JP2008022612A - 緊急時周波数制御装置および緊急時周波数制御方法 - Google Patents

緊急時周波数制御装置および緊急時周波数制御方法 Download PDF

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博之 天野
Toshio Inoue
俊雄 井上
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Abstract

【課題】緊急事態が発生した際に、系統特性が想定外の場合にも周波数を許容範囲内に収めるようにすること。
【解決手段】電源脱落など緊急事態が発生した場合に、周波数変化率算出部130が周波数の測定値を用いて周波数変化率を算出し、単位慣性定数算出部140が系統に並列中の発電機の単位慣性定数および定格容量ならびに系統容量に基づいて系統の単位慣性定数を算出し、需給不均衡算出部160が周波数変化率算出部130によって算出された周波数変化率および単位慣性定数算出部140によって算出された系統の単位慣性定数に基づいて需給不均衡を算出し、第二段制御量算出部170が需給不均衡算出部160によって算出された需給不均衡に基づいて第二段階の制御量を算出し、操作部180が第二段制御量算出部170によって算出された制御量に基づいて第二段階の制御を実施する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、系統事故発生時など緊急時に電力系統の周波数を制御する緊急時周波数制御装置および緊急時周波数制御方法に関し、特に、想定外の系統特性の変化や需給不均衡の増加に対しても周波数変化幅を許容範囲内に抑えることができる緊急時周波数制御装置および緊急時周波数制御方法に関するものである。
従来の周波数制御方式では、系統事故等による需給不均衡の発生に対してどれだけの発電または負荷を制限(トリップ)すれば良いかを、系統の周波数特性やシミュレーション結果などを基に、需給不均衡が生じる前に算定して制御装置に設定している。その際、想定される全ての条件に対して周波数が許容範囲に入るように、また、系統の特性やシミュレーションにおける不確定な要素を考慮して、設定値は厳しめの値に設定される。
しかし、電力自由化の進展や分散型電源の導入量の増加などにより、不確定な要素は一層増えると予想される。特に、分散型電源は、系統事故による瞬時電圧低下時や周波数変動時に系統から脱落する懸念があることが報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。
特に、周波数低下中に分散型電源が脱落すれば、想定していた以上に需給不均衡が増加する可能性がある。このような場合には、事前にトリップ量を算定しておく従来の方式では、周波数変動を許容範囲内に抑えることができない恐れがある。
これへの対応とし、需給不均衡量と周波数変動幅の関係を想定して、事故後の周波数変動の測定値から、トリップ量を補正する(二段階に分けてトリップする)方法がある(例えば、特許文献1および2参照。)。
特開昭61−106028号公報 特公平7−108063号公報 平成17年度電力系統関連設備形成等調査−分散型電源を系統へ連携した場合の系統安定に関する調査−報告書、平成17年12月エネルギー総合工学研究所
しかしながら、需給不均衡量と周波数変動幅の関係は、系統の運用状態(並列発電機の種類、運転状態等)によって時々刻々異なるため、不適切な値を用いると周波数は許容範囲内に収まらない可能性があるという問題がある。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、想定外の系統特性の変化や需給不均衡の増加に対しても周波数変化幅を許容範囲内に抑えることができる緊急時周波数制御装置および緊急時周波数制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明に係る緊急時周波数制御装置は、緊急時に電力系統の周波数を制御する緊急時周波数制御装置であって、前記電力系統の単位慣性定数および周波数変化率に基づいて需給不均衡を算出する需給不均衡算出手段と、前記需給不均衡算出手段により算出された需給不均衡に基づいて電力系統に対する制御量を決定し、該決定した制御量に基づいて制御を行う系統制御手段と、を備えたことを特徴とする。
