JP2008034292A - 密閉型鉛蓄電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】フィルタの目詰まりを防止して排気効率の低下を抑制し得る密閉型鉛蓄電池の提供。
【解決手段】極板群を収納して左右に並設された複数のセルを有する電槽体と、側壁を有して電槽体を上方から被覆する蓋体とが設けられ、蓋体は中蓋と中蓋の開放部を上方から覆う上蓋8とを有し、蓋体に、セル毎に対応する位置にセル内で発生したガス10をセルから排出する排気孔が形成され、排気孔から蓋体に設けた排気口へ向けてガスを案内する案内路が設けられ、案内路の途中に、各排気孔からのガスを集める排気室20、26が設けられるとともに排気室にはフィルタ21,22が配置され、各排気孔からのガスはフィルタの下方から上方へ向けて流れるよう構成されており、排気室におけるフィルタより上部が排気口に連通されている構成の密閉型鉛蓄電池。
【選択図】図3
【解決手段】極板群を収納して左右に並設された複数のセルを有する電槽体と、側壁を有して電槽体を上方から被覆する蓋体とが設けられ、蓋体は中蓋と中蓋の開放部を上方から覆う上蓋8とを有し、蓋体に、セル毎に対応する位置にセル内で発生したガス10をセルから排出する排気孔が形成され、排気孔から蓋体に設けた排気口へ向けてガスを案内する案内路が設けられ、案内路の途中に、各排気孔からのガスを集める排気室20、26が設けられるとともに排気室にはフィルタ21,22が配置され、各排気孔からのガスはフィルタの下方から上方へ向けて流れるよう構成されており、排気室におけるフィルタより上部が排気口に連通されている構成の密閉型鉛蓄電池。
【選択図】図3
Description
本発明は、密閉型鉛蓄電池に関し、特にその蓋体の構造に関する。
一般に、密閉型鉛蓄電池を車両に搭載する場合、セルから発生するガスへの引火を防ぐためには、ガスを拡散させない一括排気構造とすることが有効である。このような一括排気構造としたものとして、特許文献1に示すものがある。
また図8および9に示すような一括排気構造としたものがある。これは、電槽体4に上方から重ねられる中蓋7と、中蓋7を上方から覆う上蓋8とを有して、ガス10は、中蓋7と上蓋8との間に設けた排気室(共通空間)9に集合し、フィルタ(防爆フィルタ)19、排気路30を順に通過して排気口12から外部に排出されるよう構成されている。
実開昭57−107271号公報
図8、9で示す従来例の場合、ガス10は排気室9のフィルタ19を、重力と同一方向に流れるようにして通過する構成となっている。このため、ガス10が水分を含んでいると、そのガス10の通過により、フィルタ19上に液滴が溜まり続けてしまい、フィルタ19が目詰まりをおこし易く、排気効率を低下させてしまうという課題があった。
そこで、本発明は上記課題に鑑み、フィルタの目詰まりを防止して排気効率の低下を抑制し得る密閉型鉛蓄電池の提供を課題とする。
本発明の密閉型鉛蓄電池は、複数枚の電極板からなる極板群を収納して左右に並設された複数のセルを有する電槽体と、側壁を有して電槽体を上方から被覆する蓋体とが設けられ、蓋体は中蓋と中蓋の開放部を上方から覆う上蓋とを有し、蓋体に、セル毎に対応する位置にセル内で発生したガスをセルから排出する排気孔が形成され、排気孔から蓋体に設けた排気口へ向けてガスを案内する案内路が設けられ、案内路の途中に、各排気孔からのガスを集める排気室が設けられるとともに排気室にはフィルタが配置され、各排気孔からのガスはフィルタの下方から上方へ向けて流れるよう構成されており、排気室におけるフィルタより上部が排気口に連通されていることを特徴としている。
上記構成において、セルから発生したガスが、案内路を通り排気室へ至るときフィルタをその下方から上方に向かって通過し、その際に水分がフィルタによって除去され、ガスは排気室から案内路を通過して排気口から排気されるようになり、フィルタに付着した水分は重力によって下方へ落下するから、フィルタの目詰まりが生じにくく、したがって、排気効率の低下が抑制される。
本発明の密閉型鉛蓄電池は、複数枚の電極板からなる極板群を収納して左右に並設された複数のセルを有する電槽体と、側壁を有して電槽体を上方から被覆する蓋体とが設けられ、蓋体は中蓋と中蓋の開放部を上方から覆う上蓋とを有し、中蓋に、セル毎に対応する位置にセル内で発生したガスをセルから排出する排気孔が形成され、排気孔から蓋体に設け排気口へ向けてガスを案内する案内路が設けられ、該案内路の途中に上蓋の裏面側に上方へ向けて窪んで排気孔から排出されたガスを前記排気口へ向けて案内する凹部が形成され、凹部に対する排気孔側に排気孔から排出されたガスが集まる排気室が設けられ、排気室に排気孔から排出されたガスが下方から通過するフィルタが設けられていることを特徴としている。
