JP2008021662A - 放電灯装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ランプ特に水銀レスランプにおいて、ランプ個体差によるランプ電圧のバラツキを吸収でき、光束のオーバーシュート、アンダーシュートを抑制し、光束をスムーズに100%に収束させること。
【解決手段】水銀レス(フリー)のランプに、ランプ印加電圧を供給し始めてから、ランプの点灯の直後の光束が80%〜100%に達したかに基づいてランプ印加電力を低減する制御を開始し始める水銀レス(フリー)の放電灯の制御に関する。
【選択図】図3

Description

本発明は、高圧放電灯を点灯する放電灯装置、特に車両用前照灯に用いるのに好適な放電灯装置に関する。
従来、高圧放電灯(以下、ランプまたはバルブという)を車両用前照灯に適用し、車載バッテリ電圧をトランスにて高電圧化した後、この高電圧の極性をインバータ回路にて切り替え、ランプを交流点灯させるようにしたものが種々提案されている(特開平9−180888号公報、特開平8−321389号公報参照)。ここで、トランスの1次側には1次電流を制御するためのスイッチング素子が設けられており、ランプ電圧とランプ電流に基づいてスイッチング素子をPWM(パルス幅変調)制御して、ランプへの供給電力を制御するようにしている。
つまり、ランプ電圧とランプ電流の関係を規定する所定の制御線に従ってランプへ所望の電力を供給するようにしている。
ところで、現在車両用前照灯に適用されるランプは、定格35W、ランプ電圧85V、ランプ電流0.41Aである。このランプには微量の水銀が封入されており、廃棄時の環境汚染の問題から水銀レス(水銀フリー)のランプが望まれている。水銀レスのランプでは、安定時のランプ電圧が従来と比べ半分程度の電圧となる。また、点灯初期のランプ電圧は、従来と比べほぼ同程度の電圧で約27V前後となる。また、点灯初期にわずかなランプ電圧の上昇で急激に光束が立ち上がるという特徴がある。このため、従来のランプ電圧とランプ電流によるランプ電力制御では所望の電力に制御することができないという問題が生じる。
ランプを車両用前照灯に適用するには、点灯スイッチをオンした後光束を早く立ち上げる(早く明るくする)必要があり、そのために点灯初期に定格電力より大きな電力をランプに印加して光束の立ち上がりを早くしている。具体的には、現状35Wランプ(D2SorD2Rバルブ)では、点灯初期に70W程度をランプに印加し、その後徐々に電力を減らし安定状態の35Wに制御している。この制御は、図11に示すランプ電圧とランプ電流の関係を規定する所定の制御線に従って行っており、図11から明らかなように点灯初期のランプ電圧は約27V、安定時電圧は約85Vであり、ランプ電圧が27Vから85Vへ58V変化することに応じてランプ電力を70Wから35Wへ減らすようにする。
水銀レスのランプでも従来の制御と同様に、点灯スイッチがオンした後光束を早く立ち上げる(早く明るくする)必要がある。そのために点灯初期は定格電力より大きな電力をランプに印加し光束の立ち上がりを早くすることが必要であり、具体的には、水銀レスの35Wランプでは、点灯初期に90W程度をランプに印加し、その後徐々に電力を減らし安定状態の35Wに制御する必要がある。水銀レスのランプの点灯初期のランプ電圧は従来ランプとほぼ同じで27V程度であるが、安定時のランプ電圧は約42V程度と従来ランプの半分程度である。このようなランプ電圧特性をもつランプを図7に示す従来の制御線に基づく制御によって行うとすると、ランプ電圧が27Vから42Vへ15V変化することに応じてランプ電力を90Wから35Wへ55W減らすように制御すればよいことになる。すなわち、従来ランプでは、58Vの電圧変化値に対し35Wの電力減でありその比率は小さかったが、水銀レスランプでは、15Vの電圧変化値に対し55Wの電力減でありその比率は大きくなっている。
点灯初期のランプ電圧は、現状ランプ、水銀レスランプともに27V程度であるが、±数Vはばらつく。現行の制御方法では、このバラツキはランプ電力のバラツキとなる。特に、水銀レスランプの場合、点灯初期から安定状態までのランプ電圧変化が15V程度と小さく上記比率が大きいため、点灯初期のランプ電圧のバラツキはランプ電力の変化状況に大きく影響し、安定状態までのランプ電圧がばらつくことで点灯時の光束立ち上がり特性が大きくばらつき、自動車用の光束立ち上がり特性を規定した規格値を満足できないという問題が生じる。
