JP2008027864A - 有機el素子及び有機el素子用波長変換ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便な構造を有すると共に発光効率が高い調色性を備えた有機EL素子を提供する。
【解決手段】二つの電極1,2と、前記電極1,2間に介在する発光層3と、前記発光層3から発せられる光の取り出し側に配置され前記光の波長を変換する波長変換ユニットBとを具備する。前記波長変換ユニットBが、波長変換媒体5を備える波長変換層4と、前記波長変換層4における光の透過方向と直交する方向の面積当たりの前記波長変換媒体5の含有量を変化させることで前記波長変換層4における波長変換特性を調整する調整手段6とを具備する。波長変換層4を通過した後の光の波長を調整して、発光効率を低下させることなく発光色を変更することができ、簡便な構造にて高い調色性を発揮することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶表示機用バックライトや照明光源等に用いることができ、且つ発せられる光の波長を調整することが可能な有機EL素子、並びに前記有機EL素子から発せられる光の波長を調整可能とするための有機EL素子用波長変換ユニットに関するものである。
有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子は、自発光であること、比較的高効率の発光特性を示すこと、各種の色調で発光可能であること等の特長を有し、表示装置、例えばフラットパネルディスプレイ等の発光体として、あるいは光源、例えば液晶表示機用バックライトや照明への活用が期待され、また一部のものはすでに実用化されている。これらの用途に有機EL素子を応用展開するために、より高効率、長寿命、高輝度等の優れた特性を有する有機EL素子が望まれている。さらに、有機EL素子は、その発光が得られる角度が大きいことが知られている。典型的な有機EL素子においては、その発光パターンは完全拡散面からの光に準じるものであり、この性質は、視認性の高いELディスプレイの実現、発光品位の高い発光装置への応用可能性を示唆するものである。
有機EL素子の一般的な構造として、透明基板の表面に形成された透明電極からなる陽極上に、ホール輸送層、発光層、電子注入層、金属膜からなる陰極が順に積層されたものが知られている。陽極と陰極に電圧を印加することによって発光層で発光した光は、透明電極、透明基板を通して取り出されるものである。
有機ELの発光色は、前記有機EL素子を構成する発光層の特性に大きく支配される。一般に、所望の波長で発光する材料を単独でもしくは複数の材料を組み合わせて発光層とすることで、その発光材料からの発光色が得られる。また、有機EL素子の構造、特に膜厚、屈折率等の光学特性を調整することで、前述の発光色をある範囲で調整することも可能である。その他、有機EL素子の光取り出し側に波長変換層を設け、発光波長を変換することによって所望の発光色を得る例も知られている。
しかし、発光色は前述の如く、有機EL素子を構成する材料、構造によって決定されるため、実際に有機EL素子を駆動使用する際の有機EL素子からの発光色自体を変化させることは困難である。
このため、たとえば複数の異なる色で発光する有機EL素子をディスプレイの画素の如く並置しそれぞれの出力を変化させることにより調色性を付与することも行われているが、この場合は複数の各有機EL素子は混色の観点では小さいことが好ましく、そのためにはディスプレイに準じる複雑な構造をとる必要があり、特に有機EL素子を光源として用いる場合には必ずしも好ましい手段ではない。
また、有機EL素子が薄膜素子であることを利用し複数の異なる色で発光する有機EL素子を積層し、それぞれの出力を変化させることによって調色性を付与することも行われており、例えば特許文献1では複数の有機EL素子を積層して配置し、それを独立に駆動することで調色可能な照明装置を得る方法が開示され、また特許文献2では、両方の電極が透明である複数の有機EL素子を積層して用い、それにより発光色を任意に可変できる構造の器具が提案されているが、これらのものでは光源の一例として透明型の有機EL素子を用いることしか述べられていないものであって、有機EL素子の特性を有効に活用したものではなく、また陰極と陽極に共に透明素子電極を用いるためにこれらの電極における電気抵抗が大きくなって電力ロスが生じ、特に大面積化の際には問題となってしまう。
このように、元来多彩な発光色を呈するものとのイメージもある有機EL素子は、特に光源分野においては単に各色で発光するのみならず調色性を有しているならばその利用価値が高まるが、現状では、構造の簡便さ、効率の観点で十分な調色性を実現できる方法が提案されていない。
特開2002−260859号公報 特開2003−288995号公報
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、簡便な構造を有すると共に発光効率が高い調色性を備えた有機EL素子及びこの有機EL素子に用いられる波長変換ユニットを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、発光層3の光取り出し側に、光の波長を変換する波長変換ユニットBを配置し、波長変換ユニットBに波長変換媒体5を含有させると共に、この波長変換媒体5の、光の透過方向と直交する方向の面積当たりの含有量を変化可能に形成した波長変換層4を設けることによって、波長変換特性を調整可能に形成し、波長変換層4の波長変換能を必要に応じて変化させることで有機EL素子Aに調色性を付与することが可能であることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、請求項1に係る有機EL素子Aは、二つの電極1,2と、前記電極1,2間に介在する発光層3と、前記発光層3から発せられる光の取り出し側に配置され前記光の波長を変換する波長変換ユニットBとを具備し、前記波長変換ユニットBが、波長変換媒体5を備える波長変換層4と、前記波長変換層4における光の透過方向と直交する方向の面積当たりの前記波長変換媒体5の含有量を変化させることで前記波長変換層4における波長変換特性を調整する調整手段6とを具備することを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1において、上記波長変換ユニットBが、波長変換層4として波長変換媒体5を収納すると共に弾性変形することで内部の波長変換媒体5の厚みを変更することができる弾性容器7を具備し、調整手段6として前記弾性容器7を弾性変形させて波長変換媒体5の厚みを変化させる厚み変更手段6aを具備することを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1において、上記波長変換ユニットBが、上記波長変換層4として波長変換媒体5を含有する弾性体フィルム8を具備し、上記調整手段6として前記弾性体フィルム8を伸縮させる伸縮手段6bを具備することを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1において、上記波長変換ユニットBが、上記波長変換層4として波長変換媒体5を含有するメッシュ状フィルム9を具備し、上記調整手段6として前記メッシュ状フィルム9のメッシュの密度を変化させる密度変更手段を具備することを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1において、上記波長変換ユニットBが、上記波長変換層4として着磁性を有する波長変換媒体5を含む液体10を収容する容器11を具備し、上記調整手段6として前記波長変換媒体5を励磁して前記容器11内の液体10中の波長変換媒体5の濃度を変化させる濃度変更手段6dを具備することを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1において、上記波長変換ユニットBが、上記波長変換層4として電荷を帯びた波長変換媒体5を含む液体12を収容する容器11を具備し、上記調整手段6として前記容器11内の波長変換媒体5を電気的に移動させて前記容器11内の液体12中の波長変換媒体5の濃度を変化させる濃度変更手段6eを具備することを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項1乃至6のいずれか一項において、複数の波長変換ユニットBが、積層または並置にして設けられていることを特徴とする。