上記構成において、各セルに対応する排気孔から排出されたガスは、フィルタの下方から上方へ向けて流れるよう案内されて上蓋の凹部に至り、凹部から排気口に案内されて外部に排出されることになる。この場合、ガスが、フィルタを下方から通過するように重力に対して流れるよう案内されることで、ガスに含まれる水分がフィルタに接触しても、水分は重力により滴下し、ガスは順次排気口に送られるから、水分によるフィルタの目詰まりが防止され、排気効率の低下が抑制される。
本発明の密閉型鉛蓄電池では、排気口はフィルタよりも下位に配置されていることを特徴としている。
上記構成のように、排気口をフィルタよりも下位に配置することで、一端重力と反対方向へ流れたガスが、排気口側では重力方向に向くことになるから、ガスが排気口から円滑に排出されることになる。
本発明の密閉型鉛蓄電池では、案内路は、上蓋の裏面に形成されて上方へ向けて窪むよう形成された凹部と、上蓋に設けられて凹部の一部をその下方で覆う案内板とから構成されていることを特徴としている。
上記構成のように、上蓋に直接的に案内路を形成することにより、特別な部材を設けることなく案内路の一部を形成することが可能になる。
本発明の密閉型鉛蓄電池では、案内路の凹部は、上蓋の一部を案内板を残して穿設されて、この穿設した部分を覆うように上蓋の上方からシールをすることで形成されていることを特徴としている。
上記構成によれば、案内路を長くとりたい場合に、上蓋の一部を案内板を残してこれを穿設した後に、穿設した部分を覆うように上蓋の上方からシールをするという簡単な方法で、案内路を必要に応じて長く形成することができる。
本発明の密閉型鉛蓄電池によれば、凹部に対する排気孔側に排気孔から排出されたガスを集める排気室を設け、排気室に排気孔から排出されたガスが下方から通過するフィルタを設けて排気室から排気口へガスを排気するよう構成しているから、ガスに含まれる水分がフィルタに接触しても、水分は重力により滴下し、ガスは順次排気口に送られるから、水分によるフィルタの目詰まりが防止され、排気効率の低下を抑制することができる。
以下、本発明の実施形態に係る密閉型鉛蓄電池(以下単に「蓄電池」と記載する)を、3セルの場合の一括排気構造を例に図面に基づいて説明するが、6セル構造の蓄電池についても適用できる。
図1の平面図および図2の正面図に示すように、この実施形態における蓄電池1は、複数枚の電極板からなる極板群2を収納して左右に並設されたセル3を有する上側開放の直方体形状の電槽体4と、側壁5を有して電槽体4を上方から被覆する蓋体6とを備えている。蓋体6は、電槽体4に上方から嵌合する中蓋7と、中蓋7にさらに上方から嵌合してこれを覆う上蓋8とを有する。
中蓋7に、セル3毎に対応する位置にセル3内で発生したガス10をセル3から排出する排気孔(液口栓を兼用する)11が形成され、排気孔11から排出されたガス10を、中蓋7の側壁5に設けた排気口12に案内する案内路13が、中蓋7と上蓋8とに形成されている。
上蓋8はその外周部が下方に突出するフレーム状に形成された嵌合枠体部14を有し、中蓋7に上蓋8の嵌合枠体部14を嵌合させることで、中蓋7の上面と上蓋8の下面との間に偏平な空間が確保されることになり、この空間が前記案内路13として用いられる。また上蓋8の下面15に凹部16が形成されており、この凹部16もまた、案内路13として用いられる。
図3の拡大断面図に示すように、凹部16は上蓋8の後部下面を上方に向けて窪むように形成されている。すなわち凹部16は、上蓋8の一部を切欠いて形成されており、凹部16の下方には凹部16の一部をガス10の流れ方向で覆う案内板17が凹部16の前後にわたすよう上蓋8に一体的に形成されている。案内板17の上面17aは平面に形成されている。なお、案内板17は凹部16を形成する際に残存するようにした上蓋8の一部である。
凹部16の上流側部、下流側部は平面視して円形に形成され(図1参照)て、下流側部と上流側部とを連通するトンネル状の連通路18が案内板17の上側に形成されている。凹部16の下流側部には各排気孔11からのガス10が集まる(一括して集められる)第一排気室20が設けられ、この第一排気室20の径は、連通路18に比べて大きくなるよう形成されている。
第一排気室20を形成する上蓋8の下面15および案内板17の下流側部下面に防爆フィルタ21を設置するための環状の切欠23が形成され、この切欠23に下方から防爆フィルタ21が内嵌されており、上蓋8と案内板17に亙るように、防爆フィルタ21外周部を下方から支持する支持環部材24が、例えば上蓋8と案内板17にヒートシールすることで固定されている。
