以下、図面を参照しながら、本発明に係る用紙処理装置の一実施例について説明をする。
図1(A)及び(B)は、本発明に係る実施例としてのバインド装置100の構成例を示す概念図である。バインド装置100は、複数の各々の用紙の所定位置に穿孔された孔に綴じ部品(消耗品)を綴じて冊子を作成する用紙処理装置の一例として機能し、コピー機や印刷装置から出力される記録紙(以下単に用紙という)にパンチ処理をし、その後、所定の綴じ部品で綴じ処理をして排出する装置である。バインド装置100は、コピー機や印刷装置(画像形成装置)等と並べて使用されることが好ましく、複写機や印刷機等と同程度の高さを有している。
図1(A)に示すバインド装置100は、装置本体部(筐体)101を有している。装置本体部101の前面側には、右ドア70及び左ドア71が備えられている。右ドア70及び左ドア71は、図示しない蝶番で装置本体部101に開閉自在に取付けられている。バインド装置100は、左ドア71の下方にスタッカ63を備えている。スタッカ63には、スタッカトレイ73が備えられている。スタッカトレイ73は、用紙束に綴じ部品が綴じられて排出された冊子を受け取り、冊子の厚さや冊数に応じて高さを調節して当該冊子を蓄積する。また、スタッカ63には、蓄積された冊子の数を確認するためのスタッカ窓72が、装置本体部101の前面側に備えられている。
図1(B)に示すバインド装置100は、図1(A)に示したバインド装置100の右ドア70及び左ドア71がオープンされた状態である。装置本体部101内には用紙搬送部10が備えられる。用紙搬送部10は、第1の搬送路11及び第2の搬送路12を有している。搬送路11は、コピー機などから出力される用紙3を搬送路12へ向けて搬送する。
搬送路12は、当該搬送路11から搬送経路が切り換え可能なスイッチバック機能を有している。ここにスイッチバック機能とは、搬送路11の所定の位置で用紙の搬送を減速及び停止し、その後、搬送路11から搬送路12に用紙の搬送経路を切り換え、かつ、当該用紙を逆方向に送出する機能をいう。
搬送路12の下流側には、パンチ処理部20が配置されている。パンチ処理部20では、搬送路11からスイッチバックし、搬送路12によって搬送される用紙の一端に二以上の綴じ用の孔を穿孔するようになされる。パンチ処理本体の下方には、パンチカス収納部26が設けられ、パンチ処理部20で切り落とされたパンチカスを収納するようになされる。
パンチ処理部20の下流側には、バインダ紙揃えユニット30が配置され、パンチ処理部20から排紙される複数枚の用紙の孔の位置を揃えて一時保留(蓄積)するようになされる。
バインダ紙揃えユニット30は、用紙進入時、当該用紙を所定の位置に案内すると共に用紙の後端部を整える。また、バインダ紙揃えユニット30は、用紙の先端と横端を基準位置に揃えるための多櫂状の回転部材により適正な位置に用紙の先端と横端を案内する。
バインダ紙揃えユニット30の下流側には、バインド処理部40が配置される。バインド処理部40は、当該ユニット30によって揃えられた複数枚の用紙束を綴じ部品で綴じて冊子を作成する。バインド処理部40は、綴じ機構41及びバインダ(綴じ部品)カセット42を有している。バインダカセット42には、処理前は展開されており、処理後に環状となる複数のリング部を有する複数個の綴じ部品43(図8参照)がセットされる。綴じ部品43は、例えば、射出金型成形され、用紙束の厚みに応じて複数種類の径が準備される。綴じ機構41は、綴じ手段の一例として機能し、展開状の綴じ部品43が収納されたバインダカセット42から所定の大きさの綴じ部品を受け取って、用紙の所定位置に穿孔された孔に綴じ部品43を綴じる。
この例で、綴じ機構41は、バインダ紙揃えユニット30の用紙搬送方向と、バインダカセット42の綴じ部品提供方向との間を往復回転するように移動する。先ず、綴じ機構41は、搬送路11の搬送方向と直交する位置でバインダカセット42から1個の綴じ部品43を引き抜いて保持し、この状態で、バインダ紙揃えユニット30の用紙搬送方向を見通せる位置に回転する。次に、この位置で綴じ機構41は、バインダ紙揃えユニット30から、パンチ孔が位置決めされた用紙束を受け入れ、そのパンチ孔に綴じ部品43を挿入して嵌合する。嵌合後、綴じ機構41は、綴じ部品43を解放する。用紙束に綴じ部品43が綴じられて冊子が作成されると、バインダ紙揃えユニット30は、作成された冊子を排出ユニット60へ受け渡す。
