JP2008034659A - 窒化物半導体 - Google Patents
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Abstract
【課題】Alを含む窒化物半導体層を結晶成長させる場合に、700℃以下の低温で成長させることができる窒化物半導体を提供する。
【解決手段】窒化物半導体結晶2は、SiC基板1の非極性面又は半極性面上に、結晶成長させる。窒化物半導体結晶2は、MOCVD法等によって形成され、その成長表面が非極性面又は半極性面で成長する。窒化物半導体結晶2中のAlを含む窒化物半導体層のAl材料には、TIBAl、TMAAl、EDMAAl、DMAlHのいずれか1つを用いる。
【選択図】 図1
【解決手段】窒化物半導体結晶2は、SiC基板1の非極性面又は半極性面上に、結晶成長させる。窒化物半導体結晶2は、MOCVD法等によって形成され、その成長表面が非極性面又は半極性面で成長する。窒化物半導体結晶2中のAlを含む窒化物半導体層のAl材料には、TIBAl、TMAAl、EDMAAl、DMAlHのいずれか1つを用いる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、Alを含む窒化物半導体層を有する窒化物半導体に関する。
青色、又は紫色の光を発する半導体レーザ素子、発光ダイオード等の半導体発光素子、パワーデバイスや高周波HEMT等の半導体電子デバイスとして、GaN、AlGaN、InGaN、InGaAlN、GaPNなどの窒素を含む六方晶化合物半導体が用いられており、中でもIII−V族窒化物半導体が利用されている。上記III−V族窒化物半導体(以下、単に窒化物半導体という)は、4元混晶系のAlxGayInzN(x+y+z=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1)で表される。
窒化物半導体の積層構造としては、活性層をp型窒化物半導体層とn型窒化物半導体層とで挟み込んだダブルへテロ結合構造やp型窒化物半導体層とn型窒化物半導体層とを直接接合したpn接合の構造が知られており、このような構造の窒化物半導体は、MOCVD法(有機金属化学気相成長法)等により製造される。
p型窒化物半導体層及びn型窒化物半導体層には、AlGaNや、AlN、AlInN、AlInGaNなどの半導体層が形成される場合があり、このようにAlを含む窒化物を成膜する場合には、Al材料として、通常トリメチルアルミニウム(TMA)が用いられている。TMAを使用する場合、Alとメチル基の結合を完全に分離させるためには、1000℃以上の高温を必要とする。したがって、低温で結晶成長させた場合には、Alとメチル基の結合が完全に分離せず、Alを含む窒化物に多量の炭素が混入して(1〜10%)、本来の特性がなくなってしまうので、Alを含む窒化物半導体層の作製には、成長温度を1000℃以上に設定していた。
特開平11−177179号公報
上記従来技術のように、Al材料としてトリメチルアルミニウム(TMA)を用い、Alを含む窒化物を1000℃以上の成長温度で成長させると、以下のような問題が発生する。窒化物の窒素(N)原料としてアンモニア(NH3)が用いられるが、成長温度1000℃以上の高温下でNH3とTMAとが混じると、気相反応が著しく激しくなり、気相反応の制御が困難になる。
一方、半導体結晶へのInの取り込みは、成長温度が低くなる程良くなるので、窒化物半導体層として用いられるAlxGayInzN(x+y+z=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1)のうち、In成分が含まれるAlN化合物半導体、例えば、AlInGaN、AlInN等の場合には、1000℃以上の高温度で結晶成長させると、Inの取り込みが悪くなり、In組成比率の高い窒化物半導体層を作製することができない。
他方、例えば700℃以下の低温度で成長させると、TMAにおけるAlとメチル基の分離が不十分となり、前述したように半導体結晶への不純物炭素(C)の取り込み量が増え、半導体結晶中に転位や非発光再結合中心が多く形成されるという問題があった。
