JP2008034281A - 燃料電池 - Google Patents

燃料電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2008034281A
JP2008034281A JP2006207698A JP2006207698A JP2008034281A JP 2008034281 A JP2008034281 A JP 2008034281A JP 2006207698 A JP2006207698 A JP 2006207698A JP 2006207698 A JP2006207698 A JP 2006207698A JP 2008034281 A JP2008034281 A JP 2008034281A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel cell
fuel
single cell
cell
flow path
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006207698A
Other languages
English (en)
Inventor
Sho Usami
祥 宇佐美
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2006207698A priority Critical patent/JP2008034281A/ja
Publication of JP2008034281A publication Critical patent/JP2008034281A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Abstract

【課題】固体高分子型燃料電池において、酸化ガスの水蒸気分圧が低いことに起因する電解質膜の含水量低下を抑制する。
【解決手段】燃料電池10は、板状の単セル40と、単セル40を面方向に垂直に貫通して設けられ、単セル40の回転の中心となる回転軸20と、を備える。単セル40は、固体高分子電解質から成る電解質膜41と、電解質膜41の両面に形成された触媒電極層と、を備える。さらに、一方の触媒電極層上に形成され、電解質膜41の外周部側から回転軸20の近傍へ向けて酸化ガスを導く単セル内酸化ガス流路を備える。また、他方の触媒電極層上に形成されて燃料ガスを導くと共に、回転軸20を中心として単セル40が回転する際に、回転軸20側から電解質膜41の外周部側への水の移動を許容する形状に形成された単セル内燃料ガス流路を備える。
【選択図】図2

Description

この発明は、単セルを複数積層したスタックから成る燃料電池に関する。
水素および酸素の供給を受けて電気化学反応を進行する燃料電池において、カソードに供給する酸化ガスとして空気を用いる構成が知られている。このような燃料電池の一例として、単セルの積層方向に平行に燃料電池スタックを貫通する回転軸を設けると共に、この回転軸を中心として燃料電池スタックを回転させることで、外部の空気を燃料電池内に取り込み、酸化ガスとして利用する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−102081号公報 特開2000−348753号公報 特開2005−190858号公報
しかしながら、固体高分子型燃料電池において、上記のように外気である空気を酸化ガスとして用いる場合には、空気の水蒸気圧が低いことに起因して、特に酸化ガス流れの上流領域で、電解質膜における水の含有量が低下する場合があった。すなわち、水蒸気圧が低い空気が流れることで、電解質膜の水分が空気中に奪われて、電解質膜におけるプロトン伝導性が低下し、燃料電池の電池性能が低下する場合があった。このような問題は、酸化ガスとして空気を用いる場合に限らず、飽和水蒸気圧よりも低い水蒸気圧を示す酸素含有ガスを酸化ガスとして用いる場合に、同様に起こり得る問題であった。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、固体高分子型燃料電池において、酸化ガスの水蒸気分圧が低いことに起因する電解質膜の含水量低下を抑制することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の燃料電池は、
板状の単セルと、
前記単セルを面方向に垂直に貫通して設けられ、前記単セルの回転の中心となる回転軸と
を備え、
前記単セルは、
固体高分子電解質から成る電解質膜と、
前記電解質膜の両面に形成された触媒電極層と、
一方の前記触媒電極層上に形成され、前記電解質膜の外周部側から前記回転軸の近傍へ向けて酸化ガスを導く単セル内酸化ガス流路と、
他方の前記触媒電極層上に形成されて燃料ガスを導くと共に、前記回転軸を中心として前記単セルが回転する際に、前記回転軸側から前記電解質膜の外周部側への水の移動を許容する形状に形成された単セル内燃料ガス流路と
を備えることを要旨とする。
以上のように構成された本発明の燃料電池によれば、回転軸を中心として単セルが回転する際に、触媒電極層上に形成される単セル内燃料ガス流路では、回転によって生じる遠心力によって、水が、電解質膜の外周部側へと移動する。これにより、単セル内燃料ガス流路では、外周部側の水蒸気圧が高まり、電解質膜の外周部側では、電解質膜を介して単セル内燃料ガス流路側から単セル内酸化ガス流路側へと水蒸気が移動する。すなわち、単セル内酸化ガス流路を流れる酸化ガスの上流部分が加湿される。したがって、単セル内酸化ガス流路の上流部分の水蒸気圧が不足することに起因する電解質膜の含水量低下を抑制し、電解質膜の乾燥に起因する電池性能の低下を抑えることができる。なお、単セル内燃料ガス流路内を移動する水は、液水と水蒸気との双方を含み得る。
本発明の燃料電池において、さらに、
前記電解質膜と略同一面上において、前記触媒電極層が形成されている領域よりも外側に設けられた水蒸気透過部であって、前記酸化ガスが流れる面側と前記燃料ガスが流れる面側との間で、水蒸気分圧の高い側から低い側へと水蒸気を透過させる水蒸気透過部を備えることとしても良い。
このような構成とすれば、表面に触媒電極層が形成された電解質膜を介して燃料ガス中の水および/または水蒸気によって酸化ガスが加湿されるだけでなく、水蒸気透過部において、専ら酸化ガスの加湿を行なうことができる。このような水蒸気透過部を触媒電極層が形成される領域よりも外側に設けることにより、酸化ガスの加湿を、その上流部分において効率良く行なうことができる。
このような本発明の燃料電池において、前記水蒸気透過部は、前記電解質膜の外周近傍領域であることとしても良い。
このような構成とすれば、水蒸気透過部を設けるために、さらに特別な部材を用意する必要がない。