請求項8に係る発明は、請求項1乃至7のいずれか一項において、波長変換ユニットBの発光層3とは反対側に光散乱性を有する光学部材が配置されていることを特徴とする。
請求項9に係る有機EL用波長変換ユニットBは、波長変換媒体5を備える波長変換層4と、前記波長変換層4における光の透過方向と直交する方向の面積当たりの前記波長変換媒体5の含有量を変化させることで前記波長変換層4における波長変換特性を調整する調整手段6とを具備することを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、発光層3から発せられる光の波長を波長変換層4によって変換することで、発光層3から発せられる光とは異なる色の光を発することができ、且つ、調整手段6によって波長変換層4における光の透過方向と直交する方向の面積当たりの前記波長変換媒体5の含有量を変化させることで、波長変換層4における波長変換特性を調整することで、波長変換層4を通過した後の光の波長を調整して、発光効率を低下させることなく発光色を変更することができ、簡便な構造にて高い調色性を発揮することができ、特に照明光源等に好適に用いることができるものである。
請求項2に係る発明によれば、厚み変更手段6aにより波長変換媒体5の厚みを変更すると、波長変換層4における光の透過方向と直交する方向の面積当たりの前記波長変換媒体5の含有量を変更することができ、波長変換層4における波長変換媒体5を光が通過する際の波長変換特性を変化させることができ、これにより、波長変換層4を通過した後の光の波長を調整することができるものである。
請求項3に係る発明によれば、伸縮手段6bにより波長変換層4である弾性体フィルム8が伸縮すると、それに応じて波長変換層4における光の透過方向と直交する方向の面積当たりの前記波長変換媒体5の含有量を変更することができ、波長変換層4における波長変換媒体5を光が通過する際の波長変換特性を変化させることができて、これにより、波長変換層4を通過した後の光の波長を調整することができるものである。
請求項4に係る発明によれば、密度変更手段によりメッシュ状フィルム9のメッシュの密度が増減すると、波長変換媒体5が存在しない網目の面積が変化することにより、波長変換層4における光の透過方向と直交する方向の面積当たりの前記波長変換媒体5の含有量を変更することができ、波長変換層4における波長変換媒体5を光が通過する際の波長変換特性を変化させることができて、これにより、波長変換層4を通過した後の光の波長を調整することができるものである。
請求項5に係る発明によれば、濃度変更手段6dにより容器11内において波長変換媒体5の濃度が増減すると、波長変換層4における光の透過方向と直交する方向の面積当たりの前記波長変換媒体5の含有量を変更することができ、波長変換層4における波長変換媒体5を光が通過する際の波長変換特性を変化させることができて、これにより、波長変換層4を通過した後の光の波長を調整することができるものである。
請求項6に係る発明によれば、濃度変更手段6eにより容器11内において波長変換媒体5の濃度が増減すると、波長変換層4における光の透過方向と直交する方向の面積当たりの前記波長変換媒体5の含有量を変更することができ、波長変換層4における波長変換媒体5を光が通過する際の波長変換特性を変化させることができて、これにより、波長変換層4を通過した後の光の波長を調整することができるものである。
請求項7に係る発明によれば、複数の波長変換ユニットBの配置パターンを調整することにより、更に広い範囲で有機EL素子Aの発光色を調整することができるものである。
請求項8に係る発明によれば、光学部材によって有機EL素子Aからの発光を散乱させることにより、有機EL素子Aからの光の取り出し効率を向上すると共に、光路長の違いによる干渉に起因する発光色の角度依存性を低減することができるものである。
請求項9に係る発明によれば、波長変換ユニットBを有機EL素子Aに適用することにより、発光層3から発せられる光の波長を波長変換層4によって変換することで、発光層3から発せられる光とは異なる色の光を発することができ、且つ、調整手段6によって波長変換層4における光の透過方向と直交する方向の面積当たりの前記波長変換媒体5の含有量を変化させることで、波長変換層4における波長変換特性を調整することで、波長変換層4を通過した後の光の波長を調整して、発光効率を低下させることなく発光色を変更することができ、簡便な構造にて高い調色性を発揮することができ、特に照明光源等に好適に用いることのできるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は本発明の実施の形態の一例を示すものである。光透過性の基板14上に、光透過性の電極1、発光層3、光反射性の電極2が形成された構造を有する。光透過性の基板14の光の取り出し側に、光透過性の基板14に対して発光層3とは反対側に、波長変換層4を含む波長変換ユニットBが設けられている。以下、前記有機EL素子Aの構成のうち波長変換ユニットBを除く部分を有機発光体Cと称する。
光透過性の基板14としては、特に限定はしないが、ガラス板、樹脂板、あるいはフィルムおよびこれに準じるもの、たとえば、プラスチックシート、ガラスとプラスチックの複合体、光透過性セラミック板、樹脂硬化体、有機無機ハイブリッド材料からなるシート・フィルムなどを用いることができる。また、その表面もしくは内面に散乱構造や回折構造、レンズ構造が形成されているものでもかまわない。
光透過性の電極1に用いられる材料としては、有機発光素子の機能を損ねない限り特に限定されるものではないが、ITO、IZO、AZO、GZO、ATO、SnO2等の透明導電膜、Ag、Au、Al等の金属薄膜、導電性有機材料や、あるいはこれらを組み合わせたものを好適に用いることができる。また、光透過性の電極1の抵抗を低減するために、金属等の補助電極を併用してもかまわない。補助電極は線状に形成しても良いし、面状に形成しても良い。
光反射性の電極2に用いられる材料としては、アルミニウム、マグネシウム−銀混合物、マグネシウム−インジウム混合物、アルミニウム−リチウム合金、Al/Al23混合物、Al/LiF混合物等が挙げられる。
この光透過性の電極1と光反射性の電極2は、前者を陰極とすると共に後者を陽極としても良く、また逆に前者を陽極とすると共に後者を陰極しても良い。
発光層3は、公知の任意の組成・構造で形成することができる。例えば単一の材料で発光する発光層3、いわゆるホスト材料中にドーパントを導入したドープ型発光層3、異なる組成からなる2層以上の発光層3を積層もしくは併置した構造を有する発光層3など、任意の態様に形成することが可能である。また必要に応じて、ホール輸送層、ホール注入層、電子輸送層、電子注入層、キャリアブロック層等を発光層3と電極1,2との間に積層することもできる。また、発光層3やあるいは発光層3とこれらのホール輸送層等を等電位面もしくは電荷発生層を介して積層した、いわゆる積層型・タンデム型・マルチフォトン型に形成することも可能である。等電位面もしくは電荷発生層としては、例えば、Ag、Au、Al等の金属薄膜、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化レニウム、酸化タングステン等の金属酸化物、ITO、IZO、AZO、GZO、ATO、SnO等の透明導電膜、いわゆるn型半導体とp型半導体の積層体、金属もしくは透明導電膜とn型および/またはp型半導体との積層膜、p型半導体とn型半導体の混合物、p型および/またはn型半導体と金属の混合物、などが例として挙げられる。n型/p型半導体は、無機材料であっても、有機材料であっても、あるいは有機材料と金属との混合物、有機材料と金属酸化物、有機材料と有機系アクセプタ/ドナー、無機系アクセプタ/ドナー等の組み合わせによって得られるものであっても、特に限定することなく必要に応じて選定することができる。