本発明は、上記の如き水銀レスランプの問題点に対し鋭意検討をした結果なされたものであり、以下、図12に基づいて本発明をなすに至った経緯を説明する。
図12(A)は、点灯開始からの経過時間に対応した光束の変化を示している。
また、図12(B)は、点灯開始からの経過時間に対応したランプ電圧の変化を示しており、ランプのバラツキをバルブa、バルブb、バルブcの3個のバルブ(ランプ)で代表させている。なお、図12(A)と図12(B)の時間軸は一致させてある。
点灯開始後、光束を早く立ち上げるために、ランプに約90Wの定電力を印加すると、図12(A)に示すように、点灯直後に約50%程度であった光束は、時間経過とともに徐々に増加し、数秒後に急速に増加し始め、その後も上記定電力を印加し続けると図示破線のようにオーバーシュートに至る。また、各バルブa,b,cの点灯初期のランプ電圧は、それぞれ図12(B)に示すように異なる電圧値をもちながら増加する。本発明者らは、このような点灯初期のバルブのランプ電圧の変化において、光束が80%〜100%程度に到達した時点(図12(B)図示のタイミングE)でのランプ電圧の変化値ΔVL(第1の変化値ΔVL1)が、点灯初期のランプ電圧が異なるバルブa,b,cにおいてほぼ一定値になる、つまり、ΔVLa1≒ΔVLb1≒ΔVLc1となることを見出した。そして、どのバルブを使用する場合であっても、ランプ電圧の変化値ΔVLが第1の変化値ΔVL1まで増大した時点でランプ印加電力を減らす制御を開始することによって、光束のオーバーシュートを防止することができることを見出した。
さらに、本発明者らは、ランプ電圧の変化値ΔVLが第1の変化値ΔVL1(ΔVLa1、ΔVLb1、ΔVLc1)まで増大した時点以降の電力制御について、ΔVLが第1の変化値ΔVL1(ΔVLa1、ΔVLb1、ΔVLc1)から第2の変化値ΔVL2(ΔVLa2、ΔVLb2、ΔVLc2)に達する間、ΔVLの変化に応じてランプ印加電力を制御することにより、ランプの個体差によるランプ電圧のバラツキを吸収でき、ランプ電圧がばらついても光束のオーバーシュート、アンダーシュートを抑制でき、光束をスムーズに100%に収束させることができることを見出した。なお、図12において、Aはランプに90Wを印加している期間、B,C,Dは、それぞれのバルブa,b,cにおいてΔVLに応じてランプ電力が制御される期間を表している。
請求項1によると、水銀レスランプの点灯制御装置であって、前記水銀レスランプの点灯初期において光束が80%〜100%に達したかを判断し、ランプ印加電力を低減する制御を開始するようにした。すなわち、点灯初期のランプ電圧が異なるバルブであっても光束が80%〜100%程度に到達した時点では点灯初期からの電圧の変化値がほぼ一定値になることを見出し、この現象を用いて光束のオーバシュートを防止することができるようにした。
請求項2は、前記光束が80%〜100%に達したかを、現在のランプ電圧または相当信号電圧を検出する現在ランプ電圧検出手段と、ランプ点灯初期のランプ電圧または相当信号電圧を検出し、記憶する記憶手段と、前記記憶手段で記憶したランプ電圧または相当信号電圧から前記現在のランプ電圧または相当信号電圧への変化値であるランプ電圧変化値(ΔVL)を求めるΔVL検出手段と、による前記ΔVLが第1の変化値ΔVL1まで増大したことにより判断されるようにしたものである。
請求項3は、前記記憶手段によって記憶されるランプ電圧または相当信号電圧は、前記所定時間内における最低電圧値としたものである。
請求項4は、ランプ印加電力を低減する制御として、点灯後の経過時間に応じてランプ印加電力を制御するとともに、前記ΔVL検出手段で求めたΔVLが所定値以上に達した時点からの経過時間に応じてランプ印加電力を徐々に低減し安定時のランプ印加電力制御に移行するようにしたものである
ランプ消灯後ランプ電極が冷え切らない状態で再び点灯した場合(以後、ホットスタート時という。)、点灯直後のランプ電圧はランプが冷え切った状態での点灯直後のランプ電圧に比べて高くなる。したがって、ΔVLは低い値となり、ΔVLが所定値に達するまでの時間が長くなるので電力低減が遅れ、その結果光束のオーバーシュートが発生する。
請求項6によると、ランプ点灯前の消灯時間に応じて設定される所定時間後に、ΔVLに関わらずランプの印加電力を低減するようにした。これにより、ランプの電極温度に左右されること無く再点灯時の正確な電力制御ができるようになる。
