特許文献1は、各段のコンテナ配置群を構成する複数のコンテナを、対向辺間の一部に隙間(3)が確保されるように平面配置する場合の井桁積みに関するものであり、特許文献2は、各段のコンテナ配置群を構成する複数のコンテナを、対向辺間に隙間が生じないように密に平面配置する場合の井桁積みに関するものである。特許文献1及び2ともに、上段のコンテナ配置群を構成する各コンテナの下面又は底面に突設された複数の嵌合部(4a,4b)又は位置決め用突起(6a,6b,6c)を、下段のコンテナ配置群を構成する別々のコンテナの上面開口部(5)又は上開口部(1a)にそれぞれ嵌め込むという手法で、上下段の各コンテナ同士を互いに位置決めするという点で、思想的に共通するものである。
しかしながら、上段コンテナの下面に突設された複数の嵌合部又は位置決め用突起を、下段に位置する2つ以上のコンテナの上面開口部にそれぞれ別々に嵌め込むというだけでは、上下段のコンテナ間での相互位置決めが不十分となる場合(又は不十分となる段積み箇所)がある。実際、特許文献2には、上段コンテナの位置決め用突起6cが下段コンテナの上開口部1aに嵌まっていないにもかかわらず、位置決めに重要な役目を果たす場合(又は段積み箇所)があることが記載されている。即ち、特許文献2の第0011段落及び図3によれば、各コンテナの底面にはコンテナの長手方向端部付近において「両端の突起6c」(つまり第3種目の突起6c)が設けられ、この両端の突起6cの側面11,12間の幅寸法L4は、縦向き姿勢に並べた2本のコンテナの長辺側の長さMから、横向き姿勢に並べた3本のコンテナの短辺側の長さNを差し引いた距離の1/2の長さと略等しく設定されている(L4=(M−N)/2)。これにより、井桁積み時には、上段の縦向き姿勢にあるコンテナの一端の突起6cが、下段の横向き姿勢にあるコンテナの外側面に当接可能となり、上下段のコンテナが縦方向Eに位置決めされる。
特許文献2の記載ぶりからもわかるように、少なくとも、各段のコンテナ配置群を構成する複数のコンテナを対向辺間に隙間が生じないように密に平面配置するときの井桁積みの場合には、上段のコンテナ配置群を構成する各コンテナの底面に突設された複数の位置決め用突起(6a,6b,6c)を、下段のコンテナ配置群を構成する別々のコンテナの上開口部(1a)にそれぞれ嵌め込むという解決手段だけでは、上下段の各コンテナ同士を互いに位置決めして段積みを安定させるには不十分となる場合(又は不十分となる段積み箇所)があるということに他ならない。特許文献2においてそのような不十分性を補う構造が、側面11,12間の幅寸法をL4=(M−N)/2に設定された「両端の突起6c」なのである。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、特許文献2に開示されたコンテナとは構造の異なるコンテナであって、各段のコンテナ配置群を構成する複数のコンテナを対向辺間に隙間が生じないように密に平面配置する場合の井桁積みを安定させることができる井桁積み可能なコンテナを提供することにある。
本発明は、略長方形状の底壁、並びに、その底壁の周縁から立設された一対の長側壁及び一対の短側壁を備え、平面視が二長辺及び二短辺からなる長方形状のコンテナであって、当該コンテナの複数個を、各コンテナの辺同士を突き合わせて隣り合う二つのコンテナの対向辺間に隙間が生じないように平面配置してなるコンテナ配置群を構成し、下段のコンテナ配置群の上に、当該下段のコンテナ配置群と同じ平面配置を有する上段のコンテナ配置群を180°回転した状態で積み重ねるという井桁積みが可能なコンテナにおいて、前記底壁の底面には、一方の短側壁寄りに位置する第1脚突部(10)、及び、その第1脚突部と他方の短側壁との間に位置する第2脚突部(20)が設けられ、前記第1脚突部には、前記一方の短側壁に面する側において規制面(12)が形成され、前記第2脚突部には、前記他方の短側壁に面する側において規制面(22)が形成されており、前記底壁の底面には更に、前記第1脚突部の規制面の隣に第1規制突部(13)が設けられると共に、前記第2脚突部の規制面の隣に第2規制突部(23)が設けられ、前記長側壁の上端部には、井桁積み時において当該コンテナの上段に位置することになる他のコンテナの第1規制突部又は第2規制突部を受容可能な位置決め用凹部(51)が設けられていることを特徴とする井桁積み可能なコンテナである。
本発明のコンテナを複数個使用して上述のような井桁積みをした場合、下段コンテナ配置群の一つの下段コンテナと、当該一下段コンテナの上に積まれた上段コンテナ配置群の一つの上段コンテナとが、平面視で直角に交差する上下配置関係が生まれる(以下、コンテナ配置群の配置平面をXY平面に見立てて説明する)。