本発明は、上述した課題を解決するために創案されたものであり、Alを含む窒化物半導体層を結晶成長させる場合に、700℃以下の低温で成長させることができる窒化物半導体を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、Alを含む窒化物半導体層を有する窒化物半導体において、前記Alを含む窒化物半導体層のAl材料には、TIBAl(トリイソブチルアルミ)、EDMAAl(エチルジメチルアミンアラン)、TMAAl(トリメチルアミンアラン)、DMAlH(ジメチルアルミニウムハイドライド)のいずれかを用い、700℃以下の温度で結晶成長が行われ、結晶成長表面が非極性面又は半極性面により形成されていることを特徴とする窒化物半導体である。
また、請求項2記載の発明は、前記非極性面はm面又はa面で構成され、前記半極性面は(10−1−1)面、(10−1−3)面、(11−22)面のいずれかで構成されていることを特徴とする請求項1記載の窒化物半導体である。
また、請求項3記載の発明は、前記Alを含む窒化物半導体層におけるGa材料としてTMGa、TEGa、TPGa、EDMAGaH3のいずれかを用いることを特徴とする請求項1〜請求項2のいずれか1項に記載の窒化物半導体である。
また、請求項4記載の発明は、前記Alを含む窒化物半導体層は、AlInNで構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の窒化物半導体である。
また、請求項5記載の発明は、In材料としてTMInを使用することを特徴とする請求項4記載の窒化物半導体である。
また、請求項6記載の発明は、N材料がアンモニア又はヒドラジン有機化合物であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の窒化物半導体である。
本発明によれば、Alを含む窒化物半導体層のAl材料としてTIBAl(トリイソブチルアルミ)、EDMAAl(エチルジメチルアミンアラン)、TMAAl(トリメチルアミンアラン)、DMAlH(ジメチルアルミニウムハイドライド)のいずれかを用いているので、Alを含む窒化物半導体層を700℃以下の低温で結晶成長させることができる。したがって、窒素原料として用いられるアンモニアとの気相反応を抑えることができる。また、半導体結晶中への不純物炭素の取り込みがほとんどなくなるので、転位や非発光再結合中心の生成を減少させることができる。
また、InとAlを含む窒化物半導体層を形成する場合でも、半導体結晶中へのInの取り込み効率を上げることができる。なお、結晶成長表面が非極性面又は半極性面により形成されているので、GaNのN(窒素)極性面やGa極性面で形成されている場合と比較して、自発分極やピエゾ分極により発生する電界の影響を小さくすることができる。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1は本発明の窒化物半導体の概略構成を示す。窒化物半導体は、SiC基板1上に窒化物半導体結晶2をエピタキシャル成長させた構造となっている。SiCの種類には、その結晶構造によって、立方晶、六方晶、菱面体晶などがあるが、SiC基板1には、六方晶(頭文字の表記はH)の結晶構造を有するものを用いる。例えば、4H−SiC基板、6H−SiC基板等を用いる。
図3は、六方晶系の結晶構造の模式図を示す。六方晶系の結晶構造は、ウルツ鉱型の結晶構造とも言われ、図3に示す結晶の面や方位はいわゆるミラー指数で表され、例えば、c面は(0001)、c軸は<0001>、a軸は<11−20>、m軸は<1−100>と表示する。なお、物理学上の慣用の約束として、(hklm)はある特定面を指すのではなく、その結晶が持つ空間群において(hklm)と等価な面全体を表す。同じく<hklm>は、ある特定軸方向と等価な軸方向全体を表す。
窒化物半導体結晶2は、SiC基板1のSi(珪素)極性面やC(炭素)極性面ではなく、非極性面(ノンポーラ)であるm面(10−10)上に、MOCVD法等によって形成され、その成長表面がm面で成長する。したがって、窒化物半導体結晶2の成長面は、Ga極性面やN(窒素)極性面ではなく、非極性面となる。
図1では窒化物半導体結晶2の成長表面がm面となる構成を例示したが、図2に示すように、窒化物半導体結晶2の成長表面が非極性面であるa面となるように構成することもできる。成長用基板としてのサファイア基板11のr面上に窒化物半導体結晶2を結晶成長させれば、その成長表面はa面となる。
また、窒化物半導体結晶2の成長表面が半極性面(セミポーラ)になるように構成することもできる。半極性面とは、(10−1−1)面、(10−1−3)面、(11−22)面のいずれかの面である。これら半極性面のうち、例えば(10−1−1)面を図3に示す。図2のサファイア基板11のr面の代わりにm面を用い、このm面上に窒化物半導体結晶2を結晶成長させると、窒化物半導体結晶2の成長表面は半極性面となる。