上記有機発光体Cの構成は一例であり、有機発光体Cの構造やそれを構成する材料には、本発明の効果を損なわない限り、任意の構造のもの、任意の材料から構成されるものを用いることができる。また、上記の例では、光透過性の基板14を通して光を取り出すいわゆるボトムエミッション構造の有機発光体Cを記したが、光透過性の電極1を通して光を取り出すいわゆるトップエミッション構造のデバイスであってもかまわない。
また、有機発光体Cを構成する光透過性の基板14と、波長変換ユニットBを構成する後述する弾性容器7における光透過性基板15とが共通のものであっても良い。
上記波長変換ユニットBは、波長変換媒体5を備える波長変換層4と、前記波長変換層4における光の透過方向と直交する方向の面積当たりの前記波長変換媒体5の含有量を変化させることで前記波長変換層4における波長変換特性を調整する調整手段6とを具備する。ここで、本明細書においては波長変換媒体5とは、特定の波長範囲の光を吸収して異なる波長の光を放出する波長変換特性を有する物質又はこのような物質を含む混合物を意味する。
上記調整手段6としては、波長変換層4における波長変換媒体5の含有量を上記のように変化させることが可能な適宜のものが設けられるものであり、例えば波長変換媒体5の厚み、濃度(占有面積を含む)等を変更可能なものを設けることができる。
波長変換ユニットBの構成の第一例を図2に示す。本例では、波長変換層4として波長変換媒体5を収納すると共に弾性変形することで内部の波長変換媒体5の厚みを変更することができる弾性容器7を具備し、調整手段6として前記弾性容器7を弾性変形させて波長変換媒体5の厚みを変化させる厚み変更手段6aを具備するものである。
弾性容器7の構成は本発明に必要な機能を有するものであれば特に限定せず、また弾性容器7は全体が弾性変形するほか、一部のみが弾性変形するように形成しても良い。
例えば二枚の光透過性基板15を隙間をあけて対向させると共に、この光透過性基板15の外縁全体においてこの光透過性基板15の間に弾性体16を配置し、この弾性体16を各光透過性基板15に隙間無く接合して弾性容器7を形成することができる。この弾性容器7の二枚の光透過性基板15に挟まれた内部に、波長変換媒体5が収容される。この場合、弾性体16が弾性変形して伸縮することにより光透過性基板15の間の間隔が増減し、これに従って波長変換媒体5の厚みが変化する。ここで、弾性容器7における光透過性基板15としては、例えば上記有機発光体Cにおける光透過性の基板14と同一の材料から形成されたものを挙げることができる。また、弾性容器7における弾性体16は、例えばシリコーンゴムシートを挙げることができる。
また、弾性容器7を柔軟な光透過性樹脂にて形成して、弾性容器7全体を弾性体にて形成することもできる。
また、厚み変更手段6aとしては、弾性容器7に外力を加えることでその内部の波長変換媒体5の厚みを増減させることができるものを挙げることができる。すなわち、上記のような二つの光透過性基板15を有する弾性容器7の場合はこの光透過性基板15を移動させてその間隔を増減させるものを設けることができ、柔軟な光透過性樹脂にて形成されている弾性容器7の場合はこの弾性容器7全体を変形させることができるものを設けることができる。
このような厚み変更手段6aとしては特に限定はされないが、適宜のアクチュエータ、例えば液圧ピストン、ギア、エアシリンダー、液体シリンダー等を設けることができる。
また、厚み変更手段6aとしては、上記弾性容器7へ波長変換媒体5を供給することにより上記弾性容器7内に収容されている波長変換媒体5の量を増大させると共にこの弾性容器7内を加圧することで、弾性容器7を弾性変形させると共に内部の波長変換媒体5の厚みを増大させ、また弾性容器7から波長変換材料を取り出すことにより弾性容器7内に収容されている波長変換媒体5の量を減少させると共にこの弾性容器7内を減圧することで、弾性容器7を弾性変形させると共に内部の波長変換媒体5の厚みを減少させるものを設けることができる。
このような厚み変更手段6aとしては、例えば図2に示すように弾性容器7と接続された貯留タンク17を設けると共にこの貯留タンク17に波長変換媒体5を貯蔵し、この貯留タンク17と弾性容器7内とを接続する経路18に、貯留タンク17と弾性容器7との間で波長変換媒体5を移送するポンプ等の移送手段(図示せず)を設けて構成することができる。この場合、ポンプ等にて弾性容器7に波長変換媒体5を供給し或いは取り出することで、この弾性容器7内に正圧もしくは負圧をかけ、それによって弾性容器7内における波長変換媒体5の厚みを変化させるものである。また、このように弾性容器7と貯留タンク17の間にポンプを設けるほか、貯留タンク17が適宜の加圧・減圧機構を有するものでも良い。
このような構造を有する波長変換ユニットBは、厚み変更手段6aを作動させることで弾性容器7内に収容されている波長変換媒体5の厚みが変化し、波長変換層4における光の透過方向と直交する方向の面積当たりの前記波長変換媒体5の含有量が増減するため、波長変換層4における波長変換媒体5を光が通過する際の波長変換特性が変化する。波長変換層4における波長変換媒体5の厚みは、この波長変換媒体5が有する波長変換効率に応じて適宜の範囲で変化するように形成されるが、概して10μm〜50mmの範囲とすることが好ましい。
この場合の波長変換媒体5としては、流動性を有するものを用いることが好ましく、例えば波長変換特性を有する物質を溶媒に分散又は溶解させた分散液又は溶液や、波長変換特性を有する流動性のある粉体等、すなわち有機蛍光色素を液体に溶解させたもの、有機蛍光色素や無機蛍光体を液体に分散させたもの、有機蛍光色素や無機蛍光体を含む粉体等のように、溶液、分散液、液体、固体を問わず、有機EL素子Aの発光を波長変換する機能を有すると共に流動性を有するものであれば適宜用いることができる。
有機蛍光色素や無機蛍光体を溶媒に分散或いは溶解させた波長変換媒体5においては、有機蛍光色素、無機蛍光体等の種類は特に限定されず、有機発光体Cから取り出される光の波長が、波長変換層4を通過する際に所望の波長に変換されるように、適宜選択されるものであり、また蛍光量子収率が高いものであることが好ましい。具体的には、例えばレーザー色素や有機ELのドーパント等として知られるDCM、ナイルレッド、ローダミン、ルブレンなどを始め、各種の色素、たとえばクマリン系色素、ペリレン系色素、スチリルアミン系色素、など、あるいはYAGや希土類蛍光体など任意のものを用いることができる。これらの色素等は、必要に応じて複数種を混合して用いても良い。
また有機蛍光色素や無機蛍光体を分散又は溶解させる液体としては、これも特に限定されるものではなく、有機蛍光色素を溶解する有機溶剤、シリコーンオイル、パラフィンオイル、水等や、有機蛍光色素や無機蛍光体を分散する前述と同様の液体等を、必要に応じて適宜選定することができる。
ここで、有機蛍光色素の溶液は、その溶液としての蛍光量子収率が高い値を示すこと、また光その他の原因による経時劣化を抑制することを考慮し、色素と液体の組み合わせ、溶液の脱ガスの状態等を適宜選定・実施することが好ましい。また、有機蛍光色素や無機蛍光体等の分散液の場合も、同じくその蛍光量子収率が高い値を示すこと、また光その他の原因による経時劣化を抑制することを考慮し、色素と液体との組み合わせ、粒径や分散濃度、使用媒体を適宜設定することが望ましい。
有機蛍光色素や無機蛍光体を含む粉体としては、前記波長変換能を有する物質を含む樹脂、ガラス等の粒子が挙げられる。樹脂、ガラス等としては、波長変換能を有する物質を溶解したり分散したりした後に、所望の粒径・形状に成形できるものであれば任意のものを用いることができ、例えばスチロール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂やガラス等を用いることができる。これらの粒子は適宜の液体に分散させて分散流体として用いても良いし、そのまま流動性粉体として用いても良い。また、これらの粒子には、必要に応じて磁気に反応できる物質を含有させたり、帯電させたりすることで、例えば磁気(磁力)、電気(電気泳動)によって吸着され、これら外界の力によって吸着等、移動をコントロールできるものであっても良い。