本発明の燃料電池において、前記単セル内酸化ガス流路は、前記電解質膜の外周部側から前記回転軸側に向かう渦巻き状に形成されることとしても良い。
このような構成とすれば、単セル内酸化ガス流路に流入した酸化ガスが、まず、電解質膜の外周を流れる、すなわち、単セル内燃料ガス流路において水が集まる領域に対応する領域を流れるため、水蒸気圧の低い酸化ガスの上流部分を効率良く加湿することができる。
本発明の燃料電池において、前記単セル内燃料ガス流路は、前記回転軸の近傍から前記電解質膜の外周部側へ向けて前記燃料ガスを導くこととしても良い。
このような構成とすれば、単セル内燃料ガス流路における燃料ガスの流れが、単セル内燃料ガス流路における遠心力に従った水の移動を妨げることがない。また、飽和水蒸気圧よりも水蒸気圧が低い燃料ガスが燃料電池に供給される場合には、単セル内において、酸化ガスの下流部分が有する水蒸気を利用して、燃料ガスの上流部分を電解質膜を介して加湿することができる。
本発明の燃料電池において、
複数の前記単セルを積層して成るスタックによって構成され、
前記回転軸は、前記積層の方向と平行に、前記スタックを貫通して設けられ、
前記燃料電池は、さらに、
前記スタックの側壁面において開口する第1の開口部を有すると共に、該第1の開口部を介して前記スタックの外部と前記単セル内酸化ガス流路とを連通させる第1の連通路と、
前記スタックの外壁面の前記第1の開口部とは異なる位置に開口する第2の開口部を有すると共に、前記第2の開口部を介して前記スタックの外部と前記単セル内酸化ガス流路とを連通させ、前記第1の連通路および前記単セル内酸化ガス流路を通過した前記酸化ガスを前記スタックの外部へと導く第2の連通路と
を備えることとしても良い。
このような構成とすれば、スタックを回転させることにより、スタックの側壁面に開口する第1の開口部を備える第1の連通路を介して、外気が、酸化ガスとして単セル内酸化ガス流路へと流入する。そして、単セル内酸化ガス流路を流れた後、第2の連通路の第2の開口部を介してスタック外部に放出される。そのため、特別の装置を設けることなく、スタックに酸化ガスを供給し、単セル内酸化ガス流路において外周側から中央部側へと酸化ガスを流すことができ、燃料電池の構成を簡素化することができる。
本発明の燃料電池において、前記単セル内燃料ガス流路内に前記燃料ガスを滞留させた状態で発電を行なうこととしても良い。
このような構成とすれば、単セル内燃料ガス流路内全体で、燃料ガスにおける水蒸気圧が略飽和水蒸気圧となるため、外周部における酸化ガスの加湿を効率良く行なうことができる。また、単セル内燃料ガス流路内に燃料ガスを滞留させた状態で発電を行なうと、単セル内燃料ガス流路内に、酸化ガス流路側から電解質膜を介して混入した水蒸気などの不純物が蓄積されるが、単セルを回転させて単セル内に遠心力を発生させることで、上記不純物を単セル内燃料ガス流路の外周へと押しやることができる。したがって、触媒電極層上において、不純物濃度が低い領域をより広く確保することができる。
本発明の燃料電池システムは、
本発明の上記した燃料電池と、
前記回転軸を所定の回転数で回転させる回転駆動部と、
前記燃料電池に対する負荷要求が大きいほど、前記単セルを回転させる際の回転数が大きくなるように前記回転駆動部を駆動する回転制御部と
を備えることを要旨とする。
以上のように構成された本発明の燃料電池システムによれば、負荷要求が大きいほど単セルの回転数を大きくすることにより、第1の連通路を介して単セル内酸化ガス流路へと酸化ガスを流入させる場合には、流入する酸化ガス量が増大する。そのため、負荷要求に応じた量の酸素を確保することが可能になる。あるいは、燃料電池において、単セル内燃料ガス流路内に燃料ガスを滞留させて発電を行なう場合には、発電量が多くなるために単セル内燃料ガス流路内における水蒸気などの不純物の蓄積量が増える場合であっても、スタックの回転数を大きくして遠心力を強めることで、不純物を外周部に押しやる働きを強めることができる。そのため、触媒電極層上において、燃料ガス中の不純物濃度が低い領域を広く確保して、電池性能を高めることができる。
本発明は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、燃料電池における酸化ガスの加湿方法などの形態で実現することが可能である。
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.装置の全体構成:
B.燃料電池10の構成:
C.燃料電池10の動作:
D.変形例:
A.装置の全体構成:
図1は、本発明の実施例である燃料電池システム15の概略構成を表わす説明図である。燃料電池システム15は、固体高分子型燃料電池である燃料電池10を備えている。燃料電池10は、複数の単セルを積層して成るスタックによって構成されている。燃料電池10を構成する各単セルは、外周が略円形である薄板状部材によって構成されており、燃料電池10全体は、略円柱状に形成されている。
燃料電池システム15は、さらに、略円柱状の燃料電池10の中心軸に沿って燃料電池10を貫通して設けられた回転軸20と、この回転軸20を所定方向に回転させる回転駆動部22と、を備えている。回転軸20と燃料電池10とは互いに固着されており、回転駆動部22によって回転軸20が回転駆動されることによって、燃料電池10は回転軸20を中心として回転する。ここで、回転軸20の外周は、絶縁性材料、例えばポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂によって被覆されており、回転軸20を介した燃料電池10内における短絡が防止されている。また、回転駆動部22は、例えばモータによって構成することができる。
さらに燃料電池システム15は、燃料電池10に対して水素を含有する燃料ガスを供給するための燃料ガス供給部を備えている。本実施例では、燃料ガス供給部は、高圧水素ガスを貯蔵する水素タンクを備え、純度の高い水素ガスを燃料電池10に供給する装置として構成されている。あるいは、水素吸蔵合金を有する水素タンクを備えることとしても良い。
また、燃料電池システム15は、燃料電池システム15の各部を制御する制御部30を備えている。制御部30は、CPU,ROM,RAMタイマなどを備えるマイクロコンピュータとして構成されている。制御部30は、例えば、燃料電池10に対する負荷要求に係る信号や、燃料電池システム15の各部に設けた図示しないセンサからの検出信号を取得して種々の制御処理を実行し、燃料ガス供給部や回転駆動部22を始めとする燃料電池システム15の各部に対して駆動信号を出力する。
B.燃料電池10の構成:
図2は、燃料電池10を構成するスタックの構成の概略を表わす断面模式図である。燃料電池10を構成する単セル40は、電解質膜41と、電解質膜41上に形成されるカソード42およびアノード43と、から成るMEA44を備える。また、単セル40は、MEA44を挟持するガス拡散層45,46と、アノード43側のガス拡散層46上に配置されるガス流路形成部47と、これらの積層構造をさらに両側から挟持するガスセパレータ48と、を備えている。