バインド処理部40の下流側には、排出ユニット60が配置される。この排出ユニット60は、バインド処理部40により作成された冊子を受け取って排出処理する。排出ユニット60は、例えば、第1のベルトユニット61、第2のベルトユニット62及びスタッカ63を有して構成される。
ベルトユニット61は、バインダ紙揃えユニット30から落下してくる冊子を受け止めて冊子の送出方向を切り換えるようになされる。例えば、ベルトユニット61は、冊子受け止め後、バインダ紙揃えユニット30の用紙搬送方向を見通せる位置からスタッカ63を見通せる位置へ振り向くようになされる。
スタッカ63を見通せる位置には、ベルトユニット62が配置されている。ベルトユニット62は、ベルトユニット61によって送出方向が切り換えられた冊子を受け取ってリレー搬送し、当該冊子をスタッカ63へ受け渡す。スタッカ63は、ベルトユニット61及び62によって搬送されてくる冊子を蓄積する。このようにして、図2(D)に示す冊子90が作成される。
続いて、本発明に係る用紙処理方法について説明する。図2(A)〜(D)は、バインド装置100の機能例を示す工程図である。図2(A)に示す用紙3は、当該バインド装置100の上流側(コピー機など)から給紙され、パンチ孔が開孔されていないものである。用紙3は、図1に示した搬送路11の所定の位置に向けて搬送され、搬送路11の所定の位置で減速及び停止される。その後、スイッチバック機能により搬送路11から搬送路12に用紙3の搬送経路が切り換えられ、かつ、当該用紙3は逆方向に送出されてパンチ処理部20に搬送される。
パンチ処理部20では、図2(B)に示すように用紙3の一端に所定の数の綴じ用の孔が穿孔される。綴じ用の孔が穿孔された用紙3’は、バインド紙揃えユニット30へ搬送される。バインド紙揃えユニット30では、予め設定された用紙枚数に到達すると、例えば、図2(C)に示す用紙3”のようにその綴じ用の孔の位置が揃えられ、バインド処理部40と協調して綴じ部品43がその孔へ挿入されて嵌合される。これにより、綴じ部品43が嵌合された図2(D)に示す冊子90を得ることができる。冊子90は、排出ユニット60により排出されてスタッカ63に蓄積される。
図3は、バインダ紙揃えユニット30、綴じ機構41及びバインダカセット42の配置例(その1)を示す概略図である。バインド装置100は、図3に示すバインダ紙揃えユニット30及びバインダカセット42の下流側に綴じ機構41を配置し、かつ、当該綴じ機構41を基準に上流側に放射状にバインダ紙揃えユニット30及びバインダカセット42を配置した略V字状を成す配置構造を有している。
綴じ機構41は、綴じ機構回転軸41dを有している。綴じ機構回転軸41dは、バインダ紙揃えユニット30から下流側へ用紙束3”を排出する方向Iと、バインダカセット42から下流側へ綴じ部品43を排出する方向IIとが交差する領域付近に配置される。
バインダ紙揃えユニット30及びバインダカセット42は、綴じ機構回転軸41dを基準にして上流側で円弧状(放射状)に左側と右側とに配置される。綴じ機構41は、バインダ紙揃えユニット30とバインダカセット42との間を往復移動するように動作する。また、綴じ機構41は、本体上部に開口部41cを有している。綴じ部品取り出し位置(方向II)は、綴じ機構41の開口部41cがバインダカセット42側を向く姿勢をとる位置である。
図3に示す矢印Y1は、綴じ機構41の回転方向である。この例で、綴じ機構回転軸41dを基準にして、上述の綴じ部品取り出し位置(方向II)をホームポジションとすると、このホームポジションから反時計方向に用紙綴じ位置(方向I)まで回転する。また反対に、用紙綴じ位置から時計方向にホームポジションまで回転する。