このように構成される波長変換ユニットBにより、厚み変更手段6aを作動させて波長変換媒体5の厚みを変更すると、波長変換層4における光の透過方向と直交する方向の面積当たりの前記波長変換媒体5の含有量を変更することができ、波長変換層4における波長変換媒体5を光が通過する際の波長変換特性を変化させることができる。これにより、波長変換層4を通過した後の光の波長を調整することができる。
波長変換ユニットBの構成の第二例を図3に示す。
この波長変換ユニットBは、波長変換層4として波長変換媒体5を含有する弾性体フィルム8を具備すると共に、調整手段6として前記弾性体フィルム8を伸縮させる伸縮手段6bを具備する。
弾性体フィルム8としては、引っ張り応力をかけることで容易に伸張させることが可能な適宜のものを用いることができ、例えばシリコーンフィルム、エラストマーフィルム、ゲルフィルム、発泡シート等、変形させるために要する応力が小さいものを用いることが好ましい。
弾性体フィルム8に含有させる波長変換媒体5としては、例えば上述の有機蛍光色素等を用いることができる。
弾性体フィルム8に波長変換媒体5を含有させるにあたっては、弾性体フィルム8を成形する際に成形材料中に波長変換媒体5を混入するなどして、弾性体フィルム8中に波長変換媒体5を分散或いは溶解させるようにしても良く、また弾性体フィルム8の表面に波長変換媒体5を付着させるようにしても良い。
また、伸縮手段6bとしては、弾性体フィルム8に対して面方向に引っ張り応力をかけることにより弾性体フィルム8を伸縮させる適宜のものを設けることができる。図示の例では、伸縮手段6bは、弾性体フィルム8の一端を巻き取る巻取ロール20を備える巻取装置19にて構成されている。このとき弾性体フィルム8の他端は適宜の手段で固定する。これにより、有機発光体Cからの光の取り出し側に弾性体フィルム8が張設されるようにする。
この巻取装置19の巻取ロール20を回転駆動させることにより弾性体フィルム8を巻き取ってこの弾性体フィルム8を伸張させることができ、また巻取ロール20を逆向きに回転駆動させることで弾性体フィルム8を巻き戻すことで弾性体フィルム8を収縮させることができる。
このように波長変換層4である弾性体フィルム8が伸縮すると、それに応じて波長変換層4における光の透過方向と直交する方向の面積当たりの前記波長変換媒体5の含有量を変更することができ、波長変換層4における波長変換媒体5を光が通過する際の波長変換特性を変化させることができる。これにより、波長変換層4を通過した後の光の波長を調整することができる。
波長変換ユニットBの構成の第三例を図4に示す。
この波長変換ユニットBは、波長変換層4として波長変換媒体5を含有するフィルム28を具備すると共に、調整手段6として前記フィルム28を面方向に移動させる移動手段6fを具備する。
フィルム28としては、上記弾性体フィルム8と同様のものを設けても良いが、弾性を有さない適宜のフィルム28を設けても良い。
フィルム28に含有させる波長変換媒体5としては、例えば上述の有機蛍光色素等を用いることができ、上記弾性体フィルム8の場合と同様にしてフィルム28に波長変換媒体5を含有させることができる。このとき、フィルム28の厚みを部分的に変化させ、或いはフィルム28における波長変換媒体5の含有量を部分的に増減させる。
また、移動手段6fとしては、例えばフィルム28の両端をそれぞれ巻き取る巻取ロール20を備える一対の巻取装置19にて構成することができる。各巻取装置19は有機発光体Cの両側に配置され、この巻取装置19間において、有機発光体Cからの光の取り出し側にフィルム28が張設されるようにする。
この一方の巻取装置19の巻取ロール20を回転駆動させてフィルム28を巻き取ると共に、他方の巻取装置19の巻取ロール20からフィルム28を巻き取ることで、フィルム28を一方の巻取装置19に向けて他方の巻取装置19から移動させることができる。それに伴って、フィルム28の有機発光体Cからの光の取り出し側に配置されている領域が、移動前とは厚みの異なる領域、又は波長変換媒体5の含有量が異なる領域となるようにする。また、前記と逆の動作をすることにより、フィルム28を一方の巻取装置19から他方の巻取装置19に向けて移動することができ、これによりフィルム28を移動前の状態に戻すことができる。
このように波長変換層4であるフィルム28を移動させると、波長変換層4における光の透過方向と直交する方向の面積当たりの前記波長変換媒体5の含有量を変更することができ、波長変換層4における波長変換媒体5を光が通過する際の波長変換特性を変化させることができる。これにより、波長変換層4を通過した後の光の波長を調整することができる。
また、上記フィルム28に部分的に異なる種類の波長変換媒体5を含有させていれば、移動手段6fにてフィルム28を移動させることにより、有機発光体Cからの光の取り出し側に配置されている領域において含有されている波長変換媒体5の種類を異ならせることができ、これによっても波長変換層4における波長変換媒体5を光が通過する際の波長変換特性を変化させ、波長変換層4を通過した後の光の波長を調整することができる
波長変換ユニットBの構成の第四例を図5〜7に示す。
この波長変換ユニットBは、波長変換層4として波長変換媒体5を含有するメッシュ状フィルム9を具備し、調整手段6としてメッシュ状フィルム9のメッシュの密度を変化させる密度変更手段を具備する。
図5に示すメッシュ状フィルム9は、弾性を有するフィルムに複数の切れ込みを千鳥状に設けて形成される。このメッシュ状フィルム9には波長変換媒体5を含有させる。このメッシュ状フィルム9は、上述の弾性体フィルム8に複数の切れ込みを設けるなどして穴部21を設けることで形成することができる。このメッシュ状フィルム9は両端から引っ張り応力がかけられると延伸して穴部21の部分の空隙が拡大し、メッシュの密度が低減する。
また、図6に示すメッシュ状フィルム9は、波長変換媒体5を含有する複数本のファイバー22を平行並列に配列すると共に、配列方向が異なる二組のファイバー22を組み合わせてネット上に構成して形成される。このときファイバー22同士のなす角が鈍角となるようにする。このファイバー22は例えばガラス、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂等にて形成することができ、このファイバー22に付着させたり、ファイバー22を構成する樹脂等に分散、溶解、結合等させることにより波長変換媒体5を含有させることができる。このメッシュ状フィルム9に対して、ファイバー22同士のなす角が鈍角となっている側の両端で引っ張り応力をかけることによりファイバー22間の網目が拡大し、メッシュの密度が低減する。
また、図7に示すメッシュ状フィルム9は、弾性を有するフィルムに平行並列なスリット状の穴部21を設けて形成される。このフィルムには波長変換媒体5を含有させる。このメッシュ状フィルム9は、上述の弾性体フィルム8に複数の穴部21を設けることで形成することができる。このメッシュ状フィルム9は両端から各穴部21の長手方向と直交する方向に引っ張り応力がかけられると延伸して穴部21の空隙が拡大し、メッシュの密度が低減する。
密度変更手段としては、メッシュ状フィルム9に対して面方向に引っ張り応力をかけることによりメッシュ状フィルム9を伸縮させる適宜のものを設けることができ、例えば図3に示すような巻取ロール20を備える巻取装置19にて構成することができる。このときメッシュ状フィルム9の他端は適宜の手段で固定する。これにより、有機発光体Cからの光の取り出し側にメッシュ状フィルム9が張設されるようにする。
この巻取装置19の巻取ロール20を回転駆動させることによりメッシュ状フィルム9を巻き取ってこのメッシュ状フィルム9を伸張させることで、上記のようにメッシュの密度を低減することができ、また巻取ロール20を逆向きに回転駆動させることでメッシュ状フィルム9を巻き戻すことでメッシュの密度を増大させることができる。
このようにメッシュ状フィルム9のメッシュの密度が増減すると、上記の手法では延伸による厚みの変化の効果に加えて、波長変換媒体5が存在しない網目の面積が変化することにより、波長変換層4における光の透過方向と直交する方向の面積当たりの前記波長変換媒体5の含有量を変更することができ、波長変換層4における波長変換媒体5を光が通過する際の波長変換特性を変化させることができる。これにより、波長変換層4を通過した後の光の波長を調整することができる。
