JP2008032998A - 光拡散性シートとその製造方法およびその用途 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の光拡散性シートは、透明性基材に透明性微粒子を含有させた光拡散層1が主層2の上に積層されてなる光拡散性シートであって、前記透明性微粒子の屈折率(Nd)と前記透明性基材の屈折率(Nb)との差(|Nd−Nb|)が0.015〜0.04であるとともに、前記光拡散層表面においてはJIS−B0601:1994準拠の十点平均粗さ(Rz)と凹凸の平均間隔(Sm)との比率(Rz/Sm)が0.01以下であり、JIS−K7136準拠のヘイズが30〜80%である。
【選択図】 図1
Description
詳しくは、前述したように、光拡散層に添加する透明性微粒子としては基材との屈折率の差ができるだけ小さい微粒子を用いる方が好ましいと考えられていたが、基材との屈折率の差が0に近い透明性微粒子を透明性基材に添加すると、基材内部では光は殆ど拡散せず、層の表面に突出した透明性微粒子による光拡散効果が大部分を占めることになる。つまり、光拡散層表面の透明性微粒子の状態、すなわち光拡散層の表面状態がシンチレーションに大きく影響することになるのである。しかし、成形等の条件によっては、シンチレーションの少ない最適な表面状態に成形するのが困難な場合もある。また、層の表面に多くの透明性微粒子を突出させるには、大量の透明性微粒子を透明性基材に添加することが必要となるが、コスト面で不利になる。そのため、通常は、基材との屈折率の差が僅かにある透明性微粒子が好ましく使用されていた。ところが、基材との屈折率の差が僅かにある透明性微粒子を用いた場合にも、やはり光拡散層の表面状態によってシンチレーションの程度は左右され、光拡散層外部の光拡散(表面の凹凸と空気との界面での光拡散)と、光拡散層内部の光拡散(透明性微粒子と基材との界面での光拡散)とのバランスによっては、シンチレーション低減効果が充分に得られない場合が生じていたのである。
本発明における光拡散層1は、透明性基材に透明性微粒子を含有させた層である。
以上のように、本発明の光拡散性シートは、透明性微粒子と透明性基材の屈折率差|Nd−Nb|が0.015〜0.04であり、ヘイズが30〜80%であり、Rz/Smが0.01以下であり、これらの要件を満たすことにより、輝度性能を維持しつつシンチレーションが少ない優れたスクリーンを提供しうるシートとなる。
・透明性基材:低吸湿アクリル樹脂(住友化学株式会社製「スミペックス HS」;Nb=1.533)
第1押出機(田辺プラスチック株式会社製;スクリュー径40mm、一軸、ベント付き)に、透明性基材を投入した。他方、第2押出機(田辺プラスチック株式会社製;スクリュー径20mm、一軸、ベント付き)には、透明性基材に透明性微粒子を混合し、表1に示す微粒子濃度(透明性基材および透明性微粒子の合計量に対する透明性微粒子の割合)になるよう希釈したものを投入した。次いで、第1押出機および第2押出機から共押出成形した後、図2に示す3本の冷却ロール(ポリシングロール、縦型)にて冷却し、積層シート(光拡散性シート)を得た。このとき、マルチマニホールドダイ(田辺プラスチック株式会社製;2種3層分配)の上側を閉じ下側を開いて共押出しすることで、積層シートのうち第2押出機から押出された層の面が第二冷却ロールに接するようにし、かつ、第二冷却ロールと第三冷却ロールとの間は積層シートに線圧がかかるよう圧着した状態で通過させた。
得られた光拡散性シートの物性(ヘイズ、Rz/Sm等)およびシンチレーションの評価結果は表1に示す通りであった。実施例1の光拡散性シートは、ヘイズがほぼ同じ比較例1に比べてシンチレーションが少ないことが明らかであった。