例えば、バインド処理部40では、綴じ機構41がバインダカセット42の下流側に移動して所定の大きさの綴じ部品43(図8参照)を受け取り、バインダカセット42から受け取った綴じ部品43を保持し、綴じ機構回転軸41dを基準にして、反時計方向へ回転して、バインダ紙揃えユニット30の下流側に移動し、当該綴じ部品43で図2(C)に示した用紙束3”を綴じる。このように、バインダカセット42から受け取った綴じ部品43をバインダ紙揃えユニット30の下流側に移動して綴じ処理することにより図2(D)に示した冊子90を作成することができる。
なお、この例で綴じ機構41は、バインダ紙揃えユニット30が用紙3’を揃えているときに、バインダカセット42から綴じ部品43を受け取るようになされる。このようにすると、用紙揃え処理と綴じ部品43を受け取り処理とを並行処理できるので、綴じ処理の高速化を図ることができ、当該バインド装置100のスループットを向上できるようになる。
図4は、バインダ紙揃えユニット30、綴じ機構41及びバインダカセット42の配置例(その2)を示す概略図である。図4に示す綴じ機構41は、バインダ紙揃えユニット30により揃えられた用紙に綴じ部品43を綴じる処理の為、図3に示した綴じ部品取り出し位置(方向II)に有った綴じ機構41が、綴じ機構回転軸41dを基準にして、矢印Y1に示す反時計方向に回転し、用紙綴じ位置(方向I)に移動した状態である。ここに用紙綴じ位置は、綴じ機構41の開口部41cがバインダ紙揃えユニット30の用紙搬送方向を向く姿勢をとる位置である。図4に示すバインド処理部40によれば、綴じ機構41は、用紙綴じ位置(方向I)で、バインダ紙揃えユニット30から提供された用紙3”に綴じ部品43を綴じて冊子90を作成し、その後、綴じ部品取り出し位置(方向II)へ戻る。
図5は、綴じ機構41の構成例を示す斜視図である。図5に示す綴じ機構41は本体部41aを備え、この本体部41aは上部に開口部41cを有している。この開口部41cは、本体部41a上部の長手方向を長辺とする長方形の形状である。この開口部41cの長方形の長辺の両側において、板金47fと共に綴じ爪41zが本体部41aに綴じ部品43を綴じる方向へ可動自在に取付けられている。板金47fは3箇所に孔部47gを有している。この各孔部47gに綴じ爪41zの突起部47dが嵌合されている。これにより、板金47fと綴じ爪41zを確実に固定できると共に、綴じ爪41zが撓むことを防げるようになる。なお、図5に示す綴じ機構41は、両側の綴じ爪41zにより綴じ部品43が嵌合され、この綴じ部品43が環状となった状態である。
図6(A)及び(B)は、綴じ爪41zの構成例を示す一部破砕の斜視図である。図6(A)に示す2つの綴じ爪41z及び綴じ部品43は、図5に示した綴じ機構41の破線円内における綴じ爪41z及び綴じ部品43を拡大したものである。
綴じ爪41zは、図5に示した開口部41cの長方形の長辺と同程度の長さを有した樹脂射出成形品である。綴じ爪41zは、綴じ部品43と接触する位置に複数のガイド部47hを備えている。ガイド部47hは、少なくとも綴じ部品43のリング部43bの数分(例えば21〜23程度)用意され、リング部43bが接触する位置に配置される。ガイド部47hは、案内部材の一例を構成し、綴じ部品43の各リング部43bにおける両先端を用紙の孔に案内するようになされる。
ガイド部47hは、案内溝および案内突起、若しくは案内溝または案内突起の一例を構成する。この例では図6(B)に示すように、ガイド部47hが、第1のガイド突起部47j及び第2のガイド突起部47kを有している。ガイド突起部47j及び47kは、綴じ部品43のリング部43bの幅Hと略等しい間隔をあけて配置される。また、ガイド突起部47j及び47kのリング部43bの受け入れ側Qは、リング部43bの幅Hよりも若干広く設定されている。例えば、綴じ部品43のセット時の着座姿勢を安定させるために傾斜部が設けられ、この傾斜部は、開口が広く奥行きが狭くなるように設定されている。これにより、リング部43bを確実に保持することができる。
ガイド突起部47j及び47kの間には、リング部43bの外周面が接触する接触部47lが備えられる。この接触部47lの形状は半円形状である。半円略上部は、180°展開された綴じ部品43を図9に示す半綴じ状態の綴じ部品43にするまでに使用される。半円略下部は、半綴じ状態の綴じ部品43を図6(A)に示す環状の綴じ部品43にするまでに使用される。これにより、綴じ部品43のリング部43bに角がたたないので、綴じ部品43を滑らかに綴じることができる。また、綴じ爪41zは、軸係合部47e及びネジ穴47cを備えている。このネジ穴47cは、図5に示した板金47fなどを固定するために使用される。軸係合部47eには、図7(B)に示す綴じ爪回転軸47bが挿入される。