電解質膜41は、固体高分子材料、例えばパーフルオロカーボンスルホン酸を備えるフッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好なプロトン伝導性を示す。カソード42およびアノード43は、電気化学反応を促進する触媒、例えば、白金、あるいは白金と他の金属から成る合金を備えた触媒電極層である。カソード42およびアノード43を形成するには、例えば、白金等の触媒金属を担持させたカーボン粉を作製し、この触媒担持カーボンと、電解質膜41を構成する電解質と同様の電解質とを用いて触媒ペーストを作製し、作製した触媒ペーストを電解質膜41上に塗布すればよい。ガス拡散層45,46は、カーボン製の多孔質部材であり、例えばカーボンクロスやカーボンペーパによって形成される。触媒電極層を表面に形成した電解質膜41とガス拡散層45,46とは、例えばプレス接合により一体化されてMEA44となる。
ガス流路形成部47は、平坦な平板状部材であって、発泡金属や金属メッシュなどの金属製多孔質体によって形成されており、例えば、チタンやステンレス製の多孔質体によって形成することができる。本実施例では、表面を金メッキしたチタン製の多孔質体を用いている。
ガスセパレータ48は、ガス不透過の導電性部材、例えば、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボンや、プレス成形した金属板によって形成することができる。ガスセパレータ48の一方の表面には、単セル40に供給された酸化ガスの流路を形成するための凸部54が設けられている。すなわち、表面に凸部54が設けられたガスセパレータ48とガス拡散層45との間には、カソードでの電気化学反応に供される酸化ガスが通過する単セル内酸化ガス流路となる空間が形成される。また、ガスセパレータ48の他方の表面は、ガス流路形成部47と接する面であり、平坦面として形成されている。そして、上記ガスセパレータ48の他方の面と、アノード43側のガス拡散層46との間では、多孔質体であるガス流路形成部47が備える多数の細孔から成る空間によって、アノードでの電気化学反応に供される燃料ガスが通過する単セル内燃料ガス流路が形成される。
なお、図2に示すように、燃料電池10の外周部では、隣り合うガスセパレータ48間に、さらに樹脂フレーム50,51が設けられている。すなわち、ガスセパレータ48における単セル内酸化ガス流路側の表面には、樹脂フレーム50が配置されており、単セル内燃料ガス流路側の表面には、樹脂フレーム51が配置されている。これらの樹脂フレーム間、および、これらの樹脂フレームとMEA44との間は、接着剤によって接着され、燃料電池外周部においてガスシール性が確保されている。樹脂フレーム50,51は、燃料電池10の内部環境において充分な耐熱性、耐腐食性および絶縁性を有する材料、例えば、エポキシ樹脂やシリコンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴムなどの樹脂材料によって形成される。樹脂フレーム50,51を接着する接着剤としては、燃料電池10の内部環境において充分な耐熱性、耐腐食性および絶縁性を有する接着剤を用いれば良く、例えば、シリコン系接着剤を用いることができる。
なお、図示は省略しているが、燃料電池10の内部温度を調節するために、各単セル間に、あるいは所定数の単セルを積層する毎に、冷媒の通過する冷媒流路を設けても良い。
以下に、燃料電池10を構成する各部の形状について、さらに詳しく説明する。図3は、ガスセパレータ48およびMEA44の外観を平面図に表わす説明図である。図3(A)は、ガスセパレータ48における単セル内酸化ガス流路側の面であって、表面に樹脂フレーム50が配置された様子を表わす。図3(B)は、ガス拡散層45,46によって挟持されたMEA44における単セル内酸化ガス流路側の面であって、さらに表面にガス流路形成部47が配置された様子を表わす。図3(C)は、ガスセパレータ48における単セル内燃料ガス流路側の面であって、表面に樹脂フレーム51が配置された様子を表わす。なお、図3では、図2の断面図に対応する位置を、2−2断面として示している。
図3(A)および(C)に示すように、ガスセパレータ48は、略円形の板状部材として構成されている。また、樹脂フレーム50,51は、外周が、ガスセパレータ48の外周と略同一の大きさの円を成すと共に、中央を含む広い領域を円形に貫通する穴部52が形成されたドーナツ型の薄板状部材である。ガスセパレータ48およびガスセパレータ48上に配置される樹脂フレーム50,51の外周近傍には、それぞれの対応する位置に、貫通孔である穴部60,61が設けられている。また、ガスセパレータ48の中心近傍には、貫通孔である穴部62が形成されると共に、穴部62の周囲には、複数(本実施例では4つ)の貫通孔である穴部63が形成されている。これらの穴部60〜63は、燃料電池10の内部において、燃料電池10を積層方向に貫通するガスマニホールドを形成する。具体的には、穴部60は、各単セル内酸化ガス流路に分配される酸化ガスが流れる酸化ガス供給マニホールドを形成し、穴部61は、各単セル内燃料ガス流路を流れたガスが流入可能な燃料ガス排出マニホールドを形成する。また、穴部62は、各単セル内燃料ガス流路に分配される燃料ガスが流れる燃料ガス供給マニホールドを形成し、穴部63は、各単セル内酸化ガス流路を流れたガスが集合する酸化ガス排出マニホールドを形成する。
図2に示したように、ガスセパレータ48の単セル内酸化ガス流路側の表面には凸部54が設けられているが、この凸部54は、図3(A)に示すように、渦巻き状に形成されている。この渦巻き形状の渦巻きの向きは、燃料電池10の運転中に燃料電池10が回転軸20を中心として回転する際の回転の向きとは逆向きに形成されている。図3(A)に、燃料電池10の回転方向を矢印を付して示すと共に、凸部54の渦巻きの向きを矢印付きの破線で示す。また、ガスセパレータ48の単セル内酸化ガス流路側の表面には、その外周と穴部60とを連通させる溝57が形成されている(図3(A)では、穴部60当たり、2つの溝57が形成されている)。図3(A)では、溝57が形成される領域が樹脂フレーム50によって覆われており、溝57の位置を破線で示している。この溝57は、燃料電池10を組み立てたときには、燃料電池10の側壁面に開口部を有すると共に、この開口部を介して、穴部60が形成する酸化ガス供給マニホールドを燃料電池10の外部と連通させる連通路を形成する。