請求項7は、前記ランプ印加電力を低減する制御は、前記ΔVL検出手段で求めたΔVLに基づいてランプ印加電力を制御するとともに、前記ΔVL検出手段で求めたΔVLが所定値以上に達した時点、又は、ランプ電圧VLが所定値以上に達した時点のどちらか先に所定値以上に達した時点からの経過時間に応じてランプ印加電力を徐々に低減し安定時のランプ印加電力制御に移行するようにした。
このため、たとえばランプが冷え切った状態で点灯開始した場合(以下、コールドスタート時という。)は、ΔVLが先に所定値に達することで電力低減を行ない、一方、ホットスタート時は、ランプ電圧が先に所定値に達しタイマー回路により電力低減を行なう。これは、コールドスタート時での点灯初期のランプ電圧はホットスタート時での点灯初期のランプ電圧と比べて低いためΔVLは高い値となり、一方、ホットスタート時での点灯直後のランプ電圧はコールドスタート時での点灯直後のランプ電圧に比べ高く、時間経過とともにランプ電圧はさらに上昇してゆくからである。ΔVLが所定値以上に達した時点、又は、ランプ電圧が所定値以上に達した時点のどちらか先に所定値に達した時点からの経過時間に応じランプ印加電力を徐々に低減し安定時のランプ電力制御に移行するようにしたため、ランプの個体差によるランプ電圧のバラツキを吸収でき、光束のオーバーシュート、アンダーシュートを抑制し、光束をスムーズに100%に収束させることができる。
本発明の放電灯装置によると、ランプ特に水銀レスランプの個体差によるランプ電圧のバラツキを吸収でき、光束のオーバーシュート、アンダーシュートを抑制し、光束をスムーズに100%に収束させることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、一実施形態に係る放電灯装置を車両用前照灯に適用した場合の全体構成を示す。
図1において、1は直流電源としての車載バッテリ、2は車両用前照灯であるランプ(高圧放電灯)、3はランプ2の点灯スイッチをそれぞれ表す。
放電灯装置は、直流電源回路(DC−DCコンバータ)4、テークオーバ回路5、インバータ回路6、始動回路7等の回路機能部を有している。
DC−DCコンバータ4は、バッテリ1側に配された1次巻線41aとランプ2側に配された2次巻線41bを有するフライバックトランス41と、1次巻線41aに接続されたMOSトランジスタ42と、2次巻線41bに接続された整流用ダイオード43と、平滑用コンデンサ44とによって構成され、バッテリ電圧VBを昇圧した昇圧電圧を出力する。すなわち、MOSトランジスタ42がオンすると、1次巻線41aに電流が流れて1次巻線41aにエネルギーが蓄えられ、MOSトランジスタ42がオフすると、1次巻線41aのエネルギーが2次巻線41bに供給される。そして、このような動作を繰り返すことにより、ダイオード43とコンデンサ44の接続点から高電圧が出力される。
テークオーバ回路5は、コンデンサ51と抵抗52から構成され、点灯スイッチ3がオンした後にコンデンサ51が充電されることによって、ランプ2を電極間での絶縁破壊から速やかにアーク放電に移行させる。
インバータ回路6は、ランプ2を交流点灯させるもので、Hブリッジ回路61とブリッジ駆動回路62,63から構成されている。Hブリッジ回路61は、Hブリッジ状に配置された半導体スイッチング素子をなすMOSトランジスタ61a〜61dからなる。ブリッジ駆動回路62,63は、後述するHブリッジ制御回路400からの信号によって、MOSトランジスタ61a,61dとMOSトランジスタ61b,61cを交互にオンオフ駆動する。この結果、ランプ2の放電電流の向きが交互に切り替わり、ランプ2の印加電圧(放電電圧)の極性が反転してランプ2が交流点灯する。始動回路7は、Hブリッジ回路61の中点電位点とバッテリ1の負極端子との間に設置され、1次巻線71aと2次巻線71bを有するトランス71、ダイオード72,73、抵抗74、コンデンサ75およびサイリスタ76から構成されており、ランプ2を点灯始動させる。すなわち、点灯スイッチ3がオンすると、コンデンサ75が充電を開始し、この後、サイリスタ76がオンすると、コンデンサ75が放電を開始し、トランス71を通じてランプ2に高電圧を印加する。その結果、ランプ2が電極間で絶縁破壊し点灯する。
上述したMOSトランジスタ42、ブリッジ駆動回路62,63、サイリスタ76は、制御回路10によって制御される。この制御回路10には、DC−DCコンバータ4とインバータ回路6の間のランプ電圧(すなわちインバータ回路6に印加される電圧)およびインバータ回路6からバッテリ1の負極側に流れるランプ電流ILなどが入力されている。なお、ランプ電流ILは電流検出用抵抗8により電圧として検出される。