図7(A)は綴じ機構41の構成例を示す上面図であり、図7(B)は綴じ機構41の内部の構成例を示す断面図である。図7(B)に示す綴じ機構41は、図7(A)に示す綴じ機構41のW−W矢視切断面における関連部材の構成例を示したものである。
この例で、綴じ機構41は、図3に示したバインダカセット42から綴じ部品43を取得するための綴じ部品取得機能を有している。この機能を動作するために、綴じ機構41は、綴じ部品掴み部41b、掴み部リンク41f、掴み部用カム41g、掴み部リンク回転軸41j及び綴じ機構駆動用モータ45a(図12参照)を備えて構成される。
綴じ部品掴み部41bは、保持部の一例として機能する。綴じ部品掴み部41bは、所定の高さを有し、横方向及び縦方向の幅が開口部41cより若干小さい形状を有している。また、綴じ部品掴み部41bの上端部には、綴じ部品43を掴むための図示しない複数の綴じ部品掴み爪を備えている。更に、綴じ部品掴み部41bは、側面に突起状の掴み部リンク結合部41eを有している。綴じ部品掴み部41bと掴み部リンク41fは、掴み部リンク結合部41eが掴み部リンク41fの長孔状の掴み部結合孔41iに嵌合されて結合された状態となっている。掴み部リンク41fは、掴み部用カム41gに連結され、掴み部用カム41gが回転することで、掴み部リンク回転軸41jを軸に回転可能な構成となっている。
このように構成することにより、綴じ部品掴み部41bは、図3に示した状態で、上方向へ移動してバインダカセット42から綴じ部品43を取得し、取得後、綴じ部品43を保持した状態で下方向へ移動する。例えば、掴み部用カム41gの回転により、掴み部リンク41fが掴み部リンク回転軸41jを軸にして時計回りに回転する。このとき、掴み部結合孔41iの位置及び姿勢が変化し、その結果、掴み部リンク結合部41eを介して綴じ部品掴み部41bが上方向へ移動する。また、上方向へ移動して綴じ部品43を取得後に下方向へ移動する場合、掴み部用カム41gの回転により、掴み部リンク41fが掴み部リンク回転軸41jを軸にして反時計回りに回転する。このとき、掴み部結合孔41iの位置及び姿勢が元に戻り、その結果、掴み部リンク結合部41eを介して綴じ部品掴み部41bが下方向へ移動する。このようにして、綴じ機構41は、綴じ部品43を取得する。
また、この例で、綴じ機構41は、取得した綴じ部品43を用紙に綴じるための綴じ爪開閉機能を有している。この機能を動作するために、綴じ機構41は、嵌合部41xを備えている。嵌合部41xは、綴じ爪41z、綴じ爪リンクA41l、綴じ爪リンクB41m、綴じ部リンクC41n、バネ41o、綴じ爪用カム(図示しない)及び綴じ機構駆動用モータ45a(図12参照)から構成される。この構成によって、嵌合部41xは、綴じ部品掴み部41bにより保持された綴じ部品43の両先端を用紙の孔に挿入して嵌合する。
綴じ爪41zには、この綴じ爪41zの長手方向と同程度の長さを有し、綴じ爪41zを補強するための補強鉄棒47aが綴じ爪41zの内側にネジ等で取付けられている。これにより、綴じ部品43を綴じる場合に、ネジ止め箇所(4箇所)の個数に応じて撓む力を分散できるので、綴じ爪41zの長手部分が綴じ方向と逆方向へ撓むことを防げるようになる。
各綴じ爪41zは、L字型の形状を有する綴じ爪リンクA41lの上端部に綴じ爪回転軸47bを介してそれぞれ回転自在に連結されている。例えば、綴じ爪41zの取付け方法は、先ず綴じ爪41zの突起部47dを有する側(上面側)に板金47fが装着され、綴じ爪41zの下面側に補強鉄棒47aが装着される。装着後、綴じ爪41zが板金47f及び補強鉄棒47aで挟まれた状態で、ネジ孔47cがネジなどで固定される。このとき、板金47fの各孔部47gに綴じ爪41zの突起部47dが嵌合される。ネジで固定後、綴じ爪41zの軸係合部47eには、綴じ爪回転軸47bが挿入される。この綴じ爪回転軸47bは、綴じ爪リンクA41lの上端部に取付けられる。各綴じ爪リンクA41lは、各綴じ爪リンクA41lの略中央部に位置する綴じ爪リンクA回転軸A41rにおいて、回転自在に本体部41aに取り付けられる。
