JP2008026003A - Nmrプローブ - Google Patents
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Abstract
【課題】狭い空間の中に装着可能で、検出コイルで発生するRF磁力線を遮って検出コイルのQファクターの低下等の弊害を招いたりすることのないシールドを備えたNMRプローブを提供する。
【解決手段】静磁場中に置かれた筒状の筐体の中心軸上に配置され、静磁場軸と直交する方向に高周波磁場を発生する検出コイルと、該検出コイルと前記筐体の間に置かれ、静磁場に勾配磁場を重畳することによりNMR測定を助ける勾配磁場メインコイルと、該勾配磁場メインコイルと前記筐体の間に置かれ、該勾配磁場メインコイルが発生する勾配磁場により前記筐体に渦電流が発生するのをキャンセルする勾配磁場シールドコイルとを備えたNMRプローブにおいて、前記勾配磁場メインコイルが設けられている基板の筐体側、または前記勾配磁場シールドコイルが設けられている基板の筐体側を導体箔で覆うようにした。
【選択図】図5
【解決手段】静磁場中に置かれた筒状の筐体の中心軸上に配置され、静磁場軸と直交する方向に高周波磁場を発生する検出コイルと、該検出コイルと前記筐体の間に置かれ、静磁場に勾配磁場を重畳することによりNMR測定を助ける勾配磁場メインコイルと、該勾配磁場メインコイルと前記筐体の間に置かれ、該勾配磁場メインコイルが発生する勾配磁場により前記筐体に渦電流が発生するのをキャンセルする勾配磁場シールドコイルとを備えたNMRプローブにおいて、前記勾配磁場メインコイルが設けられている基板の筐体側、または前記勾配磁場シールドコイルが設けられている基板の筐体側を導体箔で覆うようにした。
【選択図】図5
Description
本発明は、NMR装置で用いられるNMRプローブに関する。
NMR装置は、静磁場中に置かれた被測定試料に対し、静磁場と直交する向きの高周波(RF)磁場を照射し、その後、被測定試料から出る微小な高周波磁場信号(NMR信号)を検出し、そのなかに含まれている分子構造の情報を抽出し、被測定試料の分子構造を解析する装置である。
NMR法では、核スピンに由来するNMR信号を検出するために、さまざまなパルスシーケンスが利用されている。このパルスシーケンスを構成するために不可欠な要素が、検出コイルと勾配磁場コイルの組み合わせである。
図1は、勾配磁場コイルと検出コイルを説明した図である。図1(a)は見取り図、(b)は見取り図を回路図に書き直したものである。
筒状のプローブ筐体1は、プローブの機械的構造の骨組みを成すもので、電気回路的にはグランドになっている。検出コイル2は、筐体1の中心軸上に配置され、NMR現象を起こすための高周波が印加され、また、発生したNMR信号を検出するコイルである。勾配磁場メインコイル3は、筐体1と検出コイル2との間に置かれ、静磁場に重畳させる勾配磁場を発生するコイルである。勾配磁場シールドコイル4は、筐体1と勾配磁場メインコイル3との間に置かれ、勾配磁場メインコイル3の発生する磁力線がプローブ筐体1を通過する際に発生する渦電流をキャンセルするための磁場を発生するコイルである。同調回路5は、検出コイル2を核に固有のNMR周波数に同調させる回路である。RF入出力端6は、RFパルスを検出コイルに送信し、NMR現象に由来するNMR信号を取り出す端子である。勾配磁場メインコイル3と勾配磁場シールドコイル4は直列に接続されており、勾配磁場電源7に接続されている。
さて、このようなNMRプローブにおいては、図2(a)で模式的に示すように、プローブ筐体1、検出コイル2、勾配磁場メインコイル3、勾配磁場シールドコイル4等が相互に接近して配置されるため、相互の間に浮遊容量が発生する。図2(b)は、その様子を回路図に示したものである。点線が浮遊容量を表わすコンデンサである。このような浮遊容量が勾配磁場コイルと複雑なネットワークを形成するために、本来意図した共振点以外の不要な共振が、検出コイル2に生じる。図2(c)はRF入出力端から見た反射損(Return Loss)を表わしたプロットで、真の共振点の近傍に不要な共振があることを表わしている。このような不要共振点があると、検出コイル2のQファクターの低下等の弊害を招く。
そこで従来は、図3に示すように、勾配磁場メインコイル3の内側に非磁性の導体箔8、例えば非磁性金属箔、好ましくは銅箔を設け、この銅箔8をグランドに接続していた。このような銅箔8を設けると、図3(b)で模式的に示すように、検出コイル2と勾配磁場メインコイル3および勾配磁場シールドコイル4との間が遮蔽され、浮遊容量は対グランド間だけに単純化され、図3(c)のように不要共振点が除去される。