この請求項1の発明によれば、電力系統の単位慣性定数および周波数変化率に基づいて需給不均衡を算出し、算出した需給不均衡に基づいて電力系統に対する制御量を決定し、決定した制御量に基づいて制御を行うよう構成したので、実際の需給不均衡に基づいて系統制御を行うことができる。
また、請求項2の発明に係る緊急時周波数制御装置は、請求項1の発明において、前記需給不均衡算出手段は、電力系統に並列中の発電機の単位慣性定数および定格容量ならびに該電力系統の系統容量に基づいて前記電力系統の単位慣性定数を算出することを特徴とする。
この請求項2の発明によれば、電力系統に並列中の発電機の単位慣性定数および定格容量ならびに電力系統の系統容量に基づいて電力系統の単位慣性定数を算出するよう構成したので、電力系統の単位慣性定数を精度良く算出することができる。
また、請求項3の発明に係る緊急時周波数制御装置は、請求項1または2の発明において、前記需給不均衡算出手段は、緊急事態が発生して所定の時間が経過した後の周波数の変化率のトレンドを前記周波数変化率とすることを特徴とする。
この請求項3の発明によれば、緊急事態が発生して所定の時間が経過した後の周波数の変化率のトレンドを周波数変化率とするよう構成したので、事故中の周波数の突変を除外することができ、また、短周期成分(主として同期化力成分)についても取り除くことができるため、周波数変化率を精度良く算出できる。
また、請求項4の発明に係る緊急時周波数制御装置は、請求項3の発明において、前記需給不均衡算出手段は、緊急事態が発生して所定の時間が経過した後の周波数の時間的変化から最小二乗法による一次近似によって前記周波数変化率を算出することを特徴とする。
この請求項4の発明によれば、緊急事態が発生して所定の時間が経過した後の周波数の時間的変化から最小二乗法による一次近似によって周波数変化率を算出するよう構成したので、周波数変化率を容易に精度良く算出することができる。
また、請求項5の発明に係る緊急時周波数制御装置は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の発明において、前記系統制御手段は、周波数変化幅が許容上下限から所定の範囲内に入った際に前記制御を行うことを特徴とする。
この請求項5の発明によれば、周波数変化幅が許容上下限から所定の範囲内に入った際に制御を行うよう構成したので、制御に時間遅れがある場合にも周波数変化幅を許容範囲内に抑えることができる。
また、請求項6の発明に係る緊急時周波数制御装置は、請求項1〜5のいずれか一つに記載の発明において、緊急事態が発生した直後に事前に算出した制御量に基づいて制御を行う事前設定制御手段をさらに備えたことを特徴とする。
この請求項6の発明によれば、緊急事態が発生した直後に事前に算出した制御量に基づいて制御を行うよう構成したので、迅速に制御を行うことができる。
また、請求項7の発明に係る緊急時周波数制御方法は、緊急時に電力系統の周波数を制御する緊急時周波数制御方法であって、前記電力系統の単位慣性定数および周波数変化率に基づいて需給不均衡を算出する需給不均衡算出工程と、前記需給不均衡算出工程により算出された需給不均衡に基づいて電力系統に対する制御量を決定し、該決定した制御量に基づいて制御を行う系統制御工程と、を含んだことを特徴とする。
この請求項7の発明によれば、電力系統の単位慣性定数および周波数変化率に基づいて需給不均衡を算出し、算出した需給不均衡に基づいて電力系統に対する制御量を決定し、決定した制御量に基づいて制御を行うよう構成したので、実際の需給不均衡に基づいて系統制御を行うことができる。
請求項1および7の発明によれば、実際の需給不均衡に基づいて系統制御を行うので、想定外の系統特性の変化や需給不均衡の増加に対しても周波数変化幅を許容範囲内に抑えることができるという効果を奏する。
また、請求項2の発明によれば、電力系統の単位慣性定数を精度良く算出するので、需給不均衡を精度良く算出することができるという効果を奏する。
また、請求項3の発明によれば、周波数変化率を精度良く算出するので、需給不均衡を精度良く算出することができるという効果を奏する。
また、請求項4の発明によれば、周波数変化率を容易に精度良く算出するので、高速に周波数変化率を精度良く算出することができるという効果を奏する。
また、請求項5の発明によれば、制御に時間遅れがある場合にも周波数変化幅を許容範囲内に抑えることができるので、周波数を許容範囲内に抑えることができるという効果を奏する。