即ち特定の段積み箇所では、例えば図9に示すように、長側壁をY方向に沿って平面配置された下段コンテナ(下C1)の上に、長側壁をX方向に沿って平面配置された上段コンテナ(上C5)が重なる。このとき、上段コンテナ底面の第1脚突部10(ア)の規制面12が、下段コンテナの長側壁2Aの内壁面に当接することで、下段コンテナに対する上段コンテナのX方向+向き移動が規制される。更に、上段コンテナ底面の第1脚突部10(ア)の規制面12の隣にある第1規制突部13が、下段コンテナの長側壁2Aの位置決め用凹部51に受容されることで、第1規制突部13と位置決め用凹部51との係合関係に基づき、下段コンテナに対する上段コンテナのY方向移動が規制される。
また別の段積み箇所では、例えば図10に示すように、長側壁をX方向に沿って平面配置された下段コンテナ(下C4)の上に、長側壁をY方向に沿って平面配置された上段コンテナ(上C3)が重なる。このとき、上段コンテナ底面の第2脚突部20(ア)の規制面22が、下段コンテナの長側壁2Bの内壁面に当接することで、下段コンテナに対する上段コンテナのY方向+向き移動が規制される。更に、上段コンテナ底面の第2脚突部20(ア)の規制面22の隣にある第2規制突部23が、下段コンテナの長側壁2Bの位置決め用凹部51に受容されることで、第2規制突部23と位置決め用凹部51との係合関係に基づき、下段コンテナに対する上段コンテナのX方向移動が規制される。
このように本発明によれば、井桁積み時において下段コンテナが配置平面(XY平面)のどの方向に沿って平面配置されたとしても、その上に重なる上段コンテナの「第1脚突部の規制面と第1規制突部との組」又は「第2脚突部の規制面と第2規制突部との組」のいずれかが、下段コンテナの長側壁の内壁面及び当該長側壁の位置決め用凹部にそれぞれ係合し、かかる係合関係に基づいて、上下二つのコンテナ間でのX方向及びY方向への相対移動が規制される。従って、本発明のコンテナによれば、各段のコンテナ配置群を構成する複数のコンテナを対向辺間に隙間が生じないように密に平面配置する場合の井桁積みを安定させることができる。
本発明のコンテナにおいて、前記第1脚突部の規制面(12)から、前記第2脚突部の規制面の隣にある前記第2規制突部(23)の最遠端までの距離(L1)が、前記一対の長側壁の内壁面間の距離(L)にほぼ等しくなるように設定されていることは好ましい(請求項2)。この構成によれば、例えば図9の関係において、上段コンテナ底面の第1脚突部10(ア)の規制面12が、下段コンテナの一方の長側壁2Aの内壁面に当接することで、下段コンテナに対する上段コンテナのX方向+向き移動が規制されることに加えて、上段コンテナ底面の第2脚突部20(ア)の規制面22の隣にある第2規制突部23の最遠端が、下段コンテナの他方の長側壁2Bの内壁面に当接することで、下段コンテナに対する上段コンテナのX方向−向き移動が規制される。つまり、下段コンテナに対する上段コンテナのX方向移動が完全に規制され、上下コンテナ間におけるX方向相対位置が確定する。
本発明のコンテナにおいて、前記第2脚突部の規制面(22)から、前記第1脚突部の規制面の隣にある前記第1規制突部(13)の最遠端までの距離(L2)が、前記一対の長側壁の内壁面間の距離(L)にほぼ等しくなるように設定されていることは好ましい(請求項3)。この構成によれば、例えば図10の関係において、上段コンテナ底面の第2脚突部20(ア)の規制面22が、下段コンテナの一方の長側壁2Bの内壁面に当接することで、下段コンテナに対する上段コンテナのY方向+向き移動が規制されることに加えて、上段コンテナ底面の第1脚突部10(ア)の規制面12の隣にある第1規制突部13の最遠端が、下段コンテナの他方の長側壁2Aの内壁面に当接することで、下段コンテナに対する上段コンテナのY方向−向き移動が規制される。つまり、下段コンテナに対する上段コンテナのY方向移動が完全に規制され、上下コンテナ間におけるY方向相対位置が確定する。
本発明のコンテナにおいて、前記底壁の底面の四隅付近には前記第1脚突部(10)がそれぞれ設けられ、これら四つの第1脚突部の各々に対して前記第1規制突部、前記第2脚突部及び前記第2規制突部が一つずつ対応するように、前記底壁の底面には、四つの第1規制突部(13)、二つ又は四つの第2脚突部(20)及び四つの第2規制突部(23)が設けられ、前記一対の長側壁の各々の上端部には、二つの前記位置決め用凹部(51)と、これら二つの位置決め用凹部の中間に位置する干渉回避用凹部(52)とが設けられており、前記干渉回避用凹部(52)は、井桁積み時において当該コンテナの上段に位置することになる他のコンテナの四つの第1規制突部及び四つの第2規制突部のうち、当該コンテナの一方の長側壁の前記二つの位置決め用凹部の一方に受容されることで上下コンテナ間の位置決めに関与する第1又は第2規制突部の隣に位置することになる第1又は第2規制突部を受容して長側壁に干渉するのを回避するための凹部であること、は好ましい(請求項4)。
