bの帰還ラインに例えば
(1/2)分周器を挿入すれば、発振信号Bは発振信号
Aに周波数及び位相が追従する200MHzの発振信号
となる。
【0058】上述のようにこの発明のリング発振回路に
おける可変制御可能な発振周波数の最高値が高いことか
ら、このようにこのPLL回路の制御可能な発振周波数
を高くすることができる。また、このPLL回路は、回
路規模が小さいこと、発振周波数のばらつきが小さくな
ること等の特徴も引き継いでいる。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
係る可変遅延回路にあっては、インバータ回路の出力ノ
ードに容量素子を接続した可変遅延回路において、イン
バータ回路の出力ノードと容量素子との間に制御信号の
電圧値に応じてスイッチングのタイミングが変わるスイ
ッチング回路(スイッチングトランジスタ)が接続され
る。そこで、容量素子の充電電流を制限するために従来
は必要とされた電圧−電流変換回路やカレントミラー回
路が不要となる。
【0060】したがって、制御可能な遅延時間の最小値
が従来よりも小さくでき回路規模も小さい可変遅延回路
を実現することができる。また、請求項2の発明に係る
可変遅延回路にあっては、第1の構成のものにさらに要
件が付加され、容量素子とスイッチング回路とが同一の
MOS−IC内に設けられ、スイッチング回路がスイッ
チングトランジスタであり、しかもこのスイッチングト
ランジスタと容量素子とは、その断面構造における深さ
方向の構成がほぼ同一のものとされる。
【0061】これにより、制御可能な遅延時間の最小値
が従来よりも小さくでき回路規模も小さくでき、しかも
IC化したときのばらつきを小さく抑えることができる
という効果が得られる。この発明の構成のリング発振回
路やPLL回路にあっては、発振回路における可変遅延
回路としてこの発明の可変遅延回路が採用される。
【0062】したがって、制御可能な発振周波数を従来
よりも高くでき回路規模も小さいリング発振回路やPL
L回路を実現することができ、さらに、制御可能な発振
周波数を従来よりも高くでき回路規模も小さいことに加
えてIC化したときにばらつきが小さいリング発振回路
やPLL回路を実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の可変遅延回路の一実施例で
ある。
【図2】図2は、図1の回路における信号の波形図であ
る。
【図3】図3は、図1の回路における信号の波形図であ
る。
【図4】図4は、図2に対応する波形図であってインバ
ータ回路による遅延をも考慮したものである。
【図5】図5は、図3に対応する波形図であってインバ
ータ回路による遅延をも考慮したものである。
【図6】図6は、図1の回路をIC化したときの実施例
についての要部の断面模式図である。
【図7】図7は、この発明の可変周波数発振回路の一実
施例である。
【図8】図8は、この発明のPLL回路の一実施例であ
る。
【図9】図9は、従来の可変遅延回路の例である。
【図10】図10は、図9の回路における信号の波形図
である。
【図11】図11は、図9の回路における信号の波形図
である。
【符号の説明】
C1 コンデンサ 1 電圧−電流変換回路 2 カレントミラー回路 3 インバータ回路 10,20 可変遅延回路 30 インバータ回路 C2 コンデンサ Tr3 スイッチング回路としてのトランジスタ 100 可変遅延回路 101 ゲート 102 ドレイン 103 ソース 104 チャンネル 105 ゲート対応部 106 チャンネル対応部 107 酸化膜 200 可変遅延回路 300,400,500 可変遅延回路 610 位相比較回路 620 ローパスフィルタ 630 電圧制御発振回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H03L 7/099

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二値信号を入力とするインバータ回路
    と、前記インバータ回路の出力ノード側に接続された遅
    延時間を設定する容量素子とを備え、遅延時間を可変制
    御するための電圧制御信号によって前記容量素子の充放
    電を制御するようにした可変遅延回路において、 前記インバータ回路に入力信号を供給すると共に、前記
    インバータ回路の出力ノード及び前記容量素子との間に
    前記制御信号に応じて前記容量素子に対する充放電電流
    の通電時間を制御するスイッチング回路を介挿したこと
    を特徴とする可変遅延回路。
  2. 【請求項2】 前記スイッチング回路をMOSトランジ
    スタで構成すると共に、前記容量素子をMOSトランジ
    スタと同一半導体基板に形成したゲート容量で構成する
    ようにしたことを特徴とする請求項1記載の可変遅延回
    路。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の可変遅延回路を複
    数段リング状に接続して構成されたリング発振回路。
  4. 【請求項4】 基準信号と帰還信号との位相差に応じた
    信号を出力する位相比較回路と、前記位相比較回路の出
    力側に接続されたフィルタ回路と、前記フィルタ回路の
    出力側に接続され且つ出力信号を前記位相比較回路に帰
    還信号として供給する請求項3記載のリング発振回路で
    構成される電圧制御発振回路とを備えたことを特徴とす
    るPLL回路。
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