ところが、勾配磁場メインコイル3の内径が小さく、検出コイル2と勾配磁場メインコイル3が極めて接近している場合は、図4に示すように、検出コイル2で発生するRF磁力線を銅箔8が遮ってしまい、検出コイル2のQファクターの低下等の弊害を招く。このような場合、銅箔8を検出コイル2から遠ざける必要があったが、従来はそれに相当する技術が存在しなかった。
本発明の目的は、上述した点に鑑み、狭い空間の中に装着可能で、検出コイルで発生するRF磁力線を遮って検出コイルのQファクターの低下等の弊害を招いたりすることのないシールドを備えたNMRプローブを提供することにある。
この目的を達成するため、本発明のNMRプローブは、
静磁場中に置かれた筒状の筐体の中心軸上に配置され、静磁場軸と直交する方向に高周波磁場を発生する検出コイルと、
該検出コイルと前記筐体の間に置かれ、静磁場に勾配磁場を重畳することによりNMR測定を助ける勾配磁場メインコイルと、
該勾配磁場メインコイルと前記筐体の間に置かれ、該勾配磁場メインコイルが発生する勾配磁場により前記筐体に渦電流が発生するのをキャンセルする勾配磁場シールドコイルと
を備えたNMRプローブにおいて、
前記勾配磁場メインコイルが設けられている基板の筐体側、または前記勾配磁場シールドコイルが設けられている基板の筐体側を導体箔で覆うようにしたことを特徴としている。
静磁場中に置かれた筒状の筐体の中心軸上に配置され、静磁場軸と直交する方向に高周波磁場を発生する検出コイルと、
該検出コイルと前記筐体の間に置かれ、静磁場に勾配磁場を重畳することによりNMR測定を助ける勾配磁場メインコイルと、
該勾配磁場メインコイルと前記筐体の間に置かれ、該勾配磁場メインコイルが発生する勾配磁場により前記筐体に渦電流が発生するのをキャンセルする勾配磁場シールドコイルと
を備えたNMRプローブにおいて、
前記勾配磁場メインコイルが設けられている基板の筐体側、または前記勾配磁場シールドコイルが設けられている基板の筐体側を導体箔で覆うようにしたことを特徴としている。
また、前記導体箔の厚さは、検出コイルが発生する高周波磁場は遮蔽するが、勾配磁場メインコイルが発生する勾配磁場は透過させる厚さであることを特徴としている。
また、前記導体箔は、接地電位に設定されていることを特徴としている。
また、前記導体箔は、銅箔であることを特徴としている。
本発明のNMRプローブによれば、
静磁場中に置かれた筒状の筐体の中心軸上に配置され、静磁場軸と直交する方向に高周波磁場を発生する検出コイルと、
該検出コイルと前記筐体の間に置かれ、静磁場に勾配磁場を重畳することによりNMR測定を助ける勾配磁場メインコイルと、
該勾配磁場メインコイルと前記筐体の間に置かれ、該勾配磁場メインコイルが発生する勾配磁場により前記筐体に渦電流が発生するのをキャンセルする勾配磁場シールドコイルと
を備えたNMRプローブにおいて、
前記勾配磁場メインコイルが設けられている基板の筐体側、または前記勾配磁場シールドコイルが設けられている基板の筐体側を導体箔で覆うようにしたので、
狭い空間の中に装着可能で、検出コイルで発生するRF磁力線を遮って検出コイルのQファクターの低下等の弊害を招いたりすることのないシールドを備えたNMRプローブを提供することが可能になった。
静磁場中に置かれた筒状の筐体の中心軸上に配置され、静磁場軸と直交する方向に高周波磁場を発生する検出コイルと、
該検出コイルと前記筐体の間に置かれ、静磁場に勾配磁場を重畳することによりNMR測定を助ける勾配磁場メインコイルと、
該勾配磁場メインコイルと前記筐体の間に置かれ、該勾配磁場メインコイルが発生する勾配磁場により前記筐体に渦電流が発生するのをキャンセルする勾配磁場シールドコイルと
を備えたNMRプローブにおいて、
前記勾配磁場メインコイルが設けられている基板の筐体側、または前記勾配磁場シールドコイルが設けられている基板の筐体側を導体箔で覆うようにしたので、
狭い空間の中に装着可能で、検出コイルで発生するRF磁力線を遮って検出コイルのQファクターの低下等の弊害を招いたりすることのないシールドを備えたNMRプローブを提供することが可能になった。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図5は、本発明にかかるNMRプローブを説明した図である。図5(a)は見取り図、(b)は見取り図を回路図に書き直したものである。