また、樹脂フレーム50には、MEA44と接する側の面において、穴部60と穴部52とを連通させる複数の溝55が形成されている。この溝55は、樹脂フレーム50が樹脂フレーム51およびMEA44と接着されて燃料電池10が組み立てられたときに、燃料電池10内部で、穴部60が形成する酸化ガス供給マニホールドと単セル内酸化ガス流路とを連通させる流路を形成する。
これに対して、樹脂フレーム51には、単セル内燃料ガス流路側の面において、穴部61と穴部52とを連通させる複数の溝56が形成されている。この溝56は、樹脂フレーム51が樹脂フレーム50およびMEA44と接着されて燃料電池10が組み立てられたときに、燃料電池10内部で、穴部61が形成する燃料ガス排出マニホールドと単セル内燃料ガス流路とを連通させる流路を形成する。
ガスセパレータ48における単セル内酸化ガス流路側の表面には、さらに、ドーナツ型に形成されたシール部58が、穴部62の外周に沿って配置されている。また、ガスセパレータ48の単セル内燃料ガス流路側の表面には、さらに、ドーナツ型に形成されたシール部59が、各々の穴部63の外周に沿って配置されている。これらのシール部58,59は、それぞれ、隣接するガスセパレータ48およびMEA44に対して、接着剤によって接着されている。なお、シール部58,59は、樹脂フレーム50,51と同様の材料によって形成されており、上記接着剤は、樹脂フレーム50,51の接着に用いられる接着剤と同様のものが用いられている。ガスセパレータ48の単セル内酸化ガス流路側の表面にシール部58が設けられることで、単セル内酸化ガス流路と、穴部62が形成する燃料ガス供給マニホールドとの連通が防止されている。また、ガスセパレータ48の単セル内燃料ガス流路側の表面にシール部59が設けられることで、単セル内燃料ガス流路と、穴部63が形成する酸化ガス排出マニホールドとの連通が防止されている。
図3(B)に示すように、MEA44は、略円形に形成されており、ガス拡散層45,46、およびガス流路形成部47は、略同一形状であって、外周が略円形であるドーナツ型に形成されている。ここで、カソード42およびアノード43と、ガス拡散層45,46および流路形成部47との外周は、電解質膜41上において、互いに重なる略同一形状であって、電解質膜41よりも一回り小さな略円形に形成されている。また、電解質膜41は、ガスセパレータ48よりも小さく形成されている。そのため、樹脂フレーム50,51を各々の面に固着させたガスセパレータ48によって、ガス拡散層45,46を固着させたMEA44を挟持すると、MEA44の外周の電解質膜41の部分が、穴部60,61が形成された位置よりも内側において、上記樹脂フレーム50,51と重なり合う。さらに、MEA44の中央部には、ガスセパレータ48と同様の位置に、穴部62および63が形成されている。
また、ドーナツ型に形成されたガス拡散層45,46およびガス流路形成部47は、その中央部を含む領域に、円形の穴部64を備えている。このようなガス拡散層45,46およびガス流路形成部47を、MEA44上において、カソード42およびアノード43と重なるように配置すると、穴部64の内側に、穴部62,63が位置する。また、ガスセパレータ48と共にスタックを形成する際には、シール部58,59がMEA44と接触する位置も、穴部64の内側となる。
燃料電池10を組み立てる際には、既述したように接着剤を用いて所定の部材間を接着すると共に、穴部60〜63を位置合わせしつつ、図2に示した順序となるように各部材を積層する。なお、スタックを完成する際には、上記のように各部材を積層した積層体に対して、図示しない所定の締結部材を用いて積層方向に平行な圧力を加えて、スタック全体を締結する。このようにして組み立てられたスタックでは、端部の各々に、発電した電量を取り出すための端子を備える集電板や、外部から絶縁するための絶縁板が配置されるが、これらの端部に配置される円盤状部材には穴部60、61は形成されていない。したがって、穴部60が形成する酸化ガス供給マニホールドや、穴部61が形成する燃料ガス排出マニホールドは、その両端が閉塞された構造となる。
これに対して、穴部63は、上記集電板および絶縁板の対応する位置にも形成されている。したがって、穴部63が形成する酸化ガス排出マニホールドは、スタックの端部で開口する。酸化ガス排出マニホールドの端部が開口するのは、スタックの一端でもよく、両端でも良い。図1では、図中の手前側のスタック端部において、酸化ガス排出マニホールドの開口部18が示されている。
さらに、穴部62もまた、上記集電板および絶縁板の対応する位置にも形成されており、各部材に形成される穴部62は、スタック全体を貫通する貫通路を形成する。この貫通路には、中空の回転軸20が嵌め込まれ、この回転軸20の内部が、燃料ガス供給マニホールドとなる。回転軸20は、既述したように回転駆動部22によって回転駆動されると共に、回転軸20内の燃料ガス供給マニホールドに対しては、燃料ガス供給部から燃料ガスが供給される(図1参照)。ここで、中空の回転軸20の外壁には、所定の位置、具体的には、ガス流路形成部47と重なる位置に、複数の貫通孔21が形成されている(図2参照)。この貫通孔21によって、燃料ガス供給マニホールドと、ガス流路形成部47内に形成される単セル内燃料ガス流路とが、連通される。なお、本実施例では、回転軸20内部の空間は、燃料ガス供給部と接続される側と反対側のスタック端部において、閉塞されている。
C.燃料電池10の動作:
以下に、発電時における燃料電池10内部におけるガス流れについて説明する。図4は、燃料電池10内部におけるガス流れを模式的に表わす説明図である。なお、図4では、燃料ガスの流路を実線で表わすと共に、酸化ガスの流路を破線で表わしており、各流路を形成する穴部の参照番号を、それぞれの流路に対応付けてカッコを付して示している。
燃料電池10が備える燃料ガスの流路は、既述したように、回転軸20内に形成される燃料ガス供給マニホールドと、主としてガス流路形成部47内に形成される単セル内燃料ガス流路と、穴部61によって形成される燃料ガス排出マニホールドと、を備え、全体として連続した流路として設けられている。ここで、本実施例の燃料電池10では、燃料ガス排出マニホールドは、その端部が閉塞しており、燃料ガスの流路内では、燃料ガスは、燃料ガス排出マニホールド側へと流れることなく内部に滞留する状態となる(以下、このように燃料ガスの流路の下流側端部が閉塞された状態で発電を行なう燃料電池を、アノードデッドエンド型燃料電池と呼ぶ)。このような燃料電池10では、アノード43で進行する電気化学反応によって消費された水素に対応する量の水素が、新たに燃料ガス供給部から燃料ガス供給マニホールドへと供給され、燃料ガスの流路内では、一定量の水素が滞留する状態が維持される。なお、本実施例の燃料電池システム15では、燃料ガス供給部から燃料電池10への水素の供給は、燃料電池10における水素消費量に係る情報、例えば燃料電池10における発電量に係る情報を取得した制御部30によって制御される。