また、2つの綴じ爪リンクA41lは、綴じ爪41zが連結された端部の逆側の端部に位置するリンク結合部A46jにおいて、回転自在に連結される。更に2つの綴じ爪リンクA41lには、上下方向に所定の長さを有する綴じ爪リンクB41mの上端部が、リンク結合部A46jにおいて、回転自在に連結される。
綴じ爪リンクB41mは、下端部に長孔状の綴じ爪リンクB結合孔41sを有している。綴じ爪リンクB結合孔41sには、綴じ部リンクC41nの突起状のリンク結合部B46kが嵌合され、綴じ爪リンクB41mと綴じ爪リンクC41nは、当該結合部B46kにおいて可動自在に連結されている。また、綴じ爪リンクB41mは、中央部にてバネ41oを介して本体部41aに取り付けられている。このバネ41oにより綴じ爪リンクB41mには、上向きの力が加えられた状態になっている。
綴じ爪リンクC41nは、綴じ爪リンクC回転軸41tにおいて、回転自在に本体部41aに取り付けられている。また、図示しない綴じ爪用カムが回転することにより、綴じ爪リンクC41nが綴じ爪リンクC回転軸41tを軸に回転する構成となっている。
以上のような構成を備えることにより、綴じ爪41zの開閉動作が行われる。この例では、図示しない綴じ爪用カムが回転して、綴じ爪リンクC41nが反時計回りに回転し、綴じ爪リンクB41mに下向きの力が加えられる。この結果、図7(B)の右側に示す綴じ爪リンクA41lには反時計回りの力が、左側に示す綴じ爪リンクA41lには時計回りの力がそれぞれ加えられ、それぞれの綴じ爪41zが綴じ部品43の方向に移動して綴じ爪41zが閉じられる。図7(B)に示す綴じ爪41zは、略閉じられた状態であり、綴じ部品43は環状の状態となっている。
続いて、綴じ部品43の構成例について説明する。図8(A)〜(D)は、綴じ部品43の構成例を示す説明図である。図8(A)に示す綴じ部品43は、綴じ部品43の一部を示す平面図である。綴じ部品43は、背骨部43a、第1の分割リング部43d、第2の分割リング部43c、第3の分割リング部43e、ピン43f、第1の結合部43g及び第2の結合部43hを有する。綴じ部品43は、定形紙の寸法に合わせた長さの背骨部43aに、一定間隔でリング部43bが配列された樹脂射出成形品である。
図8(B)は、図8(A)の矢印Bから見た状態を示した図である。図8(A)及び(B)に示すように、リング部43bは、背骨部43aに結合される分割リング部43cとその左右に折り曲げ自在に連結されている分割リング部43d及び分割リング部43eとに三分割された構成となっている。
分割リング部43dの先端には、結合部43gが備えられ、分割リング部43eの先端には、結合部43hが備えられている。結合部43gの形状は凸形状であり、結合部43hの形状は凹形状である。結合部43gと結合部43hとが結合されてリング部43bは環状となる。
図8(C)は、図8(A)のC−C矢視断面図である。図8(C)に示す綴じ部品43の背骨部43a断面の形状は凸型であり、この凸型形状は、綴じ部品を掴むための爪で綴じ部品43を掴み易くするための形状である。
図8(D)は、複数の綴じ部品43を積層させた状態を図8(A)の矢印Bから見た状態である。また、図8(A)から(C)に示したように、リング部43bの分割リング部43cは突起状のピン43fを有している。ピン43fが備えられている分割リング部43cの逆側には、ピン43fに対応した図示しない挿入孔が備えられている。これにより、分割リング部43d、分割リング部43c及び分割リング部43eの各両端部が一直線上に揃った状態で、ピン43fを挿入孔に挿入させて複数の綴じ部品43を積層することができる。
なお、綴じ部品43は、図2で示した用紙束3”の厚みに応じてリング部43bの大きさ等が異なるものが複数種類用いられる。また、綴じ部品43は、リング部43bが、分割リング部43d、分割リング部43c及び分割リング部43eの3つの箇所に分割された構成としたが、リング部43bがn(nは自然数)箇所に分割された構成としても良い。