波長変換ユニットBの構成の第五例を図8に示す。
この波長変換ユニットBは、波長変換層4として着磁性を有する波長変換媒体5を含む液体10を収容する容器11を具備し、調整手段6として前記液体中の波長変換媒体5を励磁して波長変換層4を構成する容器11内の液体10中の波長変換媒体5の濃度を変化させる濃度変更手段6dを具備する。
上記容器11としては、適宜の光透過性の材料にて形成されたものを用いることができ、例えば上記有機発光体Cにおける光透過性の基板14と同一の材料から形成されたものを挙げることができる。この容器11には、両端がそれぞれ容器11に連通された循環流路25が接続されている。この循環流路25には、液体10を容器11と循環流路25の間で循環させるためのポンプ等の移送手段(図示せず)が設けられる。
使用される波長変換媒体5としては、上記のような有機蛍光色素や無機蛍光体等を含み、且つ着磁性を有する粒子から適宜選択されるものであり、このとき有機発光体Cから取り出される光の波長が波長変換層4を通過する際に所望の波長に変換されるように選択される。また波長変換媒体5は蛍光量子収率が高いものであることが好ましい。具体的には、例えばポリカーボネート等の樹脂と、上記のような有機蛍光色素や無機蛍光体等の波長変換特性を有する物質と、微細鉄粉等の磁性材料とを溶融混合し、これを固化した後に粒状にしたものを挙げることができる。鉄粉等の金属材料は、その成分が発光特性に影響を与えないように樹脂コーティングされていることも好ましい。
また、波長変換媒体5が含有される液体としては、これも特に限定されるものではなく、上記選択された波長変換媒体5を分散することが可能な有機溶剤、シリコーンオイル、パラフィンオイル、水等から、必要に応じて適宜選定することができる。
濃度変更手段6dとしては、例えば上記循環流路25の所定位置に磁場を発生させると共にこの磁場の強度を調整可能な電磁石24を設けることができる。
このような波長変換ユニットBは、上記移送手段を作動させることにより液体10を容器11と循環流路25との間で循環させながら使用する。このとき、電磁石24により循環流路25の所定位置に磁場を発生させて着磁性を有する波長変換媒体5に引力を作用させると、前記所定位置において着磁性を有する波長変換媒体5が滞留し、液体10中の他の部分において波長変換媒体5の濃度が低下する。これにより、容器11内の波長変換媒体5の濃度が低下する。また、電磁石24にて発生する磁場の強度を増減すれば、循環流路25の所定位置にて滞留する波長変換媒体5の量も変化し、これにより容器11内の波長変換媒体5の濃度を調整することができる。
このように容器11内において波長変換媒体5の濃度が増減すると、波長変換層4における光の透過方向と直交する方向の面積当たりの前記波長変換媒体5の含有量を変更することができ、波長変換層4における波長変換媒体5を光が通過する際の波長変換特性を変化させることができる。これにより、波長変換層4を通過した後の光の波長を調整することができる。
波長変換ユニットBの構成の第六例について説明する。
この波長変換ユニットBは、波長変換層4として電荷を帯びた波長変換媒体5を含む液体12を収容する容器11を具備し、調整手段6として前記容器11内の波長変換媒体5を電気的に移動させて前記容器11内の液体12中の波長変換媒体5の濃度を変化させる濃度変更手段6eを具備する。
上記容器11としては、図8に示すものと同様に適宜の光透過性の材料にて形成されたものを適用することができ、また図8に示すものと同様のポンプ等の移送手段(図示せず)を備えた循環流路25を設けることができる。
使用される波長変換媒体5としては、電荷を帯びた粒子であれば、有機蛍光色素や無機蛍光体等から、有機発光体Cから取り出される光の波長が波長変換層4を通過する際に所望の波長に変換されるように、適宜選択されるものであり、また蛍光量子収率が高いものであることが好ましい。具体的には、例えばいわゆる帯電制御剤を含有させることによって帯電性を制御した粒子など任意のものを用いることができる。
また、波長変換媒体5が含有される液体12としては、これも特に限定されるものではなく、上記選択された波長変換媒体5を分散することが可能な有機溶剤、シリコーンオイル、パラフィンオイル、水等から、必要に応じて適宜選定することができる。
濃度変更手段6eとしては、例えば図8において、上記電磁石24等に代えて、上記循環流路25の所定位置に電場を発生させると共にこの電場の強度を調整可能な電極26を設けることができる。
このような波長変換ユニットBは、上記移送手段を作動させることにより液体12を容器11と循環流路25との間で循環させながら使用する。このとき、電極26により循環流路25の所定位置に電場を発生させて電荷を帯びた波長変換媒体5に引力を作用させると、前記所定位置において電荷を帯びた波長変換媒体5が滞留し、液体12中の他の部分において波長変換媒体5の濃度が低下する。これにより、容器11内の波長変換媒体5の濃度が低下する。また、電極26にて発生する電場の強度を増減すれば、循環流路25の所定位置にて滞留する波長変換媒体5の量も変化し、これにより容器11内の波長変換媒体5の濃度を調整することができる。
このように容器11内において波長変換媒体5の濃度が増減すると、波長変換層4における光の透過方向と直交する方向の面積当たりの前記波長変換媒体5の含有量を変更することができ、波長変換層4における波長変換媒体5を光が通過する際の波長変換特性を変化させることができる。これにより、波長変換層4を通過した後の光の波長を調整する
以上、波長変換ユニットBの例を挙げたが、波長変換ユニットBの構成は上記のものには限られず、適宜の構成のものを採用することができる。例えば上記第五例や第六例のように容器11と循環流路25と波長変換媒体5を含有する液体が循環するようにした場合において、循環流路25中の所定位置の断面積を増減するなどして循環流路25に滞留する波長変換媒体5の量を調整したり、循環流路25に断面積、内壁の摩擦係数、内面の凹凸形状等の形状などが異なる複数の分岐流路を設け、循環流路25における液体が循環する経路を切り替えることで循環流路25に滞留する波長変換媒体5の量を調整することなどが挙げられる。流路の内壁の形状や摩擦係数を変更する例としては、例えば複数の分岐流路の内壁にそれぞれブラシ状の複数の突起を設けると共に各分岐流路における突起の密度を変更することが挙げられる。
このような波長変換ユニットBを備えた有機EL素子Aでは、波長変換媒体5による光の波長変換が基本的には短波長から長波長への変換となることから、紫外発光、青色発光、青色成分を含む青緑色発光、白色発光等の短波長の発光を行う有機発光体Cと波長変換ユニットBとを組み合わせることにより、短波長から長波長までの広い範囲で有機EL素子Aからの発光を調整することができる。勿論、有機EL素子Aに要求される波長の変換範囲が黄色から赤色等のように長波長側の狭い範囲である場合には、それに応じて長波長の発光を行う有機発光体Cを適用しても良い。
また、有機EL素子Aに波長変換ユニットBを設けるにあたっては、複数の波長変換ユニットBを有機発光体Cからの光の取り出し方向に沿って複数積層して配置したり、光の取り出し方向と直交する方向に並置したりすることができる。
特に複数の波長変換ユニットBを積層する場合には、有機EL素子Aの発光を複数段階に変換して、より広い波長範囲で波長を調整することができる。この場合、複数の各波長変換ユニットBとしては、各波長変換ユニットBの配置位置に応じ、適宜異なる種類の波長変換層4を設けることで、有機発光体Cからの発光を順次所望の波長に変換することができる。例えば、青色の光を発光する有機発光体Cに対し、青色光を黄色光に変換する波長変換ユニットBと、黄色光を赤色光に変換する波長変換ユニットBとを順次積層して設けたり、青色光を黄色光に変換する波長変換ユニットBと青色光を赤色光に変換する波長変換ユニットBを順次積層して設けたり、青色光を黄色光に変換する波長変換ユニットBと黄色光を橙色光に変換する波長変換ユニットBと黄色光を赤色光に変換する波長変換ユニットBを順次積層したりすることができる。また、紫外光を発光する有機発光体Cに対し、紫外光を青色光に変換する波長変換ユニットBと紫外光を橙色光に変換する波長変換ユニットBとを順次積層して設けるなど、任意に組み合わせて用いることができる