図2に、制御回路10のブロック構成を示す。制御回路10は、MOSトランジスタ42をPWM信号によってオンオフさせるPWM制御回路100と、ランプ電圧を信号用ランプ電圧VLに変換するランプ電圧検出回路200と、ランプ電圧VLとランプ電流ILが入力されランプ電力を所望値に制御するランプパワー制御回路300と、Hブリッジ回路61を制御するHブリッジ制御回路400と、サイリスタ76をオンさせてランプ2に高電圧を発生させる高電圧発生制御回路500とから構成されている。
次に、上記構成の放電灯装置の点灯動作を説明する。
点灯スイッチ3がオンすると、図1に示す各部に電源が供給される。そして、PWM制御回路100は、MOSトランジスタ42をPWM制御する。その結果、フライバックトランス41の作動によって、バッテリ電圧VBを昇圧した電圧がDC−DCコンバータ4から出力される。また、Hブリッジ制御回路400は、Hブリッジ回路61におけるMOSトランジスタ61a〜61dを対角線の関係で交互にオンオフさせる。このことにより、DC−DCコンバータ4から出力された高電圧が、Hブリッジ回路61を介して始動回路7のコンデンサ75に供給され、コンデンサ75が充電される。
この後、高電圧発生制御回路500は、Hブリッジ制御回路400から出力されるMOSトランジスタ61a〜61dの切り替えタイミングを知らせる信号に基づいて、サイリスタ76にゲート駆動信号を出力し、サイリスタ76をオンさせる。そして、サイリスタ76がオンすると、コンデンサ75が放電し、トランス71を通じてランプ2に高電圧が印加される。その結果、ランプ2が電極間で絶縁破壊し、点灯始動する。
この後、Hブリッジ回路61によりランプ2への放電電圧の極性(放電電流の向き)を交互に切り替えることで、ランプ2が交流点灯される。また、ランプパワー制御回路300によって、ランプ電力が所望値となるように制御し、ランプ2の点灯を維持する。なお、ランプ電圧検出回路200は、インバータ回路6に印加される電圧をランプ電圧として入力し、これを信号電圧となるランプ電圧VLに変換する。
次に、ランプパワー制御回路300について、その具体的構成を示す図3に基づいて説明する。
ランプパワー制御回路300は、ランプ2の点灯状態を示す信号であるランプ電圧VLやランプ電流IL等に応じた出力を発生する誤差増幅回路301の出力がPWM制御回路100に入力されるようになっている。PWM制御回路100は、誤差増幅回路301の出力電圧が大きくなるほど、MOSトランジスタ42をオンオフさせるデューティ比を大きくして、ランプ電力を増加させる。
点灯初期電圧記憶回路(点灯初期電圧記憶手段)320は、ランプ点灯開始直後のランプ電圧VLを記憶し、記憶したランプ電圧VLsを出力する。
ΔVL検出回路(ΔVL検出手段)350は、ランプ電圧VLから点灯初期電圧記憶回路320にて記憶したランプ電圧VLsを減算し、ランプ電圧の点灯初期電圧(VLs)からの変化電圧値(ランプ電圧変化値)ΔVLを求め、ランプ電圧変化値ΔVLを出力する。
誤差増幅回路301の非反転入力端子には、基準電圧Vr1が入力され、反転入力端子には、ランプ電力を制御するためのパラメータとなる電圧V1が入力されており、誤差増幅回路301は、基準電圧Vr1と電圧V1の差に応じた電圧を出力する。この電圧V1は、ランプ電流ILと、一定電流i1と、第1電流設定回路302にて設定される電流i2と、第2電流設定回路303にて設定される電流i3と、第3電流設定回路304にて設定される電流i4と、第4電流設定回路305にて設定される電流i5に基づいて決定される。なお、電流i1と電流i2と電流i3と電流i4と電流i5の和は、ランプ電流ILより十分小さく設定される。
ここで、第1電流設定回路302は、図3に示すように、ランプ電圧VLが高くなるほど電流i2を大きく設定し、第2電流設定回路303は、図3に示すように、ランプ電圧VLが第1の所定値以下では電流i3を零、VLが第2の所定値以上ではi3を一定値、VLが第1の所定値以上かつ第2の所定値以下ではVLが高くなるほどi3を大きく設定し、第3電流設定回路304は、点灯初期のランプ電圧値に対するランプ電圧VLの変化値つまりランプ電圧変化値ΔVLが第1の所定値以下では電流i4を一定値、第2の所定値以下ではi4を一定値、第1の所定値以上かつ第2の所定値以下ではΔVLが大きくなるほどi4を大きく設定する。第4電流設定回路304は、図3に示すように、点灯後の経過時間Tが長くなるほど電流i5を大きく設定し、点灯開始から数十秒経過後はi5を一定値に設定する。