支持環部材24の中心孔25は、防爆フィルタ2の下方からガス10を連通路18に導く案内孔としての機能を有する。なお、支持環部材24はヒートシールによる固定でなくてもよく、あるいは、上蓋8と支持環部材24とに、嵌合部と被嵌合部とを設けて両者を着脱自在とする構成も選択することができる。
凹部16の上流側部には第一排気室20とほぼ同径の第二排気室26が配置されている。この第二排気室26は中蓋7に形成されるもので、第二排気室26は、上側開放で有底の筒状に形成されている。第二排気室26の外周壁27における上下方向途中に、段付き面28が形成されており、この段付き面28に防爆フィルタ22が載置されている。防爆フィルタ22の下方で外周壁27に、排気口12へ連通する排気路30を形成する案内管31が一体に形成されており、案内管31はその先端部が側壁5に設けられた排気口12に排気路30が連通されるよう延長されている。
図4および図5の断面図は、凹部16形成する際の工具(金型)32を示す。工具32は、下流側が円弧状に形成されて平面視略半縁に形成された半円柱状の本体33と、本体33の下部側に設けた支軸34回りに回動自在に支持された前後一対のアーム36と、各アーム36の先端(上部)37に別の支軸35回りに回動自在に設けた打抜き片38とを有する。支軸35はアーム36に形成されてその長手方向に沿う長孔36aに遊嵌されている。
打抜き片38は下流側開放の平面視略コ字形に形成されており、下流側で支軸35に支持される前後両側の取付け部40と、前後の取付け部40の上流側をわたすように一体的に形成された打抜き部41とから構成されている。打抜き部41は充実断面に形成されている。
上記構成において、各セル3から発生したガス10は、排気孔11を通過して中蓋7と上蓋8とに形成された案内路13に入る。このとき、第二排気室26は有底の円筒状に形成されており、中蓋7と上蓋8とに形成された案内路13とは区画されているから、ガス10が流れ得る方向としては第一排気室20のみとなって、ガス10は第一排気室20に向かい、支持環部材24の中心孔25を通過して、防爆フィルタ21の下方からその上方に向かって案内されて凹部16に至る。
このとき、ガス10が水分Wを含んでいると、その水分Wは防爆フィルタ21で捕獲(通過防止)されて、防爆フィルタ21の上方にはほとんど至らない。つまり、防爆フィルタ21で捕獲された水分Wは重力によって落下し、ほとんどガス10のみが防爆フィルタ21を通過して上方に至ることにより、防爆フィルタ21が目詰まりしなくなる。
防爆フィルタ21を通過してその上方に移動したガス10は、連通路18を通過して第二排気室26に至り、再び防爆フィルタ22を通過して第二排気室26から排気路30を通過して排気口12に至って中蓋7の側壁5から蓄電池1の外部に排出される。
このように、セル3から発生したガス10を防爆フィルタ21の下方から上方、即ち重力方向と反対の方向へ移動させるようにした構成としたことで、ガス10中の水分が防爆フィルタ21で捕獲されて重力によって落下するから、防爆フィルタ21の目詰まりを防止し、したがってガス10の排気効率の低下を抑制することができる。また、排気口12は第一排気室20に比べて低い位置にあるから、その分だけガス10の排出が円滑に行われる。
なお、図4および図5の断面図に基づいて、連通路18を形成する手順を説明すると、予め上蓋8の下面に案内板17となる縦壁50を残すようにしてその下流側、上流側に凹部51,52をそれぞれ形成しておき、例えば下流側の凹部51に工具32の本体33を、その上面33aが凹部51の下面に当接するようにして、且つ本体33の下流側外周面を凹部51の側面51aに当てた状態とし、本体33の支軸34回りに各アーム36を回動(図では時計方向)させる。
そうすると、アーム36の先端37に支軸35回りに回動自在に設けた打抜き片38が、支軸35が長孔36a内を移動するようにして、上流側へ突出し、この打抜き片38の移動によって縦壁50の上部が打抜かれ、凹部51,52どうしがつながって連通路18が形成される。
図6は、連通路18を長く確保したい場合の例を示す断面図であり、上記のような工具32によって連通路18を形成するのが難しい場合の例である。図6では、予め上蓋8に案内板17を残すようにして、凹部26となる穴55を穿設しておき、その後、薄板状の蓋体56を上蓋18に、例えばヒートシールによって被せて穴55を覆うようにして凹部26とするものである。何れにしても、ガス10は防爆フィルタ21の下方から上方に向けて通過するから、上記実施形態と同様に、防爆フィルタ21の目詰まりを防止して、排気効率の低下を抑制することができる。