また、請求項6の発明によれば、迅速に制御を行うので、緊急事態に迅速に対応することができるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照して、この発明に係る緊急時周波数制御装置および緊急時周波数制御方法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、本実施例では、緊急事態発生直後および周波数変化幅が許容範囲を超える手前の所定の時点の二段階で制御を行う場合を中心に説明する。
まず、本実施例に係る周波数制御装置の構成について説明する。図1は、本実施例に係る周波数制御装置の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この周波数制御装置100は、系統情報収集部110と、系統情報記憶部120と、周波数変化率算出部130と、単位慣性定数算出部140と、発電機定数記憶部150と、需給不均衡算出部160と、第二段制御量算出部170と、操作部180と、第一段制御量記憶部190とを有する。
系統情報収集部110は、制御対象の電力系統から遮断機の開閉状態、発電機出力、周波数などの系統情報を常時収集して系統情報記憶部120に格納する処理部である。系統情報記憶部120は、系統情報収集部110が収集した系統情報を記憶する記憶部である。
周波数変化率算出部130は、緊急事態が発生した際に、系統情報記憶部120に記憶された複数地点の複数時点の周波数から系統の周波数変化率df/dtを算出する処理部である。この周波数変化率算出部130は、需給不均衡の発生直後の激しい周波数変化が終了した時点、例えば事故が除去された時点以降の周波数の変化率のトレンドを算出する。ここで、周波数の変化率のトレンドとは、周波数変化のゆっくりした成分のことである。この周波数の変化率のトレンドによれば、周波数測定値に含まれる短周期成分(主として同期化力振動成分)の影響を低減できるので、後述する需給不均衡算出部160による需給不均衡の推定精度を向上することができる。
また、ここでは、変化率のトレンドの算出に最小二乗法による一次近似(直線近似)を用いるが、これに限定されるものではなく、指数関数近似など他の一般的な方法で変化率のトレンドを算出することもできる。また、ここでは複数地点の周波数の平均値を用いるが、これに限定されるものではなく、代表1箇所の周波数の平均値を用いることもできる。
単位慣性定数算出部140は、系統情報記憶部120に記憶された遮断機の開閉状態、発電機出力などを用いて系統に並列中の発電機を特定し、特定した発電機iの単位慣性定数miおよび定格容量wiを発電機定数記憶部150から読み出して系統の単位慣性定数Mを算出する処理部である。ここで、系統容量をWとすると
Figure 2008022612

である。
この単位慣性定数算出部140が、並列中の発電機を特定し、特定した発電機iの単位慣性定数mi、定格容量wiおよび系統容量Wを用いて系統の単位慣性定数Mを推定することによって、季節や時間帯による需給状況の違い(系統容量の大小、系統に並列中の発電機の容量や台数の変化)による系統の単位慣性定数Mの差異を考慮することができる。
発電機定数記憶部150は、発電機ごとに単位慣性定数および定格容量を記憶した記憶部である。
需給不均衡算出部160は、需給不均衡ΔTを算出する処理部であり、単位慣性定数算出部140によって算出された単位慣性定数M、周波数変化率算出部130によって算出された周波数変化率df/dtを用いて需給不均衡ΔTを系統の運動方程式から次式で推定する。
Figure 2008022612
この需給不均衡算出部160が、周波数変化率算出部130によって算出された周波数変化率df/dtを用いて需給不均衡ΔTを推定することによって、周波数の測定値に基づいて時々刻々の需給不均衡を推定することができる。
第二段制御量算出部170は、需給不均衡算出部160によって算出された需給不均衡ΔTを用いて第二段階の制御量ΔPを次式で算出する処理部である。
Figure 2008022612

なお、ここでは、ω=1として制御量ΔPを算出するが、測定値から平均的なωを算出することもできる。