そして、このランプパワー制御回路300は、点灯後の経過時間T、ランプ電圧VL、ランプ電流IL、ランプ電圧変化値ΔVLなどに応じた電圧を出力してランプ電力を制御し、点灯初期にはランプ電力を大きな値(例えば90W)として、ランプからの光束を早く立ち上げ(早く明るくし)、光束の立ち上がりとともにランプ電力を徐々に低下させてゆき、ランプ2が安定状態になるとランプ電力を所定値(例えば35W)に制御する。
次に、点灯初期電圧記憶回路320とΔVL検出回路350について、その具体的構成を示す図4に基づいて説明する。
点灯初期電圧記憶回路320は、演算増幅器321とスイッチ322とコンデンサ323とで構成されるサンプルホールド回路と、スイッチ322の開閉を制御するスイッチコントロール回路325と、上記サンプルホールド回路の出力電圧をインピーダンス変換するボルテージフォロワ回路を構成する演算増幅器324とで構成される。
ランプ電圧VLは、演算増幅器321の非反転入力端子に入力され、スイッチ322がオン状態においてコンデンサ323はランプ電圧VLと同じ電圧になるよう制御される。スイッチ322がオフすると、コンデンサ323の充電電圧は、オフ時点のコンデンサ323に充電されている電圧にホールド(記憶)され、その後スイッチ322がオンするまでその電圧を維持する。
スイッチコントロール回路325は、点灯開始したことを検出し、点灯開始時点から所定時間経過するまでスイッチ322をオン状態に保ち、所定時間経過後オフ状態に制御するスイッチ制御信号を生成する。
次に、タイマー回路である電流設定回路305について、その具体的構成を示す図5、図7及び作動を示す図6、図8に基づいて説明する。
(1)第1実施例(図5、図6)について
図5において、コンパレータ503は、端子501のランプ電圧変化値ΔVLと基準電圧源504の基準電圧VR1とを比較し、ΔVLがVR1以上のときハイレベルの出力となる。端子502には、点灯開始から所定時間後にローレベルからハイレベルに反転する信号TSが入力される。上記所定時間は点灯前の消灯時間に応じて設定されており、消灯時間が長い場合つまりコールドスタート時には長い時間に、短い場合つまりホットスタート時には短い時間に設定されている。
NORゲート505は、コンパレータ503の出力と信号TSとの論理をとり、トランジスタ506を駆動する。端子517には定電圧が印加される。オペアンプ509の非反転入力には電圧Vaが入力される。Vaは、トランジスタ506の遮断時には、上記定電圧を抵抗507と508で分圧した分圧電圧となり、一方、トランジスタ506の導通時には、トランジスタ506のコレクタ・エミッタ間の電圧降下が小さいためほぼ0Vとなる。オペアンプ509とダイオード510は、一方向性のバッファ回路を構成しており、ダイオード510のカソード側の電圧がVaより低い場合にのみ、出力電圧をVaと同じ電圧値となるよう制御する。
トランジスタ506が遮断状態のときは、上記のようにVaは分圧電圧となり、この分圧電圧Vaがオペアンプ509及びダイオード510を介して抵抗512とコンデンサ513と抵抗514とで構成される時定数回路に印加され、コンデンサ513は抵抗512を介して充電される。コンデンサ513の充電電圧Vcは、充電開始から、コンデンサ513の静電容量Cと抵抗512の抵抗値Rをパラメータとする時定数CRによって決まる所定時間が経過したとき、Vaと同じ電圧値になる。
一方、トランジスタ506が導通状態のときは、上記のようにVaはほぼ0Vとなり、コンデンサ513に充電されていた電荷は、抵抗512,514を介して放電される。
このように、トランジスタ506の導通、遮断に応じてコンデンサ513の充電、放電が行なわれ、コンデンサ513の充電はダイオード510及び抵抗512を介して行なわれ、一方、コンデンサ513の放電は抵抗512,514を介して行なわれる。
充電電圧VcはV−I変換回路515に入力され、V−I変換回路515はVcをその電圧値に比例した電流値の電流i5に変換し、i5は端子516から出力される。なお、端子518は、タイマー回路305の電源供給端子である。
図6は、コールドスタート時及びホットスタート時の各部の波形を示す。