第1押出機(田辺プラスチック株式会社製;スクリュー径40mm、一軸、ベント付き)に、透明性基材を投入した。他方、第2押出機(田辺プラスチック株式会社製;スクリュー径20mm、一軸、ベント付き)には、透明性基材に透明性微粒子を混合し、表1に示す微粒子濃度(透明性基材および透明性微粒子の合計量に対する透明性微粒子の割合)になるよう希釈したものを投入した。次いで、第1押出機および第2押出機から共押出成形した後、図2に示す3本の冷却ロール(ポリシングロール、縦型)にて冷却し、積層シート(光拡散性シート)を得た。このとき、マルチマニホールドダイ(田辺プラスチック株式会社製;2種3層分配)の上側を開き下側を閉じて共押出しすることで、積層シートのうち第1押出機から押出された層の面が第二冷却ロールに接するようにし、かつ、第二冷却ロールと第三冷却ロールとの間を積層シートの全厚よりわずかに広く設定しておくことで、積層シートに線圧がかからないようにした。
得られた光拡散性シートの物性(ヘイズ、Rz/Sm等)およびシンチレーションの評価結果は表1に示す通りであった。比較例1の光拡散性シートは、Rz/Smが本発明の範囲を外れているため、へイズがほぼ同じ実施例1と比較してシンチレーションが多いことが判る。
第2押出機に投入する透明性微粒子の濃度(透明性基材および透明性微粒子の合計量に対する透明性微粒子の割合)を6.0質量%とし、第2押出機の押出し速度を半減することで光拡散層の厚み(表層厚)を約半分にしたこと以外は、実施例1と同様にして光拡散性シートを得た。
得られた光拡散性シートの物性(ヘイズ、Rz/Sm等)およびシンチレーションの評価結果は表2に示す通りであった。実施例2の光拡散性シートは、ヘイズがほぼ同じ比較例2に比べてシンチレーションが少ないことが明らかであった。
第2押出機に投入する透明性微粒子の濃度(透明性基材および透明性微粒子の合計量に対する透明性微粒子の割合)を表2に示すようほぼ半分にするとともに第2押出機の押出し速度を半減することで光拡散層の厚み(表層厚)を約半分にしたこと以外は、比較例1と同様にして光拡散性シートを得た。
得られた光拡散性シートの物性(ヘイズ、Rz/Sm等)およびシンチレーションの評価結果は表1に示す通りであった。比較例2の光拡散性シートは、Rz/Smが本発明の範囲を外れているため、へイズがほぼ同じ実施例2と比較してシンチレーションが多いことが判る。
2 主層
3 積層シート
3a 光拡散層
3b 主層
4 第一冷却ロール
5 第二冷却ロール
6 第三冷却ロール
7 ダイ
10 光拡散性シート(フレネルレンズ)
11 レンチキュラーレンズ
Claims (3)
- 透明性基材に透明性微粒子を含有させた光拡散層が主層の上に積層されてなる光拡散性シートであって、
前記透明性微粒子の屈折率(Nd)と前記透明性基材の屈折率(Nb)との差(|Nd−Nb|)が0.015〜0.04であるとともに、前記光拡散層表面においてはJIS−B0601:1994準拠の十点平均粗さ(Rz)と凹凸の平均間隔(Sm)との比率(Rz/Sm)が0.01以下であり、JIS−K7136準拠のヘイズが30〜80%である、ことを特徴とする光拡散性シート。 - 透明性微粒子および透明性基材を含んでなる光拡散層形成材料と主層形成材料とをダイから共押出しした後、押出された積層シートを複数の冷却ロールにて冷却して、請求項1に記載の光拡散性シートを製造する方法であって、
押出された直後の積層シートは、第一冷却ロールと該第一冷却ロールに隣接する第二冷却ロールとの間を光拡散層側が第二冷却ロールに接する状態で通過させた後、同状態のまま第二冷却ロール上で冷却し、次いで、第二冷却ロールと該第二冷却ロールに隣接する第三冷却ロールとの間を線圧がかかった状態で通過させて第三冷却ロールに送るようにする、ことを特徴とする光拡散性シートの製造方法。 - レンチキュラーレンズと組み合わされてプロジェクションテレビ用光拡散性スクリーンを構成するフレネルレンズであって、請求項1記載の光拡散性シートを用いてなる、ことを特徴とするフレネルレンズ。
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