操作部180は、緊急事態発生時に、二段階で系統の制御を行う処理部であり、第一段階では第一段制御量記憶部190に記憶された制御量に基づいて制御を実施し、第二段階では第二段制御量算出部170によって算出された制御量に基づいて制御を実施する。
この操作部180が、第二段階に第二段制御量算出部170によって算出された制御量、すなわち制御対象系統の単位慣性定数と周波数変化率に基づいて制御を実施することによって、第一段階での制御量を控えめにすることができ、第一段階での過制御を防ぐことができる。
第一段制御量記憶部190は、操作部180が第一段階で実施する制御量を記憶する記憶部であり、系統の周波数特性およびシミュレーション結果に基づいて緊急事態のパターンごとに算出された制御量を記憶する。
次に、本実施例に係る周波数制御装置100の処理手順について説明する。図2は、本実施例に係る周波数制御装置100の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、この周波数制御装置100は、緊急事態が発生すると、操作部180が第一段制御量記憶部190に記憶された制御量に基づいて第一段階の制御を実行する(ステップS1)。
そして、周波数変化率算出部130が系統情報記憶部120に記憶された複数地点の周波数の時間的変化を用いて周波数変化率を算出し(ステップS2)、単位慣性定数算出部140が並列中の発電機の単位慣性定数および定格容量を用いて系統の単位慣性定数を算出する(ステップS3)。なお、ここでは、周波数変化率を系統の単位慣性定数より先に算出することとしたが、単位慣性定数を周波数変化率より先あるいは周波数変化率と同時に算出することもできる。
そして、需給不均衡算出部160が周波数変化率および系統の単位慣性定数に基づいて需給不均衡を算出し(ステップS4)、第二段制御量算出部170が需給不均衡に基づいて第二段階の制御量を算出する(ステップS5)。そして、操作部180が周波数変化幅が許容上下限から所定の範囲内に入ると第二段階の制御を実行する(ステップS6)。
このように、周波数変化率および系統の単位慣性定数に基づいて需給不均衡を算出することによって、全系の運動方程式を考慮した制御を行うことができる。
次に、本実施例に係る周波数制御装置100による緊急時制御のシミュレーション結果について説明する。シミュレーションは、図3に示す電気学会標準30機系統モデルの夜間断面を用いて行った。ただし、初期設定では同期安定度が非常に厳しい断面となっており、ここでは同期安定度は本質的な問題ではないため、全ての発電機の出力、負荷電力を一律0.8倍に変更した。なお、対象系統は、図3の矢印で示された範囲である。
また、系統容量は約35GW(総発電:35.109GW、総需要:34.984GW)とし、発電機の定格容量と定格出力、発電機および負荷の連系変圧器のインピーダンスも発電と需要の変更比に応じて変更した。連系線潮流は入って来る方向を正とした。負荷の電圧特性は定I特性とした。
また、シミュレーション開始後1.00秒において発電機G18の電源脱落(地絡事故なし)を想定し、発電機G18の出力は2200MW、所内負荷は104MW、電源脱落量は系統容量の約6%MW(=(2200−104)/35,000*100)とし、負荷制限箇所はノード1300とした。
また、全系の平均周波数を測定するのは現実的には困難と考えられるため、対象系統の平均周波数(脱落発電機を除いた発電機ノードの周波数の平均)を使用した。
また、系統の周波数特性は、ガバナフリー容量(GF容量)、負荷の周波数特性をパラメータとし、下記の3ケースを検討した。
ケース1:
約6%MWの電源脱落で、約1.3Hzの周波数低下となる場合(系統定数が想定どおりの場合)。負荷の周波数特性は3.33%MW/Hzとし、GF容量を初期設定から減らした。
ケース2:
上記ケース1で負荷の周波数特性を2.00%MW/Hzとした場合(系統定数が小さい場合)。なお、周波数低下による分散電源の想定外の脱落を考慮した場合も、この場合に類する。
ケース3:
上記ケース1でGF容量を初期設定に戻した場合(系統定数が大きい場合)。
また、比較対象とする従来方式では、約5%MWの電源脱落で約1.0Hzの周波数低下となることを想定して、電源脱落直後に400MW負荷制限し、需給アンバランスが約5%MW以内となるようにした。また、電源脱落直後(同時)に制御するとした。