コールドスタート時に、タイミングt0で放電灯装置に電源が入ると、放電灯装置は作動を開始し、タイミングt10で点灯が開始され、ランプ電圧VLは瞬時に大幅に低下する。点灯開始後、ランプ電圧変化値ΔVLは時間の経過とともに徐々に増大してゆき、タイミングt1でΔVLが基準電圧VR1に達すると、コンパレータ503の出力はハイレベルに反転し、トランジスタ506は導通状態から遮断状態へとスイッチングし、分圧電圧Vaが時定数回路に印加され、コンデンサ513は充電を開始する。充電開始後、充電電圧Vcは、上記時定数CRに基づき徐々に増大してゆく。なお、充電開始後、タイミングt0から時間TD1が経過したタイミングt2で信号TSがハイレベルに反転するが、トランジスタ506は依然として遮断状態を保ち、コンデンサ513の充電は継続される。そして、Vcは、充電開始から上記時定数CRにより決定される所定時間が経過したときVaと同じ電圧値になり、以後、この電圧値を保つ。
このように、充電電圧Vcは、ランプ電圧変化値ΔVLが基準電圧VR1つまり所定値まで増大したタイミングt1から、時定数CRに基づいて徐々に増大し、この時定数CRで定まる所定時間が経過したときからVaと同じ電圧値になり一定値となる。そして、このVcに比例した電流i5が端子516から出力され、ランプ印加電力は時間経過にともない徐々に低減してゆく。
その後、タイミングt3で電源が切られると、放電灯装置は消灯する。また、電源が切られると、コンデンサ513は抵抗512と514を介して放電を開始する。このコンデンサ513の放電は、コンデンサ513の静電容量Cと抵抗512と514の直列抵抗値R´とで定まる時定数CR´に基づいて行なわれる。
このコンデンサ513の放電が完了する前のタイミングt4で電源が入ると、コールドスタート時と同様、放電灯装置は点灯を開始する。
このホットスタート時には、点灯直後のランプ電圧VLはコールドスタート時と比べて高く、VLはその状態から時間経過とともに徐々に上昇し安定時の電圧に至る。すなわち、VLの上昇がコールドスタート時と比べて緩やかとなり、ランプ電圧変化値ΔVLの上昇も緩やかとなる。そのため、点灯開始からΔVLが所定値VR1に達するタイミングt6までの時間は、コールドスタート時より長くなる。一方、信号TSがハイレベルに反転するまでの時間は、Toff時間に応じて設定されており、コールドスタート時には長い時間TD1に設定され、ホットスタート時には短い時間TD2に設定されているため、ΔVLが所定値VR1に達する前のタイミングt5で信号TSはハイレベルに反転するようになる。このため、タイミングt5でNORゲート505の出力はローレベルに反転し、トランジスタ506は導通状態から遮断状態へとスイッチングし、分圧電圧Vaが時定数回路に印加され、コンデンサ513は放電動作から充電動作へと切り替わる。充電開始後、充電電圧Vcは、上記時定数CRに基づき徐々に増大してゆく。そして、Vcは、充電開始から上記時定数CRにより決定される所定時間が経過したときVaと同じ電圧値になり、以後、この電圧値を保つ。
このように、充電電圧Vcは、信号TSがハイレベルに反転したタイミングt5での電圧値から時定数CRに基づいて徐々に増大し、この時定数CRで定まる所定時間が経過したときからVaと同じ電圧値になり一定値となる。そして、このVcに比例した電流i5が端子516から出力され、ランプ印加電力は時間経過にともない徐々に低減してゆく。
さらに、タイミングt7で電源が切られて消灯した後、タイミングt8で電源が再び入り再点灯したホットスタート時には、Toff時間がさらに短くランプの電極温度が殆ど低下していない状態で再点灯するため、点灯直後のランプ電圧VLは安定時の電圧値に近い電圧値となり、ランプ電圧変化値ΔVLは所定値VR1に達することにはならないが、信号TSが再点灯直後のタイミングt9でハイレベルに反転することから、コンデンサ513は充電を開始する。コンデンサ513の充電電圧Vcはタイミングt9のとき一定値に近い電圧値であるため、Vcは短時間で一定値まで上昇する。
上述したようなタイマー回路305では、ホットスタート時に点灯開始から信号TSがハイレベルに反転するまでの時間TD2を、点灯前の消灯時間Toffの長さに応じた時間として設定しているが、コンデンサ513は消灯時間Toff内に放電動作を行なうことから、点灯開始時のコンデンサ513の充電電圧Vcは、消灯時間Toffに対応した電圧値となる。したがって、点灯開始時のVcが所定値以上の場合は、ランプ電圧変化値ΔVLの値にかかわらずコンデンサ513を充電させるよう構成してもよい。この場合、コールドスタート時はΔVLが所定値に達した時点でコンデンサ513は充電を開始し、消灯時間Toffの短いホットスタート時は電源投入とほぼ同時にコンデンサ513は充電を開始するようになる。