この構成のように、コンテナの底壁に、四つの第1脚突部(10)、四つの第1規制突部(13)、二つ又は四つの第2脚突部(20)及び四つの第2規制突部(23)が設けられた場合、井桁積み時に上下コンテナ間の位置決めに関与する第1又は第2規制突部の隣に位置することになる第1又は第2規制突部が、下段コンテナの長側壁に干渉するのを回避するための干渉回避用凹部(52)を長側壁の上端部に設定する必要が生じる。例えば図9では、上段コンテナ底面の第1脚突部10(ア)の規制面12の隣にある第1規制突部13が、下段コンテナの長側壁2Aの位置決め用凹部51に受容されることで上下コンテナ間の位置決めに関与しているとき、その第1脚突部10(ア)の第1規制突部13の隣に位置することになる第1脚突部10(イ)の第1規制突部13が、長側壁2Aの二つの位置決め用凹部51の中間に位置する干渉回避用凹部52に受容されることで長側壁2Aに干渉することが回避される。また例えば図10では、上段コンテナ底面の第1脚突部20(ア)の規制面22の隣にある第2規制突部23が、下段コンテナの長側壁2Bの位置決め用凹部51に受容されることで上下コンテナ間の位置決めに関与しているとき、その第2脚突部20(ア)の第2規制突部23の隣に位置することになる第2脚突部20(イ)の第2規制突部23が、長側壁2Bの二つの位置決め用凹部51の中間に位置する干渉回避用凹部52に受容されることで長側壁2Bに干渉することが回避される。
本発明のコンテナにおいて、前記底壁の幅方向に並んだ二つの第1脚突部のうちの、一方の第1脚突部において直近の一方の長側壁に面する側に設けられた内壁面当接部と、他方の第1脚突部において直近の他方の長側壁に面する側に設けられた内壁面当接部との間の距離(W)が、前記一対の長側壁の内壁面間の距離(L)にほぼ等しくなるように設定されていることは好ましい(請求項5)。この構成によれば、例えば図10の関係において、井桁積み時にそれぞれの長側壁が同方向(Y方向)に沿って重ね積みされている下段コンテナ(下C1)及び上段コンテナ(上C3)間において、上段コンテナの一方の第1脚突部10(エ)の内壁面当接部15及び他方の第1脚突部10(ウ)の内壁面当接部15が、下段コンテナの一対の長側壁2A,2Bの各内壁面にそれぞれ当接する。この二点同時当接により、これら下段及び上段コンテナ間において上記Y方向と直交するX方向への移動が規制され、X方向相対位置が確定する。
本発明のコンテナにおいて、前記長側壁の上端部の前記位置決め用凹部(51)は、当該コンテナの側面から見て、前記底壁に設けられた前記第1脚突部(10)の真上にあたる位置に設けられていることは好ましい(請求項6)。この構成によれば、本発明のコンテナを複数個棒積みしたときに、下段コンテナの位置決め用凹部(51)が上段コンテナの第1脚突部(10)によって閉塞されるため、位置決め用凹部から下段コンテナ内に異物が侵入することを防止できる(図5参照)。
本発明のコンテナにおいて、前記一対の短側壁の各々の上端部には、短側壁の長さ方向の中央位置において、井桁積み時のコンテナ同士の位置合わせの目安となる目印(M)が設けられていることは好ましい(請求項7)。この構成によれば、この目印(M)を位置合わせの目安とすることで、当該コンテナと、短辺同士を突き合わせた他の二つのコンテナとの間の位置合わせを正確に行うことができる(図6参照)。
以上詳述したように本発明の井桁積み可能なコンテナによれば、コンテナの複数個を、各コンテナの辺同士を突き合わせて隣り合う二つのコンテナの対向辺間に隙間が生じないように平面配置してなるコンテナ配置群を構成し、下段のコンテナ配置群の上に、当該下段のコンテナ配置群と同じ平面配置を有する上段のコンテナ配置群を180°回転した状態で積み重ねるという井桁積みを安定させることができる。
本発明の一実施形態であるコンテナを図面を参照しながら説明する。
図1〜図4に示すように、本実施形態のコンテナは、平面視が略長方形状の底壁1、並びに、その底壁1の周縁から立設された一対の長側壁2A,2B及び一対の短側壁3A,3Bを備えている。即ち、このコンテナは、平面視が二長辺及び二短辺からなる長方形状を有し、且つ、上面(上方)が開口した蓋無しオープンタイプの容器体として合成樹脂により一体形成されている。なお、このコンテナは、以下に説明する各部の形状及び配置も含めて、前後方向(長手方向)に対して前後対称であると共に、左右方向(幅方向)に対しても左右対称であるという具合に、少なくとも平面視(又は底面視)の形状に関する限り、コンテナを前後又は左右に二分する中心線に対して対称な形状となっている。
底壁1の四つの角部には少なくとも、各角部からコンテナの外方向に水平に張り出した下フランジ4が突設されている。下フランジ4の下面は、コンテナの棒積み時及び井桁積み時において、当該コンテナよりも下に位置するコンテナとの接触面として機能する。他方、二つの長側壁2A,2B及び二つの短側壁3A,3Bの各上端部には、これら四側壁の上端部により構築されるところのコンテナ上端周部からコンテナの外方向に水平に張り出した上フランジ5が、コンテナ上端周部の全周にわたって突設されている。上フランジ5の上面は、コンテナの棒積み時及び井桁積み時において、当該コンテナよりも上に位置するコンテナの載置面として機能する。