一方、燃料電池10が備える酸化ガスの流路は、既述したように、穴部60によって形成される酸化ガス供給マニホールドと、セパレータ48とガス拡散層45との間の空間によって形成される単セル内酸化ガス流路と、穴部63によって形成される酸化ガス排出マニホールドと、を備え、全体として連続した流路として設けられている。ここで、酸化ガス供給マニホールドは、既述したように、ガスセパレータ48の外周部表面に設けられた溝57に形成される連通路によって、燃料電池10の外部と連通している。溝57によって形成される連通路は、燃料電池10の側壁面で開口するため、回転軸20を中心として燃料電池10が回転駆動されると、燃料電池10に働く回転力によって、外気が、上記連通路を介して酸化ガス供給マニホールド内へと吸い込まれる。このように外気が取り込まれることにより、燃料電池10内部の酸化ガスの流路内を加圧された空気が流れることになる。このとき、酸化ガス排出マニホールドの端部は、既述したように開口部18において外部に開口しているため、燃料電池10内部に取り込まれた空気は、圧力の低い外部に向かって、すなわち、燃料ガス供給マニホールドから単セル内酸化ガス流路へ、そしてさらに酸化ガス排出マニホールドへと流れ、開口部18から外部へと放出される。
上記のように酸化ガス供給マニホールドから酸化ガス排出マニホールドへと酸化ガスが流れる際に、単セル内酸化ガス流路においては、酸化ガスは、ガスセパレータ48上に形成された凸部54が成す渦巻き形状に導かれる。ここで、凸部54が成す渦巻き形状は、燃料電池10の回転方向と逆向きであるため、単セル内酸化ガス流路において酸化ガスは、カソード42における電気化学反応に供されつつ、上記渦巻き形状に沿って中心部に向かって流れる。
上記のように燃料電池10内をガスが流れて燃料電池10が発電する際には、カソード42では、電気化学反応の進行と共に水が発生する。カソード42で生じた水は、水蒸気として酸化ガス中に混合され、酸化ガスと共に下流側に流れる。これにより、単セル内酸化ガス流路の下流側を流れる酸化ガス中の水蒸気圧は、略飽和水蒸気圧となる。また、生成水の一部は、単セル内酸化ガス流路等の流路内で凝縮して液水となる。凝縮水もまた、酸化ガスの流れに導かれて下流側へと移動する。すなわち、酸化ガス中の水蒸気及び液水は、燃料電池10に生じる回転力と凸部54の渦巻き形状とによって、中央部に向かって導かれ、酸化ガス排出マニホールドへと、そしてさらに外部へと排出される。
なお、カソード42で生じた水は、電解質膜41を介して単セル内燃料ガス流路側へも移動する。電解質膜41は、両面間の水蒸気分圧差に従って、水蒸気分圧の高い側から低い側へと水を移動させる性質を有しているため、生成水が生じるカソード42側の方が水蒸気圧が高い場合には、電解質膜41を介してカソード42側からアノード43側へと水が移動する。既述したように、燃料電池10はアノードデッドエンド型燃料電池であるため、上記のような水の移動が起こることにより、単セル内燃料ガス流路内の蒸気圧は、通常は飽和水蒸気圧となる。
また、燃料電池10内部においては、電解質膜41を介して、単セル内酸化ガス流路を流れる空気中に含まれる窒素もまた、濃度差に従ってカソード42側からアノード43側へと移動する。これにより、下流側が閉塞された単セル内燃料ガス流路内では、窒素濃度が次第に上昇する。
ここで、多孔質体であるガス流路形成部47によって形成される単セル内燃料ガス流路においては、燃料電池10が回転することにより遠心力が働く。そのため、単セル内燃料ガス流路内で生じた液水は、上記遠心力によって、単セル内燃料ガス流路の外周部に集められる。また、燃料ガスが含有する気体成分においても、水分子および窒素分子は水素分子よりも重いため、水蒸気および窒素ガスもまた、遠心力により単セル内燃料ガス流路の外周部に移動する。単セル内燃料ガス流路内で窒素および水が外周側へと移動する様子を、図3(C)において矢印で示す。
ここで、本実施例の燃料電池10におけるガス流れは、燃料ガス流れと酸化ガス流れとが逆向き、すなわち、燃料ガスが中央部から外周部へと流れると共に、酸化ガスが外周部から中央部へと流れる、いわゆるカウンターフロー型である。そのため、単セル内燃料ガス流路内において液水および水蒸気が集まる外周部は、単セル内酸化ガス流路側では上流部、すなわち、取り込まれた外気が流入する領域に相当する。そのため、このような領域では、酸化ガス流路側を流れる酸化ガスの方が水蒸気分圧が低くなり、電解質膜41を介して単セル内燃料ガス流路側から単セル内酸化ガス流路側へと水の移動が起こり、上記流入した外気の加湿が行なわれる。
なお、燃料電池10では、燃料ガス排出マニホールドの端部に、制御部30によって駆動されるバルブ(図示せず)が設けられており、所定間隔で所定時間バルブの開放が行なわれている。このようにバルブを開放することで、燃料ガス流路内の燃料ガスの一部が外部に排出される。バルブが配置された燃料ガス排出マニホールドが形成される燃料電池10の外周部では、既述したように窒素や液水や水蒸気といった不純物の濃度が高まっているため、ごく短い時間(例えば、5〜10msec)バルブを開放することにより、燃料ガス流路から、効率良く上記不純物を排出することができる。なお、バルブ開放が行なわれると、燃料ガス流路において不足する量の燃料ガスが燃料ガス供給部に補われる。このようなバルブの開放の動作を、例えば経過時間や発電量に基づいて所定間隔で行なうことにより、燃料ガス流路内の不純物濃度を低いレベルに維持することができる。
また、本実施例の燃料電池システム15では、制御部30によって回転駆動部22が駆動されて燃料電池10の回転数が調節されるが、このような制御は、燃料電池10における発電量に応じて行なわれ、発電量が多いほど燃料電池10の回転数が増加するように制御される。ここで、発電量が多いほど発電のために必要な酸素量が多くなるが、燃料電池10における回転数を増加させるほど、燃料電池10内部に取り込まれる空気量を増加させることができるため、このような制御を行なうことにより、発電に必要な酸化ガス量が確保される。燃料電池10の回転数を設定する際には、制御部30のCPUは、燃料電池10の発電量に係る情報として、例えば負荷要求に係る情報を取得する。また、制御部30内には、発電量に応じた量の酸化ガスが取り込まれるように、例えば負荷要求に応じて予め定められた回転数がマップとして記憶されている。そのため、制御部30のCPUは、取得した負荷要求に基づいて上記マップを参照して回転数を設定し、設定した回転数が実現されるように回転駆動部22に対して駆動信号を出力する。