例えば、SiC基板のc面上に窒化物半導体結晶を成長させた場合には、窒化物半導体結晶はc軸又は−c軸配向となり、GaN系半導体層のGaN/AlGaNヘテロ結合界面等では、±c軸方向に対称性がなく、±c面成長のエピタキシャル膜には表裏が生じるというウルツ鉱構造のため、上記界面における自発分極と応力に起因するピエゾ分極が起こり、分極電荷が発生し、ヘテロ結合界面に電界が発生する。しかし、図1、2のように結晶成長させることで、上述したように窒化物半導体結晶の成長表面が、非極性面又は半極性面となるので、自発分極やピエゾ分極における電界の影響を低減できる。
SiC基板1の非極性面や半極性面を用い、その上に窒化物半導体結晶2をエピタキシャル成長させた窒化物半導体によって構成された窒化物半導体発光素子の一例を図5に示す。
図5は、レーザ素子構造の例を示すものである。SiC基板1上にMOCVD法により各層を作製する。SiC基板1は、窒素ドープのn型SiC基板を用いて導電性の基板とすれば、基板裏面に電極を形成できる。SiC基板1上に、例えば、n型バッファ層32はSiをドープしたAlN又はAlGaNを200Å、続いてn型GaNを3μm成長させる。
n型クラッド層33はSiをドープしたAlGaNを1μm、n型光ガイド層34はSiをドープしたGaNを0.1μm成長させ、MQW活性層35は、GaNからなる障壁層と、In0.2Ga0.8Nからなる井戸層との多重量子井戸構造とし、p型電子バリア層36はMgをドープしたAl0.2Ga0.8Nを0.1μm、p型光ガイド層37はMgをドープしたGaNを0.1μm、p型クラッド層38はMgをドープしたAlGaNを0.5μm、p型GaNコンタクト層39を成長させる。その後、p型コンタクト層39にはPd/Auからなるp電極40、SiC基板1の裏面にはAl/Auからなるn電極31が形成される。
活性層にはInY1Ga1−Y1N(0≦Y1≦1)、クラッド層にはAlY2Ga1−Y2N(0≦Y2≦1)を用いたが、前述したようにIII−V族窒化物半導体として、4元混晶系のAlxGayInzN(x+y+z=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1)を用いることができる。ここで、n型バッファ層32〜p型コンタクト層39までが、図1、2の窒化物半導体結晶2に相当する。また、n型バッファ層32〜n型光ガイド層34までがn型窒化物半導体層に、p型電子ブロック層36〜p型コンタクト層39までがp型窒化物半導体層に相当する。
図5の窒化物半導体発光素子では、SiC基板1の表面を非極性面であるm面とすれば、その後の窒化物半導体層は、SiC基板1の表面の面方位が引き継がれて、すべて成長表面がm面となる。
図5の窒化物半導体発光素子は、以下のように形成される。特に重要なのは、Alを含む窒化物半導体層のAl材料としてTIBAl(トリイソブチルアルミ)、EDMAAl(エチルジメチルアミンアラン)、TMAAl(トリメチルアミンアラン)、DMAlH(ジメチルアルミニウムハイドライド)のいずれかを用いることである。
また、図5の窒化物半導体発光素子製造時の成長温度の変化を図6に示す。図6の成長温度変化曲線の上部に記載されているのは、図5の各層の番号を表す。例えば、最初に成長温度700℃以下でn型バッファ層32とn型クラッド層33を、次に1050℃でn型光ガイド層34を、750℃ではMQW活性層35を、700℃以下でp型電子ブロック層36を、再び1050℃ではp型光ガイド層37を、次に700℃以下でp型クラッド層38を、1050℃でp型コンタクト層39を成長させることを表している。
最初に、六方晶の結晶構造を有する4H−SiC、6H−SiC等からなる基板1をMOCVD装置内に搬送する。次に基板温度を700℃に上げて、圧力を10〜50KPa(望ましくは20〜40KPa)にした後、Al材料として、例えばTIBAl(トリイソブチルアルミ)を10μモル/分、N材料としてアンモニア(NH3)を20L/分、n型ドーパントガスとして水素ベース50ppmのシラン(SiH4)を10cc/分、キャリア水素(H2)を20L/分それぞれ流して、n型AlNバッファ層32を例えば200Å堆積する。ここで、アンモニアとTMA等の有機金属とのモル比は、装置によっても異なるが、およそ100〜10000(望ましくは300〜1000)の範囲で設定される。また、アンモニアの流量についても、装置によるが、通常1〜100slmの範囲に設定される。