(2)第2実施例(図7、図8)について
第2実施例は、信号TSの代わりに、コンパレータ520により端子519に入力されてくるランプ電圧VLと基準電圧源521の基準電圧VR2(所定値)とを比較し、VLが所定値以上か否かの信号を用いる点が第1実施例と異なるだけで、他の構成は第1実施例と同様である。
したがって、コールドスタート時及びホットスタート時の各部の波形は図8に示すようになり、ホットスタート時には、ランプ電圧VLが所定値VR2に達したタイミングt5でコンデンサ513は放電動作から充電動作へと切り替わる。
図9に各部の波形を示す。図9において、VBは、装置に印加される電源の電圧、VLは、ランプ電圧、ILは、ランプ電流、SWは、スイッチ322のオンオフ状態、VLsは、点灯初期電圧記憶回路320の出力電圧、ΔVLは、ΔVL検出回路350の出力電圧を示す。
装置に電源(VB)が印加されると、装置は動作を開始する。タイミングAは点灯開始したことを示しており、このタイミングAから所定時間経過後のタイミングBで、スイッチ322がオン状態からオフ状態に切り替わり、このタイミングBで点灯初期電圧としてVLsをホールド(記憶)する。
ΔVL検出回路350は、演算増幅器351と抵抗352〜355で構成される減算回路である。ここで、R1=R3、R2=R4とすると、
ΔVL=(VL−VLs)×R2/R1
となり、ランプ電圧の点灯初期電圧VLsからの変化電圧値ΔVLとなる。
点灯初期電圧VLsは、光束が最も低い(暗い)時のランプ電圧とすることが理想である。したがって、上記スイッチコントロール回路325で決まるスイッチ322をオフするまでの所定時間は、光束が最も低い時を狙って設定しており、点灯開始から6秒以内である。
図10に、点灯初期電圧記憶回路320の他の実施形態を示す。図4の点灯初期電圧記憶回路320に対し、スイッチ322とスイッチコントロール回路325を廃止し、ダイオード326が追加され、コンデンサ323の接続を変えている。コンデンサ323は、基準電源であるVr2に接続され、ダイオード326によりランプ電圧VLの最低値をコンデンサ323でホールドする。ランプ電圧VLは、点灯初期に最低電圧となり、この時光束が最も低い。このようにランプ電圧VLの最低電圧をホールドすることによって点灯初期電圧を設定するようにしてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る放電灯装置は、ランプ点灯開始直後のランプ電圧または相当信号電圧を記憶する記憶手段(点灯初期電圧記憶回路320)と、現在のランプ電圧または相当信号電圧から記憶手段で記憶した点灯開始直後のランプ電圧または相当信号電圧を減算しランプ電圧変化値(ΔVL)を求めるΔVL検出手段(ΔVL検出回路350)とを備え、ΔVL検出手段で求めたΔVLに基づいてランプ印加電力を制御するよう構成される。このため、ランプの個体差によるランプ電圧のバラツキを吸収でき、光束のオーバーシュート、アンダーシュートを抑制し、光束をスムーズに100%に収束させることができる。
なお、ランプ点灯開始直後のランプ電圧または相当信号電圧を記憶する記憶手段は、ランプ電圧をアナログ値からデジタル値に変換し、マイクロコンピュータ等によるデジタル値で記憶してもよい。記憶した点灯直後のランプ電圧を減算しランプ電圧の変化電圧値(ΔVL)を求めるΔVL検出手段もマイクロコンピュータ等によるデジタル演算によって行ってもよい。
また、現在のランプ電圧又は相当信号電圧からランプ点灯開始直後のランプ電圧又は相当信号電圧を減算しランプ電圧変化値ΔVLを求め、このΔVLに基づいてランプ印加電力を制御するとともに、ΔVLが所定値以上に達した時点からの経過時間に応じてタイマー回路によりランプ印加電力を徐々に低減し安定時のランプ電力制御に移行するようにしたため、ランプの個体差によるランプ電圧のバラツキを吸収でき、光束のオーバーシュート、アンダーシュートを抑制し、光束をスムーズに100%に収束させることができる。
また、ΔVLとは関係なく、点灯開始から所定時間後にタイマー回路によりランプ印加電力を徐々に低減し安定時のランプ印加電力制御に移行するようにしたため、ランプの再点灯時においてもランプの個体差によるランプ電圧のバラツキを吸収でき、光束のオーバーシュート、アンダーシュートを抑制し、光束をスムーズに100%に収束させることができる。