下フランジ4と上フランジ5とは互いに平行な関係にある。長側壁及び短側壁の各外壁面には、下フランジ4と上フランジ5とを連結して側壁2A,2B,3A,3Bを補強する複数の垂直リブ6が設けられている。また、長側壁及び短側壁の各外壁面には、前記複数の垂直リブ6を水平に連結して側壁2A,2B,3A,3Bを補強する水平リブ又は中フランジ7が設けられている。
図2及び図3に示すように、底壁1の底面には、第1脚突部としての四つの第1ゲタ部10と、第2脚突部としての見掛け上二つの第2ゲタ部20とが突設されている。第2ゲタ部20を「見掛け上二つ」と表現したのは、一つに見える第2ゲタ部20の実態は「隣り合う二つの第2ゲタ部20が連結したもの」であり、技術的な実質としては、底壁1の底面に四つの第2ゲタ部20が存在する、と考えるのが適切だからである。以下の説明では、四つの第2ゲタ部20の一つ一つを指すときには単に「第2ゲタ部20」といい、隣り合う二つの第2ゲタ部20が連結したものを指すときには「第2ゲタ部20の連結体」ということにする。
四つの第1ゲタ部10は、底壁1の底面の四隅付近にそれぞれ設けられており、二つの短側壁のうちの一方の短側壁3A寄りに位置する二つの第1ゲタ部10(ア)及び10(イ)と、他方の短側壁3B寄りに位置する二つの第1ゲタ部10(ウ)及び10(エ)とに分けられる。
第1ゲタ部10の各々は、底面視が略「ロ」の字形状をなす四周壁によって形成されている。そして、各第1ゲタ部10を形成する前記四周壁のうちの直近の短側壁に面する側の周壁11には、短側壁と略平行な規制面12が形成されている。また、底壁1の底面には、前記規制面12が形成された周壁11から直近の短側壁に向けて突出するように、第1ゲタ部の規制面12に隣接する第1規制突部13が突設されている。
更に、各第1ゲタ部10を形成する前記四周壁のうちの直近の長側壁に面する側の周壁14には、内壁面当接部としての小突起15が突設されている。そして、底壁1の幅方向(即ち短側壁3A,3Bに沿った方向)に並んだ二つの第1ゲタ部10にあって、一方の長側壁2A寄りの第1ゲタ部10の小突起15と、他方の長側壁2B寄りの第1ゲタ部10の小突起15との間の距離W(図3参照)は、二つの長側壁2A,2Bの内壁面間の距離L(図1参照)に等しくなるように設定されている。
第2ゲタ部20の連結体の各々は、底壁1の長手方向(即ち長側壁2A,2Bに沿った方向)に並んだ二つの第1ゲタ部10の中間に設けられている。換言すれば、一方の短側壁3A寄りに位置する第1ゲタ部10(ア)に対応する第2ゲタ部20(ア)は、第1ゲタ部10(ア)と他方の短側壁3Bとの間に位置している。第1ゲタ部10(イ)及びそれに対応する第2ゲタ部10(イ)、第1ゲタ部10(ウ)及びそれに対応する第2ゲタ部10(ウ)、並びに、第1ゲタ部10(エ)及びそれに対応する第2ゲタ部10(エ)の各組についても同じことが言える。
第2ゲタ部20の各々は、底面視が略「コ」の字形状をなす三周壁によって形成されている。従って、第2ゲタ部20の連結体の各々は、見掛け上、底面視が略「ロ」の字形状をなす四周壁から形成されている。そして、各第2ゲタ部20を形成する前記三周壁のうちの直近の短側壁(即ち、当該第2ゲタ部20に対応する第1ゲタ部10の規制面12が面している一方の短側壁とは異なる他方の短側壁)に面する側の周壁21には、短側壁と略平行な規制面22が形成されている。また、底壁1の底面には、前記規制面22が形成された周壁21から直近の短側壁に向けて突出するように、第2ゲタ部20の規制面22に隣接する第2規制突部23が突設されている。
これまでの説明を整理すると、本実施形態のコンテナにあっては、底壁1の底面の四隅付近には第1ゲタ部10がそれぞれ設けられており、これら四つの第1ゲタ部10の各々に対して、第1規制突部13、第2ゲタ部20及び第2規制突部23が一つずつ対応するように、底壁1には、四つの第1ゲタ部10、四つの第1規制突部13、四つの第2ゲタ部20及び四つの第2規制突部23が設けられている。つまり、例えば第1ゲタ部10(ア)に着目すると、第1ゲタ部10(ア)と、それに対応する第1規制突部13、第2ゲタ部20(ア)及び第2規制突部23とによって一単位の位置決め手段群が構成され、かかる位置決め手段群が底壁1の底面に合計4単位設けられているのである。そして、上記位置決め手段群の各々において、次の二つの条件を満たすように各部の位置及び寸法が設定されている。