以上のように構成された本実施例の燃料電池システム15によれば、単セル内酸化ガス流路では外部から取り込んだ空気を外周部から中央部へと流すと共に、単セル内燃料ガス流路では遠心力により外周部に液水および水蒸気を集め、集まった水を利用して、単セル内酸化ガス流路に流入した酸化ガスを加湿しているため、特別な加湿装置を設けることなく、外部から取り込んだ外気である酸化ガスを加湿することができる。これにより、湿度の低いガスを供給することに起因する電解質膜41の乾燥を抑え、電解質膜41の乾燥に起因する電池性能の低下を抑制することができる。
このとき、本実施例では、単セル内酸化ガス流路は渦巻き状に形成されており、単セル内酸化ガス流路内に流入した酸化ガスは電解質膜41の外周に沿って流れる。このように、単セル内燃料ガス流路側において液水および水蒸気が集まる外周部に沿って、湿度が低い酸化ガスが流れることにより、酸化ガスの加湿を効率良く行なうことができる。
本実施例では、燃料電池10を回転させることにより、酸化ガスの加湿に用いる水を単セル内燃料ガス流路の外周部に集めているが、さらに、回転により生じる回転力を利用して、酸化ガスとして用いる外気の取り込みを行なっている。酸化ガス供給マニホールドに対して、ブロワなどを用いて空気を供給することも可能であるが、本実施例の構成によれば、ブロワなどの空気供給用の機器を設ける必要がなく、上記機器とマニホールドとの間の配管を設ける必要もなく、システム構成を簡略化できる。また、酸化ガスを供給するための機器が消費するエネルギが不要となるため、システム全体のエネルギ効率を向上させることができる。
また、本実施例の燃料電池10は、いわゆるアノードデッドエンド型燃料電池であるため、単セル内燃料ガス流路内に窒素や水蒸気等の不純物が蓄積される性質を有するが、回転軸20を中心に回転させて遠心力を加えることにより、単セル内燃料ガス流路内において不純物を外周部に押しやる効果が得られる。したがって、電解質膜41上において、不純物濃度が低く電池反応が活発に進行する領域を、より広く確保することができる。
特に、アノードデッドエンド型燃料電池においては、発電量が多いとき(高負荷時)ほど、単セル内燃料ガス流路の下流側では、より多くの窒素や水が濃縮される。これは、燃料ガス流路における水素のガス量を略一定に制御しているときには、高負荷時ほど消費される水素量が多くなるため、水素の流速に乗って下流側に不純物が溜まることによる。また、高負荷時ほど、電気化学反応に伴って生じる生成水量が多くなると共に、単セル内酸化ガス流路を流れる酸化ガスの流量が増えるため、単セル内燃料ガス流路側へと電解質膜41を介して透過する水蒸気量および窒素量が増えることによる。本実施例では、高負荷時ほど燃料電池10の回転数を増加させることにより、燃料電池10内部で生じる遠心力も高負荷時ほど強まるため、不純物を外周部に押しやる力をさらに強めて、電池反応が活発に進行する領域を確保する効果を高めることができる。なお、実施例では、高負荷時には燃料電池10の回転数を上げることによって酸化ガス流量を確保しているが、酸化ガス供給のためのブロワなどの装置を用いる場合であっても、アノードデッドエンド型燃料電池においては、高負荷時に回転数を高めることによる上記した効果を、同様に得ることができる。
さらに、本実施例の燃料電池10では、アノードデッドエンド型燃料電池であるために単セル内燃料ガス流路に蓄積される水が、電解質膜41上の外周部領域において効率良く酸化ガスの加湿に用いられるため、単セル内燃料ガス流路から積極的に排出すべき水の量を削減することができる。そのため、燃料ガス排出マニホールドに設けたバルブを開放することによって燃料ガス中の不純物を排出する動作を行なう際に、バルブの開放時間を短縮することができる。したがって、バルブの開放に伴い不純物と共に排出される水素量を削減することができる。なお、液水を排出するためには、比較的長い時間バルブを開放する必要があるため、上記のようにバルブの開放時間を短縮する効果が得られるものであり、気体である窒素は、バルブの開放時間をごく短く設定しても、充分な排出が可能である。
なお、燃料電池10が備える電解質膜41上に形成される触媒電極層は、電解質膜41上において表面をガスが流れる領域全体に形成しても良く、あるいは、表面をガスが流れる領域全体よりも狭い、中央部よりの領域に形成しても良い。電解質膜41は、触媒電極層の有無に関わらず、水蒸気分圧差に応じて水を移動させる性質を有するため、触媒電極層をどのような範囲で設けても、遠心力によって単セル内燃料ガス流路内で水が集まる外周部においては、上流部の酸化ガスを加湿する効果を、同様に得ることができる。
ここで、電解質膜41の外周部に集まる不純物の量は、既述したように、燃料電池の発電量の影響を受ける。例えば、電解質膜41上のガスが流れる領域全体に触媒電極層を設ける場合には、燃料電池の発電量が少なく、外周部に集まる不純物量が少ないときには、電解質膜41のより広い範囲を、発電のために機能させることができる。したがって、燃料電池における発電能力を、より高く確保することが可能になる。これに対して、電解質膜41上において、表面をガスが流れる領域全体よりも狭い中央部よりの領域に触媒電極層を設け、電解質膜41の外周部を、触媒を備えず水の透過のみを行なう水蒸気透過部としても良い。このような場合には、不純物濃度が高く、発電への寄与が少ない領域に触媒電極層を設けないことにより、用いる触媒量を削減することができる。なお、表面をガスが流れる電解質膜41表面の内、外周近傍であって触媒電極層が形成される領域は、燃料電池の運転条件によっては、発電にも寄与すると共に、水蒸気分圧差に従った水の移動も行なわれることになる。
D.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
D1.変形例1:
実施例では、単セル内燃料ガス流路は、多孔質体であるガス流路形成部47によって形成したが、異なる構成としても良い。例えば、実施例の単セル内酸化ガス流路と同様に、ガス流路形成部を設けることなく、ガスセパレータ上に凹凸形状を形成し、このような凹凸形状によってガスセパレータとMEAとの間に形成した空間を、単セル内燃料ガス流路としても良い。ガスセパレータ表面に、単セル内燃料ガス流路を形成するために形成する凹凸形状としては、例えば、実施例の単セル内酸化ガス流路側と同様に、渦巻き型の凸部を形成しても良い。この場合には、燃料電池の回転方向を考慮して、流路内を水や水蒸気が外周に導かれるように、渦巻き形状を形成する。すなわち、渦巻きの向きは、燃料電池の回転方向と同じ向きにすればよい。
あるいは、単セル内燃料ガス流路となる空間を形成するためにガスセパレータ上に設ける凸部として、多数の小さな突起を形成しても良い。図5は、図3(C)と同様のガスセパレータ表面に、単セル内燃料ガス流路となる空間を形成するための多数の小さな突起154を形成した様子を表わす説明図である。このように、単セル内燃料ガス流路の形状は、燃料ガス供給マニホールドから燃料ガス排出マニホールドに向かって、触媒電極層が形成された電解質膜41上全体を燃料ガスが流れることができ、遠心力に従って、液水や水蒸気などの不純物が外周に向かって支障なく流れることができればよい。