また、ランプ点灯前の消灯時間に応じて設定される所定時間後にタイマー回路によりランプ印加電力を低減するようにしたため、ランプの電極温度に左右されることなく再点灯時の正確な電力制御ができるようになる。
また、現在のランプ電圧又は相当信号電圧からランプ点灯開始直後のランプ電圧又は相当信号電圧を減算しランプ電圧変化値ΔVLを求め、このΔVLに基づいてランプ印加電力を制御するとともに、ΔVLが所定値以上に達した時点、又は、ランプ電圧が所定値以上に達した時点のどちらか先に所定値以上に達した時点からの経過時間に応じてタイマー回路によりランプ印加電力を徐々に低減し安定時のランプ電力制御に移行するようにしたため、ランプの個体差によるランプ電圧のバラツキを吸収でき、光束のオーバーシュート、アンダーシュートを抑制し、光束をスムーズに100%に収束させることができる。
本発明の一実施形態に係る放電灯装置を車両用前照灯に適用した場合の全体構成図である。 制御回路のブロック構成図である。 ランプパワー制御回路の具体的構成図である。 点灯初期電圧記憶回路とΔVL検出回路の具体的構成図である。 タイマー回路である電流設定回路の第1実施例の具体的構成図である。 その作動説明図である。 タイマー回路である電流設定回路の第2実施例の具体的構成図である。 その作動説明図である。 図1における各部の波形図である。 点灯初期電圧記憶回路の他の実施形態を示す構成図である。 従来の制御方法を説明するためのランプ電圧とランプ電流の関係を規定する制御線図である。 本発明の背景を説明するための波形図である。
符号の説明
320 記憶手段(点灯初期電圧記憶回路)
350 ΔVL検出手段(ΔVL検出回路)

Claims (8)

  1. 水銀レスランプの点灯制御装置であって、
    前記水銀レスランプの点灯初期において光束が80%〜100%に達したかを判断し、ランプ印加電力を低減する制御を開始することを特徴とする放電灯装置。
  2. 前記光束が80%〜100%に達したかは、
    現在のランプ電圧または相当信号電圧を検出する現在ランプ電圧検出手段と、
    ランプ点灯初期のランプ電圧または相当信号電圧を検出し、記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段で記憶したランプ電圧または相当信号電圧から前記現在のランプ電圧または相当信号電圧への変化値であるランプ電圧変化値(ΔVL)を求めるΔVL検出手段と、
    による前記ΔVLが第1の変化値ΔVL1まで増大したことにより判断されることを特徴とする請求項1記載の放電灯装置。
  3. 前記記憶手段によって記憶されるランプ電圧または相当信号電圧は、前記所定時間内における最低電圧値である請求項2記載の放電灯装置。
  4. 前記ランプ印加電力を低減する制御は、点灯後の経過時間に応じてランプ印加電力を制御するとともに、前記ΔVL検出手段で求めたΔVLが所定値以上に達した時点からの経過時間に応じてランプ印加電力を徐々に低減し安定時のランプ印加電力制御に移行するものであることを特徴とする請求項2、または請求項3に記載の放電灯装置。
  5. 前記ΔVLが第1の変化値ΔVLまで増大した時点以降から前記ランプ印加電力を低減制御が開始されることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の放電灯装置。
  6. ランプ点灯前の消灯時間に応じて設定される所定時間後に、ΔVLに関わらずランプの印加電力を低減することを特徴とする請求項4または5記載の放電灯装置。
  7. 前記ランプ印加電力を低減する制御は、前記ΔVL検出手段で求めたΔVLに基づいてランプ印加電力を制御するとともに、前記ΔVL検出手段で求めたΔVLが所定値以上に達した時点、又は、ランプ電圧VLが所定値以上に達した時点のどちらか先に所定値以上に達した時点からの経過時間に応じてランプ印加電力を徐々に低減し安定時のランプ印加電力制御に移行することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の放電灯装置。
  8. 前記ΔVLが第1の変化値ΔVL1まで増大した時点以降から第2の変化値ΔVL2に達するまでの間、前記ランプ印加電力を低減制御することを特徴とする請求項2記載の放電灯装置。
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