また、n型バッファ層32としてn型AlGaNとする場合は、トリイソブチルアルミ(TIBAl)に加えて、トリメチルガリウム(TMGa)を加えるようにする。
ここで、Al材料として用いたトリイソブチルアルミ(TIBAl)の化学構造式を図4(a)に示す。TIBAlは、Al(isoC4H9)3と表されるが、図4(a)では構造をわかりやすくするために、H(水素)を省略して記載している。TIBAlは、Alとイソブチル基との結合が弱く、150℃程度以上でAlとイソブチル基との分離が発生することが知られており、成長温度700℃以下の低温での成長が可能となる。また、TIBAlが熱分解したときの分離生成物は、Alとイソブタン又はイソブテンになって、イソブタンやイソブテンの分子構造は大きいので半導体結晶中への取り込みはほとんどなく、不純物である炭素(C)の取り込みを抑制することができる。したがって、半導体結晶中における転位や非発光再結合中心の生成が防止される。
上記のように、Alと結合している他の化合物との結合が弱く、低温度で分離するものとして、図4(b)〜(d)が挙げられる。図4(b)は、トリメチルアミンアラン(TMAAl)の化学構造式を示す。TMAAlは、AlH3とトリメチルアミン基との結合が弱く、約110℃以上で分離する特性がある。図4(c)は、エチルジメチルアミンアラン(EDMAAl)の化学構造式を示す。EDMAAlも、AlH3とエチルジメチルアミン基との結合が弱く、約90℃以上で分離する特性がある。図4(d)は、ジメチルアルミニウムハイドライド(DMAlH)の化学構造式を示す。DMAlHも、Alとメチル基及び水素との結合が弱く、約300℃以上で分離する特性がある。通常有機の直鎖が長く、一番端に金属が結合していると分解温度が下がる。
したがって、n型、i型、p型にかかわらずAlを含む窒化物半導体層を700℃以下で結晶成長させる場合には、図4(a)〜図4(d)のいずれかの材料を用いることができる。また、図4(b)〜図4(d)で分離生成されるトリメチルアミン基、エチルジメチルアミン基なども、図4(a)の場合と同様、分子構造が大きいので、半導体結晶中への取り込みはほとんどなく、不純物である炭素(C)の取り込みを抑制することができる。
なお、以下の製造方法の説明にはAl材料の代表としてTIBAlを用いて記載しているが、他の3種類の材料に置き換えることができる。
n型バッファ層32成長後、成長温度を700℃に維持したまま、例えば、トリイソブチルアルミ(TIBAl)の流量を2μモル/分にし、さらにトリメチルガリウム(TMGa)を20μモル/分、追加して供給し、n型AlGaNクラッド層33を成長させる。次に、TIBAlの供給のみ停止して、成長温度を1050℃に上げてn型GaN光ガイド層34を積層する。
TMGaとシランの供給を停止し、アンモニアと窒素の混合雰囲気中で基板温度を750℃まで下げて、トリメチルインジウム(TMIn)を200μモル/分、トリエチルガリウム(TEGa)を20μモル/分供給して、MQW活性層35のInGaN井戸層を積層し、TMInの供給のみを停止してアンドープGaNからなる障壁層を積層する。そして、GaN障壁層とInGaN井戸層との繰り返しにより多重量子井戸構造とする。
MQW活性層35成長後、p型AlGaN電子ブロック層36を成長させるために、成長温度を700℃に下げて、Ga原子の原料ガスであるトリメチルガリウム(TMGa)、窒素原子の原料ガスであるアンモニア(NH3)、Al原子の原料ガスであるトリイソブチルアルミ(TIBAl)を供給するとともに、p型ドーパントガスとしてCP2Mg(ビスシクロペンタジエチルマグネシウム)を加える。
キャリアガスの水素又は窒素とともにTIBAl、TMGa、NH3をn型AlGaNクラッド層33と同流量流し、p型AlGaN電子ブロック層36を積層する。その後、成長温度を1050℃に上げて、TMGa、NH3をn型GaN光ガイド層34のときと同流量で流し、p型GaN光ガイド層37を積層する。
次に、基板温度を700℃に下げて、TIBAlを加え、TIBAlとTMGaをn型AlGaNクラッド層33のときと同流量で流し、p型AlGaNクラッド層38を積層する。その後は、基板温度を1050℃に上げて、TIBAlのみ供給を停止して、TMGaの流量等をp型GaN光ガイド層37のときと同じ条件にしてp型GaNコンタクト層39を形成する。なお、上記実施例では、Alを含む窒化物半導体層の成長温度については700℃としたが、700℃以下の低温度としても良い。