D2.変形例2:
実施例では、単セル内酸化ガス流路は、渦巻き形状の凸部54によって形成される空間としたが、異なる構成としても良い。例えば、実施例の単セル内燃料ガス流路側と同様に、ガスセパレータ表面は平坦面として形成すると共に、ガスセパレータ上に多孔質なガス流路形成部を配置しても良い。単セル内酸化ガス流路は、外周部から中央部へと酸化ガスを導くことができる形状であればよい。
なお、多孔質なガス流路形成部によって単セル内酸化ガス流路を形成する場合には、燃料電池の外周部において複数の酸化ガス供給マニホールドを設ければ良く、これにより、電解質膜41の外周領域において酸化ガスの流量が少なくなる領域の発生を抑え、酸化ガスの加湿量を確保することができる。ただし、酸化ガスの上流部における加湿効率を向上させるには、酸化ガスの全量を、電解質膜41の外周に沿って流すことが望ましい。そのためには、実施例のように、酸化ガス供給マニホールドから渦巻き形状の単セル内酸化ガス流路へと酸化ガスが供給される構成が望ましい。
D3.変形例3:
実施例の燃料電池10では、燃料ガス供給マニホールドを中央部に設け、燃料ガス排出マニホールドを外周部に設けているが、異なる構成としても良い。すなわち、実施例の燃料電池10のようなアノードデッドエンド型燃料電池では、単セル内燃料ガス流路内全体において水蒸気圧が略飽和水蒸気圧に維持されるため、マニホールドをどのような位置に配置しても、電解質膜41の外周部における燃料ガス中の水蒸気圧を充分に確保できる。そして、燃料電池を回転させて、単セル内燃料ガス流路の外周に液水および水蒸気を集めることによって、外周部における酸化ガスの加湿効率をさらに高めることができる。例えば、外周部に燃料ガス供給マニホールドを設け、中央部に燃料ガス排出マニホールドを設けることとしても良い。
D4.変形例4:
実施例では、燃料電池10をアノードデッドエンド型燃料電池としたが、異なる構成としても良い。例えば、燃料ガス排出マニホールドの一端を開放すると共に、この一端と、燃料ガス供給マニホールドの上流部とを接続する配管を設け、この配管にさらにポンプを設けて、燃料ガスの流路内で水素を循環させる構成とすることができる。あるいは、燃料ガス供給マニホールドに対して、純水素以外の水素含有ガス、例えば、メタンやアルコールなどの炭化水素系燃料を改質した改質ガスを、燃料ガスとして燃料ガス供給マニホールドに供給すると共に、燃料ガス排出マニホールドに集合した燃料ガスを、燃料電池の外部へと排出することとしても良い。
このように、アノードデッドエンド型以外の燃料電池、すなわち、燃料ガスが、燃料ガス排出マニホールドよりも下流へと流れるタイプの燃料電池では、単セル内燃料ガス流路において、上流側では比較的水蒸気圧が低い燃料ガスが流れることになる。そのため、実施例と同様に、燃料ガスと酸化ガスの流れの向きが全体として逆向きになるカウンターフロー型とすることにより、一方のガスにおける水蒸気圧が高い下流側と他方のガスにおける水蒸気圧が低い上流側とが電解質膜を介して接するため、双方のガスの上流部分の加湿を良好に行なうことが可能となる。
また、アノードデッドエンド型以外の燃料電池では、燃料ガスが、燃料ガス排出マニホールドよりも下流へと流れるため、単セル内燃料ガス流路の下流側である外周部に、水蒸気や窒素などの不純物が蓄積されることがない。したがって、アノードデッドエンド型以外の燃料電池では、電解質膜41の全面に触媒電極層を形成することにより、発電可能領域を広く確保する効果を顕著に得ることができる。
D5.変形例5:
実施例では、カソードに供給する酸化ガスとして空気を用いたが、他種の酸素含有気体を用いても良い。飽和水蒸気圧よりも水蒸気圧が低い酸素含有気体を酸化ガスとして用い、単セル内酸化ガス流路の上流部を単セルの外周部に形成し、この外周部において、燃料ガスが有する水蒸気を利用して酸化ガスを加湿するならば、実施例と同様の効果が得られる。
D6.変形例6:
実施例では、電解質膜41の外周部を、単セル内燃料ガス流路側から単セル内酸化ガス流路側へと水蒸気が移動する水蒸気透過部としたが、異なる構成としても良い。水蒸気分圧差に応じて一方の面側から他方の面側へと水蒸気が移動し、水素および酸素等のガスを実質的に遮断できる膜であれば、触媒電極層を設けた電解質膜のさらに外側に配置することにより、水蒸気透過部として同様に用いることができる。
燃料電池システム15の概略構成を表わす説明図である。 燃料電池10を構成するスタックの構成の概略を表わす断面模式図である。 ガスセパレータ48、MEA44等の外観を平面図に表わす説明図である。 燃料電池10内部におけるガス流れを模式的に表わす説明図である。 表面に突起154を形成したガスセパレータを表わす説明図である。
符号の説明
10…燃料電池
15…燃料電池システム
18…開口部
20…回転軸
21…貫通孔
22…回転駆動部
30…制御部
40…単セル
41…電解質膜
42…カソード
43…アノード
44…MEA
45,46…ガス拡散層
47…ガス流路形成部
48…ガスセパレータ
50,51…樹脂フレーム
52…穴部
54…凸部
55〜57…溝
58,59…シール部
60〜64…穴部
154…突起

Claims (8)

  1. 燃料電池であって、
    板状の単セルと、
    前記単セルを面方向に垂直に貫通して設けられ、前記単セルの回転の中心となる回転軸と
    を備え、
    前記単セルは、
    固体高分子電解質から成る電解質膜と、
    前記電解質膜の両面に形成された触媒電極層と、
    一方の前記触媒電極層上に形成され、前記電解質膜の外周部側から前記回転軸の近傍へ向けて酸化ガスを導く単セル内酸化ガス流路と、
    他方の前記触媒電極層上に形成されて燃料ガスを導くと共に、前記回転軸を中心として前記単セルが回転する際に、前記回転軸側から前記電解質膜の外周部側への水の移動を許容する形状に形成された単セル内燃料ガス流路と
    を備える燃料電池。
  2. 請求項1記載の燃料電池であって、さらに、
    前記電解質膜と略同一面上において、前記触媒電極層が形成されている領域よりも外側に設けられた水蒸気透過部であって、前記酸化ガスが流れる面側と前記燃料ガスが流れる面側との間で、水蒸気分圧の高い側から低い側へと水蒸気を透過させる水蒸気透過部を備える
    燃料電池。
  3. 請求項2記載の燃料電池であって、
    前記水蒸気透過部は、前記電解質膜の外周近傍領域である
    燃料電池。
  4. 請求項1ないし3いずれか記載の燃料電池であって、
    前記単セル内酸化ガス流路は、前記電解質膜の外周部側から前記回転軸側に向かう渦巻き状に形成される
    燃料電池。
  5. 請求項1ないし4いずれか記載の燃料電池であって、