続いて、綴じ爪41zの動作例について説明する。図9は、綴じ爪41zの動作例(半綴じ状態)を示す一部破砕の斜視図である。図9に示す綴じ爪41zは、半綴じ状態の綴じ部品43のリング部43bをガイド部47hによりガイドした状態である。このようにして、綴じ爪41zは、綴じ部品43の半綴じ状態を形成する。
図10(A)は、綴じ爪41zの動作例(半綴じ状態)を示す一部破砕の上面図である。図10(B)は、綴じ爪41zの動作例を示すX−X矢視断面図である。図10(C)は、綴じ爪41zの動作例を示すY矢視の説明図である。図10(A)に示す2つの綴じ爪41zは、図9で示した綴じ爪41zと同様に、半綴じ状態の綴じ部品43をガイドした状態である。図10(A)に示す綴じ爪41zによれば、綴じ部品43のリング部43bが接触する位置に配置されたガイド部47hが、綴じ部品43のリング部43bをガイドしている。
図10(B)に示す接触部47lは、綴じ部品43のリング部43bの外周面に接触している。このとき、ガイド突起部47kは、リング部43bの一方の側面をガイドしている。また、図10(C)に示すガイド突起部47jは、リング部43bの他方の側面をガイドしている。これにより、リング部43bの両側面がガイドされているので、綴じ部品43を嵌合する場合に、各リング部43bの両先端の姿勢が嵌合方向に対して左右にズレることを防止できるようになる。
図11(A)は、綴じ爪41zの動作例(環状態)を示す一部破砕の上面図である。図11(A)に示す綴じ爪41は、図10(A)に示した綴じ爪41の状態から綴じ部品43が環状になるまで綴じられたものである。このとき、ガイド部47hは、綴じ部品43のリンク部43bをガイドするようになされる。
図11(B)は、綴じ爪41zの動作例を示すZ−Z矢視断面図である。図11(C)は、綴じ爪41zの動作例を示すV矢視の説明図である。図11(B)に示す接触部47lは、綴じ部品43のリング部43bの外周面に接触している。このとき、ガイド突起部47kは、リング部43bの一方の側面をガイドしている。また、図11(C)に示すガイド突起部47jは、リング部43bの他方の側面をガイドしている。これにより、綴じ部品43を図10(A)乃至(C)に示した半綴じ状態から嵌合した場合に、リング部43bの両側面がガイドされているので、各リング部43bの両先端の姿勢が嵌合方向に対して左右にズレることなく直立姿勢を維持できるようになる。これにより、綴じ部品43の両先端を確実に嵌合できるようになる。
図12は、バインド処理部40の制御系の構成例を示すブロック図である。図12に示すバインド処理部40の制御系は、制御部50、モータ駆動部44a及び信号処理部44bを有して構成される。
制御部50は、システムバス55を有しており、このシステムバス55には、I/Oポート54、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)53、RAM(Random Access Memory)52及びCPU(Central Processing Unit)51が接続される。EEPROM53には、綴じ機構41が綴じ部品43を取得して用紙に綴じ部品43を綴じる動作を制御するためのプログラム(綴じ部品取得制御プログラム)などが保存されている。RAM52は、綴じ部品取得制御制御プログラムに基づいて綴じ部品43を取得制御する際に、ワークメモリとして使用される。
I/Oポート54にはモータ駆動部44a及び信号処理部44bが接続される。信号処理部44bには外部端子が接続され、この外部端子には図示しないコピー機などが接続される。例えば、バインド装置100に組み合わされたコピー機により印刷された1冊子分の用紙枚数の情報が、規定枚数信号S45gとして外部端子から信号処理部44bに出力され、信号処理部44bは、出力された規定枚数信号S45gを二値化して検出データDpをI/Oポート54を介してCPU51に出力する。
CPU51は検出データDpを入力し、この検出データDpに基づき図1に示した紙揃えユニット30に、図2に示した1冊子分の用紙3’が規定枚数蓄積されたと判断すると、モータ駆動部44aにモータ制御データDmを出力して綴じ機構41が綴じ処理を行うように制御する。モータ駆動部44aは、I/Oポート54を介してCPU51に接続され、更に、綴じ機構41に配設された綴じ機構駆動用モータ45aに接続される。