また、本実施例に係る周波数制御装置100の制御方式では、約7%MWの電源脱落で約1.0Hzの周波数低下となる(仮の設定値)ことを想定し、第一段制御を実施するとした。また、電源脱落直後(同時)に制御するとした。ただし、このシミュレーションでは電源脱落量が約6%MWであるため、第一段制御はなしとなる(負荷制限は0MW)。
また、第二段制御は平均周波数が59.2Hzを下回った時点(仮の設定値)でM*df/dtを負荷制限するとした。すなわち、全系の運動方程式
Figure 2008022612

を考慮し(Mは全系の単位慣性定数、fは全系の平均周波数)、周波数が59.0Hz近くまで低下したら、「周波数の低下が止まる」、すなわち、「df/dt=0」となるように、M*df/dtだけ負荷を減らす方式とした。
ただし、M*df/dtには同期安定度の動揺成分が重畳するため平滑化する必要がある。そこで、ここでは、脱落直後の激しい変動が終了した時点(1.20秒)から、平均周波数が59.2Hz以下となるまでの範囲を直線で最小二乗法によって近似することにより、平均周波数が59.2Hz以下となった時点でのM*df/dtを算出した。なお、ここでは、全系の単位慣性定数Mは過去の検討結果から15秒を採用した(井上、谷口、吉田、池口、「実測結果に基づく系統周波数特性の推定手法の開発」、電中研 研究報告 T94016、平成7年5月)。
図4〜図6は、従来の制御方式と本実施例に係る周波数制御装置100の制御方式のシミュレーション結果を示す図である。図4は、系統定数が想定どおりのケース1の場合を示し、図5は、系統定数が想定より小さいケース2の場合を示し、図6は、系統定数が想定より大きいケース3の場合を示す。また、各図は、(a)制御なし、(b)従来方式、(c)本実施例に係る方式について、周波数偏差、Σ(ΔPG+ΔPT)(需要偏差)、M*df/dtを示す。
系統定数が想定どおりのケース1の場合には、図4に示すように、従来方式では、電源脱落後瞬時に400MW負荷制限を実施し、制御仕上がりが良いが、本実施例に係る方式では、第一段の制御量が0で、第二段の制御量が1020MWであり、タイミングが遅れるため制御量が増えている。
なお、「(c)本実施例に係る方式」のM*df/dtには、周波数変化率df/dtの直線近似を示し、「(a)制御なし」のM*df/dtには、1.20〜10.00秒の範囲で周波数変化率df/dtをa*exp(b*x)で近似した曲線も示す。5.03秒時点では、両者はほぼ同じ値になっており、直線近似による平滑化が有効であることがわかる。
系統定数が想定より小さいケース2の場合には、図5に示すように、従来方式では、電源脱落後瞬時に400MW負荷制限を実施するが系統周波数が許容下限値の59.0Hzを下回ってしまう。一方、本実施例に係る方式では、第一段の制御量が0で、第二段の制御量が1430MWであり、系統周波数が許容下限値の59.0Hzを下回ることなく、良好な仕上がりとなっている。
系統定数が想定より大きいケース3の場合には、図6に示すように、従来方式では、電源脱落後瞬時に400MW負荷制限を実施し、過制御となる。一方、本実施例に係る方式では、第一段の制御量、第二段の制御量がともに0であり、従来方式と比較して制御量が減ることがわかる。
図7は、従来の制御方式と本実施例に係る周波数制御装置100の制御方式をまとめたものである。同図に示すように、従来の制御方式では、系統定数が最も小さい場合を想定してオフライン演算によって制御量を決定し、第一段制御を実施する。一方、本実施例に係る周波数制御装置100による制御方式では、第二段制御を行うために制御量を控えめにすることができるので、系統定数が大きい場合を想定してオフライン演算によって制御量を決定し、第一段制御を実施する。
その結果、系統定数が想定どおりのケース1の場合には、第二段制御はある程度時間が経過してから実施するため、本実施例に係る周波数制御装置100の制御方式では、電源脱落直後に制御した場合より原理的に制御量は増える。
これに対して、系統定数が想定より小さいケース2の場合には、系統周波数の許容下限値である59.0Hzを下回らないように制御することができ、系統定数が想定より大きいケース3の場合にも、過制御となることがないなどの利点が本実施例に係る周波数制御装置100の制御方式にはある。