このように複数の波長変換ユニットBを積層する構成は、有機発光体Cからの発光の波長と、最終的に有機EL素子Aから取り出される発光の波長との差が大きい場合に、上記のように例えば青色光から黄色光に変換する波長変換ユニットBと、黄色光から赤色光に変換する波長変換ユニットBとを組み合わせるなど、波長変換の幅が小さいものを組み合わせることで広い波長範囲で発光を調整することができるものであり、このとき有機発光体C側から順に短波長から長波長へと波長を変換する波長変換ユニットBを設けることが好ましい。
一方、複数の波長変換ユニットBを並置する場合は、各波長変換ユニットBの大きさや配置パターンは特に限定しないが、たとえば発光面の均一性を重視する場合にはサイズの小さい波長変換ユニットBを偏りのないパターンで配列するようにし、均一性は重視せず有機ELからの発光色のみを問題にする場合には必ずしもユニットサイズを小さくしなくても良い。
また、上記のような複数の波長変換ユニットBを積層する構成と並置する構成とを組み合わせて、複数の波長変換ユニットBを並置すると共に、各波長変換ユニットBに更に他の一又は複数の波長変換ユニットBを積層して設けるようにしても良い。
上記のような有機発光体Cと波長変換層4との間や、複数の波長変換ユニットBを積層する場合の各波長変換ユニットBの波長変換層4同士の間には、各部材の間に光透過性の部材を介在させてこれらの各部材を光学的に結合しても良い。各部材を光学的に結合するにあたっては、例えば各部材間を光学接着剤、屈折率マッチング性を有する液体やゲル状物等で接合する等の手法を採用することができる。各部材間に介在する光透過性の部材としては、この光透過性の部材にて接合される各部材の表面の屈折率以上の屈折率を有するものを用いることが好ましい。このように各部材間の光学的に結合すると、各部材間で発生する光の反射によるロスを低減することができ、有機EL素子Aの発光効率を向上することができる。また、波長変換層4の屈折率は、各界面での反射を考慮して適宜設定される。有機発光体Cの光取り出し側の最外層、波長変換層4、これら各部材を接合する光透過性の部材の間の屈折率の差が過大にならないことが、部材間の界面における光の反射ロスを抑制することができ、好ましい。
また、波長変換ユニットBの波長変換層4には、光散乱性が付与されていることが好ましい。ここで、複数の波長変換ユニットBを積層する場合には、光取り出し側の最外層の波長変換ユニットBにおける波長変換層4に、前記のような光散乱性を付与することが好ましい。このような光散乱性を付与することで、有機EL素子Aからの光の取り出し効率を向上することができる。
波長変換層4に光散乱性を付与する手法としては適宜のものを採用することができるが、例えば上記第一例、第五例、第六例等のように波長変換層4が光透過性の容器11を具備する場合には、この容器11の光取り出し側の最外面に凹凸を設けるなどして光散乱性を付与することができる。また、容器11中に第一例のように流動性を有する波長変換媒体5として波長変換特性を有する物質を溶媒に分散させた分散液を収容する場合や、第五例及び第六例のように着磁性のある波長変換媒体5又は電荷を帯びた波長変換媒体5の粒子を分散させた液体10,12を収容する場合には、粒子とこれを分散させる液体10,12との組み合わせとして屈折率の差が大きいものを選択することで、この粒子を分散した液体に光散乱性を付与することもできる。
また、波長変換ユニットBの発光層3とは反対側には、光散乱性を有する光学部材(図示せず)を配置することも好ましい。ここで、複数の波長変換ユニットBを積層する場合には、光取り出し側の最外層の波長変換ユニットBにおいて、前記のような光学部材を設けることが好ましい。
このような光学部材としては特に限定はされず、散乱能を有するフィルム、ガラス板、樹脂板など、任意の散乱部材を用いることができる。このような光散乱性部材を最外層に配置された波長変換ユニットBにおける、波長変換層4の光取り出し側に配設するものである
このような光学部材を設けると、有機EL素子Aからの光の取り出し効率を向上し、また有機EL素子の発光色の角度依存性を低減することができる。
すなわち、このような光散乱性の光学部材を設けることで、上記のように波長変換層4自体に光散乱性を付与した場合と同様に有機EL素子Aからの光の取り出し効率を向上することができるものである。また、波長変換ユニットBを通って取り出される光は、この波長変換ユニットBにおける光散乱性が小さい場合には光路長の違いに由来して発光色の角度依存性を有するが、光散乱性部材を設けることでその依存性を小さくすることができる。すなわち、有機EL素子Aからの発光に光散乱性が低い場合は、この発光中に含まれる光路長の異なる成分同士が干渉することで、有機EL素子Aからの光の照射方向に依存した発光色の変化が生じるが、前記のように光学部材を設けることで有機EL素子Aからの発光を散乱させることによりこのような干渉の発生を緩和し、前記のような発光色の変化を抑制することができるものである。
ここで、光学部材を波長変換層4と間隔をあけずに配置し、或いは光学部材と波長変換層4とを間に光透過性の部材を介在させるなどして光学的に結合した場合には、特に有機EL素子Aからの光の取り出し効率の向上への寄与が大きい。また、波長変換層4の光取り出し側の面と光学部材との間に間隙をあけた状態で光学部材を設けると、特に発光色の角度依存性の低減への寄与が大きいものである。更に、光学部材を波長変換層4に間隙をあけず、又は光学的に結合させた状態で配置し、更にこの光学部材の光取り出し側に間隔をあけて別の光学部材を配置しても良く、この場合は、有機EL素子Aからの光取り出し効率を大きく向上させると共に発光色の角度依存性も著しく低減することができるものである。
以上のように構成される有機EL素子Aは、波長変換ユニットBの変換能を適宜調整することで、発光色の調色を行うことが可能となる。波長変換層4における波長変換媒体5の濃度(占有面積も含む)又は厚みを増大させることで、波長変換される光の割合が大きくなり、簡単には、たとえばCIE表色系上で、波長変換前の発光色の座標と、波長変換幅が最大となった場合の波長変換後の発光色の座標とを結ぶ線上で、発光色が調整が可能である。理論的には波長変換媒体5の厚みが0若しくは濃度0の場合には、実質的に有機発光体C単独の場合と同等の発光色が得られ、100%波長変換が行われた場合には波長変換層4からの発光色のみが得られる。また、波長変換ユニットBを積層した場合には、変換波長の組み合わせにもよるが、有機発光体Cの発光色に各波長変換ユニットBの発光色が変換分だけ混合された発光色が得られたり、有機発光体C側の波長変換ユニットBで変換された光がさらにその光取り出し側に位置する波長変換ユニットBで変換され、その結果によって変換色が決まることになる。
次に,本発明を実施例によって具体的に説明する。
試作した有機EL素子Aは,電源(KEITHLEY2400)に接続して10mA/cm2での定電流による駆動を行い、マルチチャネルアナライザー(浜松ホトニクス社製「PMA−11」)によって発光スペクトルを測定した。測定は、正面方向と、この正面方向から45°の方向の二方向から行った。発光強度は、正面から測定したスペクトル・強度データを用いて見積もった。また、各材料の屈折率は、アッベ屈折計で評価して得た。また、発光色は、前記マルチチャネルアナライザーにより測定しCIE表色系の座標で評価した。
(製造例1)
厚み110nmのITOが形成された40mm×40mm×0.7mmのガラス製の基板4を用意し、このITOを基板4の中央に幅10mm、長さ40mmとなるようにパターニングしてこのITOを電極1として形成した。
この基板4の電極1上に4、4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)とMoO(酸化モリブデン)を1:1のモル比で蒸着して厚み20nmのホール注入層を形成し、この上にα−NPDを蒸着して厚み60nmのホール輸送層を形成し、その上に発光層3として厚み50nmのTBADN:TBP(TBPを4%ドープ)の層を形成し、その上に電子輸送層として厚み10nmのAlqと厚み5nmのBCP:Cs(モル比で1:1の混合)共蒸着層を基板中央部に15mm角に形成した。