最後に、SiC基板1の裏面にAl/Au等からなるn電極31を、p型コンタクト層39の上にPd/Au等からなるp電極40を蒸着又はスパッタにより形成し、p電極40側をアニール処理してオーミック接触をとれば、図5の窒化物半導体発光素子が完成する。
また、図5のレーザ構造についての製造方法についての上記説明は、一例を示したものであり、各半導体層の製造については、キャリアガスの水素又は窒素とともに、トリエチルガリウム(TEGa)、トリメチルガリウム(TMGa)、アンモニア(NH3)、図4に示すトリイソブチルアルミ(TIBAl)、トリメチルアミンアラン(TMAAl)、エチルジメチルアミンアラン(EDMAAl)、ジメチルアルミニウムハイドライド(DMAlH)のいずれか1つと、トリメチルインジウム(TMIn)などの各半導体層の成分に対応する反応ガス、n型にする場合のドーパントガスとしてのシラン(SiH4)、p型にする場合のドーパントガスとしてのCP2Mg(ビスシクロペンタジエチルマグネシウム)等の必要なガスを供給して、1100℃以下の範囲で、各半導体層を成長させることにより、所望の組成で、所望の導電型の半導体層を、必要な厚さに形成することができる。
ところで、Alを含む窒化物半導体層でAlGaN、AlInGaN等、Ga原子を必要とする窒化物半導体結晶の成長には、上記のようにGa原子の原料であるトリメチルガリウム(TMGa)以外に、トリエチルガリウム(TEGa)、トリプロピルガリウム(TPGa)、トリメチルアミンガラン(EDMAGaH3)を用いても良い。Alを含む窒化物半導体層は、図6に示すように、すべて700℃以下で成長させることになるので、低温でも分解しやすい材料を用いる必要があるが、分子構造が大きい材料程、低温で分解しやすい。したがって、Ga原子の材料として望ましい使用順位は、EDMAGaH3、TPGa、TEGa、TMGaの順となる。
同様に、AlN、AlGaN、AlInN等、N原子を必要とするAlを含む窒化物半導体層の成長には、上記のようにN原子の原料であるアンモニア(NH3)以外に、ジメチルヒドラジン((CH3)2NNH2)等のようにヒドラジン有機化合物を用いても良い。このヒドラジン有機化合物は低温でアンモニアよりも分解しやすい性質を持っているために、Alを含む窒化物半導体層を成長させる場合、N原子の材料として望ましい使用順位は、ヒドラジン有機化合物、アンモニアの順となる。
また、p型コンタクト層39としてp型GaNの代わりにp型AlInNを用いても良い。この場合、窒素原子の原料としてアンモニア(NH3)、In原子の原料としてトリメチルインジウム(TMIn)、Al原子の原料として図4(a)〜(d)に示すTIBAl、TMAAl、EDMAAl、DMAlHのいずれか1つを用い、p型ドーパント材料としてCP2Mgを加えて成長させる。この場合、p型GaNと異なり、Al原子材料として低温で分解する上記のようなAl化合物を用いて、700℃以下の温度で成長させる。
1 SiC基板
2 窒化物半導体結晶
2 窒化物半導体結晶
Claims (6)
- Alを含む窒化物半導体層を有する窒化物半導体において、
前記Alを含む窒化物半導体層のAl材料には、TIBAl(トリイソブチルアルミ)、EDMAAl(エチルジメチルアミンアラン)、TMAAl(トリメチルアミンアラン)、DMAlH(ジメチルアルミニウムハイドライド)のいずれかを用い、700℃以下の温度で結晶成長が行われ、結晶成長表面が非極性面又は半極性面により形成されていることを特徴とする窒化物半導体。 - 前記非極性面はm面又はa面で構成され、前記半極性面は(10−1−1)面、(10−1−3)面、(11−22)面のいずれかで構成されていることを特徴とする請求項1記載の窒化物半導体。
- 前記Alを含む窒化物半導体層におけるGa材料としてTMGa、TEGa、TPGa、EDMAGaH3のいずれかを用いることを特徴とする請求項1〜請求項2のいずれか1項に記載の窒化物半導体。
- 前記Alを含む窒化物半導体層は、AlInNで構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の窒化物半導体。
- In材料としてTMInを使用することを特徴とする請求項4記載の窒化物半導体。
- N材料がアンモニア又はヒドラジン有機化合物であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の窒化物半導体。
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