筒状のプローブ筐体1は、プローブの機械的構造の骨組みを成すもので、電気回路的にはグランドになっている。検出コイル2は、筐体1の中心軸上に配置され、NMR現象を起こすための高周波が印加され、また、発生したNMR信号を検出するコイルである。勾配磁場メインコイル3は、筐体1と検出コイル2との間に置かれ、静磁場に重畳させる勾配磁場を発生するコイルである。勾配磁場シールドコイル4は、筐体1と勾配磁場メインコイル3との間に置かれ、勾配磁場メインコイル3の発生する磁力線がプローブ筐体1を通過する際に発生する渦電流をキャンセルするための磁場を発生するコイルである。同調回路5は、検出コイル2を核に固有のNMR周波数に同調させる回路である。RF入出力端6は、RFパルスを検出コイルに送信し、NMR現象に由来するNMR信号を取り出す端子である。勾配磁場メインコイル3と勾配磁場シールドコイル4は直列に接続されており、勾配磁場電源7に接続されている。
さて、このようなNMRプローブにおいて、勾配磁場メインコイル3が設けられている基板の外側を非磁性の導体箔8、例えば非磁性金属箔、好ましくは銅箔で覆い、この銅箔8をグランドに接続する。このような位置に銅箔8を設けると、図3(a)で模式的にした検出コイル2と銅箔8との距離が遠くなり、検出コイル2のQファクターの低下等の弊害を低減することができる。その一方で、検出コイル2と勾配磁場メインコイル3の間の浮遊容量は依然として存在するため、図5(c)のように不要共振点を除去することはできない。
しかしながら、勾配磁場メインコイル3と勾配磁場シールドコイル4との間の浮遊容量はグランドに接続されるため、全体としての浮遊容量は減少する。このため、図5(c)のように不要共振点は存在するものの、高い周波数帯域に移動するので、真の共振点との干渉は起こりにくくなり、その悪影響を避けることができる。
このときの銅箔8の厚さには、勾配磁場コイルが発生するパルス磁場は透過するが、検出コイルが発生するRF磁場は遮蔽する厚さが選ばれる。その厚さは、表皮深さを参照して決定される。表皮深さとは、ある材質に入射した電磁界が1/e(≒1/2.718≒−8.7dB)に減衰する距離で、透磁率がμ、導電率がσの導体においては、周波数がfの場合、1/√(πfμσ)によって与えられる。次に具体例で説明する。
勾配磁場コイルが発生するパルス磁場の立ち上がり・立ち下がり時間は、勾配磁場電源の能力やコイルのインダクタンスにもよるが、数十μs程度である。よって、その周波数帯域は、概ねDC〜数十kHz以下程度と考えて良い。これに対し、NMRの共鳴周波数は、例えば11.75Tの磁場中の水素原子核の場合、500MHzである。よって、数十kHzは透過するが500MHzは遮蔽する厚さを、式を参照して選べば良い。
銅の場合、導電率5.82×107、透磁率4π×10-7であるから、500MHzにおける表皮深さは約3μmである。よって、その5倍の15μmの厚さの銅箔を選べば、500MHzに対しては8.7×5=43dBの遮蔽効果が得られる。一方、100kHzに対する表皮深さは209μmであるから、15μmの厚さの銅箔は約0.6dB程度の遮蔽効果しか持たない。このようにして、勾配磁場コイルが発生するパルス磁場を透過させるが、検出コイルが発生するRF磁場は遮蔽する厚さを決定する。
尚、本発明には変形が考えられる。例えば、効果をより顕著にするため、図6(a)のように、勾配磁場メインコイル3が設けられている基板の外側と勾配磁場シールドコイル4が設けられている基板の外側の両方を銅箔で覆うことも考えられる。
また、浮遊容量の弊害が深刻でない場合は、図6(b)のように、勾配磁場シールドコイル4が設けられている基板の外側だけ、銅箔で覆っても良い。
NMR装置に広く利用できる。
1:プローブ筐体、2:検出コイル、3:勾配磁場メインコイル、4:勾配磁場シールドコイル、5:同調回路、6:RF入出力端、7:勾配磁場電源、8:銅箔
Claims (4)
- 静磁場中に置かれた筒状の筐体の中心軸上に配置され、静磁場軸と直交する方向に高周波磁場を発生する検出コイルと、
該検出コイルと前記筐体の間に置かれ、静磁場に勾配磁場を重畳することによりNMR測定を助ける勾配磁場メインコイルと、
該勾配磁場メインコイルと前記筐体の間に置かれ、該勾配磁場メインコイルが発生する勾配磁場により前記筐体に渦電流が発生するのをキャンセルする勾配磁場シールドコイルと
を備えたNMRプローブにおいて、
前記勾配磁場メインコイルが設けられている基板の筐体側、または前記勾配磁場シールドコイルが設けられている基板の筐体側を導体箔で覆うようにしたことを特徴とするNMRプローブ。 - 前記導体箔の厚さは、検出コイルが発生する高周波磁場は遮蔽するが、勾配磁場メインコイルが発生する勾配磁場は透過させる厚さであることを特徴とする請求項1記載のNMRプローブ。
- 前記導体箔は、接地電位に設定されていることを特徴とする請求項1または2記載のNMRプローブ。
- 前記導体箔は、非磁性金属箔であることを特徴とする請求項1、2、または3記載のNMRプローブ。
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