図7は別の実施形態を示す。図7に示す例では、第一排気室62および第二排気室63は何れも有底の円筒形状の周壁60,61によって形成されており、第一排気室62および第二排気室63を、中蓋7および上蓋8の双方の組合わせによって形成している。
すなわち、中蓋7、上蓋8のそれぞれに、第一排気室62および第二排気室63を形成する周壁部64,65,66,67が形成されており、これら周壁部64,65,66,67を上下にヒートシールすることで、第一排気室62および第二排気室63を形成している構成とされている。
第一排気室62へのガス10の流入口70は、第一排気室62の円筒状の周壁60の下部にあり、第一排気室62のガス10の流出口72は周壁60の上部に形成されている。第一排気室62内の防爆フィルタ74は、段付き面76を形成して段付き面76に載置することで流入口70に比べて上位に配置されている。
第二排気室63のガス10の流入口71は円筒状の周壁61の上部に形成されており、第二排気室63内の防爆フィルタ75は、周壁61内に段付き面77を形成することでその上面に載置されて流入口71に比べて下位に配置されている。第二排気室63の流出口73は、防爆フィルタ75よりも下位で周壁61に形成されて、流出口73は蓋体の側部に形成した排出口に、案内管78を介して連通接続されている。
第一排気室62の流出口72および第二排気室63の流入口71はともに上部で連通する連通路80を形成する連通管81で接続されており、第一排気室62内のガス10が直接第二排気室63へ移動するようになっている。
上記構成においてもセルで発生したガス10は防爆フィルタ74の下方から上方に向けて通過するから、ガス10に含まれる水分Wは、防爆フィルタ74で捕獲されて、重力によって落下することで、防爆フィルタ74の目詰まりを防止でき、排気効率の低下を抑制することができる。
1…蓄電池、3…セル、5…側壁、7…中蓋、8…上蓋、10…ガス、11…排気孔、12…排気口、13…案内路、16…凹部、17…案内板、18…連通路、20…第一排気室、21…防爆フィルタ、22…防爆フィルタ、24…支持環部材、25…中心孔、26…第二排気室、30…排気路、32…工具、33…本体、34…支軸、36…アーム、50…縦壁、56…蓋体、W…水分
Claims (5)
- 複数枚の電極板からなる極板群を収納して左右に並設された複数のセルを有する電槽体と、側壁を有して電槽体を上方から被覆する蓋体とが設けられ、蓋体は中蓋と中蓋の開放部を上方から覆う上蓋とを有した密閉型鉛蓄電池であって、
蓋体に、セル毎に対応する位置にセル内で発生したガスをセルから排出する排気孔が形成され、排気孔から蓋体に設けた排気口へ向けてガスを案内する案内路が設けられ、案内路の途中に、各排気孔からのガスを集める排気室が設けられるとともに排気室にはフィルタが配置され、各排気孔からのガスはフィルタの下方から上方へ向けて流れるよう構成されており、排気室におけるフィルタより上部が排気口に連通されていることを特徴とする密閉型鉛蓄電池。 - 複数枚の電極板からなる極板群を収納して左右に並設された複数のセルを有する電槽体と、側壁を有して電槽体を上方から被覆する蓋体とが設けられ、蓋体は中蓋と中蓋の開放部を上方から覆う上蓋とを有した密閉型鉛蓄電池であって、
中蓋に、セル毎に対応する位置にセル内で発生したガスをセルから排出する排気孔が形成され、排気孔から蓋体に設けた排気口へ向けてガスを案内する案内路が設けられ、案内路の途中に、上蓋の裏面側に上方へ向けて窪んで排気孔から排出されたガスを前記排気口へ向けて案内する凹部が形成され、凹部に対する排気孔側に排気孔から排出されたガスが集まる排気室が設けられ、排気室に排気孔から排出されたガスが下方から通過するフィルタが設けられていることを特徴とする密閉型鉛蓄電池。 - 排気口はフィルタよりも下位に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の密閉型鉛蓄電池。
- 案内路は、上蓋の裏面に形成されて上方へ向けて窪むよう形成された凹部と、上蓋に設けられて凹部の一部をその下方で覆う案内板とを備えていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の密閉型鉛蓄電池。
- 凹部は、上蓋の一部を案内板を残して穿設されて、この穿設した部分を覆うように上蓋の上方からシールをすることで形成されていることを特徴とする請求項2ないし請求項4の何れかに記載の密閉型鉛蓄電池。
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