上述してきたように、本実施例では、電源脱落など緊急事態が発生した場合に、周波数変化率算出部130が周波数の測定値を用いて周波数変化率を算出し、単位慣性定数算出部140が系統に並列中の発電機の単位慣性定数および定格容量ならびに系統容量に基づいて系統の単位慣性定数を算出し、需給不均衡算出部160が周波数変化率算出部130によって算出された周波数変化率および単位慣性定数算出部140によって算出された系統の単位慣性定数に基づいて需給不均衡を算出し、第二段制御量算出部170が需給不均衡算出部160によって算出された需給不均衡に基づいて第二段階の制御量を算出し、操作部180が第二段制御量算出部170によって算出された制御量に基づいて第二段階の制御を実施することとしたので、想定外の系統特性の変化や需給不均衡の増加に対しても周波数変化幅を許容範囲内に抑えることができる。
また、本実施例では、二段階で制御を実施する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第一段制御を実施することなく第二段制御だけを実施する場合にも同様に適用することができる。
以上のように、本発明に係る緊急時周波数制御装置および緊急時周波数制御方法は、電源脱落など緊急時の電力系統の制御に有用であり、特に、分散型電源が多く含まれる電力系統に適している。
本実施例に係る周波数制御装置の構成を示す機能ブロック図である。 本実施例に係る周波数制御装置の処理手順を示すフローチャートである。 電気学会標準30機系統モデルを示す図である。 従来の制御方式と本実施例に係る周波数制御装置の制御方式のシミュレーション結果(系統定数が想定どおりの場合)を示す図である。 従来の制御方式と本実施例に係る周波数制御装置の制御方式のシミュレーション結果(系統定数が想定より小さい場合)を示す図である。 従来の制御方式と本実施例に係る周波数制御装置の制御方式のシミュレーション結果(系統定数が想定より大きい場合)を示す図である。 従来の制御方式と本実施例に係る周波数制御装置の制御方式の概要を示す図である。
符号の説明
100 周波数制御装置
110 系統情報収集部
120 系統情報記憶部
130 周波数変化率算出部
140 単位慣性定数算出部
150 発電機定数記憶部
160 需給不均衡算出部
170 第二段制御量算出部
180 操作部
190 第一段制御量記憶部

Claims (7)

  1. 緊急時に電力系統の周波数を制御する緊急時周波数制御装置であって、
    前記電力系統の単位慣性定数および周波数変化率に基づいて需給不均衡を算出する需給不均衡算出手段と、
    前記需給不均衡算出手段により算出された需給不均衡に基づいて電力系統に対する制御量を決定し、該決定した制御量に基づいて制御を行う系統制御手段と、
    を備えたことを特徴とする緊急時周波数制御装置。
  2. 前記需給不均衡算出手段は、電力系統に並列中の発電機の単位慣性定数および定格容量ならびに該電力系統の系統容量に基づいて前記電力系統の単位慣性定数を算出することを特徴とする請求項1に記載の緊急時周波数制御装置。
  3. 前記需給不均衡算出手段は、緊急事態が発生して所定の時間が経過した後の周波数の変化率のトレンドを前記周波数変化率とすることを特徴とする請求項1または2に記載の緊急時周波数制御装置。
  4. 前記需給不均衡算出手段は、緊急事態が発生して所定の時間が経過した後の周波数の時間的変化から最小二乗法による一次近似によって前記周波数変化率を算出することを特徴とする請求項3に記載の緊急時周波数制御装置。
  5. 前記系統制御手段は、周波数変化幅が許容上下限から所定の範囲内に入った際に前記制御を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の緊急時周波数制御装置。
  6. 緊急事態が発生した直後に事前に算出した制御量に基づいて制御を行う事前設定制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の緊急時周波数制御装置。
  7. 緊急時に電力系統の周波数を制御する緊急時周波数制御方法であって、
    前記電力系統の単位慣性定数および周波数変化率に基づいて需給不均衡を算出する需給不均衡算出工程と、
    前記需給不均衡算出工程により算出された需給不均衡に基づいて電力系統に対する制御量を決定し、該決定した制御量に基づいて制御を行う系統制御工程と、
    を含んだことを特徴とする緊急時周波数制御方法。
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