    前記単セル内燃料ガス流路は、前記回転軸の近傍から前記電解質膜の外周部側へ向けて前記燃料ガスを導く
    燃料電池。
  6. 請求項1ないし5いずれか記載の燃料電池であって、
    複数の前記単セルを積層して成るスタックによって構成され、
    前記回転軸は、前記積層の方向と平行に、前記スタックを貫通して設けられ、
    前記燃料電池は、さらに、
    前記スタックの側壁面において開口する第1の開口部を有すると共に、該第1の開口部を介して前記スタックの外部と前記単セル内酸化ガス流路とを連通させる第1の連通路と、
    前記スタックの外壁面の前記第1の開口部とは異なる位置に開口する第2の開口部を有すると共に、前記第2の開口部を介して前記スタックの外部と前記単セル内酸化ガス流路とを連通させ、前記第1の連通路および前記単セル内酸化ガス流路を通過した前記酸化ガスを前記スタックの外部へと導く第2の連通路と
    を備える燃料電池。
  7. 請求項1ないし6いずれか記載の燃料電池であって、
    前記単セル内燃料ガス流路内に前記燃料ガスを滞留させた状態で発電を行なう
    燃料電池。
  8. 燃料電池システムであって、
    請求項6または7記載の燃料電池と、
    前記回転軸を所定の回転数で回転させる回転駆動部と、
    前記燃料電池に対する負荷要求が大きいほど、前記単セルを回転させる際の回転数が大きくなるように前記回転駆動部を駆動する回転制御部と
    を備える燃料電池システム。
JP2006207698A 2006-07-31 2006-07-31 燃料電池 Pending JP2008034281A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006207698A JP2008034281A (ja) 2006-07-31 2006-07-31 燃料電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006207698A JP2008034281A (ja) 2006-07-31 2006-07-31 燃料電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008034281A true JP2008034281A (ja) 2008-02-14

Family

ID=39123473

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006207698A Pending JP2008034281A (ja) 2006-07-31 2006-07-31 燃料電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008034281A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009094059A (ja) * 2007-09-21 2009-04-30 Nishihara Koki:Kk 高分子型燃料電池
JP2010055995A (ja) * 2008-08-29 2010-03-11 Honda Motor Co Ltd 燃料電池スタック及びその設置方法
JP2011525693A (ja) * 2008-06-23 2011-09-22 ヌヴェラ・フュエル・セルズ・インコーポレーテッド 物質移動の限界を低減させた燃料電池

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009094059A (ja) * 2007-09-21 2009-04-30 Nishihara Koki:Kk 高分子型燃料電池
JP2011525693A (ja) * 2008-06-23 2011-09-22 ヌヴェラ・フュエル・セルズ・インコーポレーテッド 物質移動の限界を低減させた燃料電池
US9005835B2 (en) 2008-06-23 2015-04-14 Nuvera Fuel Cells, Inc. Fuel cell with reduced mass transfer limitations
JP2010055995A (ja) * 2008-08-29 2010-03-11 Honda Motor Co Ltd 燃料電池スタック及びその設置方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102593276B1 (ko) 연료 전지 시스템을 위한 물 분리기가 통합된 가습기, 연료 전지 시스템 및 이를 포함한 차량
US7566511B2 (en) Solid polymer cell assembly
US7749661B2 (en) High performance, compact and low pressure drop spiral-wound fuel cell humidifier design
JP4072707B2 (ja) 固体高分子電解質型燃料電池発電装置とその運転方法
JP5321086B2 (ja) 燃料電池
KR20190055602A (ko) 연료전지 막가습기
JP7438692B2 (ja) 燃料電池用加湿器
JP2007323813A (ja) 固体高分子形燃料電池システム
JP2008034281A (ja) 燃料電池
JP4665353B2 (ja) 固体高分子電解質型燃料電池発電装置とその運転方法
KR102437728B1 (ko) 연료전지용 가습기의 카트리지 및 연료전지용 가습기
JP5028854B2 (ja) 燃料電池システム
JP5947152B2 (ja) 燃料電池の運転方法
KR20190035002A (ko) 이종 재질의 중공사막을 구비한 중공사막 모듈 및 이를 포함하는 연료전지 막가습기
JP4790964B2 (ja) 除加湿装置付き燃料電池
EP2375485B1 (en) Fuel cell system
KR20220086313A (ko) 연료전지용 가습기의 카트리지 및 연료전지용 가습기
JP2008027744A (ja) 燃料電池システム
JP2008146897A (ja) 燃料電池用セパレータおよび燃料電池
JP2001338656A (ja) 燃料電池
Apblett et al. Fabrication and testing of a miniature H2/O2 and MeOH/O2 fuel cell
KR100550955B1 (ko) 가습막 일체형 연료전지용 막-전극-가스켓 접합체
JP2009245892A (ja) 水素流路及び水素流路を備える燃料電池
JP2002246043A (ja) 固体高分子電解質型燃料電池
JP2013069536A (ja) 燃料電池システム