例えば図3中の第1ゲタ部10(ア)、第1規制突部13、第2ゲタ部20(ア)及び第2規制突部23からなる一単位の位置決め手段群に着目して説明すると、第1の条件とは、第1ゲタ部10(ア)の規制面12から、当該第1ゲタ部に対応する第2ゲタ部20(ア)の規制面22に隣接する第2規制突部23の最遠端までの距離L1が、一対の長側壁2A,2Bの内壁面間の距離L(図1参照)にほぼ等しいことである。第2の条件とは、第2ゲタ部20(ア)の規制面22から、当該第2ゲタ部に対応する第1ゲタ部10(ア)の規制面12に隣接する第1規制突部13の最遠端までの距離L2が、一対の長側壁2A,2Bの内壁面間の距離L(図1参照)にほぼ等しいことである。
図1及び図4に示すように、二つの長側壁2A,2Bの各々の上端部に設けられた上フランジ5には、二つの第1位置決め用凹部51と、一つの第2位置決め用凹部52とが設けられている。
前記二つの第1位置決め用凹部51は、各長側壁の両端部付近(即ち短側壁3A,3Bの近く)にそれぞれ位置している。各第1位置決め用凹部51は、上フランジ5の上面に対して凹んでいるのみなず、コンテナの内側及び外側に対しても開口している。これらの第1位置決め用凹部51が、少なくともコンテナの上方及び内側に開口していることにより、各第1位置決め用凹部51は、井桁積み時において当該コンテナの上段に位置することになる他のコンテナの第1規制突部13又は第2規制突部23を受容可能な位置決め用凹部として機能する。なお、各第1位置決め用凹部51において、当該凹部51を区画すると共に互いに対向する二つの凹部内壁面51aは、第1規制突部13又は第2規制突部23と当接可能な規制面として機能する。これら二つの凹部内壁面51a間の距離(第1位置決め用凹部51の長さ)は、第1規制突部13又は第2規制突部23の幅と同等かそれよりも若干余裕のある長さに設定されている。
前記第2位置決め用凹部52は、各長側壁の中央付近(即ち二つの第1位置決め用凹部51の中間)に位置している。この第2位置決め用凹部52は、上フランジ5の上面に対して凹んでいるのみなず、コンテナの内側及び外側に対しても開口している。この第2位置決め用凹部52が、少なくともコンテナの上方及び内側に開口していることにより、井桁積み時において当該コンテナの上段に位置することになる他のコンテナの第1規制突部13又は第2規制突部23を受容可能な位置決め用凹部として機能する。なお、第2位置決め用凹部52において、当該凹部52を区画すると共に互いに対向する二つの凹部内壁面52aは、第1規制突部13又は第2規制突部23と当接可能な規制面として機能する。但し、これら二つの凹部内壁面52a間の距離(第2位置決め用凹部52の長さ)は、前記第1位置決め用凹部51の長さよりも長くなるように設定されている。これは、第2位置決め用凹部52を井桁積み時の位置決め用凹部としてではなく、井桁積み時において上下コンテナ間の相対位置決めに関与しない第1規制突部13又は第2規制突部23を受容して長側壁に干渉するのを回避するための干渉回避用凹部(即ち逃がし孔)として機能させる場合があるためである。つまり、第2位置決め用凹部52は、位置決め用凹部と干渉回避用凹部とを兼ねた多機能凹部として設けられている。
図4からわかるように、各長側壁2A,2Bの上端部に位置する二つの第1位置決め用凹部51は、コンテナの側面から見て、底壁1の長手方向に並んだ二つの第1ゲタ部10の各々の真上にあたる位置に設けられている。また、各長側壁2A,2Bの上端部の中央に位置する第2位置決め用凹部52は、コンテナの側面から見て、第2ゲタ部20の連結体の真上にあたる位置に設けられている。それ故、図5に示すように複数個のコンテナを棒積みした場合には、下段コンテナにおいて外側に開口していたはずの第1位置決め用凹部51及び第2位置決め用凹部52が、上段コンテナの第1ゲタ部10及び第2ゲタ部20の結合体によってそれぞれ閉塞される。このように本実施形態のコンテナによれば、棒積み時に、上方開口していた下段コンテナが、その上段のコンテナによって完全に蓋をされると共に、上段コンテナの各ゲタ部10,20によって第1及び第2位置決め用凹部51,52が閉塞されるため、異物がこれら位置決め用凹部51,52から下段コンテナの内部に進入する事態を防止することができる。
なお、本実施形態のコンテナでは、二つの短側壁3A,3Bの各々の上端部に設けられた上フランジ5の上面には、コンテナの幅方向の中央位置において目印Mが刻印されている。この目印Mは、井桁積み時にコンテナ同士を位置合わせする際の目安となるものであり、例えば矢印のような記号で表示される。
[井桁積み例の説明]
次に、本実施形態のコンテナを用いた井桁積みの一例を図面を参照しながら説明する。図6〜図11は、合計10個のコンテナを用いて上下二段の井桁積みを行う場合を示す。尚、以下の説明では、各図に付したXY直交座標のうちのX方向を横方向、Y方向を縦方向と呼ぶものとする。また、各方向のうちの一方の向きを+向き、他方の向きを−向きと呼ぶものとする。