次いで上記ITOの電極1に直交する方向にAlを幅40mm、長さ10mm、厚み80nmのパターンに蒸着成膜して、光反射性の電極2を形成した。
ここで、TBADNの化学構造式は下記[化1]、TBPの化学構造式は下記[化2]に示す通りである。
Figure 2008027864
Figure 2008027864
これにより、基板4の中央に10mm角の発光面を有する、青色光を発光する有機発光体Cを得た(図9参照)。この有機発光体Cの発光色は(0.16,0.13)であった。
(製造例2)
発光層3として、厚み5nmのTBADN:ルブレン(ルブレンを0.5%ドープ)の層、及び厚み45nmのTBADN:TBP(TBPを4%ドープ)の層を設けたこと以外は、上記製造例1の有機発光体Cと同様にして、白色光を発光する有機発光体Cを得た。この白色有機発光体Cの発光色は(0.30,0.28)であった。
(製造例3)
光透過性基板15として40mm×40mm×0.7mmの寸法の無アルカリガラスを二枚用意し、この光透過性基板15の外縁全体においてこの光透過性基板15の間に弾性体16としてシリコーンゴムシート16aを配置し、このシリコーンゴムシート16aを各光透過性基板15に隙間無く接合して弾性容器7を形成した。そして、この弾性容器7と貯留タンク17とをチューブからなる経路18にて接続し、このチューブにポンプを設けてこのポンプにて貯留タンク17と弾性容器7との間で液体を流動させられるようにした。これにより第一例に相当する波長変換ユニットBを形成した(図10参照)。
(製造例4)
製造例3における光透過性基板15と同一の無アルカリガラスを二枚用意し、この無アルカリガラスの外縁全体においてこの無アルカリガラスの間にスペーサを配置し、このスペーサを各無アルカリガラスに隙間無く接合して、無アルカリガラスの間隔が5mmとなる容器11を形成した。この容器11にチューブからなる循環流路25を接続し、この循環流路25にポンプを設けて容器11と循環流路25の間で液体が循環可能とした。また、この循環流路25の一部には流路幅が広い部位を設け、この部位の外部に電磁石24を配置した。これにより、第五例に相当する波長変換ユニットBを形成した。
(製造例5)
ベンゼンに0.0005重量%のルブレンを溶解させて、溶液状の波長変換媒体5を調整した。ベンゼンはあらかじめ無水・無酸素としておき、窒素雰囲気下で溶液を調製した。
(製造例6)
ジクロロエタンに0.0010重量%のペリレン系色素(BASF Aktiengesellschaft製「LumogenF Rot305」)を溶解させて、溶液状の波長変換媒体5を調整した。ジクロロエタンはあらかじめ無水・無酸素としておき、窒素雰囲気下で溶液を調製した。
(製造例7)
ポリカーボネート100重量部、上記ペリレン系色素1重量部を溶融混合し、直径10μmのノズルから押し出して外径約13μmのファイバー22を得た。このファイバー22を100〜200μmの長さに切断し、赤色粒状の波長変換媒体5を得た。
(製造例8)
ポリカーボネート100重量部、上記ペリレン系色素1重量部、平均粒径30μmの微細鉄粉1重量部を溶融混合し、直径100μmのノズルから押し出して外径約120μmのファイバー22を得た。このファイバー22を100〜200μmの長さに切断して、赤色粒状の波長変換媒体5を得た。
(製造例9)
弾性体フィルム8として厚み0.5mmのシリコーンゴムシートを用意し、これを上記ペリレン色素をジクロロエタンに0.1重量%溶解させた溶液中に浸漬した後、乾燥することで、ペリレン色素を含有させ、赤色に着色した弾性体フィルム8からなる波長変換層4を形成した。
この波長変換層4の一端に巻取装置19にて構成される伸縮手段6bを取り付けると共に他端を固定して、第二例に相当する波長変換ユニットBを形成した。
(製造例10)
製造例9の波長変換ユニットBにおける弾性体フィルム8に、穴部21として直径1mmの複数の円形の穴21aを3mm間隔で千鳥状に設けることでメッシュ状フィルム9とし(図11参照)、その両端に巻取装置19にて構成される密度変更手段を取り付けることで、第三例に相当する波長変換ユニットBを形成した。
(製造例11)
ポリカーボネート100重量部、ジクロロエタン1000重量部、上記ペリレン色素1重量部を混合し、波長変換塗布液を調製した。
(実施例1)
上記製造例1の有機発光体Cに、製造例5の波長変換媒体5を収容した製造例3の波長変換ユニットBを、屈折率1.5のシリコーンオイルを介して接合した。そして、弾性容器7内の波長変換媒体5を最大限排出して光透過性基板15間を近接させた状態で有機発光体Cを発光させたところ、得られた発光色は正面方向で(0.16,0.13)の青色であった。このときの発光波長のスペクトルを図12中の符号aに示す。
一方、弾性容器7内に波長変換媒体5を注入して光透過性基板15の間隔が5mmとなるようにした状態で、有機発光体Cを発光させたところ、得られた発光色は正面方向で(0.28,0.24)の青みがかった白色に変化した。このときの発光波長のスペクトルを図12中の符号bに示す。
(実施例2)
上記製造例2の有機発光体Cに、製造例6の波長変換媒体5を収容した製造例3の波長変換ユニットBを、屈折率1.5のシリコーンオイルを介して接合した。そして、弾性容器7内の波長変換媒体5を最大限排出して光透過性基板15間を近接させた状態で有機発光体Cを発光させたところ、得られた発光色は正面方向で(0.30,0.28)であった。このときの発光波長のスペクトルを図13中の符号aに示す。
一方、弾性容器7内に波長変換媒体5を注入して光透過性基板15の間隔が5mmとなるようにした状態で、有機発光体Cを発光させたところ、得られた発光色は正面方向で(0.35,0.28)であった。このときの発光波長のスペクトルを図13中の符号bに示す。
(実施例3)
上記製造例1の有機発光体Cに、製造例5の波長変換媒体5を収容した製造例3の波長変換ユニットBを屈折率1.5のシリコーンオイルを介して接合し、更にこの波長変換ユニットBに、製造例6の波長変換媒体5を収容した製造例3の波長変換ユニットBを屈折率1.5のシリコーンオイルを介して接合した。そして、各波長変換ユニットBの弾性容器7内の波長変換媒体5を最大限排出して光透過性基板15間を近接させた状態で有機発光体Cを発光させたところ、得られた発光色は正面方向で(0.16,0.13)の青色であった。
次に有機発光体C側の波長変換ユニットBの弾性容器7に波長変換媒体5を注入して光透過性基板15の間隔が5mmとなるようにした状態で、有機発光体Cを発光させたところ、発光色は正面方向で(0.28,0.24)の青みがかった白色となった。
更に、光の取り出し側の波長変換ユニットBの弾性容器7に波長変換媒体5を注入して光透過性基板15の間隔が5mmとなるようにした状態で、有機発光体Cを発光させたところ、発光色は正面方向で(0.33,0.24)となり、さらに白色味が増した。
(実施例4)
製造例1で得られた有機発光体Cに、製造例7の粒状の波長変換媒体5を10重量%の割合で水に分散させた分散液(屈折率1.33)からなる波長変換媒体5を収容した製造例3の波長変換ユニットBを、屈折率1.5のシリコーンオイルを介して接合した。この波長変換媒体5は、赤白色に濁ったものであった。そして、波長変換ユニットBの弾性容器7内の波長変換媒体5を最大限排出して光透過性基板15間を近接させた状態で有機発光体Cを発光させたところ、得られた発光色は正面方向で(0.17,0.14)の青色となった。
一方、波長変換ユニットBの弾性容器7に波長変換媒体5を注入して光透過性基板15の間隔が5mmとなるようにした状態で、有機発光体Cを発光させたところ、発光色は正面方向で(0.30,0.27)の白色となった。このとき、実施例1の場合の正面発光強度に比して、本実施例の正面発光強度は約1.2倍であった。
(実施例5)
製造例1で得られた有機発光体Cに、製造例8の粒状の波長変換媒体5を10重量%の割合で水に分散させた分散液(屈折率1.33)からなる液体10を収容した製造例4の波長変換ユニットBを、屈折率1.5のシリコーンオイルを介して接合した。そして、電磁石24をオフにした状態で波長変換媒体5を循環させ、この状態で有機発光体Cを発光させたところ、得られた発光色は正面方向で(0.32,0.30)の白色であった。