モータ駆動部44aは、CPU51により出力されたモータ制御データDmを入力し、モータ制御データDmをデコードした綴じ機構駆動用信号S45aを綴じ機構駆動用モータ45aに出力する。当該モータ45aは、綴じ機構駆動用信号S45aを入力して綴じ部品43を綴じる処理を開始する。
続いて、綴じ爪41zにより綴じ部品43を綴じる例を図10及び図11に示した切断面を使用して時系列に説明する。図13(A)〜(D)は、綴じ部品43の取り出し後、綴じ部品43を綴じる例を示す工程図である。この例では、図7(B)に示した綴じ部品掴み部41bの一部と各綴じ爪41zの動作例について説明する。
図13(A)に示す綴じ部品掴み部41bは、図3に示したバインダカセット42から綴じ部品43を取得した状態である。この状態で、図12に示した機構駆動用モータ45aが図7(B)に示した掴み部用カム41gを回転する。この掴み部用カム41gが回転することで、綴じ部品掴み部41bを下方向へ移動するようになされる。
綴じ部品掴み部41bを下方に移動させると、図13(B)に示すように綴じ部品43の分割リング部43d及び43eの外周面が綴じ爪41zの接触部47lに接触した状態となる。このとき、綴じ爪41zは、開いた状態となっている。その後、綴じ爪41zを開いた状態のまま綴じ部品掴み部41bを更に下方に引き込むように移動させる。この場合、図13(C)に示すように、綴じ部品43の分割リング部43d及び43eの外周面が接触部47lに押されることで、綴じ部品43は、所定量折り曲げられて半綴じ状態(プレフォーミング)となる。このとき、ガイド突起部47kは、分割リング部43d及び43eの一方の側面をガイドしている。また、図10(C)に示したガイド突起部47jは、分割リング部43d及び43eの他方の側面をガイドしている。これにより、プレフォーミングを確実に行うことができる。
図13(C)に示したプレフォーミングの状態から綴じ爪41zが閉じられて図13(D)に示す環状の綴じ部品43となる。この例で、図示しない綴じ爪用カムにより図7(B)に示した嵌合部41xの綴じ爪リンクC41nが反時計回りに回転され、綴じ爪リンクB41mに下向きの力が加えられる。この下向きの力により、左右の綴じ爪リンクA41lが回転され、それぞれの綴じ爪41zが綴じ部品43の方向に移動して綴じ爪41zが閉じられる。このとき、ガイド突起部47kは、分割リング部43d及び43eの一方の側面をガイドし、図11(C)に示したガイド突起部47jは、分割リング部43d及び43eの他方の側面をガイドしている。従って、図8(B)に示した綴じ部品43の結合部43g及び43hを用紙3”のパンチ孔内で確実に嵌合できるようになる。
このように、本発明に係るバインド装置100によれば、複数の各々の用紙3’に穿孔された所定数の孔に綴じ部品43を綴じて冊子を作成する場合であって、綴じ部品43を嵌合する嵌合部41xは、綴じ部品43の各リング部43bの両先端を用紙3”の孔に案内するガイド部47hを備えるものである。この例で、ガイド部47hはガイド突起部47j及び47kを有している。ガイド突起部47kはリング部43bの一方の側面をガイドし、ガイド突起部47jはリング部43bの他方の側面をガイドするようになされる。
このように構成することにより、綴じ部品43を嵌合する場合に、綴じ部品43の各リング部43bの両先端の姿勢が嵌合方向に対して左右にズレないので両先端が競り合って当接せず、綴じ部品43の両先端を確実に嵌合できるようになる。従って、当該装置100の綴じ処理の性能を向上できるようになる。
なお、バインダ紙揃えユニット30において、用紙をクランプするクランプ部材に上述のガイド部47hを備え、綴じ部品43を綴じる場合に、このクランプ部材のガイド部47hに綴じ部品43の外周面を接触させながら綴じ部品43を綴じることも考えられる。また、綴じ部品43の分割リング部43d及び43eの外周面に溝を彫り、この溝に入る突起部を綴じ爪41zに備えることで、綴じ部品43の嵌合精度を上げることも考えられる。