井桁積みに際しては先ず図6に示すように、水平な設置面(XY平面)上に5個のコンテナ(下C1〜下C5)を平面配置して下段のコンテナ配置群を構成する。具体的には、3個のコンテナ(下C1,下C2,下C3)をいずれも縦姿勢にしてX方向に横一列に並べると共に、当該3個のコンテナの対向する長辺同士を互いに突き合わせる。また、2個のコンテナ(下C4,下C5)をいずれも横姿勢にしてX方向に横一列に並べると共に、当該2個のコンテナの対向する短辺同士を互いに突き合わせる。そして、横一列に並んだ3個のコンテナ(下C1,下C2,下C3)の一方の各短辺に対して、横一列に並んだ2個のコンテナ(下C4,下C5)の一方の各長辺を突き合わせる。その際、上記3個のコンテナのうちの真ん中のコンテナ(下C2)の短側壁の上フランジ5に刻印された目印Mの位置に、上記2個のコンテナ(下C4,下C5)の対向する短辺同士の突き合わせ境界Nが位置するように、両コンテナ群を相対位置決めする。すると図6のように、5個のコンテナ(下C1〜下C5)が隣り合うコンテナの対向辺間に隙間が生じないように密に平面配置されてなる下段のコンテナ配置群が一義的に構成される。
続いて、上記下段のコンテナ配置群(下C1〜下C5)の上に、5個の上段コンテナ(上C1〜下C5)を一つ一つ積み上げて、図7に示すような二段の井桁積みを完成する。この井桁積みの完成状態では、5個の上段コンテナからなる上段のコンテナ配置群(上C1〜上C5)は、その段に限って言えば、下段のコンテナ配置群(下C1〜下C5)と全く同じ平面配置を有するのであるが、下段と上段との関係では、上段コンテナ配置群(上C1〜上C5)は下段コンテナ配置群(下C1〜下C5)に対して、水平面内で180°回転した(位相ズレした)相対配置関係で積み重ねられている。
図8は、井桁積みされた下段コンテナ配置群及び上段コンテナ配置群を上から透視した状態を示す平面図である。図8では、下段コンテナ配置群の5個のコンテナ(下C1〜下C5)については実線で示し、上段コンテナ配置群の5個のコンテナ(上C1〜上C5)についてはその外形を二点鎖線で示している。但し、上段コンテナ配置群の各コンテナの底壁1に設けられた第1ゲタ部10、第1規制突部13、第2ゲタ部20及び第2規制突部23については敢えて実線で示すことにより、これらの部分と下段コンテナ(下C1〜下C5)との相対配置関係をわかり易くした。図8の一部分を抜き出して拡大表示した図9、図10及び図11においても、図8と同様の線表示を採用している。以下、これらの拡大図9〜11に基づき、下段コンテナと上段コンテナとの間の位置決め係合関係について更に詳しく説明する。
図9は、図8の多段コンテナ配置群における右上隅の段積み箇所を拡大したものであり、二つの下段コンテナ(下C1,下C2)と上段コンテナ(上C5)との井桁積み関係を示している。図9によれば、長側壁2A,2BがY方向に沿って配置された下段コンテナ(下C1)の上に、長側壁がX方向に沿って配置された上段コンテナ(上C5)が積み重ねられる。
この場合、上段コンテナ(上C5)の第1ゲタ部10(ア)の規制面12が、下段コンテナ(下C1)の一方の長側壁2Aの内壁面に当接することにより、下段コンテナ(下C1)に対する上段コンテナ(上C5)のX方向+向き移動が規制されている。また、第1ゲタ部10(ア)に対応する第2ゲタ部20(ア)の規制面22に隣接する第2規制突部23の先端(最遠端)が、下段コンテナ(下C1)の他方の長側壁2Bの内壁面に当接することにより、下段コンテナ(下C1)に対する上段コンテナ(上C5)のX方向−向き移動が規制されている。即ち、第1ゲタ部10(ア)の規制面12から第2ゲタ部20(ア)の規制面22に隣接する第2規制突部23の先端(最遠端)までの距離L1が、下段コンテナ(下C1)の二つの長側壁2A,2Bの内壁面間の距離Lにほぼ等しいため、上段コンテナ(上C5)における第1ゲタ部10(ア)の規制面12及び第2ゲタ部20(ア)の第2規制突部23が、下段コンテナ(下C1)の二つの長側壁2A,2Bの内壁面に対してそれぞれ同時に当接することができる。それ故、下段コンテナ(下C1)に対する上段コンテナ(上C5)のX方向移動が完全に規制され、上下両コンテナ間におけるX方向相対位置が確定する。
また図9では、上段コンテナ(上C5)の第1ゲタ部10(ア)の規制面12に隣接する第1規制突部13が、下段コンテナ(下C1)の一方の長側壁2Aの第1位置決め用凹部51に受容されている。この凹部51に受容された第1規制突部13は、凹部51の二つの凹部内壁面51aによってY方向への移動を規制される。それ故、下段コンテナ(下C1)に対する上段コンテナ(上C5)のY方向移動が規制され、上下両コンテナ間におけるY方向相対位置が確定する。