一方、電磁石24をオンにした状態で波長変換媒体5を循環させ、この状態で有機発光体Cを発光させたところ、得られた発光色は正面方向で(0.20,0.18)の青色であった。
更に、電磁石24を発生する磁場が半減するようにオンにした状態で波長変換媒体5を循環させ、この状態で有機発光体Cを発光させたところ、得られた発光色は正面方向で(0.25,0.24)の青白色であった。
(実施例6)
実施例1の有機EL素子Aにおける波長変換層4の光取り出し側の最外面に、屈折率1.5のシリコーンオイルを介して光散乱性部材として光散乱シート(株式会社きもと製。「ライトアップ100GM2」)を接合した。
そして、弾性容器7内に波長変換媒体5を注入して光透過性基板15の間隔が5mmとなるようにした状態で、有機発光体Cを発光させたところ、正面発光強度は、実施例1の場合の正面発光強度に比して、約1.3となった。
(実施例7)
実施例1の有機EL素子Aにおける波長変換層4の光取り出し側の最外面に、実施例6と同様に光散乱シートを接合し、更にその外面側に0.5mmの空隙をあけて、光散乱性の光学部材として前記と同一の光散乱シートを配置した。
そして、弾性容器7内に波長変換媒体5を注入して光透過性基板15の間隔が5mmとなるようにした状態で、有機発光体Cを発光させたところ、発光色は正面方向で(0.32,0.33)、45°方向で(0.33,0.35)となり、両者はほぼ同等であった。
これに対し、実施例6において同様に測定される正面方向の発光色は(0.30,0.29)、45°方向の発光色は(0.34、0.35)となり、観測角度によって大きく異なる色となった。
(実施例8)
製造例9の波長変換ユニットBを製造例1の有機発光体C上に配置し、波長変換ユニットBの弾性体フィルム8に引っ張り応力をかけない状態で有機発光体Cを発光させたところ、正面方向の発光色は(0.30,0.24)の白色であった。
一方、波長変換ユニットBの巻取装置19にて弾性シートに引っ張り応力をかけて長さが2.5倍となるまで伸張させ、この状態で有機発光体Cを発光させたところ、正面方向の発光城は(0.22,0.18)と、青色寄りにシフトした。
(実施例9)
製造例10の波長変換ユニットBを製造例1の有機発光体C上に配置し、波長変換ユニットBのメッシュ状フィルム9に引っ張り応力をかけない状態で有機発光体Cを発光させたところ、正面方向の発光色は(0.27,0.22)の青みがかった白色であった。
一方、波長変換ユニットBの巻取装置19にてメッシュ状フィルム9に引っ張り応力をかけて長さが2倍となるまで伸張させ、この状態で有機発光体Cを発光させたところ、正面方向の発光城は、(0.19,0.18)と、青色寄りにシフトした。
尚、本実施例では、メッシュ状フィルム9に引っ張り応力をかけない場合とかけた場合とでは、両者とも発光面を直接目視で観察した際には、色変換されていない青色と、色変換された白色光がそれぞれ分散したように観測されるが、5cm程度離れた白色用紙を照らした場合には、特に色むらは認められなかった。
(比較例1)
製造例1の有機発光体Cの、光取り出し側の最外面に、製造例11の波長変換塗布液を塗布し、厚み1mmの膜を形成した。この場合、発光色は白色に変換されていたが、色調変更は不可能である。
有機EL素子の一例を示す断面図である。 同上の有機EL素子における波長変換ユニットの構成の第一例を示す断面図である。 (a)及び(b)は同上の有機EL素子における波長変換ユニットの構成の第二例を示す断面図である。 同上の有機EL素子における波長変換ユニットの構成の第三例を示す断面図である。 (a)及び(b)は同上の有機EL素子における波長変換ユニットの構成の第四例におけるメッシュ状フィルムの一例を示す平面図である。 (a)及び(b)は同上の有機EL素子における波長変換ユニットの構成の第四例におけるメッシュ状フィルムの他の例を示す平面図である。 (a)及び(b)は同上の有機EL素子における波長変換ユニットの構成の第四例におけるメッシュ状フィルムの更に他の例を示す平面図である。 同上の有機EL素子における波長変換ユニットの構成の第五例及び第六例を示すものであり、(a)は断面図、(b)及び(c)は一部の断面図である。 実施例において作製した有機発光体の概略構成を示す平面図である。 (a)(b)は実施例における製造例6で作製した波長変換ユニットの概略構成を示す断面図である。 実施例における製造例10で作製したメッシュ状フィルムの概略構成を示す平面図である。 実施例1の有機EL素子について、波長変換ユニットを動作させた場合の発光波長のスペクトルの変化を測定した結果を示すグラフである。 実施例2の有機EL素子について、波長変換ユニットを動作させた場合の発光波長のスペクトルの変化を測定した結果を示すグラフである。
符号の説明
A 有機EL素子
B 波長変換ユニット
1 電極
2 電極
3 発光層
4 波長変換層
5 波長変換媒体
6 調整手段
6a 厚み変更手段
6b 伸縮手段
6d 濃度変更手段
6e 濃度変更手段
7 弾性容器
8 弾性体フィルム
9 メッシュ状フィルム
10 液体
11 容器
12 液体

Claims (9)

  1. 二つの電極と、前記電極間に介在する発光層と、前記発光層から発せられる光の取り出し側に配置され前記光の波長を変換する波長変換ユニットとを具備し、前記波長変換ユニットが、波長変換媒体を備える波長変換層と、前記波長変換層における光の透過方向と直交する方向の面積当たりの前記波長変換媒体の含有量を変化させることで前記波長変換層における波長変換特性を調整する調整手段とを具備することを特徴とする有機EL素子。
  2. 上記波長変換ユニットが、波長変換層として波長変換媒体を収納すると共に弾性変形することで内部の波長変換媒体の厚みを変更することができる弾性容器を具備し、調整手段として前記弾性容器を弾性変形させて波長変換媒体の厚みを変化させる厚み変更手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  3. 上記波長変換ユニットが、上記波長変換層として波長変換媒体を含有する弾性体フィルムを具備し、上記調整手段として前記弾性体フィルムを伸縮させる伸縮手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  4. 上記波長変換ユニットが、上記波長変換層として波長変換媒体を含有するメッシュ状フィルムを具備し、上記調整手段として前記メッシュ状フィルムのメッシュの密度を変化させる密度変更手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  5. 上記波長変換ユニットが、上記波長変換層として着磁性を有する波長変換媒体を含む液体を収容する容器を具備し、上記調整手段として前記波長変換媒体を励磁して前記容器内の液体中の波長変換媒体の濃度を変化させる濃度変更手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  6. 上記波長変換ユニットが、上記波長変換層として電荷を帯びた波長変換媒体を含む液体を収容する容器を具備し、上記調整手段として前記容器内の波長変換媒体を電気的に移動させて前記容器内の液体中の波長変換媒体の濃度を変化させる濃度変更手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  7. 複数の波長変換ユニットが、積層または並置にして設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の有機EL素子。
  8. 波長変換ユニットの発光層とは反対側に光散乱性を有する光学部材が配置されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の有機EL素子。
  9. 波長変換媒体を備える波長変換層と、前記波長変換層における光の透過方向と直交する方向の面積当たりの前記波長変換媒体の含有量を変化させることで前記波長変換層における波長変換特性を調整する調整手段とを具備することを特徴とする有機EL素子用波長変換ユニット。
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