更に図9では、上段コンテナ(上C5)の第1ゲタ部10(イ)の第1規制突部13が下段コンテナ(下C1)の一方の長側壁2Aの第2位置決め用凹部52の中程に受容されることで、当該第1規制突部13の当該長側壁2Aに対する干渉が回避されている。また、上段コンテナ(上C5)の第1ゲタ部10(ア)の小突起15が下段コンテナ(下C1)の一方の短側壁3Aの内壁面に当接すると共に、上段コンテナ(上C5)の第1ゲタ部10(エ)の小突起15が別の下段コンテナ(下C2)の一方の短側壁3Aの内壁面に当接することにより、横並びした二つの下段コンテナ(下C1,下C2)に対する上段コンテナ(上C5)のY方向位置決めが行われている。
なお、図9に示した二つの下段コンテナ(下C1,下C2)と上段コンテナ(上C5)との井桁積み関係は、図8の多段コンテナ配置群における左上隅の段積み箇所を形成している二つの下段コンテナ(下C3,下C2)と上段コンテナ(上C4)との井桁積み関係にも同じく当てはまる。
図10は、図8の多段コンテナ配置群における右下隅の段積み箇所を拡大したものであり、二つの下段コンテナ(下C4,下C1)と上段コンテナ(上C3)との井桁積み関係を示している。図10によれば、長側壁2A,2BがX方向に沿って配置された下段コンテナ(下C4)の上に、長側壁がY方向に沿って配置された上段コンテナ(上C3)が積み重ねられる。
この場合、上段コンテナ(上C3)の第2ゲタ部20(ア)の規制面22が、下段コンテナ(下C4)の一方の長側壁2Bの内壁面に当接することにより、下段コンテナ(下C4)に対する上段コンテナ(上C3)のY方向+向き移動が規制されている。また、第2ゲタ部20(ア)に対応する第1ゲタ部10(ア)の規制面12に隣接する第1規制突部13の先端(最遠端)が、下段コンテナ(下C4)の他方の長側壁2Aの内壁面に当接することにより、下段コンテナ(下C4)に対する上段コンテナ(上C3)のY方向−向き移動が規制されている。即ち、第2ゲタ部20(ア)の規制面22から第1ゲタ部10(ア)の規制面12に隣接する第1規制突部13の先端(最遠端)までの距離L2が、下段コンテナ(下C4)の二つの長側壁2A,2Bの内壁面間の距離Lにほぼ等しいため、上段コンテナ(上C3)における第2ゲタ部20(ア)の規制面22及び第1ゲタ部10(ア)の第1規制突部13が、下段コンテナ(下C4)の二つの長側壁2B,2Aの内壁面に対してそれぞれ同時に当接することができる。それ故、下段コンテナ(下C4)に対する上段コンテナ(上C3)のY方向移動が完全に規制され、上下両コンテナ間におけるY方向相対位置が確定する。
また図10では、上段コンテナ(上C3)の第2ゲタ部20(ア)の規制面22に隣接する第2規制突部23が、下段コンテナ(下C4)の一方の長側壁2Bの第1位置決め用凹部51に受容されている。この凹部51に受容された第2規制突部23は、凹部51の二つの凹部内壁面51aによってX方向への移動を規制される。それ故、下段コンテナ(下C4)に対する上段コンテナ(上C3)のX方向移動が規制され、上下両コンテナ間におけるX方向相対位置が確定する。
更に図10では、上段コンテナ(上C3)の第2ゲタ部20(イ)の規制面22が、下段コンテナ(下C4)の一方の長側壁2Bの内壁面に当接することによっても、下段コンテナ(下C4)に対する上段コンテナ(上C3)のY方向+向き移動が規制されている。また、上段コンテナ(上C3)の第2ゲタ部20(イ)の第2規制突部23が下段コンテナ(下C4)の一方の長側壁2Bの第2位置決め用凹部52の一端に受容されることで、当該第2規制突部23の当該長側壁2Bに対する干渉が回避されるのみならず、当該第2位置決め用凹部52の一端(図10では左端)の凹部内壁面52aに対して当該第2規制突部23が近接配置されることによっても、下段コンテナ(下C4)に対する上段コンテナ(上C3)のX方向−向き移動が規制されている。また、上段コンテナ(上C3)の第1ゲタ部10(エ)の小突起15及び第1ゲタ部10(ウ)の小突起15が、別の下段コンテナ(下C1)の二つの長側壁2A,2Bの各内壁面にそれぞれ当接することにより、この下段コンテナ(下C1)に対する上段コンテナ(上C3)のX方向位置決めが行われている。
なお、図10に示した二つの下段コンテナ(下C4,下C1)と上段コンテナ(上C3)との井桁積み関係は、図8の多段コンテナ配置群における左下隅の段積み箇所を形成している二つの下段コンテナ(下C5,下C3)と上段コンテナ(上C1)との井桁積み関係にも同じく当てはまる。
図11は、図8の多段コンテナ配置群における中央下寄りの段積み箇所を拡大したものであり、三つの下段コンテナ(下C4,下C5,下C2)と上段コンテナ(上C2)との井桁積み関係を示している。図11によれば、長側壁2A,2BがX方向に沿って配置された二つの下段コンテナ(下C4,下C5)の上に、長側壁がY方向に沿って配置された上段コンテナ(上C2)が積み重ねられる。
この場合、上段コンテナ(上C2)の第2ゲタ部20(ア)の規制面22が、下段コンテナ(下C4)の一方の長側壁2Bの内壁面に当接することにより、下段コンテナ(下C4)に対する上段コンテナ(上C2)のY方向+向き移動が規制されている。また、第2ゲタ部20(ア)に対応する第1ゲタ部10(ア)の規制面12に隣接する第1規制突部13の先端(最遠端)が、下段コンテナ(下C4)の他方の長側壁2Aの内壁面に当接することにより、下段コンテナ(下C4)に対する上段コンテナ(上C2)のY方向−向き移動が規制されている。即ち、上段コンテナ(上C2)における第2ゲタ部20(ア)の規制面22及び第1ゲタ部10(ア)の第1規制突部13が、下段コンテナ(下C4)の二つの長側壁2B,2Aの内壁面に対してそれぞれ同時に当接することができるため、下段コンテナ(下C4)に対する上段コンテナ(上C2)のY方向移動が完全に規制され、上下両コンテナ間におけるY方向相対位置が確定する。更に、上段コンテナ(上C2)の第2ゲタ部20(ア)の規制面22に隣接する第2規制突部23が、下段コンテナ(下C4)の一方の長側壁2Bの第1位置決め用凹部51に受容されている。この凹部51に受容された第2規制突部23は、凹部51の二つの凹部内壁面51aによってX方向への移動を規制される。それ故、下段コンテナ(下C4)に対する上段コンテナ(上C2)のX方向移動が規制され、上下両コンテナ間におけるX方向相対位置が確定する。
同様に、上段コンテナ(上C2)の第2ゲタ部20(イ)の規制面22が、下段コンテナ(下C5)の一方の長側壁2Bの内壁面に当接することにより、下段コンテナ(下C5)に対する上段コンテナ(上C2)のY方向+向き移動が規制されている。また、第2ゲタ部20(イ)に対応する第1ゲタ部10(イ)の規制面12に隣接する第1規制突部13の先端(最遠端)が、下段コンテナ(下C5)の他方の長側壁2Aの内壁面に当接することにより、下段コンテナ(下C5)に対する上段コンテナ(上C2)のY方向−向き移動が規制されている。即ち、上段コンテナ(上C2)における第2ゲタ部20(イ)の規制面22及び第1ゲタ部10(イ)の第1規制突部13が、下段コンテナ(下C5)の二つの長側壁2B,2Aの内壁面に対してそれぞれ同時に当接することができるため、下段コンテナ(下C5)に対する上段コンテナ(上C2)のY方向移動が完全に規制され、上下両コンテナ間におけるY方向相対位置が確定する。更に、上段コンテナ(上C2)の第2ゲタ部20(イ)の規制面22に隣接する第2規制突部23が、下段コンテナ(下C5)の一方の長側壁2Bの第1位置決め用凹部51に受容されている。この凹部51に受容された第2規制突部23は、凹部51の二つの凹部内壁面51aによってX方向への移動を規制される。それ故、下段コンテナ(下C5)に対する上段コンテナ(上C2)のX方向移動が規制され、上下両コンテナ間におけるX方向相対位置が確定する。
加えて図11では、上段コンテナ(上C2)の第1ゲタ部10(エ)の小突起15及び第1ゲタ部10(ウ)の小突起15が、別の下段コンテナ(下C2)の二つの長側壁2A,2Bの各内壁面にそれぞれ当接することにより、この下段コンテナ(下C2)に対する上段コンテナ(上C2)のX方向位置決めが行われている。
以上説明したように、井桁積み時において下段コンテナが配置平面(XY平面)のどの方向に沿って平面配置されたとしても、その上に重なる上段コンテナの「第1ゲタ部10の規制面12と第1規制突部13との組」又は「第2ゲタ部20の規制面22と第2規制突部23との組」のいずれかが、下段コンテナの長側壁の内壁面及び当該長側壁の第1位置決め用凹部51にそれぞれ係合し、かかる係合関係に基づいて、上下二つのコンテナ間でのX方向及びY方向への相対移動が規制される。故に本実施形態のコンテナによれば、各段のコンテナ配置群を構成する複数のコンテナを対向辺間に隙間が生じないように密に平面配置する場合の井桁積みを安定させることができる。
なお、本実施形態のコンテナを用いた井桁積みは、図6〜図11のような態様に限定されるものではない。例えば図12に示すように、7個のコンテナを対向辺間で隙間無く平面配置して一段のコンテナ配置群を構成すると共に、下段コンテナ配置群の上に、当該下段コンテナ配置群と同じ平面配置の上段コンテナ配置群を180°回転させた状態で積み重ねるような井桁積みを行うこともできる。
[変更例]上記実施形態では、各第1ゲタ部10の周壁14に設けた小突起15を、井桁積み時に下段コンテナの長側壁2A,2Bの内壁面に当接可能な「内壁面当接部」としたが、かかる小突起15を設けずに、各第1ゲタ部10を形成する前記四周壁のうちの直近の長側壁に面する側の周壁14自体に「内壁面当接部」の役割を担わせてもよい。
1…底壁、2A,2B…長側壁、3A,3B…短側壁、10…第1ゲタ部(第1脚突部)、12…第1ゲタ部の規制面、13…第1規制突部、15…小突起(内壁面当接部)、20…第2ゲタ部(第2脚突部)、22…第2ゲタ部の規制面、23…第2規制突部、51…第1位置決め用凹部、52…第2位置決め用凹部(52は干渉回避用凹部でもある)、M…目印。